第19回:伝承作品「井戸」と関連作品 

(2025年10月号:通巻768号)

 四角錐もしくは六角錐の伝承作品の回のときに、この「井戸」も考えたのです。でも「井戸」は四角錐とも六角錐とも言い難いかたちですし、ここから派生する作品もたくさんあります。なので「井戸」は独立した回にすることにしました。「井戸」は立体作品で、かつ動きのある作品です。さらに「井戸の囲い」とか「垣根」と呼ばれる平面的な幾何学図形に進みます。今回は前半の立体的な部分までのご紹介とし、平面的な幾何学構造は次回に書くことにしました。


「井戸」と「干上がった井戸」

「井戸」(オセアニア各地) 「干上がった井戸」(オセアニア各地)

 この2つは同じ作品で、単に両手の姿勢を変えているだけです。下のgifアニメーションのように、水が溜まったり干上がったりした状態を交互に変化させて遊びます。

 「干上がった井戸」のほうで、さらに小指が押さえている2本の糸をゆるめて中央で上に飛び出させて「噴水」と呼ぶ地方もあるようです。


「橋」と「浴槽」

「橋」(パプアニューギニア) 「浴槽」(「橋」のアレンジ)

 「橋」は「井戸」をちょっと変形した作品です。これを見ていたら、小指が握り込んでいる2本の糸を分離して立体的に整えてみたくなったのです。やってみたらバスダブみたいなかたちになりました。これを「浴槽」と呼んでみました。この「浴槽」と呼んでいるかたち、けっこう気に入っています。


樹木葬

「樹木葬」(パプアニューギニア) 「樹木葬」(パプアニューギニア)

 「井戸」からの変化形はたくさんあるのですが、その中でも立体的なものは…と思って「樹木葬」というパプアニューギニアの作品をご紹介することにしました。世界中で知られている「四段ばしご」という作品の手順が活用されています。床が網目になった三角柱のようなかたちです。写真が1枚だけだと立体的なかたちがわかりにくいので、2枚撮ってみました。

「樹木葬」(パプアニューギニア)

 紐の長さを変えたら印象が変わるだろうかと思って試してみたのですがあまり変わりませんでした。


2025.11.02


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2025.11.02 公開
2025.11.02 更新
長谷川 浩(あそびをせんとや)


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