[Home]-[以前のひとこと]-[2020年3月後半]

以前の「ひとこと」 : 2020年3月後半



3月16日(月) 穴開き三角形のマッチングパズル:三方八面体編(その2)

 先週の金曜日の「三方八面体編(その1)」の続きです。先月の後半から、穴開き三角形のマッチングパズルという話をしています。先週ご紹介したケプラーの星型八面体に穴開き三角形の24種類をマッチング配置する解が見つかりました。一部分の面しか見えませんが、解のCGを作りましたのでご覧ください(図1)。

図 1

 まず、この多面体の頂点の構造を調べてみます(図2)。三角形が8枚集まる次数8の頂点が6つ(図2の赤マル)、3枚集まる次数3の頂点が8つ(図2の青マル)、それぞれあります。マッチング配置なので、多面体の1つの頂点に集まる穴開き三角形の頂点には、〇があるかないかどちらかに統一されていなければなりません。〇が集まる頂点を黒、〇がない頂点を白として、白と黒の頂点を決めてみました(図3)。

図 2 図 3

 改めて、穴開き三角形の一覧を見てみます(再掲図)。

再掲図

 3つの頂点に穴があるタイル(水色)が4枚、3頂点とも穴がないタイル(黄色)が4枚あります。この8枚が星型八面体のどの面に来るのか図示してみました(図4)。

図 4

 図1と向きを合わせてあるので、見比べてみてください。

 このままだと試行錯誤しにくいので、正八面体の展開図を考えて、その上にタイルが3枚ずつで三角錐(正四面体)を構成しているという設計図を用意しました(図5)。

図 5

 小三角形の色はタイルの一覧の色に対応しています。数字はその三角形のタイルの頂点にある穴の数です。これをもとに、マッチング配置を手作業で探索してみました。

(つづく)



 お休みの日の昼間、パズルを解いたりCGを作ったり数学の本や記事を読んだりするのに疲れると、気分転換に鍵盤を弾きに行きます。この週末(3/14〜3/15)は久しぶりにヘンデルの6つのフーガ(HWV 605〜610)を弾いてみました。あまり耳にする機会がない曲だと思うのですが、とても素敵な曲です。最初の2曲は同主調(主音が同じ長調と短調)になっています。

Handel Fugue 1 g-moll, HWV 605

Handel Fugue 2 G-dur, HWV 606

 昔はどの曲も最後まで通らなかったのですが、バッハのフーガをたくさん弾いているせいか、途中でときどきつっかえながらも最後まで弾けるようにはなりました。ただ、バッハは淡々と演奏するように心がけているのですが、ヘンデルはつい気分が盛り上がって必要以上に強い力で鍵盤を叩いてしまって、腕が疲れます。(ただのヘタクソです。)

 動画検索してみると、YouTubeにおそらくMIDIだと思われるHandel - Fugue 1 in G minor, HWV 605Handel - Fugue 2 in G major, HWV 606などがありました。例えば動画の1番の1分15秒〜1分30秒あたり、トリオ・ソナタで上の2声が長い音符で不協和音→協和音を繰り返す中で通奏低音がかっこよく動き回っているような音型など、いかにもヘンデルらしいです。また、2番のほうの2分20秒あたりから、同じ音型を繰り返しながら上昇してゆくパターンなど(下図)、とても盛り上がります。なんというか、バッハのような重苦しさのない、ヘンデルらしいおおらかさを感じます。(でもやっぱりバッハが一番好きな作曲家ですが。)

Handel Fugue 2 G-dur, HWV 606

 5番をピアノで弾いているG.F. Handel - Grosse Fugue No. 5 in A minor HWV 609というのもありました。この曲を暗譜で弾いているのは凄いと思います。(まあピアノの人は基本は暗譜なのだと思いますが。)

<おまけのひとこと>
 昨日、久しぶりに「おぎのやの峠の釜めし」を買ってきて食べました。美味しくいただきました。今、地方では人が減り始めて街がだんだん元気がなくなってきているなあと思うのです。何かにお金を使うというのは、今後も自分がそのサービスや商品が継続して購入できるようにしてほしい、という意思表示だよな、と思っています。






3月17日(火) 穴開き三角形のマッチングパズル:三方八面体編(その3)、他

 穴開き三角形のマッチングパズル、ケプラーの星型八面体に穴開き三角形の24種類をマッチング配置する解をご紹介します(図1)。いきなり大きな図ですみません。

図 1

 全部の面の位置関係を表現するため、正八面体の展開図の各正方形の上に三角錐を立てた状態でご紹介しています。パーツがかなり圧縮されてしまってわかりにくくてすみません。この条件でも解があるのだなあと思いました。解が見つかって嬉しかったです。



 図1の状態から星型八面体になるアニメーションを作ってみました(図2)。

図 2

 イメージがつかめるでしょうか。



 これまで、四方六面体型(次数4の頂点が6つ、次数6の頂点が8つ)と三方八面体型(次数3の頂点が8つ、次数8の頂点が6つ)の2つの多面体構造のマッチング解をご紹介しました。

四方六面体型 三方八面体型

 これらは頂点の構造が2種類あります。頂点の構造を1種類にして24枚全部を使ったマッチングパターンができないかなと思って考えてみたのですが、周期的配置にすればよいのではないか、と思いつきました。図3のように24枚を平行四辺形のかたちに並べます。平行四辺形の内側の三角形どうしが接している辺が全てマッチングするのは当然ですが、それだけでなくこの平行四辺形の外周の向かい合った辺どうしもマッチングする、という条件を付けます。

図 3

 図3で、同じ記号が振られた辺どうしがマッチングしなければなりません。

 周期解なので、独立な頂点(格子点)の数は12個になります。各頂点の回りには6枚の穴開き三角形が配置されます。例によって穴開き三角形の頂点に注目して、穴のある頂点が集まる格子点と、穴のない頂点が集まる格子点を黒と白で塗分けて考えます。こんなパターンにすると、24種類のタイルと辻褄が合います(図4)。

図 4

 くどいですがもう一度、24枚のタイルセットの図を載せておきます。

穴開き三角形のタイルセット

 例によって小三角形の色はタイルの一覧の色に対応しています。数字はその三角形のタイルの頂点にある穴の数です。周期的条件に気を付けながら、タイルセットを図4の位置にマッチング配置すべくチャレンジしてみました。

(つづく)



 周期解なので、タイルのパターンはこんな風に広がるはずです(図5)。

図 5

 黄色と水色の2単位分のサイズの正三角形が目立ちますが、実は緑とピンクも同じ2倍サイズの正三角形があることがわかります。

<おまけのひとこと>
 ほんの軽い話題のつもりでご紹介を始めた「穴開き三角形のマッチングパズル」ですが、どんどん発想が広がっていろいろと面白いことが出てきて楽しいです。夜中に起きて思い付いたパターンをいろいろ検討したり、結果をCGにしたりしています。






