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 V−2 水はかき回すと必ずきれいになるものか

 Cの水質浄化方法でも誤解が見られる。川のせせらぎで水が泡立ち、空気が十分水に溶け込む(ばっ気作用)と水質が良くなったように感じる。事実BOD10ppmを越える臭いのでるような水に対しては、そもそも溶存酸素が足りなく嫌気状態になっているので、空気を溶け込ませその酸素で有機物を分解する効果はある。

 しかしどの場合でも正しいというわけではない。比較的清澄ではあるが富栄養化現象の問題が残っているダム湖などは、表層の溶存酸素は飽和状態にある場合が多く、ばっ気による酸素補給は不必要なだけでなく、夏期に形成される温度躍層を破壊する副作用もあり、躍層が水質改善にプラスの役割を担っている場合は害になってしまう。躍層が栄養塩類の鉛直移動を妨げ、結果的に表層有光層内のリン窒素等の栄養塩類の欠乏に資している水理構造のダムは意外と多いのである。

 

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