TOP 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 

 

  V−4 水は滞留すると質が悪化するか(B→C)

 前項の淵の滞留するイメージが悪いのも、山紫水明の我が国において、流れているものは清澄で安全だという信仰があるからではないか。こんこんと湧き続ける温泉が有り難がられるのも同じ理由であろう。確かに源と同じ質のものが常に取って代われば、安心なのは納得できる。

 しかし河川流域での開発が盛んな昨今ではこれは望むべくもないことである。

 水は滞留し自らきれいになる作用(自浄作用)がある。まず、汚濁成分のうち、粒子状のものは、静置しておけば時間とともに沈殿し、上澄みはきれいになる。やっかいな溶解成分は大部分が有機物であり、時間とともに生物的作用により、分解され、あるものは気体になり水から蒸散し、N、Pなど栄養塩類で残ったものは藻類など生物体に摂取され、固体化し、生物体の死滅とともに沈殿し、またもや上澄みはきれいになる。

 筆者は河川遊水池内の落堀の水質を調べたことがあったが、長い間水が入れ替わったことがないにも関わらず(入れ替わらなかったので、と言った方がよい)、水質は良好で、通常の利水貯水池(水が入れ替わる宿命にある)で見られる藻類の異常繁殖現象も少ないことが分かった。

 飲料水を放置しておくと腐るというが、この現象は、浄水後といっても微量に残る栄養塩類により、藻類が発生することよるもので、一時的には飲料に適さなくなっているだけで、長い目で見れば、栄養塩類の除去過程にあると理解できる。(ちなみに冷暗所においた水は腐らないので、これらは藻類による光合成現象であることが分かる)

 

TOP 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21