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以前の「ひとこと」 : 2014年9月前半



9月1日(月) アーテックブロック:結び目

 先日、100円ショップで立方体を単位としたブロックを買って、いくつかかたちを作ってみたという話を書きました。このブロックのホームページがありましたのでリンクしておきます。Arctecブロック

 その後、パーツをたくさん買いました。いろいろ作ってみているのですが、まずは三葉結び目構造を作ってみました。

図 1

図 2

 これは、立方体パーツ24個、高さが半分の四角柱パーツ24個で組んであります。100円ショップでは、それぞれ5個ずつのパッケージになっているので、全部で10パッケージ、1,080円でこの結び目モデルを作ることができます。(パーツが1個ずつ余ります。)

 このブロックを売っているお店が近所でなかなか見つからなかったのですが、湖の向こう側のO市のショッピングセンターの2Fにある100円ショップで見つけました。なぜわざわざそこまで行ったかというと、このショッピングセンターが改修のため8月末で閉店となるということで、見に行ったのです。そうしたら、100円ショップの雑貨類はすべて半額になっていました。だいぶ棚は空っぽになっていたのですが、このパズルの棚は品物が豊富でした。喜んで50パッケージ分買いました。通常なら5,400円のところ、半額なので2,700円でした。

図 3

 買ってきたブロックのパッケージを床に広げてみたところです。うれしくて写真を撮りました。これでいろいろ作れるなあと思っています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 この「結び目」のかたち、とても好きです。






9月2日(火) アークテックブロック:Neat Cakes

 昨日のひとことで、100円ショップでアークテックブロックを50パッケージ半額で買いましたと書きましたが、これが8月24日のことでした。その翌週、8月最終日にもう一度同じお店に行ってみました。閉店前最終日ということで、とても混雑していました。100円ショップもほとんど品物はなくなっていました。ところがアークテックブロックだけは、1週間前からほとんど減っていませんでした。で、値段はなんと9割引になっていました。前回は買わなかったパステルカラーのパーツを中心に、ほとんどありったけ、120パッケージ買ってきました。本来なら1万円を超える金額になるところが、1,300円程度でした。なんだか申し訳なくなる金額でした。

 立方体と直角二等辺三角柱の組み合わせということで、今まで実際のかたちにしてみたことのなかった立体パズルを作ってみることにしました。2004年9月7日のひとことで紹介したパズルです。

再掲図

 実はこのパズル、ほぼ同じアイディアのものを佐藤洸風さんがほぼ同時期にデザインされていました。そのあたりの経緯は2004年10月22日のひとことで書いています。そちらにも書きましたが、このパズルについての分析や紹介は、石野さんのすばらしいサイト “ちょいとパズルでも”Neat Cakesのページをご覧ください。

図 1

 立方体4個と直角二等辺三角柱1個で、図1のようにパーツを6個組みます。実はこれ自体、ちょっと考えないとできません。図の緑のパーツと青いパーツ、立方体4つが集まっている部分の、各ブロックの「穴」の配置が違っているのがわかるでしょうか? 各立方体の面には2つずつ、組むための「穴」があいているのですが、4つの立方体の合計8つの穴の配置が、緑のパーツの写真の上側は「×」型、下側は「○」型になっています。

 この6つのパーツをうまく組み合わせて、3×3×3の立方体を作ります。

図 2

 図1のパーツで組むと、色分けしているのでヒントになってしまうので、別のパーツで3×3×3を作った写真を載せておきます(図2)。

 このパズル、初めてやると思いのほか手こずります。図3は三角どうしをつないでみたところですが、これでは長さ5つ分になってしまうので、3×3×3には入りません。

図 3

 このパズルも喜んで飾ってあります。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 息子がCDプレーヤーが壊れてしまったので新しいものが欲しいというので探しに行きました。英語のリスニングに使いたいということです。電気屋さんに寄ったところ、アイ・オー・データのワンセグチューナーがワゴンセールで980円だったので、面白がって買ってみました。手持ちの古いAndroidタブレット端末がTVになって、これはこれでおもしろいなと思いました。






