あやとりの楽しみ:各回の概要

 連載も2年めとなり、各回でどんなあやとり作品をご紹介したのか探すのが大変になってきたので、自分用に概要一覧を作ることにしました。個々の作品の取り方は本誌記事で紹介していますが、国際あやとり協会(日本)のサイトの石野恵一郎さんのあやとりしてみようというページに公開されています。

2024年度(第1回〜第12回)

第1回
4月号
 あやとりの基礎知識
さかずき 四段ばしご
 本連載で取り方の手順を説明するために必要なあやとり紐の糸や輪の呼び方などをご説明しました。
 美しい創作作品の例として「アンドロメダ」「ケルトのタペストリー」の画像を載せました。
第2回
5月号
あやとりが「同じ」とは?
鳥の群れ ダンスの舞台
 交差の上下が変わることで異なるあやとり図形ができることをご紹介し、代表例として伝承作品の「鳥の群れ」「ダンスの舞台」をご紹介しました。
 指の輪をひねる操作、「ダンスの舞台の終了処理」を掲載しました。
第3回
6月号
あやとりの「交差」と「絡み」
二段ばしご 二段ばしご(横絡み)
たくさんの星 たくさんの星(アレンジ)
 あやとり研究でよく取り上げられる「交差」と「絡み」を取り分ける話を書きました。
  • 四段ばしごの中央の交差を絡みにしたり、左右の絡みを交差にする方法
  • 長方形に対角線、「3つのX」
  • 「二段ばしご」の中央を横絡み、縦絡みにする方法
  • 「たくさんの星」(ナバホ)と、絡みを交差に変えた「たくさんの星」アレンジ
 
第4回
7月号
「かたちを整える」ということ
アムワンギヨ(ナウル)
アムワンギヨのアレンジ マット(ナウル)
足跡(ボリビア) たんぽぽ(夏堀謹二郎)
 自然にかたちが決まるあやとり作品と、最後に整える必要があるあやとり作品があることをご紹介しました。
  • 劇的に現れる例として「アムワンギヨ」「テントの幕」
  • 調整が必要な例として「アムワンギヨのアレンジ」「マット」
  • 手から外して整える作品として「足跡」「たんぽぽ」
第5回
8月号
「糸を取る」という動作
ナウルの太陽(途中) ガイアナの星(途中)
 あやとりの自然言語表記のおさらいの回です。
 糸を上からひねって取ったり、下から取ったりするという表現の意味や、別の輪の上を通ったり下を通ったりして取る表現の意味を図を使って説明をしました。
 あわせて、「カロリン展開」を初めてご紹介しました。
第6回
9月号
エガラウィナゴ ナウルの技法
エガラウィナゴ(ナウル)
 5本指の構え→エガラウィナゴをメインに、「ククイの終了処理」の話を書きました。
第7回
10月号
「テントの幕」の発展
エガラウィナゴ(ナウル) 中央にエガラウィナゴ
花(イヌー族) 中央に「花」
 人気のある作品である「テントの幕」(ナバホ)のアレンジと応用をご紹介しました
  • 「テントの幕」の中央の4つのダイヤ型の交差を絡みにするアレンジ
  • 「テントの幕」の格子を増やす「大きいテントの幕」
  • 「大きいテントの幕」のテクニックで中央に様々なあやとり図形を配置できること
 いずれも50年ほど前に発表されている内容です。
第8回
11月号
n本指の構え 「聖なる円」の一族
n=3
焼け焦げた葉のククイ
(ハワイ)
n=4
n=5
聖なる円(ナバホ)
n=6
n=7 n=8
 ナバホの伝承作品「聖なる円」は5本指の構えから始めるあやとり作品ですが、実はこれは「人差し指の構え」から始めるハワイの伝承作品「焼け焦げた葉のククイ」と同じ構造だということに気付いたので、最初の構えの指の本数を変えた系列の作品を取ってみました。

 また、連載第1回でご紹介した「アンドロメダ」という現代創作作品がありますが、これが「エガラウィナゴ」の手順から「聖なる円」を取ることで「アンドロメダ」射影図が同じになるあやとり作品になることをご紹介しています。
第9回
12月号
イヌイットの網とその応用
イヌイットの網(アレンジ) ナウルの太陽
→イヌイットの網
ガイアナの星
→イヌイットの網
エガラウィナゴ
→イヌイットの網
 ダイヤ型が4個2列になっている作品の仲間のひとつとしてイヌイットの「網」(漁網)をご紹介して、そのアレンジ(絡み→交差)をご紹介しました。

 その仲間と言えなくもない「十人の男」(オセアニア各地)を完成写真のみ掲載しました。

 「イヌイットの網」を終了処理とみなして、典型的な3本指の状態の作品を開始状態とした組合せ作品を3つほどご紹介しています。
第10回
1月号
4本指の終了処理・輪の入替処理
ケルトのタペストリーを取る
ケルトのタペストリー
丸太の沼のアレンジ1 丸太の沼のアレンジ2
 連載第1回でご紹介した現代創作作品「ケルトのタペストリー」の取り方を説明する準備がようやく整ったので、満を持して取り方を説明することにした回です。

 この作品は「タイガーショベルノーズキャットフィッシュ」もしくは「丸太の横たわった沼」と呼ばれる伝承作品の終了処理(最後の展開の仕方)を用いています。最初に「丸太の横たわった沼」を説明して、そこからのアレンジとして内側の2本の指の輪の入替処理を加えたり、さらに親指小指の輪を1回転ひねったりするアレンジを加えることで作れる斜め格子を基本とした作品をご紹介し、これを5本指の構えから始めるて、うまいこと内側の3つの指の輪を入れ替えることで本命の「ケルトのタペストリー」が取れることをご紹介しています。

