[Home]-[以前のひとこと]-[2021年2月後半]

以前の「ひとこと」 : 2021年2月後半



2月16日(火) 正方形の展開図11種の格子上の非接触パッキング(その2)

 今日は昨年の6月に「第1回」を書いたトピックの第2回です。ずいぶん間があいてしまいました。



 昨年の5月に共通点を持たないポリオミノという話題をご紹介していました。その後、6月に正方形の展開図11種の格子上の非接触パッキング(その1)を書きました。そこで、こんな風に12×12の枠の中に、11種類の立方体の展開図のかたちのヘキソミノを辺も頂点も互いに共有しないようにパッキングしてください、という問題を出していました。(下の図は10個まで入れたところです。)

 これ、11個目がどうしても入らなかったので、BurrToolsで解かせてみたのです。今日はその話をご紹介します。



 「辺も頂点も共有しない」という条件をBurrToolsで実現するために最初に考えたのはこんなタイルでした。

 もともとの正方形を 2x2 の4つの小さい正方形で表すことにして、周囲を小さい正方形で囲ってみたのです。これを11種類用意して、これでタイリングすれば解が求まるだろう、と思いました。ところがこれだと時間がかかりすぎてダメでした。



 よく考えてみたら、ここまで単位正方形を小さくする必要はなかったのです。「ひとまわり太らせる」のであれば、これで十分でした。

 これならばピースを構成する正方形の数は14なので、だいぶ探索空間は狭くなります。4時間半ほど計算したら、こんな解が出てきました。(ぱっと見て解がわかりにくいと思うので図を載せてしまいます。)

 これをヘキソミノの非接触パッキングの図にしたものをこちらに用意しました。この解が得られてとても嬉しくなりました。他の問題もいろいろ試してみることにしました。

(つづく)



 摩訶不思議な「クラインの壺」に入れる場所が、川崎にあるらしいという記事がありました。発見工房クリエイトという団体の遊具だそうです。

 「発見工房クリエイト」のスタッフの方が以前ワークショップにご参加くださったことがありました。そして、その内容の一部を「発見工房クリエイト」のワークショップで使ってもいいですかというお申し出をいただき、ぜひ取り上げてくださいとお話をしたことがありました。

 一度お伺いしてみたいと思いつつ、それが叶わないまま今日に至っております。特にクラインの壺のかたちのジャングルジムは魅力的です。万一事故とか急病とかが出たら、下の黒い網になっているところを切れば助け出すこともできそうで、安全面でも良い設計だなと感心します。



 こんな記事を読みました。私の職場も以前よりはだいぶ女性が増えてきましたが、それでも2割くらいでしょうか。時代が変わり、価値観も変わり、そしてその時代、その世代ごとにそれぞれ異なる「大変さ」があるのだな、と思います。私は自分の考え方や価値観に口を出してほしくないので、他の人の考え方や価値観には極力口を出さない主義ですが、そのこと自体が非難の対象になったりしたことも過去にはありました。若い世代が今後もっと幸せになる国になるといいなあと心から思います。

 リンク集に、瀬川ふみの記事一覧を追加しました。

<おまけのひとこと>
 2月も後半になりました。ここ数か月、社外の業界団体に関わり始めてとても忙しくなっていますが楽しいです。今日も終日Net会議です。






2月17日(水) ペントミノの格子上の非接触パッキング(その1)

 ポリオミノ(正方形を連結したかたち)の格子上の非接触パッキングの続きです。



 ポリオミノのパズルと言えば、王道は何と言ってもペントミノでしょう。(リングは2014年5月1日の「ペントミノで遊ぶ」の回です。)

 このペントミノ12種類1セットでも非接触パッキングを試してみました。1つ例を挙げます。

 これは 9x14=126 マスの長方形にペントミノ12種類を辺も頂点も共有しないように配置した例です。途中までしか計算していないのですが、解は少なくとも50種類以上は見つかっています。他にはこんな解こんな解なども見つかっています(別窓で開きます)。

 普通の隙間の無いペントミノのパッキングでは、面積が60の長方形、3x20、4x15、5x12、6x10 にそれぞれ複数の解があります。隙間がないので面積はいずれも60です。非接触パッキングの場合は隙間の数が変わります。できるだけ隙間が少ないほうが難しくて美しいと思います。ほかの枠についても調べてみることにしました。

(つづく)



 ブロックスという傑作ボードゲームがあります。我が家にも1セットあります。(写真は2006年7月9日に掲載したものです。)

 ペントミノの非接触パッキングを試すのにこのボードとピースは使いやすいと思います。お持ちの方、試してみてはいかがでしょうか。



 昨日、発見工房クリエイトの遊具について書かせていただいたら、以前、発見工房クリエイトの科学教室で菱形六面体で教材として使って下さったSさんからメールを頂きました。たいへん嬉しく拝見いたしました。ありがとうございます。

 残念なことに科学館は休館されてしまっているとのことです。でも科学教室はオンラインで継続されていらっしゃるということで頭が下がります。昨年末にリスーピアも閉館してしまい、私も今後ワークショップ活動ができるかどうか心当たりはないのですが、こういった活動は将来の世代が暮らす環境が少しでも良い方向に向かうために継続できたらいいなあと思っています。

 また、今は移動も難しいですが、行かれるうちに行きたいところには行っておくということが大切だなと思っています。遊具というのもだんだん古くなると危険になってきて維持管理には費用がかかるので、クラインの壺のジャングルジム、外からでいいので本物を見ておきたいなあと思います。もはや自分で上ったり中に入ったりすることは難しいと思いますが。



