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以前の「ひとこと」 : 2020年4月前半



4月1日(水) 穴開き三角形のマッチングパズル:正六角形の周期解(その1)

 4月になりました。2週間ほど間が空いてしまいましたが、穴開き三角形のマッチングパズルの話の続きに戻ります。

 3月19日のひとことで、穴開き三角形のタイルセット

穴開き三角形のタイルセット

を、タイルの両辺の穴のパターンが同じになる(=マッチングする)ように長さ2の正六角形に配置せよ、ただし向かい合う辺どうしもマッチングしなければならないという配置を検討しました。

向かい合う辺もマッチングする

 これ、ちゃんと解がありましたのでご紹介します(図1)。

図 1

 最外周の向かい合う辺も含め、マッチングしていることをご確認ください。(ミスが心配で何度も見直していますけれども。)

 周期解なので、こうやって並べることができます(図2)。

図 2

 図2のように周期的に無限に配置したパターンの中から、任意の辺の長さが2の六角形のエリアを取り出すことができます。ということは、24枚のタイルセットから任意の1つを選んで、 六角形の盤のどこでもいいのでどこか適当な位置に適当な向きで置いたとしても、そこから始めて24枚をマッチング配置できる解がある、ということになります。こういう周期解を全て同じ解だとみなしたとき、本質的に異なる解はどのくらいあるのかな、ということがちょっと興味がありますが、手作業で簡単に見つかるということは、解はそこそこたくさんあるのではないかなと思っています。



 前回もう1つ、六角形の向かい合う3組の辺どうしをトポロジカルにつないだとしたらどんな図形ができるでしょう? という問いかけをしていました。

六角形の向かい合う辺を繋ぐと…

 なんとなく「2つ穴のトーラス(二人乗りの浮き輪)」ができるのかな、と思いませんか? でもそうではなくて、普通のトーラスができます(図3)。

図 3

 正八角形の向かい合う4組の辺を合わせると2つ穴トーラス、正十二角形の向かい合う6組を合わせると3つ穴トーラス、というように、N個の穴のあるトーラスを作るには4N角形から始める必要があるそうです。



 今回ご紹介した外周の周期的マッチングは向かい合う辺どうしがマッチングするものでした。これは解がありました。それでは図4のように隣り合う辺どうしがマッチングするように24枚のタイルセットを配置できるでしょうか?

今回の外周マッチング 図 4:これは可能?

 またこのとき、この六角形を平面に敷き詰めるパターンはどうなるでしょうか?

(つづく)



 昨日、単発の話題ということで下図の5つのピースを3×5の長方形の盤と、4×4の正方形の盤(こちらは隙間ができる)に重ならないように配置してくださいというパッキングパズルをご紹介しました。手作業で解を1つずつ見つけましたが、別解が見つからず、どうやら別解はないような気がしてきました、と書きました。

3×5、4×4へのパッキング

 そうしたらMさんから「このパズルの解の数を調べてみましたが、いずれもユニーク解でした」というご連絡をいただきました。こんなにすぐに確認をして下さって感激しています。ありがとうございます。

 月末最終日の単発の話題のつもりでご紹介をしたものでしたが、「なぜこの5つのピースを選んだのだろう?」「ピースの選択を変えたらどうなるのだろう?」…等、ちょっとイメージが膨らみます。正方形や正三角形、正六角形を連結したピースを用いたタイリングやパッキングは膨大な研究例がありますが、これも探せば研究例がありそうですね。

<おまけのひとこと>
 4月になりました。過去のページ、これまでは半月ごとにひとまとめにしていたのですが、最近の1回の文章や図の量を考えるとこれだと長すぎるなという気がしてきました。例えば上旬・中旬・下旬で分けるともう少しましになるでしょうか。でも面倒だな…






4月2日(木) 穴開き三角形のマッチングパズル:正六角形の周期解(その2)、他

 穴開き三角形のタイルセット

穴開き三角形のタイルセット

 を用いたマッチングパズルの検討をしています。昨日、24枚を正六角形のかたちに並べたとき、外周の隣接する2辺もマッチするような配置ができないでしょうか、という問いを考えてみました。いつものように、各頂点には穴があるのかないのかを考えて、パーツの数が合うように穴あり(黒丸)、穴なし(白丸)の頂点の配置をデザインしてみました(図1)。

図 1

 この設計図をもとに手作業でマッチングパズルの解を探索してみました。

(つづく)



 ところで、昨日の正六角形の相対する辺をむりやり貼り合わせると、位相幾何学的にはトーラスになりました。今回の隣接する辺どうしをむりやり貼り合わせたらどうなるでしょうか?

図 2

 これはトポロジカルな変形までしなくても、ユークリッド幾何の世界でなんとかなります。折り紙の人ならすぐにイメージできると思います。

(つづく)



 先月後半に、4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフについて何日か書きました。

4閉路のない
4彩色可能な
単位距離グラフ

 そうしたら、satieさんという方から「このグラフが4彩色だということを確かめる方法が知りたくて、彩色多項式を調べてみました」というレポートをいただきました。(ありがとうございます。とても面白いです。)その最後に、「4色が必要ということが確認できれば、対称性を保って頂点を彩色したほうが美しい。たとえばこんな感じだ。」と書かれていて、こんな図が描かれていました。

図 3:satieさんの彩色

 確かに美しいですね。ありがとうございます。

 彩色多項式、今回は説明しませんが、興味がある方は調べてみることをお勧めします。検索するといろいろな情報が出てきます。



 一昨日、3月31日(火)にご紹介した下図の5つの図形のパッキングパズルについて、「なんでこの5つを選んだんだろう?」という疑問を昨日書きました。

3×5、4×4へのパッキング

 そうしたら、これらの解がユニーク解だと教えてくださったMさんから続報をいただいて、いろいろ精査をして下さってありました。短時間にこれだけの分析をされていることに舌を巻きました。

 Mさんの結論だけ簡単に言葉でご紹介すると、

・直角台形2つから成るピースは17種類
・そのうち5つを選んで3×5の長方形ができるのは33セットで、うち21セットがユニーク解 
・33セットのうち、4×4に詰めることが可能なのは18セット
・3×5も4×4もユニーク解を持つものが5セットある
上記は誤りで、ピースはもう少しありそうです。

