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以前の「ひとこと」 : 2026年3月後半


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3月16日(月) 凸多面体には必ず辺の数が同じ面が存在する(出題編)、ほか

 3月も後半になりました。だんだん春めいてきましたが、まだ油断できません。



 とても面白い多面体の問題を知りました。


  任意の凸多面体には、辺の数が等しい面が少なくとも2つ(一組)は存在することを示せ  
 

 考えてみてください。私は正攻法で解いてみましたが、とてもエレガントな示し方があります。

(つづく)



 いつも「数学セミナー」の「あやとりの楽しみ」の感想を送って下さるあやとり協会の吉田さんから、4月号(三手のあやとり)の感想のメールをいただきました。本当にありがとうございます。あやとりの対称性について、「あやとりは、右手から取ること自体からして、完全な左右対称はありえないのですか?」というコメントをいただいてとても嬉しくなっています。「人差し指の構え」は、右手の人差し指で先に取るか、左手の人差し指で先に取るかによって、紐の交差の上下が変わります。

右手が先 左手が先

 なので、最初の「人差し指の構え」の時点での中央の2つの交差が完成形まで残るあやとり作品は、交差の上下も含めた厳密な意味での「左右対称」にはならないのです。

 では、「人差し指の構え」から始めるのだけれども完成形が左右対称になる作品が存在しないか、というとそんなことはないのです。私がすぐに思いつくのは2本の木(クワクワカワク族)という伝承作品です(リンクは石野さんの「あやとりしてみよう」です)。「2本の木」は あやとりの楽しみ:第21回でも取り上げています。

 この伝承作品は以下のような完成形なのですが、ご覧の通り左手側と右手側に対称なおなじかたちができるのです。交差も含めて厳密に対称になっていることを確かめるために、図を左右反転したものをすぐ下に掲載しました。比べてみてください。

あやとり「2本の木」
左右反転画像

 なぜ、左右対称ではない「人差し指の構え」から取り始めるのに完成形が左右対称になるのかというと、実は人差し指の輪は、最後に外すまで一切操作されないのです。最初の「人差し指の構え」で取って、最後に外すのです。なので完成形には影響しないのです。

 なんでわざわざ人差し指の輪を作るのかというと、それによって「親指の向こうの糸」「小指の手前の糸」を操作しやすくするためなのです。シャーマン氏の論文 (Rationally-designed String Figures : Variations of the Kwakiutl figures “Two Trees” :M. Sherman (BSFA 17)1991, pp. 29-106)にも、実は最初に人差し指で取る必要はなくて、たとえば「はじめの構え」から掌の糸を下図のFig.43のように中央でクリップ(輪っか)で止めておいて、そこから「2本の木」を取る操作を行い、最後に中央で止めていたクリップを外しても同じ結果が得られるということが記載されています。

上記論文の Fig.43

 この論文は本当に素晴らしくて、読み甲斐があるのです。お勧めです。



 在宅勤務の日には、その日のリモート会議の予定を書いてリビングに置くようにしています。その時間は声をかけるときにはちょっと気を付けて欲しい、くらいの意味合いです。今日は今の家に引っ越してきた日なので、冒頭にこんな絵と文字を入れました。

 昨年10月にご紹介したネコのテンプレート定規を相変わらず使っています。

ネコのテンプレート定規

 テンプレートというのは、筆記用具があれば同じ絵をたくさん作ることができて楽しいです。昔、35年くらい前に職場でオブジェクト指向言語の勉強会をやったときに、「クラスというのはテンプレート(型)で、インスタンスというのはそのテンプレートから作られる実体のことです。クラスがたい焼きの金型だとすると、インスタンスはその金型で焼いたたい焼きそのものです。」という説明を聞いて「わかりやすいなあ」と感心したのを思い出します。


<おまけのひとこと>
 冬場の電気代、灯油代が高くて大変です。暖房用の灯油タンク、もう一度給油が必要なのですが、価格が急騰しているので、いつもなら一緒にお願いする灯油缶への給油は見送ろうかなあと思っています。






3月17日(火) 凸多面体には必ず辺の数が同じ面が存在する(解説編)

 昨日の問題の解説です。



 昨日ご紹介したこの問題ですが、


  任意の凸多面体には、辺の数が等しい面が少なくとも2つ(一組)は存在することを示せ  
 

 素直に考えると、背理法(すべての面が異なる辺の数になっている多面体の存在を仮定して矛盾を導く)を使うのだろうと思います。ここでおそらく「オイラーの多面体定理」(頂点数V、辺の数E、面の数Fの凸多面体において、V - E + F = 2 が成り立つ)を使うのだろうと思いました。矛盾を導くまでにけっこう手間がかかりました。式を含めてhtml形式にするのが面倒だったので、chatGPTに方針を伝えて文書にしてもらいました。背理法:オイラーの多面体定理利用をご覧ください。

