第11章「新たな力」
F.「斬鉄剣(1)」
main character:セシル=ハーヴィ
location:ミシディアの村

 

 

「・・・なんだと?」
「おやおや耳まで悪いのかい? ソルジャーの実力というのはその程度の物なのか―――僕はそう言ったんだよ」
「・・・!」

 セシルの挑発に、感情の薄かったクラウドの表情が険しくなる。

 おい、と転倒していたロックが起き上がり不安そうにセシルに言う。

「な、なに挑発してるんだよ? 今の見ただろうが!」

 言われてセシルは地面を見る。
 クラウドの強烈な一撃が割った地面は、セシルの足が膝まではいるほどに大きくえぐれている。
 対して、その隣に穿ったセシルのダークフォースの一撃は、その半分も地面を砕いていない。

 確かに恐ろしい力だ、とセシルは頷いて。

「直撃すれば僕なんか即死だろうね。人並み外れた破壊力だ―――けれど、何故か僕は生きているね」

 おや? とわざとらしく自分の身体を見回して、セシルは首をかしげた。
 それから憮然としたままのクラウドに向かってにやりと笑ってみせる。

「つまりさ。君の力は僕の身体を一撃で粉砕できるほどの威力があるのに、僕を殺せない―――その程度のものなんだよ」
「・・・!」

 ぎり、とクラウドの歯が強く噛まれる。
 その音を耳にして、なおさら挑発するようにセシルは鼻で笑い。

「そんな男が1STのソルジャーだって言うんだから・・・ソルジャーっていうのも大したこと無いな」
「―――!」

 クラウドはなにも答えず―――しかし、動きで応えた。

 不意の踏み込み。
 竜騎士の並の瞬発力で初動し、そのまま加速してセシルに突撃。
 と、同時に大剣を振り上げて―――

「―――遅いよ」

 クラウドの突撃に対してセシルも動く。前へと。
 その踏み込みはクラウドの予測を若干上回る速度だった。その予測外の速度に、剣を振り下ろすタイミングがズレる。

(ちぃっ!)

 舌打ちしながら振り上げた剣を―――振り上げきれない状態から強引に振り下ろす。
 が、剣が振り下ろされる寸前にセシルはもう一歩踏み込む。それは真っ直ぐ前方ではなく、やや斜め、クラウドの脇へと駈け抜ける動きだ。

 ごうっ!

 空気すらも叩き砕くような巨剣の一撃は、しかしセシルのすぐ隣を通り過ぎて地面を割る。
 逆に、セシルはクラウドの隣を駈け抜け様にデスブリンガーを一閃する!

「ぐあっ!」

 二人が交差した後、クラウドが苦悶の声を上げる。
 着込んでいたレザージャケットごと斬られた脇腹を押さえながらも、しかし倒れることも膝を屈することもなく、セシルを振り返った。

「随分とタフなんだな」

 余裕を持ってセシルも振り返る。
 その表情も余裕綽々で、クラウドを見下すかのように半眼で見ていた。

 腹部の傷口から溢れる血を、クラウドはセシルを睨付けながら抑え―――

「ケアル!」

 と、癒しの魔法がクラウドの傷を癒す。
 回復魔法の初歩の術だが、元々致命傷でもない。出血はあっさりと止まり、傷口もふさがった。

「・・・ポロムか・・・」

 クラウドはセシルから視線を外さすに呟く。
 今、回復魔法を使ったのはクラウドではなかった。クラウドとセシルが場所を交代して、今はセシルの後ろに居るポロムが施した術だった。

 クラウドの呟きに、セシルはちらりと背後を見やる、とポロムが憎々しげにセシルを睨付けながら杖をクラウドに向けているのが見えた。

「やれやれ」

 と、セシルは肩を竦めて見せて、

「いやいや、ソルジャー様ともあろう者が、こんな小さな女の子の手を借りていいのかい?」
「・・・・・・」

 クラウドは応えず、傷を抑えていた手を剣に添えて、両手で巨剣を構える。
 そんな相手の無反応を見て、セシルは余裕の表情を浮かべながら内心で舌打ちする。

(本気にさせたか・・・)

