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以前の「ひとこと」 : 2018年7月後半



7月16日(月) Pohaku:マクマホンのカラータイルを用いたゲーム(その1)

 マクマホンのカラータイルというパズルがあります。正方形の4辺を3つの色で塗り分けた24種類(裏返し無し:図1)と、正三角形の3辺を4つの色で塗り分けたやはり24種類なのですが、これらを辺どうしの色が合うように並べなさい、というパズルです。

図 1

 たくさんの解があることが知られていますが、図2はその一例です。

図 2

 この、正方形の24種類のタイルを使ったPohakuというボードゲームがあるのだそうです。このページを見ると、40ページの冊子が付属してきて、様々なゲームやパズルが楽しめる、と書かれています。26種類の一人用パズルと、4種類の複数人で遊べるゲームができるのだそうです。

 これ、遊んでみたくなりました。でもルールがわかりません。検索してみても具体的なルールが書かれたサイトを発見できませんでした。ただ、上記のページから1種類だけ、Domino Pohakuが遊べるページが用意されています。これをやってみました(図3)。

図 3

 このゲームは二人で対戦するゲームです。コンピュータが相手をしてくれます。24枚のタイルのうち、4枚ずつが配られます。残り16枚は裏向きにして山札として場に積んでおきます。お互いに手札の中から交互に1枚ずつ場にプレイします。場に出すときには先手の最初の1枚以外は、すでに場にプレイされているタイルに正方形の辺を合わせて、必ず色が合うように置いていきます。

 自分がプレイしたタイルが場のカードと2辺以上が接している場合のみ、手持ちのタイルを減らすことができます。それ以外の場合はプレイした後で山札から1枚タイルを引きます。

 残り1枚になったとき、そのタイルを2辺以上接してプレイできれば勝ちです。(最後の1枚を場のタイルに1辺だけ接してプレイした場合は、その後で山札から1枚引かなければなりません。)

 コンピュータのプレイを見ていると、すでに場に出されたタイルに対して手持ちのタイルでは辺を接して置けない場合、頂点のみ接して置くことも許されているようです。

 何回かコンピュータと遊んでみて、これは軽く遊べて良くできたカードゲームだな、と感心しました。その辺にある材料で作ってみたくなりました。簡単なのは厚紙にカラー印刷する方法ですが、インクジェットプリンタのインクがもったいないなあと思いました。では、色紙を切って貼ろうかなあと思ったのですが、直角二等辺三角形を32枚×3色作るのは意外と面倒だなと思いました。

 こういう時は100円ショップに行って、何か使えそうな素材を探そうと思いました。いろいろ考えて、図4の写真のような材料を買ってきました。

図 4

 正方形の単語カードと、5色の丸いカラーシールです。(使い終わった後なので、赤・青・黄のシールは外した写真です。) これで24枚のカードを作ってみることにしました。

(つづく)



 マクマホンのカラータイルを調べていると、こんな五角形が出てきました(図5)。

図 5

 直角二等辺三角形を2つ図のように配置すると、4つの辺の長さが同じで、内角が90°が2つ、120°が3つの五角形ができます。

 これはタイリングできるのですが、どう並べたらよいかわかりますか? 一瞬、図6のように並べたくなりますが…(なりませんか?)

図 6

(つづく)

<おまけのひとこと>
 googleで日本語で「マッチングパズル 正方形」で検索するとマッチ棒を使ったパズルばっかり出てきます。「matching puzzle square」で検索すると、辺の色や模様を合わせるパズルが出てきます。






7月17日(火) Pohaku:マクマホンのカラータイルを用いたゲーム(その2)

 昨日のPohaku(ポハク)というゲーム用のカード、これはマクマホンの正方形の3色のカラータイルそのものですが、正方形の単語カードと丸いカラーシールを使って1セット自作してみました。

図 1

 カードは24枚で、それぞれの辺に色をつける必要があります。正方形なので、1枚当たり4つです。なので、24×4=96カ所、色を着ける必要があります。3つの色は等価なので、96÷3=32で、1色あたり32カ所、着色する必要があります。今回は、1辺の長さが6.6cmくらいの単語カードに、直径2cmのカラーシールを貼って作りました。24枚のカードで96カ所にシールを貼ります。なかなか楽しい作業でした。

図 2

 カードの1辺が6.6cmくらいありますから、図2の24枚を並べたものはかなりサイズが大きくなりました。

 昨日ご紹介した“Domino Pohaku”ですが、まず妻と3〜4回プレイしてみました。そこそこ運の要素もあって、1プレイがすぐに終わって軽いゲームで良い感じです。一人でパズルとして遊ぶにはカードがやや大きいですが、カードゲームとして遊ぶにはこのくらいのサイズがいいなあと思います。

 さらに、これは一人遊びでも遊べることに気が付きました。最初に自分の手札4枚から始めて、同様に1枚ずつカードを色を合わせて置いてゆきます。2辺以上揃ったときだけは、手持ちのカードを減らせます。

図 3

 図1は一人遊びで、場に6枚をプレイしたところです。最初の3枚は1辺ずつ合わせてゆくので、カードを出すたびに新たに場の山札から1枚ずつ引きました。2×2になったときに初めて1枚手札が減って3枚になりました。その後、図1の左上(青3,赤1)と右下(黄4)をプレイして、新たに1枚ずつカードを引きました。図1の下の3枚が手札です。

 さて、ここで出す順番を考えると、この3枚を2辺ずつ合わせて場に出して、「上がり」にすることができそうです。わかりますか?

