以前の「ひとこと」 : 2022年9月前半
それぞれの日の記事へのリンクです
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9月1日(木) あやとり「ナイオの木」のCG、他
9月になりました。今日はあやとりの話です。
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先月何回かご紹介した(数学の結び目理論の)結び目のCGソフトで、あやとりナイオの木を作ってみました。このあやとりは「1回転ひねったはじめの構え」から取り始めます。
1回転ひねったはじめの構え 立体的なあやとりの写真をうまく撮る方法はまだ確立できていないのでご紹介したことがなかったのですが、CGならば一度モデルを作ればいろいろな視点から眺めてみることができるな、と思ってがんばって作ってみたのです。こんなものができました。(いずれもクリックで拡大します。)
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図 1
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図 2
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図 3 2枚の画像を切り替える「ぷるぷる立体表示」にしてみました。
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図 4 中央に木の幹が垂直に立ち、大きな日よけのように水平に広がっているイメージです。たいへん美しいあやとり作品だと思います。
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先日来、Qの構えから始めるあやとりをいろいろ試してみています。場合によっては通常の「Qの構え」ではなく、それを180度回転した「逆Qの構え」(逆「Qの構え」という表記のほうが好きです)を使うほうが良い場合もあるように思います。
「Qの構え」 逆「Qの構え」 「Qの構え」から様々なあやとりを取る手法として、「Qの構え」の親指・小指の輪を手首に落とし、Qの縦の糸を新たに親指・小指に掛けたかたちを「はじめの構え」とみなして取るということを試してみています。この「Qの構えからの手首の輪を作ってはじめの構えとする」オープニング(開始処理)を「デッキチェアの構え」と呼んでみました。
「デッキチェアの構え」 名前の由来は、以下のような図をイメージしたためです。
「デッキチェア」のイメージ図 これらを活用したあやとりを取ってみました。二段ばしごとの組み合わせです。
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hh220901-1 hh220901-2
- 「デッキチェアの構え」
- Qの構え
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
- 「二段ばしご」(手首の輪は無視して)
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 親指を外す
- 親指で小指向こうの糸を取る
- はしご展開
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指で逆ナバホ取り
- 逆「デッキチェアの構え」
- 逆「Qの構え」
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
- 「二段ばしご」(手首の輪は無視して)
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 親指を外す
- 親指で小指向こうの糸を取る
- はしご展開
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
どこがどう違うのかの説明は省きますが、手順の違いが完成形に反映されています。(右の赤いほうがお気に入りです。)
一昨日にご紹介したこれらのあやとり作品と比べてみても面白いです。
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hh220830-1(再掲) 「8つのダイヤモンド」 SHISHIDO yukio 1981
<おまけのひとこと>
今日は忙しいです。今、朝5時です。この時間、しばらく前ならばすっかり明るくなっていたのですが、まだ薄暗いです。急がないと…
9月2日(金) 五角形のコースター、あやとり
五角形のタイリングの話とあやとりの話です。
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先月行った雑貨屋さんで、こんなコースターを買ったのです。
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写真 1 写真 2 セール期間中で1割引だったのですが、それでも1つ700円しました。石でできた美しいタイルです。素足の上に落っことしたりすると怪我をしそうなので、気を付けて扱おうと思っています。
これ、タイリングできそうだな、タイリングできるんだろうな、と思ったのです。上の写真からかたちをトレースしてみました。
図 1 これはきっとカイロタイリングだろうと思って並べてみました。カイロタイリングは合同な五角形4つで、(平行四辺形の六角形版の)平行六辺形(向かい合う3組の辺が平行で長さが等しい六角形)を作って、それで平面をタイリングします。
図 2 ぴったりくっつけて並べると寸法が合わないところがあるのです。これは、部材を切り分けた後で周囲がなめらかになるように切削研磨加工しているためだろうと思います。
こんな感じかなあと思います(図3)。
図 3 ○
昨日の「デッキチェアの構え」からの創作あやとりです。
「デッキチェアの構え」
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hh220902-1 hh220902-2
- 「デッキチェアの構え」
- Qの構え
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 人差し指の手前の糸を親指で取る
- 人差し指の向こうの糸を小指で取る
- 人差し指を外す
- 親指・小指でナバホ取り
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
- 「デッキチェアの構え」
- Qの構え
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 左右の人差し指の輪を交換する
- 人差し指の手前の糸を親指で取る
- 人差し指の向こうの糸を小指で取る
- 人差し指を外す
- 親指・小指でナバホ取り
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
右側、1か所だけ手順を加えています(人差し指の輪の交換)。そのため、出来上がりで中央上下の交差が絡みに変わっています。
<おまけのひとこと>
タイリングは面白いなあと思います。
9月3日(土) 正七角形のタイリング(その1)、あやとり、他
タイリングの話とあやとりの話です。
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カイロタイリングを調べていたら、こんなタイリングパターンを見かけたのです。
図 1:正七角形と五角形のタイリング 使われているパーツな2種類で、正七角形と五角形です。五角形は左右対称で、5つの辺のうち4本の長さが等しいです。
図 2:五角形と正七角形 このタイリングパターン、五角形と七角形の数の比率はどのくらいでしょうか? 面積は七角形の領域のほうが明らかに広そうですが…
また、このタイリングパターンを塗り分けるとしたら何色必要でしょうか? 有名な「四色問題」で、4色あれば十分であることは証明されていますが、3色で塗り分けは可能でしょうか? さらに、塗り分けたときのそれぞれの色の領域の面積を等しくすることはできるでしょうか?
