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以前の「ひとこと」 : 2004年2月後半



2月16日(月) 音階の話(その1)

 昨日、音律の話は面白いですと書きました。 音律というのは、私たちが西洋音楽で普通に使っているドレミファソラシドの音階、この音階を構成するそれぞれの音の高さを正確にどのように決めるかという決まりのことです。 実はこの音律にはいろいろなものがあって、ものによっては「ドレミファソラシド」の音どうしの高さの間隔がかなり広かったり狭かったりするようなものもあるのです。こう書くと、「え、音の高さってきまっているんじゃないの?」と驚く方もいらっしゃるのではないかと思います。 このあたりの話をちょっと書いてみます。

 音階について考えるときには、2つの音がきれいに響きあう(協和する)かどうかというのが重要な判断基準になります。2つの音が最も完全に混ざり合うときというのは、いわゆる一度の和音(一度、二度、三度の一度です)、つまり2つの音の高さが完全に一致した場合です。次が八度、つまり2つの音がちょうど1オクターブ違っているときで、この状態の時には2つの音の振動数の比はちょうどぴったり2対1になっています。音の高さを弦の長さで表すとすると、同じ材質・張力の弦であれば、長さがちょうど半分になると、1オクターブ高くなります。

 次に私たちの耳が美しく協和する和音として聴くのが五度の和音、つまりドとソの音です。このときには、振動数の比は正確に3対2になっています。

図 1

 図1は、3本の弦の長さの模式図です。一番上の弦がドの音だとすると、その3分の2の長さの2番目がソの音、そして3番目の弦は長さが1番目の半分ですから、上のドの音になります。ここで、2番目と3番目の弦の長さの比に注目すると、4対3になっていることがわかります。これも美しく協和する四度の和音です。

 余談ですが、例えばヴァイオリン族の楽器などは4本の弦をこの五度の幅で調弦します。ギターは6本の弦を四度の幅で調弦しますね。

 さて、一オクターブの中には、12種類の音があります。この12種類を c, c#, d, d#, e, f, f#, g, g#, a a#, b と表すことにします。 五度というのは、この12個の7つ目に相当します。幸か不幸か12と7は互いに素(=最大公約数が1)ですから、次々に5度ずつ上がってゆくと、12種類の全ての音が1回ずつ出てきて、再び最初の音に戻ります。その様子を下の図2に示します。

図 2 : 五度ずつ上がっていった場合

 図2は普通の88鍵のピアノの鍵盤の絵のつもりです。このように、一番低いドの音からはじめると、c-g-d-a-e-b-f#-c#-g#-d#-a#-f-c でひとまわりして、ピアノの最高音のドの音で終わります。

 「これはいい、これで振動数を正確に3対2にあわせてゆけば、12個の全ての音の高さが決まるから、あとはその音の高さを2倍もしくは半分にしてゆけば、全部の音が決まるのではないか」と一瞬期待するのですが、そうは問屋が卸しません。 この、五度の幅で12音を決めてゆく方法で、最初のドの音と最後の7オクターブ上のドの音の振動数の比がどのくらいになるか、計算してみましょう。

 正確に五度上の音というのは、振動数が2分の3倍、つまり1.5倍になります。ということは、最初のドの音からはじめて、次々に振動数を1.5倍してゆくと、最後の7オクターブ上のドの音は、

(1.5)12=129.746337890625…

 となります。ところが、最初に書いたように、一オクターブ上の音というのは振動数が正確に2倍になります。

図 3 : 八度(一オクターブ)ずつ上がっていった場合

 ということは7オクターブ上の音というのは、図3のように振動数を次々に2倍にしてゆくことになるので、

27=128

 あれ、五度ずつ上げていったときと八度ずつ上げていったときとで、音が違ってしまいました。 何がいけなかったのでしょうか?

