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以前の「ひとこと」 : 2001年9月後半



9月16日(日) フラストレーションキューブ

 折り紙でフラストレーションキューブというのを作りました。作り方は以下の図のとおりです。

フラストレーションキューブの作り方

 折り紙の4つの角を、中心に合わせて折ります。(1〜3) 同じ物を6枚つくり(4)、それぞれの向かい合った2箇所を直角に立てます。(5) それを 6. のように「えいやっ」と一気に組み合わせると、立方体ができます。小さ目の、丈夫な紙で折るほうがしっかりします。千羽鶴用の折り紙とかもお勧めです。

 隣り合う面が交互にお互いを押さえ合って構造を保っています。フラストレーションキューブという名前は、完成してはじめて安定する構造であるため、組むのが厄介でイライラするため名付けられたそうです。

 9月17日更新です。
 この原理を使って、いくつかの立体を作ってみました。改めて紹介します。



9月17日(月) 栗
栗

 うちの近所、歩いて2〜3分のところに神社があります。昨日の午後に子供たちと散歩に行ったら、神社の森のはずれにある栗の木から栗の実が道の方に落ちてきていました。

 まだ虫もついていないきれいな栗の実だったので、子供たちと拾ってきました。だいぶ涼しくなって、秋らしくなってきました。

 <おまけのひとこと>
 庭に、いつのまにか増えたコスモスがたくさん咲いています。ほとんどが色の濃い花です。白いコスモスがいいな、と思っているのに全然ありません。ところが先日、ピンクのコスモスの株から出ている花のうち、数個が真っ白なコスモスでした。 この白いコスモスを増やしたいんですけれども、どうしたらいいんでしょうか。



9月18日(火) 折り紙探偵団

 9月16日のひとことに書いた、「フラストレーションキューブ」ですが、私としたことが創作者を書き忘れました。川畑文昭さんという方の、1999年9月の作品だそうです。日本折り紙学会発行の『第6回 折り紙探偵団 コンベンション:折り図集 Vol.6』という本(2,000円)の冒頭に載っていました。

 オリジナルの川畑さんの折り図によると、慣れてきたらだんだん折る量を少なくしていって、より難易度が高いキューブを作るように提案されています。でも、出来上る立体の美しさという点では、正方形の四隅を中央に合わせて折るもともとの折り方が一番だと思います。

 なお、折り紙探偵団のWebサイトはこちらです。

 <更新情報>
 5月22日以来、本当に久しぶりにリンク集に4箇所ほど追加しました。



9月19日(水) 椿姫

 日曜日にテレビでオペラ「椿姫」(ヴェルディ作曲)のハイライトを見ました。で、そのとき思ったことです。

 ・一時の怒りに身を任せて、感情をぶちまけるとろくなことはないなあ
 ・最後に全て理解されて惜しまれて後悔してもらって逝くのだから、最後まで理解されないよりはよっぽどいいよなあ
 ・オペラはやっぱりヴェルディよりプッチーニがいいなあ

 ヴェルディのファンの方すみません。

 <更新情報>
 あそびのコラムに、ウソ発見器というコラムを追加しました。



9月20日(木) 『ほんとうの空色』

『ほんとうの空色』表紙  4月7日のひとことでちょっと書いた『ほんとうの空色』という本を捜していたところ、「岩波少年文庫から復刊になったよ」という情報をいただきました。

『ほんとうの空色』
バラーシュ 作
徳永康元 訳
岩波少年文庫088
ISBN4-00-114088-8
定価(本体 640円+税)

 さっそく買ってきて読んでみました。読んでみると、すっかり忘れていたエピソードがたくさんあったことに驚きました。この本はあまり読み返しをしていなかったからかもしれません。

 同級生との軋轢のエピソードや、ねことねずみのエピソードなど、完全に忘れていました。逆に、鮮烈な印象に残っている部分に関しては、今読み返してみるとかなりあっさりしているな、と感じました。 当時、小さい頃にこの本に出会っておいてとても幸福だったと改めて思いました。

