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以前の「ひとこと」 : 2018年7月前半



7月1日(日) 6枚短冊組パズル(その3)

 7月になりました。いつもですと、毎月1日と16日の更新は「過去のひとこと」のページの先頭になるので新しい話題にすることが多いのですが、今日は日曜日ですし(週末のほうがアクセスが少ないのです)昨日の続きを書きたいと思います。



 サイズが3×5×1の板状のパーツを組むパズルの話の続きです。3枚をそれぞれ直交させた3枚組を2組作れるセットで6枚組をしてみようと思いました。最初に、3枚組を2セット組んでみた写真です(図1)。

図 1

 パーツは素朴に“O型”2つと“C型”4つにしてみました(図2)。全部“C型”にしてもよかったのですが、さすがにそれはちょっと…と思ってこのセットを作りました。

図 2

 これを図3のように組みます。パーツ3つずつを並べて、それがかみ合ったかたちになっています。図2の6枚のパーツで組むと、これは極めて簡単に組めます。簡単すぎて安定しない(最後のパーツは摩擦だけで止まっている)のが残念です。持ち上げると1ピースが「おいてきぼり」になってしまうのです。

図 3 図 4

 図4のように3つ並びの真ん中だけ1単位ずらしてやると、安定します。これはまあいったんこんなところかな、と思いました。

 このセットでもっとほかの造形ができないかなと思って少し挑戦してみました。

図 5 図 6

 図5、図6は同じものの姿勢を変えてみたものです。これは若干パズルっぽいかなと思いました。(若干です。) パーツ3枚が合体した3×3×5の四角柱(薄緑と青と水色)に、赤・黄・緑の3つのパーツがからんでいるかたちです。パーツを回転させたりする必要はなく、通常の3次元の3方向の平行移動だけで組むことができます。

 短冊3本組木2セットでこの構造が組めると面白いのですが、たいてい外側がもっと大きいデザインになっていて、こういう組み方ができるセットは見たことがありません。

ひょっとしたら(つづく) かも…



 昨日、M市に買い物に行きました。こんな看板を見かけました(図7)。

図 7

 輸入雑貨屋さんのようなのですが、円(マル)がモチーフのデザインになっています。お店は2階のあるようなのですが、階段にも水玉模様がデザインされています。

 上の写真だと、肝心の部分がよくわからないので、そこだけ拡大して若干コントラストやガンマをいじってみました(図8)。

図 8

 特注品の看板ですね。こだわりを感じます。

<おまけのひとこと>
 食べ過ぎておなかが重かったせいか、私にしては珍しく昨夜は午前零時を過ぎても眠れなくて、1時前にようやく横になったのですが、2時半には目が覚めてしまいました。さすがにがんばってもう一度寝たのですが、4時過ぎにはまた目が覚めて、あきらめて起きてしまいました。






7月2日(月) ブランシュの分割(その1)

 図書館でまた「不思議おもしろ幾何学事典」D.ウェルズ著:朝倉書店 を借りてきました。(もう何度目でしょう…) その中で気になったトピックスを今日からいくつかご紹介します。



 正方形を全てサイズが異なる複数の正方形に分割するという「ルジンの問題」という正方形分割問題があります。ロシアの数学者ルジンは、これを不可能であると予想したのですが、実際には可能であったという有名な話があります。

 本日ご紹介するのは、「正方形を、全て形が異なりかつ全て面積が等しい複数の長方形に分割せよ」という問題です。最も少ない数では7つの長方形に分割する解が知られているのだそうです。「不思議おもしろ幾何学事典」には、「図は長方形の寸法の一例を示している」 という注釈がついて、こんな図が掲載されていました(「不思議おもしろ幾何学事典」図317より引用)。

図 1

 はて、なぜ小数点がついた数字があるんだろう? と不思議に思いました。普通、整数比(有理数)になるのであればすべて整数で表記しそうなものです。しかも、この図の情報だけからでは中央の縦線の位置が決まりません。

 図1の4つの辺に入れられた寸法を各辺ごとにそれぞれ足し算してみると、この正方形のタテヨコの長さは210になっていることがわかります。ということは、この正方形の面積は210×210=44100で、これを面積が等しい7つの長方形に分割するわけですから、長方形1つあたりの面積は6300といいうことになります。

 入れられた寸法をExcelに入力して、7つの長方形の面積を求めてみました。

図 2

 あれ?面積が6300になりません。やっぱり図1の数字は近似値のようです。

 そうなると正確な値が知りたくなります。そのためには「自分で解く」か「調べる」か、ということになりますが、自分で解くのはかなり手ごわそうだったので、調べてみることにしました。