 今日の更新の最後に「上がり」のかたちの図をご紹介しようと思います。



 昨日の更新で、「こんな五角形でタイリングができます」という話をご紹介しました。

再掲図

 この五角形から作れるタイリングパターンは、こんなかたちになります。

図 4

 有名な「カイロタイリング」です。(こちらのいわいまさか氏のページの連続変形動画が面白いです。)

 図2のように、このタイリングは4色で塗り分けるのが自然です。図2で使われている五角形の向きは4方向ありますが、同じ方向の五角形を同じ色で着色すると図2になるのです。

 それでは、このカイロタイリングを3色で塗り分けることはできるでしょうか? 同じ色の五角形は辺を共有しないという条件です。頂点は共有してもかまいません。(次数4の頂点があるので、同色の五角形が頂点の共有を許さないとすれば、4色必要になってしまいます。)

(つづく)



 ところで、“Pohaku”(ポハク)という言葉がなかなか覚えられないのですが、調べてみるとこれはハワイ語で「石・岩石」といった意味なのだそうです。



 本日の更新の冒頭にご紹介した、“Domino Pohaku”一人遊びの解答です。手札の3枚をこのようにプレイすれば、「上がり」になります(図3)。

図 5

 4枚の手札をゼロにするためには、最低でも3×3の9枚をプレイしなければならないと思います。なのでこれは最小手数で完成できた例です。

 プレーヤーが最善手をプレイしたと仮定して、このように9枚で「上がり」になる確率はどのくらいなのかな?と思いました。

<おまけのひとこと>
 暑いですね。こんな中、災害の復旧のために働いている方や、避難生活で不自由な生活をされている方々はさぞかし大変だろうなと思います。






7月18日(水) マスターマインド(その1)

 マスターマインドというゲーム(ボードゲーム)をご存知でしょうか? Wikipediaにも記事がありましたが、こんなボードゲームでした。

図 1 図 2

 これは、出題者の設定した「正解」を推理するゲームです。出題者は図3の一行目のように、4つのカラーマーカーを並べて「正解」を用意します。回答者はこれを当てるのが目標です。

図 3

 最初は何もヒントがないので、回答者は適当に「青・黄・橙・赤」の解を用意しました。出題者はそれを見て採点します。4つのマーカーのうち、色も場所も合っていれば〇(ヒット)で、色は合っているけれども場所が間違っているものは△(ブロー)になります。〇の数を白いピンで、△の数を黒いピンで「採点」します。回答者はこの採点結果を見て、次の解答案を考えます。回答者は、正解(白ピン4本)に到達するまでチャレンジを続けます。出題者と回答者を交替してプレイして、正解するまでのチャレンジの回数が少ないほうが勝ち、というゲームです。

 このゲームは紙と鉛筆でも遊ぶことができて、その場合は色ではなく数字やアルファベットなどの文字を使って遊ぶことが多いです。その場合は「マスターマインド」ではなく「ヒット&ブロー」とか「数字当てゲーム」とか呼ばれることが多いと思います。

 なぜ急にこんな昔のボードゲームの話を始めたかというと、先日Yet Another MasterMind Strategy(Barteld Kooi)という論文を見つけて読んでみたらとても面白かったので、それをご紹介したいと思ったためです。

 この論文では、「回答者が最初に問う時(なんのヒントもない状態の時)、どんなパターンを提示するのが有利なのか?」という議論がなされており、冒頭に「従来検討されてきた戦略」の例が紹介されています。その従来例を簡単にご紹介します。



 マスターマインドは、全部で6色あるカラーマーカーを4つ並べて出題します。ここで、「4つのマーカーの色はすべて異なる」という条件で遊ぶのか、「同じ色のマーカーが複数あってもよい」という条件で遊ぶのか、それは最初に決めておかなければなりません。前者なら解の総数は6×6×6×6=1296通りあることになりますし、後者なら6×5×4×3=360通りあることになります。

 同じ色を複数使えない場合は、最初のチャレンジでどの色の並びを使っても、そこには確率的な優劣はありません。面白いのは同じ色を複数回使ってもよいという条件でプレイする場合です。

 上記の論文に従って、この後の議論や説明のために、最初に「ミニ・マスターマインド」を考えます。ミニ版は、色は4色で、マーカの数は2つとします。そうすると、全ての解を列挙すると図4のようになります。全部で候補は16種類あるということです。

図 4

 この場合、回答者の最初の質問としては、「2つを同色にする」「2つを異なる色にする」の2通りの戦略が考えられることになります。それぞれの場合について、〇(ヒット)の数と△(ブロー)の数がどうなるか、全部調べてみたのが図5、図6です。

図 5 図 6

 ヒットとブローの数を2つの数字の組としてベクトルのように表記してみました。これらの結果をまとめると、図7のようになります。

図 7

 この表をどう見るかというと、解答案を「赤・赤」とした場合、(0,0) 、つまり0ヒット0ブローという採点結果であったとすると、残っている解の候補は9つあるという意味になります。つまり、この数字が小さくなるほうが好ましいわけです。

