「セシルさんっ!」
「にーちゃんっ!」倒れたセシルに、双子が駆け寄る。
ポロムはセシルの傍らに屈み込んで、その状態を確認する。
・・・息はしっかりとしている。
ただ疲労で倒れただけのようだった。
死にかけたところを―――いや、実際に死んでしまったところを、すんでの所で復活し、その後に慣れない白魔法を使い、最強の暗黒剣たるデスブリンガーを最大威力で二度も解き放ったのだ。倒れても不思議はない。「おーい、大丈夫か? トモダチ」
玉座の裏側で倒れたままのバッツに、ロックが呼びかける。
だが返事はない。
バッツもまた、セシル同様に極度の疲労で気を失っていた。バッツの場合は、レオの時からの疲労とダメージの蓄積で倒れてしまったが、致命傷は一度も受けていない。セシル以上に疲労しているが、セシルよりも脈拍はしっかりしている。双子や、ロックが駆け寄った気を失った2人の様子を遠くから眺め、フライヤが嘆息する。
「やれやれ、自分のことも考えずに無茶をする奴らじゃの」
「流石は友人同士、か」
「うん?」
「セシルがな。ファブールの港でバッツと別れた後にそう言った」それほど昔の話ではないはずなのに、ヤンは懐かしむようにしみじみと呟く。
あの時セシルは友人であるからバッツを死なせたくないと言った。
そして、しかし必ず戻って来るとも断言していた。バッツもまた、セシルの信じるとおりに再びこの地に戻ってきた。
ファブールでレオに敗北し、くじけてしまった時の様子は全て振り切って。海上でバッツと再開した時、「セシルが死んだ」というヤンに対して、バッツはそれを信じなかった。
ヤンの言葉を信じなかったわけではない。セシルの死を信じなかった。
セシル=ハービィを殺したいのなら、その死体を持ってこいと―――でないと、ひょっこり生き返るに違いない。そう冗談めかして言って、それは真実となった。(互いで互いを信じ合う。こういうのを “親友” というのだろうか)
少しだけ、羨ましいとヤンは思う。
彼にも多くの誇れる友人はいる。
彼を慕ってくれる弟子達もいる。
だが、セシルとバッツの様な親友はいない。「おい、そこのハゲ。ぼーっとしとらんで、手伝わんかい」
ヤンが物思いに耽っていると、悪意の混じった少女の声が聞こえてきた。
見ると、セシルの身体を起こそうと悪戦苦闘する双子の傍らに、いつの間にかエニシェルが立っている。「何度言わせる気だ暗黒剣風情がッ! 私はハゲではないッ」
憤りながらも、ヤンはエニシェルたちの方へと歩み寄ると、セシルの身体をひょいっと持ち上げて肩に担ぐ。
「くっくっく。口を慎めハゲ! 今の妾は暗黒剣でもあり、聖剣でもあるのだぞ!」
「さて、どうするべきかな。とりあえずコイツを何処かで休ませたいと思うのだが」
「って、聞かんかいッ! ハゲーッ!」エニシェルが騒ぐが無視。
こういう手合いは無視しておくに限る―――と、少し大人な判断をして、周囲をぐるりと見回す。と、立ち上がったベイガンと目があった。何故かオーディンに斬られたはずの両腕がある。「む・・・その腕は―――」
「魔物の身体とは便利なものでしてね。―――この程度なら簡単に再生できるのですよ」自嘲気味にベイガンが応える。
その声音には、先程までの狂ったような邪悪な感じはない。「そうか。ところで、どこか休める場所はないか? セシルと、それから―――」
言いかけて、ヤンは玉座の方を振り返る。
すると、ヤンと同じように、バッツを肩に担いだロックがゆっくりとこちらに歩いてくるところだった。「あの男―――バッツをゆっくり寝かせてやりたい」
「それは良いのですが―――」ベイガンは訝しげにヤンを見る。
「どうして、私は生きているのですか・・・? いえ、どうして生かされたのです?」
心底不思議そうにベイガンが聞いてくる。
それに応えたのは白魔道士の少女だ。「貴方を救いたいと思った人に助けてくれと頼まれたからですわ」
「・・・オーディン、様」くっ、と呻いてベイガンは顔を俯かせる。
そして、すぐに顔を上げて嘆くように叫んだ。「だが! 私はもう魔物となってしまった。何故それを助けようとする! ヤン殿! あなたは言ったでしょう。ダークフォースに捕らわれた者を滅ぼすのが使命だと!」
そう叫ぶベイガンの顔は、泣いているようだとポロムは思った。
そんなベイガンの嘆きに対して、しかしヤンは首を横に振る。「確かにダークフォースに心奪われた者を調伏するのが我が使命とは言った。・・・しかし、魔物と化してしまったからと言って滅ぼすつもりはない。例え身体が魔物であったとしても、その心が人の物であるのなら、無為に戦う必要もない」
そう言った自分自身にヤンは驚いた。
偽りを口に出したつもりはない。
だが、果たして以前の自分ならこんな言葉を言えただろうか?(いいや。それどころか、言われたとおりに―――言われるより先に滅ぼそうとしたに違いない)
魔物を打破し、人々の生活を守るのもモンク僧の使命の一つだ。
如何に人の心を持っているように見えたとしても魔物は魔物。いつ、人間に対して牙を剥くか解らない。だが、しかし。
ヤンは知っている。魔物と共に在る少女の事を。そして、少女と魔物が手を取りあって歩くことを自然に受け入れている者たちのことを。
今にして思えば不思議なことだった。
ホブス山で、弟子を失った時にセシル達に出会い―――その中にリディアが居た。少女は三体の魔物を友として、そして魔物達も少女の友であることに違和感なく、セシル達もそれを当たり前のように受け入れていた。だからだろうか。
ヤンも、殆ど気にすることなくそれを受け入れてしまった。その事を思い返して、ベイガンは今口に出した自分の言葉を、驚くべき事などではなく、至極当然のことだと思い直す。
だが、言われた方は納得出来ないようだった。「しかし! 私は敵だったのですよッ! それを助けるなど―――」
「ほう? 今も敵だというのか?」ベイガンの言葉を遮ったのはフライヤだった。
試すような目でベイガンを見る。彼女に見つめられたベイガンは、居心地悪いように視線を反らし。「今は・・・」
「敵ではあるまい。お主は騙され、操られていたのだろう? それはこの場に居る誰もが解っておる事じゃ。ならば、ヤンの言うとおりに今更争う必要もない」
「しかし私は魔物で!」