(つづく) ○
「デッキチェアの構え」→「何かのあやとり作品」→「手首の輪を親指・小指にかけてナバホ取り」という手順で、「何かのあやとり作品」のところをいろいろと試してみています。
「デッキチェアの構え」 今日はこのパターンでキツネのたんぽぽをやってみました。リンク先はいつもお世話になっている石野さんのサイトです。「2本ほうき」という名前で開くと思いますが、私はこのあやとり作品を野口広「あやとり」で「キツネのたんぽぽ」として知ったので、そちらの名前で呼ばせていただいています。
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キツネのたんぽぽ ほぼ想定通りの出来上がりになりました。
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hh220903-1 ○
明け方、曇っていたのですが雲の隙間の1か所から朝焼けが見えました。
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空 1 その部分に光学ズームしてみました。
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空 2 カメラのカラーバランス、いまひとつです。本物はもっとずっときれいに見えました。
<おまけのひとこと>
週末は嬉しいです。
9月4日(日) 破壊された現代アートからの発想によるアート作品
美術館に行った話です。今日は日曜日なのでお出かけの話だけです。
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昨日の朝、新聞を見ていたらこんな記事があったのです。
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2022年9月3日(土) 朝日新聞長野版27ページより この記事、ネットでは8月28日(日)に公開されていたみたいです。
新聞のよくわからない写真を見て、俄然興味を惹かれました。この記事を読んだのが昨日の朝7時ころで、この展示は9月4日(日)までとのことなのです。調べてみると、中央道の最寄りICから豊田飯山ICまで高速道路で120kmくらい、その後一般道の国道117号線で65kmくらいで到着するようです。高速が80km/h平均だとして1時間半、一般道が40km/h平均だとしてやっぱり1時間半くらい、途中の休憩などを含め、片道3時間半〜4時間くらいです。(googleの経路探索だと3時間弱、車のカーナビだと4時間という見積もりでした。)朝8時に家を出て、12時前くらいに現地について、2時間くらいは滞在できそうです。これは行くしかあるまい、と即断即決しました。
車での遠出は妻が私とは一緒に行きたがらないのでこのところはいつも一人で行動していたのですが、「美術館ならば一緒に行く」ということだったので二人で出かけました。朝8時前に家を出た直後くらいから大雨になってちょっと大変でした。高速に乗ってすぐ、諏訪湖SAでガソリンを満タンに入れて、途中、長野道の姨捨SAで20分ほど休憩を取っただけで11時半前くらいには目的地に到着しました。
目的地は十日町の「越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)」という美術館です。妻有は「つまり」と読みます。妻有ってなに?(新潟県十日町市・津南町の事です)というページがありました。 ちょうど「越後妻有 大地の芸術祭 2022」の期間中で、特別展示もあって、入館料は大人1,500円でした。
いろいろ面白い展示がありましたが、目的のクワクボリョウタ氏の「エントロピア」が一番印象に残りました。会場は真っ暗な部屋で、中央に照明が1つ下がっており、いろいろなかたちをした鏡が一見ランダムに置かれています。周囲の壁を見ると、まるで石垣か何かのように、ランダムな多角形の像がタイリングされているのです。
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クワクボリョウタ「エントロピア」(写真1) かたちも大きさも向きもデタラメに置かれているように見える鏡の反射像が、タイルのように帯状に壁を取り巻いているのです。
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クワクボリョウタ「エントロピア」(写真2)
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クワクボリョウタ「エントロピア」(写真3) 写真ではわかりませんが、四方の壁全てにほぼ同様の幅のランダムなタイルパターンが配されているのです。これを調整するのはすさまじく大変だろうな、と思いました。仮にCGで作るなら、先に壁のタイリングパターンを決めて、そこに像を結ぶように床の鏡のかたちや大きさ、位置姿勢を計算で生成することができるかもしれません(点光源の位置を決める必要があります)。でもそうではなく、意志を持って壊されてしまったご自分の作品を片付けながら発想され、それを新たにかたちにして作品として展示されている、というところが素晴らしいと思うのです。