(つづく)つもり

 <おまけのひとこと>
 今朝はまたちょっと寒いです。



2月17日(火) 音階の話(その2)

 音律の話をしようと思って、音階の話を書き始めました。が、本日2回目にしてすでに後悔しはじめています。 わかりやすく書くには、説明しなければならない予備知識の多い、この「あそびをせんとや」のページ(というか、私)には荷の重い話題だったなと思いますし、丁寧に解説されたページは世の中にたくさんあるのです。というわけで、購入した音あわせ用の電子チューナーに備わっているいつくかの音律について解説しようと思って始めたこの話ですが、詳細は他のページにお任せしたいと思います。例えば

音における絶対と相対
古代ギリシャの音律
MBA音楽資料室
音律:たかが数セント、されど数セント

等のページが大変参考になります。音や音楽を基礎付ける数学に興味のある方は、ご覧になることをお勧めします。

 昨日は5度の話をしました。昨日のように、5度ずつ上がっていって12種類の音を巡ってゆく環(わ)のことを五度圏といいます。こちらも、検索してみるとたくさん情報がありますが、たとえばこちらなどに絵があります。実は、この五度圏を利用した音程の決め方というのがピタゴラス音階と言われる大変古い音律法になります。

 この次に続く協和する音程というのは、次の表のようになります。ここに出てくるcent(セント)という単位は、1オクターブを1200セントとして、それを対数軸上で等分した単位です。音律や調律の話ではよく出てくる単位です。


音程      周波数比            純正音程 平均率    差
オクターヴ 2/1     2           1200    1200      0
5度         3/2     1.5          702     700     -2
4度         4/3     1.33333      498     500     +2
長3度       5/4     1.25         386     400    +14
短3度       6/5     1.2          316     300    -16
短6度       8/5     1.6          814     800    -14
長6度       5/3     1.66667      884     900    +16
                                (cent)  (cent) 

 昨日の5度、およびその仲間の4度に続く和音が3度の和音です。 この長3度という和音、これは例えばドとミの音なのですが、これは半音にして幅4つ分になります。ということは、長3度ずつ上がってゆくと、4つ目にちょうど1オクターブ上の音になるはずです。

長3度ずつ上がっていった場合

 上の鍵盤の図では、適当な音から初めて3度ずつ上がる例を4つの色で示しています。5度ずつ上がるときには12種類全てをめぐりましたが、3度の場合はこのように4組に分かれてしまいます。

 さて、協和する3度というのは、上の表にも書きましたが振動数の比が5対4、つまり3度上がると振動数は1.25倍になります。ということは、正確に3度ずつ上がった結果、4つ目の音がもとの音の振動数の何倍になるかというと

(1.25)3=1.953125

となります。これは、ちょうど一オクターブ上の音の比である2と比べると、かなり小さい数字になってしまっていることがわかります。これは5度を12個重ねたときよりも、さらに誤差が大きい数値になります。 これがどういうことかというと、12個の音の幅をどのように決めたとしても、全ての長3度が5対4になるような調律は不可能だ、ということなのです。もしそうすると、1オクターブが2対1でなくなってしまって、12音の音階ではなくなってしまうのです。

 このように、音律というのは2のべき乗のオクターブの系列を対数軸上で12分割するのに「できるだけ単純な整数比に近いようにしよう」という要求なのです。 もともと、2のべき乗の系列のどの2つを取っても、その中に3だの5だのの比が出てくるはずもありません。ところが、たまたまそれに近い音が存在するものですから、昔の人は12音を基本として音階を作り、それに基づいて音楽を作ってきました。(かなり乱暴に議論していますが)ここには必ず何か妥協があります。その音律が何を重視して、何を犠牲にしているかを知っていると、音楽を演奏したり聴いたりするときにとてもおもしろいのです。

 うーむ、キルンベルガーとかヴェルクマイスターとかの調律の話になかなかたどりつけません。

(つづく)かも

 <おまけのひとこと>
 私自身が、「ピアノの平均律の調律では、完全な整数比のきれいな和音は鳴っていないんだよ」と初めて知ったときに、3度や5度を積み重ねてゆくとどうなるかという説明が一番わかりやすかったので、昨日・今日とそういう説明をしてみたのですが、あまりうまく書けませんでした。
 ちょっと音階の話は置いておいて、明日は違うことを書こうかと思っています。
 昨日、職場で 1024-128 という小学生でも簡単にできる引き算を間違えて、恥ずかしい思いをしました。