 ミニ版ではなくて、通常の6色4マーカーのマスターマインドで同じ表を作ってみるとこのようになります。

図 8

 この表では、色の代わりにアルファベットを用いています。いかがでしょうか。この表を見て、あなたならどのパターンで最初のチャレンジをしたいと思いますか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 7/17(火)は自宅の近くの事業所に外出だったので、自宅に戻るつもりでした。ところが18時から勤務先事業所での会議が設定されたため、仕方なく勤務先の事業所に戻ったため、赴任先のほうの住まいに泊まることになって、更新ができませんでした。というわけで7/19(木)の午前1時くらいから、7/18〜7/20の3日分の更新を仕込んでいます。






7月19日(木) マスターマインド(その2)

 本日の更新の後半に、先日の「カイロタイリングの3色塗り分け」の答の図を載せてあります。(一応予告)



 昨日、「マスターマインドの第1手目でどんな採点結果になるかの一覧表」をご覧いただきました。最初にご紹介する戦略は「ワーストケース(最悪値)戦略」です。

図 1

 図1の表は、各列の数字のうち一番大きなものに黄色のマークを付けたものです。これはどういう意味かというと、最初の解答案(チャレンジ)に対して、最も運が悪かった場合、残っている解の候補は最悪どれだけ大きいのかを表しています。その数字だけを表にしてみました。

図 2

 これを見ると、[A A B B]、つまり例えば(赤・赤・青・青)みたいに2色×2個のパターンで最初にチャレンジすれば、どんな採点結果であっても、残った候補の数は256かそれよりも少ないことが保証されます。なので、初手としてはこれが最もリスクが少ないと言えるだろう、という戦略です。これは、有名なドナルド・クヌースが1976-1977年の論文に書いているそうです。

(つづく)



 さて、本日のひとことの冒頭で予告した、カイロタイリングの3色塗り分けです。4色の例を再掲しておきます。

再掲図

 3色のほうはこんな感じになります。

図 3

 同じ色の五角形に注目すると、とても面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 暑くて夜中に起きて更新をしています。そろそろ明け方です。涼しくなってきたしもうひと眠りしておかないと明日がつらいです。






7月20日(金) マスターマインド(その3)

 昨日はマスターマインドの「ワーストケース戦略」をご紹介しました。今日は「期待値戦略」をご紹介します。

 昨日は、5種類の解答案に対して、全ての解の可能性のうち、想定される採点結果の数を一覧表にしたものをご覧いただきましたが、それぞれの「場合の数」に対して、その出現確率を掛け算してあげれば、期待値を計算することができます(図1)。

図 1

 例えば、[A A A A]と尋ねたとき、0ヒット0ブローと返ってくる場合の数は645でした。解の全体の数は1296でしたから、この場合の期待値は645×645÷1296で、301.41…となります。図1の表はそのように作ってあります。これを縦に足し算してあげると、それぞれの解答案(チャレンジ)に対して、採点の結果どれだけ場合の数が残るのか、という期待値が計算できます。その部分だけを表にしたのが図2です。

図 2

 数値が小さいほうが「残された候補の数が少ない」わけですから、好ましいです。ということは、期待値戦略を採用すると、[A A B C]と尋ねるのが最適だ、ということになります。

 さらに別のアプローチとして、情報理論で用いられる「情報エントロピー」という考え方を適用することもできます。これは詳細を説明する時間がないので結果だけ載せますが、図3のようになります。

図 3

 この場合は情報量が多いほうが好ましいため、[A B C D]と全ての色が異なるパターンで尋ねるのがよい、という結論になりました。

 こういうところが確率や情報理論のおもしろいところで、問題をどのようにとらえるのかによって「何が最適か」も単純に1つの答にならないのです。

(つづく)



 昨日のカイロタイリングですが、ちょっと変形してみることにしました。

図 4

 こんな風に正方形と直角二等辺三角形を組み合わせた、ホームベース型の五角形を考えます。これは、このかたちを横にずらっと並べてのこぎりのようなかたちを作れば、のこぎりの刃どうしを向き合わせることでタイリングできることがわかります。一方でカイロタイリングとどうようなタイリングもできるのです。

図 5

 これを見ていると、基本パターンとして以下の3つが見えてきます。

図 6

 これも4色とか3色とかで塗り分けてみると面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 あんまりたくさん書くと読んでもらえないかなあと思いながら、将来の自分のために書いておこうと思って書いています。






7月21日(土) 五角形タイリングの塗り分け、他

 カイロタイリングをご紹介して、同じ原理のタイリングがホームベース型(ちょっと細長い)の五角形でも可能だという話をご紹介しましたが、その塗り分けパターンも掲載しておきます。4色塗り分けの例(図1)と、3色塗り分けの例(図2)です。

図 1 図 2

 4色のほうは、同じ向きの五角形が同じ色になっているという単純な構造ですが、3色のほうはちょっとしたパズルです。

 このタイリングの繰り返し構造の基本ユニットは五角形4つです、という説明をしましたが(再掲図)、

再掲図

 4色塗り分けのほうは、いずれのパターンも4色になります。一方、3色塗り分けのほうは、いずれのパターンも塗り方が3通りあって(赤が2つの場合、青が2つの場合、白が2つの場合の3通りです)、それらがすべて図2に現れています。 図2を見て、3種類の基本パターンが3通りに塗られている場所があることを確かめてみてください。