見学は、待ち行列の椅子に並んで、スタッフの方が1〜2グループごとで4〜5名程度のチームに区切って会場内に案内してくれます。中は暗いので、スタッフの方の懐中電灯のあかりで床に張られた白いテープの導線に沿って歩いて入場します。実に美しい展示でした。
この「エントロピア」の展示は本日9月4日までで、9月8日からは本来の作品である「ロスト シックス」の展示が始まるそうです。さすがにもう一度ここまで行くことはなさそうですが、こちらも素敵な作品のようです。(クワクボリョウタ 7/30より特別作品展示、9/8より「LOST#6」再公開)また、この経緯がこちらのディレクターズコラム大地の芸術祭あれこれ7(執筆8/4)に載っていました。
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上の「エントロピア」は、「越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)」の展示の順路のほぼ最後のものでした。訪問の最大の目的を果たして、ミュージアムショップやカフェのある棟に曲がってゆくと、こんなテーブルがありました。
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テーブル このデザインが何を表しているのかよく考えないまま、黒い模様がちょっとずれているのが気になって丸テーブルの位置を勝手に微調整しました。そうしたら、通りかかったスタッフの方が「直してくれてありがとうございます」と声をかけて下さって、これがこのあたり(十日町)を流れる信濃川の図案であること、全部で丸テーブルは10脚くらいあって、それを全部つなげることができるが、いつもは別々に活用していることなどを丁寧に教えてくれました。
10脚もあったら並べ替えの順列の数はすごいことになるので、何か番号でも振っておかないとえらいことになりそうだなと思いました。(テーブルの裏をのぞいてみればよかったと思いました。)
この後、ミュージアムショップに寄ったのですが、私は今回は珍しく何も買いませんでした。妻はボールペンを1本買っていました。
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11時20分くらいに入場して、出てきたのは12時45分くらいでした。「おみやげ館」を見学し、そろそろお昼にしようか、ということで「つまり食堂」に入りました。越後の名物の「へぎそば」があったので食べてみました(「天へぎそば」税込1,400円)。
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天へぎそば 久々のへぎそば、とても美味しくいただきました。
2019年ころ、東京の中央区の新川に出張で毎月行く機会があったのですが、そのときにひいきにしていた立ち食いそばのお店が越後そばで、へぎそばが食べられました。(こちら)
がんぎ 実は昨日は朝も姨捨SAでかき揚げそば(温かいそば)を食べたのです(写真も撮りましたが、これはさすがに載せなくていいかな)。麺類が好きで、立ち食いそばが好きで、出かけるとついついいろいろなところでおそばを食べてしまいます。
<おまけのひとこと>
姨捨SAで、一人でカツカレーを食べている若い男性がいたのです。その方がなんとなくデイリーポータルZのライターの江ノ島茂道さんみたいだなあと思ったのです。まさかね…
9月5日(月) 正七角形のタイリング(その2)、あやとり、霧神楽
タイリングの話、あやとりの話、現代アートの話です。
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一昨日、こんなタイリングパターンをご紹介しました(クリックで拡大します)。
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再掲図:正七角形と五角形のタイリング これは全ての頂点の次数が3です(3-正則グラフ)。偶数頂点の周りは2色で塗り分けられますが、奇数頂点の周りは3色必要です。また、五角形の周囲を考えると、このタイリングパターンを塗り分けるには4色必要であることがわかります。
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図 1:4色必要な理由 実際に4色で塗り分けてみましょう。まず、正七角形の部分を2色で塗ってみます。素直にこんな風に塗ることができます。
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図 2:正七角形を2色で塗る さらに五角形の部分を塗ってみます。新たに2色必要です。
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図 3:さらに五角形を2色で塗る 五角形の部分の2色はどちらの色を左にするかはランダムに決められますが、ここではすべて同じにしました。この塗り分け方だと、明らかに赤と青の面積のほうが黄色と緑の面積よりも広いです。4色すべてが同じ面積になるように塗り分けることはできるでしょうか?
