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様々な対位法的作品

ルネサンス〜バロック時代には閲覧室1に示したもの以外にも、
以下のように様々な対位法的作品が作られました。
作品名が赤字のものはクリックすると詳細を表示します。
作曲家 作品名 作品の概要
Battiferri, L.
(1610-1682)
Ricercare 「4、5、6声部による1、2、3、4、5、6の主題のリチェルカーレ」と題された曲集で、12曲のリチェルカーレを含みます。簡潔で平明な対位法を用いていますが、反行フーガや2重対位法などの技法も駆使され、充実しています。
D'anglebert,J.H.
(1635-1691)
Fugue grave
pour l'orgue
Pieces de clavecinに含まれる曲です。拍子の異なる5つのフーガからなり、いずれも共通の主題に基づいています。反行や拡大などの技法は使われていませんが、主題変形とストレットの妙技を見る事ができます。
Fischer,J.C.F.
(1665-1746)
Ariadne Musica 平均律クラヴィア曲集に構想のよく似た20曲の前奏曲とフーガ、および5曲のリチェルカーレからなります。
Frescobaldi, G.
(1583-1643)
Recercari 10曲からなるリチェルカーレ集です。複数の主題を持つものが多く、中でも未完フーガと同様に3つの主題を連ねて作られた第3曲(フリギア旋法)や4つの主題を持つ第9曲(ドリア旋法)などは見事です。
Fantasien 12曲からなるファンタジア集です。1、2、3、4の主題によるフーガ風の曲が3曲ずつ含まれています。いくつかの曲は拍子の異なる多部分で構成されています。主題が音列として扱われているのが特徴です。
Fioli Musicali 3つのミサを含むオルガンミサ曲です。グレゴリオ聖歌に基づく編曲を中心に、トッカータ、リチェルカーレなどバラエティに富む作品群で構成されています。「フーガの技法」との関連を指摘する声もありますが、むしろクラヴィア練習曲集第3部と類似しています。
Froberger, J.J.
(1616-1667)
Canzoni Frobergerは6曲のカンツォーナを残していますが、いずれも3つの部分からなるフーガ風の楽曲です。各部分は拍子が異なっており、それにあわせて主題が変形されます。
Caprici カプリッチォは18曲残されています。カンツォーナに似ていますが、主題はより自由に変形され、曲によって3部分から5部分と構成が一定ではありません。
Gasparini, F.
(1668-1727)
Missa a quatro voci a Capella ミサ・カノニカとも呼ばれる曲集です。単独のカノン楽章と、カノンを織り交ぜた複数節の楽章とからなります。2013年6月に、バッハによる筆写譜が発見されました。
Gigault, N.
(1627-1707)
Fugue
du 1.er Ton
すなわち第1旋法によるフーガと題された曲で、彼の自著、「オルガンのための音楽書」に含まれます。同じ主題に基づいて、拍子の違う2曲のフーガが作られました。
Handel, G.F.
(1685-1759)
Let old
Timotheus...
(Chorus)
歌劇 Alexander's Feast の終曲です。4主題のフーガで、個々の主題を連続して提示した後、4主題を様々な組み合わせで結合しています。
Infantas, F.
(1534-1610)
Plura modurationum genera グレゴリオ聖歌"Laudate Dominum omnes gentes"を定旋律とした変奏曲です。100の変奏は2-8声部に渡って作られ、20以上のカノンを含んでいます。
Krieger, J.
(1652-1735)
Fuga a 4
Themani in C
Klavier ubungの中の1曲。4主題のフーガで、個々の主題による単独のフーガを示した後、4主題の結合によるフーガを作っています。
Roberday, F.
(1624-1680)
Fugues et
Caprices
12曲のフーガからなる曲集です。その多くが多部分フーガとなっています。いくつかのフーガにはカプリースと題されたフーガ様式の曲が伴いますが、そのカプリースはフーガと同じ主題に基づいて作られています。
Pachelbel, J.
(1653-1706)
Magnificat フーガによるマニフィカトと呼ばれるオルガン曲集です。第1旋法から第8旋法までの8つのマニフィカトを含み、それぞれ数曲から10数曲のフーガからなります。多くが単純フーガですが、中には見事な2重フーガも見られます。
Purcell, H.
(1659-1695)
Fantazias and
In Nomines
10数曲のファンタジア(フーガ様の模倣曲)と2曲のイン・ノミネからなる作品群です。2-7声に渡って作られ、主題の反行や拡大など様々な技術が用いられています。1曲の未完成作品を含み、曲集としても不完全ですが、なぜ作曲が中断されたのか定かではありません。
Of fuge,
or Pointing
1694年に出版されたPlayford,J.の"Introducton to the skill of musick"の第12版に含まれます。対位法の基本からフーガやカノンの作出までが短い譜例を交えて述べられています。フーガについては反行、拡大、2重対位などに加え、バッハはほとんど用いなかった主題の逆行も述べられています。フーガのすべての譜例が1つの主題に基づいて作られています。
Radeck, M.
(c1640-1684)
Jesus Christus,
unser Heiland,
Contrapunctus duplex(2重対位法)の副題を持つ作品です。タイトルのコラール旋律に対旋律をつけ、後にevolutioと題して声部の入れ替えを行っています。様式はブクステフーデのMit Fried und Freud...によく似ています。
Vitali, G.B.
(1632-1692)
Artifici Musicali 40曲を超えるカノンと、フーガ、カプリッチョ、ソナタなどからなる曲集です。カノンは単純カノンがほとんどですが、中には螺旋カノン、蟹行カノンなどもあります。2重対位法の範例もいくつか見られます。


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