「ふん。私のようなネズミ族から見れば、人間も魔物も等しく異形の存在じゃよ」そう言い捨ててベイガンの反論を切って捨てる。
「それよりも、早いところ案内してくれんか? いつまでもこんなところで突っ立っているわけにはいくまい」
そう言って、フライヤはヤンとロックが背負っている、まだ気を失ったままのセシル達を見やる。
心配そうに双子が見ているが、見ているだけで、魔力も使い果たしてしまったのか、回復魔法もかけられないようだった。「・・・わかりました」
ベイガンは、やはりどこか釈然としないのか、沈痛な面持ちで頷くと謁見の間の出口に向かう。
その後ろ姿を眺めて、ロックは「セシルといい、バロンの騎士ってのは変なところで真面目だねェ」と苦笑した。
******
謁見の間を出て、ベイガンを先頭にして渡り廊下を歩く。
その後ろをセシルを担いだヤンと、バッツを担いだロックが続く。
双子はヤンに背負われたセシルを心配そうに見守り、フライヤとエニシェルは最後からついて行った。渡り廊下の中ほどまで来た時。不意に。
がこん。
と、遠くの方で何か音がした。
「なんじゃ?」
フライヤが立ち止まって周囲を見回す―――その瞬間。
がしゃんっ、がしゃんっ、とけたたましい音を立てて渡り廊下に2つだけ在る扉が、上から降ってきた鉄板で遮られる。
「こ、これは・・・ッ」
焦ったようにベイガンが、鉄板で塞がれた2つの出入り口を見る。
「どうしたことだ!?」
ヤンがベイガンに聞き、それにベイガンが応えるよりも早く、ズゴゴゴゴ・・・と周囲が振動して何か重い物がゆっくり動くような音が聞こえた。
「か、壁が迫ってくる!」
そのことにいち早く気がついたのはロックだった。
ロックの言葉に他の面々も両側の壁を見る。
確かに、2つの壁がゆっくりと迫ってくるところだった。このまま壁が止まらなければ、ロックたちは2つの壁に押しつぶされてしまうだろう。「な、なんだよこれッ」
「これは、先代のバロン王が仕掛けた罠です!」ようやくベイガンが応える。
「罠、じゃと?」
「はい。先代のバロン王はエブラーナとの戦争を繰り返していましたが―――」
「細かい説明は良いッ。つまり、これはエブラーナの忍びに対して仕掛けられた罠と言うことか!?」
「そうですッ! 玉座に仕掛けられたスイッチを押した後に、この渡り廊下の扉を開けると作動する仕掛け―――ですが、オーディン王になってから玉座のスイッチは壊されたはずッ。仕掛け自体は生きていましたが、もう二度と作動することはあり得ない!」
「現に動いているだろうがッ!」ヤンが叫ぶ。
ベイガンは思案げに眉をひそめて、やがて「まさか・・・」と呟く。「心当たりがあるのか?」
「は、はい。この仕掛け、城の周囲の堀から続く水路に仕掛けられた水車によって作動するのです。玉座のスイッチを入れた後、渡り廊下の扉を開くと、水路の入り口が開き、そこへ堀の水が流れ込んで仕掛けが作動する仕組みで」
「随分、遠回しじゃのう」
「あ、そういうことかよッ」フライヤが呆れたように感想を言った後、ロックが納得したように声を上げる。
「つまり、その水路の入り口さえ知っていれば、入り口を破壊して水を流してしまえば仕掛けは作動する」
「そうか、成程! というか、壊すならその水路も壊しておけーッ!」ヤンが怒鳴るが、今更言ってもどうにもならない。
そうこうしてるうちに、壁はじわりじわりと迫ってくる。「とにかく、出口まで走れ!」
「出口って! 鉄板で塞がれてるだぞ! どうするんだよ!」
「ブチ壊せばいいだろう!」そんなヤンとロックのやりとりで、とりあえず全員動き出す。
渡り廊下といっても、それほど長いものではない。
すぐに出口の扉があった場所にたどり着く。「はあああっ!」
辿り着いたと同時、セシルを担いだまま、ヤンが鉄板を蹴り飛ばす。
ごん、という情けない音が返ってくるだけで、鉄板はへこみもしない。「げ」
もの凄く癒そうな声をロックが漏らす。
怪訝そうにフライヤがロックに目を向けた。「どうした?」
「これ、アダマンタイトだ」
「アダマン・・・―――って、世界で一番硬いとされる金属か!?」
「硬くて重い、な。・・・つーか、ここまでやるかよッ!」ロックが悲鳴を上げる。
「アダマンタイトが相手では、私の槍も通じそうに無いな」
フライヤが自分の槍を見る。
ヤンも、自慢の蹴りが通じないと悟ったのか、その場に立ちつくす。「みんな! 下がってろ!」
そう叫んだのは少年の声。
見れば、双子が手を繋いで立っていた。「オイラたちの合体魔法なら!」
「ええ! ―――エニシェルさん!」
「駄目じゃ」勢い込んだ双子に、しかしエニシェルは首を横に振る。
「ど、どうしてですかッ!」
「もう、大分狭まってきておる。こんな密閉空間で、お前達の強力な攻撃魔法を放てば、その反動で妾達もたたではすまんよ」
「そんな・・・それじゃ、どうしようも・・・」
「っていうかさ、パロム。お前が使ってたワープする魔法は? あれで、脱出出来ないのかよ?」ロックが尋ねると、パロムは悔しそうに首を振った。
「無理。あれ、結構デリケートな魔法なんだぜ。普段のオイラならともかく、エニシェルねーちゃんの力を借りて使っちまったら、全員次元の狭間にぶっ飛んじまう」
「私の転移魔法も同様です。注ぎ込む魔力が強ければいいという魔法ではないんです」
「くそっ!」ヤンはセシルを床に降ろすと、迫ってくる壁の一つに手を添えて押し返そうとする。
だが、屈強に鍛えられたモンク僧の肉体でも、壁を押し返すことはできそうになかった。逆にどんどんと押されていく。「くそっ・・・こんなところで、コイツを死なせるわけには―――」
悔しそうなヤンの声に、フライヤとロック、それからベイガンも無駄だと知りつつも、迫る壁を押し返そうと手を添える。
そんな様子を眺めながら、エニシェルが双子に尋ねる。「どうする? イチかバチか・・・見も知らぬ場所に吹っ飛ぶことを覚悟して、転移魔法を使ってみるか?」
「いいえ。セシルさんは確実に助けなければなりません。何処かへ飛ばしてしまうのも駄目です。ファブールのモンク僧も、ミシディアの魔道士達も、バロンと戦うために立ち上がったのはセシルさんが居たからこそです。だから、ここでセシルさんを・・・セシルさんだけでも確実に守らなければなりません。だから」だから、と言ってポロムはパロムを見る。