(つづく) ○
「Qの構え」→「デッキチェアの構え」からのあやとりです。今日、中央に配置するのは 材木運び です。
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Carrying wood こんな仕上がりになりました。
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hh220905-1
- 「デッキチェアの構え」
- Qの構え
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
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- 「材木運び」(親指と小指に仕上げる)
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 親指と人差し指で小指の手前の糸を取り、小指の輪を外す
(小指の輪を親指と人差し指に移す)- 人差し指の2つの輪を小指に移す
- 小指でナバホ取り
- 親指で二重ナバホ取り
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
中央の六角の花弁のようなところがきれいだと思います。
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現代美術館の展示の話のつづきです。「越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)」は四角い回廊のような建物で、中庭に相当する部分が四角くて浅い池になっています。一見、水面に建物が映っているように見えますが(写真1)、実はこれは鏡像ではなく、池の底に描かれているのです。(想定する視点からの写真が撮れなかったのが残念です。)
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写真 1 視点を変えると池の底の絵はこんな風に見えます。
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写真 2 こんな壮大な「だまし絵」を見られただけで「来てよかった」と思いました。
3時間半のドライブの後、美術館に到着して、見学をする前に最初にカフェでコーヒーを飲んで一息つきました。そのときの視点が下の写真3.だったのですが、この時点では池の底の絵の意味は全く気が付きませんでした。
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写真 3 ぼんやり眺めていたら池の中央から突然霧が出てきたのです。
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写真 4 これは「越後妻有(つまり) 大地の芸術祭 2022」の企画の 霧神楽(きりかぐら)でした(と後で知りました)。リンク先には「公開休止中」と書かれています。実物を見て感じることができて幸運でした。
30分ごとに見ることができるのですが、上の写真は11:30の回のものです。一通り見学をして、12:30の回のときは5分ほど待って正面から鑑賞させていただきました。
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霧神楽 1 ![]()
霧神楽 2 ![]()
霧神楽 3 ![]()
霧神楽 4 ![]()
霧神楽 5 ![]()
霧神楽 6 最初は中央の台のようなところから霧が出るのですが、後半(上の写真の4と5の間あたり)は池の縁の噴出孔からも霧がでてきます。
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噴出孔 天候や気温・湿度などの変化で雰囲気も変わるのでしょうし、意図通りに霧を作り出すのは大変なのだろうと思いました。
実際の空は池の底に描かれた青空と違って曇り模様でしたが、とても楽しく鑑賞させていただきました。
ちょうど見終わったころ、また雨が降ってきました。波紋がきれいでした。
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雨 「越後妻有(つまり) 大地の芸術祭 2022」、ほかにも見てみたいものがありました。今回もとても楽しかったので、また行こうかなと思いました。
<おまけのひとこと>
せっかく写真を撮ったので、喜んで並べてみました。
9月6日(火) 正七角形のタイリング(その3)、あやとり
タイリングの話とあやとりの話です。
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正七角形を六角格子のように並べて、隙間を二等分するタイリングの塗り分けを試みています。このパターンは4色必要だということを示しましたが、
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4色の面積が均等になるように塗り分けられないでしょうか。
塗り分けの試行錯誤してみる前に、そもそもこのパターンの正七角形と五角形の数の比率を調べることにしました。このパターンには水平な線分、垂直な線分があるので、それを延長することで長方形の領域に分割してみました。
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図 1:正七角形と五角形のパターンの単位周期 折り返しなしで単純な平行移動で重なる基本単位はこの長方形の部分であることがわかります。
図 2 これがわかれば、この基本単位の中に正七角形と五角形がそれぞれいくつ入っているかを調べれば比率がわかります。
図 3a:正七角形の数 図 3b:五角形の数 上の図のように、どちらも 1 + 1 + (1/2) + (1/2) + (1/2) + (1/2) = 4 で、4個ずつであることがわかりました。つまり、このタイリングパターンにおいて、正七角形と五角形の数は同じなのです。ちょっとびっくりしませんか。
これがわかったので、4色均等塗り分けの最小限の基本単位(長方形とは限りません)は正七角形と五角形が各色1つずつでできる可能性があることがわかりました。残念ながら図2を4色に塗るわけにはいきません。どの七角形も、4つの五角形すべてと接しているためです。
(つづく) ○
このタイリングパターンを見ていたら、昔ご紹介した2種類のサイズの円による最密充填のうちの1つを思い出しました。
再掲図 これも大小2つの円の数の比率は、繰り返し単位である図中の平行六辺形に含まれる大円は2個、小円はもちろん2個なので、数は等しいことがわかります。(六角形の中の大円が2個であることは説明しませんが、六角格子を描いてみればわかりやすいと思います。)
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昨日の「デッキチェアの構え」から「材木運び」、もう少し長いあやとり紐で取ってみました。せっかくなので全く同じものを取るのではなく、逆「デッキチェアの構え」から取ってみることにしました。
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hh220906-1 hh220905-1(再掲)
