山小屋便り9に続く
平成27年12月31日
60歳までは家族のために働き、それ以降は自分のために時間を使う。
そうして過ごしてきたこの8年間で、一番うれしいことは、良い人達と知り合ったこと。
同じ価値観を持つ多くの人と同じ時間を過ごしました。
人生捨てたものじゃない、この基本的にさびしい浮世にもささやかな幸福があります。
私の日常のモットーは、「幸せはささやかなるが極上」です。

「お金はないけど 暇はある」
といって、夫婦で8年間頑張ってきた。
今年は下諏訪美術会会長を引き受けましたので、暇もなくなりました。

*山小屋は12月10日に閉めました。雪が消える3月に開きます。

平成27年12月3日 11月は記録的な暖冬でした
今年は暖かく、外仕事は全て終わりました。
テラスの屋根を延ばしました。
初雪の八ヶ岳 霧の南アルプス 屋根材料 テラスの屋根延長

平成27年11月29日 静寂
山は静寂に包まれている。散歩をすると小川のせせらぎが良く聞こえるようになった。
夜空の星は本当にきれいです。
好奇心旺盛な人間には、田舎暮らしは日曜日がない
心はのんびり、体は忙しい。
自然に見守られながら、自分を見つめる時間が沢山持てるようになった。
のんびりするために山に来たのに、今すごく忙しい。
27日初雪です。辛夷の冬芽。

平成27年11月22日 山暮らし
日没とともに、家の周りは真っ暗になる。
そして、月が昇ると林の木々が墨絵のように広がり、白樺がぼんやりと浮かび上がる。
山の夜は静寂に包まれている。暗闇の中で自分の足元も見えない。
町では考えられない闇と静寂が山小屋を覆っている。

平成27年10月25日 縄文
秋の原村収穫祭は大勢の客でにぎわっていた。午後のバター作り体験は開始早々満員になりました。
山小屋に近い「尖石縄文考古館」を観る。
国宝の「縄文のビーナス」と「仮面の女神」を見ました。レプリカを持つとずっしりと重い。
5千年昔に作られた、蛇体把手付深鉢は美しい縄文と、縁に口を開いた蛇体の加飾がされている。
蓼科の小津安二郎監督の無芸荘を見学。小津といえば「麦秋」「東京物語」「秋刀魚の味」でしょうか。

平成27年10月20日 紅葉の山
落葉松の葉が黄色に染まり、やがて雪のように舞い落ちる。
深緑だった森は紅葉し、風景は動から静に移る。
ズミが赤い実をつけ、庭は紅葉真っ盛り。
今、庭は一番美しい時、これからモノクロの冬へ向かう。
落葉を掃き、鹿対策の網を植木に巻く。


  ほどほどに 老いて紅葉の 山歩き    能村登四郎

平成27年10月11日 紅葉
夏になると月見草が咲き誇ります。でもこれは正確には“大待宵草”または“宵待草”のことです。
本当の月見草とは、夕に純白で開花し、夜半には薄ピンクからピンク色に変身して、朝にはぼんでしまう可憐な小花です。
ドングリ、イチイ、桂、辛夷、赤ヤマボウシ、やまぼうし、うど、紅葉。

平成27年10月4日 俵万智
   孔雀草を 好める人を思い出す 年に一度の小セレモニー
「好きな花は?」と聞いたら、迷わず「孔雀草」と答えた人がいた。
あいにく私は知らない花で、でも「孔雀」という名前から、何かゴージャスな感じの花を、イメージしていた。
後に初めて孔雀草を見て、ちょっとびっくりした。ゴージャスという言葉からは程遠い、素朴で清楚な花だった。そしてなるほどとうなずく。いかにも彼が好みそうな花である。野の匂いがしてきそうな、懐かしいような、たたずまい。花の好みというのは、女性の好みに通じるのかなあ、と、そんなことまで思ったりした。
秋が近づくと、必ず一度は孔雀草を飾ることにしている。この花を教えてくれた人を思い出す、ささやかなセレモニーだ。