 話し言葉を手話に自動変換 なめらかな生成を実現──英研究という記事を興味深く読みました。手話というのは英語で Sign Language というのですね。元論文のProgressive Transformers for End-to-End Sign Language Production(Ben Saunders, Necati Cihan Camgoz, Richard Bowden) の最初の版は昨年の4月にarXivで公開されているようです。

 arXivのコンピュータサイエンス(cs)カテゴリは一応ときどき見ているのですが、この論文は見落としていました。コンピュータで生成した手話の良し悪しの客観的な評価は難しいのだろうなと思います。機械による合成音声も、昔は非常に不自然だったり、明らかに録音したものを単語や文節ごとに編集して繋いだことがわかってしまうようなものがありました。解説記事の中で「つなぎ」の部分の自然さが向上した、と書かれていますが、合成音声の自然さ、滑らかさの向上に相当するのだろうな、と思います。

 こういう研究がされて評価されるというのはとても素晴らしいことだと思います。この分野の技術も進歩しているなあと感心しました。

<おまけのひとこと>
 昨日は終日Net会議でした。WebEXとTeams、Zoom、Skype for businessなどを使う機会があるのですが、体感上WebEXが品質が良いと感じます。Net会議の品質に影響を及ぼす要素はものすごくたくさんあります。そもそも接続数も異なりますし相手のロケーションも違います。相手側のネットワークや機材の状況も大きく影響します。なので、自分の感想はあくまでも一例に過ぎないことはわかっていますが。






2月18日(木) ペントミノの格子上の非接触パッキング(その2)

 ペントミノの非接触パッキングの話の続きです。



 このペントミノ12種類1セットの非接触パッキング、いくつか試してみました。その中で特に面白いと思ったのがこんなパターンです。

 5x24=120マスに、ペントミノ12種類で合計60マスのピースを接触しないように入れています。図と地が同じ面積です。長方形の盤面に非接触パッキングする場合、この5x24マスが最も面積が小さい長方形でした。解は少なくとも400種類以上見つかっています(途中で計算を打ち切りました)。非接触パッキングの場合、上の図の右下の明るい緑のピース(ペントミノ“U”)は180°回転しても必ず解になっています。



 上でご紹介した解が「面白いな」と思った理由がもう1つありました。テトロミノを白で、背景を黒で塗ってみました。

 これ、何かのペンシルパズルの解の図のように見えませんか?

(つづく)



 昨日、なめらかな手話動画を自動生成するという論文の話をちょっとご紹介しましたが、Speech to Lipという、音声から口の動きの動画を自動生成する技術というのもあるのだそうです。例えばこんな論文がありました。

 これは何に使うかというと、例えば元は英語の音声の映画をドイツ語やイタリア語に吹き替えた場合、吹き替え音声に合わせて俳優さんの口の動きの動画を作ることで、より自然な口の動きにするといった用途に応用されるのだそうです。

 このあたりの需要は文化や言語圏によって差があるのだそうです。日本人はあまり相手の口元は見ないで目を見て会話するのだそうですが、欧米系(かなり乱暴なくくりですが)の言語圏では目よりも口元を見るのだそうです。そのため、欧米の言語圏では対話の相手がマスクをしていることに大きな違和感を感じ、日本語圏では相手がサングラスをしていることに大きな違和感を感じるのだ、という説があるのだそうです。(情報源を探索中です。)

 欧米ではマスクをすることに大きな抵抗があるといった話を聞きますが、その理由の1つなのではないか、ということです。確かに日本で「全員が濃いサングラスをかけろ」「目が相手から見えないようにしろ」と言ったら、「マスクをしてください」というよりも抵抗が大きい気がします。

<おまけのひとこと>
 昨日の午前10時半ころ、所属する事業部で一番偉い人から「こんなデータがあったら欲しいんだけど」というメールをいただいたので、「今日中には出します」と返信したのですが、作業内容と時間の見積もりが大甘で、とてもその日のうちには出せないということが夕方になってわかって青ざめました。「すみません今週末まで時間を頂いてもよろしいでしょうか」と夕方メールしたら、「ごめんごめん、全然急がないから来週でいいよ」というお返事を即答で頂いて、すこしほっとしました。






2月19日(金) テトロミノの格子上の非接触パッキング(その1)

 今朝は時間がないので予定を変更してテトロミノの非接触パッキングの話にします。



 昨日、この図をご紹介しました。(昨日より縮小)

 これ、ニコリのペンシルパズルのぬりかべに見えます。ぬりかべのルールは、背景である黒の部分(壁)が盤面全体でひとつながり(単連結)になっていることと、2×2のかたまりができてはいけない、という条件で、白い島の中に数字が1つずつになるように、島のマスの数が数字と一致するようにするパズルです。

 この図が解になるような「ぬりかべ」の問題が作れないかな、と思って試してみたのですがうまくいかないのです。昨年の5月にテトロミノ12種類の非接触パッキングのパターンをみつけて、そのパターンが「ぬりかべ問題」の解として成立するものを見つけたらこのサイトでご紹介しようと思っていたのですが、今のところ見つかっていません。(というか、このトピックそのもののことを忘れ去っていました。)どなたか探してみませんか? 解があるのか怪しいなと思っていますが。



