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今日の疑問

★ 疑問、議論、および回答への不満は右まで→ 掲示板


おすすめ記事  2003年(ベネズエラのBW) 2000年1月(各都道府県の都市システム EEAとリヒテンシュタイン) 1999年12月(大晦日12/26) 2000年1月(テラロッサ アーケード) 2月(インディヘナ 大鑽井盆地 英国 マラ 3月(サンゲンアジャホ 青年さ〜ら 湖沼国境) 4月 第三のイタリア 七つの海


3月28日 ベネズエラ北部の乾燥気候の謎

 疑問発見掲示板で、ピンポンさんから頂戴した疑問です。まずは、やりとりを転載しておきます。語句を補うなど、少しだけ変えました。

ピンポンさん:ベネズエラのBW

 気候区の分布図を見てて、疑問に思ったんですが、ベネズエラの北部が乾燥帯になっているのはなぜなんでしょうか?
 特にベネズエラ湾(?)の東にちょこっとあるBWが気になります。

さ〜らまん:風下かな?

 確信はないのですが、年間を通じて、北東貿易風の風下に当たると考えるのが一番でしょう。地図帳の気圧と風の図を見て下さい。マラカイボ湖付近だけをよ〜く見ると、1月7月とも、風は、海から陸へは吹き込まず、海岸線に平行に吹いているか、あるいは、内陸から山を越えて海の方へ吹いてます。だから海洋からの水分供給が少ない、と考えられます。

ピンポンさん:ということは・・・・

 ここは北東貿易風が北東というより東から吹く、というか、貿易風の影響が小さいのでしょうか?
 仮定の段階で、さらにつっこうむようでなんですが、それはなぜ?
自分なりに考えた理由は、
海岸付近の標高が高い→北側が断崖となっている山地が海に迫っている→貿易風が崖を越えられず、それてしまう(特に冬は)、というものなんですが。

さ〜らまん:冬より夏が問題

 すばらしい!風が東からってこと、ピン、ポーン♪ です。
で、とくに冬少雨、というご指摘は確かにそうなのですが、緯度からみて、ベネズエラはAw卓越地域だから、冬の少雨は不思議でなくよしとしましょう。Bになるってことは、夏も比較的少雨だからと考えられ、これが腑に落ちないわけです。
 そこで、7月の気圧と風の図を見ると、
東の海からの風が、まずリャノの平原に入り、アンデス(の続き)の山系を越えてマラカイボ湖の方に抜けています。
風はこのように内陸から吹いているから、海岸部の地形が崖だからではなく、風上にあたる内陸側に山脈があるからでしょう。

付記:
しかし、世界地図のスケールで夏の雨の図を見ると、それほど少なくありません。詳細な図を調べる必要がありますね。

ピンポンさん:納得!

 そもそもの発端は、ご指摘のように、本来はAwの緯度帯で、西側の中米はAwなのに、なんでここだけが‥‥、と思ったことからなのです。
 
東からの風→リャノ→山脈→マラカイボ湖という説明で、腑に落ちてしまいました。
 風が山脈をよけると考えたのは、カラカスの標高が高いので、マラカイボあたりも高いと思いこんでしまったからなんで、地図をよく見たら、マラカイボあたりは山脈に挟まれた場所でした。西側にすごく高い山があるので、もしかして盆地のような気温の逆転があるのかもと思ったりしますが、
とりあえず山脈風下で納得です!

 理屈を言うと、少雨の原因(てか、砂漠の成因)は、次の4パターンに整理できます。もちろん、1〜4のどれか一つということではなく、複合的な理由で少雨になることもあります。ベネズエラ北部の高日季は、1、2、4に該当しないので、3をまず考えるわけです。ベネズエラ北部では海からではなく、内陸側から風が吹いていて山脈の風下側に当たると考える。3でだめなら、2。ベネズエラ北部は内陸ではないが、風が海と平行に吹けば、海からの湿気が内陸に入り込まない。

    大気に含まれる水分の
絶対量が少ない
大気が安定し、
上昇気流が起きない
 
高圧帯の影響 亜熱帯高圧帯の影響。シベリア高気圧なども。
隔海度が大きい内陸 海からの風が吹き込まない場合や内陸からの風も。
山地の風下側斜面 風上側の地形性降雨により大気は水分を失う。
低緯度を流れる寒流の影響 気温の逆転。海岸部の湿度は高い。


で、以上は、掲示板の内容でありまして、今日の疑問は、そういう理由だ何だという難しいことを扱うのが目的ではありません。

掲示板において、「オフィスに帰り次第、詳細な図を調べる」という約束をしてしまったので、それを調べるだけです。すなわち、世界地図レベルでみると、高日季のマラカイボ湖付近はけっこう多雨地域になっているが、詳細に見れば、少雨地域があるはずだ!ということを調べるだけです。

といっても、そういう図は手元になく、ネットでベネズエラの気候を調べました。

 まず、The Weather Underground, Inc.ベネズエラのいくつかの地点の降水量と風向きを調べて、下の表を作りました。各月の降水量と平均的な風向きはそのサイトに載っていたものです。全年の降水量は、右側の各月の降水量を合計したもので、粗忽者さ〜らまんの計算ですから、計算間違いがあるかもしれません。また、その下の気候区も、ワタクシが概算して得たものです。すっかり信用するなどという愚を犯さないで下さい。ちなみに、理科年表によれば、カラカスは、年降水量が488mmでやや少なく、その気候区は、下表と同じく、BSになります。

◆北部(山脈の北側)の地点                                                            mm
地点(都市) 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 全年
1 Coro  
Precipitation ( mm ) 14 16 9 18 26 26 35 24 32 53 57 54 364
Wind Direction BW
2 Maracaibo
Precipitation ( mm ) 5 3 6 52 67 55 26 60 104 114 71 17 580
Wind Direction 北北東 北北東 北北東 北北東 北北東 北北東 北東 北東 北東 北北東 北北東 北北東 BS
3 Barcelona
Precipitation ( mm ) 7 3 2 8 48 105 119 121 84 59 44 24 624
Wind Direction 北北東 北北東 北北東 北北東 北北東 南南東 南南東 南南東 南東 東南東 東南東 BS
4 Barquisimeto
Precipitation ( mm ) 9 8 14 65 75 78 77 53 39 49 48 25 540
Wind Direction 東北東 東北東 東北東 東北東 BS
5 Mene Grande
Precipitation ( mm ) 28 29 47 120 153 132 102 138 167 178 147 86 1327
Wind Direction 東北東 東北東 東北東 東北東 西南西 東北東 東北東 東北東 西南西 東北東 東北東 東北東 Aw
◆アンデス山脈(の続)付近の地点                                                        mm
6 San Antonio del Tachira  
Precipitation ( mm ) 35 27 47 108 85 35 26 26 55 120 112 71 747
Wind Direction 北北西 北北西 北北西 北北西 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 北北西 BS
7 Merida
Precipitation ( mm ) 40 48 63 177 236 164 119 152 229 283 195 79 1785
Wind Direction 西南西 西南西 西南西 西南西 西南西 西南西 西南西 東北東 東北東 西南西 西南西 西南西 Am
8 Caracas La Carlota
Precipitation ( mm ) 16 13 12 59 80 139 121 124 114 123 73 42  916
Wind Direction 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 Aw
9 Caracas
Precipitation ( mm ) 28 17 22 29 36 53 57 50 54 56 54 54 510
Wind Direction 東北東 BS
10 Mariscal Sucre
Precipitation ( mm ) 4 4 7 45 106 133 129 172 135 99 52 15 1201
Wind Direction 北北東 北北西 北西 東南東 東南東 東南東 東南東 北北東 北北東 西南西 北北東 北北東 Aw
◆リャノの平原に位置する地点                                                          mm
11 Acarigua  
Precipitation ( mm ) 6 15 25 106 193 238 218 197 162 177 111 37 1475
Wind Direction 北北東 北北東 北北東 北北東 北北西 北北西 北北西 北北西 北北西 北北西 Aw
12 San Fernando de Apure
Precipitation ( mm ) 1 4 6 72 167 243 276 255 173 99 44 10 1350
Wind Direction 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 Aw
13 Puerto Ayacucho
Precipitation ( mm ) 31 36 74 163 311 408 398 298 198 183 127 42 2269
Wind Direction 北北東 北北東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 南南東 北北東 Am
14 Guasdualito
Precipitation ( mm ) 8 18 44 141 232 281 286 227 188 187 105 42 1759
Wind Direction 北北東 北北東 北北東 西北西 西北西 西北西 東北東 西北西 西北西 西北西 東北東 北北東 Aw
15 Guanare
Precipitation ( mm ) 14 17 41 131 227 245 266 200 173 172 111 33 1630
Wind Direction 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東南東 東南東 東南東 東南東 東南東 東南東 Aw
16 Maturin
Precipitation ( mm ) 58 33 24 37 100 208 215 177 131 107 135 111 1336
Wind Direction 北北東 北北東 北北東 東北東 東北東 北北東 北北東 北北東 北北東 北北東 北北東 北北東 Aw
17 Guiria
Precipitation ( mm ) 33 20 18 18 62 119 126 128 132 116 97 72 941
Wind Direction Aw
18 Ciudad Bolivar
Precipitation ( mm ) 22 13 9 27 102 165 183 160 96 97 62 41 977
Wind Direction 北東 Aw
◆ギアナ高地付近の地点                                                             mm
19 Tumeremo  
Precipitation ( mm ) 83 54 49 78 135 195 173 125 91 76 103 101 1263
Wind Direction 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 Aw
20 Santa Elena De Uairen
Precipitation ( mm ) 68 57 87 165 214 254 229 186 113 122 114 85 1691
Wind Direction 東北東 東北東 東北東 東北東 東北東 南東 南南東 南南東 東南東 東南東 東北東 Am

