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以前の「ひとこと」 : 2005年3月後半



3月16日(水) 正方形を無限に組む

 先日来、カーペンター・ブロックというブロックの正方形のパーツを組み合わせて出来る形を、手を変え品を変えてご紹介してきました。先日の日曜日に「最終回」と書いたのですが、そのときの画像に対して、濱中さんから、この組み方はシート状に無限に広げることができるのでは? とコメントをいただきました。いつもおもしろいコメントを本当にありがとうございます。

再掲図

 残念ながら本物のブロックのパーツは数が足りないので、とりあえず CG で作ってみることにしました。 まず、図1のように6つの水車のようなプロペラ型のユニットの外側に3つ、新たにプロペラ型のユニットを付け加えてみました。

図 1

 この図1の形を非常に粗く近似すると、正三角形のようなかたちに見えると思います。この正三角形の3つの辺は、それぞれ2色ずつのプロペラ型が階段のように交互に並んでいます。また、同じ色のユニットは同じ向きになっていることにご注意ください。

 別の見方をすると、黄色・緑・水色の3つのユニットを一組とするまったく同じ構造が、図1の正三角形構造の3頂点(左、右上、右下)の位置にあるのがわかります。これは単に平行移動しただけです。

 こうして見ると、このパターンの規則性が見えてきます。そこで、これを拡張してみます。





















少し間を空けて





















 こんな画像ができました。

図 2

 残念ながら3次元的な格子構造ではなくて、シート状の2次元的な構造ですが、合同な正方形を、辺の長さの半分を単位として組み合わせる周期構造として、とても面白いものだと思いました。

図 3

 おまけで、単色バージョンも載せておきます。子供のころ、こういった構造の絵をみると、これが床や壁や天井で、ここに小さなドアや階段をつけて、この世界を歩き回るような空想をするのが好きでした。

 <おまけのひとこと>
 昨日の朝、通勤に使っている車のガソリンが少なかったので、昨日の帰りは少しはやく帰ってガソリンスタンドに寄っていこうと思っていました。田舎住まいなものですから、スタンドも早い時間に店じまいするところが多くて、通勤路の途中の一番値段が安いお店は夜7時、それ以外の国道沿いの普通のお店でも夜8時にはおしまいになります。
 7時半くらいにそろそろ帰ろうと思っていたら、職場の若いメンバーからちょっと声をかけられて、彼の仕事の状況が面白かったものですから、ガソリンのことなどすっかり忘れて、ついつい二人でいろいろやっていたら、9時半になってしまいました。
 車に戻ったところで、「あ、ガソリンがない」と思い出して、仕方がないのでちょっと遠回りして、高速道路のインターチェンジの近くの、夜遅くまでやっているスタンドに行きました。燃料切れにならなくて本当によかったです。




3月17日(木) 正方形を組む:CG

 一旦終わりにしたはずの、カーペンターブロックの正方形パーツだけを使って組む形のご紹介ですが、昨日ご紹介したCGを作ったときに、せっかくなのでパーツの形をある程度忠実に再現したものを作ってみようと思って作ったものを載せることにしました。

 本物は面取りされていて角が滑らかなのですが、それを全部忠実に作ろうとすると厄介なので、面取りだけはしていません。それでもそれっぽい形ができたと思っています。

再掲図 図 1

 上の左の図は、3月1日のひとことでご紹介した写真です。これと同じ形のものをCGにしてみたのが右の図1です。視点や向きや光線の方向などを、ごくおおざっぱにですが左の写真とそろえてみました。いかがでしょうか。本物の写真とCGと、それぞれによさがあるなあと思います。

図 2 図 3

 図2、図3は平行投影法で描いたCGです。図3には昨日と同じように3色の色をつけてみました。

 <おまけのひとこと>
 今日の表紙はちょっと重い(=画像のデータ量が多い)と思います。今回のようなCGは細部の解像感、精細感がなくなってしまうと悲しいので、jpegのように、高い空間周波数成分には符号をほとんど割り振らない、原理的に画像の微細な構造の情報を欠落させるような圧縮はかけたくありません。そこでpngで圧縮するのですが、24bitカラー(約1600万色)のままではあまりにファイルサイズが大きくなってしまうので、8bit=256色に減色してpngにしています。 こうすると今度はグラデーションが滑らかではなくなってしまって擬似輪郭が出てしまったり、中間色の部分でポツポツとタイリングや誤差拡散のような表示が出たりしてやっぱりきれいではない、ということが起こったりします。
 (すいません、画像処理の用語を説明ナシで連発しています。)
 最近は以前よりも使う画像の大きさも大きくして、ファイルサイズの目安も大きくしています。ネットワークにアクセスする環境も、このページの公開をはじめた4年前よりは進歩しているだろうと期待するからなのですが、「このページは重すぎて見にくいからもう見に来ない」という方がいらしたら残念です。




3月18日(金) 結び目

 今日は忙しいので、以前作ってあった図を簡単にご紹介します。一応「パズル」のつもりです。

 下のA.とB.の2つの図は、黒い線が「輪っか」になっています。ほとんど同じ構造なのですが、一箇所だけ線の交差している箇所の上下が逆になっています。

A. B.

 AとBそれぞれの輪を解きほぐしてゆくと、ねじれや結び目の無い1つの輪にすることはできるでしょうか。

 <おまけのひとこと>
 ・・・。




3月19日(土) 結び目(その2)

 昨日、ほとんど同じに見える2つの「結び目」の図をご覧いただきました。この結び目の図は、下の図1のようなかたちをしていました。この図1では交差している部分の重なりがわからないように描いています。

図 1 図 2 図 3

 このかたちには、図2〜図3のように、交差している部分が10箇所あります。ということは、それぞれの交差点ごとに、横が上か縦が上かの2通りの可能性がありますから、組み合わせとしては2の10乗通りの結び目がある、ということになります。