 とのことです。素晴らしいです。4月3日追記:ピースの見落としがありました、というご連絡をいただきました。

 ちなみに私もタイルの種類を考えてみようと思って考え始めていたのですが、まだ着手したばかりでした。

図 4

 直角台形1つを固定して(図4のピンク)、もう1つを4方向に回転させ(黄色と水色)、固定した台形の辺にそれぞれの向きとして接続してみて、同じものができたら除外する、という作業をするとパーツのリストアップはできそうです。週末くらいに時間ができたら考えてみようと思っていたのですが、解を教えてもらえたので満足しました。ありがとうございました。

<おまけのひとこと>
 今日は教えていただいた情報のご紹介の話題が主でした。ありがとうございました。






4月3日(金) 穴開き三角形のマッチングパズル:正六角形の周期解(その3)、直角台形2つのピースの数え上げ

 穴開き三角形のタイルセット

穴開き三角形のタイルセット

を下図のように六角形の外周もマッチするように並べる解を手作業で探索してみました。

外周がマッチする条件

 そうしたらこんな解がみつかりました(図1)。

図 1

 これを平面全体に敷き詰めることを考えます。こんな風に図1を3つ組み合わせたものをユニットにすれば、タイリング可能になります(図2)。

図 2

 もともとの六角形が、隣接する辺どうしがマッチングする条件になっていました。なのでそれを図示すると図3のようになります。

図 3

 Fの文字を入れていますが、これは六角形をどのように回転させているのかをわかりやすくする目的で描いています。アルファベットのFは鏡像対称性も回転対称性も持たない最初のアルファベットの文字なのでFを選びました。(フォントのデザインにもよりますが、A,B,C,D,Eは全て鏡像対称性を持ちます。) 六角形は裏返しはしていません。

 また、それぞれの穴開き三角形のピースの頂点の〇の数での色の塗分けと、頂点に〇が集まっている格子点(黒丸)と〇がない格子点(白丸)の図でも、平面を敷き詰めるパターンを描いてみました(図4)。

図 4

 このデザインでは、白丸と黒丸は対称ではない(入れ替えると別のパターンになる)ことがわかりました。これはちょっと面白いです。

 穴開き三角形のマッチングパズル、まだもう少しほかのパターンも調べたりしているのですが、いったんここまでにしたいと思います。来週は(もし他に書きたい優先度の高い話題を思いつかなければ)穴開き三角形のタイルセットを使った、多面体や周期的配置の「相補的マッチング」の話をご紹介したいと思います。



 昨日速報を書かせていただいた、直角台形2つを組み合わせたピースによるパッキングパズルの検討ですが、情報を下さったMさんから「パーツの見落としがありました」というご連絡をいただきました。昨日の更新には取り消し線(こんな表記)を追記しました。

 話題を提供だけしておいて、検討は頼りっぱなしというのもいかがなものかと思って(というのは言い訳で単に自分でも考えてみたかったのです)、昨日お示しした考え方で、自分でもピースの検討をしてみました(図5)。

図 5

 A群はピンクの台形の上に別の台形を載せてできるかたちです。水色はピンクと合同、黄色はピンクの鏡像です。A群の左右で、黄色と水色が反転しています。

 B群はピンクの台形の左に別の台形を繋ぎました。すでにA群で出てきたものは省略しています。C群はピンクの台形の下に別の台形を繋いだものです。これも新しいパターンのみです。最後にD群は斜辺に繋いだものです。

 全部で21種類見つかりました。これで全部かどうか不安です。逆に、同じものを回転・反転させただけのものを別に数えていないか、気を付けてみたつもりですがダブっていたら恥ずかしいなと思っています。数え上げというのは手ごわいですね。

<おまけのひとこと>
 新年度が始まって、勤務先ではいろいろと組織変更がありました。以前からいろいろと支援をさせていただいている他所の職場のうち3か所くらいから「うちに来ない?」と誘っていただきました。まあ半分以上は社交辞令だということはわかっていますが、それでも定年まであと数年という者にそう言っていただけるのはありがたいことだなあと思います。
 お誘いに乗らせていただいてしまうと以前のようにたくさんの方への支援や協力がやりにくくなる可能性があるので、「これまで同様そちらの仕事もしますから大丈夫ですよ」といって辞退させていただいています。もちろん自分には決定権はありませんから、強権を発動されたらそれに従いますが。
 このページをご覧いただいている知り合いとかに「こいつ仕事をしていないんじゃないか」と思われるのはちょっと不本意なので、一応勤務先でもそれなりに必要とされている(らしい)ということを書いておこうかと思ったのです。






4月4日(土) げぇもねぇ(芸も無え)

 週末なので別の話題です。言葉遊び、というか言葉探しの話です。



 30年位前、1年間ほど父の代わりに住宅の建築現場で名ばかりの現場監督、実態は下っ端の使い走りの仕事をしていたことがあります。肉体労働はきつかったですが、腕のいい大工さんたちと仕事をするのは楽しかったです。

 在来工法の木造家屋の大工仕事というのは、ある程度「現場合わせ」の余地がある仕事です。図面では詳細には決められていないことをどう実現するか、センスと腕の見せどころということになります。そんなときに大工さんたちが「げぇもねぇ」(=芸が無い)という言葉をよく使っていました。洗練されていないとか、垢ぬけない、不格好だ、ダサいといったニュアンスの言葉です。

 ちなみに、「げぇもねぇ」という言葉のイントネーションは、 ぇもね というように、最初と最後だけが低くて真ん中の3音節は高い、という風に発音されます。 (下付き文字と上付き文字で表記してみたつもりですが、ご覧の環境ではそうなっておりますでしょうか。)「あたたかい」とか「美しい」「面白い」などと同じイントネーションで、ひとかたまりの単語のように使われていました。

 ふとこの言葉を思い出したのですが、同じイントネーションになっている名詞はあるだろうか? と考え始めました。(形容詞と同じく動詞も「現れる」とか「温める」とか、このパターンのイントネーションの言葉はたくさんあります。)5音節の名詞のイントネーションのパターンはいくつかあるのですが、下上上上下(以後これをこのように_  ̄  ̄  ̄ _ 表記することにします)の名詞は珍しいのではないかと思いました。 _  ̄  ̄ _ _ というパターンならいくらでもあるのですが…