ああ、しんど。
が、苦労の甲斐あって、ベネズエラでは、北東貿易風が、北東ばかりでなく、東あるいは南東から吹く地点あるいは季節が多いことはわかります。また、降水量は、どの地点も高日季の7月頃に多いのであるが、北部の海岸あるいは海岸に近い地点では、多いといっても50mm程度で、そんなに多くないこともちゃ〜んとわかったのであります。

しんどいついでに、欲が出て、7月の風向きを示した地図を作ってしまいました。この図ですが、実は、「ようやく完成した! さて、これをもう少し修正して・・・・」などと、図を保存せずに、ちょこまかちょこまか変なことをしていたらパソコンが固まってしまったので、やむなく電源を切り、せっかく作った図がすべてパーになってしまって、泣きながら、疲労困憊の中で、再度作ったものです。だから言い訳しますが、ミスがあるかもしれません。でも、ミスのチェックをする気がおきないので、そのまま載せます。

 以上、もはや、体力の限界、気力の限界。だから、この図の読み取りの説明はしません。

 上の表といい、この図といい、誰が見るんだ!という気もしたのですが、少なくとも、ピンポンさんだけは丁寧に見てくれると思います。それが心の支えになるから、一度パーになった図を再度作るのも、どーってことないのだ!と言い聞かせ、でも泣きながら、ちょこまかちょこまかと作業しました。

 この図では、風向きをおおまかに示すとこうなるのでは?というつもりで太い矢印を入れました。青は湿った風、黄色は乾いた風を示していますが、この区別は、ワタクシが勝手に色分けしただけですから、まったく信用できません。あしからず。

 「熱帯収束帯」の位置を太い緑の線で書き込んであります。これは、赤道低圧帯のほぼ中心が、どのあたりにあるかをを示したもので、その影響はもっと幅広い範囲に及んでいます。この図の全範囲は、7月頃には雨季ですが、この時季に多くの降雨がみられる理由を答えよ!と問われたら、「赤道低圧帯の影響を受けるため。」と答えればいいのです。

 この図をクリックすると拡大図が出ますので、できますならば、それと、上の表を対照させて見てください。ベネズエラ湾の東、パラグアナ半島の基部に位置するCoroは、年降水量400mmにも見たず、確かにBW気候です。そして、そこでは年間を通じて東風が吹いています。Coroの東風は海から吹いているように見えるので、必ずしも山地風下という説明はあたらないのかもしれませんが、他のBSの地点の多くは、メリダ山脈(アンデス山脈の一部)の山並みの北側に位置し、南東または東寄りの風が卓越しているようです。Coroの東風も海岸線に並行するような風ではないかと思います(ちょいこじつけ)。なお、地点6、7、11など、メリダ山脈沿いでは、風向きが場所によりいろいろですが、これは、山間部で、局地的な地形条件の影響を受けるためと考えられます。

 最近市中に出回っている『ビジュアル世界の国々』(昭文社)にも、ベネズエラの項で、「北の海岸では400mmしか降らない」と説明され、また、コロンビアの項で、「カリブ海沿岸の東部では300mm程度」と説明されており、このあたりの海岸部の降水量がきわめて少ないことに触れてあります。

以上、ごく一部を除き、ほとんど試験に出ないことです。あしからず。


3月22日 アメリカのODAの謎 − 今週のわからん!−

 受験生を脱し大学生さまになることの決まった若者たちが「ちゃきちゃきの受験生」だったころにくれた疑問第3弾、ナカリケリくんの疑問第2弾です。

 ナカリケリくん:センターの過去問解いてて思ったんですが、アメリカのODA対象国の統計で援助額の4位にイラクがあるのが納得できません。なぜですか?

 さ〜らまん:アメリカのODAは戦略的だから無視無視、残りもんで決めます。援助額四位にイラクが来ているのは、最近では1995と1996の二年間だけですが、何故かはよくわからん。調べます。

と、お茶を濁して答えておいたが、本日に至るも調べはついていない。くだんの問題は、2001年本試験第4問問6です。

 問6 次の表2のX〜Zは、アメリカ合衆国、日本、フランスの政府開発援助(ODA)対象国のうち、援助供与額の上位4か国を示したものである。また下の文章ア〜ウは、各国の援助政策の特徴を説明したものである。日本、フランスに該当する組み合わせ(略)を答えよ。
 表 2
順位
1位
2位
3位
4位
イ ン ド ネ シ ア
中     国
タ     イ
イ   ン   ド
エ ジ プ ト
コートジボワール
モ ロ ッ コ
ア ル ジ ェ リ ア
イ ス ラ エ ル
エ ジ プ ト
旧ユーゴスラビア
イ  ラ  ク
援助対象国には海外領土・海外県を含まない。統計年次は1996年。
『我が国の政府開発援助 ODA白書』により作成。


 ア 援助は、長期的な視野から近隣地域の経済的発展と政治的安定をめざして実施されている。主要な援助対象国との経済的つながりも強い。
 イ 援助は、自国の外交・安全保障政策に直結している。また、国内世論の関心が高い国も主要な援助対象国となっている。
 ウ 援助は、自国文化・言語の普及をその目的の一つにおいている。援助対象国に旧植民地、近隣国が多い。

 ナカリケリくんは、もちろん、正しい答え(日本がX・ア、フランスY・ウ)を選んだのだが、てこずったようだ。てこずったのは、「アメリカがイラクに援助するわけない!」と考えたからだ。「てことは、イラクが上位にくるZは日本かフランスだが、日本がイラクにたくさん援助するってのも変だし、Zにフランスの旧植民地なんてあったかなあ?あれれ?」と混乱したのであります。

 で、イラクの話だが、結論を先に言いますと、わからん!のであります。

 一応、各国のODA供与先上位国の経年変化を調べて表にします。なお、この表には、海外領土・海外県を含めています。支出純額ベースというのは、(供与額−借款等の回収額)のことで、返済された分を引いた差し引きと考えていいでしょう。

 DAC主要国の二国間ODA5大援助供与先(支出純額ベース)
供与国 暦 年 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位
国 名 シェア(%) 国 名 シェア(%) 国 名 シェア(%) 国 名 シェア(%) 国 名 シェア(%)
日  本 1995 中国 13.3 インドネシア 8.6 タイ 6.4 インド 4.9 フィリピン 4.0
96 インドネシア 11.8 中国 10.5 タイ 8.1 インド 7.1 フィリピン 5.0
97 中国 8.8 インドネシア 7.6 インド 7.5 タイ 7.1 フィリピン 4.9
98 中国 13.5 インドネシア 9.7 タイ 6.5 インド 5.9 パキスタン 5.7
99 インドネシア 15.3 中国 11.7 タイ 8.4 ベトナム 6.5 インド 6.1
米  国 1990 エジプト 2364 イスラエル 1296 フィリピン 248 エルサルバドル 247 ホンジュラス 215
1991 エジプト 2963 イスラエル 1261 ニカラグア 379 イラク 336 トルコ 225
1992 イスラエル 1900 エジプト 1662 ソマリア 306 エルサルバドル 230 フィリピン 229
1993 イスラエル 17.7 エジプト 13.4 ソマリア 7.0 フィリピン 3.9 エルサルヴァドル 3.0
1994 イスラエル 17.1 エジプト 9.4 ハイチ 7.4 ソマリア 4.8 ルワンダ 3.0
1995 エジプト 11.2 ハイチ 6.8 イスラエル 5.8 イラク 2.4 パラオ 2.4
96 イスラエル 32.6 エジプト 10.5 ボスニア・ヘルツェゴビナ 2.0 イラク 1.6 ミクロネシア 1.5
97 エジプト 11.0 ボスニア・ヘルツェゴビナ 3.7 ボリビア 3.3 ペルー 2.4 南アフリカ 2.1
98 エジプト 13.5 ボスニア・ヘルツェゴビナ 3.6 ヨルダン 2.3 ペルー 2.0 ボリビア 1.5
99 エジプト 9.7 ボスニア・ヘルツェゴビナ 3.2 インドネシア 3.0 コロンビア 2.7 ヨルダン 2.5
英  国 1995 インド 8.5 ザンビア 4.6 バングラデシュ 4.6 ウガンダ 4.0 インドネシア 3.4
96 インド 8.6 マラウィ 4.7 バングラデシュ 4.0 旧ユーゴスラビア 3.9 ウガンダ 3.9
97 インド 7.8 ガイアナ 7.6 ザンビア 4.7 ウガンダ 4.0 モザンビーク 3.7
98 インド 8.8 タンザニア 7.4 ウガンダ 5.0 バングラデシュ 4.6 モントセラト 3.1
99 インド 5.9 バングラデシュ 5.1 ウガンダ 4.3 ガーナ 4.1 タンザニア 3.9
フランス 1995 象牙海岸 8.0 エジプト 7.0 仏領ポリネシア 6.9 ニューカレドニア 6.9 タンザニア 4.1
96 ニューカレドニア 6.8 エジプト 5.2 象牙海岸 5.2 モロッコ 5.1 アルジェリア 4.2
97 仏領ポリネシア 7.6 ニューカレドニア 7.0 マダガスカル 6.5 エジプト 5.9 コンゴ共和 5.1
98 仏領ポリネシア 8.8 ニューカレドニア 8.0 エジプト 7.4 モロッコ 4.8 象牙海岸 4.6
99 仏領ポリネシア 8.6 ニューカレドニア 7.6 エジプト 6.2 セネガル 5.5 モロッコ 5.4
ド イ ツ 1995 中国 14.2 旧ユーゴスラビア 8.3 ニカラグア 3.6 エジプト 3.5 インド 3.5
96 中国 10.2 エジプト 9.8 ニカラグア 8.9 フィリピン 2.4 ボリビア 2.3
97 エジプト 10.9 中国 10.5 インドネシア 3.2 ペルー 2.3 イラク 1.8
98 中国 9.2 インドネシア 6.1 エジプト 3.2 タンザニア 3.1 インド 3.0
99 中国 9.3 セルビア・モンテネグロ 3.6 エジプト 3.2 パキスタン 2.5 タンザニア 2.0
出典:2000年OECD「GEOGRAPHICAL DISTRIBUTION OF FINANCIAL FLOWS」
(1) シェアーについては各国の二国間援助に占める割合。
(2) 東欧及び卒業国向け援助は含まれない。
米国の1990-1994の出典は別。間違いがあるかもしれないので信用しないでください。1990-1992はシェアではなく金額(百万ドル)。

