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以前の「ひとこと」 : 2002年5月後半



5月16日(木) ビーズ多面体(その7)

 さて今日はねじれ立方体(snub cube)と菱形三十面体(rhombic triacontahedron)です。ねじれ立方体というのは、ジオシェイプス(GEO SHAPES)のページでもご紹介していますが、下の図のような形をしています。

3D GeoShapesによるねじれ立方体
ジオシェイプスによるねじれ立方体

 このように、正三角形を連ねた帯で立方体の稜モデルを作ったような形をしています。

 菱形三十面体の方はジオシェイプスでは作れません。ジオシェイプスのパーツは正多角形なので、菱形パーツがないからです。(実はジオシェイプスの正方形4枚で四角柱の側面を作ると、底面の菱形が自由に変形できます。これを組み合わせて菱形多面体のモデルを作ることが出来ます。菱形十二面体はこのようにして作ることが出来たのですが、菱形三十面体は2面角が大きいため、四角柱モデルだと角柱の側面の正方形同士の角度が小さくなるため、ジオシェイプスのジョイントが連結できず、断念しました。それ以前に正方形パーツが120枚必要なんですが、そんなに手持ちのパーツがない、という問題もありました。)

 この立体に関しては、これまで私のページでは昨年9月30日のひとことや、先月4月13日のひとことなどでもご紹介してきました。

菱形三十面体の折り紙モデルと稜モデル   菱形三十面体の面の帯モデル
菱形三十面体(1)
折り紙と組紙稜モデル
  菱形三十面体(2)
面の帯モデル

 これらの立体を今日はビーズで作ってみようというわけです。下の左の2つの写真がねじれ立方体、右の3つが菱形三十面体です。

ビーズのねじれ立方体1   ビーズのねじれ立方体2   ビーズの菱形三十面体1   ビーズの菱形三十面体2   ビーズの菱形三十面体3
ねじれ立方体(1)   ねじれ立方体(2)   菱形三十面体(1)   菱形三十面体(2)   菱形三十面体(3)

 ねじれ立方体の方は、こういった素材で作ってみると、立方体の角を落として面取りした形状である事がよくわかります。同じくらいの数のビーズから作れる他の準正多面体や双対多面体が球に近い印象になるのに対して、このねじれ立方体は、手で持ってみるとかなり立方体っぽいです。ただ、写真ではよくわかりませんね。これはこのような形状のビーズで作ってもピンと来ない、ぱっとしない立体になってしまいました。

 菱形三十面体のほうは形も安定しますし、対称性もわかりやすくてきれいな立体だと思います。例えば上の写真の菱形三十面体(2)を見ていただくと、中央に5つのビーズが集まった(次数が5の)頂点が見えます。次数が5の頂点は12あるのですが、次数5の頂点に集まる5つのビーズを単位として、たとえば同じ色で揃えると、正十二面体になります。逆に、次数が3の頂点に集まる3つのビーズを1単位として色を変えると、正二十面体になります。そうやって色を変えたりするのも楽しいです。

 <おまけのひとこと>
 今日までで13種類のビーズ多面体をご紹介してきましたが、実はまだ別の素材のものなど、ビーズ多面体が30個以上ストックされています。すでに写真も撮ってあって、ページの更新がとても楽なので、ついついこの話題ばかり続いてしまいますが、この形状のビーズの多面体シリーズが一段落したら、ちょっと別の話題も載せようかと思っています。
 今日は胃検診で硫酸バリウムを飲みます。昨夜早めに夕食をとってから、何も飲食していません。早く行ってはやく済ませようと思っているのですが、昨夜寝る前にこのページの更新をささっとやってしまおうと思ったらパソコンがハングアップしてしまい、ショックでした。



5月17日(金) ビーズ多面体(その8)

 今日は斜方切頂立方八面体(rhombitruncated cuboctahedron)です。これも立方体の稜と頂点を切り落とした形状になっています。もともとの立方体の面だった部分が正八角形、稜だった部分が正方形、頂点だった部分が正六角形になっています。

