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以前の「ひとこと」 : 2020年6月後半



6月16日(火) Nova Plexus の模型を作る(その2)、「天保の虹」

 5月1日のひとことで、Nova Plexus の模型を作る、という話を始めていました。まず、CGを作りました、ということろまでご紹介していました。

 今回は4つの正三角形は、しっかりかみ合わせて作ることにしました。次に設計するときにNova Plexusらしく、三角形のかみ合いも小さくする計画です。

 CGができてしまえば、それぞれのパーツの干渉具合はすぐにわかります。パーツを設計して、A4の用紙2枚に12パーツ分をレイアウトして、印刷して組み立てました。

 まずは一番安定する置き方にして、一般的な視点から見てみました(Fig.1)。鉛直軸が3回回転対称軸になっています。そのため、3パーツによる4つの正三角形のうちの1つは低い位置で水平になっています。影がきれいです。

Fig.1

 ひっくり返してみました(Fig.2)。この姿勢でも床に接する3点は正三角形になっていますが、さきほどよりも小さいです。3パーツによる水平な正三角形は高い位置になっています。

Fig.2

 床に接する3点を変えて、回転対称軸が鉛直ではない姿勢で置いてみて、3回回転対称軸方向から見てみました(Fig.3)。

Fig.3

 この模型が作れて満足です。組むのはけっこう大変でした。



 今回の紙の筒による Nova Plexus (もどき) のモデルですが、パーツは12個、すべて合同です。筒はこんな風に設計しました(Fig.4)。

Fig.4 : drawing of "Nova Plexus" part

 細長い5本の長方形のパーツを筒状に折り曲げて、両端の2面を貼り合わせました。図の右側の2つの菱形は切り落とします。また、淡いグレーでパーツの内側に小さな不等辺四角形が描いてありますが、これも切り落としました。ここが他の三角形に引っかかってかたちが安定する(はずな)のです。この小さな切り欠きがあるので、三角形には向きが生じます。ここに「かちっ」とパーツがはまると安定して気持ちがいいのですが、最初は位置がきれいに定まらずに苦労しました。

 Fig.1、Fig.2 の写真をよくみると、この切り欠きがかみ合っているのがわかると思います。とても気に入った模型の1つになりました。



 先週末、妻に誘ってもらって地元の図書館に久しぶりに行きました。館内はいつもより人が少なかったのですが、児童書のコーナーを見に行ってみたら、斎藤洋の「白狐魔記」の7巻目があったので、喜んで借りてきました。

Fig.5

 「天保の虹」は実に7年ぶりに出たシリーズ7冊目で、大塩平八郎の乱のあたりの話です。借りてきてすぐに1時間半ほどで読んでしまいました。とても良かったです。でもこれまでの7冊を好きな順に並べたとしたら、そうだな、上位ではないかもしれないな、と思いました。でも、主人公の白狐魔丸はもちろん、吉野の雅姫をはじめとした相変わらず魅力的な登場人物がたくさん出てきます。

 このシリーズの「挿絵」が物語の雰囲気によく合っているのですが、今回特に、物語の終盤のp.354の絵が素敵でした。

 「白狐魔記」は持っていたいシリーズのはずなのですが、手元には3冊しか買ってありません。全部好きですが、やっぱり最初の2冊が圧倒的に好きです。全部揃えようかな…

<おまけのひとこと>
 昨夜、ちょっと家の中の雰囲気を悪くしてしまいました。(いつものように私が悪い。)ほとんど家にいて、コミュニケーションの相手が限られる妻がかわいそうです。(ってわかっているはずなのにごめんなさい。)私は家に閉じこもっているのは大得意ですし、楽しいこと、面白いことはどんどん見つかる、というか「湧いてくる」感じなのですが、妻はそうではない、ということをつい忘れてしまうのです。






6月17日(水) Nova Prexus の模型を作る(その3)

 昨日、Nova Prexus (もどき) の模型を作ってみたものをご紹介しました。できれば各パーツの三角形の噛み合わせがもっと少ないものにしたいと思うのです。まずはCGを作ってみました。

Fig.1

 これを作る前に、四角柱3本の三角形を組む通常の組み方(図は2006年7月3日のひとことより)

 を、噛み合わせを少なくして組んでみようと思いました。まずCGを作ってみました。

Fig.2

 噛み合わせ(2つのパーツの共通部分)が少なすぎても安定しないので、このくらいにしてみることにしました。

Fig.3

 このCGの1つのパーツ(ここでは白パーツにしましたが、どれでも一緒です)に注目して、他の2パーツ(赤と青)を「引き算」した立体を作って、その4面を平行投影で同じ距離から見た図を描画します。

 これで準備ができました。この4つのCGの図をトレースして、「型紙」を作ります。

 右の菱形2つは切り抜きます。左側の太線をカットします。これを筒状に折り曲げて、1つの面を重ねて四角柱にします。これを12本用意して組んでみました。

(つづく)



 Nova Prexus を検索しているときに、こんなページがありました。

Nova Prexus ?