この表を見ると、アメリカのODA供与先上位に、イラクが登場するのは、1991年と、1995、1996年だけで、そのシェアもきわめて小さい。
が、なぜだ? 

その頃のできごとを調べると、
 1995年4月に国連安全保障理事会が、湾岸戦争以来続いていた対イラク経済制裁のうち石油禁輸を部分的に解除する決議をしたが、イラクは全面解除以外に受け入れられないと拒否。
 1996年8月、イラク北部でクルド民主党(イラクが支援)とクルド愛国同盟(アメリカが支援)との間で戦闘が激化し、クルド民主党から支援を要請されたイラク政府軍が侵攻してクルド愛国党の拠点を攻撃した。これに対してアメリカは同年9月イラク南部の軍事施設に対して2回にわたってミサイル攻撃を行った。
 1996年12月、厳しい制裁措置を受けていたイラクで、国内の医薬品や食糧などの不足が深刻化し、乳幼児の死亡率上昇などが指摘されていたため、経済制裁の部分解除。国連の管理下でイラクの石油の取引を限定的に認め、食料や薬の輸入することを認める。
 1997年、イラクは、1991年から開始されていた国連の査察団や国際原子力機関(IAEA)の査察団から、アメリカ人を排除を要求。次いで、査察拒否宣言。
 1998年1月、イラクは、対イラク国連制裁が解除されない限り、査察活動への協力を中止すると宣言。

と調べてもわからんもんはわからん!

で、さらによく調べてみたら、1990年以後で、アメリカの対イラク援助があったのは、1991年と、1994・95・96年で、他の年はゼロ。

1996年以後いまに至るまで、アメリカとイラクは完全に敵対関係になってますから、1997年以後ODAがないのはわかる。

1991年は湾岸戦争で勝った直後だからあってもいいでしょう。いまもイラクに攻めてますが、「攻めたあとはバンバン人道援助しまっせ!」て言ってるし。(影の声:じ、ん、ど、う、支援??? けっ、ちゃんちゃらおかしいぜ。 そんなの世界中のだ〜れも信用しちゃいないよ! マッチポンプヒューマニズムだね。まっ、言ってる本人も本気で言ってんじゃないとは思うが。)

1996年は、湾岸戦争以来の経済制裁によって引き起こされたイラクの惨状を何とかしなければという機運も高まっていたときであると同時に、アメリカのミサイル攻撃もあった年で、まあ、たいへんに揺れ動いていたときです。だから、1994、1995、1996年はあってもいいかな?という感じのとき。

 2000年のODA白書から、日本の対イラクODAの位置付けをパクっておきます。こういうややこしい地域に対する日本のODA方針はアメリカの追随だろうから、アメリカも似たようなもんでしょ。
◆その後、なぜか、2000年の白書だけがネット上から消えうせた。仕方がないから、同じサイト内のここここを見てください。後者に同じ記事があります。(2004年11月付記)

(1) 90年8月、イラクは突然クウェイトに侵攻したが、国連安保理決議に従った多国籍軍の武力行使により、91年2月には軍事的に敗北してクウェイトより撤退し、同年4月停戦に至った。なお、北イラクはクルド人勢力の支配下にある。
(2) 経済は、原油輸出に大きく依存しているが、クウェイト侵攻を機に国連による厳しい経済制裁が課されるとともに多国籍軍の攻撃により工業施設やインフラが破壊され、同国経済は大きな打撃を受けた。停戦後、破壊された施設のうち約8割以上が既に修復されたとも言われるが、現在も継続中の経済制裁のため、国内経済は相当の打撃を受けている。他方、イラク国民の窮状に鑑み、95年4月、国連の監視の下、人道物資購入のためイラクの限定的石油輸出を認める安保理決議986が採択され、96年12月より現在に至るまで継続的に実施されている。また99年12月には、安保理決議1284が採択され、石油輸出額の上限が撤廃された。同決議では、軍縮分野での協力を条件に、経済制裁を一部停止するとの新たな概念が導入されたが、イラクが同決議に協力するかどうかが注目されている。
(3) 我が国は、従来、イラクから原油等を輸入し、同国に機械、鉄鋼等を輸出していたが、90年8月に制裁措置が導入されて以来、両国間の貿易は原則として停止してきた。しかし、96年12月に安保理決議986が実施に移されたことにより、国連の承認を得た上で、少量ではあるがイラク石油の輸入、人道物資の対イラク輸出が再開された。

なお、そこに、アメリカの援助政策についても書いてありましたので、パクっておきます。ここ( ◆その後、なぜか、ネット上から消えうせた。2004年11月付記)

特定の政権維持のために供与されることが多く、現在その大部分はイスラエル、エジプトに向けられている。ESFは同時に構造調整型援助の財源でもある。援助内容の決定は、国務省によって行われ、USAIDAssistance for Iraqアメリカ国際開発庁が実施する。
1996年には、米国の最大援助供与国であるイスラエルがDACのODA対象国リストから卒業したことなどから、米国のODA実績は96年のの93.8億から68.8億ドル(対GNP比0.09%)に大きく落ち込んだが、99年には91.45億ドルまで回復している。地域的には北アフリカ・中東・中南米への援助が多い。
   米国の二国間援助地域別シェアーの推移

ひさびさの床屋談義:
 というわけで(なにがというわけかしらないが)、アメリカは自国の戦略のために必要と考える地域に、フランスやイギリスは旧植民地や自国の海外領土にODAをばらまいているのだから、英米仏のODAについてまじめに考えるのはむなしいのだ。そういうのは援助っていうんかいな? エジプトなんか、援助漬けでますます貧しくなってるし。。。 まあ、日本のもそんなにほめられたものではないが、まだまし(だった)。

 なお、「大学というところにいる人の大部分は税金を使って遊んでいるだけだな!」という例がみつかりましたので、紹介します。ここです。そこの世界地図も見てください(◆その後、なぜかネット上から消えうせた。2004年11月付記)。

今日の(どうしてそういう結論になるの?という)結論
 税金を使って遊ぶ身分にならないといけませんな!


3月19日 地熱発電は地球にやさしいか?

 受験生を脱し大学生さまになることの決まった若者たちが「ちゃきちゃきの受験生」だったころにくれた疑問、第2弾です。

 ナカリケリくん: 毎日、暑いですね。『入試精選問題集』の18番「エネルギー資源」のとこで質問ですが、地熱発電でなぜ硫化水素が発生するんですか?

 お答え: 地熱発電は、熱水の蒸気でタービンをまわして発電しますが、その蒸気の中に硫化水素が含まれているのです。硫化水素は、温泉のあの硫黄臭のもとです。

 「毎日暑い」というのは、疑問をいただたのが8月だったからです。なぜナカリケリくんかというと、そこそこ男前なのだが、覇気が感じられないからです。なにかというとすぐに、「いいんです、僕は」って言う人で、ちょいと拗ねぐせがありますな。覇気がなくても地理だけはマニアックに勉強してて、志望校に合格したからとりあえずは問題ないのですが。今後がちょいと心配です。

 それはさておき、問題の問題は、『入試精選問題集16地理B』に入れてあったもので、出典は法政大学(経済学部)です。昨年末に出た改訂版の『入試精選問題集15地理B』では別の問題に差し替えましたので、載っていません。どんな問題かというと、

問題文の一部(空欄補充問題 答えは斜体で記入しておきます)

 ( 地熱 )エネルギーが枯渇することは、人類が生存する限り、ほとんど考えられない。これによる発電が盛んな国は発展途上国に多い。〔 フィリピン 〕と〔 メキシコ 〕がその代表例である。〔 メキシコ 〕はその隣国の〔 アメリカ合衆国 〕と同様、( 石油 )の産出にも恵まれている。しかも〔 アメリカ合衆国 〕は世界で最大の( 地熱 )エネルギー利用国である。( 地熱 )エネルギーはクリーンなエネルギーであり、枯渇する危険性も小さいからといって、問題がまったくないわけではない。例えば、( 地熱 )発電プラントから出る硫化水素は、健康上の問題をもたらしているまた、〔 フィリピン 〕では、地域の住民にとって聖なる山で( 地熱 )発電を進めようとする政府と、地域住民との間で紛争が起きている。 

