[Home]-[以前のひとこと]-[2002年2月後半]

以前の「ひとこと」 : 2002年2月後半



2月16日(土) 文字の認識

ヒント:3文字ずつの2単語です

 昨日に続いて問題です。上の文字は、アルファベット3文字の英単語が2つです。なんと読むかわかりますか? (このパターンは私のオリジナルではなく、認知心理学の本とかによく出てくる有名な例です。 ご存知の方も多いかもしれません。)

昨日の問題

 さて、昨日の問題(右図)はお読みいただけましたでしょうか? こちらは私が即席でデザインしたもので、アルファベット4文字で、左側の2文字は大文字の飾り字体、右側の2文字は小文字の筆記体のつもりです。 意図としてはHAseと読んでいただけたらと思ってデザインしています。

 このデザインの何が面白いかというと、このパターンは180度回転しても同じ形をしている、つまり点対称図形になっています。 昨日ご紹介したH.Hamanaka very private Home Pageでは、こういった点対称の文字図形を「さかさ文字」と呼んで紹介しています。そちらにはひらがなと漢字のさかさ文字のパターンがあって、とても感心して見せてもらいました。

 学生時代の一時期、こういった点対称図形な文字列を作ることに熱中したことがあります。当時はまだコンピュータは基本的にテキストベースの世界でしたから、そういった遊びは全て手で紙の上にデザインを描いていました。同じ研究室だった人の名前などをデザインしてそれを本人にあげたりしていたのですが、あまりおもしろがってもらえなかった記憶があります。 当時作ったものはそんなふうにして散逸してしまって、手元には残っていません。

 こういった「文字のデザインの遊び」は、私の知る限りではScott Kimという人が最初に大々的に作品を公開したのだと思います。例えばこちらの Art of Scott Kim とか、Scott Kim, Puzzle Master というページの “Inversions --- upside down lettering” などを見ると、その作品の一端を見ることができます。Kimの作品は、点対称だけではなくて、様々なパターンのデザインが出てきます。

 アルファベットというのは、高々26文字が区別できればよいわけで、本当に様々なデザインの字体があります。その分、こういった対称性を持った文字列のデザインの自由度が高くて、作っていてとても楽しいです。それに対して、ひらがなや漢字というのは文字種が多いですし、文字の位相幾何学的な構造がアルファベットより複雑です。対称性を持たせるのがそれだけ難しいはずです。私は Scott Kim の作品を見て対称文字のデザインを始めたので、作ったのはすべてアルファベットを用いたものでした。

 浜中さんの「さかさ文字」は、ひらがなだったり漢字だったりするところがとても独創性の高いすばらしい作品だと思います。

 <おまけのひとこと>
 アルファベットの筆記体を習った頃、筆記体のhを180度回転させるとyになる、ということがとても面白いと思った記憶があります。nをひっくり返すとuになる、というのにはそれほど感動しなかったのですけれども。



2月17日(日) さかさ文字

ひらがなです
濱中裕明氏のデザインによるさかさ文字

 2月14日および2月15日の「ひとこと」でご紹介した濱中さんから、上の画像を送っていただきました。 どうもありがとうございました。 嬉しくてカードに印刷してしまいました。 私がひとりで楽しませていただくのはあまりにもったいないので、ここでご紹介させていただくことにしました。 (元の画像はもう少し大きくて「かちっとした」画像だったのですが、失礼ながら若干縮小させていただきました。)

 蛇足ながら一応解説しておきますと、これはひらがな4文字で、右上から左下に向かって読みます。全体が点対称になっていて、180度ぐるっと回しても同じ形になります。 これを実現するための様々なデザイン上の工夫、例えば「」の濁点の微妙な大きさの差や、「」の横棒の絶妙な太さ(細さ)、「」の大胆かつ納得性の高いデザインなどにご注目下さい。 なによりも全体の書体というか雰囲気が統一されているところがよいです。

 <おまけのひとこと>
 半年ぶりくらいにリンク集のページにちょっと手を加えました。



2月18日(月) シラッシの環状多面体

シラッシの環状多面体

 ある本を読んでいたら、とても面白い立体の話が出ていました(上図)。 これは、ハンガリーの数学者のシラッシ(Lajos Szilassi)という方が1977年に発見したものだそうで、7つの面を持っている環状多面体です。環状というのは、まるでドーナツのように穴があいているのです。 この図ではなんだかよくわからないかと思いますが、こんなページをみつけました。英語のページですが、各面の色を変えたシラッシ多面体の図や、各面の形などの図が載っていてわかりやすいです。また、各面の図面が載っているpdfファイルが置かれていて、自分で印刷して作れるようになっています。

