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以前の「ひとこと」 : 2023年5月前半


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5月1日(月) 算術平均と幾何平均、あやとり、本

 5月です。数学の話とあやとりの話と、最近読んで面白かった本のご紹介です。



 2つの数の算術平均(arithmetic mean:足して2で割る)と幾何平均(geometric mean:掛けて平方根を取る)という二種類の「平均」があります。これはn個の数に一般化できるのですが、平均を取る数が異なれば算術平均のほうが大きくなります。これは様々な証明方法があるのですが、数が2個の場合、こんな風に三平方の定理で示すことができるということを知りました。

 確かに、直角三角形の斜辺はその他の2辺より長いですし、長さが等しくなるのはa=bのときです。(このとき上の図の直角三角形は高さがゼロになります。)

 とても面白いと思います。

(つづく)



 内側3本指で「ガイアナの星」を取るあやとりは結構好きで私にとっての定番の1つです。ふと思い立って「人差し指を半回転」してみたのです。そうしたらかなりきれいな仕上がりになりました。

hh230501-1
  1. 人差し指の構え
  2. 人差し指を向こうへ半回転ひねる
  3. 内側3本指で「ガイアナの星」
  4. 中指を外す
  5. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  6. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理

 上の手順2. をやらないパターンは好きでよく取っていますが(2021年5月19日)、今日のもののほうが好きかもしれないと思いました。

hh210519-1a(再掲)

 これは2年前の4月に某ホテルに宿泊したときに撮った写真です。



 図書館で借り来て読んだそれはあくまで偶然です(ジェフリー・S・ローゼンタール:早川書房)がものすごく面白かったのです。とても気に入ったので文庫本で買いました。著者は統計学を専門とする数学者で、統計学を用いてたまたまマスメディアに注目されるような仕事をしたことがきっかけで、こういった啓蒙書を書くようになったようなのですが、実に豊富な事例で「運」「不運」に関して語られています。

 この本の第一章の冒頭の2つ目、3つ目の段落をまるまる引用させていただきます。

 運を信じているか、ですか? いや、それはもちろん、信じています。物事は、うまくいくこともあれば、いかないこともあります。外部の力が働いて、なかなか大変な目に遭うときもあれば、逆にこれ以上ないほどうまくいくときもあります。自分自身についていえば、教育を重視する中間層の家庭に生まれたのは運が良かった。おかげで、成功への道を歩みはじめることができましたから。平和で安全で繁栄している国で育ったのは、とてもラッキーでした。一流の大学に入学できたのも、ついていた。それを足掛かりに、学者として申し分のない地位に就き、終身在職権も得て、身分が保証されましたから。もちろん、運を信じています!
 運を信じているか、ですか? いや、それはもちろん、信じていません。不吉な数や星占い、幸運のお守りの類を信じている人もいますけれど、そういうものはみんなナンセンスに思えます。お守りのような変わったアイテムと現実の生活での結果とのあいだに因果関係を生み出す物理法則は、一つとして知られていません。念入りな実験を行って、両者のあいだに何かしら一貫した関係を示せたためしもありません。ですから、不吉な数などのどれであろうと本気で信じるのは、少しばかり馬鹿げているように思えます。それに、これまで誰かに良いことがいくつも起こったからといって、そのパターンが続くとはかぎりません。過去は未来を予言しているわけではないですし、パターンが決まっているわけでもなく、幸運が保証されている人など一人もいません。もちろん私は、運を信じていません!
 私は運を信じているか? けっきょくそれは、運とは何か次第だ。運とは、じつにさまざまな解釈が可能な言葉だからだ。…(後略)
「それはあくまで偶然です」ジェフリー・S・ローゼンタール 第一章より

 この本の(ローゼンタールの)結論は「自分にはコントロールできないランダムな運を静穏に受け入れる力と、修正できる運を変える知識と、両者の違いを知る知恵をお与えください」なのですが、これがどういう意味なのかを多くの事例を用いて丁寧に、かつ極めて面白く語られています。この結論には共感しました。

 著者が、自分は数学が大好きなのに世の中の多くの人は数学が嫌いだということを知って悲しく思ったこと、さらに専門として選んだ統計学を世の中の多くの人は(数学よりももっと)大嫌いだと知ってとても悲しく思ったこと、などユーモラスに語られてるところや、運を信じている人との噛み合わない会話の例など、実に面白く読みました。

 この本、とてもお勧めです。あと、こちらの読売新聞のサイトの書評(中島隆博(哲学者・東京大教授)が良かったです。


<おまけのひとこと>
 今日明日は連休の谷間です。会社でもお休みを取る人が多いですが私は仕事です。定例の会議が全部ないので、集中できそうです。






5月2日(火) ケプラー三角形、あやとり、本

 幾何学図形のシルエットパズルの話とあやとりの話と、最近読んで面白かった本のご紹介です。



 ケプラー三角形という三角形をご存じでしょうか。アマチュア数学愛好家を自任する私は、自分のような素人にもわかる面白そうな数学の話題は意識して仕入れるようにしているのですが、恥ずかしながら「ケプラー三角形? 何それ?」と思ったのでした。

 ケプラー三角形は検索すると日本語でも情報がたくさんあるので詳しくは書きませんが、直角三角形で、その3辺の長さが等比数列になっているものです。こんなかたちをしています。仮に比の値をaとすると、直角三角形の3辺の比が 1、r、r2となっているということです。

図 1

 等比数列なので、1、r、r2、r3、r4、r5、… という系列を考えたとき、上の図は(1、r、r2)、(r、r2、r3)、(r2、r3、r4)、(r3、r4、r5)、…というように、隣り合う2つの相似な直角三角形の2辺の長さが共通になるようにして作っています。