 最初に思いついたのは、なぜか「揖保乃糸いぼのいと」という言葉でした。でも「の」が気に入りません。「水の中みずのなか」なんていうのも同じですね。

 少し考えて、「宝船たからぶね」「帆掛け船ほかけぶね」が浮かびました。さらに「千羽鶴せんばづる」を思いつきました。この中だったら「宝船」が比較的複合語っぽくない、自然な一語だと感じました。でももうちょっと「これだ!」と思えるものがないでしょうか。

 しばらく考えて、複合語ならばたくさんある系列を思いつきました。「藤原家」「藤原氏」、「足利家」「足利氏」、「豊臣家」「豊臣氏」のような系列です。面白いことに、「徳川家」は くがわ _  ̄  ̄  ̄ _ ですが、「徳川氏」は がわし _  ̄ _ _ _ と発音する気がします。

 「横浜市」「札幌市」「福岡市」なんていうのも _  ̄  ̄  ̄ _ です。面白いなと思ったのは「横浜」「札幌」は _  ̄  ̄  ̄ ですが、「福岡」は_  ̄ _ _ ですね。4音節の市の名前をいろいろ思い出してみると面白いです。

 「風立ちぬ」なんていう言葉も思い浮かびました。これは「本や映画のタイトルだから固有名詞だ!」と言い張れば一応名詞のカテゴリに入りますが…。 外来語の「ディスプレイ」なんていうのも、以前はこのイントネーション(_  ̄  ̄  ̄ _)で発音されることが多かったと思います。最近だと( ̄ _ _ _ _)と、先頭だけ上げた、英語のイントネーションに近い発音をされることが多いかなと思います。

 通勤で1時間、車を運転しながらこんなことを考えて、最終的に「上達部かんだちめ」という言葉を思いつきました。これでいったん満足して考えるのをやめました。

<おまけのひとこと>
 週末、嬉しいです。久々に画像のない更新です。






4月5日(日) Burr Tools

 一昨日、正方形とその半分の直角二等辺三角形をつないでできる直角台形2つを組み合わせてできるかたちを列挙してみました。21通り見つかりました。改めて色分けして図示してみました(図1)。

図 1

 これ、1つのピースの面積は3です。21ピースありますから、面積は全部で63ということになります。ならば、7×9の長方形にパッキングできないでしょうか? また、2単位分の空所ができることを許して、8×8の正方形のパッキングもできるのではないかなあと思いました。まずは手作業で7×9にチャレンジしてみました。

図 2

 図2は、「あと1ピース」というところまで迫ったところです。隙間のない古典的なパッキング(箱詰め)パズルでは、「あと1つ」になったときに別のかたちのピースの隙間が残ることがよく生じます。そんなときにはとりあえずその隙間に合う、すでに使われているピースをその隙間に入れて、新たに生じた隙間の周辺の配置を変えて、残ったピースが入らないかやってみるという試行錯誤をよく行います。

 そういう意味で図2の「あと1ピース」の状態は、残った隙間の素性が良くありません。残ったピースを入れようとすると、すでに入っているピース2つを外さなければなりません。しばらく試行錯誤したのですが、別の状態の「あと1ピース」状態にすらたどり着けません。やっぱりパソコンの中でピースを回したり裏返したりという作業はやや間接的です。実物を作ってみるか…と思いました。

 方眼紙(レポート用紙)にピースの形を下書きして、スチレンボードに重ねて頂点に目打ちで印をつけていくつか切り抜いてみました(図3)。

図 3

 この方法だと(私の技術では)ピースの精度があまり良くありません。気持ちが悪くて気になります。5つばかり切り出したところで断念しました。



 「しょうがない、プログラムを組むか…」と思ったのですが、世の中にすでに存在するソルバープログラム(パズルを解いてくれるプログラム)を試すことにしました。試したのはBurr Toolsというソフトウェアです。これはすばらしいプログラムで、2Dのパッキングだけでなく3Dの組木パズルのようなものも解くことができます(というかそもそも3D用です)。三谷純先生の組み合わせパズルソルバ BurrTools の使い方という記事に、使い方がとてもわかりやすく説明されています。

 最初は練習のため、有名なペントミノを作って解かせてみました。3×20の配置、一瞬で答えがでてきました。

図 4

 「ハナヤマ」のプラパズルで売っている8×8で中央に正方形の空所があるパターンも試してみました。これも一瞬で65通りの解がある、と出力してくれました。

図 5

 これだけでもいろいろ試せてしまって、はまってしまいそうですが、初心を思い出して今回のパズルを試すことにしました。残念ながら、9×7の配置では解が見つかりませんでした。(探索時間は10分くらいだったでしょうか。) 次に試したのが、8×8で、2単位分(直角二等辺三角形2個分)の隙間が残るパターンです。このソルバーソフトで「隙間が残ってもよい」という条件を設定できるのかどうかわからなかったので、単位ピースを用意して、それ2個も含めて8×8を充填するパターンを探してもらうことにしました。

 そうしたら、次々と解が見つかりました。隙間の2つの位置が対称性がないものが多かったです。最後まで探索すると1日以上かかりそうだとという表示が出たので途中で止めました。

 凸多角形のかたちになるといいなあと思って、8×8の正方形の対角線に相当する頂点を切り落とした六角形のかたちで探索してみたのですが、これも解がみつかりませんでした。そのかわり、外周の正方形の隣り合う頂点を切り落としたかたちをゴールにすると、Burr Tools は172通りの解を見つけてくれました(図6)。

図 6

 Buur Tools のピースの定義が間違っていたりすると悲惨なので、見つけてもらった解のうち2パターンを自分でも並べて確かめてみました(図7、図8)。

図 7 図 8

 図7は、内側に左右対称な位置に隙間(赤枠の三角形)ができるもの、図8は隣り合う頂点が面取りされたものです。

 7×9の解が見つからなかったのはとても残念ですが、それ以外の形状についても調べてみたくなりました。

 4月7日追記:Burr Toolsでこのパズルを無理やりモデル化しましたが、この手法だとパーツの鏡像反転は探索していないことに気が付きました。7×9の解が本当にないかどうか、まだわかりません。

(つづく)かもしれません

<おまけのひとこと>
 昨日はフロントガラスの修理で車を一日ディーラーに預けました。ついでにオイル交換とタイヤ交換もお願いしました。朝10時前に車を持って行って、夕方5時過ぎに「終わりました」と連絡をもらいました。1日でやっていただけて助かりました。