 これは "Nova Prexus" じゃないと思うのですが…

<おまけのひとこと>
 今朝も午前2時過ぎに起きたのですが、ぼんやりといろいろやっていたら結局遅くなってしまいました(今、5時です)。3時過ぎに、消防自動車が何台も、家の近くの大きな道路をサイレンを鳴らしながら走ってゆきました。その後、救急車も出動しているようでした。大事になっていなければ良いのですが。






6月18日(木) ねじれ配置の四角柱3本の三角形を組む

 昨日型紙をご紹介した「噛み合わせの少ない三角形」を組み立てます。まずパーツを3つ用意します(Fig.1)。

Fig.1

 片側(右側)は菱形の窓が空いているだけ、反対側(左側)は2本のスリットが入っているだけ、です。この3つを三角形に組みます(Fig.2)。

Fig.2

 ジョイント部を覗いてみると、こんな感じになっています(Fig.3)。

Fig.3

 この三角形4つ分のパーツを用意して、組んでみました(Fig.4, Fig.5)。実はちょっと設計が間違っていて、かなり「ゆるゆる」になってしまいました。ガタ、あそびがあるのです。そのせいで自重でちょっと扁平な感じになっています。

Fig.4 Fig.5

 でもこれが作れて満足です。



 日本数学検定協会が出している「数学カレンダー」「算数カレンダー」を毎日楽しく解いています。掛けてあるカレンダーの前に立って、その日の問題を読んで答を考えて解答を見て確かめています。

daily math problem calender

 先週の6月11日はこんな問題でした。(すみません、画像でのご紹介です。)

 問題の条件文を1つずつ読みながら、その条件で決まったことを頭の中で確かめて、さて何を尋ねられるのかなと思って最後の行の問題文を見たら、「え? それを聞くの?」とびっくりしました。暗算で解くには適度な複雑さ(単純さ)の問題で、最後の意表を突かれる問いかけも含めて、この問題けっこう好きです。ぜひ考えてみてください。

<おまけのひとこと>
 今朝も4時過ぎくらいから明るくなり始めて、カッコウが鳴いていました。朝焼けがすごくきれいでした。今日は曇っていて、今は(5時くらいです)空は普通に白いです。






6月19日(金) 布施知子さんの一枚折りの半分六角箱

 妻が図書館で布施知子さんの「箱のおりがみ」という本を借りてきてくれました。

Fig.1

 「折り紙1枚で折る箱、ユニットの箱」というサブタイトルが付いています。2013年に出版された本のようです。これは持っていませんでした。

 昔はユニットの箱を折ってみたこともあるのですが、なんとなく一枚折りのほうが好きで、最近は一枚折りの箱を主に折っています。この本の中でまず折ってみたいと思ったのは、p.60の半分六角箱でした。正六角形の半分、正三角形3枚分の等脚台形のかたちをした浅いお皿のような箱です。

Fig.2 : half hexagon tray by Tomoko Fuse

 並べ替えてみます。

Fig.3

 立ててみました(Fig.4)。

Fig.4

 さらに、立てた状態で重ねて、六角形のかたちにしてみました(Fig.5)。

Fig.5

 さすがにこれは不安定ですが…

 とりあえず練習、ということで適当な無地の折り紙(普通の 15cm x 15cm)を使っています。折り紙は無地のものが圧倒的に折りやすいです。最初に折ったのが緑のほうなのですが、余計な折り線が入ってしまっています。

 これは折ってみて楽しかったです。まああまり実用的ではありませんが。



 このかたちのタイルは、はるか昔20年くらい前キッコーパズルというのをご紹介したことがあったのを思い出しました。

 もうずっと地下室にしまいっぱなしです。たまには出してきて遊んでみようかな。



 先日、珍しく妻にコンビニスイーツをお土産に買って帰ったのです。そうしたらあまり受けがよくありませんでした。坂田靖子の「バジル氏の優雅な生活」という古いマンガが好きなのですが、その中の「ナポレオン・アイビー」というお話の中の重要なプロットとして、夫であるチャールズが妻のヴィクトリアにプレゼントをしようとするシーンが冒頭、中間、そして最後に出てきます。(貴族なので、そのプレゼントはいずれも大変豪華なものです。) そのプレゼントが残念ながら的外れで、それを感じたチャールズが次のようにつぶやくのです。(この2コマは右から左に進みます。)

 「ぼくはプレゼントの才能のない男だからね」と。「ああ、自分もそうだなあ」と、このシーンを連想しました。(コンビニスイーツごときで何を大げさな、とは思うのですが。)