(つづく)



 昨日、短冊組木でこんなかたちをご紹介しました。

再掲図

 本来は、黄色と赤のパーツは緑のパーツの両側に並んでいるはずですが、それを90度横向きに位置を変えたものだとみなすことができます。それならばさらに90度移動して、緑のパーツの反対側に持って行ってみることにしました。

図 3 図 4

 これを作ったら、「水色・青・うす緑」の並びも、「赤・緑・黄色」と同じ位置関係にしてみたくなりました。これはさすがにパーツの構造を変えないと無理そうです。どんなデザインにすると面白いかなあと思って考えてみることにしました。

(つづく)



 新聞の短歌の掲載日が月曜日から日曜日に変わったのがなかなか馴染まず、日曜日の夕方に、「あ、そういえばまだみていなかった」と思って改めて目を通したりしています。月曜日の朝に読んで出社する習慣が身についていたのです。

 今回は5歳の女の子の虐待の事件の歌がいくつか取り上げられていて、改めてずっしりと心が重くなりました。自分では歌は詠めませんが、作品を味わうのは好きです。

<おまけのひとこと>
 「ブランシュの分割」で(日本語で)検索しても、情報はなさそうでした。

 7月2日(月)の朝に、7/2、7/3の2日分の更新をしています。






7月3日(火) 比較不可能な長方形(その1)

 昨日の解説を書く前に、もう1つ、長方形に関する話題を「不思議おもしろ幾何学事典」D.ウェルズ著:朝倉書店 からご紹介します。



 2つの長方形を、それぞれの辺が平行になるように置いて、重ねてみることを考えます。どちらの長方形を選んでも、もう1つの内側に入らないとき、それらの2つの長方形は「比較不可能(incomparable)」である、と言うのだそうです。

 余談です。“compare”は「比較する」です。“comparable”は「比較できる・匹敵する」です。“incomparable”は「比べるもののない・比類のない」といった意味です。ここで、“incomparable”と言っているのは、2つの長方形はどちらも相手を内部に含まないため、ぱっと見でどちらが大きいのかわからない、というニュアンスだと思います。かたちの異なる複数の図形の面積の大小というのは、人間の直観ではなかなか捉えにくいものです。

 「比較不可能な長方形」という言い方は誤解を招きそうです。といっても適切な日本語がないですね。英単語をカタカナ表記するのは(「インコンパラブルな長方形、とかは)もっと嫌ですし。「どちらが大きいか自明ではない長方形」という程度の意味だと捉えておくのがよいかなと思います。

 図1は、全てが互いに比較不可能な7つの長方形のセットを示しています。Wが幅、Hが高さです。幅は1,2,3,4,…と順に広くなり、高さは逆に単調減少していますので、どの長方形を選んでも、それ以外の6つのいずれも内部に含むことは不可能だということはすぐにわかると思います。

図 1

 この7つ重ねず隙間なく並べて、長方形を作って下さいというのが今日ご紹介する問題です。

 参考までに、7つの長方形の面積はこうなっています(図2)。

図 2

 面積の合計は286です。286を素因数分解すると、 286=2×11×13 です。ということは、つくる長方形は22×13か、26×11です。(さすがに143×2は考える必要はないですね。)

 これはそんなに難しい問題ではないと思います。

(つづく)



 土曜日に本屋さんでいろいろ買い物をしたうちの一冊が折り紙の本でした。フチモトムネジという折り紙作家の方の本です。興味深い作品がたくさん掲載されていましたが、動物が多かったので、おそらく全体の作品の中で実際に折ってみるのは数種類だと思います。(私はたった1作品でも「折ってみたい」と思う作品が掲載されていればその本を買ってしまうことがあります。)

図 3

 冒頭に紹介されていたキツツキを折ってみました(図3)。いつも使っている鳥のマグカップにとまらせてみました。

 本を買った目的の作品はこれではないのですが、目的の作品を3つほど折ってみました。説明を理解するのがなかなかむつかしいです。この本は立体的な折り紙作品が多いためか、冒頭の基本形の説明を除いて、折り図ではなく写真で全て説明されています。時代を感じます。図というのは写真と違って、伝えたい情報が明確です。(上手な図なら、ですが。)写真や動画による説明と、図による説明では一長一短があります。写真や動画を好む人が増えてきているのかな、と思いますが、私は上手に表現された図が好みです。

