第12章「バロン城決戦」
Q.「蚊帳の外の人々 -終わらぬ戦い-」
main character:クラウド=ストライフ
location:バロン郊外
クラウドは倒れたダンカンに背を向け、城に向か―――おうとして、足を止めた。
なにか、気配を感じてクラウドは素早く振り返った。
振り返ったクラウドは見る。ダンカンの身体を、金色の光が包み込んでいるのを。
そんな莫迦な、と思いつつ、妙に納得している自分もいることにクラウドは気がついた。あの親父がこうも簡単に終わるはずはない、と。「ふはははははは! 若造にしては骨のある男よ!」
ダンカンは未だ倒れたままで、目も閉じたまま。だがしかしその口から放たれた言葉は気合い十分。
その声は力強く、ひたすら強く。空気を振るわせ、クラウドの肌を打ち、鼓膜をビリビリと振るわせた。「なっ・・・立ち上がれるのか・・・!?」
驚愕するクラウドの前で、全身血まみれ満身創痍のダンカンは、身軽に起きあがると、くわわっ! と目を見開いた!
「この程度の傷など―――フンッ!」
チャクラ
金色の光が一際輝き、その眩しさにクラウドは思わず目を腕で覆う。
やがて、腕を下げるとダンカンを覆っていた光は消えていた。代わりに、ダンカンの全身の傷は綺麗さっぱり無くなっている。全身を汚していた血すら、まるで最初から怪我などしていなかったかのように消し飛んでいた。「なっ・・・」
「ふはははははっ! どうだ、これが我が闘気の力! さあ、クラウド=ストライフ! 縁が在ろうと無かろうと最早関係ない! 次などと言うあるかないかも解らぬ機会など当てにせず、たった今すぐまた相手をして貰おう。いざあっ!」
「・・・本当にしつこい。やっぱりとどめを刺しておくべきだったか・・・?」呟きながらクラウドは背中の巨剣を抜き放つ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」互いに戦闘体制に入りながらも、動こうとしない。
(・・・俺の剣も魔法も、普通に攻めただけじゃアイツには通用しない。なにか考えないと・・・)
クラウドが思案する一方で、ダンカンも攻めあぐねていた。
(拳は届く。が、ただの拳打では致命的な一撃は与えられん。そもそもヘタに接近すれば、自爆覚悟で魔法を使われるしのう)
攻撃力はダンカンの方が上だが、肉体の耐久度ではやはりクラウドの方が強い。
先程のように自分もろとも攻撃魔法を使われて、ダメージが多いのはダンカンの方だ。ダメージは体内を流れる気の巡りを強くし、肉体の再生力を高める “チャクラ” で回復出来るものの、ダメージを負った直後にトドメを刺されたら、それで終わりだ。実はさっきはかなり危険な状態であった。(まあ、悩んでも仕方ない。攻めてみるとするか―――)
ダンカンは軽く腰を落とすと、自分の体内を流れる “気” に意識を集中し、それを両手に込めるようにイメージする。
「!」
ダンカンの僅かな動きを察知して、クラウドは身体を緊張させ―――すぐに緊張を解く。
いつ、どんな攻撃が来てもすぐに反応出来るように、身体から力を抜いて、心持ち足を広げて腰を落とす。「行くぞッ!」
宣言と一緒に、ダンカンは両の掌を揃えて、クラウドに向けて突きだした。
同時に、両手に込めていた気を放出する!
オーラキャノン
掌から破壊的な気のエネルギーが、太い光線となってクラウドに向かって突き進む!