3月18日(水) 穴開き三角形のマッチングパズル:平行四辺形の周期解

 穴開き三角形のマッチングパズル、平行四辺形の周期解の一例を掲載します(図1)。もともとが平面の解は図示しやすいですね…

図 1

 周期解なので周期的に並べてみました(図2)。

図 2

 眺めていて楽しいです。



 さて、このように平面の四辺形の向かい合う辺どうしを合わせるという操作をすると、位相幾何学(トポロジー)の世界ではトーラスができます(図3)。

図 3

 もちろん各面が正三角形のままでは無理ですが、三角形のかたちを変えてもいいことにすると、例えばこんな風にトーラスを平面の多面体で表すアプローチが考えられます(図4、図5)。

図 4 図 5

 この四角いソロバンの玉のようなリング多面体は、以前「空間を充填するリング多面体」(2018年4月)としてご紹介したことがあるかたちです。黒い頂点、白い頂点は、昨日のこの図

 に対応しています。前回と同様、水色と黄色の面を張ってみました(図6、図7)。

図 6 図 7

 こんな位置関係になっています。



 リング多面体の四角形に対角線を入れて三角形2枚にしているので、隣接する三角形が同じ平面内にあるのが気に入らないなあと思って、12個ある頂点の位置を対称性を保ちながら少し移動してみました(図8、図9)。

図 8 図 9

 「模型を作ってみたい!」と思うほどにはおもしろいかたちにはなりませんでした。



 ところで、穴開き三角形のマッチング、一番最初にご紹介した正六角形の配置でも周期解はあるのでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 いい歳をして、こんなことに夢中になれるのは幸せなことだなあと思います。






3月19日(木) 穴開き三角形のマッチングパズル:正六角形の周期解を探す

 穴開き三角形24通りの辺の穴のパターンを合わせて配置するというマッチングパズルを一番最初に知ったのは、このような正六角形の配置でした。

 これは六角形の最外周のパターンにはなんの制限もありません。6つの辺のパターンはたまたま全て異なっています。昨日の平行四辺形のときと同じように、最外周の向かい合う辺のパターンが同じでなければいけない、という拘束条件を付けたら答はあるのでしょうか(図1)?

図 1

 例によって24枚のタイルセットの図を載せておきます。三角形のタイルの3頂点の位置にある穴の数で分類して色分けしています。

穴開き三角形のタイルセット

 六角形の頂点の回りには、6面全てに穴があるか、全てに穴がないかのどちらかになります。これをいつものように黒丸と白丸で表します。4種類(4色)のタイルの数を考えると、頂点の配置は例えばこうすればよいということがわかりました(図2)。黒い頂点のほうが多いように見えます。

図 2 図 3

 図2には白丸黒丸あわせて19個の頂点がありますが、実は図1の「向かい合う辺のパターンは同じ」という拘束条件があることから、独立に決められる頂点の数は図3のように12個しかありません。 周期的に並べてみるとこんな感じになります(図4)。

図 4

 こうすると、白と黒の頂点が等価であることがわかりやすいのではないでしょうか。



 図2を手がかりに、手作業で試行錯誤してみました。「あと1枚」ということころまで来たのですが、失敗です(図5)。外周の向き合った辺、すでに並べた23枚の辺、全てマッチしているのですが、最後の1枚だけが合いません。

図 5:惜しい!

 さてこの配置、解はあるでしょうか?

(つづく)



 もう1つ疑問が浮かびました。昨日も述べたように、四角形の向かい合った辺どうしを(位相幾何学的に)つなげるとトーラスができました。

図 6

 では、六角形の向かい合う3組の辺どうしをつなげるとどんなかたちになるのでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 会社で、4月1日からの新体制が発表されました。なんというか遥か昔の義務教育を受けていたころのクラス替えとか席替えとかのイベントを思い出します。またいろいろ変化があって、当面はあわただしくなりそうです。

 このところ穴開き三角形のマッチングパズルの話ばかり書いているので、三連休の週末は別な話題にしようかな…とちょっと考えています。






3月20日(金) 円弧三角形のタイリング(その1)

 この週末の更新では、3つの円弧に囲まれた、図1のようなかたちを平面上に重ねずに隙間なく並べるパターンに関する話をしたいと思います。

図 1

 3つの円弧に囲まれた円弧三角形というと、最も有名なのはルーローの三角形だと思います(図2)。

図 2

 ルーローの三角形は、正三角形の各頂点を中心に一辺の長さを半径とした円弧を描いて作られる凸な図形で、「等幅図形」といってどの方向の幅も等しくなっているという特徴を持っています。そのため図2のように転がしても高さが変わりません。

 これはまあ余談で、図1の図形はこんな風に形を定義しています(図3)。

図 3

 xy平面の原点 O を中心に、半径1の4分の1円弧を第一象限に描きます(図3の赤い円弧)。また、点 A(1,1) を中心に半径1の4分の1円弧を描きます(図3の緑)。点Aを通る傾き60°の直線と、緑の円弧が交わる点を D とします。緑の円弧を弧CD と弧BD に分けて、それぞれを線分CDBD (図3の青い点線) に対して対称な位置に折り返します。 こうして出来たのが図1の円弧三角形になります。

 すでにお気づきだと思いますが、このかたちは図4のようにうろこのようにタイリングすることができます。

図 4

 ちょっとずれた青海波のようですね。

 なぜこのタイリングが可能なのかというと、凸になっている円弧の長さと、凹になっている(図3で折り返した)円弧の長さの和が等しいためです。さらにこのかたちの特徴として、折り返した短い2つの円弧の長さの比が2:1である、というのも興味深いところです。

 さてこの円弧三角形、回転させたり裏返したりして、もっと別な並べ方はできないでしょうか? 円弧三角形の3つの内角(円弧三角形の頂点における2つの円弧の接線の角度)を考えてみてください。

(つづく)



 ルーローの三角形の図を見ていて、こんな風に3つの円弧の凹凸を変えたタイルを用意して、これらを使ってタイリングしたら面白いかもしれないなと思いました。

図 5

 凹凸の数が合えばいいので、例えば “B : C : D = 5 : 2 : 1” で平面を埋めつくすパターンを作ってください、なんていうのはどうでしょうか?