 大相撲名古屋場所で、地元出身の力士である御嶽海が14日目で優勝を決めました。横綱や大関が不在の中とはいえ、大変立派な結果だと思います。これからが楽しみです。

 ちょうどこの週末は娘が帰って来ていたのですが、地元の温泉に行ってあがってきたら、広い休憩スペースのテレビでちょうど優勝が決まったところで、「みんな拍手していたよ」とのことでした。

 東京の義父からも妻に「御嶽海優勝おめでとう」というメールをいただきました。気にかけていただいて嬉しいです。



 先日ご紹介した立方八面体の一輪挿しに、妻が庭の桔梗を飾ってくれました。

図 3

<おまけのひとこと>
 7月22日(日)の朝、7/21,7/22の2日分の更新をしています。
 向かいの畑の方から、りっぱなキャベツ2つときゅうりを10本くらいいただきました。ありがたいです。






7月22日(日) 「情報・符号理論の基礎」「塑性加工の基礎」

 いらない本を古本屋さん(ブックオフ)に持って行ったのですが、そのときに本を2冊ほど新たに買ってしまいました。「情報・符号理論の基礎」(図1)と、「塑性加工の基礎」(図2)です。

図 1 図 2

 たまたま行った日が単行本2割引きの日だったようで、それぞれ300円くらいと400円くらいでした。

 「情報・符号理論の基礎」のほうは比較的新しい本で、誤り訂正符号についてまとまっている本が手元にあってもいいかなと思って買いました。(誤り訂正符号は、エラーが入る可能性がある通信路で情報を伝えるときに効力を発揮しますが、いわば「余計な」情報です。)

 パズルファンにとって、符号理論の話はとても面白いと思うのです。魔法のように誤りがわかる、とか、全く情報が欠落しないのにデータサイズがぐっと小さくできる、とか、もう本当にワクワクするような面白い話がたくさんあるのです。

 その昔、計算機や周辺の記憶装置の能力が低かった時代は、いかにデータを小さく軽くするか、はとても重要な問題でした。(もちろん今でも重要です。) 初めてハフマン符号を知った時、自分で紙の上にいろいろ符号設計してみたときの「え! これはすごい!」という感激は今でもよく覚えています。

 圧縮したい情報がNビットあったとすると、入力空間の大きさは2^N(2のN乗)です。このすべてを小さくする可逆圧縮方式は原理上存在しません。ではどうして圧縮できるのか、1ビットの欠落もなく元に戻せるのか、でもなぜそれは万能ではないのか、こういったことがわかるととても面白いのです。



 「塑性加工の基礎」(産業図書)のほうは、初版が1988年で第10刷の2000年出版のものでした。私は機械工学系の勉強はしたことがなくて、金属材料の加工技術に関しては、専門的な議論にはついていけません。ざっと目を通すにはとても良い本だと思ったので、これも購入しました。

 塑性(plasticity)と弾性(elasticity)、塑性変形(plastic deformation)と弾性変形(elastic deformation)、垂直応力(normal stress)とせん断応力(shear stress)、といった用語の英語名だけでも「あー、英語ではそういう風に言うんだ」と面白いです。(覚えられなそうですが)

 身の回りの金属加工製品がこうやって作られているんだ、ということがわかっただけでもとても勉強になりました。(まだほんの斜め読みですが)


〇 〇 〇


 100円ショップのダイソーで購入できる、100円(税別)のオルファの「特専黒刃のカッターナイフ」の切れ味がすばらしいとどこかで読んだので、試しに購入してみました。

図 3

 5月連休に、お風呂場の脱衣場と洗面台付近に30cm角のコルクマットを敷いたのですが、このところの暑さで熱膨張したらしく、ぼこぼこと盛り上がってきてしまいました。壁際の裁断したマットを外して、このカッターで3mmくらいカットしてみたのですが、とても良く切れて感心しました。

 オルファのよくある質問のページをみると、通常の刃と素材は同じで、研磨を鋭角にしているのだそうです。

図 4

 その分、通常のものと比べて切れ味の劣化は早いのでしょう。でも感激しました。これが100円、メーカーは大変だと思います。

<おまけのひとこと>
 日曜日、朝4時半過ぎから7時過ぎくらいまで庭の草取りをしました。あまり広い範囲はできませんでした。草の中に隠れているヒイラギの葉っぱが痛くて大変でした。ヒイラギ、20年前に植えたのは私です。ヒイラギは魔除けになる、などと言われますが、確かにヒイラギの葉のトゲは痛いです。庭の手入れをする、という点ではトゲのある植物は辛いです。






7月23日(月) 短冊9枚組の紙模型(その1)

 先日、こんなかたちをご紹介しました。

再掲図

 これを紙で組んでみることにしました。この手の構造は方眼紙の上に展開図を描いてゆくことができるので比較的簡単です。まず、面のかたちはこうなります(図1)。

図 1

 いつもの「紙の筒」方式で作ることにして、1つのパーツはこのように設計しました(図2)。

図 2

 A4の用紙1枚に9パーツが入るように3×3にレイアウトして印刷し、折り筋を入れて切り出しました(図3)。

図 3

 折り曲げてパーツのかたちにします(図4)。

図 4

 さてこれから組み立てです。

(つづく)