 このところよく鳴いているカッコウが電線にとまっているのが見えたので、写真を撮ってみました。

Cuckoo

 網戸越しに撮ったので(網戸は英語だと "net window" とかではなく "screen" なのだそうです)、モスキートノイズのような感じの変な写真になってしまいました。

 「カッコウ」は英語では "Cockoo" なのですね。鳴き声がそのまま名前になっているのがよくわかります。

<おまけのひとこと>
 雨です。






6月20日(土) Xリング(その1)

 アーテックブロックでこんなかたちを作ってみました。X字型に見えるので、仮にXリングと呼ぶことにします。

Fig.1

 なぜ「リング」かというと、このかたちは単なる輪っかと同じ、いわゆる「自明な結び目」だからです。

 こんな風に斜めに床に接するように置いてみたり(長さ3の稜が2本と長さ1の稜が1本、合わせて3つの稜が床に接しています)、

Fig.2

 同じ斜めでも縦長に置いてみたり(長さ3の稜が2本だけが床に接しています)、

Fig.3

 また別な姿勢で斜めに置いてみたり(長さ5の稜と長さ1の稜が1本ずつ床に接しています)。

Fig.4

 Fig.1-4のいずれの置き方でも、単位立方体の中心を結ぶ直線は、床面に対して平行か、垂直か、45°か、のいずれかになっています。

 これはどんなかたちでしょうか? 単位立方体はいくつ必要でしょうか? 同じものを複数個作って絡ませたらどんなかたちになるでしょうか?

(つづく)



 このかたちは自分で思いついたものではありません。組木パズルの画像の類似画像をいろいろと見ていた時に、こんな画像があったのです(縮小しています)。

Fig.5

 この画像のリンク先はドメイン名が解決できないようで見つかりませんでしたのでご紹介できませんが、これはmeccano(メカノ)という金属の組立玩具で作られているようです。このかたちは面白いなあと思って、手持ちのブロックで再現してみたのでした。(ちょっとブロックを節約しているので、比率は若干異なります。)



 いつも、夜は8時過ぎ、遅くとも9時には寝て、2時〜3時に起きる生活をしているのですが、昨夜は久しぶりに取り出した「バジル氏の優雅な生活」を読んでいて、珍しく夜10時過ぎまで起きていたのです。そうしたら大変珍しいことに携帯電話に音声着信がありました。発信者の名前を見ると、20年くらい前に同じテーマを分担して開発していた昔々の同僚(Sさん)からでした。彼は今、北九州の開発設計拠点の総務部門の責任者のような立場で仕事をしているのだそうで、「外出を自粛して自宅で酒を飲みながらスマホの連絡先のリストを見ていたら、懐かしい名前があったのでどうしているかなと思って電話をしてみた」ということでした。お互いアルコールが入っていたこともあって、1時間ぐらい近況やら共通の知り合いの話などをしました。私にしては大変珍しいことで、今朝起きてきた妻が「夜中に電話をしているだけで驚いたのに、笑い声が聴こえて楽しそうでさらにびっくりした、楽しそうでよかった」と言われました。

 前回会ったのはもう10年以上前、当時会社の労組の役員をやっていた彼が、東京の事業所から長野県に来た時に一緒にお酒を呑んだことがありました。多分それ以来だよね、という話をしました。次はいつかな、定年まであと数年、下手をするともう会えないかも、とちょっとだけ思いました。たいへん懐かしかったです。

<おまけのひとこと>
 いつもなら寝ている時間に電話でおしゃべりをして興奮したのか、午前1時くらいまで寝付けませんでした。でも、4時前には目が覚めてしまって眠れなくなりました。今日は昼間、眠くなりそうです。(お休みだからいいのですが。) このページの更新も遅くなってしまいました。






6月21日(日) Xリング(その2)

 昨日ブロックで作ってみたXリングをCGにしてみました。

Fig.1 : X-Ring Fig.2 : X-Ring (rotated)

 この2つを重ねてみるとこんな風になります。この2つの輪は鎖のように絡まっていて、分離できません。

Fig.3 : linked 2 ring

 もう一方のXリングを鉛直軸回りに180°回転して、1単位分だけ上に持ち上げます(Fig.4)。

Fig.1 : X-Ring Fig.4

 この2つは絡まっていません。仮に、ゴムのように柔らかくて弾性変形できる素材で作ってあったとしたら、この2つは分離できます。

Fig.5 : not linked 2 ring

 でも変形できない素材で作ったとしたら、この2つは3次元空間内では分離できません。それどころががっちり絡み合っていて、動かすこともできません。

 このXリングが3つあったとして、どの2つも同じ位置関係になっているような配置に絡ませられないかな、と思って考えてみました。これが思いの外難しかったのです。(あくまでも「私にとっては」です。)