(つづく)かも



 昨日の朝の出勤途上、高速道路で飛び石がフロントガラスに当たって小さなひび割れが出来てしまいました。ピシッという大きな音がしてびっくりしました。帰りに車屋さんに寄って見てもらったのですが、このままでは車検は通らないこと(遅くとも車検のときには修理が必要)、今回の場合は傷は2か所とカウントするので、費用は2か所分かかってしまうだろうということ、作業そのものは一日はかからないが、処置をした後の確認が必要なので、少なくとも2日間は車を預けないといけないこと、などがわかりました。

 キズの場所は助手席側のピラーのすぐ脇で、ワイパーが拭うエリアの外側です。運転をする上で邪魔になったり気になる位置ではありません。キズが広がってしまうか、というとまあなんとも言えないところだと思います。

 2回目(まる5年)の車検が3か月後、今年の6月です。今、93,000kmくらい走っています。どうしようか、この際思い切って買い換えようか、でも今は通勤で1年で3万キロくらい走ってしまうしもったいないかなあ、乗りたい車がないし…と悩んでいます。

<おまけのひとこと>
 三連休、ありがたいです。






3月21日(土) 円弧三角形のタイリング(その2)

 昨日のこの円弧三角形によるタイリングの話の続きです。

再掲図 1

 この円弧三角形の3つの辺は同じ半径の円の弧で、中心角は大きいほうから90°、60°、30°です。ですから弧の長さの比は 3:2:1 になっています。昨日はこのかたちの平行移動だけでできる青海波のようなパターン(下の再掲図2)をご紹介しましたが、鏡像反転のもの(色を変えました)と 1:1 で用いると、こんなパターンを作ることができます(図1)。

再掲図 2 図 1

 この図、大事なのは水平方向には同じパーツが等間隔で頂点を共有して並んでいるというところです。一列分だけ分離して表記するとこのようになります(図2)。

図 2

 図2の青いパターンの上下のラインと赤いパターンの上下のラインのパターンは同じです。なので適切に左右にシフトすれば、青いラインと赤いラインは任意の順番で重ねてゆくことができます。図3に、ランダムな順番で赤いラインと青いラインを並べた図を作ってみました。

図 3

 ここでは赤と青のパーツの数はだいたい同じでしたが、この比率は任意に決めることができます。なので、表向きのパーツと裏向きのパーツを与えられた任意の比率で用いたタイリングができるのです。

 …ここまでは平行移動だけのパターンのご紹介でしたが、この円弧三角形に回転を取り入れるとどんなタイリングパターンを作れるでしょうか?

(つづく)



 ルーローの三角形の3つの円弧の辺の凹凸のパターンを変えると下の再掲図のような4パターンが得られるという話を昨日書きました。

再掲図 3

 この4色の A〜D1:1:1:1 、同じ数ずつ用いてタイリングすることを考えてみたのですが、タイリングユニットとしてこんなかたちを思いつきました。

図 4

 図4の右と左のかたちは、それぞれ4種類のタイルを1つずつ使ったものです。シルエットパズルとしてはごく易しい問題だと思います。それぞれのタイリングユニットを「おさかな」「マンボウ」と呼ぶことにします。そのイメージを強調するために「眼」を描きました。この眼の位置は、ルーローの三角形の頂点と同じで両側が凸の構造になっている頂点の位置を表しています。(マンボウも魚なので階層が違う名前を付けているのが気に入らないのですが、図4左を表す具体的な魚種の名称を思いつきませんでした。)

 わかりにくい説明でした。この図の補足説明を3月23日に書きました。(3月23日追記)

 最初に、それぞれのユニット単体でのタイリングを考えてみました。以下、主に図で説明します。



 最初に「おさかな」です。これは平行移動だけのタイリングが可能です(図5)。レンガを積むパターンのようです。辺を共有しないように色分けするには3色あれば十分です。

図 5

 180°の回転を取り入れると、2色で市松模様のようなパターンを作ることができます(図6)。

図 6

 さらに、鏡像反転を取り入れると、3色で桧垣のパターンを作ることができます(図7)。

図 7



 続いて「マンボウ」です。これは平行移動だけではタイリングできませんが、2色で図8のようなタイリングが可能です。三角格子のように見えます。

図 8 図 6(再)

 実はこれ、「おさかな」の2色タイリングと同じ輪郭のユニットができています。イラストの「レモン」のような両側に突起が付いた円のシルエットです。図を並べてみましたので見比べてみてください。

 もう1つ、この「マンボウ」ユニットのタイリングで特徴的なのは、3回回転対称なタイリングパターンを作れることです(図9)。

図 9

 一挙にご紹介してしまいましたが、「おさかな」と「マンボウ」を両方混ぜて使うと、もっと複雑なタイリングパターンをたくさん作ることができました。明日はその一例をご紹介しようと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日は風の強い一日でした。火事が心配だったのでお彼岸のお墓参りは断念しました。 深夜の日付が変わる時刻くらいからタイリングパターンの検討を始めて、昨日のお昼過ぎくらいまで、食事の時間以外はぶっ通しでパソコンに向かっていろいろなパターンを試して楽しんでいました。こたつで作業しているので、足の付け根が痛くなりました。さすがに長時間座りすぎました。






3月22日(日) 「おさかな」と「マンボウ」のタイリング(その1)

 ルーローの三角形の3つの弧の凹凸を逆にした4通りのタイルによるタイリングの検討をしていたら、「おさかな」と「マンボウ」というかたちを思いついて、昨日はそれをユニットとした基本的なタイリングパターンをご紹介しました。

「おさかな」と「マンボウ」

 今日はこの2種類を用いたもう少し複雑なタイリングパターンをご紹介したいのですが、その準備として最初にこの2つのユニットをそれぞれ2個組み合わせてできる対称性を持つパターンに名前を付けたいと思います。



 「おさかな」も「マンボウ」もそれぞれ単体では回転対称性も鏡像対称性も持ちません。ただし、2つを組み合わせることで対称性を持つかたちにすることができます。

 図1をご覧ください。新しく生まれる対称性は、以下の3つのどれかになります(もしくは対称性なし=自分自身と重なるのは恒等変換のみ)。 菱形の対称性は、2本の直交する鏡像対称軸(赤い鎖線)と180°の2回回転対称性(いわゆる点対称)を持ちます。凧形の対称性は鏡像対称軸を1本だけ持ちます。(等脚台形も同じ対称性を持つ四角形です。) 平行四辺形は2回回転対称性だけを持ちます。 

図 1

 最初にご紹介するのは「レモン」 です。菱形の対称性を持ちます。

図 2:「レモン」

 このかたちはご覧のように「おさかな」2つでも「マンボウ」2つでも作ることができます。また、鏡像反転させると中の色分けのパターンが変わりますが、「レモン」としてはかたちが変わりません。同じ色のタイルが隣接しないようにするために、敢えて反転させることがあります。