目を合わせて、パロムは “にっ” といつもの子供らしい笑顔を見せた。
その笑顔を見て、ポロムも微笑む。それから、再びエニシェルに向き直った。「エニシェルさん。三度、力を貸してください」
******
「これでいいの?」
バロン城を取り囲む水路の一角。
宙に浮いたバルバリシアは、手に抱え持ったローザのニセモノの首に問いかける。「ああ」
ローザのニセモノの首は邪悪な笑みを浮かべ、眼下の堀を見る。
堀の一部が、破壊され穴が開けられていた。そこへ堀の水が勢いよく流れ込んでいる。「汚い水ねえ。入れ替えたりしないのかしら」
嫌そうな顔をして、バルバリシアは自分の髪の毛の先端を振る。
それで堀を破壊したらしく、髪の毛の先端が水で濡れ、振るたびに水滴が宙に飛んだ。「クカカカカ! これで奴らもオシマイだ! クカカカカ! この私をこんなにした罰はあたえんとなぁ〜・・・」
「カイナッツォ」愉快そうに笑う首とは対照的に、不機嫌そうな声音でバルバリシアが名を呼ぶ。
「その顔、止めてくれる? その顔で貴方が笑うととても不愉快なのよ」
「はあ? 何故だ? 別に私がどんな顔をしていようと貴様には―――」
「不愉快、と言ったのよ。私は」冷たい声でバルバリシアが告げる。
そして、バルバリシアの髪の毛の先端が、自分に向けられているのにローザの首―――カイナッツォは気がついた。「わ、解った・・・」
かすれた声で呟くと、カイナッツォの顔が変わる。
血の気無く青ざめた、醜悪な男の顔へと。
それを見てバルバリシアは満足そうに頷く。「良い子ね。さ、戻りましょうか。早く戻らないと退屈してるだろうし」
「なんの話だ?」
「あなたには関係のない話よ」そう言って、バルバリシアの姿は虚空に消えた。
******
「『レビテト』!」
白い聖剣を抱え持ったポロムの魔法で、双子以外のその場の全員が宙に浮いた。
「な、何だ・・・!?」
壁を押していたヤン達は、突然の浮遊感に困惑して双子達を見る。
「パロム、ポロム! これはなんの真似だ!?」
「見ていれば解りますわ」
「後はオイラたちに任せてくれよ」そう言う双子達は一対の剣を手にしていた。
ポロムは白い聖剣ライトブリンガーを。
パロムは黒い暗黒剣デスブリンガーを。
エニシェルの姿は何処にもない。「何をする気じゃ! 2人とも!」
双子の笑顔と、持っている剣に不穏な物を感じたのか、フライヤが焦ったように叫ぶ。
「・・・皆さん、セシルさんのことお願いします。ものすごーく危なっかしい人だから、助けてあげてくださいね」
「あとミシディアのじいちゃんにもよろしくなー。・・・今までありがとって言っといてよ」照れくさそうに双子は笑い、それから剣を抱えたまま、狭まってくる2つの壁に互いに背を向け合うようにして両手を添える。
剣は壁に立てかける―――と、2つの剣は双子と壁の間で垂直に浮き上がる。「行くわよ、パロム」
「行くぜっ、ポロム」双子は互いに呼び掛け合い、そして魔法を詠唱する。
「 “いにしえに在りし破壊の竜―――” 」
「 “―――いにしえに在りし嘆きの神” 」
「 “破壊の痕は時の流れに忘れ去り―――”」
「 “―――神の嘆きも歴史の中に消え失せる” 」
「 “過去を忘れ今を失い―――” 」
「 “―――今を忘れ過去を失う” 」
「 ”全てを秘めるは静寂の石―――!”」
「 “―――ただ残されるのは静謐なる石!” 」
そして―――魔法は完成する!
「「『ブレイク』!」」
******
「・・・何が、起きておる・・・?」
ファリスとマッシュを癒やしていたテラは、膨大な魔力を感じて謁見の間へと続く扉を凝視する。
同じように、バッツに切り落とされた腕を回復魔法で繋げようとしていたレオも、扉の方を見る。最早、驚くことは無くなっていた。
最初に感じた双子の合体魔法の魔力と合わせて四度目だ。慣れもする。
だが、不安は倍々増しになっていく。
とくに、二度目に感じた魔力は双子の力に似ていながら、しかし何処か異質な力を感じさせた。さらに加えるなら、双子の魔力でそう何度も大魔法を連発出来るはずもない。
その上、つい先程扉の向こうで、なにやら妙な音が聞こえた。
気にはなったが、向こうにはセシルとバッツが居るはずだと自分を押さえつけて、治癒に専念する。(くっ・・・この老いぼれの命ならどうでもよい。だが、まだ先のある若者達の命を・・・神よ、居るならどうかお救いください・・・!)
今まで信じたことも祈ったこともない神の名を、心の中で呟いてテラは仲間達の無事を祈った―――
******
魔法が完成した瞬間、一瞬で双子の姿は石へと変化した。
「石化の魔法・・・!?」
浮遊魔法で空中に浮かんだまま、フライヤが呟く。
「まさか、己を石化させ、それで壁を抑えようと・・・?」
「馬鹿な! 子供が石になったくらいで抑えられるなら、私の力でも・・・!」
「黙れハゲ。そんな脳味噌が筋肉じみた方法ではない」ヤンの言葉に対して、いつもの皮肉げなエニシェルの声が飛ぶ。
いつの間にか、双子の前に剣はなく、代わりにヤンたちの隣りにエニシェルが浮かんでいた。
だが、その声にはいつもの生き生きとした嫌味がない。「どういうことだ?」
ヤンもそれを感じ取ったのか、真剣に問い返す。
だが、エニシェルは答える気はないらしく、黙ったまま目を閉じた。「おい」
「・・・壁が、止まった」不意にロックが呟く。
その言葉に、ヤンはエニシェルに追求するのを止めて、壁を見る。
と、今にもヤン達を押しつぶそうと迫ってきていた壁が、ぴたりと止まっていた―――
第12章「バロン城決戦」 END
次章予告ッ!
バロン城の戦いも終わって、原作だとフィールドのBGMがようやく変わったところ!
ミシディアの双子という尊い犠牲をだしたけれど、バロンの国をゴルベーザの魔の手から奪回したセシル達!ろう「まあ、そのウチ復活しますけどねー。双子」
うっわ、ネタバレ。
まー、いつものことだけど。それはさておき。
今回、全く出番のなかったカインやゴルベーザが何をしていたかっていうと、実はエブラーナを攻めてたり攻めてなかったり。セシル「どっちだよ」
カイン「いや、攻めていたんだが」そこへバルバリシアが伝えてきたバロン城陥落の報!