 6つ目まで作ってみましたが、重ねてみたり並べてみたりするとこうなります(図2)。

図 2

 計算してみるとすぐにわかりますが、これは黄金比が関係しています。

図 3

 このセット、同じ長さの辺の組がたくさんあることと、黄金比の性質 Φ2=Φ+1 から2つの辺の長さの和が別な辺の長さになる組み合わせもたくさんあるため、この6枚で下の図のような様々な凸多角形のシルエットパズルを楽しむことができます。

図 4

 シルエットパズルとしては易しいですが、面白いです。とりあえずすぐにできたものだけ並べてみましたが、ほかにもあるのではないかと思います。



 昨日のあやとり、1か所だけ変えてみました。

hh230502-1
  1. 人差し指の構え
  2. 人差し指を向こうへ1回転ひねる
  3. 内側3本指で「ガイアナの星」
  4. 中指を外す
  5. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  6. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理

 上の手順2. 昨日は「半回転」でした。1回転にすることで「交差」が「絡み」になりました。

hh230501-1

 昨日のもののほうが好きかな。



 先日、駅前の本屋さんにふらっと入ったときに見かけた日本文学を読む・日本の面影(ドナルド・キーン:新潮選書)を買ってきました。この本の前半の「日本文学を読む」は、作家49人について一人あたり原稿用紙6枚程度で論じられており、1971年から1977年にかけて、新潮社の雑誌「波」に連載されたものだそうです。毎月これだけのものを書く、というのは凄まじいエネルギーだと思います。当時主流だった評価とは一線を画する内容もあるようですが、納得感があってとても面白かったです。また、「英訳するとしたら…」という視点がところどころに現れるのも興味深かったです。

 特に詩(短歌や俳句も含む)の翻訳の難しさについて語られているところに興味を惹かれました。斎藤茂吉の短歌の英訳の例が紹介されていたりするのですが、有名な三好達治の

 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

 について、

 たとえ翻訳の名人であっても、この詩にぶつかると手をあげてしまうと思う。詩の意味については何も問題がないが、「太郎」と「次郎」という最もありふれた日本男児の名前には翻訳で伝えられない語呂がある。「太郎」の代りに「一郎」となっていたら、この詩は全くつまらなくなってしまうし、また、その絶対性は翻訳では消えてしまう。初期の作品には語呂が意味を補強する例が特に多いのである。
「日本文学を読む・日本の面影」ドナルド・キーン p.170より

 と論じているのです。ちなみにgoogle翻訳にかけてみたらこうなりました。

Put Taro to sleep and sprinkle snow on Taro's roof.
Put Jiro to sleep and sprinkle snow on Jiro's roof.

 さらに上の英語をgoogle翻訳で日本語にしてみたらこうなりました。

太郎を寝かせて、太郎の屋根に雪をまき散らします。
次郎を寝かせて、次郎の屋根に雪をまき散らします。

 上の英訳結果を英語を話す人が読んで感じるのがこの機械翻訳の日本語訳の内容、ということですね。この詩を読んだ時に心の中に浮かぶ情景や感情を再現する英訳、というのは確かにとても難しいと思います。その一方で、キーン氏のように大人になってから日本語を学び始めても、日本文学の専門家としてこれだけ深い洞察と理解をされている方もいらっしゃるわけですから、文学が表現するものというのは特定の民族や言語にとらわれない普遍的なものなのだろうな、とも思います。

 本の後ろの半分の「日本の面影」は1992年の「NHK人間大学」の13回の講義資料をまとめたものだそうです。これも非常に興味深い、面白い内容です。

 一部、読んだことが無いどころか名前すら知らなかった作家の節を飛ばしたりしながら9割がたは読みました。面白かったです。「あれ、なんでこの人が出てこないのだろう?」と思った人もいるのですが、キーン氏(1922-2019)が世代的に重なっていて親交があった方の作品を取り上げるのは難しかったといった裏話もあって納得した面もありました。宮沢賢治が取り上げられていなかったのは残念ですが。


<おまけのひとこと>
 妻も「日本文学を読む・日本の面影」を読んでいるのですが、主に好きな作家のところをじっくり読んでいるみたいです。三島由紀夫は長生きなんかしたくなかったろうというのは自分も常々そう思っていた、とか、(キーン氏は)谷崎潤一郎の「細雪」の雪子があまり立体的に描かれていないと評しているがそんなことはないと思う、例えば…とか感想を言ってくれます。






5月3日(水) 「あやとりの記録」の更新

 あやとりの話です。更新、2日まとめてしまいました。



 今年の9月に、あやとり協会の皆様と一緒にあやとり展示をさせていただけることになりました。おそらく準備の時間は十分には取れないと思うので、この連休中にどんな展示をするか考えようと思いました。まずは一昨年末からほったらかしになっていた あやとりの記録 を更新することにしました。これがけっこう時間がかかってしまったのですが、ようやく2023年の4月分まではまとめることができました。

 改めて日ごとの一覧にしてみると、驚いたことに同じあやとりを気付かずに2回、時には3回もご紹介してしまっていた例があることに気が付きました。

hh211203-1 hh220720-1 hh230501-1

 上左は2021年12月3日、中央は2022年7月20日、右は一昨日の2023年5月1日です。ちゃんと過去に公開したものを確認していればこういうことは防げたはずで、恥ずかしいと思っています。(取り方の説明の手順が微妙に違っています。)まあでもこれだけ数が増えると本人である私ですら気が付かないのですから、ご覧くださった方が気付かれるとは思えないですが。

 やっぱり系統的に整理しないといけないなと思っています。いったんこれまでに日々公開したものを一覧にはできたので、これを眺めながら9月のグループ展(と言って良いでしょうか)に向けて、何を準備しようか、どんなテーマで何を展示しようか考えようと思っています。



 今年も家の前の花壇にチューリップが咲きました。何年か前に妻が球根を2つ植えたのですが、それがだんだん増えました。午後しか陽が当たらない場所なので、花が開くのが遅いです。4月22日の段階で、ようやく一輪だけつぼみが色づいて開き始めました。