(つづく)



 3つのXリングを絡ませる構造を調べるために、Xリングを3つ、アーテックブロックで作りました。パーツが足りなかったので、角の部分は三角のパーツを使いました。そうしたらだいぶかたちの印象が変わりました。

Fig.6 : X-Ring with chamfered corners Fig.7 : different placement



 2月にちょっと写真でご紹介したことがありましたが、ロフトベッドを組んで、部屋の収納を増やしています。机に向かって座ると、こんな感じに見えます。

Fig.8

 ブロックで作ったXリングをロフトの上に置くとき、机から立ち上がらないとロフトの手すりの上から手が届かないのですが、手すりの隙間を通せば椅子に座ったままでXリングを出し入れできるのです。

Fig.9 Fig.10

 これがちょっとした知恵の輪のようで、楽しいのです。喜んで10回くらいこの隙間を通してみています。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 朝4時を回りました。昨夜は18時過ぎに夕食(晩酌)を始めて、20時くらいには寝てしまいました。今朝はいつも通り2時過ぎに目が覚めて、そのまま活動しています。寝る時間も起きる時間もいつも通りです。夜明け前の数時間は、静かで一番集中できる時間です。






6月22日(月) 多面体の稜を巡るモデルをマジックスネーク風玩具で作ってみた、父の日、他

 今月のはじめにこんなモデルの話をご紹介しました。

 先日100円ショップに行ったとき、この模型を作るのによさそうなマジックスネーク風の玩具があったので、喜んで3つ買ってきて作ってみました。

 まずは一般的な視点から見てみました。Fig.1 は鉛直軸が3回回転対称軸になる置き方、Fig.2 はそうではない(上の図と同じ)置き方です。

Fig.1 Fig.2

 対称性が高い視点方向から見てみました。床面への接し方(置き方)は、Fig.1とFig.3 、Fig.2とFig.4 がそれぞれ同じになっています。

Fig.3 Fig.4

 これ、3つの「スネークキューブ」を繋ぐのにちょっと苦労しました。最初は簡単に両面テープで貼ればいいかなと思ったのですが、しばらくすると自重で分解してしまうのです。結合部の位置を変えて2度ほど試したのですが、放っておくと勝手に分解してしまうし、手に持って姿勢を変えてみるだけで分解してしまったりしてよろしくありません。

 仕方なくホットボンドで留めてしまうことにしました。この美しいかたちが300円+消費税で作れるなんて素晴らしいです。お勧めです。



 昨日の午前10時過ぎに宅配便が届きました。差出人の名前はこの4月から就職した息子でした。気を遣って父の日の贈り物を送ってくれたようです。嬉しいです。

Fig.5 : Handy Fan

 これ以外に和風の素敵なカードフォルダが2つ、同梱されていました。私と妻へ、ということだそうです。娘と息子から、母の日と父の日をまとめてのプレゼントだそうです。大人になって、兄弟で仲が良くてよかったなあとしみじみしました。 ありがたく使わせてもらいます。



 昨日、資源ごみを回収場所に出しに行ったついでに何か所か買い物に回りました。本屋さんに寄ったときに「アルテ」(大久保圭)の13巻があったので喜んで買ってきました。今回は波瀾万丈でした。続きが気になります。

 「おもしろいよ」と妻にも勧めているのですが、「絵柄がちょっと…」と言って読んでくれません。別にマンガに抵抗があるわけではなくて、秋月りす(「OL進化論」とか)や深谷かほる(「夜回り猫」とか「エデンの東北」とか)は喜んで読んでくれるのですが。



 検索してみたら、作者の深谷かほるさんが夜回り猫の「母の日」「父の日」のイラストを公開して下さっていました。印刷に耐える高画素数の画像です。素晴らしいです。

<おまけのひとこと>
 昨日の朝、自分でバリカンで髪を切ってみたのです。意外とまっとうにできたかなと思ったのですが、後で頭に触ってみると、後頭部に段差があるのです。今日会社に行ったら誰かに何か言われるかな、それとも気が付いてもコメントはないかな、そもそも気が付かれないかな、などと思っています。自分で切ると安上がりだし時間も節約できますが、バリカンのメンテナンスやカットした髪の毛のお掃除などがちょっと大変です。






6月23日(火) 「数学の秘密の本棚」より「重力に逆らう円錐」(その1)