- 逆「デッキチェアの構え」
- 逆「Qの構え」
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
- 「材木運び」(親指と小指に仕上げる)
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 親指と人差し指で小指の手前の糸を取り、小指の輪を外す
(小指の輪を親指と人差し指に移す)- 人差し指の2つの輪を小指に移す
- 小指でナバホ取り
- 親指で二重ナバホ取り
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
- 「デッキチェアの構え」
- Qの構え
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
- 「材木運び」(親指と小指に仕上げる)
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 親指と人差し指で小指の手前の糸を取り、小指の輪を外す
(小指の輪を親指と人差し指に移す)- 人差し指の2つの輪を小指に移す
- 小指でナバホ取り
- 親指で二重ナバホ取り
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
どちらもいいなと思いました。
<おまけのひとこと>
今日は忙しいので朝3時からこのページの更新作業を始めたのですが、もう4時半を回ってしまいました。また慌ただしくなってしまいました。
9月7日(水) 金拾い、あやとり
将棋の駒を使ったパズルの話とあやとりの話です。
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正七角形と五角形のタイリングの塗り分けの話はいったん置いておいて、今日は別の話題を書きます。
将棋のコマを使ったこんなパズルを知りました。情報源はこちらhttps://twitter.com/propara/status/1566723118231855104で、上田吉一さんという方の作品だそうです。自前で図を作ってみました。
将棋の盤面に自分のコマの「金」が置かれています。将棋の金将の動きで、全ての〇印のマスを1回ずつ通ってください。〇印のないマスには入ってはいけません。同じマスに2回入るのもダメです。
図 1 ご存じの方が多いとは思いますが、一応「金将」の動きを紹介しておきます。周囲の8近傍のうち、斜め後ろ以外の6か所に移動できます。この「斜め後ろには動けない」というところがポイントになっています。
参考:「金」の動き 答を思いつくのに5〜10分くらい掛かった気がします。楽しかったです。(答の図をこちらに用意しました。別窓で開きます。)
これを見て、伝承パズルとして有名な碁石ひろい(Goishi-Hiroi, Hiroimono)を連想しました。なので勝手にこの「金将」で拾うパズルを「金拾い」と呼んでみました。「碁石拾い」のほうは碁石を拾いますが、「金拾い」のほうは金将で拾いますので、あまり適切な名前ではありませんが…
とりあえず、古典的な「碁石拾い」の問題を「金拾い」のルールで解いてみました。金将の初期位置を自由にすると難易度が下がる場合が多いと感じたので、「金拾い」の場合は金将の初期位置を与えることにしましたが、問題によっては初期位置は自由としても良いかもしれません。(そこまで難しい難易度の問題はまだ作れていません。)
問題 1 問題 2 問題 3
問題 4 問題 5 問題 6 問題1はtwitterのオリジナルの問題から「碁石拾い」の有名な問題を連想したものです。
問題2、これも「碁石拾い」では有名ですが、「金拾い」としては易しいです。1手目は確定しています。分岐のところでどちらに進むのかだけが問題です。
問題3、漢字の「中」の字のかたちです。
問題4、これも「碁石拾い」では難しい問題ですが、「金拾い」ではそれほど難しくないと思います。
問題5、「碁石拾い」の古典問題の「矢羽」ってこんなかたちだっけ? と思って作ってみたものです。
問題6、可能性がありそうなルートが複数見える問題を作ってみたくて考案しました。残念ながらこれも複数解があります。
これは「碁石拾い」では解はなさそうな気がしました。問題1から問題6のいずれも、碁石拾いの問題としても成立していると思います。碁石拾いとして解く場合は金将の初期値は関係なく、どこから拾い始めても良いです。いずれの問題もそれほど難易度は高くないと思います。「金拾い」は「碁石拾い」に比べると解いて面白い難しい問題を作りにくいかなと思いました。
(つづく) ○
逆「デッキチェアの構え」から「二段ばしご」という創作あやとりを先日ご紹介しましたが、
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hh220901-2(再掲) これを「四段ばしご」でやってみました。
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- 逆「デッキチェアの構え」
- 逆「Qの構え」
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
- 「四段ばしご」
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
意外なことにあまりきれいなかたちになりませんでした。
<おまけのひとこと>
昨夜は夜中に目が覚めてしまって、「金拾い」の問題をいろいろ考えていたら3時間くらい経ってしまいました。明け方2時間ほど眠ることができました。
9月8日(木) 「金拾い」と「銀拾い」、あやとり、他
将棋の駒を使ったパズルの話とあやとりの話です。
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まず最初に昨日ウソを書いてしまったので訂正です。下の配置、碁石ひろいのルールでは取れないのではないかと書いてしまいましたが、ちゃんと解がありました。
図 1 答の図をこちらに用意しました。(別窓で開きます。)
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昨日、将棋の「金将」の動きで全ての石(マル印)を取り尽くす話をご紹介しました。自然な発想として、「金将ではなく銀将だったら?」と思いました。
「金将」の動き 「銀将」の動き 金将の動きでの石拾いを「金拾い」と呼んでみましたが、同様に銀将の動きによる石拾いは「銀拾い」と呼んでみることにします。
せっかくなので同じ石の配置で、金将でも銀将でもちょっとは考えないと解けない問題ができないだろうか、ついでに「碁石拾い」としても成立していたりしたらいいなあ、と思って少し考えてみました。結果として「金拾い」「銀拾い」「碁石拾い」が全て成立して、かつそれほど自明でない良い例は思い付きませんでした。
問題 1a:金拾い 問題 1b:銀拾い 問題 1c:碁石拾い 上の3つは石の配置は同じで、「金拾い」「銀拾い」「碁石拾い」のルールで取り尽くせます。「碁石拾い」のことを「飛車拾い」と呼んだらどうだろう? 思い付いたのですが、飛車の動きを許すと「後戻り」ができるようになってしまうので誤解を招きそうですのでそう呼ぶのは止めることにしました。
次は、「金拾い」「銀拾い」が成立している配置です。「碁石拾い」は解がないと思います。
