ラスト・アクション・ヒーローズ
天の光無き地の底の闇。
科学の発達した世界。行過ぎたその代償に人の中に淀みを作り出す。
しかし、生きることよりも大切な“心”を貫き通す者達が居た―――

*ラスト・アクション・ヒーローズ
作者・shineさん/更新日・全七話完結!/ジャンル・SFファンタジー/

爆煙は、唐突に視界を石灰色に染め、すべてを吹き飛ばした。
朱色の身をくねらせるようにして火の粉を振りまく地獄の業火は、すべてを焼き尽くそうと、
舐めるようにして地面を滑り、アスファルトに広がっていた、横転した車から流れ出ているガソリンと混合する。
刹那、再び鼓膜を突き破るような爆破が生じた。
ひとつの爆破が誘爆を起こし、地面を震撼させる発破音が闇夜に溶け込んでいた街を、急激な覚醒へと導いた。

(中略)

その人物、口調からして女だろう。だが、それにしてもなぜ、こんなところで爆発に巻き込まれているのだろうか。
答えは、しばらく待っていただく。その前に──
女が暗い路地裏を必死に駆けていく。そのジーンズのポケットから、白いカードのようなものがひらりと舞い落ちた。
だが、それに女は気づいた様子はない。もし気づいたとしても、足を止めることはなかっただろう。
それは、ひらひらと数回中空で旋回し、そして冷たいアスファルトの上に舞い降りた。
『マトリックス放送局 アナウンス、カメラマン担当/双林 真実』
活字体で丁寧に写植されているその名刺は、数十秒後に起きた4度目の爆発で無惨にも吹っ飛ばされ、
そして、夜闇の中へと、溶け込んでいった。
(1ST ACTIONより)

メインキャラクター
双林 真実・・・マトリックス放送局のレポーター。ある大企業の秘密を掴んだために命を狙われる。
レミリア=ローティリア・・・『鋼鉄の』と異名をとる、アルカディア騎士団、サウザンドナイツの聖騎士。

用語集

1ST ACTION 全てはまだ出会うことなく。
始まりはまだ交錯しない・・・
2ND ACTION 寝台特急にて。
それは唐突な遭遇。
3ND ACTION 寝台特急の邂逅はまだとどまらず。
盲目の美女は鋼鉄の騎士を観る・・・
4TH ACTION 一間の攻防。
その後に語られるのは―――
5TH ACTION 『魔器』により、執事は転移する。
否、「執事」ではなく「生還者」として。
6TH ACTION 全ては終焉へと集束する。
野心を抱く男は手中の力を解放す!
FINAL ACTION FINAL ACTION―――
だが、それでも悪夢は終わることなく・・・

 

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LAST ACTION HEROS EXTRA STORY
作者・shineさん/更新日・2001-1-24/ジャンル・SFファンタジー/

「…と、言いたいところだが、すぐに双林、カメラを持っていってくれ」
「は?」
 涙目になりながら、私は加々見の言葉を聞き直した。
「今、何と?」
「取材だ。
今日行ってもらうのは、お前と共に戦った戦友の一人、『疾風の』イシュトヴァーンの独占取材だ。
彼とは既にコンタクトは取ってある。彼が居るのはここだ」
 手渡されたのは一枚のメモ。場所はそう遠くない港だ。
 って、港…?
「ついでに報酬も欲しいと言っていた。
それは私は出せないから、君の自費でお願いするとしようか。じゃあ、頑張ってくれたまえ」
 ガッハッハと笑いながら私に背を向ける加々見の姿が、何だか射的の的に見えた。
あの後ろ姿に一発銃弾をお見舞いしてやりたくなったが、ここはじっと我慢だ。しかし、いつか殺ってやる…!
 と、言うわけで、今日も休みは取れなかった。

(SCREAM1 イシュトヴァーンの世界より)

SCREAM  イシュトヴァーンの世界 事件から数日後。休む間もなく双林は取材へ出る。
先ずは“疾風”と異名を持つ男から・・・

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