2月18日(水) 「絵のある人生」

 先日、岩波新書の絵のある人生─見る楽しみ、描く喜び─ 安野光雅 著 という本を買いました。 帯にこうありました。

 わたしは、軽々に「絵描きになれ」と人に勧めることはできません。でも、それで生活しようと思わないですむなら、大賛成です。絵を描くことは、描かないで過ごした人生にくらべて、どんなに充実しているかしれないのだから……。今ごろになって「絵と一緒に生きてきてよかったな」と思っています。(本書より)

 これは、「音楽のある人生 ─聴く楽しみ、奏でる喜び─」としてもいいし、「パズルのある人生 ─解く楽しみ、創る喜び─」としてもいいなあ、と勝手に思いました。 いずれも、「それで生活しようと思わないですむなら」、大変人生が豊かになります。

 また、こんな文もありました。

 (『ゴッホの手紙』(上中下)を読んで)「天才の峰が高ければ高いほど、哀しみの谷も深い」というのは天才数学者を調べた藤原正彦(数学者)の至言ですが、わたしはこの言葉を思い出します。

 現代作家、有元利夫(1946〜1985)は・・・(中略)・・・彼は、日本の絵の流れの中に忽然と現れた一種の突然変異だと思います。彼の描き出す世界に魅せられて、このごろ真似をする人が増えましたが、勉強中以外は、真似をしてもだめです。

 有元利夫はバロック音楽が好きだったようで、リコーダーを演奏したり、ヴァージナルというチェンバロの祖先にあたる古い鍵盤楽器を持っていたりしたそうです。昨年の夏に近所の美術館で有元利夫展があったときに、彼の所有していた楽器も展示されていたそうです。

 2日ほど書いた音律の話について、昨日、作曲と演奏のために ペンタトニックの筒というページのioxinariさんという方から、ペンタトニックの筒の徒然という日記のページの2月17日に取り上げて下さったことをご連絡いただきました。ありがとうございました。 和声に興味がある方にとっては面白いページだと思います。

 <おまけのひとこと>
 昨日は、本業の仕事ですごくうまくいったこととものすごくまずいことがあって、ちょっと困っています。



2月19日(木) “口笛ぴゅう”

 “口笛ぴゅう”というキーホルダーが出てきました。何年か前に、確か新宿駅の「王様のアイディア」で購入したものです。当時の株式会社ユタカ、今は株式会社ポピーと改名しているそうですが、このユタカの製品です。確か580円とか、そんな値段だったように記憶しています。

口笛ぴゅう
“口笛ぴゅう”

 ソラマメのような外形に、写真で見える小さなスライドスイッチが1つと、小さな赤い発光ダイオードが1つ(写真左側の小さな突起)、それからその向こう側に、見にくいですが筐体と同じ黒い色の押しボタンが1つついています。筐体の上には、(pew)の文字と、一見ボタンを思わせるグレーの突起が3つありますが、これは単なる飾りです。

 小さなボタン電池2個で動作します。購入以来電池を換えたことはありません。 さてこれは何をするものでしょうか?

 ユタカはバンダイのグループの会社で、ということはキャラクター商品が主体だと思います。バンダイは、任天堂などのビデオゲーム関連をのぞく、いわゆる昔からの意味での玩具では日本のトップメーカーだと思います。いまや玩具は「キャラクターもの」が最も売れるのだそうで、その流れに乗った、というかその流れを作ったバンダイが一番成功しているのだと思います。

 個人的には、例えばミニカーのトミカ(TOMY)とか、ドールハウスのシルバニアファミリー(エポック社)とか、お人形のジェニーシリーズ(タカラ)とかのほうが、いわゆるキャラクター玩具よりも好感が持てるのですが、営利企業として存続してゆくために、バンダイの戦略は、今の日本の消費者の需要に最も合っていたということなのだと思います。

 バンダイも昔は鉄道玩具の「ミニミニレール」シリーズを出していたりして、これはトミーのプラレールよりもリアル指向でとても好きだったのですが(入門セットしか持っていませんでしたが)、なくなってしまって残念です。いま、あのシリーズが残っていたら、自分の子供の玩具としては、絶対プラレールではなくてそちらを選んでいたと思います。 プラレールとミニミニレールの差は、車の玩具で言えばチョロQとトミカのような違いでした。