 <おまけのひとこと>
 イラストが当時と変わってしまっていて残念。でも版元が違うから仕方がないのでしょうね。



9月21日(金) くみがみキューブ

 9月16日のひとことで「フラストレーションキューブ」という折り紙を紹介しましたが、これは折り紙ではなくて普通の紙をコの字型に折って組み合わせても作ることが出来ます。

くみがみキューブ(1) くみがみキューブ(2) くみがみキューブ(3)
図 1 図 2 図 3

 5mm方眼が印刷されているカードから、図1のように5マス×7マス(25mm×35mm)の長方形を6枚切り出します。 次に、6枚の長方形のそれぞれの両端5mmずつを、図2のように直角に折って立てます。 この6枚で、互いに隣の面を押さえるように組むと、図3のような立方体ができます。

 この立方体は紙の丈夫さも手伝って、落としたくらいでは壊れません。ただし、組むときに最後の1枚をはめるのがちょっと厄介かもしれません。

 このように、互いに隣の面を押さえ合うような安定した組み方をすることができるためには、全ての面が偶数角形(四角形とか六角形とか)であることが必要です。ただ、面の数が多くなってくると次第に球に近づくため、あまりしっかり押さえることができません。

 <おまけのひとこと>
 今使っている日本語入力システムでは、「しかくけい」と入力すると「四角形」と変換してくれますが、「しかっけい」と入力すると「市角形」となります。ところが、「ろっかっけい」と入力すると「六角形」になるのですが、「ろっかくけい」と入力すると「六角系」となります。さらに、「さんかっけい」でも「さんかくけい」でも、ちゃんと「三角形」になります。うーむ納得できない。



9月22日(土) くみがみキューブ(その2)

 昨日に続いて、適当な紙を折って立方体に組んでみました。昨日は立方体の6つの面それぞれに1枚の紙を使いましたが、ふと思い立って12本の稜(辺)それぞれを1枚の紙で作って組み合わせてみたら、と考えました。

くみがみキューブ(1) くみがみキューブ(2)
図 1 図 2

 図1で、2cm四方の正方形12枚を用意します。それぞれを半分に折って、編むように、交互に上下になるように組み合わせてみました(図2)。これは極めて不安定で、紙の摩擦でかろうじて形を保っています。変な持ち方をするだけで、ばらばらに分解してしまいます。

 また、なにせ12枚あるので組むのにとても苦労しました。実は組むときに弱い粘着テープ(PostIt という貼って剥がせる付箋紙を使いました)で何箇所か仮押さえをしないと組めませんでした。 手先の器用な方ならば仮止めは必要ないかもしれません。

 このように、多面体の面ではなく稜を1枚の紙を折って作るならば、「面が偶数角形」といった制約はなくなります。しかし、ただ二つ折りにするだけ、といった最もシンプルなユニットで組もうとすると、すぐばらばらになってしまいます。折り紙多面体では、ユニットに“継ぎ手”を折り出して、しっかり組めるように設計されているものがいくつか発表されています。でも、ユニット折り紙って同じ物をたくさん折らないといけないので面倒くさいんですよね。

 <おまけのひとこと>
 今朝は日本全国だいぶ涼しくなっているようです。私の住んでいるあたりは、アメダスの情報によると、今朝5時の気温は8度だったようです。今日はこれから小学校の運動会です。晴れてくれて助かりました。



9月23日(日) 秋分の日 リコーダー三重奏(その1)

 お休みだったので、今日はリコーダーの楽譜を作りました。

MIDI 楽譜(画面表示用) 楽譜(印刷用)
v3-12-2.mid(4kbyte) v3-12-21.gif (1ページ目:84kbyte)
v3-12-22.gif (2ページ目:68kbyte)
v3-12-21.png (1ページ目:94kbyte)
v3-12-22.png (2ページ目:76kbyte)

 Vivaldi というイタリアバロックの有名な作曲家がいます。『四季』が有名です。この Vivaldi に、作品3『調和の幻想』という12曲の協奏曲集があるのですが(『調和の霊感』と訳されることもあります)、この中の第12番の第2楽章を、リコーダー3本用に編曲してみました。