 数学関係の一般向けの面白い啓蒙書(と言っていいのでしょうか)をたくさん書いているイアン・スチュアートの数学の秘密の本棚からのトピックの紹介です。

 この本、日本語版は英語版と同じ表紙なのですが、いかにも数学っぽいというかパズルっぽいものが散らばった画像が背景になっていて面白いのです。

Japanese version cover English version cover

 一方で、こんな、いかにも本棚らしい枠組みの中にそれぞれ図が配置されているデザインの表紙もあるようです。

Cover of another version

 これはこれで素敵なデザインだと思います。



 さて、この本は面白いトピック満載で、紹介したらきりがないのですが、この本の中のほんの半ページくらいの小さなトピック、「重力に逆らう円錐 」(antigravity cone)をご紹介します。 オリジナルの英語版の方から図を引用させていただきます("professor stewart's cabinet of mathematical curiosities"より引用)。

 半円を2つと、長方形1枚、直角台形2枚を用意します。

"antigravity cone" I.Stewart

 半円2枚は円錐2つを底面の円で貼り合わせた形(双円錐)に、長方形と直角台形は三角柱の側面の形に、それぞれ貼り合わせます。三角の枠の低い側に双円錐を置くと、枠の高いほうに向かって転がってゆきます。これがあたかも重力に逆らっているように見えて面白い、という物理おもちゃです。

"antigravity cone" I.Stewart

 最初にこれをこの図の通りに作ってみたのですが、双円錐を張り合わせるノコギリのような「のりしろ」があまり組み立てやすくなかったのと、三角の枠が小さすぎて転がる長さが短いのがいまひとつでした。

implovement of "antigravity cone"

 これをA4サイズの用紙いっぱいに配置して、印刷して切り出して組み立ててみました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 部分日食は曇っていて見られませんでした。残念…
 今朝はいつものカッコウではなく、ハトが鳴いているのが聞こえています。いつもより遅い時間(朝5時)になってしまいました。急がないと…






6月24日(水) 「数学の秘密の本棚」より「重力に逆らう円錐」(その2)

 昨日ご紹介した、ちょっと改造した型紙を切り出して、接着して「重力に逆らう円錐」(双円錐)を作ってみました。

Fig.1

 円錐2つを貼り合わせるのがちょっと大変です。この部分は空中に浮かんでいるところなので、面倒ならテープで留めてしまってもよいかもしれません。仮にワークショップの教材とかにするならば、円錐は内側からテープで留めて、2つの円錐の貼り合わせは外側からテープで留めてもいいかもしれません。

 もう1枚、別の視点から。

Fig.2

 円錐の「のりしろ」の部分が重くなるので、2つの円錐の接合部分はできるだけ離れるように貼り合わせるとよいと思います。



 これを転がすとこんな感じになります(すみません静止画2枚です)。

 ちょっと不思議な感じがして面白いです。比較的簡単に作れるので、お勧めです。



 会社への通勤のルートに、鉄道と国道をくぐるトンネルがあります。昔のヴィーナスラインの一部で、2002年4月1日に無料化される前は通行料100円の有料トンネルでした。長さは312mです。時速40kmで走れば28秒で抜けられます。

 私は朝は6時前にこのトンネルを通ることが多いので、ほぼ確実に30秒以内で通過できていると思うのですが、帰りは渋滞する時間にはまることが多くて、先日などこのトンネルを通過するのに7分以上かかりました。嬉しくない新記録です。平均速度は時速2.7km(秒速0.75m)くらい、という計算になります。

 通勤時間というのは本当にもったいない時間だと思います。帰りの時間ももっと遅くすれば所要時間はだいぶ短くはなるのですけれども、朝も早くて帰りも遅い、というのはもっと嫌なので、あきらめるしかないのかなあと思っています。



 批判の文化が日本を技術後進国にしているかもしれないという話というblogの記事を読んで、いたく共感しました。「出る杭は打たれる」という状態です。減点主義で、他人の悪いところを指摘して自分は何も生み出さない人ばかりになったら、そのコミュニティは衰退します。そんな社会、そんな国になって欲しくないなあと思うのですが。

<おまけのひとこと>
 職場で、やらなければいけないこと、やりたいことがどんどん増えて、手が回らなくなってきました。ヒマで困るよりもよっぽどありがたい状態ではあるのですが、ちょっと困ったな…






6月25日(木) 正方形の展開図11種の格子上の非接触パッキング(その1)

 今日は最初はこんなトピックをご紹介しようと準備をしたのです。



 正方形を4つ繋いだテトロミノというかたちがあります。昔流行したテトリスというパズルゲームで有名になったと思います。テトロミノには、裏返しを同じものだとみなすと5種類のかたちがあります。

Tetromino

 アルファベットの文字で似た形のものの名前を付けてみました。I LOST(私は失くした)という、ちょっと縁起の悪い文字列になってしまいましたが覚えやすいかもしれません。4番目、S ではなく N と呼ぶほうが普通かもしれません。

 さて、同じピースだけを使ってパッキング(箱詰め)することを考えてみましょう。例えば 2 x 4 の長方形へのパッキングならば、I,L,Oならば可能ですが、S,Tはできません。