問題 2a:金拾い 問題 2b:銀拾い
問題 3a:金拾い 問題 3b:銀拾い 次は「銀拾い」「碁石拾い」が成立している配置です。この「碁石拾い」(下の問題4b)、ちょっと考える問題だと思います。「銀拾い」としてはそれほど難しくないです。大きく「左上」「左下」「右下」の3つのブロックがありますが、どこから拾いに行くかが大事です。
問題 4a:銀拾い 問題 4b:碁石拾い 複数のルールで同じ石の配置が共通だというのは面白いと思うのです。
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昨日のあやとりがちょっと気に入らなかったので、「四段ばしご」の部分を「絡みのない四段ばしご」に変えてみることにしました。
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四段ばしご 絡みのない四段ばしご 昨日のものは逆「デッキチェアの構え」でしたが、今日は普通の「デッキチェアの構え」から取ってみました。
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hh220908-1
- 「デッキチェアの構え」
- Qの構え
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
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- 絡みのない「四段ばしご」
- 人差し指で掌の糸を取り合う
- 親指を外す
- 親指を人差し指の輪に下から入れ、小指の輪の下から小指の向こうの糸を取る
- 小指を外す
- 小指で親指の向こうの糸を取る
- はしご展開
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
昨日のものをもう一度載せておきます。
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hh220907-1(再掲) 今日のもののほうが少しはましかな…
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昨日、東京大学本郷キャンパスの安田講堂に入る機会がありました。
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安田講堂 1988年から1994年に改修工事がされたそうで、今回初めて講堂に入りました。イベントがあって、職場の同僚が壇上に上がるということで、写真を撮りに行ったのでした。まだあまり人が集まる前に入ったので、スイングパノラマで内部を撮ってみたのでした。
<おまけのひとこと>
久々に「碁石拾い」をやったら、古典問題をだいぶ忘れていることがわかりました。
9月9日(金) 正七角形と五角形のタイリングの色分け(その1)
タイリングの色分けの話です。今日は簡単な更新です。
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正七角形を用いたこんなタイリングパターンをご紹介して、
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これが七角形と五角形の数が同じであることを火曜日に示しました。今日はこのパターンを4色の面積比が等しくなるように塗り分けてみたものを2つほどお示しします。
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図 1
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図 2 図1 と 図2 は何が違うでしょうか? どちらがよりシンプルでしょうか? 塗り分けの基本単位はそれぞれどの部分でしょうか? これ以外の等面積の塗り分けを思い付きますか?
(つづく) ○
「うちの車の上でよそのネコがくつろいでいます」という写真を妻が撮ってくれました。
ネコ うーむ、困ったものです。
<おまけのひとこと>
すみません今日は時間がなくてあやとりのご紹介はお休みです。
9月10日(土) 正七角形と五角形のタイリングの色分け(その2)、東京宿泊
土日の2日分をまとめて更新しています。
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昨日、七角形と五角形の塗り分けを2通りご紹介しました。これはこんな方向性を感じるパターンだったかと思います。
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再掲図 1 再掲図 2 図 1 図 2 図1、図2の基本単位は下のようなものでした。これらを単に平行移動して並べているだけです。
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図 3 図 4 この塗分け方、斜めの規則性が見えすぎてしまうのがちょっと残念だなと思いました。こんな塗り分けに挑戦してみたのですが、まずは失敗してしまいました。
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図 5 白く塗り残した五角形の部分、その周囲ですでに4色を使ってしまっていますので、5色目が必要になってしまいました。間違えた…
(つづく) ○
火曜から木曜まで出張でした。以前泊ったことのある「江戸屋」という和風のホテルが気に入って、今回もそこに泊りました。今回の目的地は東京大学本郷キャンパスだったので、湯島にあるこのホテルからだと歩いて行かれるのです。本郷キャンパスはどの最寄り駅からもそれなりに歩かなければいけないので、これが一番楽かなと思ったのです。
おそらくそんなに人気があるホテルではないだろうと高を括っていて、出かける前々日まで予約していなかったのですが、さすがにそろそろ予約するかと思って調べてみたら残り一室となっていてあせりました。
今回泊った部屋は期待通り好みの部屋でした。こんな間取りでした。(寸法などは若干不正確です。)
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blogのほうに写真などを載せていますので興味がある方はご覧下さい。
<おまけのひとこと>
前回この宿に泊まったのは昨年11月の「あやとり会」に参加をしたときの前日でした。このときにも前日に本郷キャンパスに用事があったのでした。
9月11日(日) 正七角形と五角形のタイリングの色分け(その3)、あやとり
タイリングの話の続きとあやとりの話です。
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昨日塗り分け損なったタイリングパターン、こんな風に仕上げました。図1のほうが繰り返し単位がシンプルなもの、図2のほうが周期構造がパッと見てわかりにくいもの(を目指したもの)です。
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図 1
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図 2 下の図は、上の図2の途中図です。このつづき、塗れそうでしょうか?