 この問題はもっとシンプルに解けるのです。こちらに解説を準備しました。式も使わず、言葉だけで説明できます。おそらく口頭で話してもわかってもらえると思います。



 紐の画像から生成AIで線画を作る実験をしています。下の2つの線画は、同じあやとり紐の写真から描画してもらったものです。

真上から撮った写真から
斜めから撮った写真から

 上の線画は紐の交差の上下が間違ってしまいました。下が正しいです。下の図が「自明な結び目」であることは目で追うだけで確認ができると思います。



 あやとり協会の吉田さんから 死人 という伝承作品が(名前は縁起が悪いけれど)面白いです、というコメントをいただきました。ありがとうございます。私もこの作品はおもしろいと思っていました。はじめの構えから人差し指に輪を巻き付けて始めるのが独特です。これを、普通の「人差し指の構え」から始めたのが鳥の群れという伝承作品で、「死人」の冒頭の、両手の人差し指を結ぶ三重の輪が最後に残るのが面白いですね。

 これを、例えば5本指の構えを作って、中央の3つの輪を人差し指に集めてから「鳥の群れ」の手順(「ギルバート展開」と呼ぶようです)を行うと、うまくいきませんでした。こういうのを試すのも面白いです。


<おまけのひとこと>
 今朝は忙しいです。






3月18日(水) 伝承あやとり作品「死人」

 あやとりの話です。(3/19(木)に18日と19日の二日分の更新です。)



 昨日、タイトルだけご紹介した「死人」という伝承作品ですが、実はこの作品、左右を横切る糸を分離してかたちを整えてみるとこんな風になっているのです。

伝承あやとり作品 死人 (ティコピア島、リフ島など)
整え方を変えてみた

 「あやとりの楽しみ」2025年1月号で、こんな作品をご紹介しました。

伝承作品「丸太の横たわった沼」(ガイアナ)を5本指に拡張してみた

 なんだか似ていると思いませんか。



 上の写真をgeminiで線画にしてもらってみたのです。「紐の内部は白で」とお願いしたのですが、元の紐の色に近い色で描画されてしまいました。それより問題なのは紐の交差の上下が逆になってしまっているところがあったのです。

上の写真を線画にしてみた

 斜めから撮った写真のほうが紐の交差の上下がわかりやすいかなと思ってこんな写真も撮ってみました。

同じ作品の斜めからの写真

 全く同じプロンプトで出力された線画がこちらです。

geminiによる線画

 今度は四隅をとめているマグネットは描かれませんでした。線は希望通り白になりました。特に頼んでいないのに、真上から見た画像のように外周が台形ではなく長方形に近いかたちにバランスが調整されています。それは良いのですが、外周の左右のそれぞれの掌の2本の紐が1本として描画されていたり、交差の上下が逆になっているところが増えてしまったりしています。

間違っていると思われる箇所(もっとあるかもしれません)

 残念ながら、出力された図がそのまま使えるというわけではないようです。


<おまけのひとこと>
 間違ってはいますけれども、線画にした図、なかなか魅力的だなあと思うのです。今回はたまたまあやとり紐を輪にしたときの結び目が写真左上のマグネット付近でうまく隠れたので、結び目の描画もされていなかったのも良かったです。それだけに交差が間違ったところがあったのが残念です。






3月19日(木) 「格子点を通る線の数」

 数学のパズルというか問題です。



 与えられたすべての格子点を何本かの直線で通過しなさい、というタイプの問題(パズル)があります。有名なのは「3×3の9個の点を何本かの直線で通るようにしてください、ただしすべての直線は一筆書きでつながっていなければいけません」という問題だと思います。

 普通に考えるとどうやっても5本になりそうなのです。これを4本でやってくださいというのがこの問題です。

 今回知った問題は10×10の100点のすべての格子点を直線で通るようにしてください、というものです。ただし先ほどの9点の問題とは違って線は一筆書きになっている必要はありません。全部バラバラで良いのです。ただし、正方形の辺に平行な直線は使ってはいけません


  10×10の正方格子のすべての頂点を正方形の辺に平行でない線で覆う場合、何本の線が必要ですか?  
 