 この“口笛ぴゅう”も、「王様のアイディア」で扱うくらいですから、デザインもシンプルで、好きな製品です。Webでちょっと検索してみたのですが、紹介しているところが見当たらなかったので、掲載することにしました。

 <おまけのひとこと>
 こういった機能のものは、どこかの掲示板などで話題になったのを何度か見ているような気もするのですが、とりあえず自分が持っているものをご紹介することにしました。



2月20日(金) “口笛ぴゅう”(その2)

 昨日、“口笛ぴゅう”というキーホルダーをご紹介しました。この名称や形状からご想像がつく方もいらっしゃったかと思いますが、これは、「口笛に反応して電子音を発する装置」です。 用途としては、例えば車のキーなどにつけておいて、部屋の中でそのキーが見つからないときなどに、口笛を吹くと、ピピピ…と電子音を発して、「私はここです」と教えてくれるもの、ということです。 (メールで正解をいただきました。ありがとうございました。)

 この“口笛ぴゅう”は、その際に赤い発光ダイオードも点滅します。また、押しボタンを押すと、発光ダイオードが光って、鍵穴程度ならかろうじて照らせる程度の明かりにも使えます。

 私はこのキーホルダーを実際には使っていなくて、時々取り出して、スイッチを入れて口笛を吹いて見て機能を確かめてみるくらいしかいじっていません。電源を入れっぱなしだと、やはりどうしても何かの音に反応してピーピー鳴ってしまうことがあるのです。そうすると電池がもったいないな、と思ってしまうのです。そのため、普段はスイッチを off にしていますから、本来の用途に使った場合にどの程度便利なのかはよくわかりません。 が、この製品を実際に商品化して売り出したということだけでも感動してしまうのです。

 さて、こういった機能の製品、ここをお読みの皆様でしたらいくらくらいならば妥当だとお考えでしょうか? 昨日は、確か580円くらいだったと思うと書きましたが、考えてみるともう少し高かったかもしれないな、と思い始めています。いずれにせよ、これが600円とか1000円とかしたら、「ちょっと高い」とお考えになる方が多いかなと思います。

 この、小さなボタン電池で動作する機械が、常に入ってくる音に耳を澄ましていて、口笛の音だけに反応させたいとしましょう。 もちろん、電池が数時間で終わってしまうというのではお話になりません。 例えばこんなページを見ると、ボタン電池の容量というのはだいたい数十mAh 程度だということがわかります。 低消費電力の純音に反応するセンサのようなものがあるのかどうか、ちょっと知らないのですが、もしソフトウェア的にやるとすれば、この電池で例えば4bitくらいの制御用の低消費電力型のマイコンを4MHzくらいで駆動したとしても、マイコンだけで1mAくらいは食ってしまいます。 ビット数の深いA/Dコンバータのようなものも使えないでしょう。 ましてや周波数変換のような処理などできるはずもありません。 できれば、クロックはもっとずっと下げて、時計などで使われる32kHzとかにしたいところです。そうすればだいぶ電池寿命も延びるでしょう。 この条件で、特定の周波数帯域の入力を検知するのは、実はかなり大変な話なのです。

 …というわけで、私は「この機能をよくぞこの値段で製品にしたなあ」と感動してこれを買ったのですが、こういう観点からものを買う人は少数派だということは承知しています。

 <おまけのひとこと>
 昨日のH.Hamanaka very private page04年2月19日の日記がとても面白かったです。
 今日は半年前に受けた健康診断の結果のフォロー健診というのがあって、朝食抜きで行かないといけません。やれやれ面倒です。



2月21日(土) ortho切隅八面体の面帯モデル

 この週末は時間がないので、今日は簡単に模型の写真をご紹介することにします。 今月の初めから、多面体のオルト操作というのをご紹介してきました。その中で2月8日にオルト切隅多面体のCGをご紹介しましたが、このうちのオルト切隅八面体(下図)を、面を単位とした帯を編む手法で模型を作ってみましたので写真を紹介します。