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図 3 これらのパターンはいずれも4色で塗り分けていて、慣れていないと見分けるのは難しいかもしれません。私が過去に作った図を見比べるとき、例えばこんなところに注目してみたりしています。
このタイリングパターンには五角形が2つ並んでいる箇所があります。ここに現れる配色パターンを全部挙げてみるのです。今日の図1ならば下の4パターンがあります。
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図 4 一方、今日の図2には下の8パターンがあるのです。
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図 5 左右が逆になったものも別パターンとして数えます。ですので、全部で12パターンあるはずです。(同じ色は隣接しないので、4×3=12パターンです。)12パターン全てが現れる4色均等な塗り分けパターンができないかなと思っているのですが、まだ見つけられていません。
ところで今日の2パターン、繰り返しの基本パターンがどの部分なのかわかりますか?
(つづく)かも ○
「Qの構え」→「デッキチェアの構え」のオープニングから、「四隅の小さな輪の処理」をやって「小さいアムワンギヨの終了処理」、「デッキチェアの終了処理」で仕上げてみました。
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hh220911-1
- 「デッキチェアの構え」
- Qの構え
- 親指・小指の輪を手首に落とす
- Qの左右の縦の糸を親指・小指にかける
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- 四隅の小さな輪の処理(2つ隣)
- 小さいアムワンギヨの終了処理(←ひねらない)
- 手首の糸を親指・小指にかける
(もともとの輪の上=指先側に)- 親指・小指でナバホ取り
すみません、説明が不十分ですね。
<おまけのひとこと>
格子パターンの塗り分け、自分でやっているととても楽しくて時間を忘れて没頭してしまうのですが、単に結果だけを見ても何が面白いのかよくわからないかなあと思います。マグネットシートをカットして並べて遊んだら楽しいかもしれないとも思いました。もしくはキルトで作るとか。
9月12日(月) 正七角形と五角形のタイリングを壁紙にしてみる、他
タイリングの話の続きです。今日は時間が無くて簡単な更新です。
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先日来ご紹介している正七角形と五角形のタイリング、壁紙仕様にしてみました。下の画像をクリックすると、別窓でブラウザ背景としてこの画像を並べたページを開きます。
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図 1 もう1つ、こちらも同じです。
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図 2 ○
長方形の繰り返し単位を作ったので、トーラス面にマッピングしてみました。アニメーションを直接ここに載せるとページが重くなるので(そういう過去ページが多くて反省しています)、ここには静止画像を載せてアニメーションのgifファイルにはリンクを張っておくことにしました。
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図 3a 図 3b 上記の画像どちらからも同じファイルにリンクしています。
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長方形の用紙から折る箱の折り紙がありますが、これを少しだけアレンジして、深さが浅くて底が少し広い折り方をしてみました。
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写真 1a 写真 1b 丈夫な紙で折ったほうがかたちがきまりやすいです。
<おまけのひとこと>
すみません今日はあやとりの話はパスです。
9月13日(火) ワグナーグラフの単位長グラフの模型、あやとり
単位長グラフの模型の話とあやとりの話です。
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先月、ワグナーグラフを3次元の単位距離グラフにしてみるという記事を書きました。
これの模型を作ってみました。
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写真 1a 写真 1b ![]()
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写真 1c 写真 1d 上下の辺が交差しているところをタコ糸で縛っています。そうしないと残念ながらこの形で安定してくれません。
これを作るのは思いの外ややこしくて、恥ずかしながら付箋紙で外周の辺にラベルを振って作りました。手芸用のゴムで作っているのでかたちを変えることができます。が、このかたちにするのがちょっと大変だったのでこのまま飾ってあります。
辺の部分の材料は紙製のストローです。長さ21cm(A4サイズの用紙の短辺の長さ)です。このままだと模型としても大きいし、ゴム紐もたくさん使ってしまうので、ストローを半分に切って使っています。
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写真 2 実物を作ってみると楽しいです。
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あやとりです。「デッキチェアの構え」から、蛾・めがねをやってみました。
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hh220913-1 「蛾・(もしくは)めがね」というのはこんな伝承あやとりです。
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sf220913-1:蛾・めがね 今日は手順は省略です。
<おまけのひとこと>
