【4TH ACTION】

 斬撃は、右斜め後方からだった。空を裂き、烈火の如き激しく、しかし正確なその一撃に躊躇いはない。間違いなく、急所を抉り、魂を啜ろうと、まるで血に飢えた野獣のように迫り来る。
 ソロネは、その一撃を、肌で感じ、空気の流れを読んだ。軌跡の方向を予測し、まるで水鳥が湖面から羽ばたくようにして宙に舞う。優雅ささえ残すその動きに、一瞬レミリアは我が目を疑った。しかし表情に出すことなく、冷静に空を薙いだバスタードソードを掌で一回転させ、次は素早く一歩踏み込んでの突きへと攻撃を変えた。
 両手で握るバスタードソードを、何食わぬ顔で片手で扱うレミリアを、唖然とした表情でイシュトヴァーンが眺めていた。それだけではない。レミリアの左手には、やや小振りのメイスが握られている。ふたつの武器を顔色変えず、まるで手足のように無駄無く振るうレミリアは、騎士と言うよりも、戦闘自体を楽しむ狂戦士のようにも映った。
 上段に突き出されるバスタードソードの、自分の頭ほどもある切っ先を、ソロネは上半身を仰け反らせて回避する。だが、次瞬間には下段にメイスの鋼鉄の先端が振り下ろされる。ソロネの足を砕き、動きを止めようと言うのだ。だが、それすらも読んでいたかのようにソロネは再びふわりと跳躍する。まるで自重が霧散したかのような、ゆっくりな動きで攻撃を避け続けていたソロネだが、まるで狙っていたかのように不意に反撃を試みた。
 跳躍すると同時に、頭上そう高くないところに設置されている網棚に手を絡める。そして、長い脚を振り上げると同時に、地面で動かないウサギを、狙い澄ました一撃で上空から捕獲しようとする鷲のように、急降下する。
 鋭い蹴りは、レミリアの右手を弾いた。同時に巨大なバスタードソードが何度も金色の弧を描き、鈍い金属音を残して床に吸い込まれた。びいいぃ…ん、と振動する剣体に、双林の開ききった大きな口と、間抜けな表情が歪んで映し出されている。
 着地と同時に、ソロネは地面を蹴った。鞭のように撓る足が、残像を残しながら幾度もレミリアに襲いかかる。思い金属鎧を着込んでいるレミリアが、どうその攻撃をさばくのか、ミシェルが好機と期待の色を残した瞳で、二人の攻防を見守る。
 レミリアは、避けようとはしなかった。
 両手に装備しているガントレットを、顔面の前でクロスさせ、叩かれるままだ。だが、関節の継ぎ目もほぼ堅く守られているフルプレートだ。決定的なダメージを奪うには、剥き出しの顔面か、腋下を狙う以外方法はない。だが、身体を完璧に防護しているレミリアに、ソロネの攻撃は決定打を欠けていた。逆にソロネが右足を押さえてひょこひょこダンスをする始末。それを、まるで滑稽な芝居でも見ているかのように、口元に微苦笑を浮かべたまま、リューナが冷たい視線を送っている。
「…さて、もういいでしょう。御気分は晴れましたか? 隊長どの」
 揶揄を含む刺々しい口調が、リューナの美しい唇から紡がれた。
「私もレミリアも、そう時間はかけていられないのですよ。なにせ色々忙しい身ですから」
「フレンズに買収されるような、不抜けた騎士団を今までわたしは導いてきたつもりはない!」
 怒気を込めた鋭い言葉に、しかし表情ひとつ変えず、リューナは芝居がかった動きで肩をすくめた。
「私もレミリアも、別にフレンズに肩入れしているわけではないんですけど…」
「信じて、もらえないようですから」