だが、その一撃をクラウドは横に飛んでなんなく回避。それと同時、剣を振り上げて叫ぶ!「 “サンダー” !」
「ぬおっ!?」カウンターで仕掛けられた雷撃の魔法に、ダンカンは後方へと倒れ込むようにして回避する。
「ぬうう・・・」
すぐさま立ち上がる―――が完全には回避出来なかったらしく、右腕を力なくだらりと下げていた。
直撃こそ受けなかったようだが、軽くマヒしてしまったようだ。
しかし、ダンカンはマヒしてしまった右腕に意識を集中させる。右腕がぽぅ・・・と優しい光が包み込み、正常な状態へと戻す。それを見て、クラウドは半ば感心したように、
「・・・便利だな。アンタの “気” とやらは」
「そっちこそ。厄介な物を持っているもんじゃのう・・・」ダンカンは苦々しくクラウドの持つ剣。そこに嵌められている緑の宝石を見る。
「間合いを取れば一方的にやられ、近接すれば自分もろとも魔法の餌食・・・打つ手がないではないか!」
「一方的? 必殺のはずの魔法を容易く避けて、隙を見せれば懐に飛び込んでくる―――その一瞬一瞬に背筋が凍る。こんな緊張は、ソルジャーになってから初めてだ」クラウドはそう言いながら、口元を不意にゆるめた。
全力を発揮し、全力の先にある限界を打ち砕いても、尚目の前の好敵手は立っている。しかも相手はクラウドと同じソルジャーではない。ただの人間だ。ただの―――今までクラウドが出会った中での “最強” の人間だ。己の力を尽くし、それを受け止める人間が目の前にいる。
その事実が、クラウドの歓喜を誘う。ガラにもなくはしゃいでいる―――そう、自覚しながらもクラウドは自分を抑えることが出来ずにダンカンに向かって叫ぶ。
「まだだろ? まだ何か隠し持っているんだろう! ならそれを見せてみろよ!」
それは推測と言うよりは、クラウドの願望だったのかもしれない。
これまでで自分たちの手札を全て出し尽くしてしまったのなら、あとはじりじりとした消耗戦になる。分かり切った相手の攻撃を凌ぎながら、見切られてると解っている攻撃を仕掛ける。相手の力ではなく、己がミスすればそれで終わる、今までに比べて何ともくだらない戦いだ。「そういうからにはお主こそ奥の手の1つや2つもっておるんだろうな!?」
ダンカンが、こちらははっきりと見て解るくらいに愉快げに、満面の笑みを浮かべて叫び返す。
と、不意にダンカンは構えていた両手を力なく下げる。腕だけではなく、全身から力を抜いてゆらりと身体を揺らす。全身を脱力させながらも、その瞳に輝く意志の光は尚強く。クラウドが感情のままに叫んだ通り、隠し持っていた “何か” が来ると期待させる。「見せてやろう! 我が最終奥義を!」
力強く宣言しつつも、その身体には見るからに力なく、ゆらりゆらりと揺れる。まるで、今にもそのまま倒れてしまいそうなほど脱力している。
(なんだ・・・? 何をする気だ・・・?)
拳の一撃、蹴りの一撃、駆ける、飛ぶ、全ての動作が力強い “剛” の動きをしていたダンガンが、先程まではなかった動きをしている。その事にクラウドは警戒しつつも、何が来るのか予想がつかなかった。
ゆらり・・・
波間に漂うようにふらふらと揺れていたダンカンが、不意に動いた。
揺れながらもその場に立ち止まっていたダンカンが、左へとふらふらとしながら動く。「!」
クラウドはダンカンの動きを目で追う―――が、力なくゆっくりと揺れているのとは正反対に、ダンカンの動きが速い。
視線を向けても、すぐに視界の外へと逃げてしまう。ダンカンは、クラウドの周りを反時計回りに円を描いて移動していく。「・・・くっ!?」
クラウドは戸惑う。ゆらりゆらりと、のんびりと身体を揺らしながらも、その動きは目が追いつかないほどに速い。緩急のギャップがクラウドを惑わし、ダンカンの動きを見失わせていく。