4月6日(月) Burr Toolsで遊ぶ/数独のテクニック

 昨日、直角台形を2つ連結したパーツによるパッキングパズルを解析するためにBurr Toolsというソフトウェアを使ってみたという話をご紹介しましたが、これが面白くてすっかりはまってしまいました。今日は予定を変更してその話を書きたいと思います。



 2014年2月2日に、ワイヤータイプのパッキング(箱詰め)パズルをご紹介したことがありました。

 当時、これは下の図のようなパッキングパズルと等価であるという話をご紹介していました。

 BurrTools を使って、このパズルの解析してみました(図1)。

図 1

 BurrToolsを信頼するならば、解はユニークであるということがわかりました。



 2014年9月6日には、4-helixと名付けた、立方体を単位長の半分だけずらして連結したらせんを4つ組むパズルを考案してご紹介したことがありました。こんなパーツ

を4つ組み合わせて、こんな筒状の構造

を作りました。これもBurrToolsでモデル化してみました。こんな風にパーツをデザインして、色を変えるために同じものをコピーして4つにして、

図 2

完成形にマッチさせます(図3)。これは別解はもちろん存在しません。

図 3

 パーツをぐるぐると回してみたり、一部のパーツを消してみたりすることもできます(図4)。

図 4

 わざわざこれをモデル化したのは、平行移動の動きを対話的に調べる機能を試してみたかったためです(図5)。

図 5

 これは楽しいです。お勧めです。こんな素晴らしいソフトウェアが無償で公開されているということに感謝しています。

(つづく)と思います



 昨日、義妹から妻にLINEで連絡があって、先週(?)新聞に掲載されていた「数独」が解けなくてすっきりしないとのことでした。問題の写真が添付されていたので、ご紹介します。Nikoliの出題の問題だと思います。(すみません、オリジナルが正確にわかりません。)

図 6

 とりあえず数字の「7」がすぐに2か所入ったのだが(図7の緑の数字)、それ以降が全く進まなくなってしまったというのです。ちょっと調べてみました。

図 7

 …なるほど。普通の、数字を1つ1つ理詰めで決めて行く手筋だけではこれは解けないですね。ポイントはここです(図8)。

 中央のブロックのど真ん中の「3」の左右のマスに注目してみます。実はこの2つのマスは、数字の「4」と「6」の指定席で、それ以外の数字は入れることができません。これに気が付かないと、どこかのマスの数字を仮決めしてずっと解いていって、矛盾が起きたら戻るということ(いわゆる「アリアドネの糸」戦略)をせざるを得ません。ニコリ出題の問題で、それしか手がないということは考えにくいです。

図 8

 この、「中央の3の左右には4か6しか入らない」に気が付くと、中央の3の左下が「1」になることがわかります(図9の赤文字)。そこが決まると、盤面のすべての「7」が決まります(図9の青文字)。次は「3」がすべて決まります(図9の茶色の文字)。

図 9

 次は、記入していませんが、「5」がすべて決まるはずです。あとは普通に全部決まると思います。

 …というレクチャー(というと大げさですが)を電話でお伝えしました。わかってもらえたでしょうか…

<おまけのひとこと>
 BurrTools が面白くていろいろ遊んでいます。






4月7日(火) DRT:2つの直角台形のタイルのパッキング解析の再考

 3月31日の軽い埋め草の話題のつもりで始めた「2つの直角台形をつないでできるタイル」によるパッキング(箱詰め)パズルの話が思わず発展しています。このタイルに名前を付けないと表記が長くなって厄介なので、以後DRT(Dual or Double Right angle Trapezoids)と略すことにします。

21種類のDRTのセット



 一昨日、この21種類を7×9の長方形に隙間なく並べるパターンを Burr Tools で解を探索してみたら見つからなかったと書きました。その後、いろいろなパターンを試してみて、見つかった解を自分で図面に描き直す作業をしていたら、気が付いたことがありました。パーツの鏡像反転が出てこないのです。昨夜、寝ようと思って布団に入ったときにその理由が突然わかって「あっ!」と思いました。

 もともと、BurrTools は3Dの組木のようなパズルを解析するためのソフトです。今回のパーツも、2次元としては図1のように見えていますが、

図 1

実はこれ、菱形十二面体のユニットを解析するための格子になっていて、三次元的にはこんなモデルになっているのです。

図 2

 これでは(2次元の)鏡像反転を探索するはずがありません。 とりあえず一昨日の記事に「7×9の解があるかどうかはまだわかりません」と追記しました。



 さて改めて7×9のパッキングが可能なのかが気になります。プログラムを自分で書くか、BurrToolsのモデル化を工夫するか(例えば図2のパーツを上下鏡像対称になるようにする)、別の解析ソフトを探すか、どうしようかな…と思ったのですが、おそらく一番手間が少なくて済むのはBurrToolsの中で工夫することかなと思って考えてみることにしました。

 菱形十二面体の格子で考えるのは多層になるのであんまり考えたくないな、と思って(パーツをデザインするときにz軸方向の対称性フラグを立てておけば良かったのかもしれませんけれども、後からやるのは面倒そうです)、普通の正方格子の上で等価なモデルを作ってみることにしました。図1、図2のピースはこんな風にモデル化できます。

図 3

 立体的にみるとこんな感じです。

図 4

 これでちゃんとモデル化できているのか心配なので、そもそものこのDRT(Dual Right angle Trapezoids)の5ピースの3×5のパッキングをこのモデル化で解析できるのか、試してみることにしました。

DRTのオリジナル問題

 この5つのピースは、こんな風にモデル化できました(図5)。

図 5

 これを解かせてみると、1分弱でユニーク解が出てきました(図6)。

図 6

 このモデル化で大丈夫そうです。21種類の7×9パッキングの計算を始めました。今のところ45分ほど探索して、探索空間の3.5%を探索済みで、解は見つかっていません。さあどうなるでしょう? 自分のモデル化の作業に単純ミスがあるのではないかというのが心配ですが…

(つづく)と思います



 半月ほど前に arXiv に登場した、Meteorology and Oceanography on a Flat Earth(J.P.Boyd)(平らな世界の気象学と海洋学)という論文がありました。“a Flat Earth”(平らな地球)って何だ? と思って中身をちょっと覗いてみました。本文の冒頭にこんな文がありました。

It is said that one who only knows a single language knows not his own.