カインはすぐさま戻り、奪還するべきだと主張するが、ゴルベーザは国などどうでも良いという。カイン「ゴルベーザ・・・なにを考えている・・・!?」
ゴルベーザ「・・・・・・」気づかぬ内に自分は操られているのではないのか―――
いつか感じた疑念がさらに膨れあがりながらも、カインはゴルベーザに従う他に道はなかった。一方、その頃・・・
エッジ「陸がッ。陸が見えねーッ!」
ジュエル「誰よっ! こんな小舟で海渡ろうとか言い出した間抜けはーッ!」
ユフィ「ジュエル様じゃないか! ・・・わ、私は反対したよッ」
ミスト「あはははー。困りましたねー」
ジュエル&ユフィ「「のほほんと笑ってる場合かーッ!」」海の上で遭難している人達が居たり居なかったり。
ま、それはどうでもいっか。
エッジ「よくねーッ」
どうでもいいの。はい、きまり。
―――そしてバロン城では目覚めたセシルが、双子が犠牲になったことを知り、強く悔やんでいた。
セシル「くっ・・・僕のせいで、ポロムとパロムが・・・」
バッツ「そうだよ、お前のせいだ。―――でも、それはお前が思ってるような意味じゃねえッ!」セシルの嘆きをバッツが否定する。
だが、セシルも嘆きを止めない。
悔やみ続けるセシルに対して、バッツは怒りと共に剣を抜く!バッツ「悔やむなよッ、嘆くなよッ―――ただ、誇ればいいだろうがッ」
セシル「誇ることなどできるものかッ! 僕がもっと強ければポロムたちも救えたんッ」
バッツ「こンの、分からず屋ああああああああッ」剣と剣、意志と意志をぶつけ合う騎士と旅人。
だが、そんな2人の想いの相反するぶつかり合いは、互いの似通った過去に通じていた!てなわけで次章!
ファイナルファンタジー4 IF(仮)
第13章 「騎士と旅人」
を、読んでくれないとケアルダしちゃうぞっ♪
ろう「攻略本によると、回復量とアンデッドへのダメージ量はケアルラの3倍らしいです」
ヤン「うむ。ところで前回はケアルラだったが、それは第2章の時にもう出て」
ケアルダーっ!
ヤン「ぬぐおおおおおおおおおおおおおッ!??!?!?!?」
あとがきがわりの座談会ッ! 第十二話「神様仏様ギルバート様」
セシル=ハーヴィ(以下セシル):・・・なにこのタイトル。
ろう・ふぁみりあ(以下ろう):控えおろうッ!
バッツ=クラウザー(以下バッツ):おわっ!? なんだよ、いきなり。
ろう:こちらにおわす御方をどなたと心得る。ダムシアンの王子、ギルバート=クリス=フォン=ミューア様にあらせられるぞ!
ギルバート=クリス=フォン=ミューア(以下ギルバート様):え、えーと。
ろう:頭が高い! 控えおろーうっ!
セシル:・・・なにこれ。
ギルバート様:いや、僕にもさっぱり。この章じゃ出番なかったし、今回は無視されるのかなーって思ってたけど。
バッツ:・・・あ、これだ。ほれA.「登場人物一覧」で使い魔がギルバートをいつものように虐めてるじゃん。
セシル:ああ、うん。確かに・・・
バッツ:んで、『僕のファンが居たらどうするんだ!』とかギルが言うと、『お前のファンなんかいねーよっ!』と使い魔に言い換えされて泣いて逃げ去るギルバート。
セシル;いつもの光景だね。
ギルバート様:うううう・・・
バッツ:で、その後に使い魔が超弱気に『・・・もしもファンが居ましたらご一報を。謝りますので』とかフォローしてるわけだ。
セシル:フォローかなあ。・・・ああ、それで。
ろう:そう! 何故かどういうわけかあり得ない―――もとい、当然の如くギルバート様のファンがいらっしゃったわけですよ!
ギルバート様:あ、有り難う御座います。嬉しいです。
ろう:うむ! ファンの方々にちゃんと礼を言うその姿勢! 流石はギルバート様!
ギルバート:い、いや、応援してくれる人達に礼を言うのは当然の事じゃないか(照)。
ろう:くうっ! 立派ですよギルバート様ッ!
バッツ:・・・なあ。ろう・ふぁみりあの態度、いつまで持つと思う?
セシル:案外、このままずっと何じゃないか? ファンが居るって解ったら、ヘタに虐められないだろ?
バッツ:いやー、どうせすぐ元に戻るだろ。なんか無理してるっぽいし。このエピローグ終わるころには、『おい、ギル公。茶ぁ買ってこい』くらい言うんじゃねえ?
セシル:流石にそれは無いと思うけどなー・・・
バッツ:俺やセシルが決意を固めるプロローグだな。
セシル:僕は “許し” を得るための決意。バッツはレオ将軍を倒すための決意。
ろう:あとはそれぞれの仲間達との掛け合いですね―――ねえ、バッツさん?
バッツ:な、なんで俺に話を振るんだよ!?
ファリス=シュルヴィッツ(以下ファリス):お前が変なこと言ったからだろうが。誰がクサいだって! 誰が!
バッツ:げっ、ファ、ファリス! あ、あれは、そのぅ・・・・・・
ファリス:・・・なんだ、お前。顔、赤いぞ?
バッツ:だっ、誰が野郎なんか見て赤くなるかーッ! あっち行ってろ、ばーか!
ファリス:ンだとこの野郎!
セシル:・・・バッツ、いつになったら彼女が女性だって気がつくんだろう。
バッツ:FF5IFまで気がつかないかもしれません。
ぎるばーと:で、コレが問題の―――・・・あ、あれ? なんかヘンじゃない。僕の名前・・・
ろう:おい、ギル公。茶ぁ買ってこい。
ぎるばーと:いきなり横暴ーッ!? さっきまでの平身低頭ぶりはどうしたんだよッ!?
ろう:飽きた。
ぎるばーと:飽きるのはっやーッ! ていうか名前欄名前欄! なんで平仮名なのさ!?
ろう:えー、良いじゃん。ギル公だから平仮名で。
ぎるばーと:どういう理屈だよそれッ。
セシル:まあまあ。ろう君は王子の名前を平仮名にすることによって、自分とお揃いにしたかったのですよ。
ろう:ぬあっ!? なにをいきなり言い出すんですかッ! んなわきゃないでしょうッ! ていっ!