10×10の格子点 10本の水平な直線

 必要な直線の本数の最小値は何本でしょうか。その値が最小だ、となぜ言えるのでしょうか。

(つづく)



 先日の「任意の凸多面体には、辺の数が等しい面が少なくとも2つ(一組)は存在することを示せ」という問題に関して、X(twitter)やメールでいくつかコメントをいただきました。ありがとうございます。解説のページの記載誤りや言葉が足りていない点に関してご指摘いただいて感謝しています。修正しました。この問題についてAIと対話してみた、という話を伺っています。私も正攻法の解答例を作るのにchatGPTを利用させてもらいました。

 AIに関しては様々な技術やサービスがどんどん進化しています。 1月に発表された claude cowork が一般企業のオフィスワークの自動化にとても役に立つのだそうで、2月にはSaaSpocalypse(サースポカリプス:リンクはgoogle検索です)と名付けられたソフトウェア業界の構造転換が発生し、巨額の株価の時価総額の暴落が起こったのだそうです。

 今も、勤務先のメールアドレスには「生成AI活用講座」みたいな案内メールがたくさん来ます。こういう講座を受講するような方というのは、その時点で利用できるサービスを最大限活用してやりたいことを上手に効率的にやりたい、ということなのだと思います。一方で、その時点で学んだスキルが陳腐化するのもあっという間なのだろうな、とも思います。大切なのは論理的に考えて読み書きできることなのかなあと思ったりしています。


<おまけのひとこと>
 雨が降っています。水不足が厳しいようですが、少しでもその解消につながるといいなと思います。困っているところに降水があるのか、確認していませんが。






3月20日(金) あやとり「死人の開始処理から」(その1)

 春分の日です。あやとりの話です。



 あやとり協会の吉田さんから、伝承作品「死人」のオープニングを開始状態として「テントの幕」を取ったらとても良かったと教えていただきました。私もやってみました。

「死人」の開始処理→「テントの幕」

 ちょっとかたちが整いにくいですが、出来上がりはすばらしいと思います。教えていただいてありがとうございます。

線画にしてみた

 「死人」の開始処理、いろいろ調べてみる価値があるかもしれないと思いました。ありがとうございます。



 昨日ご紹介したこの問題、まだ解説を準備できていません。


  10×10の正方格子のすべての頂点を正方形の辺に平行でない線で覆う場合、何本の線が必要ですか?  
 

 水平と垂直な直線は使えないので、とりあえず斜めの線を引いてみましょう。何本必要でしょうか? もっと減らせないでしょうか? それが最小であることはどうすればわかるでしょうか?

(つづく)



 今日3月20日は安野光雅の生誕100年の日なのですね(1926年3月20日生まれ)。調べてみたら、立川で生誕100周年記念 安野光雅展(3月4日〜5月10日)というのが開催中なのですね。知らなかったです。行かれる機会が作れるといいなあと思いました。


<おまけのひとこと>
 お休みの日で更新がお昼近くになってしまいました。






3月21日(土) 階乗の和の分数

 連休二日目です。



 X(twitter)で、以下のような式が紹介されていました(https://x.com/pickover/status/2034752867463000271)。

 3つの数字の階乗の和の分数の値が、その3つの数字を並べた3桁の数字の分数の値と等しいというのです。面白いなあ、ほんとかな、と思って検算してみました。

 なるほどおもしろいです。その投稿のリプライ投稿に、さらに4の階乗を加えた4桁の例が出ていました。

 これも同様に計算できます。面白いです。



 今週ご紹介した2つの問題ですが(2つ目はまだ解説を書いていませんが)、これはいずれも Moscow Maths Olympiads(モスクワ数学オリンピック) の問題です。いずれも Peter Winkler のパズルの本で紹介されていたものです。


  任意の凸多面体には、辺の数が等しい面が少なくとも2つ(一組)は存在することを示せ  
 
                       (1973年 Moscow Maths Olymiads)

 この問題(上記リンク先のpdfの115ページにあります)、模範解答はオイラーの多面体定理を使ったものだったのだそうです。でも、もっと簡単に示せるよね、ということで紹介されていました。では、凸でない多面体とかトーラス多面体のようなものではどうなるのか、という発展が考えられますが、それについて考察している文献などはちょっと調べた範囲では見つけられませんでした。


  10×10の正方格子のすべての頂点を正方形の辺に平行でない線で覆う場合、何本の線が必要ですか?  
 
                             (1996年 Moscow Maths Olymiads)

 この問題(上記リンク先のpdfの152ページにあります)、それほど苦労せずに例は思い付くと思うのですが、それが最小解である(それ以上必要な線の本数を減らせない)ことを示すロジックが面白いのです。



 東京・ミュージアム ぐるっとパスというのがあるのですね。2026年度も4月1日から購入できるのだそうです。東京に数日滞在して、いろいろなミュージアムを回ったりしたら楽しそうです。私は自分の家が好きで、今の居住地に満足していますが、こういうのを見ると東京もいいなあと思います。


<おまけのひとこと>
 あやとりをいろいろ試してみています。楽しい…


























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