穴窯を焚く 9に続く
平成24年6月24日
オブジェ作家の作品、わからないですよね。
感性のひらめきもなく、こけおどしの抽象的作品や、ビー玉を英字新聞に並べたり砂を盛って、芸術を理解しろなんていう、
アーティストもどきが氾濫しているのを見ると、美の女神もあきれて地球から出て行ってしまうだろう。
オブジェ作家や現代工芸の作品は
「わからないよ」というのが正直な感想ですね。

平成24年6月17日 作品
作品を整理しました。いっぱいになっている作品棚に無理やり置くつもりです。

平成24年6月6日 窯出し2
窯出しは「ギャー、まただめだ」の連続。
なんたって本焼きまでの間に頭の中は最高の作品に育ってしまい、イメージが大きく膨らんでるんだから、現実とのギャップは埋めようがない。窯出しのたびに次の窯頑張ろうと遠く果てしない夢を追っていますが、
上手とか下手といったトラウマから離れて、「味わい」を追求しながらやきもの作りを楽しみたいですね。

窯の内部を掃除して、コンパネで蓋をする。
作品に灰でくっついた道具土を取り、金剛砂でバリ取り。
中の上 中の段 中の段 奥の段
サヤに入れた志野 志野 前上9番融ける・奥は完倒
窯を閉める 徳利 作品 空の薪置き場

平成24年6月5日 窯出し
今回も二晩完全に徹夜してしまった
昼も夜も、人が多く訪れて寝ている時間がない。
もっとも、アドレナリンが出ているので、眠れないが。

響工房の小池さんと大物作品を入れている長岡さんが窯出しの手伝いに来てくれた。
テラスにブルーシート、鉄べら、タガネ、木槌など窯出しの準備する。
今回は煙道を開けたので、還元が掛って灰は白い。

ゼーゲルは前上 9番融ける。 前下 9・8融ける。奥上 9完倒  奥下 7・8番完倒。
レンガを外す ロストル付近の作品 ロストル付近 前の段作品
大壺 前の段の作品 重ね焼き 前の段
大皿 前の段 前の段一番下 中の段

平成24年5月27日 窯焚き 五日目
5月27日 日曜日    AM8:00〜PM1:00 1250℃-1250℃
              煙突のドラフトを1枚あける。
              
応援  
伊藤敏子、伊藤傳。
  
応援の伊藤さん夫妻と四人で窯を焚く。

  コオロギも
   寝てしまったかよ
    明けの窯     
平川鐵雄

    窯焚きに参加された方は、「陶芸がやきものと言われる意味が実感できました」。と言います。
    赤松を1バレット焚きお昼に窯を閉める。焚口・ロストルを閉じて耐火モルタルを塗る。
     煙突を閉め、火がつかないよう周囲に水を撒いて終了。65時間ぶりに13時間寝る。
    夕方から大雨、今回の窯焚きは3日目が小雨だけの天候には恵まれた。
     窯出しは一週間後の6月5日を予定。
夜明け 窯の中 煙突 伊藤さん夫妻
温度下がる 朝の窯場 翌朝 空の薪置場

平成24年5月26日 窯焚き 四日目
5月26日 土曜日   AM8:00〜PM5:00  1000℃-1250℃  気温7℃  ロストルをレンガ3個開ける。
             煙道のドラフトを2枚あける。
夜に備えて薪を窯の周りに大量に用意する。
             応援者が太すぎる薪を割り、チェーンソーの刃を研ぎ、薪割をする。

             
応援 角坂好昭
                 
永田陽一平林靖久・藤村修二・中谷治一浜典子・小松真弓・阿部信一郎・長岡美由紀

              PM5:00〜5月30日 AM8:00 1250℃-1250℃  
 応援 岩田信一・小池邦明
               煙突から炎。PM8:00 色見にいれたゼーゲルを見ると、7・8番(1250℃)が倒れているので、熱量は十分。
              赤松を3バレット焚き、徹夜、一睡もせず。
朝煙突から煙 角坂さん
男性4人 中谷さん 藤村さん 平林さん
チェーンソーの刃砥ぎ 薪割り 窯焚き
深夜の窯 岩田さん 深夜の窯場 深夜の窯

平成24年5月25日 窯焚き 三日目
5月25日 金曜日   朝は晴れていたが昼から小雨で夕方止む、寒い。 気温は朝13℃ 
             
焙り焚き
AM6:00〜AM9:00 250℃-350℃  ロストルで焚く。
             
今回はゆっくりと温度を上げていき、前後の温度差をなくす予定。
             
朝の火前は250℃、窯焚きは順調。
             応援 角坂好昭
                 
島田博子・武井梢・中沢智寿・宮坂美奈恵宮坂邦子原美雪・高木智子
             中焚き  AM9:00〜PM4:00 350℃-600℃  焚口開け、ロストルをレンガ4個開ける。
            