4月22日(土)の花壇

 一週間後、4月29日にはぜんぶ開きました。

4月29日(土)の花壇

 翌日は雨が降って寒い日でした。花は閉じていて、上から見下ろすと三角形に見えました。

4月30日(日)の花壇

 チューリップの花は、一見花びらが6枚に見えますが、外側の3枚が「がく」で、花びらは内側の3枚だけなのだそうです。


<おまけのひとこと>
 「あやとりの記録」の更新作業のため、新しいトピックの準備ができませんでした。1年半もまとめてしまうととても大変でした。毎日1作品というわけでもなく、微妙に変動するためhtmlを自動生成するわけにもいかず、手作業でやったためです。毎日やっておけば良かったと反省しています。






5月4日(木) 折り紙の三角コーン

 「あやとりの記録」のページの整理で力尽きたため、今日は折り紙のご紹介だけです。



 さくBさんがblogで公開して下さっている三角コーン折り図(折り方)を見て、自分でも1つ折ってみました。

写真 1

写真 2

写真 3

 これはいいですね。


<おまけのひとこと>
 例によってこの連休に「やりたいこと」を詰め込みすぎてすでに破綻しています。






5月5日(金) 三平方の定理の図の三角形、あやとり「中央が絡みの4本指の構え」

 連休で、本を読んだり鍵盤を弾いたりしています。3日分まとめての更新になってしまいました。すみません…



 こんな図形の問題を見かけたのです。有名な三平方の定理の図に、隣り合う正方形の頂点を結ぶ線を3本描き加えて、周囲に3つの三角形を作ります(下図の青い部分)。

 この3つの三角形がいずれも中央の赤い直角三角形と面積が同じになる、というのです。これは知らなかった気がしました。(最近、過去に聞いたことがあったかどうか自信がないと思うことがあるようになってきたのですが、これもそうでした。)証明できますか? (少なくとも左下の青い三角形については自明ですが…)



 過去のあやとりを整理していて、「中央が絡みの4本指の構え」の取り方を図にしておこうかなとと思ったのです。図を作ってみました。左右の5つの白い輪が両手の5本の指を表しています。手前から(下から)親指・人差し指・中指・薬指・小指です。図中の★印は、その指で取る糸を示しています。

Step.1
 はじめの構え → 右薬指で左掌の糸を取る
Step.2
 左薬指で右掌の糸を右薬指の輪の中から、
 左人差し指で右掌の糸を右薬指の輪の手前でそれぞれ取る
Step.3
 右人差し指で左人差し指の輪の中から左掌の糸を取る
中央が絡みの4本指の構え

 最後は「中央の絡み」が中央に来るように少し調整する必要があると思います。実物はこんな感じです。

hh230505-1:中央が絡みの4本指の構え

 実は最初はこんな図を作り始めたのです。(ちなみにこの図では中指を使っています。)

 でも、斜めから見下ろす図だとわかりにくいので、真上から見下ろす図に変えたのでした。



 5月4日(木)に山火事があったようです。市役所からの公報で、火災の近くの別荘地などに避難指示が出たので気が付きました。自宅の部屋の窓からその方向を見ると、稜線が明るくなっています。驚きました。

山火事

 翌朝5月5日(金)7時ころには無事鎮火したようです。夜を徹して500人態勢で消火作業にあたられたそうです。幸い人や建物の被害はなかったそうですが恐ろしいです。

 5月5日(金)は15時前に能登半島で大きな地震もありました。人的被害は残念ながらゼロではなかったようですが、それでもこれだけの規模の地震としては被害は少なくて済んでいるのかなと思いました。日本中どこにいても地震のリスクからは逃れられないなと思います。


<おまけのひとこと>
 5月7日(日)の朝に、5日〜7日の3日分をまとめて更新しています。このお休みに、ChatGPTなどのLLM(Large Language models:大規模言語モデル)ベースのAI対話システムについて少し調べてみたりしています。






5月6日(土) 本の感想、あやとり

 週末なので今日は本の感想を書くことにします。



 この連休に「無限」に魅入られた天才数学者たち(アミール・D・アクゼル著・青木薫訳:早川書房)を非常に面白く読みました。

 第一章「ハレ」で、この本の中で最も重要な人物であるカントールが亡くなるところの描写から始まります。(「ハレ」という都市名を聞くと、ヘンデルのフルートソナタの3曲の「ハレ・ソナタ」を思い出しますが、この第一章の中でもヘンデルが1685年にハレに生まれたことが書かれています。)カントールの激しやすく敵を作りやすい性格と、家族に対しては気を遣っていたという話が語られます。

 第二章では古代ギリシアのゼノン(ゼノンのパラドクスのゼノン)やピュタゴラス、アルキメデスが扱った無限の話で、ここは違和感がなかったのですが、第三章「カバラ」がユダヤ教の話なのです。ユダヤ教の密教的教義であるカバラの歴史について「無限」に絡めて語られるのですが、ここが通常の数学史の本などには取り上げられない話題で、正直違和感がありました。

 第4章「ガリレオとボルツァーノ」で、ガリレオが「新科学対話」の中で整数と二乗数(平方数:1,4,9,16,25,36,49,…)の数を比べて、一見二乗数より整数のほうが多いように思えるが、この間には1対1の対応が付けられるので「二乗数は整数よりも少なくはない」と書いているという話が紹介されます。(ここまでで約300ページのうち90ページくらいなのでだいたい3割です。第4章でなじみ深い話題に戻ってきてくれてほっとしました。)

 第5章「ベルリン」でワイエルシュトラス(ボルツァーノ・ワイエルシュトラスの定理(有界な数列は収束する部分列を持つ)のワイエルシュトラス)の生涯について語られます。地方の学校教師をしながらたった一人で現代の解析学の基礎となる研究をしていたというワイエルシュトラスのエピソードには感動しました。