ビーズの斜方切頂立方八面体1   ビーズの斜方切頂立方八面体2   ビーズの斜方切頂立方八面体3
斜方切頂立方八面体(1)   斜方切頂立方八面体(2)   斜方切頂立方八面体(3)

 写真左から、正八角形を底面として置いたもの、六角形を底にしたもの、そして正方形を底にしたもの、です。

 立体を斜めに切ってみるとか角を落としてみるとかいうことは、最初はなかなかイメージが湧かないものです。身近な素材でやってみるには、チーズがお勧めです。危なくなくて簡単に切れますし、結局全部食べてしまうのでごみも出ません。「食べ物で遊ぶ」というのはいけないことですけれども、食べ物を無駄にもせず不衛生でもなく形について学べると思えば、まあ許される範囲かと思っています。

 もちろん、「チーズを食べる」ということが主目的であって、そんな機会にたまたま立方体を作ってみたり、それをいろいろと切ってみたりすると楽しいということであって、実験のためにわざわざ食べたくも無いチーズを使う(食べる)というのは間違っていると思います。

 <おまけのひとこと>
 雨が降るととても寒いです。



5月18日(土) ビーズ多面体(その9)

 この週末で現在毎日ご紹介しているのパールライスビーズによる正多面体・準正多面体の稜モデルを終了しようと思います。とりあえず今日は斜方20・12面体(rhombicosidodecahedron)と、切頂二十面体(truncated icosahedron)です。

ビーズの斜方20・12面体1   ビーズの斜方20・12面体2   ビーズの切頂二十面体1   ビーズの切頂二十面体2
斜方20・12面体(1)   斜方20・12面体(2)   切頂二十面体(1)   切頂二十面体(2)

 斜方20・12面体は、五角形が12枚、三角形が20枚、そして正方形が30枚でできています。正十二面体、もしくは正二十面体の稜の部分を正方形で置き換えて行ったかたちです。必要なビーズは120個になります。五角形の外側に、ビーズ10個による輪があり、それが12個組み合わさった形と見ることもできます。この12個の輪をきれいに色分けしたモデルを作ると面白いだろうと思うのですが、手持ちのビーズが少なくなってしまったのでやってみていません。

 切頂二十面体のほうは、サッカーボールと言った方が通りがよいですね。一色で作るにはパーツが足りなかったせいもあって、つい五角形を青で、それらを接続する部品を白で作ってみましたが、六角形の色がまだらになってしまうため、あんまりサッカーボールらしくなりませんでした。こういうのは稜モデルではなく、面モデルでないとだめですね。

 <おまけのひとこと>
 朝日新聞のサイトに、世界一軽い固体、NASAが開発という記事が載っていました。1立方メートルあたりわずか3kgの固体なんだそうです。1立方メートルといえば1辺が1メートルの立方体ですから、水ならば1,000リットルですから1トンということになります。それがたったの3kgなんだそうです。ちなみに同じ体積の空気の重さが1.2kgだそうですから、本当に羽根のように軽いんだと思います。二酸化珪素が主成分で(ガラスと同じ)、体積の99.8%が空気なんだそうですが、とても丈夫な材料なんだそうです。さわってみたいです。



5月19日(日) ビーズ多面体(その10)

 作り忘れていた、切頂六面体(truncated hexahedron, or truncated cube)と、切頂十二面体(truncated dodecahedron)です。ちゃんと形を整えずに写真を撮ったので、特に切頂六面体の方がきれいではありません。

ビーズの切頂六面体1   ビーズの切頂六面体2   ビーズの切頂十二面体
切頂六面体(1)   切頂六面体(2)   切頂十二面体

 切頂六面体は、立方体の頂点を落としたもので、切り口が正三角形、もともとの面が正八角形になります。写真は正八角形を底面にして置いたものと、正三角形を底面にしてみたものです。

