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平成27年12月31日 |
大晦日 |
今年もあますところ今日一日。
ともかくも あなた任せの 年の暮れ 小林一茶
無心無欲それこそが生きることの妙諦なり、あなた(仏)にすべてを任せようじゃないか。一茶の人生観を語った句といえる。
ただし、愉快なのは、一茶のあなた任せの他力本願は融通無碍、およそ宗派なんかにこだわっていないところにある。
浄土宗、禅宗、法華宗なんでもござれであった。でも一茶は「あなた」のましますことだけは信じていたようである。 |
平成27年12月27日 |
恥ずかしき事の数々 男はつらいよ 第一作 |
拝啓、坪内冬子様、久しきご無沙汰をお許し下さいまし。
故郷柴又を出しより一年余り、思えば月日のたつのは早きもの、風の便りに妹さくら出産の知らせを聞き、兄として喜びこれにすぐるものなく、愚かしき妹なれど、私のただ一人の肉親なれば、今後共御引き立てのほど、お願い申し上げます。
尚、私こと、思い起こせば恥ずかしき事の数々、今はただ後悔と反省の日々を、弟登と共に過ごしておりますれば、お嬢様には他事ながらお忘れ下さるよう、ひれふしてお願い申し上げます。 |
平成27年12月20日 |
自然を見つめ |
春ランの花が薄緑に色づいた。まわりを野草に囲まれて、小さな陶板の碑がたたずむ。
たがために 咲くにはあらで道野辺の
しこのしこくさ(雑草) 咲くべく咲きぬ
瀬戸市川合町、栗本伎荼夫さんの庭。
陶板に刻まれた短歌は愛知県が生んだ美術工芸家、故藤井達吉さんが栗本さんに贈ったものである。
「先生が亡くなる3年前、昭和36年ころです。私が焼いた陶板に直筆で書いていただきました。
ものをつくるものの心構えが良く出ていて、いかにも先生らしいお言葉です」 |
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