 使われている単語は極めて簡単ですが、この文の意味、わかりますか? (google翻訳はかなりうまく訳してくれました。)

 昔々の学生のころ、“Current Contents”という学術論文誌の目次を集めたような情報誌が研究室内で回覧され、面白そうな論文を見つけて学内の図書館に見に行って、しっかり読むべきものであればコピーして内容を理解し、「コロキウム」と呼ばれる毎週の研究室内のイベントで当番制で内容紹介をする、ということをやっていました。(精神的にかなり負担の大きいイベントで、いろいろな意味で鍛えられました。)  研究室に配属された直後はそんな論文を見つけるスキルも経験もないので、指導教官から「これ読んでみたら」と勧めてもらって、最初は何週間もかかってその論文を理解すべく悪戦苦闘したものでした。マイナーな雑誌だと図書館にはなくて、取り寄せるのには時間とお金がかかりました。

 今は自然科学系の分野のいろいろな論文に自宅に居ながらにしてアクセスできるのです。なんと素晴らしい!と思います。

<おまけのひとこと>
 7×9の解が1つでも出てこないかなーと思って見ているのですが、計算開始から2時間、探索範囲はそろそろ6%になりますが、まだ解はみつかっていません。そろそろ更新して出かけます。






4月8日(水) 正方形と円の問題(出題編)、12本の三角柱、猫の積み木

 最初に、昨日のDRT(直角台形2つのタイル)21種類のセットで7×9の配置を探索状況ですが、25時間くらい計算をした結果、探索範囲のだいたい9割くらい計算が進んで、今のところ解はみつかっていません。あと2時間半くらいと表示が出ていますので、出かける段階ではまだ終了していないと思います。でもこの段階で解がひとつも見つかっていないということは望み薄だなあと思います。



 今日は図形の問題を1つご紹介します。1辺の長さが1の正方形ABCDを考えて、頂点AとDを中心に、半径が1の円を正方形の中に描きます(図1)。辺ADと、今描いた4分の1の円弧2つに接する小さな円を描き加えます。

図 1

 円弧との接点をP,Qとしたとき、線分PQの長さxを求めなさい、という問題です。

(つづく)



 Wolframのコミュニティを見ていたら、Twelve Prisms(12本の角柱)というページがあって、こんな写真(縮小しています)がありました。

図 2

 このかたちは好きで、今までも紙や木製パズルやブロックで作ったりご紹介したりしたことがありました。

2004年4月16日

2006年8月17日

2006年9月6日

 これを市販のチョコレートのパッケージで作る、というところがいいですね。



 組木屋という木工製品を制作、販売されているサイトがあるのですが、そこの猫の組み積み木というのがすばらしいのです。

図 3

 いろいろな材質の木材で手作業で作っていらっしゃるようなのですが、これは良い作品だと思います。すばらしい作例がたくさん紹介されていますが、シンプルなものを2つほど引用させていただきます。いずれも5体によるアーチ構造です。

図 4

図 5

 以前、ネコの自由積み木(2007年10月16日)というのをご紹介したことがありましたけれども、そちらは形状は全て異なりました。

ネコの自由積み木

 「猫の組み積み木」いいですね。実にいい。

<おまけのひとこと>
 今日は単に画像の紹介の簡単な更新だったのですが、過去のページで類似のものをご紹介していたはず…と思って検索するのに思いのほか時間がかかってしまいました。






4月9日(木) DRTのセットを考える、正方形と円の問題(解答編)

 DRT(直角台形2つのタイル)21種類のセットで7×9の配置のパッキングを探索した結果ですが、結局解は見つかりませんでした。(残念…。) 私の探索条件の設定が間違っている可能性もありますが。

21種類のDRTのセット

 改めてこのセットを眺めてみると、D群の2つがちょっと違和感を感じます。これらは外周に45度の辺が出てこない、トロミノ(正方形3つのかたち)なのです。なので次はこの2つを除外したセットを考えてみることにしました。

 この2つを除外するとピースの数は19ということになって、面積は全部で57になります。これはあんまり使い勝手の良い数値ではありません。面積が60になると、ペントミノ12種類の面積と同じになっていろいろ試せることが出てきます。このDRTが直角台形2個の組み合わせになっているということを印象付けるため、直角台形のピース2つを追加して、面積が全部で60になるようにしたらどうだろう? と考えてみました。このセットを DRT Set2 と呼ぶことにします。

図 1:DRT Set2

 まずはこの DRT Set2 で、図2のいろいろな長方形のパッキング(箱詰め)を試してみました。

図 2

 興味があるのは「解があるのか」、解があるとしたら「2つの直角台形ピースの配置に対称性のある解はあるのか」が気になります。

(つづく)



 昨日ご紹介した図形の問題のヒントの図と解答を説明した図を用意しました。

問題:Xの長さは?

 いくつかの解き方がありますが、オーソドックスな初等幾何の解き方の解説を用意してあります。ヒントの図には補助線が入っています。解答の図には、途中の計算と最終的な答を載せています。見たくない方はご注意ください。

ヒントの図 こちら
解答の図 こちら

 ところでこの解、1より小さくなることは明らかだと思いますが、無理数(√2とか√3とかを含む値)になると思いますか、それとも有理数(整数どうしの分数)になると思いますか?