 右は、切頂十二面体で、同様に元となる正十二面体の頂点を切り落とします。正十角形12枚と正三角形20枚になります。ビーズは90個です。昨日の斜方20・12面体や切頂二十面体と同じくらいの大きさの立体になりましたが、なにせ正十角形なのですかすかした感じです。

 <おまけのひとこと>
 子供たちがビーズ細工をはじめました。図書館でビーズ細工の本を借りてきて、お手本通りにワイヤーにビーズを通して、平面的な形を作っています。使うビーズを数えたり、お手本を見て、ビーズの数を計算させたり、ものさしでワイヤーの長さを測ったり、わりと教育的だなと思っています。



5月20日(月) ビーズ多面体(その11)

 最後に、「ねじれ立方体」の双対の五角二十四面体を、むりやり同じビーズで作ってみました。五角二十四面体の面を構成する五角形は、本当は2本の長い辺と3本の短い辺を持つのですが、同じビーズから作るので全部同じ長さになってしまいます。写真は色がわかりにくいのですが、ピンクと紫のビーズで作りました。紫のほうが、本来は長い辺が来るべき稜です。

ビーズの五角二十四面体1   ビーズの五角二十四面体2
五角二十四面体(1)   五角二十四面体(2)

 紫のビーズが4つ集まって十字型を作ります。この十字型を中心に、五角形が4個集まるのですが、この4個の五角形が、ちょうど立方体の各面に相当するように組み合わさったのが、この五角二十四面体です。本当はこの紫の十字型はもっと飛び出しています。今の立体だと、1つの面を囲むはずの5本のビーズが、平面に乗りません。

 この立体を見ていると、なんとなくポルフィリン環を思い出します。ほんとは全然違うんですけれども。

 さて、今日でパールライスビーズ多面体の最終回という事で、これまでご紹介したビーズの多面体の集合写真です。実は全部完成させる前に撮ったので、昨日と今日ご紹介した3つの立体は載っていませんし、そのかわりよくみえませんがちょっと別のものも載っています。

パールライスビーズによる多面体

 ビーズは多面体材料として安いし、買い足すことができるので嬉しい、という話を数日前に書いたと思います。ところがこれは購入と作成の歯止めが利かないということでもあったのでした。ビーズ1粒がせいぜい2〜3円以下、1パッケージが100円〜150円くらいなので、ついつい気軽に買ってしまうのですが、ふと計算してみるとすでに5,000円以上ビーズを買っていました。

 ビーズの形状や材質、色を変えたり、組み合わせを変えたりすると、同じ立体であっても全く印象が変わって面白いのです。また、小さな宝飾用のビーズで作ると、安価な材料費でとても美しいペンダントトップができたりもします。よい写真が撮れたら、またご紹介します。

 <おまけのひとこと>
 このページでご紹介しているペーパーモデルに関するメールをいただきました。非常に面白い情報をいろいろ提供していただいて、嬉しくなっています。明日以降は、またペーパーモデルの話を少しして、その後でCGによる錐体鏡の話をして、それからまたビーズの作品のご紹介をして、と予定しています。



5月21日(火) 四次元クラフト?

 昨日いただいたメールで教えていただいたCraneのページというところに、四次元クラフト?というペーパーモデルが載っていて、とても面白かったのでさっそく自分でも作ってみました。「紙の知恵の輪」といった趣で、とても楽しめました。

紙パズルの部品   紙パズルの完成写真1   紙パズルの完成写真2
写真1   写真2   写真3

 写真1のように細長い長方形の紙を2枚用意し、縦にスリットを入れます。写真では縦が12.5cm、幅が2.5cmの紙がたまたまあったので、それを使いました。それぞれの紙は、両側1.5cmを残して5mm間隔で4本、カッターナイフで切込みを入れました。この2枚をうまく組み合わせると、写真のような構造のものが作れます。