 クラウドの目が先程とは全く違う。
 現れた時のような、どうにも興味なさそうなやる気のない瞳でもなく、挑発を受けて怒気のこもった瞳でもない。

 真剣に、本気で、こちらを―――敵を打ち倒そうという強い意志を秘めた瞳だ。

(まずいなー・・・本気になられると大分厄介だ・・・)

 挑発しながらも内心では冷や汗をかいていた。
 ロックに言われるまでもなく、ソルジャー・クラウドの一撃は “その程度の物” で済ませられる力ではなかった。
 特に初撃は完全に反応が遅れていた。
 とっさに暗黒の力の反動をつかって無傷で回避できたのは運が良いとしか言い様がない。

(反則だよな・・・あんな身体であんな巨剣を持ちながら、それでいて普通と変わらない動きをする・・・)

 一般の人間よりも、魔晄の力で肉体強化されているとは聞いていたが、正直セシルの予測以上だった。
 人間が出来る動きとは思えない―――それでも挑発したのは、

(怒りに目が眩めば攻撃は単調になる。どれほどの威力が在ろうとも単調な攻撃は回避しやすい)

 現に怒りにまかせた二撃目を、セシルは容易く見切って逆に一撃を与えることに成功した。
 だが、結果としてその一撃がクラウドに警戒心を抱かせることになってしまったようだった。

(その一撃も、普通の人間なら致命傷のハズなのに―――つくづくソルジャーって言うのは人間離れしている)

 セシルの技量と、暗黒剣デスブリンガーの切れ味。加えて言うならば防具の無い場所へのカウンター。通常の相手ならば必殺の一撃となりうる攻撃も、しかし幼い白魔道士の初級回復魔法で回復する程度の傷しか与えられない。

「セシル=ハーヴィか―――・・・」

 ふと、クラウドが呟いてセシルの髪を見つめる。

「確かに銀髪だな」
「は?」

 クラウドの言った意味がわからずに、セシルは困惑する。
 確かにセシルの髪は銀髪だが―――

「なんでもない―――それより、逃がして欲しいと言ったよな?」

 クラウドの意外な言葉にセシルは少し驚き、その後ろで、

「ちょ、ちょっとクラウドさん!?」

 ポロムが驚きの声を上げる。
 振り向かなくてもどういう顔をしているのかセシルには想像がついた。

「その暗黒騎士はミシディアを―――私のお父様を殺した男です! 逃がすなんて・・・!」
「言って置くが俺は部外者だ。お前たちには助けて貰った恩もあるが、かといってその仇討ちなどどうでも良い―――自分の仇も討てずに、他人の問題に進んで首を突っ込む気はない」

 クラウドの冷たい言葉に、セシルの背後でポロムが絶句する気配がした。
 双子の片割れはと見れば、クラウドの後ろでパロムは両腕を首の後ろに回して「そりゃそーだ」とでも言いたげに半眼で事の成り行きを見守っている。

「自分の仇・・・?」

 ふと疑問がセシルの口をついて出た。
 そう言えば、セブンスのソルジャーが何故こんなところに居るのだろうか、と。

「失踪したソルジャー1ST―――最強のソルジャーとも言われている、セフィロスという男を知らないか?」
「名前だけなら」
「そうか」

 と、残念そうでもなく言い捨てるクラウド。

「まあ、この地にはいないだろうと思うがな」
「だったらさっさと別の地に行けばいいだろうに。ファイブルでもシクズスでも」
「シクズスには行った―――次はファイブルにでも足を伸ばそうと思っている。もう一つの仇・・・ゴルベーザという男にケリをつけたらな」
「なに!」

 思っても見なかった名前が出て、一瞬だけセシルの気がそれる。
 その隙を見逃さず、クラウドが。

 前に出る!