 リューナの言葉を付け足したのは、レミリアだった。
「ソロネ隊長、我々はあなたの透徹で、典雅を振りまかれるような、素晴らしい指導者を求めているのです。どうかもう一度、我々を導いていただきたい。今なら、内部告発を食い止めることはたやすいことです。…別にあなたに汚名を着ろ、とは言いません。フレンズと肩を並べているのは、表向きの話ですし…」
「じゃあ、なぜ私のことをつけねらうの?」
 はさまれた言葉は、双林の声だった。
「直接フレンズと手を組んでいないのならば、このビデオテープはあなた達には関係ないことでしょ? むしろこれを公にすれば、あなた達サウザンドナイツも、あのフレンズを引き下ろすことが出来るんじゃなくて?」
「それをやられると、今は困るんだよ、カメラマンさん」
 リューナがクスクスと馬鹿にしたような笑いを浮かべた。それをレミリアは、やや渋い表情で一瞥したが、やがて双林の方に顔を向けると、鋭利な刃物のような視線をビデオテープに移す。
「あの夜、お前が映した映像が何なのか、当てて見せようか」
「…!」
「私が映っていたはずだ。違うか?」
 双林の双眸が、驚愕に見開かれた。
「腐臭漂う今ではただの廃屋となっているような、古びた倉庫の中で、数人の男達が、意識のない死んだように眠っている私を、私から手渡されただろう? …おかしな話だな、私があの時、二人いたなんて」
 つんつんと自分の頭を人差し指でつつくレミリア。双林とリューナ以外の人間は、何の話なのだか見当もつかないような、懊悩した表情を浮かべながら二人を見つめている。
 そんな彼らに説明をするような優しい口調を、レミリアはその複雑な表情のままつぶやき始めた。
「その時、私の記憶があっていれば、確か『意識のない私』を男達に手渡した私は、もう一つ、書類を渡したと思う。そこに何が書かれていたのか、知りたいか? あの暗闇の中では、いくら高性能とはいえ、小さなハンディカメラでは完璧に内容を理解できるほど品質は良くあるまい」
「何が、言いたいの…?」
「質問を質問で返すのか? まぁ、マスコミ関係者なんてそんなもんだろうな」
 ギリッと、双林が奥歯を噛みしめる。腹が立つのはレミリアではない。作り物の人工物のくせに、やけに態度が横柄な、あのリューナだ。視線だけでリューナに赫怒を示すと、怖い怖いとリューナが嘲弄を浮かべる。それが双林の怒気のテンションを再び上げる始末になる。だが、感情の爆発を何とか押さえ、双林はレミリアに頷いた。同時に内ポケットのテープレコーダーのスイッチをオンにする。
 その刹那、一陣の銀光の軌跡。
 ドスッという衝撃が、双林を襲った。レミリアが構え動作もなく突き出したのは、腰に下げていた細身の刀身のレイピアだ。鞘から引き抜く瞬間さえ目撃できなかった。その場に居合わせた全員が、その素早さに、そして双林の右胸に突き刺さる刀身に釘付けになった。
「条件反射だな、まるで。見上げたプロ根性だが、残念ながらこの言葉を録音させるわけには行かない。あと、撮影も許可しない。お前にも、そして私にも害が降りかかるおそれがあるからな」
 鋭いレイピアの切っ先は、双林の右の乳房の手前で止まっていた。間に挟まれているテープレコーダーだけを破壊していたのだ。それを確認すると、レミリアはレイピアを鞘に戻す。
 圧倒的な威圧感。そして、圧迫感に、双林の背中に嫌な汗が流れた。
「…立ち話も何だな。座って話そう」