 最初は白い紙同士で作ったのですが、いまひとつ写真写りがよくなかったので、一旦分解して片方を赤いマジックで塗って作り直しました。写真1の部品の紙がなんとなく反っているのはそのためです。今回は帯の数は5本ですが、長さが充分にあれば帯の数が増えても同じ手順で作れます。

 長方形の紙に切り込みを入れるだけですので、パーツを用意するのはとても簡単です。 初めてこのパズルをやる場合、すでに出来上がったものを分解するよりも、ばらばらのものから組み立てる方が簡単だと思います。 このパズルを知らない人が、出来上がったものを渡されて、「紙を破ったり切ったりせずに、2枚の紙をばらばらにして」と言われても、とても難しいと思います。(渡されたものをお手本にして自分で作ってみて、原理が理解できれば分解できるでしょうけれども。)

 紙という素材のしなやかさ、丈夫さ、そして切ったり着色したりが手軽にできること、安価なことに改めて感動しました。

 <おまけのひとこと>
 今日は下の子が遠足で、5時過ぎから起きてとても嬉しそうにしています。



5月22日(水) 多面体を帯で編む

 4月13日のひとことから数日間、多面体を編むように構築するペーパーモデルの話をご紹介しましたが、先日いただいたメールで、全く同様なことをもっと系統的にやっているページというのを教えていただきました。

http://www.faust.fr.bw.schule.de/mhb/flechten/indexeng.htm 表紙(英語)
http://www.faust.fr.bw.schule.de/mhb/flechten/rhtr/indexeng.htm 菱形三十面体
http://www.faust.fr.bw.schule.de/mhb/flechten/example.htm 凧型二十四面体

 こちらのページでは、面そのものをいくつかのパーツで構成するような例も出ていましたが、私もそういったものを作ってみていましたので、ちょっとご紹介してみようと思います。ちなみにこういうパーツの構成の仕方は、上記のページには載っていなかったと思います。

正四面体のパーツ   正四面体(カラー)   正四面体(テスト)
正四面体のパーツ   正四面体(カラー)   正四面体

 まずは一番簡単な正四面体です。パーツは、正三角形の高さの3分の1の台形が4つ、図のように連なったものが4枚です。台形3つで正四面体を一周するのですが、解けないためのオーバーラップ分としてもう1つ台形が必要です。一番右の写真は、一番最初に実験的に作ってみたもので、台形の高さを目分量で適当に切り出して作ってみたものです。面の中央に隙間が空いています。

 台形の高さが足りないと隙間が開いてしまって立体がぐらぐらした感じになりますし、逆に高すぎると面の中央が凹んでしまったりします。昨年9月くらいにご紹介した紙の稜モデルのように、中央に切りこみを入れて調節するという手もありますが、それだと組むのが大変です。

 <おまけのひとこと>
 Did you ever wonder what it would be like to pop a water balloon in space?(宇宙(無重力状態)で水の入った風船を割ったらどうなる?)、というNASA(米国航空宇宙局)のページを見ました。おもしろいですね。



5月23日(木) 正八面体

 昨日と同じ原理で、正八面体も作ってみました。正八面体は組むのに妙に苦労しました。(正二十面体になると、かえって易しくなるのですが。)

正八面体のパーツ   正八面体(カラー)   正八面体(テスト)
正八面体のパーツ   正八面体(カラー)   正八面体

 実はこれは、4月16日にご紹介した帯で編む凧型二十四面体と同じ構造になっています。上の中央のカラーの正八面体の写真をご覧いただくと、正八面体の各面の三角形が、3つの台形で構成されているのがわかると思います。この台形をちょっと変形して、三角形の各辺と面の中央を持ち上げた形にすると、3つの台形が凧型になり、全体として凧型二十四面体になるのです。