「はああああああああああああああっ!」

 剣を振り上げて渾身の一撃を振り下ろしてくる。
 対して、セシルは反応が遅れた。

(―――やられる!)

 クラウドは二撃目よりも、初撃よりも尚早かった。
 おそらく、これが彼の本気なのだろう。

 対して初動が遅れたセシルは考えるまでもなく回避不能だと言うことが解った。
 致命傷を避けることはできるだろうが、攻撃は届く。巨剣の一撃だ。直撃せずとも、かすっただけでそれなりのダメージは受ける。

(そうなったら次撃を回避できない。死ぬ!?)

 クラウドの一撃がゆっくりと迫る。
 それを見ながら、セシルは自分の死を覚悟して、だからこそ何もせずに迫ってくるクラウドを眺めていた。

 その後ろではパロムがぼんやりとこちらを見ていた。

 ロックは険しい顔をしてこちらへ―――というかクラウドへ向かって駆け出していて。

(・・・え?)

 ゆっくりと動く視界の隅。
 いつのまにか、ロックの姿が見えた。
 これまたクラウドと同じようにゆっくりと―――しかしクラウドよりは幾らか速く、クラウドに向かって飛び込んできて激突する。

 クラウドとロックが衝突した瞬間、どかっ、という音が聞こえて。

 ―――時間が正常を取り戻す。

「うわああああっ!?」

 悲鳴を上げるセシルのすぐ横を、クラウドの剣が振り下ろされた。
 セシルを頭から一刀両断にしようとしていた剣は、しかしロックの横手からの体当たりで軌道を反らした。

「邪魔を・・・ッ」
「のわああああっ!」

 剣は反れたがクラウドは倒れずに少し身体を傾いだだけだった。
 体当たりしてきたロックを睨付ける―――ロックはあわくって慌てて離れる。
 クラウドはそれを捉まえようとはせずにセシルへと注意を向けた。

(隙は見せないか―――くそ、戦い慣れしている・・・それも一対複数の戦闘に・・・)

 個人の身体能力が特化したソルジャーは、大部隊を組むよりも単独、或いは二、三人の少人数で行動することが多いと聞く。必然的に対多数の戦闘を強要されるのだろう。となれば。

(ロック・・・だったっけ? 彼の助力は期待できないな)

 さっきのは完全な不意打ちだったからともかく、次に同じ手は通じないだろう。

(一人で、勝てるか・・・?)

 幸運は二度。
 初撃を無傷でやり過ごせたこと。ロックに助けられたこと。
 そして幸運は三度とは続かない。

「―――他人の仇に興味はないんだろ? だったら見逃してくれても良いんじゃないか?」

 油断無く意識を張りつめながらセシルは聞く。
 するとクラウドは口の端を持ち上げただけで笑みをつくり、

「さっきまでなら見逃しても良かった―――が、俺に手傷を負わせた相手をむざむざ見過ごすわけにはいかない」
「・・・余計なことするんじゃなかった」

 大後悔。
 ひたすら逃げに徹するべきだったと、セシルは自分の選択の間違いを悟る。
 もっとも、軽々と剣を振り回すクラウドに背を向ける度胸はなかった。加えて。

(後ろの彼女は逃がす気はないようだったしなあ・・・)

 と、おそらくこちらの背中を睨付けているだろうと思われる少女のことを少し考える。
 このミシディアからクリスタルを奪う為に殺してしまった魔道士、その娘。
 こちらを憎む理由もその気持ちも知っている。だからこそ、セシルは「許してくれ」とは言わないし、思わない。
 かといって、彼女の言うように死をもって罪を償うこともできない。

 だから、せめて。

(せめて生き続けて憎まれ続けよう―――それが僕に出来る唯一のことだから)

 思い切る。
 そして、次の瞬間には思考を遮断して、目の前のクラウドに集中する。

(―――集中しろ!)