 ペントミノだけでなく、テトロミノ(正方形4つをつないだ5種類のかたち)でも非接触パッキングに挑戦してみました。5x8=40マス、6x7=42マスで解がたくさんみつかりました。でも、余白が「ぬりかべ」の壁のルールを満たすというルールを追加すると、難易度が上がりました。

 以下、非接触パッキングが成立しているけれども「ぬりかべ」ルールは成立していない例をご紹介します。まず、5x8=40マスの盤面の例です。

Non-contact packing
of 5 tetrominoes (5x8)
Violation of "NURIKABE" rules

 続いて、6x7=42マスの盤面の例です。マスの数が増えたため非接触パッキング自体は少し楽になっていますが、逆に2x2のかたまりが出来てしまいやすくなっています。

Non-contact packing
of 5 tetrominoes (6x7)
Violation of "NURIKABE" rules

 「惜しい、あと1か所」というのが出来ました。(どこが「ぬりかべ」のルールを逸脱しているか、わかりますよね)

Violation of "NURIKABE" rules

 ちょっと試してみるには面白いパズルだと思います。まずは非接触パッキングをやってみて、それが見つかったら次は「ぬりかべ」ルールが成立している解を探してみて下さい。こういうパズルが好きな方ならきっと楽しいと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日は定期通院、歯科通院、自宅のネットの工事があってお休みを頂いています。そのかわり、というわけではないのですが来週の火曜日の祝日は仕事です。






2月20日(土) ロジックパズルのサイト、あやとり「チャマの家」

 週末なので遅い時間の更新です。昨日のテトロミノ5種類の非接触パッキング、「ぬりかべ条件」でやってみて下さった方はいらっしゃるかなあと思いつつ、今日は単発の話題をいくつか。



 Guy Campbell氏のパズルのサイトGames & Puzzlesをのぞいてみています。SEE SAW(シーソー)というパズルがありました。

SEE SAW (by Guy Campbell)

 赤・青・黄・緑・紫の5色の玉があります。同じ色の玉は同じ重さ、違う色の玉は違う重さですが、それぞれの重さなはわかりません。ただし5種類の重さは、1kg,2kg,3kg,4kg,5kgのいずれかです。

 今、図のように 緑1+青1 =黄3、 赤1+黄2 = 赤1+紫1+緑1、 青3=赤1+緑2 であるということがわかっています。それぞれの色の玉の重さは何kgでしょうか? また、紫3つに釣り合わせるためには黄はいくつ必要でしょうか?

 マッチ棒のパズルとか、ちょっと面白かったです。検索してみると、作者の Guy Campbell氏はパズルの本もいくつも出版されているみたいです。



 最近、暇さえあればあやとりを取ってみています。石野さんのサイトのチャマの家という作品を取ってみました。ペルーのあやとりだそうです。

 向こう側に倒してみました。

 立体的でとても面白いあやとりです。取り方もかなりダイナミックです。途中の「口でくわえる」部分は指先でつまむ操作で代用しました。

 どんなかたちになるべきなだろう? と思って探してみたら、国際あやとり協会の機関誌 “String Figure Magazine” の第7巻1号(2002年3月)に、“Peruvian House” という図が載っていました。

Peruvian House
Quoted from String Figure Magazine Vol.7 No.1(Mar.2002)

 なるほど、四角推のかたちが「目指す姿」だったのですね。立体的な幾何学構造のあやとりは好きなので、覚えたいなと思いました。



 ペンシルパズルの「ぬりかべ」って英語で何ていうのかな、と思ってgoogle翻訳に「塗り壁」と入れてみたら、“Nurikabe”と翻訳されました。スピーカーボタンを押してみたら、ちゃんと英語っぽい発音で再生されました。うーむ、知りたかったのはそういうことじゃなかったんだけどな…

 google翻訳で英単語を入れて日本語訳を表示させようとすると、単にその単語のカタカナが表示されるだけ、ということがよくあります。日本語を入れたときに同様なことを経験したことがなかったので、ちょっとびっくりしました。「数独」とかと同じく、「ぬりかべ」もパズル名として認知されているということなのかな、と思いました。

<おまけのひとこと>
 更新の時間が遅くなってしまいました。
 昨日、欠けた歯を仮に詰めてもらいましたが、次回は削って型を取る治療になるそうです。そういう普通の治療ができる状態だったということは良かったのですが、でも歯の治療は嬉しくはありません。






2月21日(日) 与えられた凸四角形に外接する正三角形、ケルトの結び目

 今日はちょっと前にほったらかしにしていた話題を書きます。



 2月1日に、与えられた三角形に外接する正三角形の作図法をご紹介しました。

How to draw an equilateral triangle that circumscribes a given triangle

 ABCがどんな三角形であっても、辺ABが右下がりに、辺ACが右上がりになるような向きにしてAを通る水平な直線を引くことができますから、頂点B,Cを通る傾きが±60°の直線を引けば、外接正三角形が描けました。

 同じことを与えられた凸四角形でやってみることにします。

How to draw an equilateral triangle that circumscribes a given covex quadrilateral

 四角形なので頂点が4つあります。その4つのうち隣り合う2頂点ABを通る直線lを考えて、同様に残りの2点を通る傾きが±60°の直線m,nが引ければ、与えられた凸四角形に外接する正三角形が描けたことになります。

 三角形の場合は最初の姿勢に連続的な自由度があるため、外接する正三角形は無限個ありました。凸四角形の場合は4つの辺のうち少なくとも1つは正三角形の辺と同じ直線になるので、最大でも4つしか外接正三角形は存在しません。

 この作図法を見ていると、この操作ができない場合というのが見えてきます。外接正三角形が描けない凸四角形はどんなものでしょうか?