<おまけのひとこと>
 実家の母に連絡してみました。家に閉じこもって一歩も出ないでいるとのことでした。体調が悪いわけではなさそうだったのでひとまずは安心しました。






4月10日(金) DRT set2 で長方形を作る

 昨日、DRT(直角台形2つのタイル)のセット2 というのを決めて、面積が60なので4種類の長方形のパッキングを検討しました。

DRT Set2

 今日は見つかった解をご紹介します。最初に6×10です(図1)。

図 1:6×10

 図の上半分は Burr Tools が出力してくれた結果の図で、下半分はそれを見てDRTのタイルの図に手作業で描き直しています。以下同じ書式です。Burr Tools の出力を読み解くのもちょっとだけ頭を使います。

 続いて 5×12 です(図2)。これはたまたま等脚台形パーツが2つできるかたちになりました。

図 2:5×12

 次は4×15です(図3)。

図 3:4×15

 最後に3×20です(図4)。

図 4:3×20

 これらの長方形解の数は、計算を途中で打ち切ってしまったので総数はわかりませんが、それぞれたくさんありました。この結果を見ていたら、黒い単位直角台形を外して、19ピースの面積57のパッキングをデザインしてみたくなりました。

(つづく)



 ちょっとフォントを調べていたら、2020年用、日本語のフリーフォント418種類のまとめというまとめサイトを見つけました。手書き風フォントをいくつかインストールさせていただいて、試してみました。

図 5:日本語手書き風フォント

 面白いですね。日本語は文字数が多いので、フォントをデザインするのも大変だと思います。こういったものを公開して下さっている方がいらっしゃるのはありがたいです。

<おまけのひとこと>
 年度が変わったタイミングで、在社時間のサイクルを早めさせてもらうことにしました。朝7時前くらいに職場に着いて、夕方は5時過ぎくらいに上がらせてもらうというパターンです。通勤距離が長いので、少しでも道が空いていて時間がかからない時刻に移動したいのです。






4月11日(土) 正三角形を配置するパズル(出題編)

 正三角形を平面上に配置するパズルをご紹介します。Erich Friedman氏の考案のパズルです。

 「複数の正三角形を、互いに頂点だけが接するように平面上に配置します。全ての頂点がちょうど2つの正三角形に共有されるような配置を考えてください。正三角形の大きさは同じである必要はありませんが、用いるサイズの種類が少ないほど、また用いる正三角形の数が少ないほど、好ましい解です。いくつまで減らせるでしょう?」

 出題者は「2種類12個の配置、3種類10個の配置を見つけてください」という目標を示しています。とりあえず適当に考えてみた解を2つほどご紹介します。

図 1:2種類16枚 図 1:4種類12枚

 図1は正三角形のサイズは2種類で、全部で16枚使っています。図2は三角形のサイズは4種類で、全部で12枚使っています。目標は 2種類12枚3種類10枚 です。

 面白いので考えてみてください。

(つづく)



 正三角形の頂点を共有させながらなんとなく並べていたらこんなパターンができました。

図 3

 こういう図を作っていると楽しいです。

<おまけのひとこと>
 週末なので話題を変えて、簡単な更新にしました。






4月12日(日) DRT19の問題、凧形の畳紙、正三角形を配置するパズル(試行錯誤編)

 外出を控えることを要請されている週末で、昨日はこのページのアクセスカウンタの数字がいつもより少しだけ余計に増えたみたいです。ご覧くださる皆様ありがとうございます。今日は最近考えているトピックをいくつかまとめて放出してしまうことにしました。



 このところご紹介しているDRT(Dual or Double Right angle Trapezoids)という、正方形とその半分の直角二等辺三角形をつないだ「直角台形」2個でできるタイルセットのパッキング(箱詰め)パズルですが、手書きの図がカッコ悪いなあと思ってCGで描けるように準備をしました。

図 1:DRT19

 先日も書きましたが、上の図のようにトロミノ(正方形をつないだかたち)2つを外した19枚のセットに注目しています。このセットを改めてDRT19と呼ぶことにしました。このセットの面積は3×19=57なのですが、このセットでなにかきれいなかたちが作れないか考えてみました。最近すっかりはまっている Burr Tools で問題を作成して解があるかどうか調べています。

 図2の左の青枠の3つは解がありました。右の赤枠の3つは解がみつかりませんでした。

図 2:DRT19の問題

 これらのかたちは、6×11−9=57、として作ってあるもの(上段と中段の4つ)、6×10−3=57として作ってあるもの(下段左)、7×10−(9+4)=57として作ったもの(下段右)、があります。「解あり」の3つも、手で解くにはそれほど簡単ではないかなあと思います。でも、「解がある」とわかって解くのは気が楽です。

(つづく)



 先日もちらっとご紹介したJeremy Shafer氏の折り紙作品ですが、Origami Super Sonic Kite Flicker by Jeremy Shaferという動画がありました。上が直角二等辺三角形、下が正三角形の形状の凧形を正方形の折り紙から折りだしてブーメランのように遊んでいます。

 このかたちと作り方が畳(たとう)紙として魅力的だなあと思いました。正方形から折り出すとかなり分厚くなるので(ブーメランとしては適度な厚みと重みが適切なのだと思います)、A4サイズの普通の長方形の紙から折り出すことを考えてみました(図3)。折り方はほとんど Shafer氏のものと同じです。

図 3

 ブーメランとして遊ぶには不適切ですが、畳紙として封筒のように中に何かを入れるにはこのほうがサイズも厚みも都合がいいです。気に入っていくつも折ってしまいました。

 おり方の手順を動画で確認しながら折るのはあまり好きではないので(もちろん公開して下さっていることには大変感謝しています)、自分用のメモとして簡単な手順の図を描いてみました(図4)。

図 4

(1).長方形を縦に二等分するように折って、角をその線に合わせて折ることで30°-60°を折り出します。その線を用いて横向きの正三角形を折って、余った部分を裏側に折り返します。
(2).左下の角を中心線に合わせて30°で折ります。
(3).最初の正三角形の線で折ります。
(4).右辺に対して直角に折ります。
(5).45°に折ります。
(6).上の辺に対して直角に折ります。
(7).45°に折ります。
(8).最初の正三角形の線で折ります。
(9).垂直な線に合わせて折り筋を付けます。
(10).いったん開いて正三角形のかたちになるように山折り・谷折りを変えて折り直します。
(11).最後、差し込んで完成!です。

 自分用の図なので説明も不十分ですみません。やってみていないですけれども、おそらくレターサイズの用紙で折っても大丈夫だと思います。何かちょっと入れたりするのに良いと思うので、よろしければお試しください。



 昨日、Erich Friedman氏の考案した「正三角形を平面上に頂点だけが共有されるように重ならないように配置して、すべての頂点がちょうど2つの正三角形に含まれるようにしなさい」というパズルをご紹介しました。これ、「平面上」でなくても良いのであれば、単一のサイズの正三角形4枚の解が浮かびます。このページには載せませんが、こちら(図5)に解の図を用意しました。見たい方はご覧ください。

