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令和7年8月3日 | エゴノキ |
うつむいて咲く花には捨てがたい味がある。海棠や紅どうだん、更紗どうだんは花色ゆえにかえって華麗に思えるが、白い花はいたいけない。似た花で山に咲くものとなると
"えごの木" だろう。昔の子はこの花を水につけてシャボン玉を作った。谷や沢に咲くせいか、水に縁が濃く、涼やかでしおらしい花である。 えごの花雨の小径を明るくす 笹節子 えごの花森暗ければ匂いけり 泉六秋 今朝の青葉を清々しい気持ちで見ることが出来ました。 |
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夕菅 | クレナイ | 農業大学のお花畑 | 山紫陽花の挿し木 |
令和7年7月27日 | 霧の森 |
山を歩いていて、最もこころが穏やかに、じんわり感動するのが、雨の森や、視界の効かない霧がかかるときだ。 晴天の絶景の爽快さとはまた違う、自然の表情。 そんな日に、運よくひとり森の中ですごせるのは至福の時間。 雨の日も雪の日も、四季の中に生きている自然を見ることができる山小屋。 山に住むと健康な心が根付く。 |
令和7年7月20日 | 夏井いつき |
風生と死の話して涼しさよ 高浜虚子 弟子で友人の富安風生と、籐椅子などに並んで腰かけ、庭を見ながら話をしている。山の家は町の家よりは涼しいが、それでも蝉が鳴いて暑い昼である。辞世の句の話から発展して、誰それが死んだ、あの人ももう長くないらしいという話題になった。それぞれが夢を語るように、いかに死ぬかを話す心地のなんと涼やかなことか。 他の物事とまったく同じように、自分の事も客観的に見て詠むのは俳句の基本。俳句をするって事は、結局いかにさばさばと死ぬかって事を、日々ちょっとずつ練習しているのかもしれない。還暦過ぎた友人が集まると、墓の話、実家が空き家って話ばっかり(笑)、笑いごとやないよね。 |
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病気の最中は、歩いている時地面しか見てなかった。散歩してても下ばかり見ていた。 やっと少し気持ちが落ち着いた時、空ってこんなに高かったのかと思って。 人間は健康だけで結構楽しい。八ヶ岳は自然のままで結構楽しい。 今年はきっと暑い夏になる。燕がいつもより多いようだ。 |
令和7年7月13日 | 外山道子 (長野市 主婦 56歳) |
夫が五十五歳で急逝して四年目を迎えた。日々の雑事や仕事に追われ、あっという間の時だった。 先月、四年ぶりに松本まで中央線に乗った。車窓から懐かしい六月の花が見えた。 白いアマドコロの花とピンクのウツギの花がたわわに咲いていた。 夫とはいつも、信州の山歩きや四季折々の花の旅をしていた。四年ぶりの花々との出会いに胸がいっぱいになった。 トンネルを抜けると、まばゆいばかりの残雪の北アルプスが目に飛び込んだ。どれも夫と歩いた山々だ。 この四年間、ひたすら二人の息子と共に、夫への感謝と思い出を胸に、悲しみは心の底にしまって生きてきた。 山の花々に出会うこともなく過してきた。そうだ、また山歩きをしてみよう。 梅雨も明けた。夫と最後に見たヤナギランの花を訪ねて、夏の山に行ってみよう。 |
令和7年7月6日 | 夕立 |
夕立のあと夕空の残りけり 今井杏太郎 俄にかき曇ったかと思いきや、大粒の雨が降りはじめました。夕立は雷を伴う激しい雨ですが、早く降り止むのが特徴です。 さて、夕立の去ったあとには洗いざらしの夕空が残されました。夕立の濁った空とは比べものにならないほど美しい空です。雨後には涼しい夕風も訪れたことでしょう。 雨もまた良し、そんなゆとりを持って毎日を送りたいものです。 |
令和7年6月29日 | 蓮如 |
蓮如は浄土真宗のお坊さんである。 この浄土真宗の教えをひらいたのは、有名な親鸞である。辞書などでは親鸞に関して、浄土真宗の開祖などという説明がされているので、本願寺を作った人と誤解されることもあるようだが、そうではない。親鸞は関東を中心にすくなからぬ信奉者をあつめ、帰依する人も多かったが、いわゆる教団を組織しなかった。道場で布教はしても、本山といえるような寺はもたなかった人である。親鸞の死後、近親者の手で簡素な墓がつくられる。それはやがて彼を慕う地方門徒たちの協力で廟として形をととのえていくのが、本願寺の出発点である。 八代目の蓮如までの本願寺はすこぶるみじめなものだったらしい。比叡山延暦寺の裾野のはるか下の方につらなる、天台宗の末寺といってもいい影の薄さだったようである。蓮如はそんな寺に、使用人として働いていた「いやしき女」を母として生まれた。 蓮如にまつわるエピソードは、数えきれないほど多い。なかでも有名なのは、彼の子沢山と、八十過ぎて子供を作ったエネルギーに関する話題である。なにしろ生涯に五回結婚し、二十七人もの子供を産ませたのだから。 「相手が若けりゃ、俺にもできる」と胸を張った作家もいたが、空威張りのような気もしないではなかった。 |
令和7年6月22日 | 水垣洋子 |
ほのかに匂う 沈丁花 あのときと同じ道 あのときと同じ匂い 違うのは わたしだけ |
令和7年6月15日 | 野鳥 |
この季節、早朝薄暗いうちから野鳥たちがさえずり始める。 心地よい目覚め迄のひと時、ぼんやりと野鳥たちの声を聞き分け、その姿や名前を思い浮かべてみる。 かっての私なら聞き分けられなかったが、最近少しわかるようになってきた。 書を伏せて午睡「唐詩選」の音りんりん 万巻の書読み残しておれガンになっちゃって |