平成27年9月26日 風の音が聞こえる山暮らし
人を大事にすると自分も大事にされる。最近そんな言葉が実感されます。
山小屋に孫達が来ました。5連休の山は若い人で大賑わいです。
窯焚きで七輪に燠を使い料理をする予定です。
裏山の赤とんぼ。

平成27年9月20日 風の音が聞こえる山暮らし
秋の始まりは赤とんぼ。
九月になると山小屋の周りは沢山の赤とんぼが飛び回る。

西洋かまつか、タデ、黄レンゲショウマ、めぐすりの木、ムクゲを植えました。
ススキ、とりかぶと、山しゃくやくの実、
ご近所の若松さんの山小屋「夢想庵」で自然酵母のパンを手作り体験しました。

平成27年9月13日 大雨
関東で大雨。水害は恐ろしいですね。
八ヶ岳でも大雨が続き、山中から水がわき出ていました。
タラの芽の花を初めて撮りました。山ブドウはだいぶ黒くなりました。

平成27年8月30日 風の音が聞こえる山暮らし
透明感のある冷たい空気が八ヶ岳山麓を覆い始めると秋である。
地梨、野イチゴが採れます。山ブドウはまだ青い。
山を赤く染めていた萩は終わりです。

平成27年8月23日 風の音が聞こえる山暮らし
お盆を過ぎると山ではもう秋。夜はとても寒い。

平成27年8月9日 夏祭り
8月8日は別荘地の夏祭りで、緋色窯も小さなお店を出しました。
すいか、とうもろこし、焼そば、そして生ビールが飲み放題で、すべて無料です。
8月9日はオープンハウスで穴窯を公開し、50人ほどの見学者がありました。
今年も山百合が咲き、オニユリ、月見草が咲いています。

平成27年8月2日 風の音が聞こえる山暮らし
萩、玉アジサイ、ヤミナエシ、つりか゜ねにんじん、山アジサイ。

平成27年7月26日 せわしく生きるのは、もう、やめた   はら たいら
  気楽だね できそこないの 人生も    はら たいら

別荘地を選んでよかったと思う。
同じような人生観を持った人達と巡り合えた。
タイマツソウ・ホタルブクロ

平成27年7月19日 風の音が聞こえる山暮らし
梅雨が終わると短い夏である。
八ヶ岳の夏は湿気がなく、どんなに暑くても木陰に入ると涼しい。
夏は冬の分まで外で仕事をしているので、太陽が西の空に沈んでから山小屋に入ることになる。
タチアオイ シモツケ 山あじさい あざみ

平成27年7月12日 とうでん川柳倶楽部
  紫陽花が 好きで幸福 薄きひと
エゴノキが植えてから3年で初めて咲きました。
エゴノキ ギボウシ 山あじさい ノリウツギ

平成27年7月5日 テラス
枕木テラスが完成しました。
今年もスズメバチホイホイ5本を設置しました。
南アルプス、夏です。
今、草刈りが大変な時期です。

平成27年6月28日 せわしく生きるのは、もう、やめた
   なんとなく ただ なんとなく 日がしずみ          はら たいら
オダマキが咲き、シャクヤクが咲きました。

平成27年6月21日 とうでん川柳倶楽部
   かきつばた 今淡々と 人が好き
九輪草、姫かんぞう、赤花ヤマボウシ、ヤマボウシ、二輪草マイヅル草、アヤメ。
鹿はこの時期、食べ物が沢山あるのでとてもグルメです。ユリやギボウシの柔らかい葉だけを食べています。
ベランダの横にテラスを作ります。来週には完成予定。

平成27年6月10日 雑草
今山小屋は雑草に埋もれていますが、とても忙しくて草刈りが出来ません。
ふき、登藤、ウド、?ラン。

平成27年6月9日 テラス
ベランダの横にテラスを作ります。とりあえず山小屋にある廃材だけで造ろうと思います。つづく。

平成27年6月1日 満開です
山は今花の一番いい季節。
レンゲツツジ、花筏、九輪草、さるなし、利休梅、黄レンゲツツジ、シャガ、シャクナゲ。

平成27年5月24日 わらび採れる
山の中で静かに暮らそう、自然に囲まれて生きたい。
今までとは少し違った生活をしたいと8年目です。
延齢草、谷うつぎ、小梨、三つ葉つつじ、淀川つつじ、山しくやく、山吹。
今年はわらびの採れるのが早く、5月18日にはたくさん採れました。