 …ということは、同様に昨日の正四面体も各面を凧型に変形すれば、凧型十二面体になるのかな、とちょっと考えてみました。結論から言うとその場合は凧型の特別な場合である菱形になってしまって、結局菱形十二面体になるのですね。

 凧型多面体は、24面体と60面体があります。凧型ですから長い辺と短い辺があります。短い辺だけに注目すると、24面体ならば立方体の骨格になりますし、60面体ならば正十二面体の骨格になります。長い辺だけに注目すると24面体ならば正八面体ですし、60面体ならば正二十面体の骨格です。(これは絵に描かないとわかりにくいですねきっと。)

 正四面体の場合は双対がやはり同じく正四面体になるので、凧型十二面体ではなく菱形十二面体になるのですね。でも、正四面体から菱形十二面体に変形して行く途中の段階には無数の凧型十二面体が存在するはずです。その中で、「これぞ凧型十二面体」という意味付けができるような合理的な理由がないものかな、と考えてみています。

 <おまけのひとこと>
 マッキントッシュの「キットカット」というチョコレートのお菓子があります。昨年末から今年のはじめにかけて、期間限定で「ストロベリー味」というのがあったんだそうです。家の者がそれを知って食べてみたいと言ったのですが、時既に遅く、近所では入手できませんでした。ところが先日私の実家に顔を出したところ、その「キットカット・ストロベリー味」を出してもらい、おおいに感激しました。 昨日のお昼休みに生協の購買部をのぞいてみたら、「キットカット・パイナップル味」というものが出ていたので、さっそくおみやげに購入しました。さてどんな味がするものやら。



5月24日(金) 正二十面体

 正二十面体です。正二十面体は頂点の周りに5つの正三角形が集まりますので、台形が5個でひとまわりします。それにオーバーラップ分の1個を加えた6個の台形の帯がパーツになります。そのためちょうど正六角形の形状になります。

正二十面体のパーツ   正二十面体の組み立て1   正二十面体の組み立て2   正二十面体
正二十面体のパーツ   正二十面体の組み立て(1)   正二十面体の組み立て(2)   正二十面体

 今回はカラーのバージョンはありません。パーツは12個必要なのですが、パーツ6個分の型紙を作って2枚印刷して使いました。これを図のように組み立てて行きます。最初の写真は、1つの頂点に集まる5つの三角形が構成できたところを立体の内側から撮影したものです。右上に積んである正五角形の角錐台が、折り目を入れたパーツです。

 2番目の写真は、もう少し組み立てが進んだところです。今度は立体を外から見ています。最後の写真が完成した正二十面体です。

 <おまけのひとこと>
 テレビが壊れてしまいました。11年前に、当時としてもすでに極めて時代遅れの機種であったPC-8801MAという8bitのパソコンと一緒に買った14inchのTV機能付きのモニタディスプレイで、それを今までずっと使ってきました。今現在テレビを見ようとすると、パソコンに挿したキャプチャボードにビデオの出力を接続すれば、Windowsの1つの窓としてテレビを見ることはできるのですが、さすがにそれでは家族が不便なので、テレビを買わないといけないな、と思っています。



5月25日(土) 正十二面体の対称性の錐体鏡

 先日、立方体の対称性を持つ錐体鏡に棒を1本入れると、立方体や正八面体、菱形十二面体などのイメージが生成されることをご紹介しました。これは、錐体鏡の頂点が立方体の中心になるようにして、残りの3点をそれぞれ

・立方体の1つの頂点
・立方体の稜(辺)の中心
・立方体の面の中心
 になるようにするとできる錐体鏡です。立方体と正八面体は双対関係にありますから、正八面体をベースに同じ操作を行っても、全く同じ錐体鏡ができます。

 同様に、正十二面体の中心・頂点・稜の中点・面の中心によって生成される三角錐によって作られる錐体鏡を用いると、正十二面体・正二十面体・菱形三十面体などのイメージを作ることが出来ます(下図)。 これも正二十面体から錐体鏡を生成しても、同じ物が出来ます。