 実は、Bach というドイツバロックの有名な作曲家が、イタリアバロックの勉強のために、Vivaldi をはじめとするイタリアバロックの協奏曲を何曲も鍵盤(チェンバロ)独奏用に編曲しています。この作品3-12もバッハが編曲した曲の1つです。今回は Bach が鍵盤用に編曲した楽譜を元に、上記の編成用に書き換えてみました。

 以前にも書いたような気もしますが、バロックの音楽というのは、楽器の音色を選ばないところがすばらしいです。弦楽器でも管楽器でも声楽でも鍵盤楽器でも、あるいはモダン楽器や電子楽器であっても、それなりに楽しいのです。

 例によってこのデータは、楽譜を作ることを目的としたものです。このMIDIデータを聴くと、音量のバランスは悪いし、音量やテンポは全く変化しないし、音符の継続時間も機械的で全くフレージングされていません。

 <おまけのひとこと>
 昨日は運動会でした。朝の最低気温が6度くらいでした。日中も結局17度くらいまでしか上がりませんでした。一日、快晴ですばらしい天気でしたが、でもとても寒くて大人はみんな風邪気味です。



9月24日(月) 振替休日 リコーダー三重奏(その2)

 これも昨日作ったものです。「ハレルヤ・コーラス」で有名な『メサイア』や、『水上の音楽』などを作曲した Handel の曲です。

組曲 ニ短調 (Handel)
楽章 MIDI 楽譜(画面表示用) 楽譜(印刷用)
1. Allemande h_su6-1.mid (2kbyte) h_su6_1.gif (80kbyte) h_su6_1.png (94kbyte)
2. Courante h_su6-2.mid (3kbyte) h_su6_2.gif (84kbyte) h_su6_2.png (110kbyte)
3. Sarabande h_su6-3.mid (2kbyte) h_su6_3.gif (55kbyte) h_su6_3.png (69kbyte)
4. Gigue h_su6-4.mid (2kbyte) h_su6_4.gif (64kbyte) h_su6_4.png (87kbyte)

 バロックの時代の組曲というのは、この曲のように、アルマンド・クーラント・サラバンド・ジーグ、という4つの舞曲の組み合わせ、というのが基本形です。アルマンドは比較的ゆったりした4拍子の曲、クーラントは割と速い3拍子、サラバンドは非常にゆっくりした3拍子、そしてジーグは速い舞曲、というふうに、緩・急・緩・急、となっているのが特徴です。

 これがバッハの組曲とかになってくると、この4曲の構成の前にプレリュード(前奏曲)がついたり、サラバンドと最後のジーグの間にガヴォットとかメヌエットとかブーレといった舞曲が挿入されたりと、だんだん構成が豪華になってきます。

 なお、データ作成の都合および楽譜作成ソフトの都合上、上記の楽譜やMIDIデータにはリピート(繰り返し)が一切ありません。しかし本来は各曲とも前半・後半を2回ずつ演奏するのが本来の姿です。 (で、2回目は思いっきり装飾する。) 楽譜には装飾音やトリルなど全然書きこんでありませんので、研究してみてください。

 今回、元にした楽譜は全音のベーレンライター原典版の『ヘンデル:クラヴザン曲集3』です。元が鍵盤用の楽譜なので、3本の単旋律楽器に書きかえるときに、多少音を増やしたり減らしたり変えたりしています。

 <おまけのひとこと>
 この2日分の楽譜だけで、1Mbyteくらいの容量になります。例によって数日でサーバーから消去しますので、欲しい方がいらしたらご連絡下さい。



9月25日(火) 正四面体

 9月22日のひとことで、立体の“稜”を1つのピースにして立体を組めるということを紹介しました。これだと立体の各面が偶数角形でなくてもよいのですが不安定で困りますと書きましたが、より安定に組む方法を思いつきました。