ホーガンのSF小説「星を継ぐもの」の3部作が好きなのですが、第4部「内なる宇宙」は未読でした。先日図書館にあったので借りてきました。それなりに厚さのある上下巻なのですが、一気に読んでしまいました。ここまでの3部作とはちょっと雰囲気が変わりましたが、これはこれで面白かったです。でもやっぱりシリーズ1冊目の「星を継ぐもの」が一番好きです。
9月14日(水) ワグナーグラフの単位長グラフの模型の変形、あやとり
単位長グラフの模型の話とあやとりの話です。
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昨日のワグナーグラフの等長グラフの模型をいろいろ変形してみているのですが、1つ疑問が浮かびました。
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この模型の凸包を考えると、下の図2のように四角反柱のかたちになっています。
図 1 図 2 外周の経路長8の閉路が四角反柱の側面の三角形のジグザグの稜線になっていて、上下の十字に交差した辺は底面の正方形の対角線になっています。
図 3:底面の対角線(4本) 図 4:側面の稜(8本) このグラフの辺はこの二種類のいずれかであることは明らかです。気になったのは、この2つは同じなのか違うのか、です。言い換えると、図4のグラフを変形して、図4の赤い側面の稜が図3の底面の対角線の位置に来るようにすることはできるでしょうか。それができるならこの2種類の辺は「同じ」と言えますし、できないなら「違う」ことになります。
ちょっとやってみて、これはできなそうだと思ったのでその理由を考えてみました。
(つづく) ○
昨日の「蛾・めがね」を逆「デッキチェアの構え」からも取ってみました。今日は手順も書くことにしました。
違い、わかりますでしょうか。このかたち、何かに見立てられそうな気もするのですが良い案が浮かびません。
<おまけのひとこと>
完全なる証明 〜100万ドルを拒否した天才数学者〜 (マーシャ・ガッセン 青木薫)を図書館で借りて読んでいます。非常に面白いです。旧ソビエトがユダヤ人をこれほど迫害していた、ということを恥ずかしながらよく知りませんでした。まだ半分くらいしか読んでいないのですが、(多分ザルガラー多面体の)ザルガラーが登場して「おっ」と思っています。この機会にザルガラーについて調べてみようかなと思ったりしています。
9月15日(木) ワグナーグラフの単位長グラフの辺の種類、あやとり
単位長グラフの話とあやとりの話です。
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昨日、ワグナーグラフの単位長グラフのこの2つの辺は同じでしょうか違うでしょうか、という問いかけをしました。
底面の対角線(4本) 側面の稜(8本) 結論から言うとこの2つは違います。それはこんな風に示すことができました。
まず、底面の対角線に注目して、その辺の1つ隣の辺を緑色にしてみました(図1a)。さらにその隣、2つ隣の辺を青にしてみました(図1b)。1つ隣(1-隣接)とは、注目する辺と頂点を共有する辺です。また2つ隣(2-隣接)とは、1-隣接に隣接する(頂点を共有する)辺です。
図 1a:1つ隣(緑) 図 1b:2つ隣(青) こうしてみると、平面の対角線どうしは3つ隣(3-隣接)であることがわかります。
同様に、側面の稜に注目して1-隣接(緑)、2-隣接(青)を調べてみました(図2a、図2b)。
図 2a:1つ隣(緑) 図 2b:2つ隣(青) すると、全ての辺は1-隣接か2-隣接になってしまい、3-隣接の辺は存在しないことがわかりました。なので、側面の稜の1本を底面の対角線の位置に持って行こうとしてもそれは不可能だということがわかりました。
納得しました。
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昔のあやとり協会の会報に載っていた、シシドユキオさんの「卍(まんじ)」を取ってみました。
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卍(まんじ):シシドユキオ(1981) あやとり協会の昔の会報は手書きで作成されています。雰囲気だけご紹介します。
表紙 もくじ p.11 p.12 表紙には「あやとり No.7 1981.6(昭和56年6月)」と書かれています。表紙の下のほうに日本あやとり協会と書かれていますが、オリジナルはその文字の上に住所と電話番号が書かれていました。判読はできないだろうとは思いましたが、念のためここに載せた画像ではその部分は消しました。
この時代のあやとり協会の会報に掲載されている情報は極めて貴重で、私がここ1〜2年、面白がっていろいろ研究して公開している内容や、「こんなことができたら面白いのではないかなあ」と思っている内容が、すでに載っていたりするのです。(もちろん全部というわけではありませんけれども。)これまでのものも、もちろん今後のものも、出来る限りオリジナル(先行研究)に言及するようにしたいと思います。例えば最近掲載している「Qの構え」というのは、さいとたまさんの本にもありましたし、シシドユキオさんの「マンダラ」シリーズでは「花壇」という名前で繰り返しパターンの基礎として記載されていました。
このような興味深い文献があるということ、それがこのように継承され、自分が読むことができることに、関係される皆様に本当に感謝しています。
以下余談です。画像は画素数を小さくして、さらに非可逆圧縮のjpegで量子化誤差を大きくしているので拡大しても文字の判読は難しいと思います。AI技術はこういった「劣化した文字画像を判読する」といった用途には相性が良いので、そういう手法を適用するとそれなりの認識率でテキスト情報を読みだせるかもしれませんが、前提となる語彙情報が特殊ですし、宍戸さんが使われているあやとり表記法(このページとは別のページにまとめられています)の情報が無いと、判読の精度は著しく低下すると思われます。
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日の出の時刻がだんだん遅くなってきました。来週はもう秋分です。今朝、5時10分過ぎくらいの東の空がとてもきれいだったので写真を撮りました。
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朝焼けというのは何か明るい予兆を感じさせるものがある気がします。
<おまけのひとこと>
手書きのあやとりの記事を見ていると、昔の作曲家の手書きの楽譜を連想します。興味が尽きません。