ちょいと解説
 空欄補充に何を入れるかは、選択肢もあり、ここに引用しなかった他の部分からもわかるので、問題としてはそんなに難しくありません。アメリカ合衆国は、引用しなかった他の部分で石炭の産出も多いことがわかり、ここの引用部分から、石油も産出し地熱利用世界最大である先進国らしいとわかるので、答えられます。
 メキシコとフィリピンは、選択肢にあがっている発展途上国 〔中国、インド、タイ、フィリピン、アラブ首長国連邦、イラク、イラン、クウェート、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン、メキシコメキシコ〕 の中から選びます。このうち、中国や中東の主要産油国は他の部分で答えているので、候補から除外します。メキシコは、アメリカ合衆国の隣国で、産油国ということからわかります。フィリピンについては、地熱発電量が多い国は火山国が多いので、発展途上国で火山国と考えて答えます。このフィリピンは知らない人にはちょいと難しいです。

 で、地熱発電に関しては、疑問発見掲示板で2002年7月に、ゆみちゃんさまとやりとりがありました。その一部を再掲載します。

ゆみちゃんさま:ニュージーランドのワイラケイ地熱発電所は地熱発電で世界一の出力なんですよね。

さ〜らまん:ワイラケイ地熱発電所は、出力世界最大というわけではないらしいが、世界最大級であることは確かですね。地熱発電の問題における出題頻度は、ワイラケイが第1位でしょー。

ついでに、そこの掲示板に書き込んでおいた統計も再掲載。

地熱発電量の多い国の統計(1997年)太字が重要。
地熱発電量
ランキング
発電量
(万kW)
地熱の
割合(%)
試験に出るかもしれない発電所地名
アメリカ合衆国 285.0 0.3    カリフォルニアのガイザース
フィリピン 177.8 23.3 
イタリア 80.2 1.2    フィレンツェの南のラルデレッソ
メキシコ 77.3 2.2 
日本 54.4 0.2    大分九重の八丁原(はっちょうばる)、岩手の葛根田
インドネシア 41.7 2.6 
ニュージーランド 36.9 4.9    北島のワイラケイ
エルサルバドル 13.0 17.3 
アイスランド 8.1 7.4 
10 コスタリカ 7.0 6.4 
11 ニカラグア 7.0 15.3 
12 ケニア 1.5 5.6 
世界計 799.7 0.3 

で、それはさておき、

 そもそもの質問は硫化水素の話ですが、硫化水素は、火山ガスに含まれ、濃度が濃いやつを吸うと中毒死します。だから、火山に登るときは要注意。地熱の調査の際に、こいつを吸った調査員が病院に運ばれる事故がしばしばあるようです。でも、硫化水素が出るようなところの発電所には、硫化水素除去装置がつけられているので、調査時や発電所建設時にはやばいが、発電自体において硫化水素が出る量はそれほど多くないようです。

 地熱発電は、枯渇しないエネルギーであり、二酸化炭素排出量もきわめて少ないから、環境にやさしいクリーンエネルギーでありますが、ものごとには、必ずいい面と悪い面があるから、いいこと尽くめのような地熱発電にだって、悪い面があります。小波盛佳さんという方が地熱発電の環境への影響という題で悪い面を整理して書いてくれています。そこを読めばいいのですが、本と違ってネットの場合は、いいサイトがあった!とリンクしておいても、しばらくしてからそれを見ようとしたらサイトがなくなっていたということもよくありますから、ちょいと心配。そこで、エキスの部分を引用させてもらいます。硫化水素の問題は、このうちの5)、6)にあたります。なお、試験では、まず問われません。

 地熱発電が環境に及ぼす主な影響として,次の諸点が考えられる。

 1)温泉の枯渇: 汲み上げによって温泉資源が減少または枯渇する
 2)崖崩れ: 汲み上げまたは不用水の還元(地中への戻し)によって地下の様子が変化する
 3)地震: 汲み上げまたは不用水の還元に伴って地震が誘発される
 4)地下水の汚染: 不用水の還元によって毒性の物質が他の地下水を汚染する
 5)大気汚染: 毒性のある気化性物質によって大気が汚染される
 6)表層土の汚染: 毒性のある気化性物質,固形物質によって大地が汚染される
 7)景観の悪化: 人工構築物および白煙によって景観が損ねられる

これらを引き起こす要因は,主として, (1)熱水の汲み上げ,(2)不用水の還元,(3)熱水,蒸気に含まれる毒性,(4)施設構築自体の4つである。

 それから、法政の問題で、「地域の住民にとって聖なる山で地熱発電を進めようとする政府と、地域住民との間で紛争が起きている。」というのは、調べてみましたら、フィリピンのミンダナオ島での話のようです。ダバオの西にアポ山という山があり、そこに地熱発電所を建設したのだが、アポ山はその付近に住む山岳先住民族の霊峰で、先住民と政府が対立したようです。開発側はかなりひどいことをやっているようですな。

 地熱発電所に限らず、さまざまな開発においては、悪い影響が出るに決まってる。だから、必ず反対者が現れ、開発推進者と対立します。推進者が反対者を納得させることはたいてい不可能ですし、反対者が推進者を説き伏せることも、よほどのことがない限り、難しい。開発推進者にはそれがわかっているからでしょうか、表向きは紳士面をして、開発推進に都合の悪いことは隠すなど陰険な振る舞いをします。武力や警察力あるいはやくざ力を利用してごり押しをしたり、あるいは、陰から手をまわし札束などを利用したりして、反対者をねじ伏せます。もしワタクシが推進者になれば、きっと、そういうことをすると思います。反対者は、信念のある人や失うものがない人以外は、暴力や金力に負けます。推進は簡単だから、小利口者でも臆病者でもできるが、反対の方は、かなりのりこうもんで、かなり勇気があり、かつ、長生き、この3つあるいはそれプラスαの人材がいて、仲間を増やし、人口百万人の地域なら九十万人くらいの人が「わしも反対」というようにしないと、成功は難しい。と、思う。


3月18日 カルデラ湖は深いか?

 受験生を脱し大学生さまになることの決まった若者たちが「ちゃきちゃきの受験生」だったころにくれた疑問を、少しずつ公開していきます。

 ぶんちゃんさん: カルデラ湖って深いんですか?

 お答え:

 ご存知のように日本で一番深い湖は田沢湖ですが、この湖はカルデラ湖です。火山の火口は一般に深いくぼ地で、カルデラのくぼ地すなわち火口原も外輪山に比べかなり低い。だから、そのくぼ地に水がたまってできた火口湖やカルデラ湖は一般に深いと言っていいでしょう。日本では、深い湖にはカルデラ湖が多く、広い湖には海跡湖が多いようです。琵琶湖は海跡湖ではありませんけど。また、世界で最も深いのはバイカル湖、2番目に深いのはタンガニーカ湖でして、これらは地溝に水がたまった断層湖です。だから、世界的に見るなら、深い湖と聞いたら断層湖と考えておけばいいでしょう。

 たぶん、どこか私の存じあげないところの模擬試験を復習してたときに浮かんだ疑問だと思います。一応、証拠を出したほうがいいでしょうから、理科年表に掲載されているおもな湖を、深い順に番号をつけ、成因で分けて表にしてみました。

 下の表で、「構造」というのは、断層運動や褶曲運動によってできたもので、たいていは断層湖と考えていいでしょう。琵琶湖も断層湖です。青木湖は、長野県の松本のずっと北にあります。青木湖とその南の木崎湖は、糸魚川・静岡構造線にある断層湖として有名です。海跡湖というのは、砂州や沿岸州が発達してむかし海だったところが湖になったもので、たいていはラグーンです。ただし、海跡湖には、もうひとつあり、地盤が隆起して陸地ができるとき海底のくぼ地がそのまま湖として残ったものも、海跡湖ということがあります。ただし、理科年表では、この意味の海跡湖は「構造」に分類されているので、考えなくていい。

 「堰止」というのは、土砂によって河川がせきとめられてできた湖で、下表にあがっているものは、火山が噴火して流れ出した溶岩流によってせき止められてできたものです。

 「火山」というのはたいてい火口に水のたまった火口湖です。御池は「みいけ」といい、九州の高千穂峰山麓にあります。京都の御池通りの「おいけ」ではありま温泉どすえ。間違えないでおくれやす(と言っても試験に出ません)。鰻池(うなぎいけ)も火口のくぼ地に水がたまったものですが、このくぼ地はマールです。一の目潟もマールですね。これは試験に出る。「まーるいマール」といいまして、マールは、円形の小さなくぼ地です。また、「おまるのマール」ともいいまして、おまるにおしっこの水がたまるように、マールにも水が溜まりやすいのであります。

 マールというのは、もとは何語かというと、ドイツ語です。火山をその形態によって分類し命名した人はどこのどいつかというと、シュナイダーという人なんですが、彼はドイツ人です。だから、火山地形の名称がドイツ語であるのはちっとも不思議ではありません。で、ドイツのどこにマールがあるかというと、ライン川の西、モーゼル川の北のアイフェル地方(ここここに写真があります)で、アイフェル単性火山群と呼ばれています。アイフェル単性火山群といっても、現在の火山ではなくて、むかしの火山です。ヨーロッパで活動的な火山があるのは、地中海沿岸とアイスランドだけです。