 もう長いこと、アトピー性皮膚炎なのですが、塗り薬で症状を抑えると、モグラたたきのようにそれまでは痒くなかったところに出てくるのできりがありません。

 最近は目の周りとか、耳の中(外耳道)とかが痒くて、目は目薬をさしてしのいでいるのですが、耳は耳かきでごりごりしていたら、炎症を起こしたようで若干腫れて痛むようになってしまいました。(比喩ではなく、生理的に「耳が痛い」です。こう書いてみると「なんか可笑しい」です。) まあそれでも痒いよりは我慢できますが、やや聞こえにくくなった気がして少々あわてています。

 皮膚というのは排泄機能も担っていて、体の中の不要物を外に出す役割もあるので、薬で押さえつけると別なところから何とか外に出そうとするのかな、とも思います。

<おまけのひとこと>
 7月23日(月)の未明に、7/23〜7/25の3日分の更新をしています。日中は窓を開けておいても30℃以上あった室温も、この時間になると25℃くらいになって、このまま窓を開けたままで寝ると風邪をひきそうです。






7月24日(火) 短冊9枚組の紙模型(その2)

 昨日の続きです。用意した9パーツを組んでゆきます。今回は筒モデルなので、出来上がりはおそらくこんな感じになります(図1)。

図 1

 一応、CGのパーツの色を紙模型の色に合わせようとしてみました。こんな風に理想的にきちっと組めるといいのですが…

 というわけで組み始めます。直交する3方向の1パーツずつを組み合わせてみたところです(図2)。

図 2

 これは剛体では組めないパーツ設計なので、最後のパーツを入れるときにはものすごく無理がかかります。

 図3、図4が一応組み上がったところです。きれいにできませんでした。

図 3 図 4

 遠目にちらっと見ると、一瞬「あ、ちょっといいかも」と思うのですが、よく見ると全然ダメです。こういうのはパーツをカットするとき、折り筋を入れるときのほんの少しの位置の変化で、きつすぎたりゆるすぎたりするのです。きつすぎると断面の長方形が歪みますし、ゆるすぎるとパーツが平行になりません。いずれもカッコ悪いのです。

 もう一度、作り直そうかなあ…

(つづく)

<おまけのひとこと>
 最近、いくつか作ってみた模型がいずれも出来が良くなくて、ちょっとがっかりしています。






7月25日(水) 展開図が正方形になっている多面体(その1)

 先日、「展開図が正方形になっている多面体の中で体積が最大のもの」の展開図を見る機会がありました。何のことを言っているのかわからないかもしれないので、例を挙げて説明します。

 これはよくある正四面体の展開図です(図1)。

図 1

 仮に、同じことを正方形でやったとしたらどうなるでしょう? ここで言う「おなじこと」というのは、隣り合う辺の中点を結ぶ線で折る、という操作のこととします。

 以前、全然違う目的でそんな図を描いてありました(2017年6月7日のひとこと)。

再掲図

 このように「まっ平」になってしまって体積ゼロです。これではダメです。

 では、体積最大かどうかはともかく、とりあえず体積がゼロでない「展開図が正方形の多面体」にはどんなものがあるでしょうか? 今更ですが「のりしろ」はもちろん考えなくていいです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 ちなみに、正五角形で図1のような折り方をすると、そもそも頂点は1つに集まることすらできません。展開図が正多角形になっている多面体、という一般化も面白そうですが、まずは正方形から考えることにします。






7月26日(木) 展開図が正方形になっている多面体(その2)

 昨日(7/25)の「展開図が正方形になっている多面体(その1)」に、昨年の10月のマフィン問題にも正解を送って下さったKさんから、メールでコメントをいただきました。シンプルな考え方で正解と思われる解(私が現時点でまだ正解を理解できていないのです)の予想を送って下さって感激しています。Kさんのアイディアは明日のひとことで書かせていただきます。(更新は同時にしますが)

 追記:結果的にはこの予想は間違っていたようです。(2018年7月30日(月))



 最初に私が頭の中で考えた展開図はこれです(図1)。

図 1

 手元の15cm角の折り紙で折ってみました(図2)。無駄に大きいです。

図 2 図 3

 この三角錐は、元の正方形の1辺の長さを2だとすると、体積は1/3になります。それがわかりやすいように、CGも作ってみました(図3)。図2の写真と近い視点になるように、無駄に時間をかけてしまいました。(こういう試行錯誤は作業として単純に楽しいので、無駄に時間を使ってしまいます。)



 今回の話を書き始めたのは、何かをwebで検索して調べているときに、「展開図が正方形になっている多面体で体積が最大の多面体」という完成写真と展開図のページを見たのがきっかけです。

 一応、その展開図に従って折り紙で折ってみたのが図4,図5です。

図 4
図 5

 たぶん、写真でご覧いただいてもどんなかたちなのかよくわからないと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 以前は毎朝更新していたのですが、最近は週末付近にまとめて更新することがほとんどです。(たまに週の途中に更新できることもあります。)月曜の朝に月・火・水の3日分、土曜日の朝に木・金の2日分、日曜日の朝に土・日の2日分、というパターンが多くなってきました。