ピースの図 ピースの写真 組み立て途中 完成した正四面体
図 1 図 2 図 3 図 4

 図1が今回用いたピースです。寸法は適当ですが、図2の写真では縦3cm、横2cmの紙を6枚用意して、それぞれを二つ折りにして、頭の部分の角度を60°にしています。で、今回工夫したポイントは、このピースの中央部分に切り込みを入れた点です。(写真だと切り込みが見にくいです。)

 図3が組み立て途中、図4が完成した正四面体です。ピースの辺の中央に入れておいた切込みのおかげで、完成した正四面体の各面の中央のところでピースがしっかり噛み合うため、かなり丈夫な立体になりました。

 角度の60°というのも目分量で適当にはさみで切っています。切り込みの長さはもっと適当です。各ピースはそんなに正確に作らなくても、それなりに形になります。

 <おまけのひとこと>
 今回の写真は白熱灯の照明でマクロ撮影したため、暗くて見にくい写真になってしまいました。すみません。



9月26日(水) 菱形十二面体

秋山先生とアコーディオン 菱形十二面体
 朝日新聞を購読していると、毎月“暮らしの風”という小冊子が配布されます。この“暮らしの風”の2001年10月号に、数学者の秋山仁先生がアコーディオンを弾いている写真が載っていました。(写真左)

 アコーディオンというのもとても面白い楽器です。右手で鍵盤を弾き、左手で空気を送る“ふいご”を操作しながら、ハーモニックボタンを押して、和音を鳴らします。ずらっと並んでいるボタンは、それぞれの調のメジャーコード・マイナーコード・セブンスコードなどの和音です。

 私も、9000円くらいで購入した小さなアコーディオンを持っています。ハーモニックボタンがわずか8個しかない、鍵盤も2オクターブ半くらいしかないかわいい楽器です。この写真に写っているようなコンサートアコーディオンは10万円以上するので、ちょっと遊びで買ってみる、というわけにはいきません。

 …とまあ前置きはこのくらいにして、この“暮らしの風”をご覧になった方で、画面左中央に写っている立体(写真左の赤枠で囲った部分)に気付かれた方はいらっしゃいますか? 背景なのでピントがあっていませんが、これは菱形十二面体です。それも、どうやら大理石か何かで出来ているようです。右側に拡大した写真を載せておきます。

 あそびのコラムの第15回くみがみ(その1)で、菱形十二面体の話を書きましたが、これはとても面白い立体です。大理石の菱形十二面体、欲しいなあ。

 <おまけのひとこと>
 “あそびのコラム”に“くみがみ(その2)”を書こうと思いながらすでに4ヶ月経ちました。



9月27日(木) 正八面体

 9月25日のひとことで正四面体を作りましたが、同じピースを用いて正八面体を作ってみました。

 使ったピースの数は今度は12枚。各面の正三角形の中央で、3つのピースが組み合っているのがご覧いただけるかと思います。(本日の写真は、朝、日が昇ってから撮影したので25日のものよりは若干見やすいかと思います。)

ピースの図 正八面体(その1) 正八面体(その2)
図 1 図 2 図 3

 正八面体は各頂点に集まる稜の数が4で、偶数です。ですから8つの面を、同じ色が稜を共有しないという条件で2色で市松模様のように塗り分けることができます。5つの正多面体(正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体)のうち、このように2色で塗り分けられるのは正八面体だけです。

 この立体を組むのには結構苦労しました。最初は3ピースで三角形を1つ作って、1ピースずつ加えてゆくという方法でチャレンジしたのですが、11ピース目で崩壊させてしまいました。

 次に、上記の「正八面体は2色で市松に塗り分けられる」という理屈を利用して、3ピースで作る正三角形を4組作って、それを組み合わせるという方法にチャレンジしてみましたが、組んでいる途中で三角形が分解してしまって、これも失敗でした。

 三回目のトライでは、結局1ピースずつ組んでゆく方式に戻しましたが、最初に正八面体の半分である正四角錐を作る、という方針に変えたところ、今度はなんとか完成にこぎつけることができました。はさみでピースを切り出し始めてから完成まで15分くらいかかりました。