 第7章からこの本の後半にかけて、カントールの誕生から生涯が語られてゆきます。この中で、なぜ第三章「カバラ」について書く必要があったのかがわかりました。カントールにとって、無限に関する概念はユダヤ教の宗教的真理に通ずるものである、というのがこの本の著者の解釈だったのですね。こう書くとこれはカントールの業績をおとしめるような解釈だと誤解されるかもしれませんが、決してそんなことはありません。著名な数学者であるクロネッカーとの強い確執のある状況の中でカントールが追い込まれてゆく様子が胸に迫ります。

 本のページも残り2割を切った第17章から(不完全性定理の)ゲーデルが登場します。ゲーデルも非常に浮世離れした生活を送っていたのですね。カントールもゲーデルも心を病んで亡くなってしまうのですが、無限という概念の魅力、無限には階層があるという論理的な帰結、そしてどんな公理系の中にも真偽が定まらない命題が必ず存在してしまうという事実の関係と、これらが明らかになるまでの歴史がとても良く書かれていると思いました。



 「中央が絡みの4本指の構え」から「7つのダイヤモンドの終了処理」です。

hh230506-1
  1. 中央が絡みの4本指の構え
    1. はじめの構え
    2. 右薬指で左掌の糸を取る
    3. 左薬指で右掌の糸を右薬指の輪の中から、
      左人差し指で右掌の糸を右薬指の輪の手前で
      それぞれ取る
    4. 右人差し指で左人差し指の輪の中から左掌の糸を取る 
  2.     
  3. 人差し指の輪を薬指に移す
  4. 薬指の2つの輪を人差し指に移す
  5. 7つのダイヤモンドの終了処理

 予想通りの出来上がりです。手順はちょっと違いますが、過去にも同じものをご紹介しています。



 ここ1週間ほどお散歩はサボっているのですが、2週間ほど前に散歩の途中で撮った写真です。屋根の上に猫がいました。

屋根の上の猫(1)

屋根の上の猫(2)

屋根の上の猫(3)

 同じ家の飼い猫、という雰囲気でした。なんとなく二匹が歩み寄って、その後離れてゆきました。


<おまけのひとこと>
 このほかにも読んだ本もあるのですが、それはまた。






5月7日(日) 級数、あやとり、他

 連休最終日です。



 こんな級数の問題を見かけたのです。これを簡単にして、無限級数の極限を求めて下さい、という問題です。

 これ、どうやって計算するんだっけ? 確かうまいやり方があったはずなんだけどな…と思ってしばらく悩んでしまいました。



 昨日に続いて「中央が絡みの4本指の構え」から「ダンスの舞台の終了処理」です。

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  1. 中央が絡みの4本指の構え
    1. はじめの構え
    2. 右薬指で左掌の糸を取る
    3. 左薬指で右掌の糸を右薬指の輪の中から、
      左人差し指で右掌の糸を右薬指の輪の手前で
      それぞれ取る
    4. 右人差し指で左人差し指の輪の中から左掌の糸を取る 
  2.     
  3. 人差し指の輪を薬指に移す
  4. 薬指の2つの輪を人差し指に移す
  5. ダンスの舞台の終了処理

 中央が絡みになると印象が変わります。



 お散歩の途中で撮った写真シリーズです。こんな蔵飾りがありました。家紋とかこて絵が飾られる場所です。

蔵飾り

蔵飾り

 こういう家紋があるのかな? と思って調べてみたら、違い角丸という家紋なのですね。幾何学的で面白いです。


<おまけのひとこと>
 朝から雨が降っています。ストック食材やお酒の買い物に行こうと思っていたのですが、やめておこうかな。






5月8日(月) 図形の問題、あやとり

 連休、終わってしまいました。簡単な図形の問題のご紹介と、先日の問題の解説と、あやとりの話です。



 パズルのような図形の問題です。これも雑誌Quantumからのご紹介です。

 下の図左のように、正五角形の頂点を結んでできる五芒星を考えます。

 このとき、上の図右の赤く色を付けた台形の部分が、五芒星の面積のちょうど半分になっていることを示して下さい。

(つづく)



 5月5日にご紹介した(といってもサーバにアップしたのは昨日ですが)以下の問題の解説です。簡単な問題なので、ほぼ答そのものの解説を書いてしまいます。

 上記のピュタゴラスの定理の図で、青い色を付けた3つの三角形がいずれも中央の赤い直角三角形と面積が同じであることを示して下さい、という問題でした。

 最初に思い付いたのは幾何の手法ではなく三角関数の手法でした。いわゆる「二辺挟角」で、三角形は2辺とその間の角度が決まれば一意に定まりますが、その角度の正弦(sin関数)の値がわかれば面積がわかります。

 でもまあこれではあんまりなので、図形的な解も考えました。

 私はいずれの解も「あ、そうか、なるほど」と思ったのです。 昨日、いつもコメントを下さるKさんが図を使わずに言葉だけで説明した解を送って下さいました。ありがとうございます。



 あやとりです。「中央が絡みの4本指の構え」、実は最初に取ってみたのが「4本指の構えから焼け焦げた葉のククイ」だったのです。これがとても気に入ったのです。

hh230508-1 hh230508-2
  1. 中央が絡みの4本指の構え
  2. 全ての指を外側に1回転ひねる
  3. 焼け焦げた葉のククイの終了処理
  1. 4本指の構え
  2. 全ての指を外側に1回転ひねる
  3. 焼け焦げた葉のククイの終了処理

 「焼け焦げた葉のククイ」を5本指の構えから取ると「聖なる円」になるのですが、過去に4本指の構えから取ったものを仮に「小さな聖なる円」と呼んでみたりしていました。写真があるだろうと思って探したのですが、21年3月29日にこんな写真を載せていただけでした。強く張力をかけると図形が直線的になって印象が変わります。