ギルバート:あ、戻った。
バッツ:しっかし、総勢で60人くらいかー。多いんだか少ないんだか。
ろう:私の話にしてみれば多すぎですよ。把握しきれてません。だからこんな表を作ったとも言えるんですが。
セシル:でも殆どがFF4のキャラクターなんだね。舞台がFF4だから当然とも言えるけど。
ギルバート:そういえば、FF8とFF10以降のキャラは居ないんだね。どうして?
ろう:むぅ。FF8はどうしようか悩み中。ゴルベーザの決戦時に、援軍としてSeedを呼ぼうかなとか考えていたり居なかったり。
セシル:FF10以降は?
ろう:FF10までは世界に組み込んで入るんですが、11以降は全く考えてません。10もFF10IFにならないと登場しないと思います。
バッツ:FF10IF・・・? 書けるのかよ?
ろう:いんや。一応、構想ではFF6IFで完結なので、そこまでは書くつもりですがそれ以降は解りません。
ギルバート:じゃあ、FF10のキャラは実質出ないってことかな?
ろう:リディアを通じて、FF10の設定はちょくちょく出そうとは思っていますけどね。
ろう:セシルさんがミシディアの人達に許される話。
ポロム:だけど、当の本人だけ未だに納得しきれていない話です。
セシル:許されることを受け入れようとはしているんだよ。でも、僕にはまだ後悔があるから・・・
ポロム:全く、なんて我儘な人でしょう。我儘ですよ、セシルさん! せっかくこっちが許そうとしているのだから、素直に許されればいいのに。
ろう:―――という感じに、ここら辺・・・というか前回の章からセシルさんが許されることについてグチグチ悩みながら書いた結末がこの話。
FF4やってて疑問に思った一つが、パラディンになっただけで許されるセシルさんだったりします。
というか、むしろパラディンになったセシルさんが疑問。
セシル:え、なにそれ。
ろう:いや、暗黒騎士のセシルさんって、バロンの命令に対してとかローザさんにたいしてとか、結構、悩みながらも話を進めて行くじゃないですか。
でもパラディンになった途端に、そういった悩みとか全くなくなって「俺は聖騎士だ。正義なんだぞー」みたいな感じになってるような気がするんですよ。
セシル:それは偏見のよーな。
ろう:まあ、そんな感想があるので、FFIFのセシルさんはパラディンになってもグチグチ悩んでます。
セシル:おい。
ろう:で、さっきの疑問。
セシルさんがパラディンになっただけでどうして掌返したように許されるのか(実は許してない人もいますが)を考えてできた設定の一つが、
「パラディンは世界に選ばれし存在」とかゆーご大層な設定です。
セシル:本当にご大層だなー。
ろう:でも、世界に選ばれた存在だから逆らうなーってのもどうなのよ?
とか思ったので、 “パラディン”
というのは許す “キッカケ”
に過ぎないという風にしました。
ポロム:本当は皆、解っていたのです。セシルさんが悪いんじゃないって事。
ただ、セシルさんを憎まなければ感情のやり場がなかったから・・・
パロム:ま。にーちゃんは、わざと憎まれようとしてたけどな。
ポロム:そうですよ! セシルさんがもうちょっと素直に謝っていれば、もっと話は簡単だったかもしれないのに・・・!
セシル:・・・・・・
ローザ=ファレル(以下ローザ):あと、もう一つ重要なようで重要じゃない設定があるわよね!
ろう:あ、今回出番のなかったローザさん。
ローザ:どうして!? どうして私の出番がないのかしらーっ!
ろう:えっと、ローザさんの出番は次の次の次になると思います。
ローザ:とおい、出番がとおい・・・
ポロム:それよりも、重要なようで重要でない設定とは?
ローザ:私の愛するセシルの身体のこと。
セシル:なんか、微妙にヘンな言い回しだなあ・・・
ローザ:じゃあ、私の愛するセシルの肉体。
セシル:もっとヘンだよッ! というか話が進まないから先進めてくれ!
ローザ:セシルがかきまぜたんじゃない。いけずー。・・・ほら、ポロムがセシルにエリクサー飲ませたじゃない。
セシル:ぐおっ!? あ、あのミシディアにも一つしかないという、貴重な・・・・・・
ポロム:ああ、セシルさんが暗黒剣の使いすぎで、身体にガタがきていたという・・・作者がすっかり忘れていた設定ですね!
ろう:ぐはっ!? か、返す言葉もないッス。マジメに完全に忘れてましたし。
ローザ:忘れるような設定は邪魔と言うことで、エリクサーで完治させちゃったのよねー。八章での私の涙を返してー。
セシル:ふ、ふふ・・・そうか。僕はろう君のド忘れのために貴重な薬を飲むハメに・・・ッ
ろう:ひ、ひぃっ!? ご、ごめんなさーいっ!(脱兎)
セシル:まてえええええええええええっ!
ロック=コール(以下ロック):セシルが女装してバロンに舞い戻る話だな。
クラウド=ストライフ(以下クラウド):興味ないな。
ロック:元凶はお前じゃん。
クラウド:フッ・・・(冷笑)
ロック:・・・ま、セシルも使い魔追っかけ回してここに居ないし。次行くか。次。
クラウド:ああ。
セリス=シェール(以下セリス):ちょっと待て。一つ聞きたいことがある。
ロック:セリス? どうしてここに・・・今回、出番なかったろ。
セリス:・・・ローザに無理矢理連れられてきた。私は別に出番なんて無くったって・・・・・・
ロック:んで、聞きたい事って? セシルのスリーサイズか?
セリス:違う。リターナーに戻るつもりだったお前が、どうしてセシルについてバロンに戻ってきたんだ?
ロック:んー・・・
セリス:バロンに戻っても、なんの意味もないだろう? むしろ危険なだけだ。
ロック:お前に会いたかった―――ってのはどうだ?
セリス:なっ―――か、からかわないで!
ロック:いや、それも理由の一つなんだけどな。でもあんときはさ、セシルの口から幼馴染の名前が出ただろ?
セリス:ローザか。
ロック:そ。俺も幼馴染には―――まあ、色々あるからさ。ちょっと手伝ってやろうかな、なんて思ったりして。
ろう:もしかしたら、今回、この話が書いてて一番面白かったかもー。
リサ=ポレンティーナ(以下リサ):まったく、いい迷惑だよ。ああいうことは店の外でやって欲しいなあ。
クラウド:・・・きっちり金を取ったくせに・・・
リサ:当たり前じゃない! 店の備品を壊したんだから、弁償するのが当然―――あ、ロック君」
ロック:ん? なんだよ?
リサ:私が貸した自転車はー? まさか、どこかに放り出したままにしてないよね。
ロック:ま、まさか。ちゃんと自転車は駅の駐輪所に鍵かけて置いたって!