(つづく)



 先週末の土日は全国的にかなり気温が上がって、標高が高い長野県でも真夏日になったところがたくさんありました。何度も書いているような気がしますが、この春に屋根の塗り直しをしたのですが、断熱コーティングのオプションをお願いしました。(5万円ほど値段が高くなりました。)見せてもらったカタログによると、いろいろ条件にもよるのでしょうけれども、それで屋根の表面温度が16℃くらい下がるのだそうです。

 これが期待以上に効果があって、昨年までの夏に比べて、家の中がとても過ごしやすくなっています。我が家はもともと谷間に面した丘の上にあるので、風がよく通ります。窓を開けて風を通していると、室温は27〜28℃くらいはあるのですが、気持ちが良いです。昨年までだったら同じ天気で同じ外気温なら室温は確実に30℃以上あって、一番上の階の部屋には日中は居られませんでした。

 夏本番を迎えて、今年の春の屋根塗装は大正解だったなと喜んでいます。

<おまけのひとこと>
 7月2日(月)の早朝、4時半くらいに実家の母からメールをもらいました。7/2は11年前に亡くなった父の命日です。(昨夜妻に言われて思い出しました。)

 実家は古いですし、標高も今の私の自宅の半分くらい(500m弱)なので、夏は暑いのです。心配です。元気でいてくれることを願っています。






7月4日(水) 短冊6枚組の構造

 本日の更新の最後に、昨日の「7つの比較不可能な長方形のセットで大きな長方形を作る」問題の答の図を載せてあります。見たくない方はご注意下さい。



 何回かご紹介している、アーテックブロックで作った短冊6枚組のパターンですが、どんな構造になっているのか図示してみたくなりました。

 最初に完成形です。パズルとしてはパーツの輪には切り欠きが必要ですが、完成したかたちを示すのが目的なので、本日のCGはすべてのパーツはO型の輪っかになっています。

図 1

 この構造は、輪が3つずつ並んだものが、シンプルなホップの絡み目のように絡んだ構造になっています。

図 2 図 3

図 4

 3つ並んだ輪の片側の3連のうち、左右の輪を90度回転させると(図5)、このかたちになります(図6)。

図 5 図 6

 さらにもう90度回転すると、こうなります(図7)。

図 7

 先日はここまでのかたちをアーテックブロックでご紹介しました。

 今まで固定していたほうの3つ組も、同様な位置関係になるように真ん中のパーツを180度回転させると、図8のようになります。

図 8

 向きを変えて、全部の色を白にしてみました(図9)。

図 9

 なかなか興味深いかたちだと思うのですがいかがでしょうか。

(つづく)



 昨日の「7つの比較不可能な長方形のセットで長方形を作る」問題の答の図を載せておきます。そんなに悩む問題ではないと思うので、特に間も空けずに答を書いてしまいます。

図 10

 少し調べてみると、正方形が作れるセットもあるようなのです。明日の更新ではそれをご紹介します。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 「明日の更新では…」とかもっともらしく書いていますが、この更新は7月5日(木)の夜に、7/4と7/5の2日分の内容を準備していて、7/6の朝にサーバに送る予定です。雨がひどいです。






7月5日(木) 比較不可能な長方形(その2)・エッグスタンド

 一昨日の更新から、「比較不可能な長方形」の話をご紹介しています。今日は問題の出題です。

図 1

 図1に2つの表を載せています。左が7つの長方形のセット、右が8つの長方形のセットです。それぞれのセットの長方形はすべて互いに「比較不可能な長方形」になっています(幅が単調増加、高さが単調減少)。それぞれのセットで正方形を作って下さい。正方形の一辺の長さは右と左では異なります。それぞれの長方形の面積の和を計算すればわかりますが、左は34、右は27になります。

(つづく)



 15cm角の折り紙で作ったエッグスタンドを愛用しているのですが、さすがに傷んできてしまったので、新しいものを折りました(図2)。

図 2

 この折り紙は用紙の表と裏が両方見えるので、ストライプの両面折り紙を使って折ってみました。

 光を斜めからあてて、真上から見てみました(図3)。

図 3

 影がきれいです。

 この折り紙の折り方の手順の図を作ってみました。こういう図を描くのは楽しいです。

図 4

 伝承折り紙の「家」から始めます。内側の左右の小さな正方形を斜めに半分に折ります(2)→(3)。さらに、今折った部分を上に折り上げます(4)→(5)。裏返して反対側も同様に折ります[(1)〜(5)]→(6)。あとは立体的に形を整えれば出来上がりです。