カルデラ 最大水深 堰 止 最大水深 構 造 最大水深 火 山 最大水深 海跡湖 最大水深
田沢湖 423.0 中禅寺湖 163.0  11 琵琶湖 103.6  14 御池 93.5  26 日向湖 38.5 
支笏湖 363.0 本栖湖 121.6  13 猪苗代湖 94.6  19 鰻池 56.5  36 小川原湖 24.0 
十和田湖 327.0 15 菅沼 75.0  18 青木湖 58.0  24 一の目潟 42.0  37 能取湖 21.2 
池田湖 233.0 16 西湖 73.2  30 水月湖 34.0  35 湯釜 30.0  38 サロマ湖 20.0 
摩周湖 211.5 17 大鳥池 68.0  38 久美浜湾 20.0 
洞爺湖 180.0 20 パンケ湖 54.0  40 網走湖 16.8 
倶多楽湖 148.0 21 丸沼 47.0  41 浜名湖 16.6 
10 屈斜路湖 117.0 25 ペンケ湖 39.4  43 阿蘇海 14.0 
12 沼沢湖 96.0 27 柳久保池 38.0  46 八郎潟 12.0 
22 阿寒湖 45.0 28 野尻湖 37.5  47 風蓮湖 11.0 
23 芦ノ湖 43.5 29 大平沼 35.5  48 北浦 10.0 
(水深の単位はm。)

 ついでですので、おおいに脱線しますが、最近、私のドイツ地理の師匠(わたくしがひそかにそう思っているだけで、ネット上でのおつきあいなので、ご尊顔を拝したこともメールのやり取りをしたこともない不思議な間柄)が、アイフェル地方にあるデュレン市の試験には出ない地理についてお話してくれたので、引用します。漢字をかな書きにするなど少し変えさせていただきます。( )内はわたくしが補いました。

 (ルール工業地帯で有名な)ルール地方は Ruhr(ルール川) からきていますが、デュレン市を流れるルール川は Rur と綴り、エッチ抜きです。

 両方とも同じような川ですが、かたや(Ruhrは)、大工業地帯の名称、かたや(Rurは)、ツュルピッヒ市をはじめとする製紙チェーン都市に水を供給し、フランス国境から来る羊毛糸布の染色業に水を供給してきました。

 ここはアイフェル地方といい、「ドイツ史を35年おくれて追っている」といわれている地方です。ここには、「エルツ」というお酒があります。アイフェルびとだけが美味しいというお酒です。

 「アイフェルびと以外がエルツの風下に立つとバタバタ死んでいく」、「フォン・ブラウンがロケット兵器V2号の打ち上げに成功したのはこのエルツを燃料にしたからだ」、「ナポレオンがロシアで敗北を喫したのは陰謀により司令部にエルツが献上されたからだ」、などのジョークがあります。(アイフェルは世界的に重大な事件がなぜ起きたかを説明してくれるお酒「エルツ」を生んだ)重要地域です。

 が、これもきっと試験にはでないでしょうね。

 師匠、(恐らく)曰く、「エルツを知らずして歴史を語るなかれ」。また、曰く、「アイフェルを知らずして地理を語るなかれ」と。「試験に出ない重要地名」についていろいろ話を広げたいという衝動を我慢して、話をもとに戻します。

 次に、世界のおもな湖について、水深の大きい順に並べてみます。「テクトニック」は「構造」と同じですが、日本の表の場合と異なり、断層湖とは限りません。

    最大水深 成因による分類 駄作ジオゴロなど
バイカル湖 1741m テクトニック(断層湖) 異(1)議なーし(74)、一番(1)深い! 
湖面標高456m。湖底は海面より低い。
タンガニーカ湖 1471m テクトニック(断層湖) アフリカで一番(1)深いよな(47)一番(1)。
アフリカ大地溝帯。湖面標高773m。湖底は海面より低い。
  カスピ海 995m テクトニック むかしの海の名残という意味で海跡湖というときもある。
面積最大。湖面標高−28m。塩湖にして内陸湖。
  ニアサ湖 706m テクトニック(断層湖) アフリカ大地溝帯。
  イシククル湖 702m テクトニック  
  グレートスレーブ湖 625m 氷河性 試験に出ない。
  タホ湖 505m 氷河性 試験に出ない。
  グレートベア湖 452m 氷河性  
  死海 426m テクトニック(断層湖) アフリカ大地溝帯の続き。湖面標高−400m。塩湖。内陸湖。
  スペリオル湖 406m 氷河性 面積2番目。
  マジョーレ湖 370m 氷河性 試験に出ない。
  レマン湖 310m 氷河性  
  ミシガン湖 281m 氷河性  
  チチカカ湖 281m テクトニック 湖面標高3812m。
  ボーデン湖 252m 氷河性  
  オンタリオ湖 244m 氷河性  
  ネス湖 230m テクトニック  
  ヒューロン湖 228m 氷河性  
  ラドガ湖 225m 氷河性  

まとめ:
 あー、疲れた。まとめは、なし(74)!で、いいよな(47)。

それにしても:
 北海道の、ペンケ湖、パンケ湖ってなんじゃ〜!! 変な名前ぇーっ!!!

時事放談:
 美丈夫さんの仲間が、美国の藪さんに「エルツ」を献上してたりして。


3月5日 ベンガル湾の謎−「とんでも珍説」にてお答えします−

 Gー爺さまの疑問です。

ベンガル湾は、大きさからすれば、the Gulf of Bengal とか、the Bengal Gulf と、言うべきだと思うが、なぜ、The Bay of Bengal と言うのか?

 さ〜らまんのお答え:知りません。

 なるほど、英和辞典で調べると、「Bayは、普通、Gulfより小さい湾をさす」、とあります。

普通名詞として使うときは、確かにそうなんでしょうが、地名の場合は、一度定着してしまうともう変えようがないので、そういう一般的な傾向にあてはまらない例も多いのかもしれません。そういうことは、bayとgulfに限らずあって、たとえば、カスピ海とかアラル海は、カザフスタンやトルクメニスタンが何と言おうと、地形的には湖に決まっているが、名前は「海」だ。ベンガル湾だって、BayかGulfか、と言うより前に、そもそも湾とは名ばかり、seaと呼ぶほうがいい。

 それはさておき、確かに変なので、他の国の地図も見てみました。そしたら、

 ドイツ語の地図では:  bay に当たる Bucht を使った Bucht von Bengal ではなく、gulf に当たる Golf を使って Golf von Bengalen
 フランス語の地図では:bay に当たる baie を使った  Baie du Bengale  ではなく、gulf に当たる golfe を使って Golfe du Bengale

おやぁ〜!ですね。海賊国家イギリスだけが変な言い方してます。まぁ、地図ではなく文章では、ドイツでもBuchtを使ったり、英語でもgulfを使ったりしているようですが。

で、bayでもgulfでもいいが、そもそもいつからベンガル湾と呼ぶようになったのかを調べようと、古地図をいろいろ見たところ、

 西洋の古い地図で、インドよりも東の東南アジアが描かれた最初のものは、プトレマイオスの地図(→プトレマイオス系統の地図の一例)らしい。
この地図では、インドに東に、マレー半島が「オーレア・ケルソネーソス=黄金半島」(AUREA CHERSONESUS)という名で描かれているが、その東に「マグヌス・シヌース=大湾」(MAGNUS SINUS)が、マレー半島とインドの間に「ガンジス湾」(SINUS GANGETICUS)がある。
 ただし、インドの形はきわめて不正確で、インド半島の突出がほとんどなく、南にセイロン島にあたる「タプロバネー島」(TAPRO BANA)が、やけにばかでかく描かれている。

 西洋の古い地図で、インドの形が逆三角形の半島になっているものに、1385年の「カタロニア図」Catalan Atlas)と呼ばれるポルトラノ型世界図がある。作者は、マリョルカ島在住のユダヤ人、アブラハム・クレスケスという人。
 ただし、カタロニア図は、インドの形はいいが、インド以東がむちゃくちゃで、ベンガル湾にあたる湾入がない。

 西洋の古い地図で、インドの形が三角形になっており比較的まともで、かつ、インドの東に湾入のあるものとしては、「カンティーノの地図」Cantino's world map, 1502)が早い時期のものだ。カンティノの地図と呼ばれているが、作ったのはカンティーノではなくて、ポルトガルの地図製作者が作った地図を、イタリア人のスパイであるカンティーノが、1502年9月中旬から10月中旬の1ヶ月の間に盗写したものらしい。地図の左下隅に「インディアスの諸地方で近年発見された島々への航海のための海図(Carta de navigar per le Isole nouam tr[ovate] in le parte de India: dono Alberto Cantino al S. Duca Hercole )」と書かれているように、この地図には、ガマが1498年にインド航路発見を達成して以降(といっても5年とたっていないが)に、ポルトガルが得たインド情報が反映されている。そのため、アフリカはもとより、インド洋付近も、東はマレー半島あたりまでが、以前にくらべ正確に描かれるようになったのだ。なお、プトレマイオスの地図を継承している点は、黄金半島が描かれていることなどで、東に移動しているがタブロバネー島Taporbana(セイロン島ではなくスマトラ島にあてているようであるが)も描かれている。
 ただし、カンティーノの地図には、シンガポールBar Singapur やマラッカMalachaなどの地名はあるようだし、インド西海岸の地名Cambaya, Calecutもあるようだが、ベンガル湾にあたる湾入部に地名が書いてあるのかどうかよくわからない。