 自分に言い聞かせる。

(目の前の相手の動きに集中しろ。視覚、聴覚―――感覚をフルに使い切って、相手の動きに対応しろ!)

 容易いことだと思い込む。
 なにせ今回の相手は凄まじく速く強いが、それでも目の前から消えることはない。

(バッツ=クラウザーに比べれば容易い相手だろう!)

 そう自分に言い聞かせた瞬間。

 来た。

「はあっ!」

 一呼吸でクラウドは踏み込みと同時に剣を振り回してくる。
 縦の斬撃。
 が、セシルにはその軌道が見えている。見えているなら―――

(後は回避するだけ!)

 素早くすり足で横に移動。
 さっきと同じように剣が空気を叩きってセシルの横を振り降りていく。

 速く、重い。
 凶悪とも言えるクラウドの一撃だが、それでも不意を打たれなければ対応できない速さではない。
 なにせ、セシルはもっと速い一撃を幾度も見ている。

 ―――カイン=ハイウィンドの神速の槍を。

(速さはカインと同等―――でも、武器が違う・・・!)

 カインの武器は槍だ。
 踏み込みで加速されて延びてくる槍の突きは、振り上げて振り下ろす大剣の動きよりも格段に速い。

(剣は避けた。後は―――)

 先程と同じように、クラウドへ踏み込んでデスブリンガーの一撃を見舞おうとして。だが。

(足が・・・動かない!?)

 前へ踏み込もうとした足は動いてくれなかった。
 いや、意識は動かそうとしているのだが無意識が動きを押しとどめている。
 なにか、前に出てはいけない―――そんな “嫌な予感” が動きを押しとどめている。

 ―――気がつけば世界が止まっていた。

 クラウドは中途半端に剣を振り下ろしたまま止まっていたし、その後ろではパロムがやる気無さそうな顔をして立っていた。ロックも視界の端に居て、こちらは難しい顔をしている。もしかしたらこのまま自分一人で逃げようかどうしようか悩んでいるのかも知れない。
 セシル自身も止まっていた。身体も動かないし視界も動かない。見えているのはクラウドとその後ろのパロムとロック。さらにその後ろに村の出口―――とはいえ、丸太で組まれた柵に、申し訳程度の出入り口がつくられているような物だが―――が見えた。

 世界が止まってしまった―――或いは止まってしまったと思えるような状況をセシルは不思議に思わなかった。
 そんなことを思える状況ではない。疑問を思うのは後でも出来る―――生きていれば。

 視界の焦点はクラウドの手元で固定。
 手元を中心にして、クラウドの全身がじわーっと視界一杯に広がっている。その隅にパロムとロックと村の出入り口とかその他諸々。

 なんとなく嫌な予感はこの手首にあるんだろうとセシルは思った。
 何故なら、嫌な予感を感じた時に手首を見ていたから―――逆に言えば、手首を見ていたから嫌な予感を感じたわけで。

 よくよく手首を見る。
 巨大な剣の、それ相応に大きな柄―――デスブリンガーの柄よりも二回りほど大きい―――を、両手で握りしめている。流石に片手じゃ掴みきれないだろうと思うが、しかしさっきは片手で持っていたような気もする。
 外観は人の規格内だというのに、どうしてこう中身はこうも規格外なのか―――そもそも、魔晄ってなんだろうとか現状にあまり関係ないことを考えながら観察する。

(・・・ああ、成程)

 悪い予感の理由はすぐに察せた。
 ほんの僅かだが、剣を持つ両腕が斜めに捻られている。真っ直ぐに振り下ろすなら真っ直ぐにもって居なきゃいけないはずの手が。

 何故剣の握りが斜めに捻られているのか、その答えは単純だ。
 クラウドは真っ直ぐに振り下ろそうとした剣を、振り下ろす途中で止めて、横に回避したセシルに向けて横の斬撃に切り返そうとしているのだ。

