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以前の「ひとこと」 : 2014年5月前半



5月1日(木) ペントミノで遊ぶ(その1)

 今年の五月連休は4日間で、やや物足りないお休みです。最終日の5月6日(火)に、一週間分まとめて更新します。表紙が重くなってしまってすみません。

 先日、「ポリオミノの宇宙」(ソロモン・ゴロム著 2,808円 日本評論社)という本を買いました。原著の初版は1965年に発刊されているのですが、改訂版は1995年に出ていて、日本語版は今回、2014年4月に初めて出たのだと思います。非常に面白い本です。おすすめです。

図 1

 この本に触発されて、久々にペントミノ(単位正方形が5つのポリオミノ)のことを考えています。

 まず、ペントミノのかたちと名前です。ペントミノは鏡像(裏返し)を区別しなければ、12種類あります。図2のように、アルファベットの名前がついています。こじつけっぽいものもありますが、おおむねアルファベットの大文字のかたちで命名されていて、思い出すのに便利です。

図 2

 12個のペントミノの覚え方として、上記の本には「アルファベットの最後(TUVWXYZ)とFILiPiNo(フィリピン人)と憶えておくとよい」と書かれています。まず、これも参考に12種類のペントミノ全部を何も見ないで思い浮かべることができるようになることをお勧めします。

 パズルは実際のパーツをいじってみるのが一番いいのですが、シンプルな問題ならば実物がなくても考えることができます。一度頭に入れてしまえば、何もなくても頭の中だけでひとりで遊ぶことができます。例えばこんなものがあります。

 図3に、3×5マスの長方形と平行四辺形があります。ペントミノは1つ5単位なので、この長方形や平行四辺形はペントミノ3つ分の面積です。12個のペントミノから3個を選んで、3×5の長方形を作ってみてください。また、平行四辺形も作ってみてください。

図 3

 同じパーツを複数個使ったらダメです。例えばペントミノのI(1×5)を3つ使えば長方形も平行四辺形も作れるのは自明です。やってみると、意外と同じパーツを2つ使いたくなるのが面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 「1つ、2つ…」と数えずに、ぱっと見て数が把握できるのは、普通は4個くらいまでなのだそうです。配置がよければ5つとか6つとかでも瞬間的に数がわかる場合もあるそうですが、6個以上になると数えないとわからないそうです。頭の中だけで遊ぶペントミノもパーツが3つくらいが妥当で、5つくらいになってくると意識して憶えようとしないとだんだんつらくなってきます。





5月2日(金) ペントミノで遊ぶ(その2)

 続けて更新してしまいますが、3×5の長方形をペントミノ3つで組むパターン、思いついたものを図にしてみました。

図 1

 とりあえず7通り考えてみました。これで全部のような気がします。同じものを複数使ってよいということにすると、もう少し解が見つかります。

 続いて平行四辺形のパターンです。

図 2

 こちらは3パターン見つけました。Wペントミノを使わない方法がないかなあと思ったのですが、3つとも異なるパーツで、という条件だと見つかりませんでした。

 続いて、パーツを4つにして4×5の長方形を作ったり、4×5や5×4の平行四辺形を考えたりしてみました。また、パーツ5つで5×5の正方形や平行四辺形も考えてみました。

図 3

 平行四辺形になると、頭の中で考えるのは意外と難しいです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今年の5月連休は、あまり外出はしませんでした。





5月3日(土) ペントミノで遊ぶ(その3)

 頭の中だけでペントミノで遊んでみようという3回目です。5×5の正方形に、ペントミノ5種類を入れてみました。

図 1

 これはもう、たくさんの解があります。そこで、何か条件を限定してみようと思いました。

 ペントミノのうち、3×3のマスに収まるのはT,U,V,W,X,Z,F,Pの8種類です。このうち、UとPは3×2に収まります。これらのパーツを、5×5の正方形の外周に接しない位置に置き、残りの20マスを残った11ピースのうちから4つ選んで埋めることはできるでしょうか?

