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2024.05.22 公開
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2025.03.06 更新 new
SUWAプレミアム認定製品のアクリルパズル パズル マスマティカのページを作りました
2024.12.31 公開ひとこと
6月4日(水) クロスワードのジグソーパズル(Kohfuhさんのパズル)
最近いろいろ忙しいのと体調が万全ではないため、更新が滞りがちです。また1週間飛ばしてしまいました。
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Xを見ていたら、パズルデザイナーの(というご紹介で良いのでしょうか)Kohfuhさんのベタの掛け合わせという記事がnoteにあるのを知りました。下の図のような9ピースの小さなジグソーパズルのピースをイメージしたパズル作品が紹介されています。
Kohfuhさんのパズル 詳しくはリンク先の記事をご覧いただきたいのですが、この9ピースを3×3に組むというのが最初の目標です。それだけならば特に難しいことはないと思います。ただ、このピースのセットは四隅に置けるピースの候補、つまり凸でも凹でもない辺が直角をはさんで隣り合っているピースが4つではなく6つもあります。たった9ピースなのに、そういった「自明な配置」を避ける工夫がこらされているところも魅力的です。
BurrToolsでこんなピースをデザインして解の数を調べてみました。
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BurToolsで解の数を確認 ピースをわざわざ二層にして小さな突起を設けているのは「裏返し禁止」にするためです。あと、ピースの水平方向の移動を制限できるため探索空間を狭くできるという効果もあります。まあこの程度のピースの数なら一瞬で解析できますが…
調べてみると、この9ピースのジグソーパズル風のピースを3×3に収めるやり方は20種類あるようです。このパズルにはもう少し条件がついていて
- 色のついたマスが縦横に隣接してはいけない
- 白いマスは全体で「ひとつながり」になっていて、色の付いたマスで分断されてはいけない
という制限があります。nikoliのペンシルパズルでマスを塗ってゆくタイプのものではよく採用されるルールです。1つ目は局所的な条件、2つ目は大局的な条件なので考え方が異なります。パズルのルールとしてこの2つの条件を絶妙だと思います。このパズルのタイトルに「クロスワードの」と書かれているのは、このマスの条件がクロスワードの盤面をデザインするときに望ましいとされる条件であるためです。
このパズル、それほど時間をかけなくても解が見つかりました。このくらいの難易度のパズルは好きです。解は載せませんが、失敗例を2つほどご紹介します。
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失敗例1 最初に、マスの配置に関して何も考えずにかたちだけ組んでみたものです。赤いマルで示したように、色のついたマスが隣接してしまっています。
次に、色のついたマスを隣接しないようにということだけを考えて修正してみた例です。
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失敗例2 今度は連結した白の領域が分断されてしまいました。
とてもバランスの良い魅力的なパズルだと思いました。
<おまけのひとこと>
たとえばピースを透明な素材で作って、裏返しを許す条件にしたら何か面白い発展はあるだろうか、と思いました。
6月5日(木) ソロモン諸島の伝承あやとり作品から
あやとりのご紹介です。
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最近、時間があるときに過去の国際あやとり協会の会報の論文を調べてみることが多いです。いろいろなあやとり作品の手順や標準的な手法を知ることで、類似のあやとり作品の関係などが見えてきてとても面白いのです。
私は幾何学的なパターンのあやとり作品が好きなのですが、たまに下記のような作品を取ってみると、これはこれで面白いなあと思います。
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鬼
ソロモン諸島の伝承作品
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スフリマエ
ソロモン諸島の伝承作品
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スフリマエのペットのうさぎ
M. Sherman氏によるスフリマエのアレンジ作品(2005)リンクはすべて石野さんの「あやとりしてみよう」のそれぞれの作品のページです。伝承作品は、研究者がその作品を伝えている人々のところを訪れて、いつどこでその作品を記録したのかを文献として残すという研究が20世紀初頭から行われています。その作品の名前の意味や由来、出来上がったあやとり作品をどのように見立てるのか、などもあわせて記録されているものもあります。国際あやとり協会の会報に掲載される論文も、半分以上はそういった伝承作品の収集の報告であるような気がします。
<おまけのひとこと>
石野さんのサイト、掲載作品数が1,167になっていました。膨大な情報です。本当に感謝しています。
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