(つづく)



 先週はバレンタインでした。ご紹介が遅れましたが、YouTubeの How to Tie the Celtic Heart Knot by TIAT (A Knotty Valentine) という動画の完成図を見て、あやとり用のひもの切れ端でこんなものを作ってみました。

 かたちが整うように絞ってゆくのが楽しいです。



 あやとりの関係の本や記事を調べていて、「世界の伝承あやとり」シリーズ 著者・野口ともさんが語る収集の苦労という記事がありました。お勧めです。

<おまけのひとこと>
 髪の毛がだいぶ伸びてしまったので、今日はこれから自分でバリカンでカットします。1年くらい前から自分で刈るようになりました。最初はおっかなびっくりで時間をかけてもあんまり短くできなかったのですが、最近は思い切りが良すぎで切りすぎてバランスが悪いです。今日はうまくいくかな…






2月22日(月) 与えられた凸四角形に外接する正三角形が存在する条件、他

 明日は国民の祝日(天皇誕生日)なので、世の中は飛び石連休です。今日お休みを取ると4連休という方も多いのかなと思います。私は先週末の金曜日に工事や通院でお休みを取った代わりに、今日はもちろん明日も仕事です。



 話題を引っ張ってしまった「与えられた凸四角形に外接する正三角形が存在する条件」ですが、昨日のように図を描いてみると思い当たりました。4つの頂点のうち、隣り合う2つの頂点の内角がいずれも60度以上のペアが存在すれば、外接する正三角形が描けるのです。言い換えると「与えられた凸四角形の隣接する2つの頂点の組(4組あります)のいずれもが、少なくとも一方の角が60度未満である場合、外接正三角形は存在しない」と言えそうです。

 これでもまだ判定が面倒なので、さらに表現を変えます。「与えられた凸四角形の向かい合う2つの内角の両方が60度未満のペアを持つ四角形には外接正三角形は存在しない。それ以外の凸四角形は外接正三角形を持つ」というのがシンプルな表現かなと思いました。

 下の図は、角Aと角Cがいずれも60度より小さな角になっています。そのため、AB, BC, CD, DA の4辺をベースに正三角形を描画しようとしてもどちらかの側が必ず60度より小さいため、外接正三角形を描けないのです。

Example of a convex quadrilateral with no circumscribed equilateral triangle

 例えば隣接するAとBがいずれも60度より小さい場合、残った2つの角CとDは必ず60度より大きくなります。なぜならABCDは凸四角形なので、内角は最大でも180度未満であるためです。

 与えられた凸四角形に外接する正三角形が存在する条件についてはここまでにしたいと思います。


 ポリオミノの非接触パッキングと、ペンシルパズルの「ぬりかべ」の話に戻ります。こんな風に「ぬりかべ」の問題を出題して、それを解いてみたら12種類のペントミノが現れたら素敵だな、と思ったのです。

Wrong "Nurikabe" puzzle with no unique solution

 下の図のように、問題を解くカギの数字である12個の数字の5の場所を考えて、それで「ぬりかべ」パズルの問題として成立しているか、解は意図通りのペントミノになるか、調べてみました。

trial to make the solution of non-contact packing a "nurikabe" problem(1)
trial to make the solution of non-contact packing a "nurikabe" problem(2)

 でも、いずれもユニーク解にならないのです。手作業で探索するような問題ではないなと思って、ここまででペントミノ12種類の問題には見切りをつけて、他のポリオミノで同じことができないかな、と考え始めたのでした。

(つづく)



 石野恵一郎さんのあやとりのサイトのへそという作品を取ってみたのです。どうしてもわからない工程があったので、ひょっとして表記ミスではないかと思って書かれていたのとは違う指で操作してみたら、それらしい最終形に到達できました。石野さんに「ひょっとしてこちらが正しいのではないでしょうか?」というメールを差し上げたら、すぐに「その通りです。修正しました。」というお返事をいただいて感激しています。

 ところで、「へそ」の前半は大きな蛤がパクパクというフィジーのあやとりなのですが、これ、10人の男の前半と同じなのですね。(と思って今、「10人の男」のページに行ったらちゃんとそう書いてありました。)「10人の男」は大好きなあやとり作品ですが、口でくわえるのではなく、子どものころにフィジーの取り方を自分で編み出して取っていました。

<おまけのひとこと>
 このところ妻がいつも朝5時くらいに起きてきて朝ご飯を作ってくれます。とてもありがたいです。今朝は和風の朝食で、前日のタケノコの煮物と豆を入れたみそ汁と野沢菜漬けと炊き立てのご飯です。おいしい朝ご飯、嬉しいです。最近は以前より家を出る時間が遅くなって、6時半くらいに家を出ることが多いです。






2月23日(火)(天皇誕生日) ぬりかべソルバー、国際あやとり協会入会、他

 今日はトピックが3つです。



 ポリオミノの非接触パッキングが解になっている「ぬりかべ」の問題が作れないか試しているのですが、まだ良いものが見つかっていません。探索にはwebで検索して入手した「ぬりかべソルバー」を使わせていただいています。今日はそのソルバーをご紹介します。

 実は使っているソルバー、どなたが作られたものなのか、どこからダウンロードさせていただいたのか、わからないのです。本当に申し訳ありません。コマンドラインツールなのですが、バージョンを表示させたりヘルプを表示させるオプションがないか試してみても、いずれも引数はファイル名だと解釈してしまうようです。

 添付のreadme.txtを見ても(全文を引用します)、

Nurikabe Solver v0.2

・使い方
PencilBox 形式の問題データファイルを nurikabe_v0.2.exe の上にドロップすると,自動で解析を開始します.
実行ファイルをそのまま実行した場合は,ファイル名を入力することで同様に解析を行えます.
問題が正しく解けた場合には,ファイル名の後に ".report.txt" をつけたファイルで,解答が PencilBox 形式で出力されます.