図 2

 これも、頭の中だけで解けるパズルだと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 図を描くのが大変でした。





5月4日(日) ペントミノで遊ぶ(その4)

 頭の中だけでペントミノで遊んでみようという4回目、いったん最終回です。

 3×5の長方形を3ピースで埋めることを考えます。これまでは「すべて異なるピースで」という条件を付けてきました。この条件を変えて、「ピースは2種類、2個と1個で」としてみます。例えばXの両側をUではさむと、赤十字のようなかたちになります。この場合、Xが「図(主役・前景)」で、Uが「地(脇役・背景)」と呼ぶことにしましょう。つまり2個使っているパーツのほうが背景になるのです。

 Uが背景になれるのは、前景がXのときだけです。それでは、もっともたくさんの種類のピースを主役として迎えることができる、名脇役は誰でしょう? 3×5の長方形の中に同じパーツ2個を置いたときに、何種類のペントミノの形の「穴」を開けることができるでしょうか?









































一応ちょっとだけ間をあけましょうか…









































図 1

 これもぜひ、頭の中で考えてみてください。

 実物で遊ぶのも楽しいですが、なんにもなしで遊ぶのも楽しいです。12種類のペントミノの形と呼び名を覚えると、こんな遊びができてとても楽しいです。お勧めします。

<おまけのひとこと>
 最近また皮膚が痒くて夜中に目が覚めるのですが、そんな時に気を紛らわすためにもこの遊びは有効です。





5月5日(月) 美ヶ原高原美術館

 今年の連休は大学生の娘が帰省していたので、美ヶ原高原美術館に行ってきました。写真を紹介します。

写真 1 写真 2

 写真1:入り口付近。四角柱3本の作品がかっこいいです。写真2:まだ雪が残っていました。

写真 3 写真 4

 写真3:石でできた2つのトーラスが絡み合っています。写真4:彫刻の背景が絶景です。とても美しい。

写真 5 写真 6

 写真5:立方体の上の正十二面体。かっこいい。 写真6:炭素原子のダイヤモンド骨格を、人間の両手両足で表現した彫刻。これもおもしろい。

写真 7 写真 8 写真 9

 写真7:三角格子のジグソーパズルのような石。 写真8:金属板を縦横に組み合わせた造形。幾何学的な形状がきれい。 写真9:らせん状に組み合わされた石の塔。

 屋外の彫刻作品は350点ほどあるそうです。私は幾何学的なかたちのものが好きなので、そういった写真ばかり撮りましたが、いろいろなジャンルのものがあって面白いです。一回り歩いてまわるだけで1時間以上かかりました。ここまでのヴィーナスラインのドライブと合わせて、楽しかったです。

<おまけのひとこと>
 ある意味「地元」なので、朝の9時半くらいにゆっくり家を出て、午後1時半前くらいに帰ってきました。






5月6日(火) トーラス・ゲームズ(その1)

 阿原一志先生が数学セミナーに連載されている、「サーストンからの手紙/8つの3次元幾何学の謎に迫る」が好きで毎号楽しみに読んでいるのですが、4月号で紹介されていたサイト、ジェフ・ウィークスの位相幾何学および幾何学ソフトウェアがとても面白いのです。特に、トーラス・ゲームズというページで提供されているパズル・ゲームが楽しいのです。

 ダウンロードして展開してみると、2次元のゲーム・パズルが9種類(三目並べ、五目並べ、迷路、クロスワード、ことばさがし、ジグソーパズル、チェス、ビリヤード、虫食いリンゴさがし(マインスイーパ))と、3次元のゲーム・パズルが2種類(3D三目並べ、3D迷路)が出てきます。

 これらのゲームの最大の特徴は、画面の右辺と左辺が「つながって」いること、上辺と下辺が「つながっている」こと、です。2次元のゲーム・パズルでは、つながり方は2通りあって、「トーラス」と「クラインの壺」が選択できます。