小雨の中、赤松の割木を手渡しで棚に詰め、窯の周りに薪を積む。煙道2枚あける。
             攻め焚きPM5:00〜5月29日 AM8:00 600℃-1200℃     応援 森元康仁

              夜10時、鹿が窯の周りでヒューヒューと鳴く。
             夜はブルーシートで囲い寒さを防ぐ。薪ストーブを焚く。
             赤松を3バレット焚き、徹夜、一睡もせず。
  冷気激しい夜中の窯焚きは老いの身体に鞭を打つ
応援の女性 手渡し 薪運び
薪入れ パソコン 角坂さん 夜の窯場
森元さん 窯の中 夜の薪置き場 窯焚き

平成24年5月24 窯焚き二日目
5月24日 木曜日  焙り焚き AM6:00〜PM4:00   火前500℃  
            
晴れて9℃  昼間は暑い
            
朝5時起き、2日目も快晴。
朝の火前は135℃
          焚口を閉めロストル内で長い枝2バレット焚く。煙道のドラフト2枚あける。
            
大量に用意した柴と枝で二日間焚き、昇温は快調。
            三日間の応援者用の食料を買い、温泉へ行き、九時就寝。
朝日 朝の焚き始め 煙突を棚板で少し閉める 枝を焚く
もう少し パソコン 夕方 2日目終了

平成24年5月23 窯焚き一日目
窯焚きに必要なものは、気力体力
注連縄が張られ、神酒が供えられ、
「かしこみ、かしこみ」?と神に祈り、窯に火を入れます。
夜は寒い。その寒さに耐えながら、三日間徹夜します。

5月23日 水曜日  神事 (御神酒・塩・洗米)  火入れ  
              捨て焙り・湿気抜き  AM6:00〜PM4:00   火前300℃

            朝カッコーが鳴き7℃と寒い。昼間は晴れで暑く風強し。
            
神酒を供える。神事を始めると白い犬が現れた。神事を見ていたが神事が終わると消えていた。
            
焚口を閉めロストルの前で柴を2バレット焚く。煙道のドラフトを1枚あける。
            短期間火吹きを開ける。夕方窯を閉め、
温泉へ行き、九時就寝。
朝5時 御神酒・塩・洗米 神事 白い犬
火を付ける 焚く 昼食
焚く 温度管理 閉める

平成24年5月22日 ストーブ
五月の山は寒い、特に夜は。
そこで、薪ストーブを用意しました。
九輪草、細葉石楠花が咲きました。

平成24年5月20日 今回の窯焚き方針
緋色窯の穴窯焚きも8回目である。
何事にも経験は大切で、いまはもうかなり自信がつきました。
窯焚きには楽しみが必要です。
春の窯は山菜や山野草の花、新緑、鳥の声、美味しい食事。
秋の窯はキノコと紅葉。もちろん素晴らしい空気。そして仲間との会話。
窯焚きは多くの人のお話を伺うことで、知的好奇心を満たされます。

今回の窯焚きに関しては、
1.窯内の温度を上げるには十分に乾いた薪がいるが、赤松は一年、楢は二年の乾燥済み。
2.穴窯は前と奥では温度差が大きいのでじっくりと温度を上げる。
3.温度の上がりやすい窯だから、火前を最高1250度として長時間焚く。
4.熾きができない窯だが堅木を使用して少量貯める。
5.焚口から黒炎が出なくても還元にはなっているので攻め焚きをせず、淡々と薪をくべる。
6.灰をかき混ぜて奥まで人工的に灰を飛ばさなくても必要量は飛んでいる。
7.やきものの色は冷めるときに決まるので、窯焚き終了後、煙突ではなく捨て間の出口で閉める。

やきものは
「よく焼けてますね、と言うより、上手く冷めていますね」というのが最良の褒め言葉といったのは故八木一夫。

平成24年5月10日 窯詰め5
灰被りの窯詰めが完了しました。
煉瓦で入り口を塞ぎながら、上下二か所の焚口を作り、モルタルで隙間を埋める。

平成24年5月7〜9日 窯詰め4
前の段の窯詰めが完了しました。
18×15 10×10 12×10 0×12
前の段一段目 前の段ゼーゲルを設置 前の段二段目 前の段二段目
前の段三段目 前の段三段目 前の段四段 前の段完成