 めったにいただけない感想のメールとかをいただくととても嬉しいです。が、平日はお返事も書けないことが多くて申し訳ありません。






7月27日(金) 展開図が正方形になっている多面体:Kさんからのご提案

 昨日の冒頭に書いた、Kさんからいただいたご提案のメールの内容を簡単にご紹介したいと思います。以下の本文はKさんのメールの論理を私の図と言葉で書いているものです。



 こんな展開図をいただきました(図1)。

図 1

 これは、正方形の各辺を3等分しています。直角をはさむ2辺の比が1:1の直角二等辺三角形と、比が2:1の直角三角形は昨日の素朴な三角錐でもでてきたかたちですが、図1のものは昨日のものより一回り小さいです。2つある不等辺四辺形は、立体にしたときに平面になるかどうかはわかりません。

 さらにこの展開図は、図2のように4カ所の青線の長さ、4カ所の赤線の長さが同じになるように連続的に変形することができます。

図 2

 赤線と青線は、青2本+赤1本が正方形の1辺になるという制約があるので、それぞれ勝手な値をとることはできません。(赤を決めれば青は決まるし、逆に青を決めれば赤が決まってしまいます。)つまりこの変形は一自由度です。

 ではその変形の両極端を考えてみます(図3)。

図 3

 左は、青がゼロになったときで、多面体は直角二等辺三角形の「二面体」、つまり体積がゼロになってしまいます。逆に右は赤がゼロになったときで、多面体は1:2の長方形の「二面体」になります。いずれも折り紙を2つ折りする方法です。

 Kさんの仮説は、この中間に最大値があるのではないか、その値は青が正方形の1辺の長さの1/4(=赤が1/2)のときではないか、というものでした。

 追記:尾道市の大村さんから、「正解は、赤線が0.5に極めて近いけれども、0.49202…くらいではないか」という詳細な計算結果をいただきました。赤線が0.5の場合の体積は、体積最大の場合と比較してわずか0.024%だけ小さいそうです。ありがとうございます。自分でもちゃんと計算しないといけないな、と思っていたところでした。(2018年7月30日(月))

(つづく)



 台風12号が近づいてきています。この更新の原稿を書いているのは7月28日(土)の午前9時半過ぎなのですが、予想経路はこんなふうになっています。

図 4

 こんな風に台風が東から西に抜けるというのは前代未聞です。自分が生きている間に、日本にこれほど多くの自然災害が発生するとは思っていませんでした。治山治水の技術は進歩しているという単純な信頼があって、昔は社会インフラや土木技術が未発達だったので大きな災害になったけれど、現代はそんなことは起こらないのではないか、という驕った気持ちが自分の中にもあるなあと思い知らされる気がします。

<おまけのひとこと>
 先週末歯の詰め物がとれてしまって不自由しています。妻が歯科医院の予約を取ってくれて、7/28(土)は歯科通院です。






7月28日(土) 展開図が正方形になっている多面体:大村さんからのご提案

 今回の「展開図が正方形になっている多面体」、別な方からもメールをいただくことができて感激しています。昨年の8月1日のひとことでご紹介させていただいた、5・6・7三十面体と名付けた、ビーズ作家の北村恵子さんデザインの多面体の解析をして下さった尾道市の大村さんからもメールをいただきました。今日はそのご紹介をさせていただきます。



 大村さんからはこんな四面体モデルの系列をご提案いただきました(図1)。

図 1:大村さん作図

 一見、三角形が6枚あるように見えますが、大小2つの直角三角形は1つの面を構成するので、四面体になります。

図 2:大村さん作図

 しかもこの系列の美しいところは、4つの面が合同なのです。すばらしいです。感動的です。

 この系列の両極端を考えてみましょう。両極端は、図1のxが0のときと1のときです。0のときは、先日もご紹介した下図のようになって体積ゼロになりますし、1のときは1:2の長方形の2枚重ねになって、やっぱり体積ゼロになります。

再掲図

 大村さんからは、この系列で体積が最大になるのは x = 1/√2 のときで、そのときの体積は1/3、と教えていただきました。

 なるほど、非常に興味深いです。こんな系列もあるんだなあと思いました。

(つづく)



 実は大村さんからのメールには、もう1つ画像を添付していただいてありました。出張で乗った飛行機の内装の壁紙の模様だそうです。

図 3

 これ、どんなパターンなのかわかりますか? これをデザインした人もすごいと思いますし、これに気付いて写真を撮って下さった大村さんもすごいと思いました。

 明日の「ひとこと」の最後に答を書くことにします。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 通常とは全く異なるルートを辿った台風ですが、私の住まいのあたりは思ったほどの風雨ではありませんでした。

 歯医者さんに診ていただいた結果、単に外れた詰め物を詰めてもらうのではダメで、虫歯の治療をして、型を取り直す治療が必要とのことでした。これから何度か通院しなければなりません。やれやれ。

 7月29日(日)の朝に、7/28,7/29の2日分の更新をしています。






7月29日(日) 展開図が正方形になっている多面体:平田先生のページ

 「展開図が正方形になっている多面体」ですが、愛媛大学の平田浩一先生の、展開図と多面体というページにも、正方形から作る多面体の話が出ていました。 (「展開図と多面体」は2002年の2月24日のひとことでご紹介させていただいています。)

 ここで紹介されている系列は、昨日までにご紹介した2つの系列とはまた違った系列の多面体です(図1)。

図 1

 一番最初に私が思いついた図1左のパターン、実はこれも系列化できて、図1右の青線の部分の長さが同じになるように連続的に変形できます。これも4つの三角形の面を持つ四面体になりますが、昨日の大村さんの系列とは違って、等面四面体ではありません。この系列の例が平田先生のページに載っています(こちら)。

 図1の右側、正方形が赤い点線で三角形5つに分割されていますが、この5つの中の2つは、1つの面を構成します。残りの3つは単独の面になります。どの2つが一緒の面になるのかわかりますか?