2 x 4 packing using same pieces

 目標の枠を 4 x 4 の正方形にすると、もちろんI,L,O は単に 2 x 4 を二つ重ねにすればいいですが、それに加えて T でもパッキングできるようになります。

4 x 4 packing by same pieces

 さてそれでは5種類のテトロミノ全てで、同じかたちをパッキングできるのはどんな「枠」のかたちでしょうか? 長方形である必要はありません。

(つづく)



 この図を用意して、「テトロミノか過去にも何度も紹介しているはず」と思って過去の自分のページを検索してみたのです。そうしたら2016年6月16日とその翌日に、全く同じ問いかけをしていることがわかりました。しかもそのときの解をご紹介していなかった、という…

 明日、この問題の答を(別ページで)ご紹介しようと思います。





 昔と同じ内容だけではあんまりなので、もう1つトピックを書きます。

 先月、5月8日に共有点を持たない格子上のポリオミノというコンセプトのパッキングパズルをご紹介しました。この話も確か、(つづく) の続きが書けていませんでした。

 この格子上の非接触パッキング、立方体の11種類の展開図でやってみることにしました。

11 types of nets of cube

 12 x 12 の枠の中に、上記の11種類を接触させずに配置できるか、試してみました。手作業での挑戦です。

 かなり頑張って、「あと2個」です。真ん中にそれなりのエリアがありますが、残った2つはどちらも入れられません。(どこかが接触してしまう)

2 remaining

 さらに頑張って、ようやく「あと1個」まで来ました。

1 remaining

 あと1個、入る気がしません。ここで諦めて計算機に頼ることにしました。4時間半ほどかかって、解がでてきました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日の更新には3時間くらいかかってしまいました。もう朝5時になってしまいました。まずい…






6月26日(金) 3つの歯車

 すみません、昨日の「正方形の展開図11種の格子上の非接触パッキング」の解の図がちょっと間に合わなかったので、今日は別の話題です。5種類のテトロミノによる、単一のピースだけを使って作れる同じかたちについては、解の図ではなく「枠」の図をこのページの中に載せてしまうことにしました。ご承知おきください。



 今日は簡単な話題です。YouTubeでThree Gears are Possible - Numberphile(3つの歯車は可能だ)という動画を見ました。2016年のもので、300万回以上視聴されているのでご覧になった方もいらっしゃるかなあと思います。

 動画の冒頭で、世の中のデザインで、歯車(ギア)が3つ噛み合った絵柄を使っているものをよく見かける、ということを紹介するところから話は始まります。

three gear design

 奇数個のギアを噛み合わせると、お互いにロックしてしまってどちら方向にも回転できなくなります。なので、これら3個の歯車の図は、「にっちもさっちもいかなくなった状態」を表しているようにも取れます。

 このような平面上のギアは、回転数や回転方向を変えるために使われていますが、回転軸は全て平行(ギアのある平面に対して垂直)です。でも、ギアの使い方はもっと様々で、たとえばウォームギアのように伝達が一方向で、回転の伝達軸が空間の中で「ねじれ」の向きになるようなギアもあります。ラックピニオンのように平面的なギアもあります。回転軸を変えるだけなら傘歯車というのもあります。

 動画の中で、実は平面上の歯車でなければ、3つの歯車が互いに噛み合って回転することができる例がある、ということが紹介されます。下の図は動画の中で紹介される最初の2つの例です。

3 gears : example 1 3 gears : example 2

 動画内で解説されているので説明はしませんが、これ、いいですね。実物を自分の手で実際に回してみたいです。





 さて、昨日の「5種類のテトロミノ全てで、同じかたちをパッキングできるのはどんな「枠」のかたちでしょうか?」の答の枠の図は以下のようになります。

 2 x 4 の長方形が4つ円環状に連結された「穴空き多角形」です。テトロミノのそれぞれのピース8個分で、どのピース8個でもこの形を作ることができます。簡単なので解は示しませんが、考えてみてください(考えるまでもないかと思いますが)。

<おまけのひとこと>
 ラックピニオンやウォームギアなどの図で、ご紹介するのに適切なものを探してみたりもしたのですが、イメージに合う線画の図が見つかりませんでした。






6月27日(土) 隙間のある3つの立方体のかたちによる隙間を通すパズル

 週末なので、簡単な更新です。

 先日、アーテックブロックでなんとなくこんなかたちを作ってみました。

Fig.1

 これは、1辺の長さが2の立方体3つが、1 x 1 のサイズの正方形の分だけ互いに接しているようなかたちをイメージして、それが1/2ずつ離れているような構造です。全体の寸法の辻褄が合うように、1辺2の立方体を2つに分割して、1/2 だけ隙間を開けています。(わかりにくい説明ですみません。)