平成24年5月5〜6日 窯詰め3
中の段の窯詰め完成です。棚板9枚
15×12 10×10 10×10 0×18
連休5日は雹が降り、最終日は雷雨となりました。
中の段三段 中の段三段 中の段三段 中の段四段
中の段四段 中の段五段 中の段完成 前の段への残り作品

平成24年5月4日 窯詰め2
奥の段の窯詰め完了です。
奥の段二段 奥の段上 奥の段完成 中の段平衡
道具土 中の段一段 中の段二段 中の段二段

平成24年5月3日 窯詰め1
今日から窯詰めが始まります。
奥の段の窯詰め開始しました。棚板8枚。
15×12 10×10 10×10
ゼーゲルは奥の段の下(78番)と、上の真ん中(9番)、前の段下(8番)、上の真ん中(9番)の合計4ヶ所。
温度管理はパソコン ゼーゲル 窯詰開始 志野茶碗
サヤ 奥の段一段 奥の段二段 奥の段二段

平成24年5月2日 窯焚き準備2
窯詰に使う材料をそろえました。
わら、貝。もみ殻、炭、灰、道具土、サヤです。

平成24年5月1日 志野
奥の段下に入れる志野茶碗に鬼板で絵付けをして、釉掛け後サヤに入れました。
志野は16世紀に美濃で生まれた日本人が生んだやきものです。それだけに私たちの感情を揺さぶる奥深さがあります。
高麗青磁のような外から来た冷たい焼き物と比べて、志野はその素朴な自然の味わいが感じられますね。
粘土はもちろんもぐさ土です。
志野釉の原料はほぼ長石のみです。風化の進んだ質の良い長石、この長石の質が勝負です。
志野はゆっくりと長時間焼成することによって、柔らかな発色としっとりとした質感が出てくる釉薬です。
釉掛けは濃い釉薬と薄いものを用意して、全体に薄いものを掛け緋色の発色を狙い、濃い部分は柔らかい白色の発色を狙います。
焼成はもちろん長時間、料理でいえばとろ火でコトコト長時間です。焼成後の冷却もゆっくりと温度を下げなくてはいけません。
志野は長時間焼成もあって、
陶芸家にとって最も手ごわい、坂の上の雲といえる釉薬ですね。

平成24年4月29日 窯焚き準備
棚板にアルミナを塗りました。
三月の暴風雨で落ちた唐松の枝をまとめました。これで乾燥焚きをします。
作品はほぼ完成です。
さま穴に備前の徳利をおいてみます。
棚板 奥の段 徳利

平成24年4月22日 穴窯を開ける
4月18日半年ぶりに穴窯を開け中を掃除しました。

平成24年4月15日   渡辺譲
ヒビ入りの原因はたくさんあります。一例をあげると、まず水の使い過ぎ、土の締め不足、練りの不均等さと乾燥の早さ、厚みの不均等、板ものをめくったり、よじったりの触りすぎ等数限りなくあります。
もし傷が出てしまったら、やきものに傷はつきものと前向きに考えることです。
炎の中では歪んだり、切れたり、割れたり、隣の器にくっついたりと予想のつかないことが起こるもの。
それを
「けが」と言いますが、けががなければ平凡な器が、けかがあるために返って力強い完成された器になることがあります。
これを
けがの功名と言いますよね。
信楽の山土で器を作ると石ハゼは沢山出るし、水が漏れたり、切れたりします。それを承知で山土を使う。仕方ないんだなあ・・・・・。
やきものは、
欠点を長所とみる不思議さがあるんで、窯の中でできた傷は山キズといって通常の破損とは区別しています。
割れたのは器が力余って笑ったといって、違った意味で器の美の中に笑ったものを入れます。
おおらかさが、やきもの作りには必要なんでしょうな。
あぶり焚き用に材木をトラック一杯分いただきました。
八ヶ岳は雪解けです。穴窯は冬囲いがなくなりました。

平成24年4月8日 黄の瀬原土
今は少なくなった黄の瀬原土が320Kg売りに出たました。廃業した作家さんのですが、すべて買いました。
私の使っているメインの土ですので、床下で大切に保管し、少しずつ使っていきます。
蹴ろくろを買いました。狭い工房のどこに置くのか検討中です。