 続いて、「中カッコ」 です。これも菱形の対称性を持ちます。名前の由来はこんなかたち{}に見えるためです。

図 3:「中カッコ」

 このかたちもやはり「おさかな」2つでも「マンボウ」2つでも作ることができます。

 3つ目、「ドングリ」 です。これは凧形の対称性を持ちます。シルエットだけだとあんまりドングリに見えないかもしれませんが、2つの「マンボウ」で構成すると、へたの付いたドングリのように見えました。

図 4:「ドングリ」

 このかたちは「おさかな」では作ることができません。はみ出してしまうのです。

 4つ目、「手裏剣」 です。これは平行四辺形の対称性を持ちます。

図 5:「手裏剣」

 このかたちも「おさかな」では作ることができません。図の赤マルを付けた頂点、ここに合う部分が「おさかな」にはありません。隙間が残るか、はみ出すか、どちらかになってしまいます。



 以上で対称性のある部品の説明ができたので、具体例を見てゆきます。最初の例(図6)は「おさかな」だけで昨日の基本パターンよりももう少し複雑なパターンを作ってみたものです。

図 6

 これは、「レモン」 の行と「中カッコ」 の行を交互に積層したパターンです。色は4色使っています。同じ色のタイルが隣接しないという条件で、色分けの仕方もいくつか考えられます。

 次の例(図7)は、「中カッコ」 を「おさかな」と「マンボウ」で作ったものを交互に並べてみたものです。

図 7

 「おさかな」どうし、「マンボウ」どうしの色の異なるものがkissしていますが、「中カッコ」を1つおきに回転させれば同じ色どういが顔を合わせるかたちになります。色分けとしてはどちらが魅力的でしょうか。(というようなことを思いついて試したりしていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。)

 今度は「レモン」 で同じことをやってみました(図8)。

図 8

 「マンボウ」で作った「レモン」だけ、いろが1つおきに逆になっています。(ということに今気が付きました。)

 次の図9はどんなふうに見えますか?

図 9

 これは、意図としては 「中カッコ」 を左向きに傾けた行、右向きに傾けた行を「おさかな」の行で区切って積層したもの、というのが作意なのですが、出来たものを見ると 「レモン」 と 「手裏剣」 が並んでいるように見えます。

 例えば「中カッコ」を同じ色の「マンボウ」で構成したとすれば、「中カッコ」の印象が強くなるはずです。また、この図を見ていると図10を単位として平行移動・回転移動した六角格子のようなパターンになっていることに気が付きます。

図 10

 …というように連想したことを次々と試していると「いくら時間があっても足りない」ということになって、深夜から作業を始めたら気が付いたらお昼を過ぎていたりしました。

(つづく)



 もうひとつ、余談です。先日、碓氷峠の旧道を通ったとき、上り車線と下り車線の制限速度が違っている箇所が何か所かありました。これってどのくらい珍しいのか珍しくないのかわからないのですが、自分の記憶ではそういう区間はすぐには思い浮かびませんでした。写真が撮れるといいなあと思ったのですが、天気も悪く時間もなく、付近に車を安全にとめられる場所も見当たらなかったので写真は諦めました。

 碓氷峠だったら最近よく公開されている車載動画がありそうだなと思ってちょっと見てみたら、ありました。YouTubeのこちらの動画の2分04秒あたりです。

図 11

 自分が走っている下り車線は制限速度が40km/hですが、対向車線は30km/hと路面に描かれています。おもしろいです。

<おまけのひとこと>
 この三連休は「円弧三角形」の美しいパターンを説明するところに到達する計画だったのですが、すっかり横道に逸れてしました。まあそれも楽しいです。






3月23日(月) 「おさかな」と「マンボウ」のタイリング(その2)

 中心角が60°の円弧を6つ組み合わせた「おさかな」と「マンボウ」というかたちを用いたタイリングパターンの話の続きです。

「おさかな」と「マンボウ」

 一昨日、この2つのかたちの「眼」の位置を「この眼の位置は、ルーローの三角形の頂点と同じで両側が凸の構造になっている頂点の位置を表しています。」と説明したのですが、この意味がよくわからないのですが、というメールをいただきました。ありがとうございます。確かにわからない説明でした。改めて説明し直します(図1)。

 「おさかな」にはA,B,Cの3つの頂点があります。「マンボウ」にもD,E,Fの3つの頂点があります。それぞれの頂点の両側の円弧が凹なのか(=接線が内側になるのか)凸なのか(=接線が外側になるのか)に注目すると、頂点AとDだけが両側とも凸になっていて、そこにはルーローの三角形がちょうどぴったりはまります。

図 1

 タイリングのときは必ず凹と凸の組み合わせになって、凹どうし、凸どうしが隣接することはありません。なので「両側が凸」の頂点(AとD)に目印を付けておくとわかりやすいのと、ちょうど造形として魚の頭っぽいので、「眼」を入れるといいかなと思ったというわけです。



 昨日は、これらを2つ組み合わせた対称なかたちとして「レモン」 、「中カッコ」 、「ドングリ」 、「手裏剣」 という4つのユニットをご紹介しました。今日はその続きです。

 「レモン」 と「中カッコ」 を3つずつ交互に並べると3回回転対称のパターンを作ることができます。これは図2のようにどんどん外側に広げてゆくことができます。(ごめんなさい、ちょっと「気持ちが悪い」と思われる方もいらっしゃるでしょうか。)今回は「レモン」は「おさかな」で、「中カッコ」は「マンボウ」で作りました。でも、「マンボウ」のパターンのほうにも「レモン」が見えています。

図 2

 このパターン、適当なところで止めて六角形のかたちを六角格子のように並べてみます。残念ながら「レモン」と「中カッコ」なので組み合わせることができませんが、「ドングリ」 がこの2つをつなぐのにはピッタリなかたちをしているのです。そこで、図3のような構造が可能になります。

図 3

 図3の中央の「ドングリ」が3つでできた六角形を中心としたパターンであるとみなすこともできます。これ、「レモン」を「おさかな」で作っていますが、「レモン」は「マンボウ」で作ることもできますので、そうすると全部マンボウのタイリングパターンを作ることもできます。色分けをしないと、パターンを見分けるのがとても難しくなります。



 「マンボウ」だけを使ってランダムに見えるパターンを作ってみたいなあと思って、こんな配置を試してみました(図4)。「マンボウ」のタイルを32枚使っています。

図 4

 わかりにくいと思いますが、色は6色使っていて、6つの方向×鏡像で色分けしています。一番多い色は8ピース、一番少ない色は3ピースになっています。この図は横長の六角形のようなかたちをしていますが、実は3組の向かい合う辺の形は同じになっていて、平行移動で組み合わせることができるのです。図5はそうして並べたパターンの一部分を切り出して表示しています。

図 5

 いかがでしょうか、図5を見て周期性を発見できるでしょうか? 