9月3日(水) アークテックブロック:ソーマキューブ

 昨日載せたこの写真、これはソーマキューブのパーツを作ったもので組み立てた立方体でした。

再掲図

 ソーマキューブというのは、立方体3個もしくは4個を面でつないだ立体のうち、直方体ではないかたちのセットです。

図 1

 今回は市松模様になるようにパーツを作りました。全部同色の単色で作ってもいいし、パーツごとに色を変えてもいいと思います。ブロックの数と種類が豊富だと、心に余裕が生まれます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 10月から本業のほうで役割がちょっと変わるようなのですが、まだ詳細がわからなくてちょっと心配しています。






9月4日(木) 信州版画展

 美術をやっている友人から、第40回信州版画展に初出展したら賞をいただきましたという連絡をもらいました。

 9月3日(水)から9月7日(日)までの5日間、会場は松本市美術館だそうです。週末に見に行きたいなと思っています。

<おまけのひとこと>
 いつも私たちの古楽コンサートにも来て下さる友人です。音楽も楽しいですが美術も素敵です。








9月6日(土) アーテックブロック:4-helix

 アークテックブロックで、パズルを作ってみました。ひょっとすると新しいパズルかなあと思っています。これを思いついたので、久しぶりに2日連続で更新することにしました。(昨日(9/6)の更新で、9/1〜9/4分を書いています。)

図 1

 図1がそのパズル(完成形)です。ちょっとわかりにくいですが、単位立方体の長さを1として、底面が3×3の四角柱のかたちで、中央は中空の筒になっています。真上から見下ろすと、3×3の中央が中空で、周辺に8つの正方形が見えますが、その8か所はいずれも正方形が4段積み重なっています。隣同士は2分の1単位ずれています。

 赤、青、黄、緑の4つのパーツからできていて、いずれも単位立方体8個から成る合同なかたちです。青と赤のパーツが一番高い面になっているのがわかりますが、床に接しているのは緑と(見えていませんが)黄色のパーツです。

 図2〜図4にパーツの写真を載せました。

図 2 図 3 図 4

図4がわかりやすいと思いますが、8個の立方体がらせん階段のように2分の1単位ずつずれてつながっています。(図4の写真を撮るときだけ、高いほうから数えて4つ目のパーツの下にこっそり「足」をつけて、パーツが転んでしまわないようにしています。)

図 5

 図5は完成形を横倒しにしてみたものです。4つのパーツがぐるっと一回りしているのがわかります。

図 6

 4つの合同なパーツの写真です。(黄色だけ、単位ブロックの向きが1か所違ってしまっているのが惜しいですが、作り直すのも面倒なのでこのまま掲載します。)

図 7

 2つのパーツを組んでみました(図7)。1つずつ組んでいくと3つ目までは組めますが、4つ目は入りません。うまく工夫する必要があります。

 類似のパズルは発表されているだろうか、と思ってちょっと調べてみました。そうしたら、Osker's Domino Towerという作品があることがわかりました。あの有名なOsker氏の作品です。石野さんのサイトでもこちらに掲載されていました。1988年の作品とのことです。デザインが洗練されていてきれいですね。

 比べてみると、私が考えたもののほうが解くのはちょっと難しいのではないかなあと思っています。なぜかというと、Domino Towerのパーツは、真上から見ると、らせん階段の8段のうちの1か所は空いています。私の考案したものはDominoのパーツが1個余計に付いているようなものなので、通常、Domino Tower を解くときの手法ではおそらく解けないのではないかと想像しています。(Domino Tower を持っていないので、本当はわかりませんが。)

 今回作った 4-Helix(と名付けて呼んでいます)、最初は組み上がった状態をブロックで作って、分解できるか挑戦してみたのです。7つの単位立方体のらせんだと簡単に分解できるのですが、8つ目が付いているととても難しいのです。最初はこれは不可能ではないかと思いました。でも、ずっといじっていると、突然解けることがわかりました。パーツには一切余計な負荷はかかりません。素直に自然に外れます。