 西洋の古い地図で、インドの形が比較的まともで、かつインドの東に湾入があり、かつ、そこに地名があるものとしては、「ヨハン・ルイシュの世界図」Johannes Ruysch world map from Ptolemy,1508)がある。
 ただし、これもプトレマイオス系統の地図で、ベンガル湾にあたる湾入に書かれている地名は、ベンガル湾ではなく、プトレマイオスの地図と同じく、「ガンジス湾」(SINUS GANGETICUS)である。この点は、15〜16世紀に作られたプトレマイオス系列の地図のすべてに当てはまる。この地図でも、ベンガル湾の中に「ガンジス湾(Sinus Gageticus)」の文字があり、そのずっと東に「大湾(Sinus Magnus)」の文字もある。

 そして、西洋の古い地図で、「ベンガル湾」が地名として登場するのは、まさにこの16世紀、すなわち、ベンガル湾が湾入して描かれるようになった16世紀である。

 ベネチアで出されたRamusio,1550を見ると、「GOLFO DE BENGALA」すなわち「ベンガル湾」が書かれている。

 あまりにも有名な1569年のメルカトルの世界地図はよく見ていない。

 メルカトルと同時代で彼と親交のあったオルテリウスの大地図帖『地球の舞台』(Theatrum orbis terrarum,1570)を見ると、世界地図にはベンガル湾のところに海の地名らしきものはないが、アジアの地図に、ちゃーんと、あります。「GOLFO DI BENGALA」が、すなわち、「ベンガル湾」です。

 オランダの航海者リンスホーテンはポルトガルの海図などで得た知識をもとに1595年に『イティネラリオ』という本を著したらしいが、1996年の地図にも、「GOLFO DE BENGALA」という地名があります。そして、このリンスホーテンの地図には、たいへんおもしろいことに、この「GOLFO DE BENGALA」という地名とプトレマイオス系列の地図にある「SINUS GANGETICUS」という地名が並べて書いてあるのです。

  17世紀オランダ最大の地図出版者ブラウ一族の二代目コルネリウスの大地図帖(1662)にも「GOLFO DE BENGALA」と「SINUS GANGETICUS」が併記されているようです。

 同じ17世紀にオランダで出たJanssonius の地図(Sinus Gangeticus, Vulgo Golfo de Bengala,1655年)にも、「GOLFO DE BENGALA」と「SINUS GANGETICUS」が併記されています。

 というわけで、ここまでで、二つのことがわかってしまったのだ。

その1:西洋の古い地図に「ベンガル湾」という地名が登場するのは16世紀で、それは、ガマ以降のポルトガル人が命名したらしいこと。

その2:少なくとも16世紀末〜17世紀の地図には、プトレマイオス系列地名の「SINUS GANGETICUS」とポルトガル人の命名地名の「GOLFO DE BENGALA」や「GOLFO DI BENGALA」が併記されたものがあること。

 このうち、「その1」は、当たり前田のクラッカーで、驚くほどのことはない。

 愉快なのは、「その2」だ。

インド東部の海は、なんてったってプトレマイオスさんの命名だろうから、「SINUS GANGETICUS」(ガンジス湾)と呼ばれるのが正統派であり、「GOLFO DE BENGALA」や「GOLFO DI BENGALA」(ベンガル湾)は遠慮しぃしぃ呼ばなければならないのであったが、現実には、プトレマイオス地名は地図に書かれる地名、まあ、権威付け地名にすぎず、現実にはベンガル湾というポルトガル命名地名が定着していた。

 というだけじゃ、おもろない。想像とでたらめの推理を働かせれば、次のような珍説を思いつくのは自然のなりゆきであります。すなわち、

その2からの珍説1:インドの東の海は、世情に通じている人にとっては「ベンガル湾」以外の何ものでもないのだが、実情を知らず地図だけ見て、インドの東の海は「SINUS GANGETICUS」(ガンジス湾)で、その奥の狭い部分だけを「GOLFO DE BENGALA」または「GOLFO DI BENGALA」(ベンガル湾)と呼ぶのだと勘違いする人がかなりたくさんいた。

珍説1から派生する珍説2:その勘違いは、当時の後進の田舎国家にしてのちの海賊国家のイギリス人が受け継ぎ、さらに誇張された。すなわち、イギリス人は、ガンジス湾の奥の狭い部分だけをベンガル湾と呼ぶと思ったので、そんな狭い部分を「Gulf」と呼んではいけないと思い、「Bay」にしてしまった。

この珍説2を確かめるには、イギリスで出た古い地図を見なければなりません。そこで、

英国で1617年に出た地図1625年に出た地図を見ると、発行はロンドンでも、実は、オランダなど大陸で出た地図をまる写しにしたものなので、地名は「GOLFO DE BENGALA」だ。

次に、同じくロンドンで発行された1670年の地図を見ると、おやおや!!である。
インドの東の海には、「Oriental Indian Ocean」(東インド海)という英語地名があり、その奥のガンジス河口に、「Gufl of Bengal」らしき(小さくてよくわからない!が、そうあってほしい!と思う私)地名があるじゃありませんか!!!(影の声:その小さい字は「Golfo de Bengala」みたいですよ。」影の声に対して小声で:「それでもおもしろいと思いますが。。。」)

 珍説2が、真実味を帯びてきましたよ。

で、同じ頃、フランスで出た1863年の地図を見ると、「Le Grand Golfe」という地名があります。これは、ベンガル湾をさすのか、プトレマイオスの地図でマレー半島の東にあったマグヌス・シヌース=大湾」(MAGNUS SINUS)をさすのか? 「Le Grand Golfe」という地名は、名称からすれば「マグヌス・シヌース」の訳だが、位置は、その南にある「Mer de L'Inde」という海に続いているからベンガル湾にあたります。

と、ここまでくると、もはや、珍説2は意外にも「とんでも珍説」ならぬ「これぞ真説ベンガルベイ」に化けそうになってまいりました。

 インドの東の海は、「東インド海」(Oriental Indian Ocean)または「大湾」(Le Grand Golfe)なのでありまして、しかし、他にも「ベンガル湾」(GOLFO DE BENGALA)という地名もあるから、当時の田舎国民のイギリス人は、海外伝来のすべての知識に整合性をもたせるために、ベンガル湾の奥を「the Bay of Bengal」と呼んで、「SINUS GANGETICUS」(ガンジス湾)や「Le Grand Golfe」(大湾)の一部ということにしたわけだ。

 ところが、英国もインドの海に出かけるようになると、「ガンジス湾」とか「大湾」などと呼ぶ人は誰もおらず、みんなが「ベンガル湾」と呼んでいることがわかってきた。そうなると、ガンジス湾や大湾の英語名として一度は作ってみた「Oriental Indian Ocean」(東インド海)などという地名は無用の長物になる。

 かくして、イギリスはヨーロッパの大都会国の大英帝国に成長していくのであるが、その過程でイギリス人も次第に世情に明るい国民になっていく。実情に合わせ、インドの東の海域全域を「ベンガル湾」と呼ぶようになっちゃった(17770年のもの)のさ。ところが、一度「Bay」にしてしまったものを、あとから「Gulf」に直すわけにもいかないので、BayはBayのまま残ったというわけだったとさ(そうなってから現在に至るまでだから、例はいっぱいあります。1752年のもの1814年のもの1832年のもの1838年のもの1842年のもの

 で、フランスではどうかというと、ガンジス湾と書いてある地図(1684)ベンガル湾と書いてある地図(1686年)が混在したり両方並存の地図があったりしていて、その頃になると、やはり、机上の勉強家が増えてきて、「ベンガル湾」は、プトレマイオスの地図にある「ガンジス湾」とどう関係あるんだ!どっちが正しいんだ!なんていう人が出てきたために、ご親切にも「インド・ガンジス湾、今日でいうところのベンガル湾」(Golfe de L'inde Gangetique Aujourd'huy Golfe de Bengala)などと書いてくれてある地図(1684年)1686年)なども登場するのであります。

 てわけで、「the Bay of Bengal」と「Oriental Indian Ocean」の両方が記されている地図があれば、珍説2が真説であることは、もう決まりなんですけどね。ところがどっこい、そうは問屋が卸さない!!なんぼ、夜を徹して探しても、そういう地図はない。無念。でも、この駄文の最初にリンクした、1892年の地図にはSEA OF BENGAL と BAY OF BENGAL が併記され、さらに、 INDIAN OCEAN も書いてある。インド洋の一部にベンガル海があり、その一部にベンガル湾があるということになっているから、ここらあたりが珍説2の証拠ということになるかもしれない。まあ、そうはいっても「とんでも珍説」は、「これぞ真説」に化けることなく、「やはりでたらめです珍説」にとどまりそうであります。

 以上、でたらめ。おしまい。

付言1:織田武雄・大大大大大大先生の『地図の歴史−世界篇』(講談社現代新書)を参考にしました。ただし、この本には、上記のような珍説やでたらめは書いてありません。

付言2:16〜17世紀のヨーロッパの地図にみられる地名の混乱は、プトレマイオスと大航海の邂逅によるものですな。愉快です。
 このような邂逅は日本の中世〜近世の仏教系世界図にもみられます。日本の場合は、プトレマイオスではなく、仏教的世界観をもとに築いてきた三国世界観(これについては、応地利明・大大大先生の『絵地図の世界像』(岩波新書)が必読。名書評はここ)で、こいつが、西洋伝来の知識と出会って、さまざまな地図を生みます。
 仏教的世界観とは、世界は須弥山を中心として立体に広がっているとするもの。仏教系世界図とは、仏教で人間の居住世界とされる南瞻部洲(なんせんぶしゅう)を北広南狭の形(逆三角形)で描いたもの。日本の現存最古の仏教系世界図は、『大唐西域記』の記載を地図化した法隆寺蔵の「五天竺図」(重懐書写。貞治3年(1364))。三国世界観とは、世界は、本朝(日本)・唐土(中国)・天竺(インド)からなるという世界像。近世になって、西洋から世界の事情が伝わると、西洋伝来の知識を、伝統的三国世界観・仏教的世界観と調和させようとする動きがあり、いろんな変形地図が作られた。鈴虫寺を開いた鳳潭(ほうたん)が浪華子という筆名で描き1710年に刊行された「南瞻部洲万国掌菓之図(なんせんぶしゅうばんこくしょうかのず)」(神戸市立博物館、京都大学総合博物館、京都外国語大学付属図書館、筑波大学図書館、東北大学理学部自然史標本館、国土地理院等に所蔵)はその代表例で、『図説地図事典』(武陽堂)p108の写真で見ると、この地図の左上(だから北西部分)には、ヨーロッパの国々が群島状に描かれ「エウロパ」などの地名がある。ここ(5-5)やここここ(ヨーロッパの拡大図です)ここも見てください。「エウロパ」の文字は、ネットでみるより、応地利明・大大大先生の『絵地図の世界像』(岩波新書)がp186掲載の図が鮮明です。本屋へ行って買いましょう!