セシル:駅ってどこだよ・・・
ろう:実はこの話、追いかけっこも書きたかったんですが、一番は街の様子を書きたかったり。
セシル:街の様子?
ろう:うぃ。赤い翼の出撃が続いて、住民が不安を感じ、バロン王に不信を抱くとかそんな感じで。
クラウド:どこがだ!? もの凄く元気だったぞ、住民!
ポロム:あら珍しい。クラウド様が声高く主張を。
ろう:追いかけっこが楽しすぎて、忘れてました。てへっ。
クラウド:てへ、じゃない・・・
G.「大人と子供」
H.「“死なせたくないから”」
I.「意味無き恐怖」
J.「戦場に在る意味」
K.「綺麗事」
セシル:ここからバロン城内での戦いが始まるんだね。
ろう:はい。ついでにセシルさんがまだグダグダ言ってる話でもあります。双子とか、兵士相手に。
セシル:グダグダとか言うなー! 僕は、マジメに・・・
ポロム:もう! 本当に往生際が悪いんですね、セシルさん! 何を言われても、私達はあなたについて行くと決めたんです。
パロム:だって、セシルにーちゃんってば放っておくと、あっさり死んじゃいそうだしな。ケケッ。
ローザ:ふっ・・・中々解っている子供達ね! でもっ、死にそうで実は死なないのがセシルなのよっ!
セシル:あのなあ・・・・・・
ファリス:・・・・・・どうして俺が女だって気がついたんだよ?
セシル:いや、何となく。仕草とか、雰囲気とか。
ファリス:嘘つけぇ! 仕草も雰囲気もどう見たって男だろうが!
クラウド:甘いな。仕草も雰囲気も、微妙に違和感がある―――女装でならしてきた俺たちにはよく解る。なあ、セシル。
セシル:そういう同意を求めないでくれ。
クラウド:興味ないな。
L.「蚊帳の外の人々」
M.「蚊帳の外の人々
-限界と可能性-」
P.「蚊帳の外の人々
-闘いの決着-」
Q.「蚊帳の外の人々
-終わらぬ戦い-」
R.「蚊帳の外の人々
-決着-」
ダンガン:ふっ・・・久々に良い汗を流したわい。
クラウド:くっ・・・この親父・・・
ろう:なんでか長引いた蚊帳の外編。本当は二話くらいで終わるはずだったのにー。
セシル:これがなければアルファベット一巡しなかったのにね。
ろう:ちなみにいつものことですが、微妙に結末変わってます。本当はクラウドさんとダンガンさん、相打ちで終わるはずでした。
クラウド:なにいいいいっ!
ろう:ダンガンさんの夢幻闘舞に対して、クラウドさんがソルジャー最強技の超究武神覇斬で対抗して相打ち―――なんて考えてたんですが。
ダンガン:成程。だからQ.「蚊帳の外の人々 -終わらぬ戦い-」でクラウドがしぶとく立ち上がったのか。
ろう:はい。だけど、面倒になって止めました。
クラウド:おい。
ろう:面倒って理由だけじゃなくて、このまま行くと2人とも死んじゃいそうだったんで。
ダンガン:まあ、それはあるかものう。
クラウド納得いかないな。リベンジの機会はあるのか?
ろう:多分、無いです。
クラウド:なんだとー!
ろう:だって次章あたりでダンガンさん、帰ってしまいますから。
ダンガン:なんだとー!?
N.「“俺はただの旅人だぜ?”」
O.「"最強”対"旅人”」
S,「生きる覚悟」
X.「斬鉄剣(2)」
ろう:約束通り、バッツさんのリベンジ編です。
バッツ:うっしゃー・・・って、あまりリベンジになってないような。結局勝てなかったし。
レオ=クリストフ(以下レオ):私は負けを認めたはずだが? なにより、斬鉄剣で私の腕を斬り落とし、突破したではないか。
バッツ:斬鉄剣は或る意味反則技だからなー。防ぐ手段が無い、文字通りの必殺技だし。
カイナッツォ:クカカカ、私は破ってやったがな。
バッツ:うるせーよ! ・・・それに、ファリスに助けられなきゃ、俺の方が先に倒れてた。もし親父が生きてたら、俺の負けって言うだろうさ。
オーディン:・・・ふむ。あの男ならそう言うだろうな。勝つことに拘らぬ男だったから・・・その息子であるお主も同様か。
バッツ:そかな。逆に勝ち負けに拘ったから、自分の納得いかない “勝ち” を否定するんじゃねーかな。
ろう:セシルさんの意外な過去があかされる話です。
セシル:うるさいよ!
クラウド:・・・照れるなよ、同志。
セシル:同志とか言うなーッ!
ろう:えーっと。この物語はセシルさん虐めではありません。
セシル:誰がそんな言葉を信じるんだよッ!
U.「人を超えた存在/人から逃げた者」
V.「sacrifice」
W.「双子」
バッツ:(話を読んで)・・・フライヤとヤンって、結構強かったんだなー。
フライヤ&ヤン:失礼な!
バッツ:いや、だってお前らって、やられ役か解説役のどちらかで・・・ほら、いわゆる一つのテリーマン。
ろう:一応、2人とも一般兵とは比べものにならないくらい強いですよ?
ヤン=ファン=ライデン(以下ヤン):エリートとはいえ、名前もないモブ相手なら束になったところで相手ではない。
フライヤ=クレセント(以下フライヤ):身も蓋もない言い方だが、まあそういうことじゃ。
バッツ:魔物化した兵士相手に手も足も出なかった癖に(ぼそ)。
ヤン:出したぞ。手も足も! ただ、効果的な攻撃が出来なかっただけで。
ろう:まあ、それは相性の問題ですねー。魔物化近衛兵はやたらとタフという設定。
フライヤ:ふむ。つまり、打撃ではなく、強力な魔法を使って一撃で滅ぼすのがもっとも効果的だったと。
ろう:まあ、双子の魔法が無くても、そのうちヤンさんの打撃で魔物は倒れただろうし、セシルさんもベイガンさんを倒していたでしょうが。
パロム:つーことは、オイラ達って、実は無駄―――というか余計なことしてセシルにーちゃんを瀕死にしちまったってこと?
セシル:え、えーと。でもまあ、そのお陰で僕の身体にオーディン王が降臨して、ベイガンを正気に戻せたんだし、結果オーライじゃないか?
オーディン:そう言えば、私はどうしてセシルに乗り移ったのだ?
ろう:成仏できなかったオーディン王の魂が、ポロムさんの蘇生魔法の力に引き寄せられた―――とかそこら辺は適当で。
本当は、セシルさんが臨死体験した時に王の魂と出会って、斬鉄剣を伝授される―――とか考えたんですが、止めました。
オーディン:何故?