正十二面体   正二十面体   菱形三十面体
正十二面体   正二十面体   菱形三十面体

 ちょっと計算が間違っていて、菱形三十面体の菱形が若干折れ曲がっています。(同一平面上に無い)

 <おまけのひとこと>
 テレビを買いました。



5月26日(日) 正十二面体の対称性の錐体鏡(その2)

 さて、昨日ご紹介した正十二面体系の錐体鏡ですが、一体何回鏡に映ると多面体が完成するんだろう? と疑問に思いました。そこで、使っているレイトレーシングソフトのパラメータを変えて、反射回数1回から16回までの画像を作ってみました。

錐体鏡:反射1   錐体鏡:反射2   錐体鏡:反射3   錐体鏡:反射4
反射1回   反射2回   反射3回   反射4回
錐体鏡:反射5   錐体鏡:反射6   錐体鏡:反射7   錐体鏡:反射8
反射5回   反射6回   反射7回   反射8回
錐体鏡:反射9   錐体鏡:反射10   錐体鏡:反射11   錐体鏡:反射12
反射9回   反射10回   反射11回   反射12回
錐体鏡:反射13   錐体鏡:反射14   錐体鏡:反射15   錐体鏡:反射16
反射13回   反射14回   反射15回   反射16回

 左上の「反射1回」というので見えている短い赤い棒が実体です。これが3枚の鏡に何度も映り込むことによって、正十二面体のイメージが出来て行きます。反射14回以降は実は同じイメージです。

 <おまけのひとこと>
 コンビニエンスストアでコピーをしていたら、雷で瞬間停電がありました。画面が切り替わって、Windows NT 4.0 SP5 という起動画面になりました。そうか、うちの近所のコンビニのコピーは Microsoft のOSで動いているんだな、と思いました。



5月27日(月) 時計

 楽器の練習に、とある企業の研修所(保養所)を利用させていただいています。山の奥深いこじんまりした別荘地のはずれにある、とても静かで人気(ひとけ)の無いところです。研修所は3階建てなのですが、傾斜地にあるため玄関が3階にあります。いろいろな設備が充実した、新しくてとてもきれいな建物です。

 昨日の日曜日の午後、2時から6時くらいまで練習をしました。広い建物に私達のグループの4人だけがいました。外は突然雷雲が発生して、雷と大雨が降ったり、と思えば雨が上がって日が射したり、不思議な天気でした。

 最初、2時過ぎにいつも練習に使っている1階の研修ルームに入ると、時計が5時20分くらいを指していました。どうも電池が切れて止まっているようでした。狂った時計というのは、それを承知で見ても一瞬「あれっ」と思います。しばらく練習して3時半くらいになったところで、休憩しようということになりました。そのとき時計を見ると、5時40分くらいでした。1時間半かかって20分ほど進んだようです。さっき見たときには秒針も止まっているように見えたのですが、少しは動いていたようです。

 4時くらいまで玄関のある3階のホールに行って、反響のある場所で音を出してみようということになり、30分ほど研修ルームを離れました。ちょうど突然雷が鳴って、大雨が降ってきました。

 4時過ぎに研修ルームに戻ってみると、なんと時計が12時過ぎを指しています。時計をじっと見ていても、そんなペースで針が動いているとは思えません。最近の時計は、マイコンで制御されていて自由に指定した時刻に針を移動させることができるものもありますが、この時計はそういったタイプのものではなさそうです。電池が少なくなった事を警告するために秒針が「びっこをひく」時計もありますが、こんなに不規則に速くなったり遅くなったりするというのはよくわかりません。

 さて、それからまた2時間ほど練習して、6時前に「さあ帰ろう」というときにまた時計を見ると、今度は8時5分を指していました。2時間弱の間に8時間以上針が動いたことになります。しばらく見ていると変な動きをするかな、と思って観察してみたのですが、特に針の動き方は速くは感じられませんでした。