 外れた後、組むのがまた大変でした。最初は8つ目の立方体を外して組み立てて完成形にして、分解の手順を研究するというのを何度か繰り返しました。ようやく理解できたときにはとても嬉しかったです。

<おまけのひとこと>
 自分のコンサートまであと4週間になりました。週末しか楽器に触れないので、少し焦って練習をしています。

 アークテックブロックで作ってみているものがだいぶたまってきました。以前ならば毎朝更新してご紹介していたところですが、また来週末にでもまとめてご紹介したいと思います。






9月7日(日) 二段弦巻立方体を透明折り紙で折る

 先日ご紹介した二段弦巻立方体を透明折り紙で折ってみました。

図 1

 内部の構造がなんとなく見えて楽しいです。

図 2

 これを折るのはとても大変でした。折り線を付けるところまではまあなんとかなったのですが、その後の組み立てがとても手こずりました。普通の紙と違って摩擦が少ないため、なかなかかたちを保ってくれないのです。しばらく置いておくと勝手にだんだんかたちが崩れてくる感じです。

 選挙で使われる投票用紙が、折り目をつけても勝手に開いてきてしまう性質があるそうです。開票のときに手間が省けるらしいのですが、透明折り紙も、投票用紙に使われる紙ほどではないにせよ、かたちが安定しなくて苦労します。写真撮影が終わった後で、1か所セロテープで固定してしまいました。この用紙ではもう折らなくてもいいかなと思っています。

 昨日(9月6日(土))、松本市美術館に第40回信州版画展を妻と二人で見に行ってきました。11時過ぎに会場に着いたのですが、ちょうど表彰式をやっていて、受賞者の方のご挨拶や審査委員長の講評などをきくことができましたし、今回入賞されたYさんにもお目にかかることができました。

 いつも私たちの秋の古楽コンサートにご夫妻で来て下さるYご夫妻はお二人とも美術の方なのですが、今回、奥様が奨励賞を受賞されていました。銅版の「彩衣」という、繊細でとても印象的な作品でした。今回は99点の出展作品のうち、受賞作品は9点でした。出展されている作品はいずれも楽しく見せていただきました。木版画が多かった気がしますが、銅版あり、そのほかの技法のものもあり、単色のもの、多色刷りのもの、大きなもの、小さなもの、さまざまでした。その中でもYさんの「彩衣」は、記憶に残りました。楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

 講評の中で、審査委員長をされているような方でも、自分の作品を後から見るのは恥ずかしい、でもそれは現状に満足せず進歩したいと思っているからだと思っているというお話がありました。私も(レベルはとても低いですが)その気持ちはわかるなあと思いました。

<おまけのひとこと>
 松本市美術館のミュージアムショップで三本組木を買ってきました。またご紹介したいと思います。
 今日は私の住んでいるC市の防災訓練がありました。朝7時に放送があって、ヘルメットをかぶって避難場所まで行って、家族の安否報告をしました。妻は今年は保健補導員と日赤奉仕団を兼務していて(それぞれ順番で回っているのですが、たまたま重なった)、本部のほうに出なければいけなくて、大変でした。非常食の固形食糧というのをもらってきました。今度食べてみようと思います。






9月8日(月) 周期のない周期関数!?