 同じピース30個で正二十面体も作りたいと思っているのですが、内側から粘着テープ等で仮止めしながらでも作らないと私では完成させることは難しそうです。

 <おまけのひとこと>
 昨日、正四面体の方は子供がいじっていたら壊してしまいました。興味を持ってくれるのは嬉しいのですが、「こういうものは難しいものだ」という先入観を持たれても困るので、Geo Shapes で作った正四面体や立方体、正四角錐や三角柱などを渡すことにしました。



9月28日(金) 正十二面体

 立体の稜を1つのユニットとして紙で組む立体として、立方体=正六面体(9/22)正四面体(9/25)正八面体(9/27)と作ってきました。 正四面体や正八面体と同じユニットで正二十面体に挑戦する前に、正十二面体を作ってみることにしました。

 正十二面体は面の形が正五角形で、12面あります。従って稜の数は12×5÷2=30あります。そこで、ユニットは30個作る必要があります。

ピースの図

 今度は、ユニットはこの図のように作りました。出来上がる立体の面が正三角形の場合、ユニットの両端を60°に切り落としておく必要がありました。正十二面体の場合は、1つの内角は90°よりも大きいので、角を落とす必要がありません。そのかわり、ユニット5枚が面の中央で噛み合うためには、それなりの長さが必要になります。

 2cm×3cmの紙を30枚用意し、短い方の辺同士が重なるように二つ折りにします。そして、中央に切り込みを入れて、開きます。角を落とす作業がない分だけ簡単に作れます。

正十二面体 正十二面体(骨格) 正十二面体(ピース)
図 1 図 2 図 3

 今度はユニットが30個もあるため、組むのはさぞかし大変だろうと思ったのですが、時間はかかったものの意外と簡単に組むことができました。しかも、正八面体とかとくらべても却って丈夫なくらいです。 その理由は、面の中心で5つのピースが噛み合っているため紙が厚くなって、5枚を組んだものがとても安定しているのです。面が正三角形の多面体の場合、3枚のピースで噛み合うのですが、これだとすぐにはずれてしまうのです。

 図1が出来あがった正十二面体です。中央の正五角形の中心で、5枚のピースが噛み合っているのがご覧いただけるかと思います。わかりやすいように、図2で正十二面体の縁取りをしています。 図3は、この立体を構成しているユニットがどのように使われているかを示しています。

 組み立ては、最初に5枚のピースで底面を作って、次に底面の五角形に接する5つの5角形を作ります。これで面が6枚出来たので、ちょうど半分です。あとは順に伸ばして行って、最後に反対側の面を作って完成です。

 同じ作業を続けると飽きるので、ピースを数個作っては組み、ピースが足りなくなるとまたピースを作る、という方法で進めました。だいたい30分くらいで出来ました。

 <おまけのひとこと>
 このように立体の稜をユニットとして組む「稜モデル」、気に入ってしまいました。



9月29日(土) 菱形十二面体

 ここ数日、立体の“稜”を1つのユニットとして組んでみていますが、今度は菱形十二面体を組んでみました。

 まず、菱形十二面体の1つの面は、図のように対角線の長さの比が1:ルート2です。内角は、余弦定理で計算してみると狭い方がだいたい70°くらいです。とすると、これまでの正多面体のユニットと違って片側だけが直角より狭いことになるので、片側だけ70°に落としてやる必要があります。(下図右の水色の部分)

【ユニットの設計】
ピースの設計

 もう1つの問題は、正多面体の時には、噛み合わせのための切り込みをユニットの中央に入れればよかったのですが、菱形になるとそれが中央ではなくなります。そこで、どこに切り込みを入れたらよいか計算してみました。

 a : h = h : b

で、この菱形の対角線の長さの比率はルート2なので、結局 a:b は1:2になります。また、高さhは噛み合わせの長さを考慮すると、最低でもaの1.5倍以上は欲しいところです。 結局、高さが2となるようにユニットは下図のように設計しました。

【ユニットの図面】
ユニットの図面

 4cm×3cmの紙を24枚用意し、短い方の辺同士が重なるように二つ折りにします。片側をだいたい70°くらいになるように切り落とし、逆側3分の1のところに切り込みを入れて、開きます。