「騎士の姉ちゃんよォ、俺達にもわかりやすく説明してくれよ。それに、双林、アンタももういい加減吐いちゃえや。隠し事してっと、何かあったときアンタを守れねェぜ?」
 ソロネとミシェルたちが取っていた個室。本来ならば4人までしか座ることの出来ない、たいして広くないスペースに、双林、レミリア、イシュトヴァーン、ソロネ、ミシェル、カーシーが思い思いの場所に腰掛けている。リューナはレミリアの槍へと姿を変え、今は大人しく壁に立てかけられていた。
 自らが破壊した窓ガラスを一瞥し、レミリアが座席に腰掛けた。それに向き合うように双林。ガードするようにとなりにイシュトヴァーン。そしてレミリアの隣にソロネ、カーシーは床に座り込んで、鼻くそをほじってレミリアに飛ばそうとするミシェルにチョップを叩き込んでやめさせている。
「いいだろう。ただしイシュトヴァーン、話を聞くとなると、貴方も巻き込まれる恐れがあるが…了承してくれるか?」
「構わねェよ。女一人守れないような、ヤワな男じゃないしな」
「じゃあ、いい。後で泣かれると困るからな」
 ヘッとイシュトヴァーンが肩をすくめ、レミリアに中指をたてた。それを一瞥し、相変わらずの冷たい視線を双林に向ける。
「…では話そう。あの時、私が男達───フレンズの関係者 ───に手渡した書類
に書かれていたこと。それは『遺伝子配列の部分間変更、及び疑似作成による遺伝子変換配列の成功』について詳しく記載されているレポートだ。書いたのはヒフミ。知ってのとおり、フレンズの代表取り締まり役の堅物だ」
「イデンシハイレツ、ギジサクセイ…? 訳ワカラン」
「人間が人間らしく、外見や内面を全て司る。それら全てがインプットされているのが遺伝子よ」
「ハイレツヘンカンってなんだ?」
「その遺伝子は、一定の…そうね、文字のような物で統一されているの。それは個々によって並び方が違ったりするのだけれど、それを変換配列させて、全く別の個体を作り上げようとすることよ。それによって病気や、怪我になりにくい耐性を持つ人間を作り上げられるのではないかと、大分昔から研究が進められてきたわ。そのことだと思うけど…」
「へぇ、すげえなソロネちゃん。…なぁ、続きはもっとゆっくり聞かせてくれよ。俺のベッドの中で、朝までゆっくりとさぁ…ぶべらっ!」
「寝言は寝てから言え。この大ボケ!」
 鋭いツッコミは双林とレミリアだった。見事顔面に二人分のパンチをめり込ませたイシュトヴァーンが、鼻血をまき散らして床にひっくり返る。それをミシェルがつんつんとつつき、生死を確かめている。カーシーなど十字を切る始末だ。
「コホン。それで、あなたは何でそんな物を手渡したの?」
「『眠っている私』の身体のこと? それとも、遺伝子操作のレポート?」
「どちらもよ」
「…欲張りね。まあいいわ。じゃあ遺伝子操作のことから話そうかしら」
 レミリアが乾いた唇を舌で湿らすと、意味ありげな微笑を浮かべて呟く。
「遺伝子の配列を自分で組み替えることに成功したヒフミは、ひとつのプロジェクトを組みあげた。それは最大の労力を必要とするが、しかし莫大な利益を国にもたらすことになる、信じられないような事だった。あなた、今一番金を稼ぐ方法って、何だか判る?」
「…さあ、そんなことがあるのなら、教えて欲しいわ」
「じゃあ、教えてあげるわ。 ──戦争よ」
「何…!」
 その場の全員が凍り付いた表情を浮かべ、レミリアを凝視する。だが、その凍てつくような視線を、まるで涼しげに感じたような笑みを浮かべながら、レミリアはさも当たり前のような顔をして双林の赤い瞳を覗き込んだ。
「亜種族達との和平条約など、今は結んでいることはいるわ。でも、それは脆い、今にも断ち切れそうなほど薄っぺらいもの。一触即発の現状維持は、飽きることなく平行線を保っている。そこにヒフミは鉄槌を振り下ろすことに決めた。自分と武器開発担当の白金博士が造り上げた最高級の兵器を使用したいのよ、あいつらは」
 双林の薄い唇に、レミリアの形の良い艶やかな唇が、今にも重なり合いそうなほど、顔を近づけ、レミリアは典雅ささえ纏うような口調で続ける。
 瞳に辟易を浮かべながらも、しかし双林は視線を逸らそうと努力を試みる。だが、目線ひとつ動かすことが出来ないほど、圧倒されそうな何かをレミリアから感じ取っていた。
「そのためには、武器を扱う人間が必要だわ。戦場という升目の上を縦横無尽に動ける、数多くの『戦士』という名の駒が。