 これは余ったパーツで適当に作ってみたものなのですが、これ、先日のロフトの手すりの隙間が通るかな、と思って試してみたら、

 回転させて姿勢を変えながら、ちょうどぎりぎり通る寸法だったのです。

Fig.2 Fig.3

 …すみません、こんな情報、何の役にも立たないですね。ただ、身近なものでこんな遊びができるのは楽しいな、と思ったのでご紹介することにしたのでした。





 こういう、限られたスペースを姿勢を変えながら通過する問題、というと、ソファ問題というのを連想します。「L字型の通路を通り抜けることができる平面図形のうち、面積が最大になるのはどんなかたちか?」という問題で、未解決だそうです。

 リンク先のWikipediaにある図を簡略化したものを載せておきます。

 これは最適解ではないそうです。「受話器型」と呼ばれていますが、今や「受話器」を知らない世代が多数派だと思います。

<おまけのひとこと>
 更新が遅くなってしまいました。これから定期通院です。






6月28日(日) 三角形分割によるインスタントアート

 いろいろと途中の話題があるのですが、今日は単発のトピックにします。

 Walfram Demonstration Project をときどきのぞいてみるのですが、大変楽しい作品がありました。Divide Triangles(三角形分割:Ingolf Dahl)です。 最初に使い方を簡単に説明します。

 Fig.1 は起動直後の画面です。操作できるのはスライダーとプルダウンメニュー、そしてチェックボックスが1つあります。

Fig.1 : initial screen

 スライダーをいじると、分割される三角形の細かさを変えることができます。プルダウンメニューは、「色合い」のテーマを変えることができます。このテーマがたくさんあって、とても楽しいのです。

Fig.2 : change slider Fig.3 : pulldown menu

 説明を全く読まずに最初に適当に遊んでみたのですが、主画面をクリックすると、+印であらわされるアンカーポイントが移動するのですが、アンカーポイントの数を増やすことができませんでした。改めて説明を読んでみると、[Alt]キーを押しながらマウスでクリックすると、新しいアンカーポイントが作れるということがわかりました。これで俄然面白くなりました。以下、遊びながらちょっと気に入った図を(画面キャプチャで)保存した中の一部をご紹介します。



 まずは正方形のパターンを作ってみました。図番号の隣に書いてあるのがcolor scheme(配色テーマ)の名前です。

Fig.4 : BrightBands Fig.5 : ThermometerColors

 次に、五角形を作ってみました。フリーハンドで正五角形をイメージしながら頂点の位置を調整しました。それも楽しいです。

Fig.6 : CMY1

 次に、六角形にしてみました。内部に5点、アンカーポイントを固定してみています。これは2種類の配色をご紹介します。

Fig.7 : CMY1 Fig.8 : BrightBands

 次に、八角形の中に七角形のアンカーポイントを置いてみたパターンです。Fig.7 の鮮やかな配色パターンがデフォルトです。Fig.8の「アボカド」の配色パターン、意外といいなと思っています。

Fig.7 : Hue Fig.8 : AvocadoColors

 最後に、正方形の中に星型を埋め込んでみたパターンです。色数が多い鮮やかなものから、色調が偏った配色テーマまで4種類を載せました。

Fig.9 : BrightBands Fig.10 : Pastel
Fig.11 : BrassTones Fig.12 : CherryTones



 まさにインスタントアート、気が付くと2時間くらい遊んでしまいました。配色テーマを選ぶと、色は勝手に決まります。色遣いが気に入らない場合、アンカーポイントをほんの少し動かしてやると、配色が変化する場合があります。(変わらないこともあるようです。) アンカーポイントを決めて、スライダーで三角形の分割の細かさを決めて、配色テーマを選んで、色遣いが気に入らなかったらアンカーポイントをちょっと動かしてみて… というのを繰り返して、気に入ったパターンができると嬉しくなります。

 これで遊ぶには、Wolfram Playerをインストールしなければならないのですが、これが1GBくらいのファイルをダウンロードするので、インストールはちょっと大変です。でも、お勧めです。

<おまけのひとこと>
 おそらく美術の人から見ると、すごく平凡で陳腐に見えるのかもしれませんが、センスも才能もない(私のような)素人が、こういうデザインを量産して楽しめるというのは素敵なことだと思うのです。なんだかいかにもアートの作品展の案内はがきの背景に使われていたりしそうな感じです。






6月29日(月) ひもを外すパズル(その1):2つのリング

 昨日に続いてWalfram Demonstration Project から、Wire-and-String Puzzlesというアプリケーションをご紹介します。

 このアプリケーションを起動すると、“challenge 1: Two Rings” という問題が表示されます。これは、紺色の2つの四角いリングに、緑色のひもが絡んでいるもので、この緑のひもを2つのリングから外すのが目的です。