平成27年5月17日
ウコン桜が初めて咲きました。6年前に植えた時、鹿に葉を全部食べられましたが復活です。
楊貴妃桜、八重桜、さつき。

平成27年5月6日 収穫
コシアブラ、シイタケ、タラの芽、ウド。
今年は大変あたたかく、タラの芽も沢山採れ、ウドが5月の連休に採れたのは初めてです。

平成27年5月4日
五月の連休は2カ月も先の気温で花が2週間も早く咲いています。
大山桜 ジュンベリー 地梨 姫辛夷
散歩道 雪柳 シラネアオイ 黒文字

平成27年5月1日 植木
木を植えるのは春の楽しみです。
早春のまだ木が芽吹く前に植えると枯らしてしまうことはありません。
植えた木が育ち、半年、一年、古いものは七年を経て趣が出てきました。
アズマシャクナゲ、うめもどき。みそはぎ、山ブドウ、バイカウツギ、花もも、ボケ、ツツジ、山百合、たちあおい、しらねあおい(白)。

平成27年4月29日
辛夷が咲きました。
ここに自生しているまめ桜? ムシカリと大木の霞桜も満開です。

平成27年4月26日 新潟
新潟の田舎に行ってきました。
残雪の中にかたくりが満開です。
山桜、山梨、水芭蕉、雪椿、白花いかり草。
こごみを沢山いただいてきました。

平成27年4月26日 とうでん川柳倶楽部
 散ったあと 見向きもされぬ 桜の木   貝塚市 中野恵空

 女の若い花盛りだけをチヤホヤする男がいる。桜の散ったあとは確かにみすぼらしい。
しかし、やがてあの、みずみずしい葉桜の季節を迎えるのだ。
葉桜の下を歩く女は美しい。葉桜の下の男も凛々しく見える。
恋はしばしば葉桜の下で芽生えるのよ。元気出してね。
写真は18日

平成27年4月19日 鹿
鹿が家の前で草を食べています。
食べないと思っていたしゃくなげも食べています。
12日に山小屋を開きました。翌13日は朝から牡丹雪が。
庭は真っ白です。
鹿が家の前に 鹿が家の前に 福寿草 カタクリ
13日朝突然の雪です

平成27年4月12日 暇はある
自然の中に住んでいるとやることは沢山ある。そして、なんであれ、やってみれは新鮮で面白い。
山では「お金はないが暇はある」と何でも自分たちでやっています。
鹿が草花の芽を食べます。
タラの芽は芽だけでなく皮も食べられました。。

平成27年4月5日 風の音が聞こえる山暮らし
春は蕗のとう摘みで始まる。
積もっていた雪が解け始めると、白い雪の中に薄緑の蕗のとうが顔を出す。
自然の中で暮らす楽しさを感じながら食べる蕗のとうの苦みは春の味である。
カタクリが咲きそうです。クリスマスローズは大株になりました。

平成27年3月29日 雪解け
3月27日からは5月の陽気で雪解けです。
いよいよ鹿が出てきました。

平成27年3月22日 紅万作
三月初旬に真小屋の雪の中で紅万作が咲いていました。下諏訪の工房ではクリスマスローズと行者にんにくが出てきました。。

平成27年3月8日 とうでん川柳倶楽部
残雪も ときめきもいつ 消えたやら   岡山県 片山孝子

人が老いていくさびしさを残雪に託して深い味わいを出している。
「ときめき」ーーこの躍動を忘れてからどれくらいの歳月が流れたことか。
私はついこの間小さな旅をして、忘れていた「ときめき」に出会った。
色とりどりの風車や、紙人形のいとしさ。こういうときめきも悪くないな、と思ったが、ねがわくば人にときめきたいものだ。
いいぬふぐり 二階の屋根に雪なし 蓼科山 八ヶ岳