平成24年4月1日 二度焼き  渡辺譲
若山牧水二度焼きのぐい呑みってぇのが沼津市の牧水記念館にありましてね、牧水の酒器は酒屋の景品の徳利と盃。
日々の酒量は朝2合、昼2合、夜2号で締めて一升。計算が合わないのは、その予定が知らず知らずに盃をかさねてしまったからだという。瀕死の床でも酒は欠かさず長年の大酒で体内に浸潤したアルコールのために、真夏の酷暑の中2日間を経ても遺体は少しも腐乱することはなかったという。
2つの酒器は牧水の亡骸と共に荼毘に付されたが、焼き崩れるどころか従来に増して、藍色を深くして灰の中から蘇ったという。
これが牧水の二度窯の酒盃。
さてこの口の広い盃のほうが広がって抜けるので、酔いにくいような気がするが、口の狭い猪口型のぐい呑みは酒の味をより深いものにするような気がする。
「ぐい呑みは一合入って呑みにくいのを良しとする」と言ったのは名匠加藤唐九郎。
あなたも自分の味覚に合ったぐい呑みを作ろうと思うなら、深い浅い広い狭いと、
とりどりのぐい呑みを集めて、同じ酒を飲み比べたら・・・・・
ウウィ もう飲めません。
形なんてどうでもいいや。
100Kgほど作品が出来ました。

平成24年3月25日 作品を作る
作品が少しできましたが、粘土が少し不足と思われるので追加しました。
もぐさ土30Kg・赤土15Kg・信楽の緋色土10kg・伊賀の緋色土10kg・黄の瀬:原土60Kg

平成24年3月18日 紙やすり  渡辺譲
未熟で削りの不手際を隠すために、やたらと角を取りたがる大工を「面取大工」と呼ぶそうな。
陶芸でも、荒削りな作を、どこで手を抜くかがむずかしいこと。
いつまでもいじりまわすと、力のない弱々しい作品となり、触れば触るほど結果が悪い。
力が張るポイントのところで、手を放すのがプロの業。
いつまでも未練がましくいじり壊すのがアマチュアの業。
ねえ、そんなにいつまでも、紙ヤスリをかけちゃダメだってぇのに、アナタ。

平成24年3月11日 徳利  渡辺譲
酒豪藤原啓の徳利。啓は昭和十四年40歳過ぎてからのやきもの作り。
ユーモア溢れるゆったりとした備前を作り続け昭和45年には人間国宝の指定を受ける。

「はったりと誤魔化しのない素直なものの中にこそ美はひそむもの」と啓は書く。
見たときにショックを受けて素晴らしいと思う作品も、そのうちに飽きてしまう。
かたやショックを受けなくても、座右において常に親しみを感じるものの方が最高で、お茶漬けの味という静かな中に詩情がある。
啓の作った器が人の心をひきつけるのは
作品の奥深くにひそむ知性のなせる業。啓はロマンチストであり詩人でもあった。
もっとも陶芸家ってえのは すべてロマンチストで詩人なんだよね。

良いものをたくさん見て育った時代と違い、今や100円ショップやニトリの時代。
受け手の感性が悪けりゃ詩情もユーモアもあったもんじゃない。
啓は良き時代を生きた作家とも言えるねえ。

平成24年3月4日 始動
3月1日は春本番の暖かさで、冬眠から目覚め陶芸活動始動です。
まず、去年から積んであった粘土を土錬機で練ります。
信楽の緋色土10kgと伊賀の緋色土10kg・備前の田土70kgを練る。
後は、黒土40kg、赤土20kg、黄の瀬60kg、信楽の緋色土40kg。
昨年の窯に入らなかった作品は、大壺・大皿・コーヒーカップなど100kgほどある。
今回は軽い窯にする予定なので、これだけ作れは十分かと考えている。

今回の窯焚きから、パソコンで温度管理することにして、一番窯の岩田さんにソフトを作っていただいた。

平成24年1月1日 正月
正月の鏡餅を穴窯の神棚に置きました。
ブルーシートで囲っていますので誰も見られませんが。
窯場の屋根に氷柱が出来ていますが、雪は一度降っただけ、穴窯の煙突に雪はありません。
今日から五月の窯焚きに向けてスタートです。

平成23年12月31日 売れるものを作りなさい   俵萠子
「私は、来年の暮れ、陶歴五十年を記念して、個展を東京の三越でやります。その個展を二人展に変えます。一緒にやりましょう」
信じられない話だった。
だって、私はまだ焼きものをはじめて、たった四年。そんな私に、個展など出来るわけがない。
「先生。それは無理です。私には、まだそれだけの力がありません。有難いお話ですが、辞退させていただきます」
しかし、先生は、断固としてあとへ退かなかった。
「俵さん、その考えは間違っています。焼きものは、売れてこそ上達するものです。
趣味の自己満足を何千個作っても、上達は知れている。
売れるものを、作ってごらんなさい。個展は、そのためのチャンスと考えればいい」

がーんとした私の耳に、
〈焼きものは、売れてこそ上達するものです〉
という言葉だけが突き刺さっていた。