令和4年6月26日 | 青柳瑞穂君 井伏鱒二 |
僕が徴用されてマレー半島へ行くときには、青柳君が小さな仏像を持ってきてくれた。 高さ一寸ほどの金銅の菩薩像で、鎌倉時代の武将が出陣の際に兜の頂辺に納めていたお守りである。 「鎌倉時代には、こんなものをたくさん鋳造していたらしい。 江戸時代にも、この模造品を作る人がいたそうだ」と青柳君が言った。 この模造品に時代をつけて見せるには、それを鶏に飲ませて胃袋の砂で揉ませるのだという。 僕は無事にマレーから帰って来た。 |
令和4年6月19日 | 山川あかり 東京都 24歳 父の日 |
青年時代から貿易商になる夢を追い続け、 運に恵まれずとも今なお努力している父は今年59歳。 定収入や肩書には全く無縁。 喧嘩した時、一人娘の私が「情けない」と罵ってしまったら、 「わかっている」と一言答えた。 ごめんね、お父さん。 他人の物差しなんかどうでもいいのに。 私にとって一人しかいない父の、一つしかない生き方。 私が応援する。 今まで言えなかったメッセージ、少し大人になって今年は言いたい。 お父さん頑張って! |
令和4年6月15日 | 作品 |
私は作品の説明をしない。すれば私の押し付けになる。 というのも、展覧会に行って、傍であれこれ説明されるのが私は嫌いだ。 すきに見せてくれと言いたくなる。 説明はしないけれど、観た人はいろいろな思いを言ってくれる。 遠い日の 土の記憶か 緋の器 |
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令和4年6月14日 | 窯出し |
窯を開けると緋色が鮮やかに焼き上がっている。 ゼーゲルは7番倒れ、8番は半分倒れている。 紅志野、サヤの備前火襷、全部良い焼きである。 灰はカサツキもなく、よく溶けている。 |
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令和4年6月12日 | 私の魯山人観 梶川芳友 |
魯山人の器を初めて知ったのは、二十代の初め、人に連れられていった料亭で、ごはんを盛った飯茶碗を手にした時だった。 北大路魯山人という名前をその時初めて知った。若く貧しい頃のことである。 私は、茶碗一つで、食事そのものがこんなにも変わるものかと驚いた。 貧しい若者にとって、食事に使う器に心を配る、まして凝るなどということは、考えもつかぬ贅沢だろう。 私は、魯山人の器を初めて手にしたときのその生理的とすらいえる心地よい感触に戸惑いを感じた。 自分が日々使っている食器の貧しさを知って、思わず赤面したのを覚えている。 |
令和4年6月5日 | 窯焚き五日目 |
今はものを創造する力、美を生む土壌は衰退している。 芸術や工芸は古典の模倣の領域しか残されていないのだろうか。 「アルス・ロンガ・ヴィタ・ブレイヴィス」 「 芸術は長く、人生は短い 」 ヒポクラテス |
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PM6:00 夕食後、何時に窯を止めれるのかと岩田さんと妻と最終の薪くべです。 奧の温度が1200度以下では7番が倒れないので、1250度まで上げる。 PM10:00にぐい飲みを引き出すと灰が解けている。 奥のゼーゲルを見ると7番が倒れ、8番が半倒している。 午後11時窯を閉め水を撒いて春の窯焚きは終わりました。 翌朝九時窯温度770度。その後2日間9時間寝るが体重3キロ減、妻は1キロ減でした。 |
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令和4年6月4日 | 窯焚き四日目 |
窯は白く熱をうけ、煙突が黒煙を吐き、音をたてている頃の私は、 埃だらけで、泥にまみれた仕事着に、土に汚れた靴を履いて薪を投げている。 半年の労働をこの仕上げの三時間にかけて走り回り汗を流す。 火が持つ力を感じる時である。 |
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朝四時夜明け。気温五度。小鳥が鳴いている。寝不足でくたくたです。 AM6:00 1250℃まで上げました。 平林さんに、朝AM6:00からPM1:00まで応援に来ていただいた。 今日は湊、野中、伊藤、増澤(規)さんにAM10:00〜PM3:00まで応援していただきました。 岩田さんに、PM4:00からPM11:00まで応援に来ていただいた。 PM5:00に1300℃まで上げました。ゼーゲルを見ると7番が倒れていないので三人で夕食にする。 |
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令和4年6月3日 | 窯焚き三日目 |
人生の流れは、何気ない他人の言葉がきっかけになって、その方向を百八十度変えてしまうことがある。 赤ん坊の時から、老いて死ぬまで、他者との出会いに何かを期待し続ける。 |