 まだマグネットボードに固定して記録するということを始める前でした。今朝それに気が付いて、慌てて上の画像のものを取って写真を撮りました。


<おまけのひとこと>
 夜半からずっと強い雨が降っています。公的交通機関や高速道路などに影響がないか心配です。気象庁の「今後の雨」のページを見ると、うちのあたりは朝8時くらいには雨が上がって、それ以降は降らないようです。






5月9日(火) 折り紙、あやとり

 おりがみの話とあやとりの話です。あとご紹介しいていた問題の解説図です。



 今年の3月18日から「折り紙のデルタ多面体」をご紹介しましたが、そのときに使ったユニットをいくつも組み合わせてみたのです。

写真 1
写真 2
写真 3
写真 4
写真 5
写真 6

 すみません今日は時間がないので写真だけです。



 昨日ご紹介した「五芒星の赤い部分の面積が半分であることを示せ」という問題、

 解をこちら(別窓で図が開きます)に置きました。

 また、一昨日ご紹介した級数の和を求めて下さいという問題、

 解をこちら(別窓で図が開きます)に置きました。



 あやとりです。「中央が絡みの4本指の構え」、アムワンギヨです。

hh230509-1
  1. 中央が絡みの4本指の構え
  2. 全ての指を向こうへ1回転ひねる
  3. 人差し指の輪を中指に移す
  4. 中指の2つの輪を人差し指に移す
  5. アムワンギヨ

 これ、きれいに取るにはちょっと工夫が必要でした。


<おまけのひとこと>
 今朝は忙しいです。






5月10日(水) 正多角形タイリングをずらす、あやとり

 タイリングの話とあやとりの話です。



 正方形のタイリングパターンは、ずらして隙間にサイズの異なる(=もとの正方形とは1辺の長さが異なる)正方形を配置することができます。隙間を長方形にすることもできます。

図 1

 正三角形のタイリングパターンは、ずらして隙間にサイズの異なる(=もとの正三角形とは1辺の長さが異なる)正六角形を配置することができます。これは、正方形のときのように正六角形以外の隙間にすることはできるでしょうか? 隙間の図形はすべて合同だとします。

図 2

 正六角形のタイリングパターンも、ずらして隙間にサイズの異なる(=もとの正六角形とは1辺の長さが異なる)正三角形を配置することができます。このとき、隙間のかたちを正三角形以外にできるでしょうか? 隙間の図形はすべて合同だとします。

図 3

(つづく)



 「中央が絡みの4本指の構え」からのあやとりです。

hh230510-1
  1. 中央が絡みの4本指の構え
  2. 人差し指の輪と薬指の輪を入れ替える
  3. 親指・小指を外側へ1回転ひねる
  4. タイガーショベルノーズキャットフィッシュの終了処理 

 中央が絡みではなく交差のものはこちらです。

hh210611-1

 これはシンプルですが好きなかたちです。これの「中央が絡み」のもの(つまり今日のもの)も良いなあと思っています。


<おまけのひとこと>
 昨夜は久しぶりに外でお酒を飲みました。いつもとても早い時刻に夕食(晩酌)にしているので、眠くなるのではないかと心配だったのですがその心配は不要でした。逆に、いつもより4時間くらい遅くベッドに入ったのに、目が覚めたのはいつもと同じくらいの時間でした。まあなんとかなる、かな。






5月11日(木) 正多角形タイリングをずらす(その2)、あやとり

 タイリングの話の続きとあやとりの話です。



 正多角形のタイリングは、正三角形、正方形、正六角形でできますが、それぞれのタイリングパターンをずらして、すきまに合同な図形を作ることを考えています。正方形の場合、こんな風に隙間を長方形にすることができます。

図 1

 正三角形のタイリングの場合、均等に広げてゆくと隙間は正六角形になりますが、下の図のように細長い隙間にすることもできます。

図 2

 これらが可能なのは、隙間の四角形(図1)や隙間の六角形(図2)が、全ての内角が等しいけれども辺の長さが等しいわけではない、という図形になっているためです。(わかりにくい説明ですみません。)正方形タイリングをずらす例でいうと、隙間の図形の角度は全て直角です。4つの角が全て直角な四角形は、正方形だけでなく長方形も条件を満たします。同じように、正三角形のタイリングをずらす例では、隙間の図形の角度は120°になります。全ての内角が120°の六角形はいろいろなかたちを作ることができます。上記はその一例です。

 ところが正六角形のタイリングの場合、隙間の図形は内角が60°の三角形になります。(タイリングパターンの頂点の次数が3なので、隙間は三角形になります。)内角が60°の三角形で正三角形以外の図形があるか、というと、そういう三角形はありません。(なぜ無いか示せますか?)

 最近、LLM(大規模言語モデル)ベースのAI対話システムを試すのが流行っているので、「全ての内角が60°の三角形は正三角形でしょうか?それはどうやって証明できますか?」と尋ねてみたのです。そうしたら、「全ての辺の長さが等しい三角形の内角はすべて60°になるので、全ての内角が60°の三角形は正三角形です。」という答が返ってきました。それは証明になっていないといことを指摘したら、余弦定理を使って辺の長さが等しいことを説明してくれました。余弦定理が出てきたのにはびっくりしましたが、論理的には正しくなりました。

 なお、「全ての内角が120°の六角形は正六角形でしょうか?」と尋ねたら、「はい、そうです」とウソを答えてきました。「全ての内角が直角の四角形は正方形でしょうか?」に対しては、「いいえ、違います。長方形も条件を満たします」と正しく答えてきました。正方形と長方形に関してはネットに情報(テキスト)がたくさんあるので正しく答えられますが、六角形に関しては論じている文章がおそらくほとんど存在していないため、うまく回答が生成できないということだと思います。結局、言語モデルを生成する元になるテキストに書かれていないことは答えられないのです。(少なくとも現時点では。)