 現在発売中の「数学セミナー」2014年9月号は、「解いてみよう2014夏」という特集です。(次号の発売日が9月12日なので、間もなく店頭からなくなってしまいますが。)面白い問題がいろいろ紹介されているのですが、「周期のない周期関数!?」(出題:嘉田勝)がとても面白かったです。

 周期関数といえば、高校で習う正弦関数 f(x) = sin(x) などが有名です。これは f(x+2π) = f(x) をみたします。もちろん、 f(x+4π) = f(x) ですし、 f(x+100π) だって f(x) に等しいですが、4πや100πは関数 f の周期とは言わない習慣です。

 というわけで、すべての x ∈ R について f(x+p)=f(x) を満たす正の実数 p が存在するのだけれども、p の最小値が存在しないような関数 f はあるでしょうか? というのがこの問題の問いかけなのです。

 この問題の答は書きません。面白いなと思って下さった方は数学セミナーをご覧ください。

<おまけのひとこと>
 10月12日に職場の若手のメンバーの披露宴に出席することになりました。スピーチを依頼されているのですが、まだとても考える時間が取れません。






9月9日(火) アーテックブロック:六本組木

 週末の更新のペースがやっと安定してきました。1週間分の更新というと半日くらいかかってしまうので、予定がある週末は書けないなあと思います。今回は9/9(火)〜9/16(火)の分のまとめての更新です。

 アークテックブロックをたくさん仕入れたという話をしました。これで、思いつくものをかたっぱしから作ってみています。

 以前も書いたことがあるのですが、昔々、ビッグベースボールガムという食玩があって、樹脂製のパズルが付属していました。家族みんながこれが好きで、よく買って遊んでいました。中でも六本組木が手強かったのが印象に残っています。

図 1

 写真を撮るためにひっぱり出してきました。今はこういったパズルにはだいぶ慣れたので、当時ほどは時間がかからずに解けるようになりました。

 図1と同じ配色になるように、アークテックブロックで六本組木のかたちを作ってみました。これはパズルとして遊べるわけではなく、あくまでも完成形のかたちと配色が同じになるようにしただけです。

図 2

 このかたちそのものが魅力的です。

 余談ですが、赤・青・黄・緑・白・黒の6色を2色ずつのペアにするなら、どんな組み合わせが自然でしょうか。私はなんとなく「青と赤」「黄と緑」「白と黒」というのが自然かなと思って、その組み合わせで模型を作っていたのですが、六本組木を取り出して来たら「白と緑」「赤と黄」「青と黒」だったので意外でした。(40年以上前から持っているパズルなのに色の組み合わせは覚えていませんでした。) 写真を撮るために色をそろえて作り直しました。

 小さい本物の六本組木のほうは、全部のパーツの形状が異なるため、色の組み合わせを変えることはできません。ただし、組み方を変えるとそれぞれのペアが長手方向にずれた組み方ができて、それがとても面白かった記憶があります。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 三本組木の話を書こうと思っていたのですが、また次回にします。






9月10日(水) アーテックブロック:六本組木の変形

 六本組木のかたちをちょっと変形してみました。パーツの両端を直角二等辺三角柱にしてみました。一瞬、星型に見えないこともないかなと思います。全部同じ色で作ってもいいかもしれません。

図 1 図 2

 よりいっそう六本組っぽくするために、高さ1/2の四角柱の色の配置を工夫してみました。そのため、連結用のちいさな突起部が外に見えてしまっているのはご愛嬌です。

図 3

 1/2パーツは広い面の両面に突起が出ているものですから、こういったかたちを組むと必ず外にも突起が現れてしまいます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 本業のほうで、10月1日からの組織変更の示達がありました。これまでは将来の業績に責任を持つ仕事に携わっていたのですが、なかなか結果が出せずに苦しんできました。10月からは直近の業績に責任を持つ立場に変わることになりました。(要は開発のリーダーから設計のリーダーになるということです。) 本当に私に務まるのか、「大丈夫か自分?」と思っています。「そういうことは本人が判断することではない(上が判断することである)」と説明を受けていますが…。今までとは質の違う忙しさになりそうです。