図 1

 図1は、トーラスとクラインの壺を説明したものです。トーラスとクラインの壺、それぞれを構成している面が、ゴム膜のように自由に伸び縮みできるものとして、青い矢印どうし、赤い矢印どうしを向きを合わせて張り合わせることを考えます。

図 2

 トーラスやクラインの壺の面の上をたどってゆくと、図2のように右端から出ると、(右端と左端はつながっていますから)左側から戻ってくることになります。例えば「ドラクエ」のようなコンピュータロールプレイングゲームというのはこのように上下・左右がつながっています。

図 3

 トーラスとクラインの壺の差は、赤い矢印の向きがそろっているか反対向きかの違いです(図3)。トーラスのほうは上から出ると下の同じ位置から戻ってきますが、クラインの壺では、上辺の右端から出ると下辺の左端から戻ってくるのです。(クラインの壺は3次元のメビウスの帯などと呼ばれることがあります。)

 以上を踏まえて、図4はトーラス型の迷路です。左側が問題、右側が答えです。画面中央付近にネズミがいます。ネズミのすぐ左上にチーズがあります。ネズミをチーズのところまで導くルートを探してください、というのがこの迷路の問題です。

図 4

 この迷路は普通には解けません。図4の右のように、上下・左右がつながっていることを利用して解きます。

 続いて、クラインの壺型の迷路です(図5)。図の1→1'(左右)はトーラスのときと同じですが、2→2'(上下)はトーラスの時とは違ったところにつながっています。

図 5

 迷路は毎回生成されます。ずっと遊んでいて飽きません。2次元迷路の例だけをご紹介しましたが、他のパズル・ゲームもとても面白いです。おすすめです。

<おまけのひとこと>
 久しぶりにまとめて更新したら、ほとんど一日がかりになってしまいました。






5月7日(水) トーラス・ゲームズ(その2)

 トーラス・ゲームズというページで提供されているパズル・ゲームの紹介の続きです。今日は3次元迷路をご紹介します。

 2次元のときには正方形の空間を考えて、向かい合う辺どうしのつながり方で「トーラス」と「クラインの壺」がありましたが、3次元になると、立方体の空間の向かい合う面どうしのつながり方で、このゲームでは「3次元トーラス」「クラインの空間」「四半回転空間」「半回転空間」の4つが選べます。

 これらの紹介は(面倒なので)ゲームをやってみていただくとして、3次元トーラスの迷路をちょっとご紹介します。

 このゲームの3次元迷路は、図1のように青い球を棒に沿って動かして、立方体の箱まで持ってゆけばゴールです。3次元のかたちはわかりにくいので、視点は自由に変えられます。また、周期的な壁の位置も自由に変えられます。

図 1

 トーラスですから、向き合った面どうしがつながっています。なので、図2の同じ数字どうしがつながっていることになります。1→2→3→4→5とたどってゆくとゴールになります。

図 2

 もっと複雑な迷路を生成することもできます。

図 3

 これもとても面白くておすすめです。

<おまけのひとこと>
 今回、こっそり4月29日分も更新しています。8回分の更新をまとめてやったら、まる一日かかってしまいました。昔は毎朝30分くらいでこつこつと更新していたのですが、今はとてもその余力がありません。










5月10日(土) 方円の畳紙

 ここ1年ほど、数学セミナーに、折り紙作家の前川淳さんが「折って楽しむ折り紙セミナー」という連載をされていて、毎回楽しみに拝見しています。2014年5月号の82-83ページに方円の畳紙という作品が紹介されていて、これを作ってみたくなりました。

 この連載は見開き2ページで、右側のページいっぱいに展開図が描かれていて、それをコピーして切り取って、折り線に沿って折り目を付けて折ってくださいという趣向になっています。

