第14回:多面体構造(その2) シシドユキオの正十二面体

(2025年5月号:通巻763号)

 多面体構造の2回目は、シシドユキオさんの polyhedron-IIIa, polyhedron-IVa, polyhedron-Va という素晴らしい創作作品をご紹介しています。本連載「あやとりの楽しみ」は毎号見開き2ページなのですが、この3作品の手順だけでまるまる1ページを使っています。

 今回ご紹介するシシドさんの3作品は下の図のような多面体です。

N角反柱の双対多面体の上下の頂点を切り落としたかたち

 この号では「数学セミナー」の背表紙に「あやとりで正十二面体」という文字を入れていただくことができて感激しました。


Polyhedron-IIIa

Polyhedron-IIIa

 鋭角型の菱形六面体のように見えるかたちです。短いあやとり紐で取れば立方体に近いかたちができるのではないかと試してみたのですがうまくいきませんでした。


Polyhedron-IVa

Polyhedron-IVa

 これもきれいに整えるのは簡単ではない作品です。


Polyhedron-Va

 うまく整えれば正十二面体になるはずの構造です。正十二面体は頂点が20あります。(正二十面体と双対関係です。)このあやとり作品は、10本の指にかかるそれぞれの指の輪の両側の糸が正十二面体の2つの頂点を形作ります。両手の10本の指がふさがっているので自分があやとりを取った状態では調整ができません。下の写真のように、デュプロブロックを組んであやとりを掛けてなんとか正十二面体に近づけるように頑張ってみました。デュプロブロックには磁石を仕込んで白いマグネットボードに貼り付けてあります。位置の微調整をするのに都合が良いのです。

Polyhedron-Va

 中央の多面体部分を拡大してみました。

 この取り方をご紹介するのは本連載「あやとりの楽しみ」の目標の1つでした。シシドユキオさんの素晴らしい創作作品をご紹介できてとても嬉しく思っています。


参考文献

  1. bsfa No.17(1991) pp.1-10 “Symmetrical String Figures -2-” Y. Shishido

2025.11.02


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2025.11.02 公開
2025.11.02 更新
長谷川 浩(あそびをせんとや)


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