第9回:イヌイットの網とその応用
(2024年12月号:通巻758号)この回はイヌイットの伝承作品の「魚網」(本連載ではこれを「イヌイットの網」と呼びます)のご紹介と、「イヌイットの網」を終了処理として作る作品のご紹介です。画像をクリックすると別窓で大きな画像が開きます。
「イヌイットの網」とそのアレンジ
ダイヤ型が横に4つ、縦に2段の8つが並ぶタイプの伝承作品が好きでよく取ってみています。今回は「イヌイットの網」です。より対称性が高い、下図右のようにアレンジしたものを多用しています。
![]()
![]()
イヌイットの網(オリジナル) イヌイットの網(アレンジ) 記事では図で表示した、イヌイットの網の最後の難しい操作の直前の状態図を描くために撮った写真です。
![]()
イヌイットの網途中図
「十人の男」
ダイヤ型が4列2段になっている作品というと連想するのがオセアニアの各地に伝承されている「十人の男」(Ten Men)の完成写真を掲載しました。これがなぜ「十人の男」なのかというと、下図右の赤い○印で示したように、交点もしくは絡み点がパターン上に10箇所あるためです。1つの交差を人間の両手両足だとみなしているのだそうです。
![]()
![]()
こちらのTen Menというページに図入りで取り方が解説されていました。ページの一番下にはString Figure Notation (SFN) での表記もありました。国際あやとり協会の標準の表記とは異なる流儀のものです。私は以前、この表記を勉強したことがあります。
中央縦が絡みの「イヌイットの網(アレンジ)」
以前の回でもご紹介した、人差し指の構えから左右の人差し指の輪を交換して取ると、中央の上下の交差が絡みになります。
![]()
![]()
イヌイットの網(中央縦を絡みに) 同左:曲線的に整える かたちを整えて鑑賞する楽しみ方だと、たとえば上図右のように曲線的に整えることができます。かたちや模様を楽しむ楽しみ方ができます。
開始処理を変えてみる
一見同じように見える「ナウルの太陽」と「ガイアナの星」から「イヌイットの網」を取ると、下図のようにかなり印象が異なる完成形になります。
![]()
![]()
ナウルの太陽→イヌイットの網 ガイアナの星→イヌイットの網
「3つの太陽」特に右側のものは二重のダイヤ型が3つ並んでいるように見えるので、「3つの太陽」と呼んでいます。お気に入りの作品です。
開始処理を「エガラウィナゴ」にするとこんな風になります。
![]()
エガラウィナゴ→イヌイットの網 2025.01.02
2025.01.01 公開
2025.01.02 更新
長谷川 浩(あそびをせんとや)
(c)2025 長谷川 浩 ご質問、コメント等はこちらへ ![]() |