 さて昨日の問題、私はこんな風に考えました。自分で考えたい方は見ないほうが良いと思うので、ここでは言葉だけで説明します。

 私が最初に考えたのは、こちらの図(図6)のように直角二等辺三角形の中に正三角形を配置して、それを4組用意して4回回転対称になるように配置すれば良いのではないか、というアイディアでした。「できたできた、なかなかきれいな形だなあ」と自己満足したのですが(図7)、よく考えたらこの図は題意を満たさないことに気が付きました。普通、やってみるまでもなくダメだとわかるはずなのに、図を作った後になってすらしばらくは気が付かないなんて我ながらマヌケです。

 ただ、この「失敗作」を思いついたおかげでちょっとした手直しで解の1つに到達しました。今日は解の図を用意していません。面白いので考えてみてください。

<おまけのひとこと>
 こんなことをやっていると、家にこもっていても時間はどんどん過ぎてゆきます。もっと家にいる時間が欲しいです。






4月13日(月) DRT19の問題の解の一例、数学の周期表、鉄塔の写真ほか

 昨日ご紹介したDRT19(Dual or Double Right angle Trapezoids の19のタイル)で、面積57でこんなかたちができます、ということをご紹介しました。

DRT19

 解の一例をご紹介します(図1、図2)。箱詰めパズルは、解を見てしまって致命的なネタばれになるということはないと思うので、素直に掲載します。

図 1
図 2

 このほかにも、6×10や5×12の中央に対称形の穴があいたパターンも見つかりました。

図 3

図 4

 3月最終日の埋め草の話題のつもりで始めたこのDRTというタイルを使ったパッキング、思いがけずこの2週間ほどとても楽しみました。いったん今日で一区切りにしようと思います。



 正三角形のパズルをご紹介したErich Friedman氏のサイト、どのページも面白くて情報量が豊富すぎてとても全部は見切れないのですが、「この発想はなかった!」と感心したページがありました。Periodic Table of Mathematicians(数学者の周期表) です。

図 5

 図からも明らかなように、「周期表」といえばもちろん元素の周期表です。「数学者の周期表」って何だと思いますか? 上記のページに行って、周期表の各マスをクリックしてみてください。何が起こるのかがわかったら、次は「このマスをクリックすると何が現れるんだろう?」と予想してみてください。例えば私はN(窒素)はてっきり「あれ」だろうと思ったら予想が外れました。私が予想した内容はNe(ネオン)のマスから現れました。(日本語としてちょっと不自然ですが、ネタばれにならないように気を遣って記載しています。)

 これはある程度数学史に興味がある人のほうがより楽しめるコンテンツだと思います。



 勤務先で、定期健康診断で何か問題があった人はフォローの面談が設定されます。先週の面談で体重を測ったところ、かなり増えていました。(普段は面倒で体重は測っていません。) さすがにこれはまずいと思って、冬の間はやめていた休日の里山歩きを再開しようと思って、昨日の朝、あたりが明るくなってきたころに1時間ほど近所を歩いてきました。

 よく歩くのが山の上の送電線の鉄塔の保守のための道です。一般の人が歩けるようにちゃんと整備されていて、市役所で遊歩道マップが配布されており、分岐点に道しるべが設置され、木の枝を払ったり急坂は擬木で階段が整備されたりしています。鉄塔の真下まで普通に入れて、たとえばこんなふうに真下から見上げることもできます(図6)。

図 6

 上の写真の鉄塔とは別の(隣の)鉄塔ですが、傾斜地に設置されているため、4つの脚の高さがぜんぜん違います(図7)。

図 7

 これ、事前に設計するときに脚の位置を決めているのでしょうけれども、脚の位置をどうやって決めるんだろう、とか、それぞれの脚の高さの差をどうやって事前に計測するんだろう、とか、現場で建設するときに脚の基礎を作る場所を間違えたりしないんだろうか、とか、車が通れそうな道はないけれど、資材はどうやって上げたのだろう、とか、(設計値に合わせて基礎の高さを調節するのだと思うのですが)ちゃんと垂直に建てるのは大変なのではないかなあ、とか、いろいろ気になります。専門家に尋ねれば一発でわかるのでしょうけれども。



 昨日、「4/11(土)はいつもよりアクセスカウンタの数字が増えました」ということを書いたら、いつも情報をいただくMさんから、造形作家(パズルデザイナー)の佐藤 洸風さんの twitter で紹介されていたからではないでしょうか、と教えていただきました。Kohfuh さんは大変センスのある素晴らしいデザインをされる方で、作品からは個性を感じます。新しい作品を見せていただくのがとても楽しみな作家さんです。 その Kohfuh さんからコメントいただけてとても嬉しく思いました。ありがとうございます。(ってここに書いてもしょうがないですが)

 ちなみに昨日(4/12(日))はいつもと同じペースでした。

<おまけのひとこと>
 自宅の洗面台の排水が流れにくくなってきたので、数年ぶりにS字型のトラップの部分を外して掃除をしました。ゴミがだいぶ詰まっていて、これでは流れにくいわけだ、と思いました。5年に一度くらいはお掃除をする必要がありそうです。






4月14日(火) 4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフの三次元への埋め込みの試み、ほか

 先月末に4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフというのをご紹介しました(再掲図)。

4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフ

 このグラフのハミルトン閉路(全ての頂点を1回だけ巡って戻ってくる経路)を探してくださいという話をしたり、このグラフを盤面とした二人ゲームを考案してご紹介したりしました。この模型を作ってみたいな、と思ったのですが、まずはCGを作って構想を練ろうと思いました。最初に作ってみたのがこちらです(図1)。

図 1

 外枠として1辺の長さが1の正六角形を用意して、6枚の正三角形を1つおきに上下にフリップして、向かい合う正三角形の頂点の距離がちょうど1になるようにしています。正三角形の角度は以下のようにして決めました。まず、正三角形の高さは√3/2です(図2)。

図 2

 図2の正六角形を真横から見たとして、向かい合う正三角形の頂点の距離が1になるためには、正六角形の中心と正三角形の頂点の距離が1/2になるはずです(図3)。

図 3

 三角形の3辺がわかりましたので、余弦定理から二等辺三角形の頂角を計算できます。ちなみにコサインの値が5/6(rad)になります。



 もう1つ、立方体をもとにした構造も考えてみました(図4)。立方体の6つの頂点を巡る、隣接する辺どうしの角度が全て直角になっている平面上にない等辺六角形を考えて、その6つの辺に正三角形が付いている、という構造です。