<おまけのひとこと>
 以前作ったエッグスタンドは、2色の両面折り紙を使いました。用紙はかなり丈夫そうでした。今回の折り紙はクラフト地っぽい感じで、水には弱そうです。以前のものは1年以上使えましたが、今度のものはすぐにダメになるかなあと心配しています。そうしたらまた折ればいいのですけれども。






7月6日(金) ブランシュの分割(その2)

 7月2日(月)にご紹介した、「ブランシュの分割」の話の続きです。ブランシュの分割というのは「正方形を、全て形が異なりかつ全て面積が等しい複数の長方形に分割せよ」という問題で、「不思議おもしろ幾何学事典」に掲載されていた図は近似値の数値だけが載っていた、というところまでお話しました。

 ネットを検索してみると、正しい答えがわかりました。最初に数値の表としてご覧いただきます。

図 1

 AからGの7つの長方形のタテヨコ(HtとW)を上の表のようにとると、面積はちゃんとすべて6300になっています。ちなみに面積が同じでタテヨコの長さがすべて異なるということは、これら7つの長方形すべてが「比較不可能な長方形」のセットになっているということでもあります。(比較不可能な長方形については、7月3日(火)にご紹介しています。)

 図1の表も、小数表示による近似値なので、正確な値の図も掲載しておきます。

図 2

 図1の表は、Excelに図2の数値を式として入力して作成しました。まずはそれぞれの部分のタテヨコの長さの和が確かに210になっていることをご確認ください。(14×15 = (7×2)×15 = 7×(2×15) = 7×30 = 210です。) 面積のほうは、7つの長方形の面積を全部手計算するのはちょっと面倒だったので、Excelに計算してもらったのでした。

 ちなみにこの情報は、面白い数学のトピックならなんでも載っているWolfram の Mathworldの Blanche's Dissectionに載っていました。

 とても面白いと思いませんか。



 一般財団法人 日本地図センターというところの製品の、マップMEMOという製品を、金沢21世紀美術館のミュージアムショップで購入しました。

図 3

 上記のサイトにも書かれていますが、地図をそのまま裁断して作られたメモ用紙です。税込み100円でした。

図 4

 実に美しく、地図なので丈夫で、すばらしい製品です。先日、新しくエッグスタンドを折ったら耐久性が若干不安だったので、この用紙で何か容器や箱を作ってみようと思ったのです。

(つづく)



 タイの洞窟内に取り残された13名の救出活動が難航しているというニュースを読んで、アーサー・C・クラークの「渇きの海」というSFを思い出しました。行方不明者を発見してから、どのように救出したらよいかという難問に取り組む話です。責任者は常に大変難しい判断に迫られ、かつ全世界がそれに注目している、という点がよく似ていると思ったのです。

 どうか無事に救出されることを祈っています。

<おまけのひとこと>
 7/6(金)の更新を、一日遅れで7/7(土)の朝にあわててやっています。






7月7日(土) CEOパズル

 先日の、5×3×1の短冊パーツを6枚組むパズルのパーツを考えてみました。パズル的にはものすごくシンプルな構造です。最初に、完成したかたちの写真をご覧いただきましょう(図1、図2)。素材はアーテックブロックです。

図 1 図 2

 このパズルを“CEOパズル”と呼ぶことにしました。パーツは図3のようになっています。

図 3

 CEO(Chief Exective Officer):最高経営責任者という言葉はよく聞く言葉です。CCOというのは最高遵法責任者(Chief Compliance Officer)という意味で使われることがあるらしいですが、あまり聞き覚えはありません。(どっちにしても私はこういうビジネス用語は苦手ですけれども。)

 この名前の由来は、図3を見ていただくとわかるかと思いますが、アルファベットのCのかたちのパーツが3つ、Oのかたちが2つ、Eのかたちが1つで構成されているためです。これは全く変形しない素材で作ってもちゃんと組めます。

図 4

 このパズルは簡単なので、おそらく頭の中だけでも組み方がわかる方もいらっしゃると思います。Eのパーツ(青いパーツ)がキーパーツで、最初にそれを引き抜きます。そうするとパステルカラーの2つのOパーツ(淡い水色と淡い緑)が自由に動けるようになるので、それらを1つずつ、赤・黄・緑の3つのCパーツの中央の隙間の部分に移動すると、図4の鉛直軸方向に抜くことができます。

(つづく)