 あやとりです。中央が絡みではない、普通の4本指の構えから「アムワンギヨ」なのですが、指をひねる方向を「すべてを向こうへ」ではなく、親指・小指を外側へひねるようにすると、逆に対称性が下がるのです。それを補正する工夫をしたときのあやとりのご紹介です。

hh230511-1
  1. 4本指の構え
  2. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  3. 中指を向こうへ1回転ひねる
  4. 人差し指を手前へ半回転ひねる
  5. 人差し指の輪と薬指の輪を入れ替える
  6. アムワンギヨ

 さらに、続けて「アルタイル→アクエリアス処理」をしてみました。

hh230511-2
  1. 4本指の構え
  2. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  3. 中指を向こうへ1回転ひねる
  4. 人差し指を手前へ半回転ひねる
  5. 人差し指の輪と薬指の輪を入れ替える
  6. アムワンギヨ
  7. アルタイル→アクエリアス処理



 出張でJR新橋駅を利用したのですが、こんなプラレール展示がありました。

写真 1
写真 2

 プラレールスタンプラリー2023というイベントをやっているようなのですが、その一環と思いきや、「新橋駅はスタンプラリーのスタンプ設置駅ではありません」という注意書きが貼られています。

 新橋駅で列車を降りて山手線・京浜東北線のホームを歩いているときに構内放送でこのプラレール展示に関する案内が流れたのですが、新橋駅の駅員さんの有志がこのプラレール展示を準備されたということ、また展示されているプラレールの車両がいずれも新橋駅に関係のあるものであることなどが説明されていました。

 平日の午前中だったせいでしょうか、足を止めて見ている人はほとんどいませんでした。私も時間がなかったので、写真だけ撮って後でどんな車両があるのか見てみようと思ってすぐにその場を離れました。


<おまけのひとこと>
 最近、「ChatGPTにきいてみた」という企画がいろいろなところにあるみたいです。今のLLM(大規模言語モデル)ベースの生成型AIシステムがどういう仕組みで作られていて何が得意なのか、何が苦手なのかを知って活用すれば、ものすごく便利で強力な道具です。一方で使い方を間違えると悲惨なことになります。こういった機能を開発して提供している人たち(どんどん増えています)も、必ずしも悪意があるわけではないですが、でも気を付けないとだまされるなあと思いました。






5月12日(金) 正多角形ずらしタイリングを2次元から3次元へ(その1)、あやとり

 タイリングの話の続きとあやとりの話です。



 正多角形タイリングの話の続きです。正三角形のタイリングは、頂点に集まる正三角形は6枚なので、ずらしてゆくと隙間が正六角形になります。一方、正六角形のタイリングの場合は頂点に集まる正六角形が3枚なので、ずらしてゆくと隙間が正六角形になります。これは双対関係になっています。

 これらのちょうど中間の状態、つまり正三角形と正六角形の1辺の長さが同じになるとこんなパターンになります。

 この関係を1つ次元を上げて3次元で考えてみたいと思ったのです。立方体の場合、2種類のサイズの立方体が空間を埋めつくせることが知られています(ピタゴラスタイリング)。

 正多角形の場合、単独で平面を充填できるのは正三角形、正方形、正六角形がありましたが、正多面体の場合は、単独で空間を充填できるのは立方体だけです。ただ、一辺の長さが等しい正四面体と正八面体は空間を充填できます。昔作ったgif画像がありました。

 この空間充填パターンで、正四面体と正八面体の一辺の長さが異なる場合にも、3次元ピタゴラスタイリングと同様に空間充填できるのだろうか? と思ったのです。2次元平面の正多角形タイリングでは正三角形と正六角形の辺の比を任意に変えられましたが、正四面体と正八面体の場合も可能でしょうか?

(つづく)



 あやとりです。4本指の構えから「アムワンギヨ」を取るときの上下の対称性を高める方法を編み出したので、その技を活用してみました。

hh230512-1
  1. 5本指の構え
  2. ケルトのタペストリーの内側3本指の入れ替え処理 
  3. 中指を外す
  4. 親指・小指を外側に1回転ひねる
  5. 薬指を向こうへ1回転ひねる
  6. 人差し指を手前へ半回転ひねる
  7. 人差し指の輪を薬指に移す
  8. 薬指の2つの輪を人差し指に移す
  9. 親指の二重の輪をひねらないアムワンギヨ

 イメージ通りの出来上がりでした。



 PCの電源ケーブルを仕事机の上に引き出しているのですが、電源ケーブルを外してPCを持ち歩くときに机から落下してしまうと机の上に引き出すのが面倒なのです。落下防止用にタングルで作った絡み目を通してあります。

 機能的にもデザイン的にも気に入っています。


<おまけのひとこと>
 今朝はゴミを出せる日だったので、早朝に少しだけ庭の雑草を取りました。庭仕事の季節になってきました。






5月13日(土) ルイス・トマスの本

 週末なのでいつもと違った内容にします。本の話です。あやとりの話も「あやとり橋」の話にしました。



 2年ほど前、墓マイラーカジポンの 世界音楽家巡礼記(カジポン・マルコ・残月 著/音楽之友社:2020年)というムックを図書館で借りたのです。自分のサイトを検索してみたら、2021年2月3日に感想を書いていました。

 その中のJ.S.バッハのお墓を訪ねた記事の中で、宇宙人に地球人の文化を発信するならバッハの全作品が良い、ちょっと自慢しすぎかもしれないが… というような言葉が紹介されていたのですが(うろ覚えです)、それが誰が言ったものなのか、メモしておくのを忘れたのです。ムックなのでもう入手できないかなと思ったのですが、いつも本の取り寄せをお願いしている駅前の本屋さんに相談してみたら手に入るということだったので取り寄せていただきました。