9月11日(木) アーテックブロック:ボロメオの輪

 3つのリングがからみあう「ボロメオの輪」の構造を作ってみました。どの2つに注目しても絡んではいないのですが、3つになると外れません。

図 1

 どれか1つの三角の部分を(ブロックとして)外すと、3つの輪がばらばらになります。中心には単位立方体1つ分の空間が空いています。

図 2

 昨日の星型のような六本組木形状と並べてみました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 年齢のせいか、何時に寝ても3時間くらいでいったん目が覚めます。その後はうつらうつらしながら明け方を待つ感じです。若いころはそんな時は起きてしまって何かやっていたのですが、今はそれだと1週間もたないので、眠れなくても身体を休めるようにしています。






9月12日(金) アーテックブロック:平面パターン

 先日、こんな木製のピースを2つ、あえて接着せずにコースターとして使っていますという話をご紹介しました。

図 1

 これを図1のような配置にしてみて、「あと6枚あればきれいに円環状に閉じるのになあ」と思いました。そのとき、アークテックブロックを使えばできるということに気が付いたので、さっそく作ってみました。

図 2

 直角二等辺三角柱3つでブロックを作ります。ブロックからは余計な突起は出さないようにします。パーツどうしが離れてしまわないように輪ゴムをかけてあります。この「輪ゴムをかける」作業が意外と大変でした。きれいな正八角形が見えて満足です。

図 3

 このかたち、ちょっとだけネフ社の積木みたいだなと思いました。ネフの積木はもっと凝ったデザインですが。

 これを見ていて、もっと基本的なパターンを作ってみたくなって、こんなものを作りました。

図 4

 これはちゃんと連結しています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 年を取って、食べるものの好みが変わってくるのが面白いです。最近は「きんぴらごぼう」が好物で、週に一度は作って食べている気がします。ごぼうはちょっと面倒なのでカット野菜を買っているのですが、自分の好みの味付けにできるのがいいです。夏場は地元産の野菜がおいしくて、カットしてそのまま食べたり、浅漬けにしたり、野菜炒めにしたりしてたくさん食べています。
 田舎なので職住接近で通勤時間は車で10分くらいなのですが(その後、車から実験室まで更に10分くらいかかります。車を会社の駐車場に止めた後、敷地内まで歩いて、通用門から建物の反対側の職員通用口まで歩いて、建物に入って3階まで階段を上がって、渡り廊下で隣の建物にわたって、階段を下りて居室に荷物を置いて、また別の階段を上がって実験室に入るのです)、会社帰りに閉店時刻間近のスーパーとかに寄ると、カット野菜とかがとても安くなっていることがあって、ありがたく購入しています。最近はスーパーも22時とか23時とかまでやっていてくれるのでありがたいです。
 夜は疲れているのであまり料理はできません。朝は早く起きるので、朝、料理をして冷蔵庫に入れておくことが多いです。夏場はフライパンが活躍してくれていましたが、これからは煮る料理が増えるかなあと思っています。






9月13日(土) アーテックブロック:1/4ずらし

 立方体を、タテヨコどちらも1/2ずらして連結するとなかなかおもしろいかたちができます(図1)。

図 1

 実はこのかたち、作るのがけっこう大変です。図1の右側は、外に余分な突起を残さずに作ることができます。でも、左側のかたちは素直には作れません。アークテックブロックの基本パーツは鏡像対称ではないため、「この面のこの位置に突起をはめたいのに…」と思ってもそこにははめられないということが発生します。それぞれの面は4分割されているのですが、突起が出ている面の残り3か所は穴になっていて連結できますし、その裏側の面は4か所とも穴になっていて連結可能なのですが、側面の4面は、穴は対角線上に2か所しかあいていないのです。作っていると「ここで鏡像対称のパーツがあればなあ…」と思う場面があります。

 図1の左側の立方体7個の連結は、実は裏側で別のパーツを介在して初めて安定に連結しています。このアークテックブロックはレゴブロックなどと比べると、上に積み上げるだけでなく、前後や左右からの連結も易しい(=3次元的に等方性が高い)ブロックだと思うのですが、それでもこんな場面では困ってしまいます。万能なブロックはなかなかないなあと思います。