 昨日のマップMEMOでいくつか箱を折ってみました。

図 5

 これは、長方形から菱形を切り出して折った、長方形の四角反柱っぽい箱です。険しい等高線が魅力的です。

図 6

 他の種類の箱も折ってみました。もともとがメモ用紙なので、やや小ぶりになってしまいます。でも、丈夫な地図用紙なので箱としては優秀です。



 大雨でたくさんの方が犠牲になってしまっているようです。テレビやラジオなどで「明るいうちに安全な場所に避難を」と呼びかけられていましたが、それでも7月8日(日)朝6時の時点のニュースでは、死者51名、行方不明者58名という報道がされています。尋常ではない数字です。

 亡くなられた方々も、おそらく油断したとか甘く見たとかいうわけではないのだろうな、とは思うのです。たとえ1日とはいえ、避難先の生活は自宅と比べると不自由でストレスが多いことは当然想像できます。また、こんなときに自宅を離れるのが心配、という気持ちもあると思います。なかなか「避難する」という決断は難しいだろうな、と想像します。

 安全に避難できるタイミングのときにはまだ差し迫った危険を感じていないでしょうから、「家にいても大丈夫そうなのに、わざわざ不自由な避難所まで行きたくない」という気持ちになるのかなあと思います。一方、報道でインタビューされているのをきいていても「真夜中に急に水が増えてきて、自宅の2階に上がるのが精いっぱいだった」というような話が多くて、いよいよ「これはまずい」というときにはもはや逃げられない、ということなのでしょう。恐ろしいことです。

<おまけのひとこと>
 自分が住む地域に「特別警報」がもし発令されたら、自分は適切に避難できるだろうか、と思いました。






7月8日(日) 短冊9枚組(その1)

 昨日の短冊6枚組の3つ組の構造(図1)、これを3方向から交差させるとどうなるんだろうか、とふと思いました。

図 1

 さっそくCGで描画してみました(図2)。

図 2

 なかなか悪くないかたちです。とりあえず3次元空間で組み立て可能かどうかは無視して、パーツ同士の干渉だけを避ければよいとしたらどんなパーツになっていればよいか、考えてみました(図3)。

図 3

 これでいいはずです。パーツは1×3×7で、1×3の穴が2つ空いています。3つ組になったときの配置はこうなります(図4)。

図 4

 同じ色で作ったらわかりにくかったので、3パーツに別な色をつけて、切り抜かれた内側の面を青にしました。



 図2の9枚組をアーテックブロックで試作してみることにしました。まず、パーツを準備しました(図5)。

図 5

 1色あたり立方体ピース15個です。全部で135個使っていることになります。なんでこんなにたくさんブロックを持っているかというと、数年前に100円ショップの閉店セールで値引きされていたのをまとめ買いしたためです。(1回目に行ったら半額で、最終日に行ったら9割引きだったのです。大部分の商品が完売されている中、このアーテックブロックはほとんど手付かずで残っていたので、100セット以上買いました。)

図 6 図 7

 実はこの立体はあんまり対称性が高くなくて、鏡像対称面も持ちませんし、3回回転対称軸をたった1本持っているだけなのです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 アーテックブロックはこういった直交するパーツの組木の試作には本当に大活躍してくれる、ありがたいブロックです。でも、そのかたちをずっと保存しておきたいとなると、やはり別の素材で作りたくなります。






7月9日(月) CEOパズルを紙で作る

 一昨日の更新でご紹介した、“CEOパズル”と名付けた短冊6枚組を、紙で作ってみることにしました。最初に組み立てる前のパーツの写真をご覧ください(図1)。

図 1

 いつもなら接着せずに紙の筒のまま組むのが趣味ですが、今回は、「組み替えてもパーツに負荷がかかりにくいようにしたい」「パーツの表側は面を張りたい」と思って、筒の上下の1×3の長方形の部分も2枚を重畳させることにして、軽く接着することにしました。

図 2

 パーツは図2のように設計しました。左から“C”、“E”、“O”です。Cを3つ、Eは1つ、Oは2つ作ります。図3はプリンタで印刷して切り出したところです。(図1と図2はパーツのタテヨコが異なっています。)

図 3

 パーツを図1のように組み立てて、それを組み合わせると、こんな風なかたちを作れます(図4,図5)。

図 4 図 5

 図6は向きを変えて置いてみたところで、図7は3枚ずつを揃える組み方をしてみたところです。

図 6 図 7

 今まで作ったものも、こうして両端をふさぐ作り方もしてみようかなと思いました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 週末に、7/9〜7/11の3日分の更新の中身を準備しました。7/9の早朝にサーバに転送します。






