山小屋便り4へ続く

平成22年10月24日 葉っぱ   七円の唄 誰かとどこかで
この間、仕事を終えて、木陰に止めておいたトラックに入ったときのことです。風に吹かれて、開けていた窓から入ったのでしょう、大きな黄色の葉っぱが一枚、運転台にありました。
その昔、紙のない時代、葉っぱに文字を書いて人の心を伝えたことから、ハガキとよばれるようになったそうですが、車に入っていたその木の葉に
、「もう秋ですよ」と書かれているように思いました。

平成22年10月17日
植えてから三年、栗が初めて実りました。
山小屋に来る道々に山栗が落ちていて大量に拾いましたが、我が家の栗は格別です。


秋も終り近くなるとホームセンターで苗木が100円などタダ同然になります。
栗、夏目、カリンなど枯れてもいいつもりで5本植えました。
つりばな じこぼう またたび ごみし
やまぼうし 唐松 くりたけ

平成22年9月29日 きのこ
今年初めて大量の”じこぼう”が採れました。
窯焚きの応援者に振る舞う予定です。

平成22年9月26日 立山のふもとから3  船尾美津子
雪は二日続いた。乾いた屋根にみるみる七・八十センチの積雪だった。待ちあぐねていた雪だったのに、こわいな、と思った。
「夏、暑いのは当たり前、冬、寒いのは当たり前、何をじたばたしてるんだい」
泰然として、愚痴をこぼしたことのなかった母の声が聞こえてくるようである。
微笑を浮かべた母の死顔を、私はふと思い出すのだった。
20日今年初のじこぼう コスモス 山アジサイを移植 霧の窯場

平成22年9月19日 鳥の巣箱
鳥の巣箱を作りました。これで巣箱は3個。
朝晩はだいぶ涼しくなり、雲はすっかり秋の雲になりました。赤とんぼも飛び回っています。
がまづみの実が赤くなり、リョウブと酔芙蓉を植えました。山に入ると
「とりかぶと」が咲いています。

平成22年9月12日 立山のふもとから2  船尾美津子
富山鉄道・有峰口の駅前の、宮本旅館のおじいちゃん、宮本貞秀さんは刀匠である。
「野鍛冶やっとったんだちゃ」とおばあちゃんが言う。
どうしても刀を作りたくて、貞秀さんは、一人で新潟へ、刀鍛冶の修行に行った。
「何かに挑戦したい性の人だから、やりたいことをやらせとかにゃどうなる。かなえさせてあげようとおもったちゃ」
「苦労したちゃあ」
残された方はさもありなんと思うが、おばあちゃんの声は明るい。

昭和十三年、文展に初入選した貞秀さんは、日独協会から依頼されて、ヒトラーに日本刀を送り、当時の新聞をにぎわせた。
「ヒトラーが、こうして、俺の刀見とったちゃ」。貞秀さんは感慨深げである。

召集、敗戦後、貞秀さんは再び野鍛冶に戻った。今、良い家族に囲まれ、二人は寄り添っている。
帰りかけると、貞秀さんがひと言
「走馬灯の如くだちゃ」 ・・・・・と言った。

平成22年9月5日 立山のふもとから 1  船尾美津子
山麓から眺める大日岳が白い。そういえば、昨夜の冷え込みには、冬の気配があった。
山小屋に出入りしているうちに、縁あって山岳写真家の方とも知り合った。
ーーーまた、おいしいおつまみで、一パイやりたいですね。ーーー
ハガキにそう書いてよこしたのは、金海次郎さんだった。
訃報を聞いたのは、その直後だった。金海さんは誤って、自宅マンションの七階から墜落した。
金海次郎さんの
写真集「白い尾瀬」に私は感動した。黒白で、冬景色はいっそうきびしく美しかった。言葉はひとつも添えられていないが、写真の一枚一枚から、金海さんが語りかけてくるようだった。
気になる「はがき」を手に、私は金海さんに伝えた。
「金海さん、また、冬が来ます

平成22年8月29日
 野分立つ しをれて哀し こぼれ萩
野分は秋から初冬にかけて吹く、特に二百十日前後に吹く台風による暴風のことで、「のわけ」ともいう。
通説では野の草を吹き分けて通る風。
 
今、山では萩の花が満開です。

平成22年8月22日
毎日暑い日が続いていますが、山では薄が揺れています。
家では寝るときにエアコンが必要ですが、山では涼しくて安眠出来ます。
散歩道の山ブドウ。実がついているのを初めてみました。
栗、野イチゴ、地ナシも見つけました。元気な自然。ふるさとの森です。
吾木香の写真は難しい。月見草はもう終わりです。