 針と軸の間の固定が緩んでいて、針が水平近くなると下まで落ちるのではないか、とか、じゃあなんで12時を指していたんだ、とかいろいろ議論してみましたが結局わかりませんでした。「実はあの時計の方が正しくて、いまは翌朝の8時だったりして」などと言いながら帰りました。 まわりに人の気配の無い、森の中の静かな建物、中にいるのは4人だけ、外は嵐、という推理小説の舞台のような状況で、ちょっとどきどきしました。

 <おまけのひとこと>
 今週は忙しいです。



5月28日(火) 三面図

 立体の形を平面の図で説明するとき、上から見た図・正面から見た図・側面から見た図を使って表現することがあります。いわゆる三面図です。たとえば、三面図の輪郭がすべて正方形になる立体といえばもちろん立方体なのですが、例えば4月7日のひとことでご紹介したように、菱形十二面体も同じ条件を満たします。

菱形十二面体の三方向からの影

 さて、では同じように三面図がおなじ図形になるような立体はどんなものがあるでしょうか? 例えば立方体は、ある特別な方向(対角線方向)から見ると正六角形に見えます。でも、対角線はそれぞれ直交しているわけではないため、3つの軸のどれかを対角線に合わせると、あとの2つの投影面は正六角形にできません。

 デザイナーの福田繁雄氏でしたか、投影する方向を変えるとまったく異なる影が見えるような立体をいろいろ発表されていたと思います。CGを使うとこういった実験が非常に簡単に出来ます。

 三面図が3つとも同じ図形になる立体として、円・正方形・正八角形の例は作ることが出来ました。投影図が正[2のべき乗]角形の場合はうまくいくようなのですが、それ以外の正多角形ではうまくいかないように思います。

 …と思ったのですが、本日昼間ちょっと考えてみたら、正三角形や正六角形でも可能だということに気がつきました。明日のひとことでお詫びしないといけないな、と思って帰宅したら、今朝の9時半くらいの時刻のメールで「ちがいますよ」というメールを反例のデータ付きですでに頂いておりました。またウソを書いてしまいました。恥ずかしいです。(2002/05/28 20:50加筆)

 <おまけのひとこと>
 図面を作っている暇が無くて、ビーズ多面体の写真を撮る暇もなくて、今日は簡単な更新です。



5月29日(水) 三面図:正三角形

 昨日のひとことで、三面図の輪郭が全て合同な正多角形になるのは2のべき乗の時だけのように思うと書きましたが、さっそく反例が見つかってしまいました。ちょっと実験してみたところ、少なくとも正三角形と正六角形はありうるようです。とりあえず正三角形の例を示します。

三面図が全て合同な正三角形   三面図が全て合同な正三角形   三面図が全て合同な正三角形になる立体の説明図
影が合同な正三角形   視点を変えてみる   立体の見取り図

 ポイントは、各三角形が軸に対して15°回転しているということです。三面図の輪郭が正方形の場合、立方体や正八面体・菱形十二面体などがありましたが、立方体と菱形十二面体とでは、投影図の輪郭が45°違っています。そこで、0°から45°まで角度を徐々に変えていったらどうなるだろうと思ってそのような画像を作ってみたところ、なかなか面白い立体ができました。同じアイディアを他の多角形に適用してみようということで、とりあえず三角形・五角形・六角形などを試したところ、どうやら三角形と六角形ではある特定の角度にするとちゃんと三面図の輪郭が正しい正多角形になりそうだということがわかったのでした。

 これに関してはもっときちんとした説明を送っていただきましたので、そのうちにご紹介したいと思います。

 <おまけのひとこと>
 昨日の朝、パソコンの中に三面図が正八角形になる画像があったので、とりあえずそれを紹介しようと思って書き始めたら時間がなくなって、ふと思いついた「2のべき乗ならまちがいなくOK」ということを書くついでに、「それ以外は無理だと思う」と余計なことを書いてしまいました。昼間、自分が書いたこの余計なひとことが気になって、実は正三角形でもできそうだと思いついて、これはまずいことを書いてしまったなと思っていました。