(つづく) かなぁ…



 私がこういう模様のパターンの周期性に興味を持ったのは子どものころの「こたつの上掛け」が最初だったなあと思い出しました。こたつの上掛けは汚れやすいので母が頻繁に洗って交換していて、けっこうな数がありました。信州は一年の半分は冬なので(ちょっと大げさですが)、こたつ布団を仕舞うのは1年のうち7〜9月の3か月くらい、しかもその夏のあいだも上掛けだけは掘りごたつのやぐらに掛けてありました。幾何学的な模様の上掛けもあれば、植物などがデザインされた上掛けもありました。素材も様々なものがありました。そこに存在する様々なパターンを飽きずに眺めて周期性を見つけるのが楽しかったのです。

 こたつ布団は自分の手足で様々な起伏を作って遊ぶのにも最適でした。スキー場に見立ててみたり、草原に見立ててみたり、平らにして水面(海)に見立ててみたりして遊ぶのも楽しかったです。



 妻がお花屋さんで桜の枝を買ってきて玄関に生けてくれました。(480円だったそうです。)今年はお花見も自粛ムードです。

図 6

 後ろに飾ってあるのは、有元利夫(1946-1985)の「花降る日」の絵はがきです。 妻が有元利夫が好きでよく飾っています。 桜の枝と似合っています。

図 7

 今年の6月末から約2か月間、有元利夫展 花降る空の旋律(しらべ)という展覧会があるそうです。行かれるといいなあと思っています。

<おまけのひとこと>
 有元利夫については、昔2004年2月18日のひとことで、安野光雅の「絵のある人生」という本の感想として引用したり書いたりしていました。






3月24日(火) 円弧三角形を放射状に並べる(その1)

 今日は先日ご紹介し始めていた円弧三角形(下図の赤い部分)の話に戻ります。

円弧三角形

 このかたちの3つの頂点の両側の弧に接線を引くことで、その頂点の「頂角」を定義することができます。実はこのかたちは30°-60°-90°になっています。また上図から明らかなように、この円弧三角形の3つの弧の長さの比は 1:2:3 になっています。ということで以下この円弧三角形を123三角形と呼ぶことにします。 (直線で囲まれた通常の意味での三角形だとしたら、3辺の長さの比が1:2:3にしようとするとまっ平になってしまいます。)

図 1:123三角形

 最初に、同じ頂点を1点に集めた配置を考えます。60°なら6枚、30°なら12枚でちょうどぴったり360°になるので、回転対称なかたちをつくることができます。

図 2 図 3

 また、30°と60°を両方用いることで、4回回転対称や3回回転対称のパターンを作ることもできます。

図 4 図 5

 図4の順序を変えることで、回転対称性を失わせることもできます(図6)。

図 6

 さて、これらの回転対称なパターンの外側に同じ123三角形を隙間なくタイリングしてゆくことはできるでしょうか?

(つづく)



 先日、碓氷峠の旧道の片側一車線の道路の上りと下りで制限速度が異なる部分があって、その表示の数字が路面で並んでいて面白いという話をご紹介しました。そうしたら、gooの質問サイトの同じ道で制限速度が違うことあるのですか?というページを教えていただいて、「回答No.1にある三才山トンネルに向かう一般道は、お近くなのでは?」とコメントをいただきました。その通りです。こんなに身近にあったとは…。ありがとうございます。(ふ、不覚…)

 例によって動画サイトで車載動画を探してみました。長野県上田市→三才山トンネル有料道路→安曇野市(2倍速).という動画の18分52秒あたり、長い三才山(みさやま)トンネルを抜けた直後のところに、ありました、松本方面への下りが50km/h、上田に向かって上り切った対向車線側が40km/hの表示が路面に描かれていました。

図 7

 もう40年くらい前、この三才山トンネルが開通した直後から、両親の運転で1か月に一度くらいはこの道を往復していました。自分が車を運転するようになってからも時々は利用していました。上の動画も懐かしく眺めてしまいました。(細い峠道を走るのも好きなので、有料道路ではない青木峠を通ることが多かったですが。)この、「上りと下りで制限速度が違う」ということを意識したことはなかったです。

 ちょっと検索してみた範囲ではこのトピックについて言及しているページやサイトは見当たらなかったのですが、40高中というページに行き着きました。これは感慨深いです。 近所だと国道299号の麦草峠に残っているようです。今度走るときには気にしてみようと思いました。

<おまけのひとこと>
 先日、お墓参りに行くときに食品スーパーでお花を買いました。スーパーのレジがとても混雑していて、5〜6台あるレジがそれぞれ数名ずつ並んでいる状況でした。妻が並んでくれたのですが、ひとつ前に並んでいた人がお花を2束だけ持って並んでいた妻を振り返って「自分の買い物は多いからお先にどうぞ」と順番を譲ってくれたのだそうです。頭が下がります。こういう「ほかの人を思いやる行い」というのは、それをしてもらったら今度は機会があったら自分も誰かにしてあげたいな、と思うのです。そういう思いやりの連鎖が少しずつ社会を住みやすくしてくれるのだろうと思います。

 昔、コンビニのコピー機でたくさんコピーをしているとき、1枚だけコピーしたいという年配の方がいらしたのでいったん手を止めて順番を譲ったことがあります。確かお盆休みで、その方はお孫さんがいらっしゃるとのことでとても楽しそうでした。気持ちや時間に余裕があるときばかりではありませんが、たまにはそういうことをすると、誰かのためというよりは何よりも自分の心の平安のためにいいなあと思うのです。






3月25日(水) 円弧三角形を放射状に並べたかたちの仮現運動(番外編)・七色の橋

 昨日ご紹介した円弧三角形を回転対称性を持つように並べたかたちを見ていたら、こんなgifアニメーションを作ってみたくなりました。

図 1

 これは、正六角形と同じで6回回転対称性を持っていますから、60°回転させると自分自身と重なります。そのちょうど半分の30°回転させた画像を用意して、単にその2枚を交互に表示してみています。どんなふうに見えますか?

 意識して見ることで、「右回転」「左回転」「交互に行ったり来たり往復運動」という見方ができると思います。さらに意識を集中して、たとえば「これは右に4回、次に左に4回回っているんだ」と思い込んでそのように見ようとすると見える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 同じことを12回回転対称のパターンでもやってみました(図2)。

図 2

 こちらのほうが回転方向を意識して変えて認識するのは大変かもしれません。

 4回回転対称のものも作ってみました(図3)。これも2つの画像を交互に表示しているだけです。

図 3

 面白いです。

 次の図4だけはちょっとパターンを変えてみました。これは3回回転対称なのですが、アニメーションで表示している画像は2画面ではなく3画面にしています。これはどんなふうに見えますか?