 武器が強くても、扱う駒が脆弱では意味がない。駒が強くても、手に持つ武器が鉄屑同等でも、同等だ。だからヒフミは考えた。『最強』の武器を『最強』の駒に与えれば、一騎当千の駒が出来上がると」
「そ、それが遺伝子変換配列と、どういう意味があるのよ!」
 口腔に溜まった冷たい唾を飲み込み、双林がそれだけを呻いた。それをレミリアはがっつくな、とでも言いたげに瞳を細めると、小さく息を吐く。そして、双林から顔を遠ざけると、微笑を浮かべたまま口を開いた。
「そこで考えて。なぜフレンズが、我々警備団兼治安維持を担う『サウザンドナイツ』全騎士団を雇ったのか? 躍起になって私がソロネ隊長を連れ戻しに来たのか。簡単な問題でしょう? …そう、私達騎士団のDNAから、何体ものクローンを作り出すの。私と同じ顔の騎士を、何百、何千と。…まあ、気持ち悪い想像だけれどね。あ、別に顔はどうでもいいのかしら」
「なん…ですって…?」
「私の肉片一欠片から作り出されたクローン達は、遺伝子配列変換術を施され、病気や怪我に強い肉体を授かる。戦闘能力の向上や、状況判断の上昇は当たり前。そしてあらゆる優秀な戦闘能力を持つ騎士達から生み出されたクローンは、升目の上を無敵の強さで動き回る駒となる。最強の能力と最強の武器を持ち合わせてね」
 ごくりという唾を飲み込む音が、嫌に大きく聞こえた。だれのものかは判らない。だが、静寂が覆うこの個室は、極寒の場所へと姿を変えていた。
「じゃあ、あなたが言った『もう一人の私』って…」
「そう。あれは私。同じ能力、同じ顔を持つ、私から生まれたもう一つの私。ま、試作品ということで渡されたけれど、今頃何をやっているのかしら? レイプなんてされて無ければいいけれど…、あ、した男達は全員」
 レミリアがクスクスと笑いながら首を親指で掻き切る仕草をする。
「…と、なってるかも。なんせ、私と同じ能力を持っているんだし」
「冗談はいい! そんなことよりだ!」
 ガンと椅子の肘あてを激しく叩いて、ソロネが立ち上がった。怒気を含む形相でレミリアのフルプレートの肩当てを鷲掴みにした。
「そんなこと、許されると思っているのか! 戦争だなんて、私は絶対にやらせない! ヒフミの愚想も、貴女の理解不能な行動も、何一つやらせはしないわ!」
「私も同感です」
 あっけらかんとレミリアが言い放つ。
「ヒフミのことを許せるわけはない。アイツは、この世の理の摂理を乱そうとしている」
「だったら何故貴女はヒフミに手を貸した! 間違っていると気づきながらも、なぜそんなことに…!」
「復讐ですよ」
 その言葉は、広根の怒気を萎えさせるのに十分な効果を持っていた。ソロネはギリッと奥歯を噛みしめると、肩当てを握りしめていた手を弛める。鋼の肩当ては、圧縮されたようにソロネの手形を映し出していた。
「レミリア…まだ、あのことを…」
「どういうことだ?」
 興味津々な顔つきでイシュトヴァーンがソロネとレミリアを見る。レミリアは、ややくぐもった声で呟いた。
「ヒフミは、私の夫を間接的に死に追いやった。事情がどうあれ、アイツをみすみすと手放しにさせておくわけにはいかないのさ。あいにく偽名を使っていた夫の妻が、まさか自分の横についているとは夢にも思っていないだろうしね」
「だったら、何故…?」
 双林の声だ。やや、上擦って震えている。
「何故すぐに復讐しないのかって? だってそれじゃあ楽しくないだろう? 簡単に殺してしまったのでは、私の気がおさまらない!」
 レミリアは、泣きながら笑っているようにも見えた。震える身体を抱き締めるようにして、邪悪な笑みを形作っていた。
「自分が育て上げた兵が、まさか創造主である自分を襲うだなんて、考えてもいないだろうし…ね…」
「レミリア、そこまでよ」
 凛とした声が突然上がった。その声に反応し、全員が声のあがった方向を見る。そこには赤い髪の女が、壁にもたれ掛かるようにして腕を組みながらこちらを凝視していた。いつの間に人化したのであろうか。ダインスレイヴの疑似形態のリューナである。
「いささか喋りすぎだわ。…何を興奮しているの?」
 あきれたような、しかし咎める口調のリューナは、レミリアに怒気を孕んだ視線を投げかけていた。その視線で、まるで石化してしまったようにレミリアは微動だにしなくなった。頬ら、一筋の汗が流れ、足下の床に吸い込まれていく。
