水性ガス反応 炭(熾き)と蒸気の衝突

(電気は一切使いません)


メニュー: 概略説明; 下部燃焼室(引き出し式囲炉裏); 水性ガス反応(このページです); 炎の特徴; 完全燃焼に近づけるための旋回流; 煙突はシングルで十分です(高価な二重煙突は必要ありません); オプション: 水性ガス反応は江戸時代後期に既に発見実用化されていた


hydrogen_gass_reaction.GIF

この図に関する解説は少し難しくなります。

先へ進んで読むのが面倒臭い方は、

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1モルの重さは、H2O 水素原子2 + 酸素原子1 = 2 + 16 = 18 グラムです。水の比重は1なので、18CCの容積があります。液体の水が沸騰して100℃の気体の水になると、その体積は22,400 CC へと1244.44…倍 にも膨れ上がります。お風呂場を霧のように靄(もや)らせるのは、浮遊する液体の水です。こちらの方は蒸気ではなく「湯気」と呼びます。「湯気」は膨張しません。上の絵は の最下部の断面イメージ図です。中心部にある赤いものは炭(熾き)をイメージしました。灰色の霧状のものを描きました。これは蒸気のイメージです。熾きの左右に同じ形状の器があります。これが「ドーナツ状のボイラー(水沸騰器)」です。この容器内で沸騰した蒸気は、一瞬の内に約1244倍にまで膨張しますから、ノズル(マンガでは熾きに向かって霧状のものが噴き出す場所)から勢いよく噴き出ます。このとき、ノズルの孔が小さすぎると、ノズルから噴き出すだけでは足りず、水面を勢いよく押しますから、画面右へ水が逆流して噴き出すことになります。また、ノズルの孔が大きすぎると、今度は熾きに届きません。幸いなことに最適条件は見つかりました♪

 

熾きは炭素Cです。これを1,000℃以上に加熱しておいて、そこへ蒸気を衝突させますと、C+H2O CO+H2 と言う反応が起きて、炭素が水から酸素を奪い取ってしまいます。これを「水性ガス反応」と呼びます。水から酸素を無理やり引き千切る力と炭素と酸素を一対一で結び付けて一酸化炭素を作る力が必要になるので、炉内の温度が下がります。この瞬間に、カラマツなど針葉樹を薪にしたときに「燃やすと熱すぎる」と言われる欠点を補います。

ところで…熱過ぎたら薪の量を減らせば良いだけなので、
結局のところ確かに「針葉樹は燃やすと熱すぎる」んですが、
それは大した問題ではありませんでした。

その後の燃焼試験で 広葉樹の薪も従来型のストーブと同じように燃やせることが確認されました。薪の消費量も針葉樹の薪の実験と同じ結果となり、広葉樹の薪の消費量も従来型ストーブの半分で済みました。

 

さて、水性ガス反応で作られるのは、一酸化炭素ガスと水素ガスです。先の第二次世界大戦のときに、日本国内には「木炭自動車」という変わった車が走っていました。わざと一酸化炭素ガスを作って、それを車のエンジン内に誘導して引火爆発させて車を動かしていたのです。一酸化炭素は猛毒で吸い込むと危険ですが、車を走らせられるほどの力を発揮する可燃性ガスなのです。では、一酸化炭素ガスは発生とほぼ同時に薪の火が引火して燃えてしまいます。また、水素ガスも火力が強いことで知られており、次世代エネルギー源として注目されています。こちらも発生とほぼ同時に燃えてしまいます。ガスの燃焼ですので、独特の炎が出ます。(どんな炎か見たい方はこちらへ

 

の表面温度は300からときには400を超えます。ストーブが十分温まったところで、燃料を全て豆炭などの炭にすると立ち上る炎は、全てガスが燃えるときの炎になります。普通、豆炭が炎を上げて燃えると言うことは少ないのですが、まるで豆炭が神秘的な炎を立ち昇らせて燃えているかのように錯覚してしまいます。上に流れる滝(逆さまの滝)のように燃えます。炎も淡い赤紫がかった独特の幻想的な炎になります。デジカメで撮るとなかなか本物の色が出ませんが、滝のような感じは撮れました。どんな炎か見たい方はこちらへ

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