2月25日 アルゼンチンの植物性油かすの謎

 ラセルくんからの疑問です。

ラセルくん:アルゼンチンの輸出品にある「植物性油かす」って何ですか?

さ〜らまん:大豆の絞りかすかなんかで、ヨーロッパやアメリカへ飼料用として輸出されるんだと思います。日本も買っていたりして。

と、お答えしましたが、輸出先にはちょいと自信がなかったので、調べてみました。以下、お勉強の成果です。

植物性油粕: 大豆、菜種、綿実、向日葵、落花生、パーム、コプラ核など、植物油精製時に産出される油粕。
飼料業界では一般的に植蛋と呼ばれている。
主原料である穀類とともに混合、配合されて飼料(濃厚飼料)となる。
特に脱脂大豆を加熱乾燥、ミール/フレーク状に加工した大豆粕は、植物性油粕のなかで 最も蛋白質の含有率が高い。
使用量では、大豆ミール(飼料用脱脂大豆粕)が最も多く、次いで、菜種粕(カノーラ・ミール)。

ふむふむ。

 まず、主な産地と主な輸出地域を調べて下の表を作りました。空白のところは調べがついていないところです。

 次に、消費量の最も大豆ミールについて、生産の多い国(アメリカ、ブラジル、中国、アルゼンチン、インド)の生産量と輸出量、および消費の多い国・地域(アメリカ・EU・中国・ブラジル)の消費量を調べて、左の図を作りました。統計数値は、アメリカ農務省穀物需給統計からとりました。
  主な産地 主な輸出国 日本の主な輸入先
大豆ミール アメリカ、ブラジル、中国、アルゼンチン アルゼンチン、アメリカ、ブラジル、インド インド、アメリカ、ブラジル
菜種粕 中国、欧州、カナダ、インド カナダ、欧州  
綿実粕     オーストラリア、アメリカ、中国、フィリピン
向日葵油粕      

 中国は生産量は多いが国内消費が多いため輸出量は少ない。アメリカ・ブラジルは世界的な輸出国ではあるが国内消費の余剰分を輸出するという感じである。これら3国に対し、アルゼンチンは生産量のほとんどを輸出しています。大豆ミール消費の推移を示しましたが、アジアの伸びがすごい(左下のグラフです)。中国での消費が増えているのでしょうな。

 次に、日本について調べてみたところ、80%くらいが国内生産ですね。ただし、国産といっても、油粕の輸入が少ないだけで、油を絞る前の大豆はほとんど輸入しているのから、もとをただせば輸入なんでしょうけど。

 で、日本の大豆ミール輸入先ですが、アルゼンチンからの輸入は少なく、アメリカやインドからが多い(下の表です)。

 日本の大豆ミール供給量
(国内生産+輸入)
1985 1990 1995 2000
合計 316.9 347.9 371.1 365.4
国内生産量計 303.5 283.7 286.0 285.4
輸入量計 13.4 64.2 85.1 80.0
アルゼンチン 0 0 7.5 0.7
インド産 0 0.6 9.5 32.7
アメリカ産 0.5 1.7 28.7 24.5
ブラジル産 8.8 0 9.3 16.0
中国産 4.1 62.0 30.0 1.2
その他輸入 0 0 0.1 4.9

今回は図入りですごいね。図がきれいでしょう。いつのまにこげな技を身につけたの?といぶかるむきもあるでしょうが、
実は、山師(相場屋さん)サイトにあった図をパクって、それをベースに、統計数値を入れたりなんやらして作成したのです。

 アルゼンチンの植物性油粕は大豆ミール以外にも向日葵油粕もありそうな気がしますが、量的に多そうな大豆ミールから類推するに、アルゼンチンの植物性油粕の主な輸出先は、欧州、とくに、EUであるといっていいでしょう。ヨーロッパの消費は、アジアほど伸びてはいませんが、狂牛病はやりですから、動物性の飼料はいかんということになり、今後、需要が伸びるかもしれません。

 なお、ひまわりについては、疑問発見掲示板(2002年7月9日)で、HN塚原直也さんが話題にしています。再掲載しますと、

塚原直也さん:

食用農作物において新大陸原産といったらほとんどがラテンアメリカ原産で、唯一ひまわりだけがアングロアメリカ原産らしいですね。早稲田だけが使ってくるネタだと聞きました。
さ〜らまん:

早稲田は早稲田でも、原産地が好きなのは、政経ですね。そこで、記憶を辿って調べましたら、1993年の第5問。
  「日本では一般に炎天下にそだつ観賞用植物として知られているが、世界的には油の原料として・・・」
選択肢にある観賞用植物らしきダミーはナタネとチューリップ。くだらん問題だ!(早稲田の政経の地理問題に対して偏見を持っている私)それはさておき、で、なぜ、突然、「ひまわり」なんでしょうか? 「今日は暑かった」からでしょうか?

 ついでに、ひまわり(種子)の生産上位国(2000年)。出典:下記URL。早稲田の政経も含め、大学入試には、まず出ないでしょうが。

 ロシア 7,891  アルゼンチン  3,200  フランス  1,824  中国 1,800  アメリカ 1,626 

ロシア、中国、インド、フランスぐらいの順かな、と思ったが、アルゼンチンが2位(1998年は1位らしい)とは意外でした。5位以内ではないがウクライナも多く(1998年は4位)、ロシア・ウクライナ南部のひまわり栽培はまれに試験に出ますね。

 で、突然ですが、アメリカのカンザス州はひまわり州と呼ばれており、ひまわりは州の花だそうです。カンザス州と言えば、冬小麦の大産地ですが、ひまわり畑もあるようです。そして、小麦栽培は、1870年代にウクライナから移住した人たちが、カンザスの自然環境が故国ウクライナに似ていることから植えたのが始まりだとか。

へぇ〜、とすると、「小麦(原産地は西アジア)はウクライナからカンザスへ、ひまわりはアメリカから旧ソ連へ」なんだー。

なお、下記URLのサイトのオーナー(社団法人日本植物油協会)さまは、“植物油生産大国はサッカー強豪国”という大発見仮説を提出していらっしゃいます。

http://www.oil.or.jp/bn/html/24/index.html


2003年2月16日 日本の自動車工業都市

 先日、昼過ぎまで布団の中で惰眠をむさぼっていたら、メガスルドイ君からまたまた疑問が舞い込んだ。なんせ、惰眠中だったのでボケボケで、あとから考えるに、脳みその中にブラジル線虫が住みついた感じで、どうやら天使の囀りを聞きながらお返事していたようです。

メガスルドイ君:倉敷市の工業で、輸送用機械って何?

ボケボケさ〜ら:くるま (ボケてるから、漢字変換ができない)

メガスルドイ君:その車作ってる会社は?

ボケボケさ〜ら:あふらまづだ (なんか勘違いしている)

メガスルドイ君:それって広島じゃないんですか?

ボケボケさ〜ら:広島だからマツダです (なんか勘違いしている)

メガスルドイ君:倉敷ですよ! 