 この立体のどこがおもしろいかというと、7つの面のいずれの面も他の6つの面と稜(辺)を共有しています。こんな性質は、普通の(穴の開いていない)立体では、四面体だけが持っている性質です。各面が全て他の6面と辺を共有しているため、各面はすべて6角形です。ただし1つを除いてすべて内角が90度以上の角を持つ、凸でない6角形です。

 7つの面のうちどの2つの面を選んでも、選ばれた面どうしが接しているということは、この多面体を塗り分けるのには7色必要ということになります。 例えば立方体ならば3組の平行な面をそれぞれ同じ色で塗ることができますから3色で済みますし、正8面体ならば2色あれば塗り分けられます。

 なお、このシラッシの環状多面体の双対多面体を求める、つまり7つの面は頂点に、そして14の頂点は面に変換して、各面が平面になるように適当に(トポロジカルに)変形すると、同じくハンガリーの数学者チャーサール(Akos Csaszar)の発見した14面体になるんだそうです。 こちらはもっと昔、1940年代に発見されていたんだそうです。チャーサールの多面体の展開図と模型の写真がこちらに載っています。(このページは英語ですらありません。 でも写真と図だけは理解できます。) この立体もまた環状多面体です。14ある面はすべて三角形です。

 こっちの立体は何が面白いかというと、こちらは今度は対角線を持たない立体なのです。つまり、任意の2頂点を結ぶ直線が、全て多面体を囲む「稜」になっているということです。 この性質もまた、普通の立体ですと四面体だけが持っている性質です。

 <おまけのひとこと>
 今日は2月16日のひとことの問題の解説を書こうかと思っていたのですが、シラッシとチャーサールの立体の話があんまり面白かったので、そちらをご紹介することにしました。



2月19日(火) フランス組曲

 先週末にJ.S.バッハのフランス組曲第1番のメヌエットをリコーダー三重奏用に編曲してみました。メヌエット1(3kB)と、メヌエット2(4kB)です。どちらも三声です。 この時代の組曲は、アルマンド(遅い)・クーラント(速い)・サラバンド(遅い)・ジーグ(速い)という4曲の舞曲が基本形で、最後のジーグの直前にメヌエットとかガヴォットとかブーレといった舞曲が入ったり、最初にプレリュード(前奏曲)が入ったりします。

 この曲のように、ジーグの直前の舞曲が2曲はいっている場合がありますが、その場合はメヌエット1→メヌエット2→メヌエット1というように2部形式のように演奏するようです。

 鍵盤楽器用の多声音楽は、三声なら常に三つの旋律があるという保証は無くて、基本が三声でもほとんどが二声だったり、部分的に和音が厚くなっていたりすることがよくありますが、この曲はちゃんと最初からほとんど最後まで三声の構造を保っています。 中声が和音の性格音を長く伸ばすところがたくさんでてきます。そのときに和声が不協和から協和へと次々と移り変わってゆくところがあって、いかにもバロック音楽らしくて美しいです。

 ついでに、同じく J.S.バッハのモテット(BWV 227)から1曲をデータ化してみました。こちら(5kB)です。 こちらはほとんど楽譜通りです。最後の和音が不安定ですが、これは本来は次の曲にすぐ続くためです。

 <おまけのひとこと>
 先日、私のサイトで公開しているMIDIデータの楽譜を下さいというリクエストをいただきました。早速pdfファイルをメールで送りました。リクエストをいただいたのは、J.S.バッハのフルートソナタ第5番の第1・第2楽章と、ヘンデルの「パストラールシンフォニー」でした。 編曲も、多くの場合作った直後は「今作ったばかりの最新作が一番気に入っている」状態なのですが、しばらくして見るといろいろと不満が出てきます。



2月20日(水) 文字の認識

2/16の問題
 先日、「わりと有名な問題です」といって出題した英語2単語(右図)ですが、正解は“THE CAT”です。 そのように読んでいただけましたでしょうか?