図 2

 こういった正方形が面で連結するようなパターンはとても簡単にきれいに作れて重宝するのですが。

図 3

 例えば図3は、島村勇司氏のMini Karakuri 3という作品です(link は石野恵一郎さんのサイトです)。こんなパズルを簡単に自作して遊んでみることができるのは本当に楽しいです。(図3の配色のセンスが悪いのは、余ったブロックで作っているためです。)このパズルも、たった3×3×3のちいさな立方体の世界の中で、からくり箱らしさを感じさせてくれます。これも、作ってみて初めてわかったことです。このブロック、こういったラピッドプロトタイピングにも向いているのではないかと思いました。

<おまけのひとこと>
 図3の黄色い2単位のパーツ、これがキーになっていて、これを引き抜くとパーツが平行移動できるようになって、かちゃかちゃと外れます。回転が不要で、いかにもからくり箱らしい動きと感触が楽しい感動的なパズルでした。






9月14日(日) バロックのトリオソナタ

 コンサートまであと3週間になりました。今年は旋律楽器2つと通奏低音の、いわゆるバロックのトリオを2曲演奏します。また、バッハのソプラノのアリア(歌曲)で、旋律楽器2つと通奏低音の器楽編成が付いた曲も演奏します。この三連休で、当日配布するプログラムの曲目解説を書かなければいけないのですが、その準備をしたときに作った図を使って、書き足りなかったことをここにも書いておこうと思います。

 トリオソナタはバロック時代に好まれた編成で、2つの旋律楽器と通奏低音の3つのパートによる合奏です。作曲者は図1のように、3つの旋律線の楽譜を書きます。図1はクヴァンツのQV2:21 e-mollのソナタの冒頭部分の手稿譜です。(今はこういった画像がNetで簡単に入手できるのが夢のようです。)

 旋律楽器はヴァイオリン、フルート、オーボエ等、様々な楽器が用いられます。通奏低音は、チェロやビオラ・ダ・ガンバ、ファゴットなどの低音の旋律楽器と、チェンバロやリュート、オルガンのような和音を鳴らせる楽器を組み合わせて演奏されることが多いです。そのため、トリオソナタといっても4人で演奏されることも多いです。

 当時は「この楽器でなければいけない」という指定は厳格ではなく、そもそも楽器の指定が楽譜に書かれていないこともあります。また、「ヴァイオリン、またはフルート、またはオーボエのための…」と書かれている楽譜もたくさんあります。(これは、そのほうが楽譜がたくさん売れるからだという説明もあります。)

図 1

 この譜例は3段で書かれていて、1段目がフルート、2段目がチェンバロまたはヴァイオリン、3段目がバス(通奏低音)と書かれています。1段目をフルート、2段目をヴァイオリン、3段目を通奏低音という編成でトリオソナタとして演奏してもいいし、1段目をフルート、2段目と3段目を鍵盤楽器の右手左手で演奏して、いわゆるフルートソナタ(ソロのフルートと伴奏としての鍵盤楽器の2人編成)として演奏してもよい、という意味です。

 トリオソナタとして演奏する場合は、チェンバロの左手は3段目を弾きますが、右手は即興で和声や対旋律を入れます。旋律パートも楽譜通りに演奏すればよいというわけではなく、即興で様々な装飾や変化を入れる習慣でした。

 今年はクヴァンツのQV2:43のロ短調のトリオソナタをフルート、ヴィオラ(現代楽器のヴィオラです)、チェンバロの3人で演奏します。私はこの曲は鍵盤担当で、とても即興では右手は入れられないので、自分で右手の楽譜をあらかじめ作って(この作業を「通奏低音をリアライズする」と言います)、準備しています。

 また、バッハのヨハネ受難曲の第35曲のソプラノのアリア“Zerfliese, mein Herze”、これはフルートとオーボエ・ダカッチャと通奏低音のトリオが付くのですが、オーボエ・ダカッチャは準備できないので、オーボエパートと通奏低音を鍵盤で担当します。(バッハなのでこれがまた難しいのです。でも、ピアノだけで伴奏する場合は、一人のピアニストがフルートとオーボエと通奏低音を全部担当するのです。ピアニストって本当にすごいと思います。)