 今回の作品の展開図は、正方形と正八角形をベースとしたかたちになっているので、展開図を自分で描くところからやってみようと思って、図を作ってみました(図1)。

図 1

 一点鎖線が山折り、破線が谷折りです。作図するのもパズルのようで面白かったです。

図 2

 目標のかたちは図2のようになります。左が表、右が裏です。使用する紙の表と裏が色違いならば、図2のように正八角形と正方形の色が変わるそうです。私は両面真っ白の紙で作ってみたので、表も裏も白いモデルになりました。

写真 1 写真 2

 けっこう隙間があいてしまったり、あまり出来がよくありませんが、「ああなるほど」という感想です。作図して、印刷して切り抜いて折り目をつけて組み立てる作業はとても楽しかったです。

 これ、いわゆる折り紙の手法で、何も目印のない長方形から必要な折り線をすべて折りだしてゆくこともできそうです。ただその場合、不要な折り線が残ってしまいそうです。これもちょっと考えてみると面白いパズルになりますね。

<おまけのひとこと>
 今日は午前中は病院(皮膚科)に行って、終わったら会社に行って仕事です。本当は行きたい古楽のコンサートがあったのですが、行かれなくなってしまいました。






5月11日(日) 方円の畳紙(その2)

 折り紙作家の前川淳さん数学セミナーの連載、「折って楽しむ折り紙セミナー」の2014年5月号の「方円の畳紙」のご紹介の続きです。この作品を、展開図を印刷して折り線を付けてゆくのではなくて、通常の折り紙の手法で、身の回りにある1:√2の用紙から折り出す方法を考えてみました。

 自分の備忘録として、途中までの図を書いてみました。図は常に紙を同じ側から見ています。山折り(一点鎖線)をするときは、紙を裏返して折ります。

図 1 図 2

 まず、長方形の用紙を縦横に二等分する折り線(補助線)を折ります(図1)。これは谷折でかまいません。紙を裏返して、45°の折り線を4本つけます(図2)。

図 3 図 4

 図2で2つの菱形ができましたが、その菱形の長軸の両端を合わせるように、用紙の左下の直角の頂点を右側中央の赤点に合わせて、菱形の短軸に相当する折り線をつけます(図3の下の赤い矢印)。用紙の左上の角も同じところに合わせて折り線を付けます。

 同様に用紙の右側も折ると、図4のような菱形の折り線(黒い点線)を用紙中央につけることができます。

図 5 図 6

 続いて紙を裏返して(図では裏返っていません)、図3の菱形の短軸の両端を合わせるようにして、長軸に折り線を付けます(図5)。ただし折り線は長軸全部ではなく、用紙の角から図4の菱形までです。反対側も同様に折ります。

 図6の赤点を合わせるようにして、用紙の上辺を直角の4分の1の角度に折ります。そうすると用紙の上辺が45°の角度になるので(図6の緑の線)、それを目印にして用紙の左辺を折ります。用紙の反対側(右下)も同様に折ります。

図 7 図 8

 用紙の左下を図7のように4分の1直角に折ります。ここは45°の折り線が付いているので簡単です。用紙の右上も同様です。

 ここまで折れたら、図8の赤い折り線に注目して、図9のようにたたみます。

図 9

 後は、用紙の左半分も同じように折って、いらない部分を折り込んで、かぶせ折りで裏返して(ここが大変です)、最後に残った細長い三角形を内側に折り込めば出来上がります。

 ちなみに、図8の段階の折り線は完成品の展開図の折り線よりも少ないですし、部分的に山谷が逆になっているところもあります。図9の後行程で、すでに畳まれたものを折り直したり折り足したりすることで、適切な折り線になります。

 この折り方が面白くて、その辺にある紙を使って5〜6個折ってみました。だんだんうまく折れるようになってきました。たいへん面白い作品を紹介して下さった前川淳さんに感謝致します。

<おまけのひとこと>
 昨日は会社に行ったのですが、予定していた内容が全然終わらず、家に仕事を持ち帰ってきています。今日は仕事のPCに向かう一日になりそうです。
 今日は母の日です。本当は実家に顔を出したかったのですが、昨日も通院と会社で、今日も持ち帰りの仕事があるので行かれません。








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