 この系列の最大最小を考えてみると、図1の青線がゼロのときは正方形を対角線で2つ折りにした体積ゼロのパターンになりますし、青線が正方形の1辺の長さの半分のときは、図1の左側のパターンになります。

(つづく)



 土曜日に歯医者さんに行きました。待合室で待つ時間を短くするためだと思うのですが、治療する席が4席あって、歯科医師の先生と歯科技工士さんがそれらの席の間を忙しく入れ替わりながら治療をしてくれます。でも、「しばらくお待ちください」という時間ももちろんあります。

 そんな暇な時間に周囲をなんとなく見渡していたら、こんなティッシュボックスがありました。

図 2

 多面体好きには魅力的なかたちでした。



 昨日の大村さんからいただいた壁紙のパターンですが、円の中心を線で結んでみてください。合同な五角形が見えてくると思います。正解はカイロタイリングです。(←ごく薄い色になっているので、マウス等で選択して反転すると見えると思います。)

<おまけのひとこと>
 本日7/29(日)は地区の球技大会なのですが、昨日の台風による雨でグランドが使えないようで、朝7時ころに放送で「今日の球技大会は屋内のソフトバレーのみ」という連絡がありました。






7月30日(月) 線分をつないだ平面上のモデル(その1)

 昨日まで何日かご紹介した「展開図が正方形になっている多面体」、このうち体積が最大になっているのは、細長い八面体のときではないか、という仮説をKさんからいただいて、その内容を7月26日のひとことでご紹介しました。昨夜、大村さんから再度メールをいただいて、Kさんの予想された数値、私もおそらく正しいだろうと思い込んでいた値は、正解に極めて近いけれどもちょっと違いますよ、ということを教えていただきました。(7/27の「ひとこと」に、教えていただいた結論のみ簡単に追記させていただきました。) Kさんの予想が「正しい」と断定的には書かなかったはずだよなあ、と思って恐る恐る読み返してみたところ、「正解と思われる解(私が現時点でまだ正解を理解できていないのです)」と書いていました。

 丁寧に計算をしていただいたこと、それ以上に計算プロセスがわかりやすいように図や数式をドキュメント化していただいたことに大変感謝しています。別途改めてご紹介させていただきます。

 それにしても、ちょっとした試行錯誤で正解に極めて近い八面体を発見したKさんもすごいですし、わずか数時間で正解を計算して下さった大村さんもすごいです。この計算、大変なのです。本当にありがとうございます。



 昨日の平田先生の展開図と多面体のページの参考文献に、Joseph O'Rourkeという方の論文が紹介されています。いくつかの文献を辿って行ったら、とても面白い話があったのでちょっとご紹介します。



 このところ正方形の紙を折って多面体を作る話をしていますが、紙を折るという操作は、3次元空間の中で2次元の平面多角形が折り線という直線を蝶番にして相対位置が変わる動きを指します(図1)。

図 1

 この次元をすべて1つ下げてみます。そうすると、2次元平面の中で、端点でつながっている複数の線分(1次元)が相対的に位置を変える、ということになります(図2)。

図 2

 以下、線分のつながり方の典型的な例として、図3のような3つを考えます。

図 3

 チェーンは、線分が順番に繋がっている構造です。両端は連結していません。両端の頂点の次数は1、それ以外の頂点の次数は2です。多角形は全体が1つの輪っかになっている構造です。すべての頂点の次数は2です。は、全体がひとつながりになっていて、頂点の次数はいくつでもかまいませんが、どこかに輪っかができてはいけません。

 これらのモデルはすべて平面上にあって、平面から離れられません。そして、線分どうしは交差してはいけません(図4)。

図 4

 上の左側の3つの例は許されますが、右の赤枠の例は許されません。

 さて問題です。1). 任意のチェーンは2次元平面内の移動で直線にできるでしょうか? 2). 任意の多角形は、2次元平面内の移動で凸多角形に変形できるでしょうか? 3). 任意の木は、2次元平面内の移動で1本の直線に束ねることはできるでしょうか?

図 5

 「木」の例は、あんまり「一本に束ねられた」感じがしない図かもしれませんが、太さも幅もゼロの理想的な線分を考えており、頂点のジョイントも好きな角度を自由にとることができます。

 例えば、図6のように凸でない四角形があったとして、2次元平面から離れて3次元を通過してもよいなら、凸にすることは簡単です。

図 6

 でもこの操作はルール違反です。

(つづく)



 上記の話、つながった線分のチェーンや多角形や木が3次元以上の空間に置かれたとしたらどうでしょうか?