 リューナはコツコツとブーツの踵を鳴らしながら、双林に近づく。そして、白くなるほど握りしめていたその拳をぐいとつかむと、双林を無理矢理座席から立たせる。険悪なムードに、イシュトヴァーンがナイフを取り出し、ソロネが身構えた。殺気を感じ取っているのかいないのか、ミシェルは床に大の字になって眠り込んでいる。
「双林、そういうことで、今あなたがここでその映像を公表されると、レミリアの復讐劇に亀裂を生じることになるの。レミリアのためにも、あなた自身の命のためにも、それは預けさせてもらいたいのよ。判って頂けて?」
 断る! そう双林が口を開こうとした瞬間には、メシリという、金属とも木製品ともとれない、何かを握りつぶすような音が響く。
「ああッ…ぐああぁぁッ!」
 双林の左手が、万力で重圧されたようにひしゃげ、5本の指があらぬ方向へと曲がった。真っ赤な鮮血がパッと舞い、血塗られたピンク色の骨が皮膚を突き破って外部へと姿を現している。だが、そのうちの2本の骨に、赤と黄色のコードが螺旋を描き、絡まっている。それを見つけたリューナは、素早くコードを引き千切ると、同時に双林の母指と人差し指を捻り切った。
 パタパタと、滴る流血が床を叩き、軽い音をあげる。破壊された右手から、引き出されたふたつのコードは、神経のように力無く双林の手から垂れ下がり、血がつたっていた。その血溜まりの中に、リューナは捻り切った双林のふたつの指を放り投げる。カランという、想像できない、堅い音が部屋に響いた。
「指の中にCCDカメラを埋め込んでいるとは…気づかなかったわ。今の会話も、全部あなたの頸椎に埋め込んであるメモリーに、記録されてしまったという事ね…。まぁいいわ。あとでゆっくりと取り出してあげる。バラバラに引き裂いて!」
「う…ぐぁ…ッ!」
 片手一本で、双林のベストを掴んで、軽々と持ち上げるリューナの、信じられない膂力に、しかしイシュトヴァーンが驚愕しながらも流星の如き一撃を投擲した。続けてソロネが至近距離からナックルダスターの鋲を、リューナの顔面に叩き込む。だが、それは鈍く、重い金属音に弾かれ、ナイフが弧を描きながら天井に突き刺さり、ソロネの拳はいとも簡単に弾かれた。
 レミリアが、紫電のような早さで、リューナを防護していた。レミリアの手には、騎士団のシンボルでもある天使の羽根が描かれた、カイトシールドが握られていた。
「じゃあ、また逢いましょう、イシュト。今度はベッドではなく、戦場で一戦交えるかもね」
「待てッ!」
 突き出された拳は、空を切った。双林を連れたまま、リューナとレミリアは車両から飛び出し、そしてかき消えるように背景と同化し、完全に気配を消した。
「ッきしょう! 逃げられた!」
 ガンと窓枠を叩くイシュトヴァーンが、ふと部屋の中を確認した。
 床に広がる血溜まりと、そこに転がるふたつの指。そこから覗くのは、小さなレンズだった。それを物珍しそうに拾い上げるソロネの姿。そして、むにゃむにゃと何かを呟くミシェル。
 一人足りない。誰かが、一人、存在していない。
 その人物の名前を思い出したとき、イシュトヴァーンは背後に広がる荒野を振り返った。
「…カーシーのじいさん…? どこだ?」
    
  


あとがき
 ものすごく遅くなってすいませんでした! 色々忙しくて…でも、やっと続きが書けて嬉しいです。というわけで4話目です。
 なんだか規模がでかくなってきました。メタルギアソリッドのような話の展開。書いてて訳判らなくなってきたりして(笑)。
 そしてはとこに嫌な事を報告しなくてはなりません。
 あと2話で、終わりません(苦笑)。どうしましょう…。


 

ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜

今回から『戯言ッ!』ではなくて『戯言〜』になりました(どうでもいいし)

さてさて〜うあ、序盤の戦闘がカッコいいしッ!
・・・ん、戦闘とは呼べないか? ハンデありすぎるし(金属防具フル装備に徒手空拳じゃ勝負にならないか)
でも、カッコいい〜

中盤。
レミリアさんの説明はイシュトヴァーン状態(苦笑)。
うーん、SFって感じ。

え? あと二話で終わらない? おーけおーけ、オイラは一向に構いませんよ(いやむしろ・・・)
どうしましょうか? 頑張ってください(オイ)。

でわでわ次回も楽しみです〜


INDEX

→NEXT STORY
5TH ACTION