7月10日(火) 短冊9枚組の対称性を説明する

 一昨日の更新で、こんな9枚組をご紹介しました。

再掲図

 実はこのかたちはそれほど対称性が高くないです、という話を書きましたが、その説明をしておきます。

 このかたちは上下・左右・前後の3方向に、断面が1×3の板状のパーツを3枚ずつ使っています。3つの板は、ちょうど単位正方形1つ分だけ重なった、図1のような位置関係になっています。(図1は断面図です。)

図 1

 なんとなく、ずの右向きに飛んでゆく飛行機かロケットのようにも見えます。そこで、図1の右側を前(H)、左側を後ろ(T)と呼ぶことにします。

 今、このモデルをすっぽり覆う立方体を考えて、その立方体の頂点のほうからこのモデルを見ているとします。図2の視点は、青・赤・緑の3組のパーツいずれも「後ろ(T)」方向が集まってることがわかります。図3のようにひと回りちいさな立方体をかぶせてみると、わかりやすいかなあと思います。この視点をTTTと呼ぶことにします。

図 2 図 3

 立方体の頂点は8つありますが、それ以外の7つの視点から見るとどうみえるでしょうか? 2つほど例を挙げてみました。

図 4 図 5

 図4の視点は図3とは全く逆に3つとも「前(H)」が集まっています。HHHです。また、図5のほうは、青と緑は「後ろ(T)」ですが、赤だけが「前(H)」です。HTTです。

 構造を理解するため、赤・青・緑の面の「前(H)」の指す稜を赤で、「後ろ(T)」の指す稜を青で着色した立方体を作ってみました(図6)。

図 6

 HHHを赤い球で、TTTを青い球で示しています。残りの6つの頂点は、HHTHTTが3つずつ、交互に並んでいるのがわかります。

 こういう構造になっているため、この短冊9枚組は鏡像対称面を持たず、赤と青の球を結ぶ対角線を軸として3回回転対称性しか持たないのです。

 今回は「色付け」することで対称性が下がっていることを示しましたが、凸多面体でこれと同じ対称性の立体を思いつきますか?

(つづく)



 気が付いたら今週から大相撲7月場所が始まったみたいです。とりあえず初日は御嶽海は勝ったようで良かったです。サッカーJ2の松本山雅も、今季初めて首位になりました。

<おまけのひとこと>
 先週末の土曜日は妻が不在だったので、一週間分のお洗濯をして、ワイシャツとズボンにアイロンをかけました。床屋さんにも行きました。土曜日の夜に妻を駅まで迎えに行きました。日曜日の朝に私がとても無神経なことをしてしまって、日曜日は一日とても悲しい日になってしまいました。






7月11日(水) ミシンはなぜ縫えるのか、他

 本日の更新の後半に、昨日の問いかけ「鏡像対称性を持たず、3回回転対称軸を1つだけ持つ立体」の例を載せています。(一応予告しておきます。)



 面白そうな数学の本があると、つい買ってしまう癖があります。最近は結び目理論の本に注目しているのですが、先日、本屋さんで「トポロジー」(杉原厚吉著:朝倉書店)を買いました。

図 1

 正二十面体のきれいな表紙です。この本を買ったきっかけは、以下の前書きを読んだためです。少し長いですが引用させていただきます。

 たとえば、結び目の理論を学ぶと、どういう条件のもとで結び目ができて、どういう条件のもとではできないかが理解できる。しかし一方で、ミシンで布が縫えるという事実は、それに反するように見える。なぜなら、結び目ができるためには、ひもが穴を通り抜けなければならないのに、ミシンの針は往復運動を繰り返すだけで、その先についた糸は布に少し食い込んだあとにすぐにもどされるからである。このギャップに気付いたとき、不安を感じる正常さをもっていてほしい。「トポロジー」杉原厚吉 まえがきより引用

 第1章のp.4に、杉原先生のこんなイラストが載っています。

図 2

 (余談:妻がこのイラストを見て「サトウサンペイみだいな絵だね」と言っていました。確かに似ています。)

 上の図のような手品が実はありますが、それはロープを手に持つのではなく、ロープの先を輪っかにして手首に巻き付けてあるというパターンで、これならば外すことができます(図3)。

図 3

 ではミシンは?というのがこの本の導入のトピックです。杉原先生の本は、名著「不可能物体の数理」ですっかりファンになりました。わかりやすいですし面白いのです。まあそれは私が数学者ではなく工学者に近い立場だからかもしれません。