平成22年8月8日 丸山御柱祭
一ツ石山神社の御柱祭りが行われた。
我が工房横の広場から出発し、薪置き場の前を下っていきます。
引いていく道の途中の家はビールやスイカ、お菓子、ジュースなどを振る舞う。
剣道をしている角坂さんの冠落としは力強く正確で見事です。

平成22年8月7日 丸山別荘地
一ツ石山神社、御柱祭りの木作りが早朝から行われた。
別荘地の住民には、興味深いものを見せていただきました。
その後、丸山別荘地の懇親会が行われた。
生ビールと茹とうもろこし、焼きそば、スイカで酔って午後は爆睡です。

平成22年7月30
友あり遠方より来たる
あいにくの雨でも穴窯を熱心に見学し近況報告。
この年になると皆何らかの病気を持っているが、上手に付き合っていくしかない。

平成22年7月28日 井戸尻遺跡
井戸尻遺跡へハスを見に行きました。ハスは三日間くらい咲いているそうです。スイレンと古代ハス。
我が家紋の「おもだか」を初めてみました。
道の駅「信州蔦木宿」には温泉があります。

平成22年7月19日 富士見高原ユリ園
富士見高原ユリ園に行きました。大勢の客がいましたが、ユリはまだ咲き始めで、満開になるには後二週間はかかります。
富士見百景では、富士山に雲がかかっています。

平成22年7月18日 自然浸透井戸
穴窯の雨水処理に自然浸透井戸の三個目を掘りました。
大きさ1.0m×1.0m
深さ1mで小石がタップリ入りました。
山に咲く花を撮りました。

平成22年6月27日 野生種
山に自生しているもの。山椒、オダマキ、アスパラ、うど

平成22年6月20日 やまぼうし   田中雪子
 たらちねの 母逝きにけり 水無月の
  やまぼうし 花咲き満つる日に

 その年の青葉の頃は、やまぼうしの花が異常なほど、咲き誇った年で、それはそれは見事なものだった。青葉の萌える山の斜面に真っ白な大きな斑があちこちに見えたものだ。
山桜も散り、辛夷の花も散って、緑一色のはずの山容に白く輝くひとかたまりは、わざわざ傍まで行って確かめると、それは4枚花片の真っ白なやまぼうしの花で、目を見張るほどの美しさに輝いていた。母の魂は、このやまぼうしの花の上に乗って天空へ旅立ったのだと私は思いたかった。六月と言えば、あじさいもあり、花菖蒲もあり、藤の花も華やかに彩る季節だけれど、私はこのやまぼうしの花を母の忌花と決めた。
私の山小屋には2本のやまぼうしが咲いています。
散歩道に谷川の水たまりを見つけました。付近でワラビがたくさん採れました。

  谷川に 姿うつして山帽子 見る人なくて 清らかに咲く

平成22年6月6日 自然浸透井戸
穴窯の雨水処理に自然浸透井戸を掘りました。
大きな石が2個出てきて穴が大きくなり、疲れました。
大きさ1.5m×1.1m
深さ1mで小石がタップリ入りました。

平成22年5月24日 バラクラ イングリッシュ ガーデン
蓼科高原バラクラ イングリッシュ ガーデンには5つのシーズンがある。
  ガーデンタペストリー   4/28〜5/24 球根類が開花
  クラシックローズ      6/11〜7/5 エレガントにバラが開花
  ハーブ&ベジタブル    7/9〜8/2 ハーブガーデンが見ごろ 
  ダリア            9/3〜10/11 秋のガーデン
  クリスマス         12/1〜12/5 バザール
八ヶ岳山野草園は白樺湖に向かう北山柏原にある。
懐かしい山野草がある。

平成22年5月23日 蓮華躑躅
 山は梅雨入り前の、一年で一番美しい季節を迎えている。
木々は薄緑に染まり、花が咲き乱れる。
何よりも美しいのは夕暮れで、西の空を茜に染めてたゆたう。
陽はなかなか沈まず、沈んでもしばらく薄明かりが続く。
私はワイン色の雲をうっとりと眺めている。

山小屋付近は、一日いてもあきない森で、
のんびりと、行けるところまで行ったら帰ってくる、そんな時間にとらわれない森歩きの楽しみがある。
山が好きな私は、いつまでも外にいて、山小屋には入らない。

蓮華躑躅が咲きました。山吹、姫コブシ、雅桜も。
寒い山の中だから成長は遅い。