図 4

 素直に見ると、反時計回りに回っているように見えるのではないかなと思います。一方、意識して時計回りに回っていると見ることもできると思います。時計回りに回っているとすると、回転する角度は反時計回りの2倍に見えるはずです。

 図4のアニメーションを見ていて、私は図5のような見方もできました。

図 5

 どういうことかというと、反時計回りに小さく回転した後、時計回りに大きく回転する、という動きを繰り返しているようにも見えるのです。(この認識のモードは、油断するとすぐに外れてしまいます。)

 回転するコマを眺めていると、ゆっくりと順方向の回転や逆方向の回転が見えたりすることがあります。これは、人間の目および脳の視覚情報処理の時間分解能が無限ではないため、次々と目に飛び込んでくる瞬間の画像に対して、脳が合理的な「動き」を推定した結果、ゆっくりした回転が見えるのだと思います。コマは徐々に回転速度が遅くなってゆくため、ビートのようなゆっくりした周期の「動き」が見えるのですね。どのくらいの回転速度の時にどういった動きが「見える」のかを調べると、心理物理学の実験として面白いことがわかるような気がします。(すでにそういった研究はありそうですが。)



 近所の、走り慣れていてよく知っている道の車載動画が意外と面白いということに気が付きました。夜、お酒を呑みながらとかのんびり眺めてみたりしています。昨夜、国道143号 松本〜青木峠〜上田 車載動画 [2014-06]という動画を眺めていたら、子どものころに好きだった「七色の橋」が出てきました。動画から画面をキャプチャさせていただきました。

赤い橋:09分42秒
橙の橋:09分56秒
黄色い橋:10分04秒
緑の橋:10分09秒
青い橋:10分13秒
水色の橋:10分24秒
藤色の橋:10分27秒

 場所は、地理院の地図でいうとこのあたりです。(実は今の勤務先のすぐ近くだということがわかってびっくりしています。)

 このあたりの国道143号線は、これらの橋のおかげできついカーブが無く、安全に走行できます。ここを頻繁に通っていたのは、三才山トンネルが開通(1976年)する前です。松本建設事務所のサイトに信州にレインボーブリッジ!?というドキュメント(pdf)がありました。

 これ、いちいち停車して写真を撮っていたらとても大変です。また、歩行者がいることを想定していない道なので、歩いて巡ることも危険ですし通っている車にも迷惑かなあと思います。なので、このような車載動画という手段は便利なのだなあと改めて思いました。しかも、撮影時には注目していなかかったものを後日探したり調べたりできる、というのがいいですね。

 それにしても、デジタルデータや通信やネットワークの技術の進化は凄いと改めて思います。このサイトの公開を始めた20年前は、情報をNetで共有するために画像データも一生懸命節約して小さくしていましたが、今は1時間もの大容量の動画を誰でも簡単に共有できるようになりました。将来、人類が滅亡せずに健全に発展していったとして、21世紀が過去の歴史となった時代には、こういった膨大なデジタルデータを解析・研究するようなことが行われるのかな、と思います。

<おまけのひとこと>
 昨日の「おまけのひとこと」でスーパーのレジで順番を譲ってもらった話を書きましたが、最近、お店で嬉しかったことがもう一つありました。唐揚げのやまざき(リンクはFacebookです)というお店の唐揚げが好きで、年に何回か買います。ここの唐揚げはとても大きくて(1つが普通の3個くらい?)、かつ美味しいのです。2種類の唐揚げを6個ずつ買おうと思ってカウンターで注文したら(120円×12個=1,440円)、「それなら2種類5個ずつが1,000円というキャンペーン中ですけれどもいかがですか?」と教えていただいて、ありがたくそちらにしました。店員さんとこういうやり取りをするということは、今は珍しくなった気がします。






3月26日(木) 円弧三角形を放射状に並べる(その2)

 3つの円弧に囲まれた円弧三角形のタイリングの話の続きです。この話題は、The Unusual Properties of Tricurves(Tim Lexen:2017) という論文を参考にさせていただきました。

 一昨日、回転対称性を持つように円弧三角形を並べてみましたが、その外側にどんなふうに広げてゆけるのか、手作業でパーツを並べた図を作ってみました。最初に6回回転対称なパターンです(図1)。

図 1

 もうちょっと凝ったパターンにすることもできます(図2)。今のところこのパターンがお気に入りです。

図 2

 12回回転対称なパターンも外に広げていってみました(図3)。これもきれいですね。

図 3

 3回回転対称なパターンも作ってみました(図4)。なんだか鳥の羽みたいです。楽しい…

図 4

 さて、図ができたのでこれらのパターンをCGにしてみることにしました。

(つづく)



 先日の40高中というサイトに、麦草峠に40高中の表示が残っていると紹介されていたので、車載動画を検索して眺めてみたら、ちゃんとありました。 国道 299号 メルヘン街道 麦草峠 車載動画 の33分01秒あたりです。

図 5

 なるほど。 車で昔からある道路を走る機会があったら気にしてみたいと思いました。こういう「気に掛けてみる観点」が増えるのは楽しいです。

<おまけのひとこと>
 長らく患っているアトピー性皮膚炎が、ここ数か月は目と耳に出てきています。耳が痒いと、つい外耳道を耳かきなどで掻いてしまいます。そうしたらだんだん痛みが出てきて、今週の火曜日に病院で診てもらいました。外耳道の皮膚が盛り上がって通常の3分の1くらいに狭くなっている、炎症もある、とのことで飲み薬と点耳薬というのを処方していただきました。「容器の先端が耳に触れないように」という注意書きがあるのですが、目薬と違って自分の耳は見えないので、点すのが難しいです。しかも、朝夕2回なのですが、点耳薬を点したら10分間は横になっていなければいけないというのがけっこう負担です。






3月27日(金) 円弧三角形を放射状に並べる(その3)

 3つの円弧に囲まれた円弧三角形のタイリングの話の最終回です。ここ数日ご紹介してきた6回回転対称パターン、12回回転対称パターン、4回回転対称パターン、3回回転対称パターンそれぞれについて、外側にパーツをずっと敷き詰めた図を作ってみたのでご覧ください。最初はシンプルな6回回転対称パターンです(図1)。