<おまけのひとこと>
 グラフ理論や結び目などに詳しい方なら一発でわかる話なのかもしれません。

 7月30日(月)の午前2時前に目が覚めて、ちょっとメールを確認したら、大村さんから「展開図が正方形の体積最大の多面体」に関するレポートをいただいて、興奮して目が冴えてしまいました。関係する日付の「ひとこと」に追記したり、大村さんにお礼の御返事を書いたりしていたら、朝になってしまいました。7/30、7/31の2日分の更新になります。






7月31日(火) 仮想鉄道旅行

 月末の最終日なので、ちょっと趣旨の違う話を書きます。



 昨年の12月にも書きましたが、ときどきふと鉄道旅行の計画を立ててみる、ということをしています。今回のきっかけは、最寄り駅の時刻表を見ていたら、この時期に快速ムーンライト信州号(新宿→白馬)が運転されているということに気付いたことでした。(2018年夏の運転日は7月13・14・20・21日・8月3・4・10・17・18日・9月14・15・21・22日のようです。)

 最寄り駅は午前3時半過ぎですが、超早起きの私にとっては何ら問題はありません。これに乗ると、白馬が早朝の5:40、次の列車が6:56発で南小谷が7:15着。そこからJR西日本になって、南小谷7:39発で終点の糸魚川が8:36です。すぐに折り返しの列車があって、糸魚川8:53に乗ると、南小谷、信濃大町の連絡がよくて、12:36には松本に戻ってこられます。それから松本電鉄で終点の新島々まで往復してもいいし、篠ノ井線で長野まで行ってきてもいいし、あまり乗る機会のない塩尻→辰野間を乗って、行かれるところまで飯田線に乗ってもいいし、疲れていたらとっとと帰ってもいいし…などと考えました。

 うーん、でももうちょっと何か旅行の目的感が欲しい感じです。それに、ムーンライト信州号に午前3時半過ぎに乗るというのは、早朝からの登山に備えてようやく眠りについた登山客に迷惑かもなあ…などと考えたり、そもそも運転日が限られるのでそれに拘束されるのもどうかな、予約が取れるだろうか、などと思ったりしました。

 そこで、ちょっと趣旨を変えて、図1のようにぐるっと一回りするプランを考えてみました。目的は、えちごトキめき鉄道全線踏破と、筒石駅・二本木駅の来駅記念入場券の購入、としました。二本木駅は今では珍しいスイッチバック駅、筒石駅はトンネルの中に在るモグラ駅として有名です。

図 1

 最寄り駅を朝6時過ぎの下り普通列車の始発に乗り、終点の長野駅に8:05に到着します(1)。長野からは9:22発のしなの鉄道:北しなの線に乗って、終点の妙高高原には10:06に到着します(2)。長野では1時間以上あるので、何かちょっと食べたりできそうです。北しなの鉄道の料金は830円です。

 妙高高原からはえちごトキめき鉄道です(3),(4)。運賃は直江津乗換で糸魚川まで1,320円なのですが、なんとありがたいことに「トキめきホリデーフリーパス」というお得なきっぷがあって、土・日・祝日の連続する2日間の普通・快速列車乗り放題が大人1,000円なのだそうです。

図 2

 妙高高原駅でこのフリーパスを購入して、二本木駅・筒石駅の来駅記念入場券を購入すべく、まずは次の列車(10:24発)で二本木駅で下車します(10:39)。次は残念ながら12:22まで下り列車がありません。直江津到着は12:55になります。直江津の乗換は良くて、13:01発の泊行きに乗って、筒石には13:24に到着します。次の列車は14:49発で、糸魚川には15:10に到着です。

 糸魚川ではわずか4分の連絡でJR西日本の大糸線の15:14発の南小谷行きに接続します(5)。これがとても連絡がよくて、南小谷は4分の接続でJR東日本管轄の大糸線に乗り換えて(6)、次の信濃大町も4分の接続で直通の富士見行きに乗ることができて、松本で乗り換えせずに自宅最寄り駅には19時前には帰ってくることができます。でも、どこかで1本乗り遅れると、帰宅は21時半になってしまいます。

 うーむ、二本木駅の滞在時間がちょっと長すぎる感じですね。でも、全駅下車とかでよく使う折り返し乗車とかのテクニックを使おうにも、この2時間くらいは上りも下りも列車がないのです。 長野駅で何かお昼ご飯を買っておく感じでしょうか。

 筒石駅のほうは、有名なトンネル駅なので、ゆっくり滞在して見学すればいいかなと思います。筒石港まで歩いて往復するのは、ちょっと時間が足りなそうです。

 仮にもっとはやく長野に着くことを考えるとすれば、自宅ではなく勤務先の駐車場を拠点に動くということも考えられます。篠ノ井線の長野行き始発に会社の最寄り駅から乗れば(6時半くらい)、長野には7:28に到着できるので、妙高高原には8:30に着けます。そうすると8:45発に乗れるので、二本木には9:01には着きます。これだと滞在時間がちょうど1時間で、10:01発の直江津行きに乗れるので、直江津の乗り換え時間15分で、筒石には11:10には到着できます。これならば筒石に2時間以上滞在して、糸魚川でも1時間半くらいの余裕が生まれます。帰りはちょうど12時間後の18時半くらいに勤務先最寄り駅に帰ってくることができます。このほうが現実的かなあと思いました。



 いろいろ想像しただけでだいぶ満足しました。たぶん行かないかな…

<おまけのひとこと>
 30年以上前の学生時代、青春18きっぷを使ってこのあたりも普通列車で通ったことがあります。当時はまだ二本木のお隣の関山駅もスイッチバックで、スイッチバック駅が連続していました。当時は「途中下車する」という発想はなくて、東京から実家まで普通列車でどれだけ遠回りして一日で帰れるか、ということを帰省の度にトライしていました。






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