ゆらりとした動きを捉えながらも、ダンカンの移動に目が追いつけない。ゆらり、ゆらり、と揺れる動きだけが目に残り、それはクラウドの網膜に印象強く残り残像となる。「残像が・・・ッ!」
苛立たしげにクラウドは片目を押さえた。
―――いつしか、クラウドの周囲を取り囲むようにして、無数のダンカンが反時計回りにゆらりゆらりと廻っている。「ふはははははははっ! これこそが我が流派の最終極舞!」
ダンカンが叫ぶ。
その声からダンカンの実体を探ろうとするが、無数のダンガンに幻惑されて、見切ることが出来ない。剣を構えながらも何も出来ず、周囲を廻るダンガンを睨付けたまま何も出来ない。
と、不意にクラウドは気がついた、自分を中心にしてぐるりぐるりと廻るダンカンの輪が、だんだんと狭まってきていることに!「―――そろそろ行くぞ」
声。
それとともに背中に打撃が来た。
大して強い打撃ではない。クラウドにしてみれば、殴られた、というよりも強く押された、程度のもの。クラウドは軽くよろめきながらも素早く背後を振り返る―――と、同時に真っ正面から打撃。振り返ろうとしたクラウドの頬を、ダンカンの拳が捉える。
「この・・・ッ!」
ゆらりゆらり、と周囲を巡るダンカンを睨付け、怒りの声を吐く。だが、その瞬間に、今度は左から打撃―――軽く右へよろめいたところに、待ちかまえていたように、反対方向から打撃が来る。左右の連打に脳が揺さぶられ、クラウドは軽い目眩を覚えた。
「うざったい・・・ッ!」
毒づく。脱力しているせいだろうか。ダンカンの一撃一撃は大したことはない。ただの人間ならまだしも、ソルジャーであるクラウドなら100発殴られても倒れはしない。
ただ、ダンカンの動きが見きれないだけ。―――などと考えているウチに、再び打撃。後頭部を打たれ、頭をお辞儀させたところに俯いた顔をすくい上げるようなアッパー。背筋を伸ばされたところに、がらあきの腹にボディブローの三連打。
「ぐっ・・・おっ」
今のは少し効いた―――と、クラウドの冷静な部分が告げた。
頭部への打撃の二連打に、まったく警戒していなかったボディへの一撃。相変わらず大きなダメージではないが、同じ事を続けられると少し危ないかもしれない。脱力してこちらを幻惑する動きを見せるダンカンの打撃は、先程までの必殺の威力はない。
先程も述べたように100発殴られてもクラウドは倒れないだろう。―――だがしかし、101発なら? 或いは1000発、一万発と繰り返されれば?
如何に弱い打撃だとしても、塵も積もれば山となる。それに、だんだんとダンカンの手数―――連打が増えて来ている。このまま一方的に殴られれば、いかな頑強なソルジャーだとしても倒れてしまうだろう。・・・そう考えているウチにまた殴られる。今度は四連打。
「ぐっ・・・おおおおっ!」
打撃された痛みを無視して―――或いは堪えるように、クラウドは吠えた。
周囲を回るダンカンに向かって、剣を横凪ぎに振るう。巨剣はダンカンの残像を一体、二体、三体と凪ぎ斬っていく―――だが、それまでだった。いきなりクラウドの剣を持つ手を拳で打たれ、思わず剣を取り落とす。「うっ・・・」
「かっかっか! そんな的も見切れずに、めくらに振るった腰の入ってない剣なぞワシには通じんわ!」
「くそっ!」クラウドは素早く剣を拾おうとする。
だが、当然ダンカンはそれを許さない!
顎を跳ね上げるように蹴りが振り上げられた。為す術もなくクラウドは天を仰ぎ、屈みかけていた身体が起こされる。拳打ではなく、蹴りを放ったことにより、ダンカンの動きが僅かに停滞する―――が、クラウドが体勢を立て直す頃には、再びゆらりゆらりと身体を揺らめかせながら、上半身とはギャップのある速さでクラウドの周囲をぐるりと回り続けている。
(―――くっ!)