 この問題のポイントは、もちろんそれぞれの単語の中央の文字、“THE”のHと、“CAT”のAです。この2つの文字に注目していただくと、実はこの2つはまったく同じ図形であることがわかると思います。 これを作意の通りに読むためにはアルファベットの知識だけでは足りなくて、英語の単語の知識があって初めてこれが“THE CAT”と読めるわけです。

 先日からご紹介している「さかさ文字」ですが、これも1つ1つの文字の形に関する知識があるだけでは読むことが難しいことが多くて、その文字列が何か意味のある単語を表しているだろうと推測する事によって、それぞれの文字の解釈が定まります。

 これを応用して、日本語のひらがなならば例えば「い」と「り」とか、「こ」と「て」とかを上記の問題のAとHのように同じ画像で表しておいて、前後の文字から違う文字として読ませる、といった“THE CAT”の日本語版問題を作ることもできそうです。

 <おまけのひとこと>
 ちなみに「さかさ文字」という呼び名は濱中さんのページの命名を借用しています。このあたりの面白い文字の画像についても、「過去のひとこと」に埋もれさせてしまうのはもったいないな、と思っています。



2月21日(木) プラレールのジョイント

プラレールのジョイント
図 1
 先日、子供のプラレールの機関車の電源ケーブルが断線してしまいました。炭水車が電池ボックスになっているタイプの車両だったのですが、車両本体側を持ち上げて炭水車側をぶらぶらさせるような運び方を頻繁にしたため、折れてしまったようです。 (これは扱い方が悪いというよりは製品の設計が悪いと思います。)

 修理を頼まれたので半田ごてを探しました。以前パソコンのケーブルを自作したりするのに使っていたのがあるはずなのですが、みつかりません。 といってまさか職場にプラレールの車両を持っていって修理するわけにもいかないので、お店に半田ごてを探しに行きました。

 だいたい1,000円前後くらいでいろいろなワット数のものがそろっていました。 この値段ならば下手をするとプラレールの機関車の方が安いかも、と思いましたが、修理して大切に使うということも教えたいなあと思って半田ごてを買おうかと思ったり、いやでもちゃんと探さないですぐに買うというのもよくないかと思ったりしています。 (実家に帰れば半田ごてがあるはずだし。)

 半田ごてをいろいろ見ていたら、「ホットナイフ兼用半田ごて」というのがあって、興味を惹かれました。 こて先をカッターナイフのような刃物と取り替えて、プラスチック板などをきれいにすぱっと切れるというのです。 これでプラレールの線路を加工したいな、と思いました。

方向転換ができない
図 2
 プラレールのレールのジョイントは、図1のように一方が凹で他方が凸と決まっています。そして、1本のレールの両端は、一部の特殊なパーツを除いては、レールのジョイント部は、全て片側が凸・反対側が凹になっていて、接続の「向き」があります。そのため、例えば分岐線路を用いてぐるっと回って進行方向を逆転させるような路線を設計しても、通常の部品ではそのような敷設ができません。

 レールの凸側を矢印の先端、凹側を矢印の根元として表すことにすると、例えば左の図2のように、レールをつないでいくとどこかで辻褄が合わなくなってしまいます。 もしホットナイフがあれば、通常の部品を2つ切断して凹どうし・凸どうしを接着すれば、線路のジョイントの凹凸反転レールを作ることができます。

 でも、調べてみるとレールのジョイントの反転パーツというのも売っているようです。しかも、この反転パーツもホットナイフ兼用半田ごてよりもずっと安いんですよね。とりあえずホットナイフの使い道を他には思いつかないし、どうしようかと考えています。

 <おまけのひとこと>
 例えば、ヨーロッパのBRIO等の木製の列車のおもちゃですと、レールの両端は基本的に両側とも凹で、専用のジョイントパーツを使って接続します。普段はレールの片側だけにジョイントパーツがついていて、ちょうどプラレールと同様に方向性を持って接続してゆけるのですが、いざ凹凸を反転したくなったら、ジョイントパーツを足したり外したりすればすぐに接続できます。よい設計だと思います。



2月22日(金) カノン

 「カノン」という音楽の形式をご存知でしょうか。 たとえば3パートなら3パートに分かれ、第1のパートが奏でる旋律と同じ旋律を、第2・第3のパートがそれぞれ何拍もしくは何小節かおくれて奏でるというものです。「輪唱」というとわかりやすいかもしれません。たとえば「かえるのうた」とか「静かな湖畔」とかを輪唱した経験のある方も多いと思います。