Fig.1 : initial screen

 一番上のプルダウンメニューを開いてみると、Free Play という、いろいろ試せるボードが2種類、challenge という、ひもを外すパズルの問題が21問、その下にはチュートリアルが20個用意されています。まずはチュートリアルでひもの位置を変える練習をします。それで基本的な動作を理解して、パズルの問題を解いてみました。途中経過はこんな感じになりました。

Fig.2 Fig.3
Fig.4 Fig.5

 これは21問の問題の中ではおそらく一番易しくて、こういったパズルになじみのある方でしたら、見れば頭の中だけでひもを外す手順がわかると思います。ところがこのソフト、思ったようにひもを操作するのがとんでもなく難しいのです。これを解くのに優に30分以上かかりました。

 もっとも、その「ままならなさ」「もどかしさ」もパズルの要素なのだ、と考えることもできます。このアプリ、慣れてくると明らかに上達します。私はこの週末、ほぼ半日これをやっていました。



 このソフトでひもを操作する手順は、(1).ひものある部分をクリックして選択し、(2).選択した部分の移動先をクリックする、という作業を繰り返します。慣れないうちは、移動先をクリックしてもひもが変形しないことがよく発生するのですが(かなり慣れても発生しますが)、これは、その移動をすると線が完全に重なってしまうなどの「許されない状態」が発生するような指定をしてしまっている場合です。

 なので、「目的のかたちにひもを変形したいのに、どこを選んでどこに持ってゆけばいいのか」がわからずに試行錯誤を繰り返すことになります。試行錯誤の各ステップで画面キャプチャしたものをgifアニメーションにしてみました。

Fig.6

 非常に回りくどい変な変形をしていますが、ひもの操り方がわからなかったので、こんなことになっています。これが解けて嬉しかったです。



 実は上記のgifアニメーションのファイルは、T科日記というblogに載せたものにリンクしています。このblogは2012年から単身赴任をしていたころにほんの4か月ほど書いていたのですが、あまり家族の受けも良くなくて、書くのをやめてしまいました。(久しぶりに読み返してみると、節約生活のお料理の話ばかり書いています。)

 このホームページを置かせてもらっているLCVのサーバのストレージの上限(100MB)が心配になってきたので、このgifファイル(250KBくらいあります)はFC2のほうにアップして記事を書かせてもらって、そのファイルにリンクを張りました。サイズが大きなファイルを載せたいときにはこの手を使おうかなと思っています。ただ、こうして分散してファイルを置くと、例えば将来サービス終了とかになったときには困るなあと思うので、できれば一か所で管理できるほうが望ましいのですが。

<おまけのひとこと>
 仕事でいろいろ気になることがあって、昨日の(日曜日の)午後は会社のPCを開いて少し作業をしてしまいました。






6月30日(火) ひもを外すパズル(その2):Easy Star, ハサミとひも

 昨日のWire-and-String Puzzles(Karl Scherer)のご紹介の続きです。今日は challenge 2 と challenge 3 です。



 “challenge 2: Easy Star” 、これも手こずりました。ステップごとに画面をキャプチャして保存していったのですが、画像のタイムスタンプを見ると2時間くらいかかりました。

Fig.1 Fig.2
Fig.3 Fig.4

 途中途中で外すべきひもが長方形になるごとの画像をアニメーションにしてみました。

animation

 こうしてどこかの部分の上下を入れ替えるために、かなり大回りしています。実物だったらこんなに時間はかからないはずです。



 challenge 1 と 2が解けたので、次に “challenge 3: Scissors and String” (ハサミとひも)に挑戦してみました。

Fig.5 Fig.6
Fig.7 Fig.8

 昔、はさみとひものパズル(2008年9月22日) というのをご紹介したことがありました。このパズルのアプリ版です。

Real "Scissors and String" puzzle

 ハサミでひもを切ってしまいたくなる誘惑に駆られる秀逸なパズルだと思います。アプリ版のほうは、相変わらず意図した位置にひもを持ってゆくのに四苦八苦です。Fig.6 と Fig.8 を見比べると、かなり良いところまで来ているのがわかります。

 実はこの後、アプリケーションがハングアップしてしまったのです。最初からやり直す気力が出ずに、ここで満足することにしました。このパズル、もうちょっとひもの操作がやりやすくなるようなユーザインタフェースが設計できるともっといいのにな、と思いました。でも楽しかったです。



 この「ハサミとひも」の画像、点描画風に加工したことがありました。

processing an image like a dot drawing

 これ、どんな加工をしたのか忘れてしまいました…

<おまけのひとこと>
 今日のgifアニメーションもT科日記からの引用です。今までサイズが大きくて載せられなかったgifアニメーションをこの手で今後少しずつご紹介してもいいかなと思いました。






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