ろう:理由は前にもやったから。ミシ少で。
・・・そのうち、或る意味11、12章の前進とも言える「ミシディアの少年魔導士」を載っけたいなーとか思っています。
パロム:早く上げろよー。超天才なオイラが大活躍な話なんだから。
ろう:何せ昔の話なんで、そのまんま載せるのは恥ずかしいんですよ!
X.「斬鉄剣(2)」
Y.「斬鉄剣(3)」
Z.「斬鉄剣(4)」
ろう:前章のF.「斬鉄剣(1)」と関連して―――のつもりだったんですが、全然意味無くなったな。これ。
セシル:前章のやつって、なんか僕がクラウドの攻撃に集中した時に、時間が止まったような感覚に陥ったやつだね。
ろう:実はあれが伏線で、そのあとのセフィロスさんと対峙したときに、斬鉄剣を習得するとゆー。
セシル:あ、 “時間が止まった感覚” が、つまり “見極め” なんだ。
ろう:そです。極限まで集中することによって、思考速度が爆発的に加速させて、
平常時に10分かけて思考する事を、一瞬で考えられるほど思考速度が速くなれば、
逆に言えば10分くらい時間が止まったように感じられるというわけで。
時間が止まる、とは言ってもその時間の中動いているのは思考だけなので、某世界のように「ロードローラだッ」とかそう言うことはできません。
ただ、自分が知覚する止まった世界の中をよく観察し、見極める事によって、
相手の攻撃に対しての効果的な防御、それから相手に対する効果的な攻撃を行うことができると。
その防御の究極が、“見切りの極み”
であり、攻撃の究極がオーディン版 “斬鉄剣”
というわけです。
セシル:そう言えば、 “斬鉄剣” って二種類あるんだね。バッツのと、オーディン王のと。
ろう:なんで二種類あるかというと、ほらFF6の召喚魔法でライディーンってあるじゃないですか。
ティナ=ブランフォード(以下ティナ):ああ、 “オーディン” のアッパーバージョン。
ろう:そうそう―――って、ティナさん、さり気なく何時の間に!?
ティナ:今日の私はギンギラギンな感じ♪ ここに出れないと、出番無いから・・・(涙)。
ろう:FF6IFまで待っててください。大活躍しますから・・・・・・多分。
ティナ:多分!? ねえ、今多分って言った! 多分って言ったでしょ!
バッツ:あーもう! 話がすすまねーッ! で、ライディーンがどうしたよ!
ろう:ライディーンが使うのが『真・斬鉄剣』じゃないですか。で、真が付くって事は、普通の斬鉄剣は実は不完全ということでしょう。
セシル:あー、なるほど。それで、不完全な斬鉄剣が2つあって、それを合わせて真・斬鉄剣になるって?
ティナ:まるでマッスルスパークみたい。
ろう:ほっといてください!(←ちょっと気にしてる)
バッツ:・・・ごめん、よくわかんねえ。
セシル:だから、バッツの使う斬鉄剣は実は不完全ってこと。現に、この話の後でカイナッツォにあっさり破られてるじゃないか。
バッツ:う。
オーディン:私の使う斬鉄剣も、実は単純な欠点が2つある。
一つは極度の精神集中が必要なために、精神の消耗が激しいこと。
もう一つは、相手の隙を見切れなければ使えないと言うことだ。
格下の相手にはまさに必殺の威力を持つが、互角以上の相手ならばそもそも使うことも難しいということだ。
バッツ:あー、その点、俺の斬鉄剣にはそういう欠点は無いよな。
セシル:・・・何言ってるんだ、致命的な欠点があるじゃないか。
バッツ:・・・へ?
セシル:究極の速度で斬るために、斬る本人にもどこが斬れるか解らない! だから、外れてしまう可能性も高いから、成功率が低い。
ろう:オーディン版斬鉄剣は、見切れば必殺必中ですからねー。
バッツ:あー。・・・あ、じゃあ真・斬鉄剣っていうのは・・・
ろう:速さと見極め、2つの性質を持つことで互いの欠点を打ち消し合う、まさに究極無比の最強剣!
隙があろうとなかろうと、一瞬の斬撃からは何物も逃れる術を持たず、その一瞬を見切ることによりその斬撃は正確無比となる!
・・・まあ、作中に出てくるかどうかは解りませんが。
ろう:あはは。AB.「決着!」は2つに分けても良かったかも。アルファベット一巡したから焦っちゃいまして。
リディア:あれ、私が出てるー。
バッツ:出てない。あれはお前のニセモノだから。本物のリディアはもっと可愛い!
リディア:ありがと。お兄ちゃんも格好良いよっ♪
バッツ:こいつう、嬉しいこと言いやがって♪
セシル:あーあ、また始まったよ。
ろう:まあ、いいじゃないですか。どうせ今だけなんだし。
バッツ:・・・あん? 今、なんか不穏なこと言わなかったか?
ろう:いーえっ、別にー。
バッツ:・・・まあいいや。にしてもあのニセモノ、ムカつくやつだったなー。
ヤン:ああ、嫌なヤツだったな。あのニセモノは。
フライヤ:二度と会いたくない相手じゃな。あのニセモノ。
カイナッツォ:・・・いや、そんなにニセモノニセモノ連呼せずに、ちゃんと名前で呼んで欲しい・・・
バッツ:えー、だって俺、ニセモノの名前知らねーし。
ろう:そいや作中で名乗ってませんね。
カイナッツォ:使い魔ぁぁぁぁああぁぁぁっ!
ろう:オイラのせいじゃないですよぅ! 貴方が名乗らなかったんでしょうが!
ろう:で、このカイナッツォさんですが、原作とは設定を変えています。
エニシェル:何を今更。
ティナ:あ、設定違い筆頭。
セシル:筆頭はローザかミストさん辺りじゃないか?
ティナ:でもあの人達、今回出番なかったじゃない。
セシル:いや、それを言うなら君だって・・・
ティナ:・・・・・・ふぅん。セシルは私のこと嫌いなんだ。私の居場所はここにしかないのに・・・
セシル:え、あ、いやそんなつもりで言ったワケじゃないんだけど・・・
リディア:こーらー! セシル、ティナを虐めちゃだめーっ!
セシル:いや、虐めてなんて・・・
リディア:ふんだ。セシルのばーかっ。ティナ、あっち行ってリディアと遊ぼー!