図 4

 正方形の6つの面に正三角形があって、向かい合う正三角形の頂点の距離が1になるようにちょっと角度を付けます。以下の図のように、この角度は3辺の比がわかっている直角三角形から簡単に求まります(図5)。

図 5

 図1、図4のどちらも、中心を通る3つの辺が交わってしまっているので、実物を作るときには六角形を少し歪ませて交差しないように工夫する必要があります。

(つづく)



 日曜日に運動のために里山を歩きに行ったとき、集落の近くの林の木の幹にひもが結ばれていました(図6)。

図 6

 いったいこれは何のためにやっているんだろう? と疑問に思いました。止め山(所有者がいて、立ち入りを禁じている山)を示しているものでもなさそうですし…

 昔、銀林浩先生の「数は生きている」(岩波書店)の最初のほうに、裏山の木の数を数えるのにはどうしたらいいか? という話が出ていたのを思い出しました。歩き回って1本1本数えようとすると、まだ数えていない木とすでに数え終わった木の区別がつかないので数えられない、ではどうすればよいか、という話です。過去に何度か書いていますが、この「岩波科学の本」のシリーズは素晴らしかったです。

 でもまさか、木の数を数えるためにひもを巻いているわけでもないでしょう。しばらく歩くとひもの色が変わりました。さらに行くと3つめの色になりました。なんだろう、不思議です。

<おまけのひとこと>
 勤務先の事業所が職場への出社率を50%にしようということになって、2班に分かれて1日おきに在宅勤務をする計画を立てています。少なくとも4月いっぱいはそうしようということになりました。別の班の人には早くても連休明けまでは直接会う機会がないのだな、と思いました。それだからこそ、万一感染者が出たときに、もう一方の班の人は大丈夫、ということになるわけですけれども、起こってほしくないですが、そうなったら(感染者が出たら)、その班の人は2週間は出社禁止になるのでしょうけれども、残った班をさらに半分に分けるのかなあと思いました。






4月15日(水) Conwayを悼む、4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフの三次元模型、ほか

 あの偉大な数学者のJ.H.コンウェイが亡くなったと知って大変残念に思っています。コンウェイの業績の素晴らしさはとても書ききれないのですが、過去の自分のページの中でコンウェイの名前が出てきたところを検索してみました。

 コンピュータ関係の人に馴染みがあるのは、ライフゲームでしょうか。2004年11月30日にグライダーの説明を書いていました。昔、こんな小さなgifアニメーションを作ったことがありました。(5×5の25マスを周期的境界条件だとみなして、ずっと移動し続けるグライダーのアニメーションを作ってみたのです。)

glider

 多面体マニアとしては、コンウェイの多面体表記は欠かせません。2004年2月9日に、コンウェイの多面体表記でasobI多面体というのを作ってみたことがありました。

asobI多面体

 また、平面を周期的に埋め尽くす17種類のパターン(文様群とか壁紙群と呼ばれるもの)の表記法についてもコンウェイが考案したものが広く知られています(2014年9月15日)。こちらのThe Orbifold Notation for Surface Groups(J.H.Conway)というのが論文です。

 「公平な分割」という話題も論理やパズルの世界では好んで議論されます。2人で公平に分ける手順として「一人目が分けて、二人目が選ぶ」というのが広く知られていますが、これが3人になると途端に話がややこしくなって、たくさんの手順が提案されているのですが、ここでも「コンウェイの手順」というのがあります(2006年1月18日参照)。

 ちょっとした立体の箱詰めパズルでは、Conway's Cubeというのを持っていました。

Conway's Cube

 また、昔、キングと悪魔の問題というのをご紹介したことがあるのですが、これもオリジナルはコンウェイのThe Angel Problem(J.H.Conway)です。オリジナルのコンウェイの「天使」は、キングと違って一度に1,000マスまでジャンプできます。

 空間を単一の多面体で非周期的に充填できるというコンウェイの二重プリズムというのがありますが、これはなかなか情報がないのですけれども、「多面体木工」という本に紹介されています。

 …などと、自分の過去のページの中だけでもたくさんご紹介してきました。数学的な業績という点では、コンウェイ群をはじめとする群論での成果が大きいのでしょうか。つい先日ご紹介したPeriodic Table of Mathematiciansでも、Co(元素周期表ならばコバルト)の項がコンウェイでした。本当に偉大な数学者だったと思います。残念です。



 今日の更新はここでやめてもよかったのですが、あらかじめ準備した図があったので簡単に書きます。

 昨日CGでご紹介した「4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフ」、GeoMagという玩具で作ってみました(図1、図2)。

図 1 図 2

 磁石のおもちゃなので、中央の3つの金属球がくっついてしまうのです。これが今一つだなあと思いました。辺の長さを2単位分にしてみました(図3)。

図 3

 これ、見えていない側(床に接している側)の金属球の距離がかなり近いのです。きれいな対称性のあるかたちに安定させることができませんでした。でも、実物を作れたのでいったん満足しました。2週間ほど飾っておいたのですが、分解してしまいました。まあこれはここまでにしよう(他の素材、例えばストローと糸とかで保存できる模型を作成するのはやめよう)と思っています。



 季節がまだ行ったり来たりしています。下の図4の写真は4月13日(月)の朝に撮ったものです。冷たい雨が降りました。天気予報で「甲信地方は標高の高い地域では雪になるところもあるでしょう」と言っていたのですが、その通り、定規で線を引いたようにある高さ以上は雪になっていました。

図 4

 今日も早く出勤する予定です。(できれば5時半には家を出たい)

<おまけのひとこと>
 今年、新たに私の職場にSさんという方が異動されてきました。彼は私より5歳くらい年上なのですが、もともとは開発部門の出身の技術者で、社内で一番大きな事業部の副事業部長まで務められた方で、技術的な知識の深さ、広さは素晴らしいのです。また人間的にも魅力のある方で、腰も低いですし話をしていて面白いです。一昨日、健康保険の関係の書類の話から少し雑談をしたのですが、4年前に娘さんが就職をされ、今年は息子さんが就職されたとのことで、年齢も性別も就職のタイミングもうちの長女と長男と全く一緒だということがわかってびっくりしました。






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