 さっそく該当ページを見てみると、この言葉を言ったのは生物学者のルイス・トマスであると書かれています。調べてみると、“The Lives of a Cell : Notes of a Biology Watcher” (Lewis thomas, 1974) という本に書かれているようでした。これは、ルイス・トマス(1913-1993)が1971年から1973年まで、医学雑誌に連載された記事を1冊にまとめたもので、全米図書賞も受賞した本のようです。この本については英語のWikipediaのThe Lives of a Cell: Notes of a Biology Watcherに、その背景と各エッセイのタイトルと概要がまとめられています。また、archive.org でTHE LIVES OF A CELLの全文が閲覧できました。

 お目当てのバッハについての記述はCeti(くじら座) というエッセイに書かれていました。地球外文明にメッセージを発信し、回答を受け取る計画があることが紹介され、光の速度でメッセージを発信し、もしもくじら座に知的生命体がいてそのメッセージを受信して解析し、ただちに何らかの返信を同じく光の速度で送ってきたとしても、その応答が地球に届くのは200年後になること、だとすると200年後の人類にとって現在と同程度の価値がある情報を送るべきだ、ということが論じられています。その後で下記のようにバッハの音楽について書かれています。(つたない日本語訳も書いておきます。)

Perhaps the safest thing to do at the outset, if technology permits, is to send music. This language may be the best we have for explaining what we are like to others in space, with least ambiguity. I would vote for Each, all of Each, streamed out into space, over and over again. We would be bragging, of course, but it is surely excusable for us to put the best possible face on at the beginning of such an acquaintance.
 
技術的に許されるなら、おそらく最初に行うべき最も安全なのは音楽を送ることでしょう。この言語は、宇宙にいる私たち以外の存在に対して私たちが何を好むかを説明するために、あいまいさを最も抑えて説明できる一番良いものかもしれません。私はバッハに一票を投じます。バッハの全ての作品を何度も何度も繰り返し宇宙に送るのです。もちろんこれは自慢することになりますが、初めて出会う相手に出来る限り最高の顔を見せることは許されることでしょう。

 なるほどこういうシチュエーションで語られたことなのですね。(Bach ではなく Each と記載されているのが違和感があります。ここが記載ミスなのかは調べ切れませんでした。)これはすごいバッハ賛美だなあと思いました。

 このルイス・トマスの本は、日本語訳が「細胞から大宇宙へ メッセージはバッハ」というタイトルで1976年に平凡社から出版されていたようです。ちょっと検索してみたら、古書で49,700円という値段がついたものがありました。ここまでのお金を払ってまで所有したい本ではないかなと思いました。



 この本について触れられているサイトを検索していたら、編集工学の松岡正剛氏の「松岡正剛の千夜千冊」にルイス・トマス「人間というこわれやすい種」(晶文社:1996)という記事がありました。この中で “The Lives of a Cell” が絶賛されています。「自分が死んだらバッハをかけて送ってくれ」と書かれていると紹介されていました。この記事はトマス博士が亡くなる前年の1992年に出版された“The Fragile Species” について論じられているのですが、その中で「頭のなかに残っているのは私自身のほんとうの記憶ではなく、おもに他の人々の考えだったり、読んだり聞いたりしたもの、つまりメタ記憶であることがわかった」という引用がされています。

 記憶は「エピソード記憶」と「意味記憶」におおきく分けられます。目下流行中のLLM(大規模言語モデル)による生成型AI対話システムにおいて現在技術的な課題の1つとなっているのが、この2種類の記憶を区別し、汎化するかどうかを制御することなのだそうです。これがうまくいかないと、LLMの研究者がHullucination(幻覚)と呼ぶ、「学習データ中には無かったことを、本当にあったことのように話してしまう」という現象が発生するのだそうです。特に、パラメータ数が数千億から兆のオーダーの巨大なニューラルネットに分散表現されている知識や概念をどう扱わせるか、というのはまだ技術的なブレイクスルーが必要で、当面はこの「幻覚」という現象があることを前提に活用せざるを得ないということのようです。

 自然は人間と敵対するものであり、人間が征服して活用すべきものだ、という自然観が特に近代の西洋では(とまとめるのは非常に乱暴ですが)主流であったように思えます。トマス博士はそれに異を唱え、人間という種もあくまでも地球の自然の一部であり、自然や他の生物とは切り離せない関係性の中で私たちは生きているのだ、ということを主張されていると思います。どちらかというと東洋的な思想のように思えます。(と言うほど自分自身が東洋思想を理解しているわけではありませんが。)

 まずはアーカイブに公開されている原文を、自動翻訳の助けを借りてもう少し読んでみようと思います。



 今日のあやとりのトピックは創作あやとりのご紹介ではなく、連休の最初のころに読んだ三角断面にS字カーブ、景勝地の「あやとりはし」はまるで“アトラクション” (2023.04.30 牧村 あきこ)という JBPress の記事のご紹介です。おそらく今月中くらいは読むことができると思います。

 記事の写真の引用はしませんが、石川県加賀市の山中温泉郷に 「あやとりはし」 という珍しい橋があるのだそうです(リンクは加賀温泉郷のガイドのページです)。断面が三角形の三弦トラス構造で、しかもゆるやかに蛇行している上に高低差まであるのだそうです。設計・施工された川田工業の川田技報 Vol.11 (JAN.1992) に あやとりはしの設計・製作・架設 という技術ノートが公開されています。

「あやとりはしの設計・製作・架設」図-2 一般図 より引用

 これは機会があったら行ってみたいです。加賀市といえば、中谷宇吉郎 雪の科学館 も以前から行ってみたいなあと思っています。「あやとりはし」と「雪の科学館」は車で30分くらいで移動できるようですので、今度計画してみようかなと思っています。


<おまけのひとこと>
 行ってみたいと思うところには行ってみたいと思っているうちに行っておかないと、「もういいや」と思うようになってしまいそうです。






5月14日(日) 等差数列の問題、あやとり

 数学の問題のご紹介とあやとりの話です。



 「任意の正の等差数列の項の中には、その項の桁の数字を合計した値が同じになるものが必ず存在することを証明してください」(S.Genkin:1992) という問題を知りました。初項aも公差dも任意の正の整数の等差数列のいずれを持ってきても、その無限に続く等差数列の項の中には、その項を構成する各桁の数字の合計が同じになる項が必ず存在する、というのです。aやdがどれだけ桁数が大きな数であっても良いのです。わかりますか?