打撃が来る。
段々と手数が増えていく無数の打撃。連打と連打の感覚も短くなっていき、まさに雨あられの如くにクラウドの周囲360度から打撃が飛んでくる。
剣を拾おうにも、そんな大きな隙を見せれば先と同じように蹴り上げられるだろう。かといって、殴り返そうとしても、殴るどころかダンカンの動きに幻惑され、その動きを見きることすら難しい。(目が・・・ちらつく・・・!)
自分を取り囲む無数の残像に、クラウドは見切ることを諦める。
腕をたたんで自分の身体に押しつけ、身体をぎゅっと縮めた。(―――見切れないのなら・・・耐えるまでだ!)
幻惑の動きから繰り出される無数の打撃。
しかしそれも無尽蔵に放たれるものではないだろう。どんなに鍛え抜かれ、気の力を使うとはいえ相手はただの人間だ。動き続ければ疲れもする。いつか必ず力尽きて動きを止めるはずだ。ならば、それまで耐えきれば良い。
(一発一発はさっきとは比べものにならないほど軽い。なら、100発とは言わず、1000発、万発でも耐えきってやるッ!)
心の中で呟いて、覚悟を決め、全身に力を込める。
力を入れすぎるほどに筋肉に力を入れ、ダンカンの打撃に耐え続ける。
無数の打撃。
それが身体といわず頭と言わず、全身に放たれる。幾ら軽い拳打とはいえ、普通の人間ならもうとうの昔に失神しているだろう。だがクラウドは身体を小さくしたまま耐え続ける。打撃にびくとも動かずに、ただじっと耐え続けていた。
ヘタに動かなければダメージは最小限に抑えられる。
本来なら、踏ん張ることをせずに、打撃されるに任せてよろめき、力を逃がした方がダメージは少ない―――が、ヘタに身体を動かせば、即座に反対側から打撃が返される。二方向からの連打は、その打撃力を何倍にも増幅させてしまう。だから、じっとその場で堪え続けるクラウドの選択は正しい。
普通の人間ならば耐えきれないだろうが、ソルジャーとして強靱な肉体を持つクラウドならば―――(この程度なら、耐えられる・・・!)
もはや打撃は完全な連打となっていた。
1秒たりとも休まずに繰り出される連打。―――だが、それこそがクラウドの狙い通りだった。(これなら、バテるのも近い。―――相手と戦法を間違えたな・・・この程度の打撃、ソルジャーには通用しない・・・!)
ダメージが全くないわけではない。
回復魔法を使っても癒しきれないほどのダメージを受けていることが解る。この戦いが終わって、そのまま地面に寝ころんでしまったなら、もう一両日は全身が痛くてまともに動くことも出来ないだろうと思う。しかし、それでも耐えきれない程ではない。
このまま続ければ、クラウドが倒れるよりも先にダンカンがバテるだろう。
心なしか、クラウドを取り囲む動きは変わらないが、打撃の速さは遅くなってきている気がする。
あと少しだ。あと少しでこの打撃も終わる―――(―――・・・・・・本当に、そうか?)
クラウドの心の中で、クラウドではない誰かが呟いた。
その不穏な呟きに、クラウドはぎくりとする。
なにか、嫌な寒気が全身を駈け抜けた。(・・・本当に、そうなのか・・・?)