図 1:6回回転対称

 6回回転対称の別パターンです(図2)。図1と図2を混在させられたら面白いのではないかと思ったのですが無理そうです。

図 2:6回回転対称

 12回回転対称パターンです(図3)。

図 3:12回回転対称

 4回回転対称パターンです(図4)。ある意味これが一番シンプルなパターンのような気もします。

図 4:4回回転対称

 3回回転対称パターンです(図5)。

図 5:3回回転対称

 なるほどこんな感じか、という印象です。



 せっかくCGで作成したので、透視投影法で斜めから見下ろしてみました。

図 6 図 7

 インターロッキング舗装のようにも見えます。画面の奥側、図6と図7では同じになっているのがわかりますか。タイルがずっと続いている感じがいいです。

 先週末からご紹介してきた3つの円弧に囲まれた円弧三角形のタイリングの話は今日でおしまいにします。参考にさせていただいたこちらの文献(The Unusual Properties of Tricurves(Tim Lexen:2017))には、まだほかの円弧三角形も載っています。ほかのパターンも試してみても楽しそうです。



 不切正方形一枚折りの、こんな作品がYouTubeに紹介されていたので折ってみました。輪っかが2つ、鎖のように絡まっています。残念ながら「不切正方形一枚折り」ということを知らなければ、特にすごいとは思えない作品だと思います。でもそれを知った上でみると、接着もせずにリングがしっかり閉じられていることも含め、良い作品だと思います。

図 8

 情報源はこちら(Fold 2 Interlocking Rings by Jeremy Shafer)の動画です。この Jeremy Shafer という方はYouTubeにおもしろい折り紙作品をたくさん載せていますね。

<おまけのひとこと>
 昨日、点耳薬の話を書いたら、メールをいただきました。点耳薬を点して薬を浸透させることを「耳浴」というのですね。「耳浴はラジオを聞きながらするのがいいです」と教えていただきました。なるほどありがとうございます。






3月28日(土) 4閉路のない4彩色単位距離グラフ(その1)

 こんなグラフ(グラフ理論のグラフです)を知りました。4閉路のない4彩色単位距離グラフだそうです。美しいかたちだと思います。

図 1:4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフ

 このグラフを知ったのは、こちらの 4-chromatic unit distance graph with no 4-cycles. という記事からです。

 単位距離グラフ というのは、グラフの辺の長さが全て同じになっているものです。グラフ彩色というのは、グラフの要素になんらかの規則で色を塗ってゆくことですが、よく議論されるのはグラフの頂点に、隣接する(辺でつながった)頂点とは異なる色を塗ることです。用いる色が少ないほうが難しいので(例えば完全グラフ=全ての頂点の間に辺があるグラフならば頂点の数と同じだけの色が必要です)、頂点を塗り分けるのに最低何色必要か、というところが興味の対象になります。

 4閉路というのは、グラフの中の適切な4頂点を選ぶと、その4頂点を順に巡る辺が存在している場合を言います。例えば下の図2は、立方体の頂点と稜をグラフだとみなしたものです。このグラフは3次元空間に埋め込まれていて、平面グラフではありません。頂点は8つで辺は12、全ての頂点の次数は3です。これは2彩色可能です(=たった2色で頂点を塗分けることができます)。全ての面は正方形なので、これは単位距離グラフ(Unit Distance Graph)です。また、3閉路は存在しません。4閉路は(立方体ですから)いくつもあります。

図 2 図 3

 図3は立方体グラフを平面グラフにしたもので、トポロジカルには図2と図3は同じです。この表記だと単位距離グラフにはなりません。こう描くと4閉路がわかりやすいですね。

 さて、図1のグラフですが4彩色してみてください。また、このグラフにはハミルトン閉路(全ての頂点を1回ずつ巡って戻ってくる経路)はあるでしょうか? これが意外と面白いパズルになっていると思いました。

(つづく)



 庭の木を切ったら、たくさん来ていた小鳥が来なくなってしまうのではないかと心配していたのですが、幸い杞憂のようです。どうやら夕方に来るようです。

図 4

 モミの木とシラカシの木を伐採したので、娘が20年前に小学校の入学式で貰ってきたかりんの木が、我が家の庭では一番背が高い木に昇格しました。その木に小鳥がたくさん来ます。

図 5

 小鳥が庭に来てくれるのは嬉しいです。

<おまけのひとこと>
 過去のページは半月ごとにまとめているのですが、この3月後半のファイルサイズがかなり大きくなってしまっています。それもあって週末は少し短くしようかなと思ったのですが、ついついいつものペースで書いてしまいました。






3月29日(日) 4閉路のない4彩色単位距離グラフをゲーム盤にしてみる

 昨日ご紹介した4閉路のない4彩色の単位距離グラフのかたちが気に入ったので、これをゲーム盤として使えないか、ちょっと考えてみました。まず、こんな風に辺を塗り分けてみました(図1)。

図 1:4閉路のない4彩色可能な単位距離グラフ

 辺でつながった正三角形が6つありますが、それを塗分けています。どの正三角形にも属さない辺が3つ残りますが、それはグレーにしました。このゲーム盤のほかに、コマを2種類×3個ずつ用意します(図2)。

図 2:ゲーム盤とコマ

 勝利条件(ゲームの目的)は、自分のコマ3個が、辺でつながった正三角形の頂点に存在していることです。図3のピンクや水色の点線のような、線で結ばれていない正三角形の3頂点に自分のコマがあっても勝利条件を満たしません。

図 3:これは勝ちにならない

 先手・後手を決めたら、お互いに1つずつ順番に自分のコマを空所に置いてゆきます。最初に置いた3つで正三角形ができればそれで勝ちですが、普通は相手が邪魔をするのでそうはいきません。3つともコマを置いてしまったら、あとは自分の手番の時に自分のコマを1つ、線でつながった空所に移動します。(コマは3個ずつしかないので、いわゆる「雪隠詰め」になることはないはずです。)パスはできません。

 序盤の例をご紹介します(図4)。先手が赤とピンクの辺が集まる頂点にコマを置きました(1)。後手の初手は緑と水色の頂点です(2)。先手が赤い三角形に「当たり」をかけます(3)。後手は妨害します(4)。先手は最後の手ゴマを(5)に打って、ピンクの三角形の完成を狙います。(1)のコマをピンクの三角形の空所に移動して、(3)のコマを(1)の場所に移動すれば完成なので、あと2手で勝利です。

図 4:序盤の例

 実はこの(5)手目は敗着で、後手は次に必勝手があるのです。わかりますか?