 この多面体を構成する面の種類は2種類で、小さな凧型と大きな不等辺四角形です。小さい凧型4枚で、元となる切隅八面体の正方形を構成し、大きい四辺形6枚で接隅八面体の六角形を構成するイメージです。この模型を組むための帯は、正方形由来の面を取り囲む、大きな四辺形8個(+オーバーラップ分の2個)の帯が6本と、六角形由来の面を取り囲む、大小それぞれ6個ずつが2つずつ連なった帯が8本、のあわせて14本のパーツから作ります。

図 1 図 2 図 3

 図1が一般的な視点から見たところ、図2、図3がそれぞれ正方形や六角形に由来する対称軸の方向から見たところです。

 <おまけのひとこと>
 違法伐採で壊滅の危機に瀕するボルネオ島の熱帯雨林という記事を読みました。 一方ではこんなこと(「5日間食料なしで戦える兵士」開発プロジェクトに取り組む米国防総省)やこんなこと( 「老化遺伝子」操作で、簡単に長寿を実現?)もやっているのですね。



2月22日(日) ortho切隅八面体の面帯モデルのパーツ設計

 さて、21日にご紹介したオルト切隅八面体の模型ですが、このように面の形を求めるのが厄介なものは、私は数値計算で形を決めて、それに基づいて図を描いてしまっています。その手順をちょっとご紹介しておこうと思います。

 最初に、この多面体の注目している座標をはっきりさせるために、CGの稜に色をつけます(図1)。頂点のところに球を配置して確認することもあります。CGをつくる段階で、全ての頂点は数値計算で求めた座標で表されているので、その数値の羅列を見ていても、どこがどの頂点なのかさっぱりわからないのです。

図 1

 まずは適当な稜に色をつけて、その稜と頂点を共有する稜を探して、それにも色を付けてみて、という作業を何回かくりかえして、図1のような位置関係の頂点を探します。それができたら、それぞれの頂点の3次元座標をプログラムで扱えるようにします。このあたりは、Excelなどの表計算ソフトのマクロにでもしておいてもよいかもしれませんが、私はCプログラムのソースに copy&paste するほうが楽ですしミスが少ないし後で確認しやすいし、と思ってそのようにしています。

/*
 * 第1の凧型の半分の三角形
 */
double T1[3][3] = {
	{-0.315470,-0.315470,1.116770},	// p0
	{0.000000,-0.533790,1.063070},	// p1
	{0.000000,0.000000,1.197570},	// p2
};

/*
 * 第2の凧型の半分の三角形(1)
 */
double T2[3][3] = {
	{-0.315470,-0.315470,1.116770},	// p0
	{0.000000,-0.533790,1.063070},	// p1
	{-0.730000,-0.730000,0.730000},	// p3
};

/*
 * 第2の凧型の半分の三角形(2)
 */
double T3[3][3] = {
	{0.000000,-0.855290,0.855290},	// p4
	{0.000000,-0.533790,1.063070},	// p1
	{-0.730000,-0.730000,0.730000},	// p3
};

 あとは単純に2点間の距離の公式と余弦定理を利用して、辺の長さと間の角度を求めます。

len1=0.387387, len2=0.453400, len3=0.550474, theta12=81.385353
len1=0.387387, len2=0.702326, len3=0.826035, theta12=94.110473
len1=0.382799, len2=0.751196, len3=0.826035, theta12=87.159922

 凧型のほうは対称軸があるので、左右対称の片側の三角形だけを決めれば十分です。 幾何の基本として、三角形を一意に定める合同条件というのがありますが、ここでは図を一番描きやすい2辺の長さとその間の角を利用するつもりなので、1つだけ角度を求めておきます。

 「オルト切隅八面体の模型を作ろう!」と思いついてから、いつも使っているPCはすでに起動していてその前に座っているとして(ノートPCなので、今これを書いているときもそうなのですがPCを床に置いて自分はねそべっていることも多いですが、それはともかく)、色分けしていないCGを作るまでが3分くらい、座標を特定するまでが10分くらい、Cプログラムに貼り付けて動かすところまでが5分くらい、でしょうか。というわけで思い立ってからここまででおそらく15分〜20分くらいかかっていると思います。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 すみません、この週末(21〜22日)はとても忙しくて、日曜日は更新ができませんでした。本日23日にまとめて更新します。ちょっと図や表のある内容なので2日に分けて書くことにしました。といってもまとめて更新なので、結局トップページが重くなってしまうのですが。