・解析
最初は 1 段までの背理法を用いて解析を行います.
これで解けない場合は,2 段の背理法,あるいは全探索 (brute force) を用いて解くことができます.
理論上,全探索を用いれば (十分長い時間をかければ) あらゆる問題をと解くことができます.
ただし,プログラムの性質上,あまりにも変な問題 (1×n の盤面など) は解けない場合があります.

・バージョン履歴
v0.1 (2014/04/12): 公開.
v0.2 (2015/02/17): 全探索機能を搭載.

・免責事項
 このソフトウェアを使用したことによって生じたすべての障害・損害・不具
合等に関しては、私と私の関係者および私の所属するいかなる団体・組織とも、
一切の責任を負いません。各自の責任においてご使用ください。
"readme.txt" of Nurikabe Solver

このツールがどなたが作られたもので、どうすれば手に入るのか、わかりません。ダウンロードさせていただいたのがかなり前なので、忘れてしまいました。検索してみても見つかりません。ごめんなさい、ありがたく利用させていただいています。



 実際に使ってみます。たとえば、ニコリの「ぬりかべ」のルールの説明に使われているサンプル問題、これを解いてみましょう。

sample problem of puzzle "Nurikabe"

 この問題を、PencilBox形式と呼ばれるテキストの書式で表現してみます。1行目が行数、2行目が列の数、3行目以降が問題の数字の位置を表します。

7
7
2 . 3 . . . . 
. . . . . . 4 
. . . . 1 . . 
. . . . . 4 . 
. . . . . . . 
. . 2 . 2 . . 
. 5 . . . . . 
PencilBox format of "nurikabe" problem

 この問題定義ファイルをソルバーのプログラムに読み込ませると、こんな結果になりました。白マスはピリオドで、黒ますは井桁マークで表されています。

Input file name: nu_sample.txt
Problem successfully loaded...

Successfully solved (0s)
1-step trial-and-error techniques were used.

 2 ##  3 ## .. .. ..
.. ## .. ## ## ##  4
## ## .. ##  1 ## ##
.. ## ## ## ##  4 ..
.. ## .. ## .. ## ..
.. ##  2 ##  2 ## ..
..  5 ## ## ## ## ##

Wrote the solution to nu_sample.txt.report.txt.
Press any key to continue...
output of "nurikabe" solver

 ちゃんとユニークな解が求まったことがわかります。



 次に、このソルバーに12種類のペントミノの非接触パッキングのかたちが解になることを期待して、こんな問題を用意して解いてみてもらいました。

5
24
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 
. . . . . . . 5 . . . . . . . . . . . . 5 . . . 
. . 5 . . 5 . . . 5 . . 5 . 5 . 5 . . . . . 5 . 
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 . . . 
. . 5 . . . . . . . . . . . . 5 . . . . . . . . 
pentomino trial

 でも、ユニーク解になりませんでした。

Problem successfully loaded...

This problem couldn't be solved with 1-step trial-and-error techniques.
Proceed with 2-steps trial-and-error? [y/n]y
This problem couldn't be solved with 2-step trial-and-error techniques.
Proceed with brute force? [y/n]y
Not unique answer:
            ### ### ### ###                 ###             ###         ###             ### ###
### ###     ###         ###   5 ### ### ### ### ### ###     ### ###     ###       5 ### ###
    ###   5 ###       5 ### ### ###   5 ###       5 ###   5 ###   5     ### ### ### ###   5
    ### ### ###     ###                 ###     ### ### ### ### ### ### ###       5 ### ###
          5 ### ### ### ### ### ### ###         ###           5         ###             ###

            ### ### ### ###                 ###             ### ###     ###             ### ###
### ###     ###         ###   5 ### ### ### ### ### ###     ###         ###       5 ### ###
    ###   5 ###       5 ### ### ###   5 ###       5 ###   5 ###   5     ### ### ### ###   5
    ### ### ###     ###                 ###     ### ### ### ### ### ### ###       5 ### ###
          5 ### ### ### ### ### ### ###         ###           5         ###             ###

Press any key to continue...
There are multiple solutions that satisfy the problem

しかも、たまたま2つ出てきた解の候補はどちらも意図したパターンではありませんでした。この結果を見ながら、問題定義ファイルをテキストエディタで修正しながら何度かトライしてみたのですが、そういう単純な試行錯誤で解けるような問題ではなさそうだったので、いったんは断念したのでした。

 求めるパターンが解になっている「ぬりかべの問題」そのものを探索するプログラムを書かないとダメなようです。今回のペントミノのパターンの場合、プログラムを書いて探索したとしても「さんざん待たされた挙句解なしになる」可能性も高そうだなと思いました。なのでいったんほったらかしにしてあります。