 先日、14〜15世紀くらいのものらしい作曲者不詳のカノンを知りました。 例によって簡単なMIDIデータを作ってみました。こちら(ファイルサイズ 2kbyte くらい、演奏時間40秒程度)です。 3声部あって、各パートは完全に同じ旋律を、下の楽譜で3拍(=1小節)ずつおくれて演奏します。 なお、この楽譜では2分音符を1拍と数えます。

カノンの楽譜
カノンの楽譜

 この曲はちょっとリズムは難しいかもしれませんけれども、シャープとかフラットとかいった臨時記号も出てきませんし、音域も1オクターブ半くらいだし、いろいろな楽器でやってみると楽しいのではないかと思います。 なんだかファンファーレのようでもありますので、トランペット3本とかで演奏すると演奏効果が高いかもしれません。

 付記:実はこの曲は、バード(William Byrd)の“Hey, Ho! to the Queenwood”という曲らしいということがわかりました。失礼しました。

 <おまけのひとこと>
 この曲、最初に聴いたときにはカノンだということがすぐにはわかりませんでした。



2月23日(土) カエルのブランコ

 カエルのおもちゃで、後脚が緑色のゴム製で小さな空気ポンプがついており、そのポンプを押すと足が伸びるものがあります。それによって飛び跳ねたり、水に浮かべておけば水を蹴って泳いだりするおもちゃです。

 先日、図書館で『おもちゃの科学 1』(戸田盛和 著 日本評論社 1995年7月初版 ISBN4-535-60221-2 1900円+税)という本を借りて来て読んでいたら、このカエルのおもちゃを小さなブランコに載せて、適切なタイミングで足を屈伸してやることによって、カエルにブランコを漕がせるという話が載っていました。図を引用させていただきます。

カエルのブランコ

 図をご覧いただけばわかるように、ポンプでカエルを上下に動かしたときに、ブランコから離れてしまわないための工夫が必要です。また、おもちゃのカエルにふさわしい大きさのブランコということになりますと、本物よりもずっと短いブランコということになりますから、振り子の周期は本物よりかなり短くなるはずです。 そうなると、かなり忙しくカエルを立ったり座ったりさせないとブランコを漕がせられないことになります。

 とても面白そうだったので、実際にやってみたくなりました。昔こういうカエルのおもちゃを持っていたはずだと思って探してみたのですが、みつかりません。まあわざわざ買ってきてまでやることでもあるまいと思って諦めています。

 なお、本によりますと、この「ブランコ漕ぎ」はカエルのおもちゃのゴムの脚部に非常に負担をかけるそうで、すぐに空気が漏れるようになって使えなくなってしまうという記述がありました。 もしここをご覧になって試される方がいらしたら、ご注意下さい。

 <おまけのひとこと>
 昨日のひとことでご紹介したカノンですが、「作者不詳」などと書いてしまいましたが、実はバード(William Byrd : 1543-1623)の曲らしいということがわかりました。失礼しました。



2月24日(日) 展開図から新しい立体を作る

 ちょっと多面体について調べていたら、展開図と多面体というページをみつけました。 ある多面体の展開図の折線を消してしまって、別の折線をつけることによって違った立体を作れないかという話です。 とても面白かったので、1つ作ってみました。

立方体の展開図と新しい折線
図 1

 上の図1は皆様よくご存知の立方体の展開図です。例えばこの展開図の輪郭である十字架型の図形に、右図のような新しい折線をつけると、ここから四角錐(四角錐ではありません)を作り出すことができるのです。以下、見取り図の形式でご説明します。

四角錐の作り方(その1)
図 2

 最初に、図1右側の新しい展開図に色をつけます。出来あがりの四角錐の底面になる部分を灰色、側面の三角形になる部分を青・赤・黄・緑にします。灰色と緑の部分は複数ありますが、それらが集まって1つの面を作ります。

 最初に、黄色と灰色の境界部分を折り曲げ、赤い直角二等辺三角形と底面の灰色の部分とをつなぎます(図2右)。この段階で、赤と青の直角二等辺三角形は垂直に直立しています。

 続いて青い直角二等辺三角形を、赤い三角形に対しても直角に折り、底面の灰色につなぎます(図2右の黒い矢印)。 ここで、赤・青・灰色の面は、普通の立方体の3面と同様にお互いに直角になっています。 同時に図2右の赤い矢印のように、緑と灰色の直角三角形の部分を折り曲げて、灰色の直角三角形が底面にはまるようにします(図3左)。