 ・・・有り得ないことだと思う。

 巨大な剣を軽々と振り回すことすら有り得ない事だというのに、全力で振り下ろした剣を強引に止めて横に振り回す。
 普通サイズの剣でも相当の膂力が必要だろう―――でもなんとなくバッツ辺りは容易くこなしてしまいそうだが。

(ああ、でも巨大な剣を軽々と振り回せるからそう言うことも可能なのか)

 逆に納得した次の瞬間。

 ―――世界が、動き出す。

「ああああああああっ!」

 世界が動き出した瞬間、セシルは裂帛の気合いを吐きながら、前に出ようとした動きを押しとどめ、さらに横へと逃げようとする。
 が、それよりもクラウドの剣の切り返しが速い!
 縦の斬撃から、急に横へと方向転換した剣はセシルの脇腹をめがけて―――・・・

 ぎぃぃぃんっ!

 と、その一撃をセシルはデスブリンガーで受け止める。
 勿論、巨剣の一撃を受けきることは出来ないが。

(それでも受け流すだけなら!)

 クラウドの剣に押されるようにして、セシルは横に飛ぶ―――と、不意にクラウドの剣がデスブリンガーから離れた。
 見れば、クラウドの剣はさらに切り返し、今度は逆に縦に上へと跳ね上がる。剣が振り上げられたと同時、セシルの足はしっかりと地面に着地。ざっと、足を少しだけ滑らせて勢いを殺してバランスをとる。

「これでトドメだッ」

 そんなセシルに、クラウドが踏み込み剣を斜めに振り下ろす。

「トドメになるかぁっ!」

 セシルは身を反らして回避―――するが、その直後!

「おおおおおおおっ!」

 クラウドの気合いの声と共に、さらに跳ね上げられる巨大な剣。
 剣の軌道は丁度振り下ろしと重ねて、×の字を描くような斬撃だ。

 

 凶斬り

 

 がぎぃいいいいっ!

「ぅあっ!」

 剣はセシルには届かなかったが、その手にしていたデスブリンガーを打ち払い、空高く跳ね上げる!

「剣を失ったらどうしようもないだろう!」

 クラウドの言葉に対するセシルの返答は簡潔だった。

「去ね」

 途端に、空を飛んでいるデスブリンガーが虚空に消える。
 それを見ることなくセシルはさらに続けた。

「在れ!」

 う゛ん・・・と、羽虫の羽の音のような音を立てて、何もないはずのセシルの手元に、消えたはずのデスブリンガーが現れる。
 それをぽかん、と認めるクラウドに、セシルは冷や汗を流しながら苦笑して、

「なかなかやってくれるじゃないか。でも、こっちもまだまだ終わる気はないんでね」

 そう言い捨てて、セシルは吐息。

(手を抜いてどうにかなる相手じゃない。正直、使いたくはなかったけど全力で―――デスブリンガー、君の力を使わせて貰う)

 デスブリンガーの力は余り使いたくなかった。
 魔晄と同様、ダークフォースもまた “有り得ない力” だ。
 そしてソルジャーの1STが魔晄の最強形だとするならば、デスブリンガーはダークフォースの最強形。
 それをフルパワーで使って、セシルが制御しきれるか解らない。無為の絶望とも異名を持つ剣は、使用者の全てを砕きかねない力を持ち、またその力を存分に振るいたくなる衝動を使い手に与える。敵も味方も仲間も全てを砕く闇なる力。

 ―――妾もまだ終わる気はない。貴様なら妾を使いこなせるじゃろう? だから、早よケリをつけろ。

 デスブリンガーの返答は苛立ちの混じったものだった。
 それに苦笑して、セシルは闇の剣に意識を込める。

「それじゃ―――」

 いくぞ、と思ったその時。

「そこまでじゃ」

 大きな声が、その場に高鳴り響き渡った―――

 

 


INDEX

NEXT STORY