 21日(日)に国際あやとり協会に入会申込をしたのです。そうしたら昨日、22日(月)にさっそくメンバー登録完了のメールをいただきました。下の画像は、会員のみがアクセスできるページのタイトル部分です。

International String Figure Association : Members only area

 メンバーリストも閲覧できるのですが、今年度の登録メンバーは本日時点で195名、そのうち会員の居住国が日本の方が31名でした。過去の会報や機関誌がpdfなどで閲覧できるようになったのですが、これが宝の山で、わくわくして眺めています。(まだ眺めているだけです)


 シシドユキオさんの「正四面体」を忘れないように時々取っています。取ってみた作品を指から外してみたら、自立してくれたのです。それが面白くて写真を撮ってみました。

 手から外すとさすがに正四面体の稜はピンと張った直線にはなりません。一応念のため、下の青い部分が「正四面体」です。

<おまけのひとこと>
 今週中が納期の仕事をいくつも抱えていて、今日は時間があるのでそのうちのいくつかを片付けてしまいたいなあと思っています。






2月24日(水) シシドユキオさんの多面体あやとり

 今日は一般に公開されていないあやとり作品の完成写真のみのご紹介です。



 国際あやとり協会(ISFA:International String Figures Association)に入会しました。会員になると、こちらのISFAの文献一覧の多くを無料でpdfで閲覧できます。(リンク先は「目次」のみで、一般に公開されています。)

 こちらのBulletin of String Figures Association(国際あやとり協会会報:このページも目次のみで一般に公開されています)をみると、1978年の第1巻はわずか4ページだったのが、1990年代になると100ページを超えるようになっています。

 この中で、No.17 (1991)の冒頭の、シシドユキオさんの多面体あやとりの記事がとても気になりました。

Shishido, Y. Symmetrical String Figures 2 (pages 1-11) - presents another 5 three dimensional string figures invented by the author. Includes "Fruits," "Fruits II," "Polyhedron IIIa," "Polyhedron IVa," and "Polyhedron Va."
(Y.シシド、対称性を持つあやとり(2)、pp.1-11 − 著者が創作したさらなる5種類の3次元あやとり。「果実」「果実 II」「多面体 IIIa」「多面体 IVa」「多面体 Va」)

 会員のみがアクセスできるページに行くと、全文のpdfが閲覧できます。上記のあやとり作品の取り方を調べて、練習してみました。



 本日ご紹介するのはシシドユキオさんの多面体あやとりの中の「多面体 IIIa」という名前の作品です。1989年に投稿されているようですので、もう30年以上前に創作されたあやとり作品です。菱形六面体の骨格が現れます。

 菱形六面体というのは、下の写真のように菱形6枚から成る六面体で、立方体を稜の長さを変えずに変形したようなかたちをしています。

 写真上の白いのが立方体、写真下の赤いのが菱形六面体で、同じ菱形6枚から鈍角型菱形六面体(下左)と鋭角型菱形六面体(下右)が作れる場合があります。この鋭角型菱形六面体が今回できるかたちです。それをイメージして以下の写真をご覧ください。



 いろいろな長さ、素材の糸で「多面体 IIIa」を取ってみました。かたちを整えるのがなかなかむつかしいです。(写真は拡大できます。)

“Polyhedron IIIa”
Creation : Shisihdo, Y (1989)
Reproduciton : Hasegawa, H (2021)

 何枚か撮った写真の中では比較的菱形六面体らしく写ったものです。骨格部分を示してみました。

 多分昨日だけで50回くらいはこのあやとりを取ってみたと思います。でもきっとすぐに取り方を忘れる自信があるので、石野恵一郎さんのサイトのように、簡潔な日本語で取り方の手順を自分用に記録しました。他人様の作品ですので公開できませんが。

(つづく)



 以前、折り紙作家の前川淳さんと話をしたときに、「折り紙に興味を持って下さる方はかなり増えてきたけれど、大部分の方は多面体や幾何学構造の折り紙作品には興味を示さないですよ」と教わりました。このシシドユキオさんの多面体あやとりも、一般向けに出版されるあやとりの本に収録されることは今後もないのだろうな、と思います。



 文字で記録された「あやとり」の取り方を読み解いてあやとり作品を取ってみるというのは、楽譜として記録された音楽を読み解いて実際に音を出して演奏してみるという行為にとてもよく似ているなあと思うのです。良い作品の記録(楽譜とかあやとりの取り方とか)に出会って、自分で苦労してそれが再現できるようになったときの喜びというのは格別です。

<おまけのひとこと>
 今週中にやらなければいけない仕事、会議が少なかった(本来ならお休みだったはずの)昨日中にできるだけ片付けたいと思っていたのですが、計画の半分くらいしか進みませんでした。今日から挽回します。






2月25日(木) シシドユキオさんの多面体あやとり(その2)

 昨日の続きで、シシドユキオさんの多面体あやとりをもう1つご紹介します。



 国際あやとり協会(ISFA:International String Figures Association)の過去の会報に載っていた、シシドユキオさんの多面体あやとりのFruits(果実)というあやとりを取ってみました。

“Fruites”
Creation : Shisihdo, Y (1989)
Reproduciton : Hasegawa, H (2021)