 (図3のイラスト、手のかたちが不自然ですが、これは昔あやとりの説明図を作るときに準備した図を流用したためです。)

 なぜミシンは縫えるのか、興味を持たれた方は「考えてみる」「身近にミシンがあったら眺めたりちょっと動かしたりして確かめてみる」と面白いと思います。



 さて、昨日の「鏡像対称性を持たず、3回回転対称軸を1つだけ持つ立体」の例ですが、私が最初に思い浮かんだのはこんなかたちでした。

図 4 図 5

 いわば「捩れ反三角錐台」とでも呼べばよいでしょうか。底面が大きな正三角形で、上面が小さな正三角形です。大小2つの三角形の中心は同じ垂直軸上にありますが、向きはやや回転しています。

 このかたちは正八面体と同じく、8つの三角形の面を持ち、全ての頂点の次数が4になっています。以前、正八面体とそのグラフ表現の図を載せたことがあったはず、と思って検索してみたら、2003年9月4日のひとことでした。

2003年9月4日の再掲図

 昔はPCの画面も狭かったですし、通信の帯域も狭かったので、できるだけ軽いページにしようと思って画像のサイズが小さかったのです。また、今ならCGで描くことの多い図も、手作業で(パソコンは使っていますが)描くことが多かったです。

<おまけのひとこと>
 最近、PCにキーボードからテキストを入力しようとすると、テキストが二重にダブって入力されたり(例えば「きょうは」と入れようとすると、「きょうはきょうh」となったりとか)することがあります。こういう症状は経験が無くて、ストレスがたまります。






7月12日(木) 椅子の折り紙:モダンオリガミより(その1)

 先日、新しく買った折り紙の本に載っていたキツツキの折り紙の写真を載せましたが、その本の中で一番興味があったのは、椅子の折り紙でした。

図 1

 その本は「モダンオリガミ」フチモトムネジ:ソシム(株)という本です。リンク先の出版社のページには、「立ち読みpdf」が用意されていて、この本に折り方が掲載されている作品の完成写真と、先日ご紹介した「キツツキ」の折り方を見ることができます。

図 2 図 3

 図1の折り紙は、100円ショップの幾何学的なデザインの折り紙を使って折りました。ジグザグのコントラストの強いテクスチャのため、無地の折り紙で折るよりもかなり大変でした。最初は無地の折り紙で練習すべきだったかもしれません。

 「立ち読みpdf」に載っているキツツキの折り方の冒頭です(図4)。

図 4

 こんな具合に写真で手順が説明されています。キツツキは完成図までの折り方が全部出ていますので、よろしければ作ってみてください。私はこの本の写真をベースとした表記方法に慣れるのにちょっと時間がかかりましたが、この表現に抵抗がなければ、この本の作品のデザインは素敵なものが多いと思いますので、お勧めです。

 掲載作品の多くが動物の折り紙なのですが、その中で目をひかれたのはこちらでした。

図 5

 ブレーメンの音楽隊ですね。ロバは24cm角、イヌは普通の15cm角、ネコは12cm角、ニワトリは10cm角の折り紙で折られているそうです。これはちょっと作って飾ってみてもいいかなあと思いました。

<おまけのひとこと>
 7月13日(金)の朝に、7/12と7/13の2日分の更新をしています。






7月13日(金) 椅子の折り紙:モダンオリガミより(その2)

 「モダンオリガミ」より、チェア-01とチェア-03です。ちなみに昨日の椅子はチェア-02でした。

図 1 図 2

 図1のほうはビーチチェアのようです。昨日の椅子で使った折り紙と同じシリーズの、白黒の幾何模様の用紙で折りました。 図2のほうは3本脚の椅子なのですが、脚のかたちや椅子の部分の姿勢がなかなかきれいに定まりませんでした。

 本にはこの「椅子」シリーズはあと3つ、全部で6作品が掲載されているのですが、いったん3種類折ったので満足しました。いずれ気が向いたら他の作品も折ってみるかもしれません。



 椅子と言えば、茅野駅の駅ビル(正確には橋上駅から2階の連絡通路でつながっている駅の隣のビル)の2階にワークラボ八ヶ岳というワークスペース(貸会議室のようなもの)ができたのだそうです。フリーラウンジをちょっとのぞいてみたら、多面体マニアには魅力的なスツールがありました。