2月23日(月) ortho切隅八面体の面帯モデルのパーツ設計(その2)

 オルト切隅八面体の模型を作るためのパーツの設計についての話の続きです。昨日は頂点の座標から、数値計算で各面を三角形に分割した三角形を決めました。(三角測量の原理です。)

 この数値に基づいて2種類の面の形をざっと描きます。(なぜ、「ざっと」なのかというと、私が図面を描くのに使っているPowerPointというソフトウェアでは、例えば角度は1度単位でしか指定できないなど、数字の精度が低いためです。) 昨日の数値表の2行目と3行目の角度が微妙に鋭角だったり鈍角だったりするところが要注意です。

図 1

 図は、こうして描いた2種類の面のかたちです。 左側の大きな不等辺四角形の向きに注意しながら面を並べて、帯で編むタイプのパーツの設計をします。さて、ここでこの多面体の場合、パーツの自己交差が発生してしまいました(図2右)。

図 2

 仕方がないので図の赤線の部分で切断して、両端の面はちょっと欠けた状態で組むことにしました。この欠けた面は必ず他の面の下に押えてもらいますから、おそらくそんなに問題はないだろうと思って作業をすすめました。 このようにして出来たのが、一昨日ご紹介したこの模型です。

 作業時間は、思い立ってから頂点の座標を決めて、面の形を決めて、パーツを作り終わるまでがだいたい30分程度、プリンタと紙を出してきて繋いで印刷するのが5分〜10分くらい、切り出しが30〜40分くらい、組み立てがやっぱり30分くらいで、トータルで2時間くらいかかりました。

 色々いろというページで、私がここ“あそびをせんとや”のページでいろいろご紹介や提案をしている、接着剤等を使わないで紙のパーツから多面体を組む手法をいろいろ試していただいたりしているのですが(ありがとうございます)、その中の央菱形三十面体編みというところで、やはりパーツが自己交差してしまったので、セロテープで接いだという話が出ていました。

 「数楽パズルの道」というサイトの管理者の方から、ここ「あそびをせんとや」にリンクしてくださったというメールをいただきました。感激・感謝しています。きちんと整理された見やすいページですね。リンク集も、見たことがなかったページがたくさんあって、これから見せていただこうと思っています。ありがとうございました。

 <おまけのひとこと>
 図がかなりおおきくなってしまいました。見にくかったらすみません。
 H.Hamanaka very private pageのここ数日前からの表紙の多面体の画像、とてもきれいです。(いずれ、おそらく過去の表紙の92番に収録されるものでしょうか。)
 今朝は寝坊して、更新の時間がほんとうにきつくなってしまいました。またメールを書く時間がとれませんでした。いつも失礼をしていてすみません。



2月24日(火) 星型のランプ

 先日、ちょっと雑貨屋さんをのぞいてみたら、赤い、星型多面体のような形のランプが高いところに吊るしてありました。お店の人に尋ねると、パンフレットはないけれど、ホームページはこちら(http://www.mai.tv/ef/)と教えてもらいました。

 私が見たのは、上記のページのmagenta atom(画像へ直接リンクしています。39kbyte)という製品でした。 上記のページの中には、価格表のpdf ファイルもありますが、この製品の値段は8,800円とのことです。この、アトムスという立体的な形状の星型ランプの中では、色が白のものだけが値段が高く、これは白だけは漂白のための別工程が必要なためなのだそうです。そのほかにも、まるでヒトデのようなランプもあって、こちらはだいぶ値段も安いのですが、やっぱり立体的なかたちに心惹かれました。

 これをみてすぐに思い出したのが、ときどき見せていただいているUchinanさんのページInnocent Penguinに紹介されていたStar of Bethlehemという星型ランプです。 確かこれが紹介されたころに、掲示板などでこのような星型のランプの話を拝見したようなぼんやりした記憶があるのですが、そのときに上記のアトムスをどなたか紹介されていらしたような気もします。