 夜帰宅してメールを確認したら、公開して1時間もしないうちに、まず正十二角形の例を送っていただいて、続いて30分後に正三角形の例を送っていただいてありました。ちゃんと見ていただいているということがわかって嬉しくなると同時に、無責任にいいかげんな推測を書いてしまって恥ずかしくなりました。



5月30日(木) 三面図:正N角形

 昨日自分で思いついたり、メールでヒントをいただいたりした結果をまとめてみると、どうやら「三面図の輪郭が、合同な正N角形になる立体」は、Nが3以上の任意の整数に対して存在するようです。ただ、Nが4の倍数の時には、N=4のときの立方体と菱形十二面体の中間の立体群のように、投影されたN角形の角度(向き)が連続的に異なる立体が存在するのに対して、それ以外のNの時には投影されたN角形の角度は限定されるのではないかと思います。(またウソだったらごめんなさい)

 というわけで、三面図が正五角形、正六角形、正七角形の例を載せます。

三面図が全て合同な正五角形   三面図が全て合同な正六角形   三面図が全て合同な正七角形
正五角形   正六角形   正七角形

 N=4のとき、立方体や菱形十二面体は空間を充填します。では、立方体と菱形十二面体の中間の無数の立体は空間を充填する性質を持っているんでしょうか。 また、正三角形や正六角形は平面をうめ尽くすことができますが、三面図が合同な正三角形になる立体や、三面図が合同な正六角形になる立体は空間を充填することはできるんでしょうか?

 もちろん投影図が平面を充填するからといって、その立体が空間を充填する十分条件になるわけではありません。たとえば任意の三角形は平面をうめ尽くすことができますが、だからといって三面図が全て三角形になる任意の三角錐が空間を充填するかというと、正四面体ですら空間は充填できません。

 <おまけのひとこと>
 「三面図が合同な正N角形になる立体」に何か名前があると議論がしやすいんですが…



5月31日(金) 三面図:正八角形

 さて、そもそも今週三面図の話を始めたのは、以前三面図が正八角形になる立体について考えた時に作った画像をみつけたからでした。今日はその画像をご紹介します。

三面図が全て合同な正八角形:四方六面体   三面図が全て合同な正八角形:斜方立方八面体もどき   四方六面体と切頂八面体
四方六面体   斜方立方八面体もどき   四方六面体と切頂八面体

 左の図は、切頂八面体(truncated octahedron)の双対である四方六面体(tetrakis hexahedron)とほぼ同じ形です。立方体のそれぞれの面に、背丈の低いピラミッドを張り付けたような形をしています。正確には、四方六面体の投影図は正八角形ではなく、貼り付けたピラミッドの頂点がわずかに飛び出します。 菱形十二面体の各面の菱形の、短い方の対角線を持ち上げて2つの二等辺三角形にしたような形をしています。

 中央の図は、立方体の稜の面取りをして、正八角形になるまで削り落としたような形です。この立体で、さらにもともとの立方体の8つの頂点に当たる部分をを削り落とすと、斜方立方八面体になります。斜方立方八面体ももちろん三面図は全て合同な正八角形です。

 右の図は、切頂八面体が四方六面体と双対関係になっていることを説明するものです。四方六面体の各面の中央が頂点となるような立体を作ると、図の赤い骨格モデルのように切頂八面体ができることがわかります。切頂八面体は三面図が全て合同な八角形ですが、図をご覧頂けば判るように八角形ではなく、辺の長さが1とルート2が交互に出てくる八角形になります。そのためその双対である四方六面体も、厳密には三面図は正八角形になりません。

 <おまけのひとこと>
 三面図が全て合同な正三角形になる立体のペーパーモデルを作ってみようと思っています。



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