 「ケルトのタペストリー」の手順の構造をこのように理解することで、他の作品との関係がわかりやすくなりますし、手順が覚えやすくなると思います。
第11回
2月号
エオンガツバボ
ナウルの技法(その2)
エオンガツバボ平行型 →大きいテントの幕
エオンガツバボ交差型 →ダンスの舞台
 「エオンガツバボ」というナウルの技法を説明する回です。シンプルな人差し指の構えに対して「エオンガツバボ」を行うと何が起こるのかを図示しました。

 ナウルの伝承作品ではこの「エオンガツバボ」を終了処理として用いられる作品が多いですが、これを開始処理として利用することであやとり作品のアレンジの幅が広がることをご紹介しています。
第12回
3月号
あやとりの状態遷移
ビヤトエイディオウィナゴの途中まで
上記に続いて
ククイの終了処理
上記に続いて
大きいテントの幕
の終了処理
 本連載の初年度のまとめとして、「人差し指の構え」を含む3本指の4種類の開始状態から
  • 焼け焦げた葉のククイ
  • ダンスの舞台
  • 大きいテントの幕
  • アムワンギヨ
 の4つの終了処理を行う4×4の組合せの作品をマトリクス状に掲載した回になります。

2025年度(第12回〜第24回)

第13回
4月号
多面体構造(その1)
正四面体 四角錐
正八面体 三角柱
立方体
 2025年度は立体的な作品をご紹介することにしました。この回(4月)から3回続けて多面体の構造を作るあやとり作品をご紹介しています。

 シンプルな幾何学的な多面体を5つご紹介しました。取り方は単純で、多面体の頂点それぞれに指1本が対応します。指の輪をひねって強い張力をかけることでかたちが安定します。手から外してディスプレイするのは難しいです。
第14回
5月号
多面体構造(その2)
シシドユキオの正十二面体
六面体 八面体
十二面体(ブロックでディスプレイ)
 シシドユキオさんが1991年のあやとり協会会報に発表された
  • Polyhedron-IIIa
  • Polyhedron-IVa
  • Polyhedron-Va
という作品をご紹介しました。
第15回
6月号
多面体構造(その3)
シシドの正四面体・立方体、ほか
正四面体 立方体
八面体の結晶 八面体のアレンジ
 シシドユキオさんが1980年,1983年のあやとり協会会報に発表された
  • 正四面体
  • 立方体
  • 八面体の結晶
 という作品と、それをアレンジした正八面体をご紹介しました。
第16回
7月号
六角錐の伝承作品
ナバホの「鳥の巣」 スーダンの「鳥の巣」
火山
ライアの花 ライアの実
 六角錐の伝承作品
  • 「鳥の巣」(ナバホ)
  • 「鳥の巣」(スーダン)
  • 「火山」(パタゴニア)
  • 「ライアの花」(バヌアツ)
  • 「ライアの実」(バヌアツ)
 をご紹介しました。
第17回
8月号
四角錐の伝承作品
チャマの家 サガリバナ
ブロスバードの家
孤児の少年 閉じたドア
 四角錐の伝承作品
  • 「家」(チャマ族)
  • 「サガリバナ」(ソロモン諸島)
  • 「ブロスバードの家」(カロリン諸島他)
  • 「孤児の少年」(イヌイット)
  • 「閉じたドア」(イヌイット)
 をご紹介しました。
第18回
9月号
らせんのあやとり
創作と伝承
螺旋(I) 螺旋(II)
螺旋の五角錐
アタヌアの家
螺旋:両手型 アタヌアの家:両手型
 らせんをモチーフにした創作作品と伝承作品、そのアレンジをご紹介しました。
  • 「螺旋(I)」シシドユキオ
  • 「螺旋(II)」シシドユキオ
  • 「螺旋の五角錐」シシドユキオ
  • 「アタヌアの家」(マルケサス諸島)
  • 「螺旋(I)」を両手で
  • 「アタヌアの家」を両手で
第19回
10月号
伝承作品「井戸」と関連作品
「井戸」 「干上がった井戸」
「橋」 「浴槽」(アレンジ)
樹木葬
 伝承作品「井戸」と、取り始めが同じ関連作品のうち立体的なものをご紹介しました。
  • 「井戸」と「干上がった井戸」(オセアニア各地)
  • 「橋」(パプアニューギニア)
  • 「浴槽」上記のアレンジ
  • 「樹木葬」(パプアニューギニア)
第20回
11月号
伝承作品「井戸」と関連作品
パターンの増減
短い垣根 短いモエ ホラ ヒア
垣根 モエ ホラ ヒア
長い垣根 長いモエ ホラ ヒア
長い長い垣根 長い長いモエ ホラ ヒア
 伝承作品「井戸」から連続して取られる「垣根」と、類似の作品である「モエ ホラ ヒア」、さらに「カプンガ ルルツ」や「ツンガ パリリ」と言われる作品をご紹介して、これらの作品の基本単位である六角形を減らしたり増やしたりできることをご紹介しました。2025年度はここまでは立体的な作品でしたが、今回以降は平面的な作品になります。

 記事執筆時には知らなかったのですが、同様に「垣根」を増やす手順は江口雅彦先生が1976年に発表されていることがわかりました。

2025.08.31 公開 2025.11.02 更新


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2025.08.31 公開
2025.11.02 更新
長谷川 浩(あそびをせんとや)


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