 Uchinanさんのページの「ベツレヘムの星」は、写真を見ると芯の部分に小菱形立方八面体(斜方立方八面体)があって、そこに星のトゲトゲを1つずつはめてゆく構造になっているように見えます。 それに対して「アトムス」のほうは、こちらに写真がありますが(パッケージ写真:画像へリンク:152kbyteもありますのでご注意下さい)、 素材は紙で、それを自分で組み立てるのだそうです。アトムスの場合は、畳まれているのを広げるように作るのだそうです。

 本物を見たら、非常に興味を惹かれました。昨年の8月11日のひとことから何回か、IQlightというのをご紹介しましたが、こういった形状のランプというのはきれいで面白くていいですね。

 <おまけのひとこと>
 数日前の春のような陽気で、ようやく日陰の雪もほとんどなくなったと思ったら、また寒くなりました。



2月25日(水) 切隅八面体を編む(その1)

 先日、2月21日のオルト切隅八面体の模型(図1)を眺めていたら、この帯の構造で切隅八面体を編んでみたくなりました。

図 1

 面を完全にふさぐ方法もありますが、まずはパーツが帯状になることを意識して、こんなかたちのものを作ってみました(図2)。

図 2

 以前、昨年の9月5日のひとことで、切隅八面体を斜めに編む模型をご紹介しました(図 3)。図2と図3は、何が同じで何が違うでしょうか?

図 3

 今日の模型(図2)はどんなパーツでどのように編んでいるでしょうか? あと、図2と図3とではどちらがお好みでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 子供の小学校で、授業参観の日に道徳の時間で「二分の一の成人式」というのをやるのだそうです。その用意として、親から子供あてに手紙を書いてくださいという連絡をもらいました。名前の由来や名前をつけたときのエピソードや名前にこめられた想いや子供への願いなどを書いて、それを当日子供たちがそれぞれ読んで、その結果思ったことを発表するというような授業になるのだそうです。 ねらいとして、「子供たちが、自分が大切な存在なのだと実感し、自分やまわりの方々を大切に思えるきっかけにしたい」と書かれていました。
 昨夜、妻とふたりでああでもない、こうでもないと時間をかけて、なんとかまとめることができました。ホームページの更新よりもずっと大変でした。



2月26日(木) 正十二面体を編む(その1)

 昨日の切隅八面体を編んだ手法で、正十二面体も作ってみました。昨日の解説を書こうかと思ったのですが、今日は時間がないので別の模型の写真のみ掲載します。

図 1 図 2 図 3

 紙のパーツを組み合わせて、接着剤等を使わないで正十二面体を作る方法は、以前にもいくつかご紹介していますが、この手法(まだ説明していませんが)でも作ってみました。 昨日の切隅八面体もそうだったのですが、この方法では残念ながら少々パーツの固定が甘いのです。 図1〜3はそれぞれ一般的な方向、面の方向、頂点の方向からそれぞれ見たところですが、比較的見栄えのよい方向から写真を撮っています。

(つづく)つもり

 <おまけのひとこと>
 いつも見せていただいているH.Hamanaka very private pageの表紙の多面体のCGが一日のうちでも何度も変化していて、とても楽しいです。過去の表紙のgeneralized p-operatorの話に続くものですね。



2月27日(金) 正十二面体を編む(その2)

 昨日ご紹介した正十二面体(図1)、これを作るためのパーツがどのようになっているのかをCGにしてみました。 これは下の図2のように、1つの五角形の1つの辺と、その辺に隣り合う2つの辺の中点を結ぶ線でできる等脚台形、これが単位になります。この台形が、ちょうど1つの面を取り囲むようにつながったものが、この模型を作るためのパーツでした。

図 1 図 2

 正十二面体には正五角形が12ありますから、それぞれの面に対応して、パーツは12本で作ることが出来ます。



 今日で、この「あそびをせんとや」のページの公開を始めて3年になります。いつもご覧いただいて本当にありがとうございます。毎日の「ひとこと」以外は長いことほったらかしのページばかりで、特にリンク集など、大変失礼しておりまして、申し訳ありません。