図 3 図 4

 少しナナメになった八角錐台で、一つだけ直角に近い鋭角の内角があります。おそらくこの鋭角の部分が足の間になるように座るのだと思います。

 なんとなく我が家のゴミ箱を連想しました。このデザインは(ゴミ箱も図3、図4の椅子も)好きです。

再掲図

 これは、2010年6月17日のひとことでご紹介したものです。最近はこういう検索は、googleのサイト検索を使ってしまいます。

<おまけのひとこと>
 大相撲名古屋場所、5日目の木曜日の取組が終わって、御嶽海は栃ノ心と並んで5連勝です。いつも前半は調子が良いのですが、これからが心配です。






7月14日(土) Croisillon Type A7

 膨大な立体パズルデータを公開して下さっている、石野恵一郎さんの「ちょいとパズルでも」をときどき眺めて、試作をしたりして楽しませていただいています。今回、 Yavuz Demirhan 氏(発音がよくわからないです)がデザインされた、Croisillon Type A7というのが気に入ったので、アーテックブロックで試作したあと、スチレンボードで作ってみました。

図 1

 井桁の構造になっています。

図 2

 横倒しにしてみたところです。真ん中は空洞になっています。スチレンボードはカッターナイフで切り抜いているのですが、うまくカットできておらず、きれいでないです。

図 3

 パーツを切り抜いたところです。同じ作者による異なるデザインが公開されていますが、「全部のパーツが合同」というところが気に入って、これを作ることにしました。



 最近、エスビー食品の燃辛唐辛子という香辛料がお気に入りです。

図 4

 辛さを強めたいとき、とても重宝しています。



 大相撲名古屋場所、横綱が全員休場してしまいました。地元力士ということで応援している御嶽海が、6日目に無敗の6連勝で単独トップに立っていて、びっくりしています。ちょっと期待。

<おまけのひとこと>
 三連休が始まりました。暑くなりそうです。西日本の大雨の災害、大変なことになっていて心が痛みます。
 日中閉め切って出かけていると、一番上の部屋はかなり暑くなります。でも、夜10時くらいになると外は22℃くらいになるので、窓を開けておくと涼しい風が入って気持ちがいいです。






7月15日(日) 立方八面体の一輪挿し

 先日、妻が「家具が見たい」というので、高山の飛騨の家具館に日帰りで行ってきました。朝7時半くらいに家を出て、途中で寄り道をしながら11時前くらいには到着してゆっくり見ることができました。アウトレット館のほうに面白い小物がいろいろありました。積み木をばら売りしていたり(100円でした)、端材が売っていたり(ボードゲームの駒になりそうなくらいのサイズが10円でした)、心惹かれるものがたくさんありましたが、散々悩んで立方八面体の一輪挿しだけ買ってきました。

図 1 図 2

 写真は「小サイズ」で400円(税込み)のものです。「大サイズ」のほうは500円だったのですが、いろいろな樹種で作られたものがあって、木目や色などを吟味して、大サイズと小サイズを1つずつ買ってきました。「大サイズ」のほうは妻が庭の花を切って来て活けて玄関に飾ってくれました。



 15日(日)は大変暑かったのですが、午後4時ころから1時間ほどものすごい雨が降りました。今や日本全国でこんな話ばかりです。でも、この雨のおかげで気温は20℃以下まで下がりました。

図 3

 家の前の用水路が橋のところであふれて、家の前の道路が川になってしまいました。一番ひどい時間帯は雨がガラス窓に叩き付けていて、写真が撮れませんでした。午後5時過ぎにようやく雨が上がって水も引き始めたところで写真を撮りました(図4)。

図 4

 雨上がりの二重の虹がきれいでした。

図 5

 この日は友人のTご夫妻と18時から食事の約束があったのですが、この16時からの雷雨で停電になったりして、一時は行かれないかも、とちょっと心配しました。17時過ぎには晴れたので、無事行ってくることができました。



 将棋の藤井聡太七段(15)がNHK杯テレビ将棋トーナメントの1回戦で、今泉健司四段(45)に敗れたそうです。今泉四段は3年前に戦後最年長のプロデビューで話題になった棋士です。今泉四段の「泥仕合にする以外に勝ち目はないと思っていたが、一瞬の隙を突くことができた。将棋の神様がプレゼントをくれたんだと思う。」というコメントがいいですね。

<おまけのひとこと>
 7/16の朝に、7/15,7/16の2日分の更新をしています。

 14日(土)は昨年他社に転職していった若い友人と久々に酒を飲みました。飲みすぎました…






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