 あっという間に勝負が決まってしまったので、先手は(5)手目を「待った」をして打ち直しました。しばらくゲームが進んで、こんな盤面になりました(図5)。

図 5:終盤

 この盤面、手番を持っている側の勝ちです。たまたまこの例では後手番でしたので後手が勝ちました。それぞれ、あと1手で完成できる状態になっていることを確かめてみてください。



 このゲーム、ぜひ試してみていただきたいと思って、こちらにtriangle_game_using_4-chromatic_unit_distance_graph.pdfというpdfファイルを用意しました。コマはご用意ください。硬貨でもチェスのポーンでもおはじきでもなんでもいいです。図6は、印刷してテストプレイをしているところです。

図 6

 三角形に色を付けない盤面でも同じルールで遊べますが、塗り分けられているほうが作戦を考えやすいですし勝利の判定もしやすいです。

<おまけのひとこと>
 昨日、小淵沢駅の有名な駅弁の「元気甲斐」を買ってきて食べました。2017年10月以来かなあと思います。






3月30日(月) 4閉路のない4彩色単位距離グラフを変形してみる

 4閉路のない4彩色の単位距離グラフ(再掲図1)の話の3回目です。このグラフの構造をもうちょっとわかりやすくするため、単位距離グラフの条件を外して変形してみました(図1)。こうすると、グラフのつながり具合がだいぶ見通しが良くなると思うのですがいかがでしょうか。

再掲図 1 図 1:変形してみた

 図1のかたちにすると、昨日ご紹介した三角形を獲得するゲームはずっとわかりやすくなります。例えば昨日の序盤のプレイの例、変形した盤面で再現するとこうなります(図2)。

再掲図 2 図 2

 こうすると、先手の(5)が悪手だということがわかりやすくなったと思います。

 こうしてグラフをゲーム盤にすると、どことどこがどうつながっているのかじっくり考えざるを得ません。グラフの構造を理解するのに有効な手段だと思います。何より楽しいです。



 外周が正六角形の新しい表記なら、ハミルトン閉路(全ての頂点を一度だけ巡って出発点に戻る経路)もわかりやすいと思います。一応図示しておきます(図3)。

図 3

 このハミルトン閉路、もともとのオリジナルの単位距離グラフのほうではどうなっているのか、たどってみてください。要は次数4と次数3の頂点を交互に巡るのです。次数3どうし、次数4どうしをつなぐ辺は通ってはいけません。オリジナルの単位距離グラフの表記では3回回転対称なパターンになります。

 このグラフ、すっかり気に入ってしまいました。何かで模型を作ってみたくなりました。

(つづく)



 今日はもう1つトピックを。これ、なんだかわかりますか?

図 4:これは何でしょう?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 小学校から高校まで一緒だった昔の友人が、四月から中学校の校長先生に就任するそうです。偉いな、校長先生大変そうだな、と思います。






3月31日(火) シルエットパズル・本をモチーフとしたアルファベット、他

 3月の最終日なので単発の話題にしたいと思います。こんなシルエットパズルを知りました(図1)。これは、図2のように正方形2つと直角二等辺三角形2つによるピースです。

図 1 図 2

 ピースは5つあって、面積はいずれも3です(単位正方形の面積を1としています)。5ピース全部で面積は15ということになります。この5ピースのセットを使って、3×5の長方形を作ってください、というのが1問目です(図3)。

図 3

 適度な難しさのパズルだと思います。方眼紙が印刷された厚紙の工作用紙から切り出してパーツを自作してもいいですし、パソコンを使うなら Excel や PowerPoint でピースをオブジェクトとして作成して、それを回転させたり裏返したりして試してもいいですし(私は最近はもっぱらこのパターンです)、ゴールの長方形を方眼紙の上に描いて、それを与えられたピースの形になるように鉛筆で区切り線を入れてみる、というのでもいいと思います。

 3×5ができたら、4×4もやってみましょう(図4)。

図 4

 これは1単位分の隙間ができます。どこにどんな隙間ができてもいいです。私は今のところ3×5も4×4も1通りしか解を見つけられていません。(回転や鏡像は同じとみなします。)別解はないのかなあと思い始めています。

 なお、このシルエットパズルの情報源はこちらのLe Cinq en symetrieというサイトです。このサイトに飛ぶといきなり解が表示されているので、見たくない方はご注意ください。ほかにもいくつかシルエットの問題と解が載っています。



 昨日、「これは何でしょう?」と問いかけた図の種明かしを書いておきます。

再掲:これは何でしょう?

 これは、本をモチーフとしたアルファベットです。Chan Hwee Chong というクリエータの方がデザインされたものです。彼のこちらのページ には、もう少し「本」らしいデザインのアルファベットの一覧と、それを用いたデザイン例が載っています。とても素敵なデザインだと思います。お世辞にも読みやすいフォントだとは言えませんが…

 蛇足ですが昨日の図に、そのデザインが表しているアルファベットを追記してみました(図5)。

図 5

 昨日の朝、このページを見てくれた妻から「あそびをせんとや ですね」というメッセージを貰いました。「すぐにわかった?」と尋ねると、「うーん、少し考えた」とのことでした。ちょっと考えて「ああ、わかった、なるほど!」と思ってもらえたら大成功です。(簡単すぎても難しすぎてもダメです。)



 江端智一さんのコラムの番外編のある医師がエンジニアに寄せた“コロナにまつわる現場の本音”という記事を読みました。いろいろ共感することがたくさん書かれていました。 症状が重篤ならば保健所に問い合わせて然るべき医療機関にかかるのが正しいと思いますが、軽症ならばむしろ病院には近づかず、自宅で栄養と水分と休養をしっかり取って2週間閉じこもっているというのが正しい対応だろうと思います。 特に「偽陰性」が恐ろしいです。鬼の首を取ったように「検査で陰性だった」と出歩くのは危険です。

 「マスクには「衛生意識を高めるための“必勝だるま的”アイテム」という側面が間違いなくあると思います。」という文には、不謹慎ながら笑ってしまいました。(それが悪い、と述べられているのではありません。) 現在、私の勤務先は事業所内でのマスク着用は必須ではありません。これは「感染リスクがある人は敷地内に入れない」という管理を徹底しているから、と説明されています。でも私はマスクを着用しています。花粉症持ち、という理由もあるのですが、「自分は感染対策を意識している」というアピールにもなると思っているためです。実際問題として、昨年12月に買った80枚のマスクは、妻とふたりで消費していますがまだ余裕があります。その程度の交換頻度ですので、「必勝だるま」と言われると「その通り!」と思いました。

<おまけのひとこと>
 私は閉じこもっているのは大得意ですが、肺炎の症状は避けたいです。現時点で自分が感染している可能性はかなり低いと思っていますが、でも可能性はゼロではないので、加害者になるような行動は出来る限り避けるようにしたいと思っています。






[←2020年3月前半]  [↑表紙へ] [2020年4月前半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2020年3月後半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2020 hhase