 「あそびをせんとや」では、過去に何度かプレゼントのイベントを企画しました。1年半前の「公開1.5周年&1万hit」と、昨年の「公開2周年&3万hit」、あと5万hitのときにもちょっとしたプレゼントをしました。今回も何か・・・と思っていたのですが、とても忙しくて時間がとれません。カウンタが10万になったときに、ちょっとしたペーパーモデルの型紙をプレゼントしようと思って用意している(設計してある)ものがありますので、ご希望の方はそのときにメールをいただけたらと思います。 今のペースだと、あと1ヶ月くらいかなあと思っています。 ただ、あんまりたくさんは無理ですけれども。そうですね、10セットくらいは用意したいと思っています。

 <おまけのひとこと>
 先週の土日が大変だったものですから、今週はだんだん疲れがたまってきて、今日はかなり寝坊してしまいました。いつもは朝7時に家を出る、その2時間前には起きているのですが、今日は起きたら6時半を回っていました。本当は昨夜のうちに切隅八面体のパーツの図も用意していたのですが、解説を書く暇がありませんでした。



2月28日(土) 切隅八面体を編む(その2)

 昨日は、正十二面体の1つの面を取り巻くような帯で作ったモデルをご紹介しましたが、25日(水)にご紹介した切隅八面体(図1)のほうも同じ原理で作ってあります。

図 1

 切隅八面体は、正方形の面と六角形の面がありますから、それぞれの面を取り巻く帯は違います。下の図2が正方形の面を取り巻く帯、図3が六角形を取り巻く帯になります。六角形の面を通過する部分は、正三角形5枚分の等脚台形になりますし、正方形の面を通過する部分は、小さな正方形2つを並べた長方形になります。

図 2 図 3

 切隅八面体は正方形が6つと六角形が8つありますから、図2と図3の帯をそれぞれ6本と8本ずつで、図1の模型を組むことができます。

 実は、このように面の周りを帯が取り巻く模型というのは、ずっと以前に1つだけご紹介したことがあります。02年5月22日にご紹介した、正四面体です。ずいぶん前のものなので、図を再度掲載しておきます。

図 4 図 5

 さて、このように面の周りを取り巻くような帯で構成できる多面体というのはどのようなものでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 H.Hamanaka very private pageの今の表紙の多面体、これなら私のプログラムでもCGが作れるなあと思ってちょっと真似して作ってみました。



 このところ、私のプログラムでは生成できない多面体のCGがたくさん登場していて、いつか過去の表紙にそれらの画像が再公開されるのを楽しみにしています。

 昨夜は珍しく、いつもなら朝起きる時間くらいまで夜更かししてしまって、今日はあまり寝ていません。



2月29日(日) 面の周囲を巡る帯で編む多面体

 ここ数日、多面体のそれぞれの面の稜をなぞるように、1つの面の周りを取り巻くようなパーツで編む多面体をご紹介しました。ご覧頂いたのは、正四面体、正十二面体、切隅八面体だったのですが、このような手法で編める多面体はいったいどういう形なのでしょうか?

 ちょっと考えてみると、このような方法で帯がつながってゆくためには、全ての頂点に集まる面の数が3になっていることが必要だと気が付きます。(これを、全ての頂点の次数が3である多面体といいます。)この条件を満たす多面体というと、5種類の正多面体にはもう1つ、立方体があります。立方体をこの手法で作ってみました。

立方体

 これは、パーツは幅が1で長さが10の細長い長方形を5等分する折り目をつけたものを使います。立方体の面の数は6ですから、帯も六本です。

 このほかには・・・と考えてみると、切隅多面体というのは全ての頂点の次数は3になるはずです。また、角柱(四角柱とか五角柱とか)というのもやはり全ての頂点の次数は3になります。 この手法で、切隅十二面体を作ったりすると面白いかなとも思ったのですが、いくつか作った感じから言って、どうもこの手法による模型は、私の技術ではいまひとつ模型としての完成度が低くなってしまうので、これ以上別のパターンに挑戦するのはとりあえずやめておこうと思っています。

 <おまけのひとこと>
 今朝起きたら雪が積もっていました。やれやれ。



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