 かなり平たくなってしまいました。本来はこれはこんなかたちをしています。

 左右方向の軸を中心に3回回転対称になっています。

 先月ご紹介した、同じシシドユキオさんの多面体あやとり作品の「2つの結晶」は4回回転対称でした。

 こんな作品が発表されていて、それを知ることができて幸せです。



 滑りの良い糸を使ったのが良くなかったかなと思って、糸を毛糸に変えて取ってみました。

 うーむ、今度は本来離れているべき頂点がくっついてしまいました。なかなか難しいです。

 このあやとり作品も、3回回転対称形のユニット(果実)を2つずつ増やしてゆく取り方が書かれています。また、最初に1つだけ「果実」を作って、そこから2つずつ増やす奇数の系列の取り方も書かれています。でもまだうまく作れていません。挑戦しがいのある、楽しい目標です。



 昨年の11月に、大学時代の恩師の先生の米寿のお祝いにメッセージをA4サイズ1ページ分を作ってお送りしたのですが、それを1つのPDFファイルにまとめたものをダウンロードさせてもらいました。皆さん活躍されていてすごいなあと思いました。近況の写真などを載せて下さっている方もいらして、楽しく見せていただきました。

<おまけのひとこと>
 今日の更新はCGを作ったりしていたら時間がかかってしまいました。






2月26日(金) あやとり「アタヌアの家」

 今日は時間がなくて、撮ってあったあやとりの写真のご紹介です。



 アタヌアの家というあやとり作品を取ってみました。タヒチのマルケサス諸島のあやとりだそうです。

 最初に、左の手首に糸を巻き付けます。(4回巻きました。)次に左の親指以外の4本指に糸を2回巻き付けて、4本指の輪を右手でも持って広げます。四角い枠(フレーム)ができます。(以下、写真は拡大できます。)

 左手首の糸を1周分ずつ、フレームに戻してゆきます。山が1つずつ増えてゆきます。

 最後に、上側を横切る2本の糸を分離して広げると、横倒しの三角柱のかたちの美しい立体的な構造になります。

 最初に手首に巻き付ける数で山の数(らせんの数)が決まります。シンプルですが美しいと思います。

 写真はカメラをスタンドに固定して10秒のタイマー撮影をしているのですが、かたちが整う前にシャッターが切れてしまいました。



 今週が納期の仕事、割り込みや追加があって、今日中に終わるか微妙になってきました。今日はいつもよりさらに早く行って仕事を片付ける予定です。今日は午後に職場の小グループの対話会があって、何を話してもいい持ち時間が10分ほどあるのですが、あやとり紐をポケットに忍ばせていってあやとりを披露してしまおうかなあと思っています。

<おまけのひとこと>
 忙しいといいつつ、昨晩は調子に乗ってひとりでお酒を飲みすぎて二日酔いです。






2月27日(土) 凧形二十四面体系列の特別なかたち、他

 本日2021年2月27日は、この「あそびをせんとや」の公開を始めてちょうど20周年の日です。当初はいつ書くことが無くなるかなあと思っていたのですが、そんな心配をする必要はなかったみたいです。引き続きパズルや数学や美しいパターンや構造といった話題をご紹介してゆきたいと思っています。



 今日は週末で月末なので、簡単で単発な話題にしようかなと思って、朝起きてからメモやリンク集などを漁ってみました。その中から、「凧形二十四面体」の話をしたいと思います。



 2004年2月に、凧形二十四面体というのは立方体と正八面体の稜を重ね合わせたようなかたちです、というような説明をしたことがありました。

凧型二十四面体

 凧形二十四面体はかたちが1種類に定まるものではなくて、連続的に変化させることができます。

 今回、この系列の中から、このかたちに注目します。

 これは、系列の中でもかなり立方体に近い側のかたちに見えると思います。実はこの寸法にすると、面どうしを接することでこんな風に正四面体構造を作ることができるのだそうです。

https://geometryka.files.wordpress.com/2020/12/k4_deltoidal-icositetrahedron.png?w=404

 これは、こちらのGeometrykaという(ドイツ語の)サイトで公開されています。この二十四面体を連結した美しいかたちがたくさん紹介されています。ぜひご覧ください。

 この多面体の頂点の座標が公開されていて、(±15,0,0) をx,y,z 軸上に, (±12,±12,0) を xy平面、yz平面、zx平面上に、(±10,±10,±10)を8つの象限に取ります。10,12,15 という数字がきれいです。一見、もっと簡単な数字に置き換えられそうな気がしたのですが、既約なのですね。座標がわかっているので面のかたちが決まるので、模型を作ってみても面白そうです。



 伝統ある科学雑誌Physics Todayに、Einsteinium chemistry captured という記事がありました。自動翻訳でもだいたい意味が取れるので、読んでみました。ネイチャーのStructural and spectroscopic characterization of an einsteinium complex (K. P. Carter et al., Nature 590, 85, 2021.)という論文の紹介記事のようです。

 99番目の元素であるアインスタニウムEsは、原子炉等でできる元素が崩壊する過程で生まれる様々な物質から単離することで得られるのだそうで、純粋なかたちで巨視的な量で観察される最大の原子番号を持つ元素なのだそうです。もちろん強い放射性を持ち、半減期は短く、研究するのが難しい物質です。

 そんな扱いが難しい元素を、周囲に有機分子を配置したキレート錯体の構造にすることで、従来わからなかったことがいろいろわかってきた、ということなのです。

Credit: Adapted from K. P. Carter et al., Nature 590, 85 (2021)

 8配合(アインスタニウムの回りに酸素が8つ配位している)ですから、立方体の頂点の位置に近いのかな、と思います。三次元の幾何学や多面体の知識は、こういう立体化学(stereo chemistry)の世界でも役に立つことが多いです。