今度はクラウド自身が呟いた。
嫌な予感。なにかが呟いたその予感が、クラウドの中で警鐘を鳴らす。(あの男は、最終奥義、とそう言った・・・)
幻惑する動きと、そこから繰り出される無数の連打。
確かにその技の前に、クラウドは何もすることを許されない。
動きを封じられ、亀のように身を縮ませて、耐え続けることしかできない。最終奥義、その名に恥じない無敵の拳・・・かもしれない。
だが、なにか違和感の様な物をクラウドは感じ取っていた。
その違和感の元は、その身に受けた三度の衝撃。
今受けているような軽い打撃ではない。戦闘開始直後に、屈強な自分を二度も吹っ飛ばした、凶悪な打撃だ。その打撃を受けた身体が違和感を発している。これは違う、と。
(そうだ、あれに比べてこれはあまりにも軽すぎる。拳に気がこもっていない。まるで俺を倒すと言うよりは、俺の動きを抑えるだけのような―――)
そこまで考えた時、予感が確信に変わる。
―――だが、わずかに遅かった。「行くぞ、今こそ!」
不意に、ダンカンの残像が掻き消える。
同時に、クラウドの真っ正面、目の前に、ダンカンの姿があった。
その姿は、全身に濃密度の金の闘気を纏い、力を溜めるように右拳を腰につけ、その拳に添えるように左手を握りしめた構え。しまった―――と思うが、連打を耐えるために固めてしまったクラウドの身体はすぐに動いてくれない。
身動きの取れないクラウドに向かって、ダンカンの必殺の拳が今こそ放たれた!・・・・・・っ! 空気を振るわせる音無き音を従えて、拳がクラウドの身体の中心に向かって吸い込まれる。
その拳は最強の一撃。風を砕き、音を砕き、空間すらも砕かんとする最強たる剛の拳。
その拳は最強の一撃。圧倒的な力を秘め、あらゆる物を砕き、二つと要らぬ破壊の拳。
その拳は最強の一撃。全ては意味無く砕かれる。どんな守りも不要とする貫通の拳。例え、ソルジャーの強靱な肉体だろうと。それが身を固めて防御してようと。
そんなものは無意味とする、最強の鉄拳。ずぶ。
と、嫌な音が響いた。それは拳が肉を穿つ音。
めき。
と、嫌な音が響いた。それは拳が骨を砕く音。
ぐしゃ。
と、嫌な音が響いた。それは拳が臓物を潰す音。ダンカンの必殺の一撃が、クラウドの身体を貫いた。
固めた守りは意味を為さない。
拳はクラウドの守りごと、筋肉ごとクラウドの全てを貫き吹っ飛ばす。「・・・・・・っ!」
血を口から吐きながら、クラウドは軽々と吹っ飛んだ。
―――十分な飛距離と滞空時間を経て、その身体は地面に墜落する。そして、そのまま動かない。起きる気配もない。
やや遠くへと飛んだクラウドをみやり、ダンカンは拳を突き出したままの状態で、ほう、と一息。「・・・幻惑の動きで心を封じ、その打撃を持って身体を封じる―――しかしてその全ては最強たる一撃のための布石! これこそが我が最終奥義―――」
夢幻闘舞
突きだした拳を引っ込めて、ダンカンはもう一度吐息する。
手応えは十分。
手加減抜きの、まさに必殺と呼べる一撃。確認しなくとも、まず生きていないだろうと確信出来る。殺すつもりはなかった―――しかし、手加減するつもりもなかった。確実に命を奪い去る必殺拳だと知っていても。
憎しみで闘ったわけではない。ただ、己が最強であるという自負と、その証明のために全力を持って拳を放った。これは殺し合いではなかった。ただ単にどちらが強いのかを知るための試合。
その試合の結果、ダンカンが勝ち、そしてクラウドが死んだ、それだけのことだった。これは試合だった。
だからクラウドは殺されたとはいえ、ダンカンの事を恨んではいないだろう。
例えこの結果が逆に、ダンカンの方が死んでいたとしても、ダンカンはクラウドを恨むことはなかっただろう。悔しい、と思うことはあったとしても。―――なんにせよ、これで試合も終わりだ。
ダンカンは倒れたまま動かないクラウドへ、軽く一礼すると、強敵に対する敬意を込めて言葉を吐く。「クラウド=ストライフ・・・ワシに奥義を使わせたその名、墓にはいるまで覚えておこう―――」
「・・・だ、だったら・・・すぐに・・・」
「!?」返ってきた返事にダンカンは驚愕する。
「す、すぐに・・・忘れ、させてやる・・・・・・アンタを墓の中にブチ込んで、な・・・」
血を吐きながら、見るからに弱々しく、しかしその瞳には先程よりも強いハッキリとした闘志の光を浮かべて―――
クラウド=ストライフが、もう一度立ち上がった―――