ボケボケさ〜ら:水島かな

メガスルドイ君:倉敷だから、工場は水島にあるかもしれませんが。 

ボケボケさ〜ら:水島ならミがつくから三菱

メガスルドイ君:どっちなんですか? 車であるのは確かなんですね。

ボケボケさ〜ら:そうです、車です (だんだん目が覚めてるが、なんか勘違いしている)

というわけで、おわかりと思うが、メガスルドイ君は、ボケボケさ〜らに愛想をつかして、以後、音沙汰なしだ。 というのは、お得意の真っ赤なウソで、以後も鋭い疑問をいっぱいくれる。あっ、そうそう。 私の駄文には、しばしば会話文が挟み込まれているが、たいていの場合、会話の内容は、私、さ〜らまんがでっちあげたものであって、本当にそういう会話やメール交換があったわけではありませんのでご承知おきください。なんてことは、大方の人は気づいていると思うが、念のため。

 そこで、さ〜らまんは、汚名挽回! おっと、失礼!間違った! 汚名返上! 自動車工業都市便利帳(下表)を作ってお詫びすることにした。ただし、この表は、『県勢』2003年版と経済産業省の工業統計表から作ったから、そちらを見た方が早いしわかりやすいです。

自動車・自動二輪車の組立工場のある都市 →香川県自動車振興会様のOASISサイト(注)にある自動車メーカーリンク集
輸送用機械
出荷額順位
(2000年)
輸送用機械
器具の出荷額
(億円)
各県における製造業出荷額
1位〜3位の品目
組立工場
所在都市
組立工場を
おく会社
そこに本社
をおく会社
愛知県 155,334 普通乗用車、その他の自動車部品(含む二輪)、軽・小型乗用車 豊田市 トヨタ トヨタ
        田原町 トヨタ  
名古屋市 三菱  
岡崎市 三菱  
豊川町 スズキ  
神奈川県 41,602 普通乗用車、ガソリン、モス型IC 横浜市   日産の本店
        川崎市 いすゞ・三菱  
藤沢市 いすゞ  
横須賀市 日産  
静岡県 41,360 駆動・伝導・操縦装置部品、軽・小型乗用車、
その他の自動車部品(含む二輪)
浜松市 ホンダ スズキ
        磐田市 スズキ ヤマハ
湖西市 スズキ  
埼玉県 21,130 医薬品製剤、平板印刷物、普通乗用車 狭山市 ホンダ  
        上尾市 日産ディーゼル 日産ディーゼル
群馬県 20,950 軽・小型乗用車、トラック、その他の自動車部品(含む二輪) 太田市 富士重工  
        伊勢崎市 富士重工  
三重県 19,648 軽・小型乗用車、液晶素子、シリコンウエハ 鈴鹿市 ホンダ  
広島県 17,884 普通乗用車、その他の自動車部品(含む二輪)、モス型IC 府中町 マツダ マツダ
東京都 15,063 平板印刷物、パーソナルコンピュータ、書籍      ホンダ
いすゞ
三菱
日産
        日野市 日野  
羽村市 日野  
福岡県 12,981 普通乗用車、軽・小型乗用車、ビール 苅田町 日産  
        宮田町 トヨタ  
10 栃木県 10,778 普通乗用車、たばこ、医薬品製剤 上三川町 日産  
        高根沢町 ホンダ  
11 岡山県 9,928 軽・小型乗用車、ガソリン、モス型IC 倉敷市 三菱  
12 大阪府 8,738 医薬品製剤、平板印刷物、ガソリン 池田市 ダイハツ ダイハツ
13 兵庫県 8,562 医薬品製剤、清酒(濁酒をj含む)、携帯電話・PHS電話 明石市 川崎 川崎
14 京都府 7,372 たばこ、自動車用ガソリン機関、ゲーム用カセット 大山崎町 ダイハツ  
15 滋賀県 6,868 その他の電子部品、電子計算機・同付属装置の部分品等、
医薬品製剤
竜王町 ダイハツ  
16 岐阜県 6,102 医薬品製剤、家庭用テレビゲーム、ビデオカメラ      
17 山口県 4,948 ガソリン、普通乗用車、医薬品製剤 防府市 マツダ  
18 熊本県 4,382 モス型IC、KDセット(自動二輪車)、その他の半導体製造装置 大津町 ホンダ  
19 福島県 3,397 たばこ、ビール、医薬品製剤      
20 北海道 3,229 素干・塩干・煮干・塩蔵魚介類、駆動・伝導・操縦装置部品
その他の水産食料品
     
注:OASISは自動車整備業界のニューイメージだそうです。
  ちなみに、地理の入試問題では、ごくごくまれに、小島嶼国連合(Alliance of Small Island States)という組織が出ますが、この組織の略称は、AOSISです。OASISと間違えないようにしてください。地球温暖化がらみの問題で、AOSIS提案というのが話題になる場合があります

2003年2月15日 京都府と宮城県のDID人口割合の違いがわからん!の謎

不思議なこともあるもんだ。ある筋のお方から、

 大都市圏ほどDID人口割合が高い理由がわかりません!

という疑問というか苦言というかが来た。

 ん? そんなの常識です。何がわからないかわからない。当たり前です。都会と田舎の違いです。

としか、答えようがないから、そう答えたら、

 京都より宮城が低いのが納得いきません。宮城には、大都会、仙台があるんですよ。

と来た。

 ん? 京都にも、大都会、京都があるんだが。。。

 DIDは人口集中地区の略で、きちんとした定義があり、それは調べてもらえばわかる。まあ、おおざっぱな物言いをすれば、都会っぽいところ、人間がごみごみと密集して住んでいるところだ。
 都市の人口が異様に増えて、大都市やら都会的なところ誕生する。大都市が誕生したり都会的なところが増えれば、そういうところの人口比率が高まる。だから、大都市のある県のDID人口割合や、大都市が近くにあり住宅地化が進んでいる県のDID人口割合が高いのは当然である。

 京都府南部は京阪神大都市圏の中心に位置し、そこは都会的です。京都府の人口は南部に集中しているから、府全体としても都会的な南部の特徴が出て、全体として都会的な性格の強い県になります。一方、宮城県は地方に位置するから田舎的! 悩む必要ありません! 田舎的性格が強いとしてください。仙台は大都会かもしれないが、なんてたって、杜の都ですから森が多いんです!というのは半分冗談だが。

などと、切って捨てるように答えようかと思ったが、どうしてそんな悩みが出てきたのか考えてみた。

なるほど、宮城県には東北の中心都市、仙台市があるので、仙台への集中度が高いと考えるのは、常識はずれというわけでもない。また、京都府には京都市のほかに都会っぽいところがないから、農村に住んでいる人も多いと考えるのもそう変ではない。

で、内々に調査したところ、京都府よりも宮城県のDID人口割合が高いと思っている人が予想外に多いようだ。

 そこで、ちょいと表を作ってみた。

都会がいばってる?県、ごみごみしたところに住みたがる人の多い県
DID人口
割合(%)
人口密度 1位の都市
の人口
2位都市
の人口
3位都市
の人口
4位都市
の人口
5位都市
の人口
東京都 98.0 5516.5 8,134,688 536,046 377,494 226,769 204,758
大阪府 95.7 4651.7 2,598,774 792,018 515,094 402,586 391,732
神奈川県 93.6 3514.9 3,426,651 1,249,905 605,561 428,645 379,185
京都府 81.5 573.3 1,467,785 189,113 94,553 94,060 84,347
埼玉県 78.2 1827.1 1,024,053 460,027 330,766 308,307 224,977
愛知県 74.8 1366.1 2,171,557 364,856 351,101 336,583 287,619
兵庫県 74.3 661.4 1,493,398 478,309 466,187 438,129 293,122
北海道 72.7 72.5 1,822,368 359,536 287,648 191,474 173,033
千葉県 70.8 1149.4 887,164 550,047 464,841 448,642 327,851
10 福岡県 69.2 1009.0 1,341,470 1,011,471 236,529 138,635 105,146
11 沖縄県 64.7 580.4 301,032 119,699 102,746 86,745 61,080
12 奈良県 62.9 390.9 366,185 125,016 112,858 94,208 73,663
13 広島県 62.8 339.6 1,126,239 378,789 203,147 123,418 92,592
14 静岡県 58.1 484.3 582,095 402,751 236,822 234,192 207,565
15 宮城県 57.2 324.7 1,008,130 119,796 72,965 67,200 61,550
田舎がいばってる?県
DID人口
割合(%)
33 和歌山県 39.8
34 群馬県 39.6
35 鹿児島県 38.6
36 富山県 38.3
37 福島県 37.6
38 茨城県 35.8
39 山梨県 34.7
40 長野県 34.4
41 秋田県 33.5
42 香川県 32.6
43 島根県 32.1
44 徳島県 31.6
45 岩手県 29.5
46 佐賀県 27.9
47 島根県 24.8
* 北海道と沖縄県は地方で例外的にDID人口割合が高い。北海道の場合は、新大陸型性格を持ち、
 都市人口率が高い。沖縄は農業(工業もだが)のふるわない県である。
* 北海道を含め、百万都市あるいは政令指定都市のある県はみなDID人口割合が高く、それらは、
 大都市県内の府県、または地方中枢都市のある県である。
* DID人口割合の低い県は田舎の県である。大都市圏内の県も登場するが、大都市圏の縁辺部に
 位置し、多くの人が、ごみごみした町中ではなく、農村部でゆったりと暮らしているのかもしれない。

 なるほど、なるほど。やはりそうであったか。DID人口割合や市部人口割合だけを見れば、京都府と宮城県には雲泥の差があるが、両県の都市システムは一極集中型で、それぞれ、京都市、仙台市に人口が集中し、第2位以下の市の人口がきわめて少ない。京都府といえば京都しか、宮城県といえば仙台しか知らないので、残りはみんな農村に住んでいて、ともにDID人口割合が低いと考えたのかな? で、どっちがどっちかわからなくなり、頭が混乱してしまったのかしらん? 京都府南部は大都市圏にあるけれど、中北部はたいへんな田舎で、府全体の人口密度は、東京近郊の神奈川・埼玉・千葉に比べるとかなり低い。これも混乱の理由かな。

 というわけで、京都府と宮城県を区別させると、たいへんな難問になるということがわかった。

DID人口 市部人口 府県人口 府県の
人口密度
市の数 1位の市
人口割合
2位 3位 4位 5位
京都府 81.5 87.3 2,464,331 573.3 12 59.6 7.7 3.8 3.8 3.4
宮城県 57.2 65.7 2,365,204 324.7 10 42.6 5.1 3.1 2.8 2.6

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