 私たちの最も身近なキレート錯体といえば、血液の中の赤血球の重要な成分である鉄キレートであるヘモグロビンです。生物の身体を構成している材料の大部分は水と有機化合物ですが、一部の微量の金属が大切な働きをしています。

 上記の記事の最後のほうに、放射性元素のキレート錯体分子の生体内挙動を研究することで、ガン治療や放射線症の治療に役に立つ可能性についてコメントされています。これはものすごくお金がかかる研究なはずなので、そういった応用の可能性をコメントしないと予算獲得に影響があるのだろうな、と想像しました。

<おまけのひとこと>
 お休みなのでいろいろ調べたりしながらゆっくり更新していたらお昼近くになってしまいました。こういうゆったりした時間の使い方は好きです。






2月28日(日) 正五角形12枚を正四面体の対称性を持つ配置にした多面体、他

 昨日ご紹介したサイトにある多面体の情報が面白くて、いろいろ自分でも試してみたくなりました。今日はブロックで類似のものを組んでみたご紹介です。



 昨日のご紹介したサイトの別の記事に、Deltaeder(デルタ多面体) という、凸でない様々なデルタ多面体について解説されているものがありました。この冒頭に出てくる美しい多面体、いったいこれは何だろう? と思ったのです。正五角錐とおぼしきかたちが3つ組になって、その間を正三角形で連結したかたちです。

 この正五角錐を正五角形に置き換えて凸多面体を作ろうとしたらどうなるのだろう? と思って、JOVOブロックで組んでみることにしました。まずは写真をご覧ください。(写真は拡大できます。)

 同じ色の正五角形を3つ組にしたものを4組用意します。(赤・青・白・緑にしました。)この4組を、あたかも大きな正四面体の面であるかのように連結します。もちろんそのままでは無理なので、大きな正四面体の稜に相当する部分は正三角形2枚(黒)で、大きな正四面体の頂点に相当する部分は正三角形1枚(黄色)でつなぎました。

 対称性が高い方向から見てみます。3回回転対称軸方向から見たところです。

 上の左の写真の向きの時に床に接しているのは黄色い三角形です。大きな正四面体の面方向と頂点方向から見ていることになります。

 さらに、大きな正四面体の稜の方向、2回回転対称軸方向からも見てみました。

 最後に、3枚の正五角形を1か所取り外して中をのぞいてみました。

 どんな構造なのかご理解いただけましたでしょうか。面白いと思いました。



 さて、この多面体が実際に成立するならばジョンソンの多面体のリストに載っているはずです。(ジョンソンの多面体というのは、全ての面が正多角形から成る凸多面体です。)でも、こんな多面体はジョンソンのリストには載っていません。実際に組んでみるとすぐに気が付くのですが、これ、かなり無理をしないと組めませんでした。

 どこの部分が不正確かというと、黒い正三角形2枚でつないでいる部分、これを「菱形」とみなすと、菱形の短いほうの対角線がもっと長くないとダメなのかなあと思います。ちゃんと計算していませんが、組み立ててみた感じとしてそう思いました。実際に計算してみて、凸多面体の模型を作ってみたいなと思いました。

(つづく) かも…



 図書館で、大きな森の小さな家 大草原のローラと西部開拓史(ちば かおり:新紀元社) という本を借りて興味深く読みました。

 写真やイラスト、地図や家系図などがたくさん載っている「見て楽しい」本です。子どものころからワイルダー一家のものがたりはとても好きだったので、関係する本や情報はチェックするようにしていました。(TVシリーズはほとんど見ていませんが。)それでも知らないことがいろいろ書かれていて、興味深かったです。

 ローラは4人姉妹の二女で、結婚して一人娘のローズを授かりましたがローズには子どもがなく、またローラの他の3姉妹にも子どもがいなかったそうで、ローズが亡くなった後はインガルス一家の血筋は絶えたのだそうです。ローラのご両親が亡くなったのはそれぞれ1902年と1924年とのことなので、孫が結局ひとりだけだったこと、そしてその孫には子どもがいなかったことは知らずにこの世を去ったのだと思いますが、寂しいことだなと思います。

 世の中の祖父母世代が孫をとても喜ぶ気持ち、自分がその世代になってきてようやく実感としてわかってきた気がします。でも、私としては後の世代の人々の中に、自分が面白いと思うものを面白がってくれる人がいてくれれば、それが誰であってもそれで十分かなと思っています。もちろんそれがたまたま自分に何か縁のある人だったらもっと嬉しいでしょうけれども。

 私がこのサイトの公開を始めたころはまだまだNet上にも情報は少なかったものでした。今はパズルにしても多面体にしても音楽にしてもあやとりや折り紙にしても、面白い情報はどんどん増えていると思います。なので心配しなくてもこういうものを面白がる人はずっと今後も生まれてくるだろうと楽観視しています。

<おまけのひとこと>
 また普段着のポケットにティッシュを入れたまま洗濯物入れに入れてしまいました。先日失敗したばかりなのです。今回は妻が「今日はセーフだった、洗濯機に入れる前に気が付いた。」と報告してくれました。ごめんなさい、気を付けると言ったばかりなのに、1か月もしないうちにまたやってしまいました。






[←2021年2月前半]  [↑表紙へ] [2021年3月前半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2021年2月後半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2021 hhase