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くみがみ(その1)

 先日、空間図形の検索をかけていたら、こんなページをみつけました。 紙を切って折り曲げ、組み合わせるだけで立体図形を形作るというものです。とても面白そうだったので、 さっそく自分でも作ってみることにしました。

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 図 1   図 2 

 何か紙で作るときには、私は図1のようなマス目の入ったカードをよく利用しています。 このカードは7.5cm×12.5cmのものです。このカードから、図2のように型紙を切り出します。 この型紙は、辺の長さの比が 1:√2 、つまり普通に身の回りにあるA4とかB5 とかいうサイズの紙で作れます。ところがそのせいで、方眼紙のメッシュは役に立ちません。 そこで、この型紙から直接形を写すという方法でパーツを6枚作ります。

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 図 3   図 4   図 5 

 まずは6枚の紙にパーツの形を書き写したところ(図3)。続いて、パーツを切り出します(図4)。各パーツを半分に折って、組んでゆきます(図5)。全部組みあがったら出来上がりです。のりも粘着テープも使っていませんから、何度でも分解したりまた組み立てたりできます。

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 図 6   図 7   図 8   図 9 

 出来上がった形は「立方八面体(cuboctahedron)」という形です(図6,7,8)。 立方体の各頂点を、各辺の中点まで切り落とした形、と見ることもできますし、 正八面体の各頂点を、各辺の中点まで切り落とした形、と見ることもできます。 川村みゆき氏の『多面体の折り紙』では、 「立方体と正八面体を足して2で割らなかったような立体」(p.33) と説明されています。なるほど、面の数を数えると正方形6枚、正三角形8枚です。

 わかりやすいように、同じ形を“3D Geo Shapes”で組んでみました(図9)。 といっても写真を見ていただくだけではあんまりわかりやすくないかもしれません。

 さて、この「くみがみ」の内部に囲まれて残っている空間は、どんな形でしょうか? 結論から言うと 「菱形12面体(rhombic dodecahedron)」という形です。これは、上記の「立方八面体」の双対(そうつい:dual)です。双対というのは、元の図形の頂点と面を入れ替えたような図形のことです。 簡単のために平面図形で説明すると、図のように菱形の双対は長方形、長方形の双対は菱形になります。

dual1.gif

 図10は「くみがみ」の組み立ての途中で中をのぞいてみたものです。内部の立体を構成する菱形が4枚見えています(図の赤い菱形)。水色の菱形は、最後のパーツをかぶせると見えなくなってしまいますが、同様に内部の立体の面を構成する菱形になります。

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 図 10   図 11   図 12 

 図11は、「くみがみ」の1つのピースのうち、内部の菱形12面体を構成する面がどこの部分なのかを示しています。「くみがみ」のピースは6枚、そのそれぞれから2つずつの菱形が提供され、内部の12面体を形成します。図12は、同じ用紙を使って別の方法で菱形12面体を組んでみたものです。この立体に関する詳細は次回くわしく書きたいと思います。

 この「くみがみ」、ちょっとしたパズルとしても面白いですし、出来上がりもきれいな形になるので、一度作ってみることをお勧めします。

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2001.05.29 hhase