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AM6:00 窯温度230℃、朝の気温10℃、晴れ。昼は20度。 今日は小松、武井、林、宮島、宮坂(美)、中沢、山田、加藤さんにAM10:00〜PM3:00まで薪運びの応援していただきました。 グリーンプラザホテルさんからシホンケーキを買う。応援の人達がとてもおいしいと言う。 PM5:00に900℃まで上げました 午後3:00から翌朝AM6:00まで妻と二人です。妻が夜11時まで焚いてくれましたので4時間ほど休みました。 真夜中は本を読みながら焚く。薪の燃える音で燃え具合の判断をしています。 炎を引いたり引かなかったり目まぐるしく変わるので、とても忙しい。そしてとても寒い。 |
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令和4年6月2日 | 窯焚きニ日目 |
いたずらに技巧のみを追い続けるを良しとするより、平凡でもほっとする手作りの味を大切に、またそれを評価するゆたかな心と目を大切にしたい。 | |
ロストルで一日炙り焚きしました。 快晴で朝の気温8度、昼間は20度、朝の窯温度180℃。春ゼミがうるさい。 湊さんがAM10:00〜PM2:00応援してくれた。 夕方、明日からの応援の人達の食事の材料を買い出しする。 AM7:00〜PM5:00。600℃まで上げました。 |
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令和4年6月1日 | 窯焚き一日目 |
「縁」というのは、私の好きな言葉の一つ。 辞書に、「家の外側に添えた板敷」 つまり、縁側とあるのも懐かしいが、つづいて、 「人と人、または人と物事を結びつける不思議な力」 とあるのが嬉しい。 |
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今、新型コロナが少し落ち着いたようなので、全員参加で四日間窯を焚いてみます。 今回は私の目指す緋色にこだわって焼きます。 御神酒(秋田の純米大吟醸)・お米・お塩をお供えして、火の神様に、二礼二拍手一礼で始める。 昨日は夕焼けしました。今日は快晴で暑い。不如帰、カッコーが鳴く。 ロストルで一日湿気を抜くため火を焚く。 朝の気温6度、昼間は20度。窯温度7.5度。焼肉、焼き芋うまい。 AM大葉さんご夫妻が来られた。PM武村さんご夫妻が来られた。 温度管理のパソコンを岩田さんからお借りする。 AM7:00〜PM6:00。450℃まで上げました。 |
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令和4年5月29日 | 第69 回日府展 |
第 69 回日府展が始まりました。 東京展は、5月19日〜27日まで東京都美術館。 名古屋展は、6月8日〜12日まで愛知県美術館です。 増沢道夫 (参事) 緋色壺 入選 増沢ふみ子 (会員) 茜雲 日府努力賞 湊 美由紀 (一般) 初夏の雨 東京新聞賞 |
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昨年は活動を停止した下諏訪美術会。 今年はコロナ対策を徹底して活動します。 下諏訪美術会 会員小品展が5月29日〜6月3日おこなわれます。 |
令和4年5月22日 | 得よ |
やきものを知るには何から始めればよいかと人に聞かれる。 それは何からでもよいが、大切なことがある。 それは 「得よ」 という事である。求めるという事。よく 「買ってみないと本当のことはわからない」 という。 自分の持っているお金を手放して、その物を手に入れてみるということが必要である。 必要というより焼物がわかるのに近道である。 所謂、痛い思いをして身銭を切って買ってみると、それが良かったにしろ悪いものであったにしろ、焼物がわかるという上には非常の影響がある。 そんなものではないと笑う人がいるかもしれないが、他人の物を見て歩くだけの人と、自分のものにしようという愛着心をもつ人は、どれほど器物を理解する上に知見を早めるか知れない。 『求めよ、されば与えられん』??? イエスキリスト |
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窯の前の棚に、パレット三枚分の薪を用意しました。 |
令和4年5月15日 | 井伏鱒二・・・ 窯詰め |
昭和十五六年ころ古備前が値上がりし当時、東京の商人が土塀の上の破片をよく買いに来た。 なかには、ある家の土壁をそっくり買って、塀土に塗り込んである匣鉢まで持っていく商人もいた。 田圃の石垣も匣鉢で築いていたので、夜にまぎれて堀取って東京の商人に売るものもいる。 水瓶の破片が、今にも塀の上からずれ落ちそうになって、その塀の内側の木犀がどっさり花をつけていた。 その家から少し離れたところの古めかしい商家には、通りの方に向けて棚が立ててあった。 これは備前焼を並べる商品棚で、上の段になるほどよく焼けた商品を並べる風習である。 だから色の黒い人のことを 「伊部の上の棚」 と云うのだそうだ。 |
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灰かぶり |