 プログラムの最後の曲として、テレマンのフルートとオーボエのトリオ(TWV42:e2)をやるのですが、これはフルートを担当します。オーボエパートはヴォイスフルート(d管のリコーダーで、テナーリコーダーとほぼ同じくらいの大きさです)で演奏していただきます。

 このように、使用楽器を都合によって変えて演奏してもいいというところも楽しいです。

<おまけのひとこと>
 年に1〜2度、ピアノかチェンバロで妻のソプラノの伴奏をするようになって20年くらいになります。相変わらずミスタッチだらけですが、度胸だけはついたかなあと思います。今年は上記のバッハ以外にもう1曲、鍵盤だけの伴奏の曲(ヘンデルの歌劇『ジュリアス・シーザー』からのアリア)もやるのですが、どちらもものすごくよい曲で、これが演奏できるのは幸せだなあと思います。






9月15日(月) 『シンメトリーの地図帳』

 新潮文庫の『シンメトリーの地図帳』(マーカス・デュ・ソートイ 940円)を買いました。面白いです。まだ半分くらいしか読んでいないのですが、いろいろやってみたり調べてみたくなっています。

 とりあえずThe 17 Wallpaper Groupsというページに行って、平面を周期的に埋め尽くす17通りのパターン(シンメトリー)の表記を調べてみたりしています。

 この17通りのパターンを記述する方式として、IUC=国際結晶学連合(International Union of Crystallography)がIUC記法というのを1952年に採択しているのだそうですが、この本の著者であるソートイ教授によると、J.H.コンウェイが提唱した「オービフォルド記法(orbifold notation)」のほうがわかりやすいということです。

 以下に示すのがコンウェイの表記です。

{ *632, 632, *442, 4*2, 442, *333, 3*3, 333, *2222, 2*22, 22*, 22x, 2222, **, *x, xx, o }

 説明をきかないと全くわけがわかりませんね。

 いずれちゃんと説明を書いてみたいのですが、以前にもご紹介した、Jeff Weeks' Topology and Geometry Softwareというサイトのカーリー(Kali)というフリーウェアを使うと、この17種類のパターンを簡単に試すことができます。また、このソフトのヘルプメニューの中の「オービフォルド記法」を開くと、数字、*、x の意味が簡潔に書かれています。おすすめです。ちゃんと日本語化もしていただいていて、本当にありがとうございます。(上記ページに和田昌昭さん、竹内建さんというお名前がありました。)

 また、Michael GiudiciのWallpaper and symmetryがわかりやすいです。英語ですが、図や写真が多くて直観的です(一部タイプミスがありますが)。この17種類の周期的タイリングパターンを身につけて、身の回りのさまざまなパターンを分類できるようになると楽しいだろうなと思います。

<おまけのひとこと>
 三連休の最終日は、この1週間分の更新をしているのですが、Conway の orbifold notation を調べたり、上記のカーリーというソフトで遊んだりしていたらあっという間に夕方になってしまいました。昨日は楽器の練習もしたのですが、今日は練習もしていません。まずい…
 今日は妻が出かけているので、息子と二人でお留守番でした。朝は各自で済ませ(そもそも息子は起きてきません)、お昼は白菜とねぎを入れたワンタンスープと、ピーマンと焼き豚の炒め物を作りました。(焼き豚は賞味期限切れなので使ってくれと妻から言われていました。) あとはきゅうりのサラダと、ごぼうと鶏肉の炊き込みごはんは妻が用意してくれてありました。
 片手鍋の柄を固定しているねじがかなりゆるんでいてがたついていたので直しました。私も妻も家事は苦にならないほうですが、気になるところ、気が付くところが違います。これはとてもいいことで、互いに補い合うことができますし、素直に感謝できます。
 今週は1日少ないし、また明日から頑張ろうと思います。






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