(つづく)



 今日のあやとりは「裏パロボラチョの終了処理」です。同じ手順のものを以前にご紹介していた、と思ったら仕上げのかたちがちょっと違っていたのでご紹介。

hh230514-1 hh230307-1(再掲)
  1. 「ビヤトエイディオウィナゴ」
  2. 全ての指を向こうへ1回転ひねる
  3. パロボラチョの終了処理
    1. 人差し指の輪の下で親指・小指の内側の糸を取り合う(人差し指の輪は通さない) 
    2. 中指で、人差し指の輪の中から掌の2本の糸(1つ前で親指・小指で取り合った糸)を人差し指根元から取る 
      (逆の手で掌の2本の糸を人差し指の輪の中からつまみ出して中指に掛けると良い)
    3. 親指、人差し指、小指を外す(糸は強く引かない)
       →中指だけにパターンが掛かっている
    4. 中指の手前の2本の糸を親指で取る
    5. 中指の向こうの2本の糸を小指で取る
    6. 中指を外す

 「ビヤトエイディオウィナゴ」の四隅の小さな輪を外側に寄せるか内側に集めるかの違いです。



 昨日ご紹介した墓マイラーカジポンの 世界音楽家巡礼記(カジポン・マルコ・残月 著/音楽之友社:2020年)を読んでみています。最初に出てくるのがベートーヴェンで、著者はベートーヴェンを絶賛しています。詩人の谷川俊太郎もベートーヴェンの作品を極めて高く評価していて、「この男の下男になってもいいと思った」と書いていたような気がします。現実には非常に付き合いにくい人だったと思いますが…。ベートーヴェンには几帳面なところもあったそうで、コーヒーを淹れるときには必ずコーヒー豆を60粒数えて挽いて淹れていたと書かれていました。一体その情報の情報源はどこなのだろう? と感心しました。今度真似してみようかなと思ったり、いやいや60粒数えるのは地味に大変だよなと思ったりしています。

 検索してみたら UCC のサイトに 【検証してみた】作曲家ベートーヴェンのコーヒーへのこだわり という記事がありました。


<おまけのひとこと>
 近くの田んぼに水が張られ、代掻きが始まりました。さっそく昨夜はカエルの大合唱が聞こえました。夜にカエルの声を聞くと、斎藤茂吉の「遠田のかはづ天に聞ゆる」を思い出します。






5月15日(月) 等差数列の問題の解説、あやとり

 昨日の数学の問題の解説とあやとりの話です。



 昨日ご紹介した「任意の正の等差数列の項の中には、その項の桁の数字を合計した値が同じになるものが必ず存在することを証明してください」(S.Genkin:1992) という問題の解説です。

 初項を a0 = a 、公差を d とすると、一般項 anは a + nd となります。(第一項を a1=a として an=a+(n-1)d と表すことも多いと思います。) Excelでちょっと実験してみました。(この表の下に答を書きます。)

 実はこれは簡単で、an= a + nd のとき、nが十分に大きな10のべき乗であれば、初項 a と 公差 d の数字がそのまま an に現れ、それ以外の数字は全てゼロになるのです。たとえば a=23, d=127 のとき、n=100 なら a100 = 23+100*127 = 12723, n=1,000 なら a1000 = 23+1000*127 = 127023、以下同様です。

 上記はたまたま a=23, d=127 の例でしたが、初項a と公差d がどんなに大きな(桁数の大きい)正の整数であったとしても、a の桁数を上回る第10k項を考えると、同様に初項と公差の数字だけが現れる(間に0個以上のゼロが並ぶ)項があることがわかります。これで題意は示されました。



 あやとりです。今日は以前ご紹介しそびれていた簡単なものにします。

hh230515-1
  1. 「ガイアナの星」の構え
    1. はじめの構え
    2. 右人差し指で左掌の糸を上から手前へひねって取る
    3. 左人差し指で右掌の糸を右人差し指の輪の中から上から手前へひねって取る 
  2. 親指の輪を人差し指の輪の中からつまんで外し、親指に掛け直す
  3. 小指の輪を人差し指の輪の中からつまんで外し、小指に掛け直す
  4. 人差し指の手前の糸を親指で取る
  5. 人差し指の向こうの糸を小指で取る
  6. 人差し指を外す
  7. 親指・小指で二重ナバホ

 もうちょっとうまく整えられそうです。



 玄関のわきの小さな地面が犬や猫のトイレになるのを防ぐため、木製のラティスを柵にしてふさいでいます。そのラティスにクレマチスが絡まって花を咲かせました。

5月14日の写真

 つぼみのときの写真も撮ったはず、と思って見てみたのですが、ちょっと違う場所でした。

5月3日の写真

 花が咲いているのはいいなあと思いました。


<おまけのひとこと>
 昨日は「母の日」で、ちょっとしたものを実家に送ってありました。夜、お礼の電話をもらいました。いろいろ話をしたのですが、日付が変わるころにまた母から電話の着信があって起こされました。何だろう?と思って電話に出たのですが、電話を発信したということに気が付いていないようで、テレビか何かの音声が聞こえました。まあそういうこともあるよね、と思ってもう一度眠りました。






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