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令和7年7月13日 | 芭蕉 |
元禄七年の五月、芭蕉は病中の寿貞尼(じゅていに)を庵に残して西への旅に出た。芭蕉にとって最後の旅である。 そして六月、留守宅から寿貞の訃報が届く。 「寿貞無仕合せもの、まさ、おふう同じく、無仕合とかくもうしがたくそうろう、・・(中略)・・何事も何事も夢まぼろしの世界、一言理屈はこれなくそうろう」と芭蕉は書き送っている。ここには芭蕉の深い嘆きが込められている。 数ならぬ身とな思いそ玉祭 決して数ならぬ身などと思わないでくれ寿貞に呼びかけているこの句には、大切な人を亡くした哀しみと同時に、彼の心にひろがっているどうしようもない孤独の気配がたちこめている。 |
令和7年7月6日 | 山口波津女 |
香水の一滴づつにかくも減る ほんの一、二滴の香水を手首や耳裏につけ、一日がはじまります。瓶いっぱいに詰められた琥珀の香水。 一滴、また一滴と使ううちに、いつしか瓶の底にわずかに残るだけになっていました。塵も積もれば・・・ですね。 減った香水は、作者が重ねた日々の証でもあります。その中にどれほどのドラマがあったことでしょう。 香水の一滴に等しい一日の積み重ねに、人生はあるのです。 |
令和7年6月29日 | 紫陽花 |
半年があっという間に過ぎた。 年々歳々時の経つのが早くなる。春が過ぎて、夏が来て、木の葉の緑が濃くなり、夜でも暑い日々がくる。 |
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