四角錐の作り方(その2)
図 3

 最後に、図3左の赤と青の矢印のように、残った2つの緑の直角三角形でふたをすると、ちょっと細長い四角錐が完成します(図3右)。もともとの立方体の1辺の長さを1とすると、立方体の体積は1x1x1=1ですが、この四角錐は底面積が2で高さが1ですから、体積は3分の2ということになります。 表面積はもちろん6で一緒です。(展開図の輪郭が同じなんですから当然ですね)

 展開図と多面体のページには、これ以外のやり方が載っていたり、他の平面図形から立体を作るための辺の貼り合わせを計算させるためのプログラムが提供されたりしていて、とても面白いです。 お勧めです。

 今日のひとことは絵を描くのが大変でした。CGにしようかとも思ったのですが、あまりわかりやすくなりませんでした。(作り手のセンスの問題でしょうか?)

 <おまけのひとこと>
 この週末は、子供たちにはさみ将棋を教えてみました。 縦横の駒の利き(この漢字でいいんでしたっけ?)がまだなかなか読めないようです。 こういったゲームの時には、わざと負けてやったりとかはしませんし、ルールと同時にマナーも教えています。
 もちろん最初なのでこちらの駒の動きの意図は教えてやりますし、変な手を打ったらそれがどうしてまずいかを説明してやり直させてやったりはしています。この2日で10局くらい指して、少しずつわかってきたようです。



2月25日(月) ディアボロ

ディアボロ(CG)  先日半田ごてを探しに行ったときに、お店でみかけたマジック・ディアボロ(500円)という製品をつい衝動買いしてしまいました。

 ディアボロというのは「空中ゴマ」などと呼ばれるもので、元は中国の遊具のようです。図のように、お椀を2つ、底で貼り合わせたような形をしています。中央に細い軸が通っていて、ちょうど糸を外したヨーヨーのようなものです。

 これを2本の棒の間に張った糸を使って操ります。ヨーヨーよりも自由度が高く、様々な技(トリック)があるようです。たとえばこちらの“ディアボロトリック動画サイト ディアリズム”というページを見ると、とても多くの技が紹介されています。

 私の購入した製品は値段も安く、棒がプラスチック製で、一部の高度な技を行うには不向きだということのようですが、まあ最初はこれで十分だと思いました。 最初に安定して回転させるところまでは特に難しくはないのですが、その先のいろいろなトリックになると、やはりかなり練習が必要です。 とりあえず基本動作までは簡単、でも奥が深いというところもヨーヨーと似ています。 私はまだ基本動作しかできません。練習する時間もないのでそれ以上の進歩は難しいです。こういうのはやっぱり時間がありあまっている子供のころにやっておくといいな、と思います。

 1999年にバンダイから発売された「ハイパーディアブロ」という製品があるようです。このときにはメーカーがかなり力をいれて普及に努めたらしいです。30種類のレベル認定用の公式トリックを設定し、全国のおもちゃ屋さんの店員さんに「バンダイ公式ディアブロ認定者」になってもらって、技を競うような仕組みを作ったらしいのですが、残念ながら当時は全く知りませんでした。 今は店頭でも全くみかけません。 メーカーさんも小売店さんも売れない商品を抱え込むわけにはいかないのでしょうけれども、流行しているものしか入手できないというのは、社会として、文化としてあまり豊かだとは思えないですね。

 ついでに、やはりしばらく前にオモチャ屋さんなどで盛んにプロモーションビデオを流していた「ジターリング」も全然みかけなくなりました。これもそのうち買っておこうと思っていたのですが、気がついたら見失いました。 まあ、ジターリングは今一つ面白さがピンと来なかったんですが。

 <おまけのひとこと>
 今日は敢えてイラストでも写真でもなくCGでディアボロを紹介してみました。 シンプルな幾何学図形ならば、CGの方が図を用意するのが簡単だしわかりやすい、という場合もありますね。



2月26日(火) カノン(2)

 先日(2/22)に続いて、もう1つカノンを紹介します。これも14〜15世紀の西洋の曲らしいです。 先日は最初に作者不詳と紹介したら、それがバード(William Byrd)の曲だったということが後でわかりましたが、今度こそ作者不詳の曲です。

作者不詳のカノンの1パート
Hey, Ho! What shall I say? (作者不詳)

 最初に、この1パートだけの独奏をこちらのMIDIでお聴き下さい。 さて、これを1小節ずつ遅れて9パートで次々と演奏したら、どんなふうに聞こえるかご想像になれますでしょうか?