平成27年3月1日
はじめは、ただ真っ白な森にしか見えなかったのだが、よく見ると風景はまるで違って見える。
鹿の足跡、キツネやリスもいる。
雪に閉ざされているように見える森にも、さまざまな動物たちが息づいている。
こういう風景の中に身をおくと、自分の小ささが心地よく感じられ、肩の力が抜け、励まされたような気分になる。



平成27年2月15日 山小屋
白という言葉の無力思いつつ
雪豊かなる 森の逍遥    俵万智

平成27年2月1日 八ヶ岳の植物  今井建樹
日本は温潤気候帯に属しているので、主として温度要因によって、その植生は決定され、気候帯と垂直分布はほぼ一致し、本州中部では次のようになっている。
標高           垂直分布   気候帯
2500m          高山帯     寒帯
2500m〜1500m    亜高山帯    亜寒帯
1500m〜1000m    低山帯      温帯
1000m〜700m     山麓帯    中間温帯
山小屋がある低山帯は、春5〜6月頃新緑の若葉をつけ、秋は黄や赤に紅葉し、冬は完全に落葉する夏緑広葉樹林帯である。
しかし、この夏緑広葉樹林帯は自然のものはほとんど見られず、あっても二次林である。
大部分の地域は植林によるカラマツ林で、伐採跡地にはアカマツ林やシラカンバ林がある。
平地から山地に行くほど春は遅くなる。
それは山を100m登るごとに気温が約0.6℃低くなるからで、下諏訪(700m)から山小屋(1500m)まではおよそ800mの標高差があり、気温で約5℃、季節は25日ぐらいの差があります。
雪の山小屋 霧氷 積雪50p

平成27年1月18日
人口減少と高齢化が進む日本。地方では高齢者人口すら減少し、介護関連を中心に雇用が縮小する。
政府推計では2050年(35年後)に日本の6割以上の地域で人口が半分以下に減少、2割の地域には人が住まなくなる見通しだ。
山小屋から南アルプス ベンチ 鹿の足跡 山小屋は40cmの積雪

平成27年1月3日
厳冬の八ヶ岳、ただ風が吹き、雪を舞い上げる。
地吹雪だ。
僕は下界での緊張がほどけ、「素」の自分に戻る。
自分らしく、自然体で、それでいいじゃないか。
お前は、それ以上でも、それ以下でもないと風は言っている。

平成27年1月2日 木立の中に引っ越しました  高木美保
祖母はもうこの世にいない。私が奥入瀬を訪れた年に亡くなってしまった。
懐かしいあの家は知らない人の手に渡り、今は駐車場になっている。
五年ほど前に一人でお墓参りに行ったとき前を通ったが、そこにはもう私の記憶と重なるものは何も残っていなかった。
ひとかけらの土でさえも。
私はどうしょうもない悲しみと耐えがたい怒りを引きずってその場を立ち去った。怒りは自分自身へのものだった。
もし私が、祖母との思い出をもっと大切にしていたら、そうできる心の余裕を持って生きていたら、祖母のためにしてあげられることはたくさんあったろうに。本当にバカだった。後悔してもしきれない。
この経験の後、私は仕事のやり方を変えた。数を減らし休みを取るようににし、その分、家族や友人と過ごす時間を沢山持つようになった。いくら先の心配をしてたところで、体がダメになってしまえば何もかも水の泡なのだ。それどころか今しなければいけない大切なことまで見失ってしまったらーーと、今も時々自分に問いかけている。
もしかしたら那須での自然の中で暮らすこの生活は祖母がくれたものなのかもしれないと思う。

平成27年1月1日 年月
六十歳で絶対働かないと決心したことに、どういう理由があったのか、六十歳はリタイヤにはいささか早すぎた気がする。
誰が何と云おうがこの先はいっさい働かないと隠居を決め、八ヶ岳に山小屋を建て、山野草を育て、木を植え、薪を作り、陶器を焼いた。
まあ、少々早すぎても、異常と責めるほどではなく、わがままを通してもらった僕は幸せだ。
大好きな山に棲み、木の香り、雨や風の音、蝉や動物の声、自然の中で暮らし、四季の移ろいに心奪われている。
正月の山神社は雪に埋まっている。 山小屋