【菱形十二面体の製作写真】
菱形十二面体(途中) 菱形十二面体(1) 菱形十二面体(2)
写真 1 写真 2 写真 3

 菱形ですから対辺が平行です。そのため、噛み合わせが大変しっかりしています。写真1が製作途中、写真2・写真3が完成した菱形十二面体の写真です。

 今度は床に落としてもこわれないくらい丈夫な立体ができました。ただし、最後のユニットをはめるのは非常に大変でした。はずれにくいということは組みにくいということでもあるのでした。

 <おまけのひとこと>
 この立体も、ピースを切り出したり写真を撮ったりしながら、作り始めてから完成まで30分程度でした。ちなみに設計は帰宅の車の中で構想し、家で計算を確認しました。図面を作るのにも30分くらいかかっています。



9月30日(日) 菱形三十面体

 今日は菱形三十面体を組んでみました。菱形三十面体は、20・12面体の双対です。20・12面体というのは、この写真のような立体です。(これは割り箸と輪ゴムで作ったものです。Geo Shapes でももちろん作れるのですが、たまたま写真がみつかりませんでした。)

【20・12面体】
20・12面体

 くわしい説明はしませんが、20・12面体は正十二面体と正二十面体の中間の立体で、正五角形12枚と正三角形20枚から出来ています。双対というのは、あそびのコラム15でも説明していますが、立体の場合なら頂点と面を入れ替えたようなものになります。で、本日ご紹介するのがこの20・12面体の双対である菱形三十面体です。

 菱形三十面体の1つの面の菱形は、対角線の長さの比が黄金比になっています。頂角を約60°と書いていますが、正確には63.43…くらいですから、60°という表記は1次近似としてもかなりいい加減です。(5%も誤差がある)

【ユニットの設計】
ピースの設計

 また、組み合わせるための切り込みの位置や、必要な紙の幅を知るために、図の a,b,h を計算してみました。これも本来は無理数比なのですが、むりやり簡単な整数比で近似してみました。まあどうせ紙で組むので誤差は出るし、工作をするのが私ですから、ばらつきも大きいです。だったら少しでも工作が簡単なようにと思ってこの比を決めました。

 というわけでユニットは以下のように設計しました。

【ユニットの図面】
ユニットの図面

 いつも、5mm方眼が印刷された“情報カード”という製品を用紙に使っています。上記の寸法は、この5mm方眼のマス目の数です。用紙自体にマス目がついているので、定規も鉛筆もいらず、単にマス目に沿って切って行けばよいので楽です。60°という角度も目分量でいい加減に切っています。理論値の63°を超えなければOKなので、いい加減でもそれほど問題ありません。このユニットを60枚作ります。

【菱形三十面体の製作写真】
菱形三十面体の製作(1) 菱形三十面体の製作(2) 菱形三十面体の製作(3)
写真 1 写真 2 写真 3

 写真1が、まず1つの頂点に集まる5つの菱形による星型を作ったところです。写真2は、1つの菱形を底にして、星型が4つできたところ。写真3はあと4枚のユニットで最後の菱形を作るところです。裁縫でお手玉や袋を最後に閉じるときと同じく最後は内側に手が入らないため、最後のユニットを組むところが一番大変です。

【菱形三十面体の完成写真】
今回作った菱形三十面体 ユニット折り紙の菱形三十面体 大きさの比較
写真 4 写真 5 写真 6

 こうしてできた菱形三十面体が写真4です。なかなか丈夫です。写真5はユニット折り紙で作った菱形三十面体です。1面1ユニットなので、30個のユニットを折って作るのですが、作るのがとても大変でした。写真6はこの2つの大きさの比較です。

 <おまけのひとこと>
 この、簡単なユニットを組み合わせて多面体を作るシリーズ、思いがけずたくさんつくってしまいました。一応明日で最後になります。これだけあったら独立したコーナーにしてもよさそうです。でも、そうやってデータを整理するより、新しいことをしたいんですよね。



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