 想像してみましたか? では、9パートのカノンをお聴き下さい。こちらです。 この例では、各パートは1度だけ上記の楽譜を演奏したら、最初に戻ったりしないで次々と抜けて行きます。そのため、1小節ごとにだんだん音が厚くなって、9小節目で一番音が多くなって、そこからは1パートずつ抜けて行くため徐々に音量が下がっていきます。 全く同じパートを時間方向にずらして重ねるというのはとても面白いですね。

 ところで、先日のバードのカノンは"Hey, Ho! to the Queenwood."という曲でした。今日ご紹介した曲は"Hey, Ho! What shall I say?" です。 そこで、"Hey, Ho! ...."というタイトルの曲はひょっとしてカノンを表しているのではないか、という仮説を思いつきました。 「ヘイ、ホッ」という威勢のよい掛け声は、タイミングをとりながら次々とカノンのアンサンブルに加わって行く感じがしませんか?

 …我ながらものすごくうそっぽいですね。

 <おまけのひとこと>
 昨日ご紹介したディアブロですが、とても面白いページをご紹介いただきました。こちら( http://www.brokendrum.demon.co.uk/sub/SigleSided.htm)です。  達人になると、例えば片側を外したディアブロとかフライパンのふた・ワイングラス・口がちょっとだけ広がった花瓶のようなものなどもディアブロと同じように回せるんだそうです。すごい。



2月27日(水) 日本ジャグリング協会

 ディアボロについていろいろ調べていたら、日本ジャグリング協会オフィシャルサイトというページに行き着きました。この協会の設立趣旨書によりますと、ジャグリングというのはもともと「物体を次々と投げ上げる曲芸」の意味なんだそうです。

 このページのリンク集などを見ていると、とてもおもしろいページがたくさんあります。たとえばジャグリング小事典というページの動画ライブラリを見ると、いろいろな技をムービーで見ることが出来て、とても参考になります。 こういうのを見ると、自分でも練習してみたくなりますね。

 <おまけのひとこと>
 おかげさまでこのページも公開をはじめて1年になりました。ご訪問いただいた皆様に感謝致します。



2月28日(木) 囲碁

 囲碁というゲームは、アブストラクトゲームの中でも最もシンプルで、かつ最も奥が深いゲームだといわれています。将棋やチェスのように複数の種類の駒があるわけではなく、お互いにたった1種類の駒(石)を交互に1つずつ置いて行くだけという、これ以上シンプルにはできないプレイ方法です。ルールも、自分の石で広い領地を囲む事が目的で、完全に敵に囲まれたら死ぬことと、「コウ」というルールがあることくらいで、とりあえずルールに従ってプレイするだけならばすぐに覚える事ができるゲームです。

 ただ、基本ルールがあまりにもシンプルなものですから、その面白さを理解してある程度強くなることはなかなか大変なゲームだと思います。 実は私はアブストラクトゲームとかパズルが好きなくせに、囲碁はどうもその面白さが充分に理解できていません。

 先日の囲碁の棋聖戦七番勝負の第5局で、終局の判定でもめてしまって事実上決まっていた勝負が逆転してしまったということがあったそうです。(ちなみに上記のページでは、棋譜を順番に再現してくれる機能が備わっていて面白いです。ライブ版とJAVA版があります。ライブ版はプログラムをダウンロードしてセットアップする必要がありますが、JAVA版はそのまま実行できます。) 朝日新聞でも取り上げられていましたが、プロのこんな重要な対局においても、こんなことが起ってしまうんですね。

 <おまけのひとこと>
 濱中さんのページの表紙が新しくなっています。 紙の帯を組み合わせる(編む)ことによって作られた、メビウスの帯です。 この「編物」をほどいてもとの平面にしたらどんなかたちになっているんだろうということや、そこからどうやってこの作品に編み上げるんだろうということを考えてみると、とても面白いです。 これを見て、紙テープを編む技がいろいろあったなあと思い出しました。



[戻る]

[Home]-[以前のひとこと]-[2002年2月後半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2002 hhase