ティナ:え? いや、私としてはもうちょっと悲壮感を演出して、今のうちにポイントを稼いでおこうというか・・・・・・
リディア:あ・そ・ぼ♪(←とてもかわいい笑顔で)
ティナ:・・・・・・うん、そうね。じゃあ、何して遊ぼうか。
リディア:えーとね、おままごとー。リディアがお父さんで、ティナがお母さん。バッツお兄ちゃんが赤ちゃんだよっ。
バッツ:うぇ!? ちょっと待て! 流石にこの年で赤ん坊やるのは―――
リディア:あー、駄目ですよ、お兄ちゃん。赤ん坊は「ばぶー」しか言えないんだから。
バッツ:ば、ばぶー・・・(←ちょっと泣きそうな声で)
セシル:・・・なんか、或る意味リディアが最強な気がしてきた。あれ、解ってやってるだろ、絶対。
ろう:・・・んで、カイナッツォさんの能力ですが、一つは変身能力。これは原作でもオーディン王に化けていました。
セシル:本当にイヤな能力だったね。
ヤン:・・・あっさり斬り捨てて何を言う。
セシル:ローザの姿を斬る時に、僕が何も感じなかったと思うのかい?
ヤン:すまない、失言だった。
セシル:謝られる事でもないけどね。
ろう:で、作中でリディアを見たことがないはずなのに、化けていますが、あれはオーディン王の言うように記憶を読んでいるわけじゃないです。
オーディン:違うのか?
ろう:はい。バッツが知らないだけで、カイナッツォさんはリディアの姿を “見て” いました。
ギルバート:あ、そうかカイポの村で。
ろう:そのとおり―――って、ギル公? 今まで姿が見えなかったけど、何してたんだコラ。
ギルバート:君がお茶買ってこい言ったんだろ!
セシル:本当に買ってきたんだ。
ろう:ギル公の言うとおり、カイポの村でカイナッツォさんはリディアと接触しています。
言うまでもない事かもしれませんが、カイポの村に魔物(サハギン)を送り込んだのは、バロン王に化けたカイナッツォでした。
セシル:でも、接触しただけで姿は見なかったはずだろ?
ろう:そこでカイナッツォさんのもう一つの能力 “遠見” 。離れた場所の風景を見ることができるという名前の通りの力です。
フライヤ:そう言えば、バッツの斬鉄剣を破った時に “見ていた” と言ったな。あれか。
ろう:そうです。ちなみに、通常はバロン城内の範囲くらいしか見ることが出来ませんが、ちょっとした儀式を行うことで、遠くの景色を見ることが出来ます。
カイナッツォ:ただしその場合には、湖のような広い水面がある場所というのが必要条件。それでもこのフォールス全域くらいしか効果が及ばないが。
セシル:十分だと思うけどね。でも変身能力といい、遠見の力といい・・・なんていうか、地味だね。
カイナッツォ:地味とか言うなッ。
ろう:ゴルベーザさん配下の四天王のうち、炎と風は戦闘要員で、水と土はサポート要員という風に別れています。
バルバリシア:えー? 私はどっちもやってない? 戦ったり、他の仲間を運んだり。
ろう:う、確かに。ただ、移動だけならカイナッツォさんも水を渡って移動したり、スカルミリョーネさんも白魔法テレポが使えると今設定しました!
カイナッツォ:おい、いいのかそんないい加減で。
ろう:この物語の設定に、いい加減じゃない設定はありません!
ろう・ふぁみりあを除く全員:いばるなあああああああああああっ!
ろう:・・・ちなみに、なんでカイナッツォさんの設定、というか戦闘方法を変えたかというと、
城の中で津波起こすのは幾らなんでも無茶あるだろ。
―――とゆー、理由でした。サンダーで津波が壊れるのも解るような解らないような感じですし。
エピローグ
ろう:で、この話です。
ポロム:石になってしまいました。石になってしまいましたわー。
ロック:ところで、途中で説明が途切れているような気がするんだけど。どうして双子が石になっただけで壁を食い止められたんだ?
パロム:それは秘密ー。
ろう:というか、次章で明かされますよ。
ヤン:なんで今、説明しないのだ? まさか実は何も考えていないとか・・・
ろう:まさか。・・・実は、ここで描写するとちょっと面倒なことになりそうなので。
あとで、「実はこうなった」とか書いた方が、簡単なんですよ。
ポロム:怠慢ですね! 怠慢ですよ!
ろう:ええいっ、なんとでも言ってください!
セシル:あ、開き直った。
ろう:はい。
セシル:長かった12章もようやく終わりだね。
ろう:本当に長かった・・・11章が終わったのが、去年の5月ですから、半年以上経ってますねー。
ギルバート:まあ、ろう君も色々あったみたいだし、次からは頑張れるよ。ね!
ろう:・・・ギル公・・・オイラ、お前に慰められると――――――心底、ムカつくんじゃあああああああああっ!
ギルバート:そ、そんな理不尽なッ!
ろう:えい、貴様なんぞこうしてやるー!
ギルバード:うわああああああああああっ・・・・・・あ、あれ? 何ともなってない。
ろう:くくく、気づかぬと言うことは幸せだのう。
ギルバード:なにその悪楽しそうな笑顔。
セシル:あ、王子。名前欄が・・・
ギルバード:名前? 別にどうもなってな―――あああっ! トに濁点がついてるっ!
ろう:ふっ、気づくのがおそいッ!
ギルバード:こ、これじゃあ “ギルの鳥” 、 “お金の鳥” だーっ!
ろう:くっくっく・・・過去に何度こうして間違えたことかッ!
セシル:って、これ、君の失敗談かい。
ろう:ふっ。実は、このFFIFにも同じ間違いがあるはずです。見つけても黙っていてくれたら、オイラが恥ずかしい思いをしなくて済みます!
セシル:いや、教えて貰って直しなよ!
ろう:・・・いや、昔は結構教えて貰っていたんですがね。直す暇が無くて・・・・・・
ギルバード:というか、いい加減、直してくれないかな。僕の名前。
ろう:貴様の名前は次回までそのまんまじゃーっ。
セシル:でもそれって、単なる君の恥さらしだよね。
ろう:はっ、そう言えば―――ていっ!
ギルバート:あ、直った。ありがとう、セシル。
ろう:く、くうっ。卑怯だぞ! セシルさんを味方につけるなんて!
セシル:はいはい、さっさと終わらせるよ。随分と長くなっちゃったし。
ギルバート:・・・なんか、ろう君の扱い方が上手くなったね、セシル。
セシル:そうかな? まあ、もう長い付き合いだしね。
ろう:これからも末永くよろしくお願いします。
セシル:末永くはイヤだな。早く物語を終わらせなよ。
ろう:は、はいっす。頑張るっす。―――というところで、次章のあとがきでまたお会いしませう。ではではー。