 昨日のAとBの2つの結び目は、この10箇所のうち、(図3の)3番目の交差の上下だけを入れ替えたものでした。こういうもの ─(3次元)空間の中の、自己交差しない閉曲線─ を対象として研究する数学の分野を「結び目理論」といいますが、この結び目理論では、もっともシンプルな形として、輪ゴムの輪っかのような捩れや結び目のないものを「自明な結び目」と呼ぶのだそうです。 昨日の2つの結び目は、どちらが「ほどける」か、言い換えるとどちらが「自明な結び目」なのかが一見してわかりにくい結び目だな、と思って図を作ってあったものです。

 参考にさせていただいたのは、何かの結び目理論の本に載っていた例だったのですが、その例ではもっと本物のロープのような図で、形も直線と直角の組み合わせとかではなくて、もっと自然で不定形な絵になっていました。 その図をメモしたときに、自分にわかりやすいように方眼紙のマス目に沿ったかたちに描き変えたのですが、そうしたら逆に「不思議さ」が強調された気がしたので、あのような図を作ってみたのでした。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 週末は忙しくてなかなか更新ができません。いえ、平日のほうがもちろんはるかに忙しいのですけれども、週末はいつもはできない用事や予定を入れるので、私にとっては「日常」であるこのページの更新は週末にはついおろそかになってしまうのです。
 何年も前から「話題に困ったときには載せよう」と思っているものがだんだん増えてきておりまして、しまい忘れてしまっているものすらあったりして、もったいないなあと思っているのですが・・・




3月20日(日) 結び目(その3)

 結び目の話の続きです。この話題については、大変珍しいことに別々の方からコメントをいただけて、とてもうれしくなっています。ありがとうございました。

 メールで教えていただいたのですが、浜田昌宏のページソフトウェアのページに、WinKnotという結び目を解析するソフトウェアがあるのだそうです。さっそく2つの結び目の絵を描いてみました。

A. B.

 解説は、ちゃんと書こうとするととても大変なので書きません。すみません。興味のある方は検索してみてください。 このようなソフトウェアを公開していただけること、またソフトウェアに関する情報をいただけたことに感謝します。

 このWinKnotは、国際あやとり協会の日本語のページのあやとりトピックスの中の、こちらでも利用されているということを教えていただきました。この“あやとりトピックス”では、トピックス77で、このページ「あそびをせんとや」をご紹介いただいています。ありがとうございます。最近の“あやとりトピックス”の話題も、とても面白そうな話がたくさんあります。

 <おまけのひとこと>
 19日(土)から21日(月)まで3日分まとめて更新しているのですが、3日ためると大変ですね。




3月21日(月) お墓参り

 昨日はお彼岸で、お墓参りに行きました。

 私の家のお墓は、今住んでいるところから車で1時間くらいのところにあって、日本一長い川の河岸段丘の斜面に昔からある墓地の一角にあります。裏には雑木林があって、枯葉やどんぐりなどがたくさん落ちています。春のお彼岸は、前の年の秋から冬にかけての落葉がたくさんたまっていて、毎年お掃除が大変です。

 昨日は家族4人がかりで1時間、落葉をきれいに片付けて、生え始めていた雑草を抜いて、きれいにしてきました。

 <おまけのひとこと>
 02年3月18日に、ビーズ多面体の話を書いたときに堀部和経WebSiteというページにリンクさせていただいていたのですが、作者の堀部さんから、サイトのURLが変わりましたとご連絡をいただきました。ご丁寧にありがとうございます。ビーズによる多面体や格子構造だけでなく、いろいろと面白い情報のあるページです。




3月22日(火) 「こそあどの森の物語」

 岡田淳という児童文学作家の、「こそあどの森の物語」というシリーズがあります。こちらのこそあどの森へようこそという公式ページに紹介がありますが、先日このシリーズの最新刊の第7巻「だれかののぞむもの」が発売になったということを昨日の新聞で知って、昨日あわてて買いました。

 シリーズものの新刊というのは、いつも期待と不安があるのですが、期待を裏切らないお話でした。まだ出たばかりですし、感想は書きませんが。

 うちの本棚の「こそあどの森の物語」の背表紙の写真を撮ってみました。評価の高い本だと思うので、公共の図書館などには入っていると思います。一冊1時間もかからないで読めると思うので、お休みの一日で全部読むこともできると思います。私がこのシリーズを読み始めたのはずいぶん前なのですが、初めて読んだのはたまたま一人だけで過ごしていたお休みの日の朝でした。その時点では私の実家からプレゼントされた1巻目だけが家にあって、それを読んだのですが、続きが読みたくて本屋さんと図書館を走り回りました。何日かかけて1冊1冊と読んでいって、とても楽しめました。お勧めです。

 <おまけのひとこと>
 いつも見せていただいているパズル工房「葉樹林」の昨日の日記05年3月21日に、Kohfuh's LabEdge de Pentoが紹介されていました。Kohfuhさんご自身のコメントで、私がちょっとだけ手を入れさせていただいた、正八面体版Edge de Pento (04年12月14日)もご紹介下さいました。ありがとうございます。Kohfuhさんのページは、内容がすばらしいだけでなく、デザインやスタイルがまた美しいですね。




3月23日(水) カーペンター・ブロックシリーズ:反四角柱

 今月のあたま、3月1日から何回か、「カーペンター・ブロック」というブロックで作った作品をご紹介しました。 昨日、「もっと見たい」というたいへんありがたいリクエストをいただいたので、今週後半は手持ちの1セットで作ることのできたものの中から、比較的気に入っているものを1つずつご紹介しようと思います。

 まず今日は反四角柱です。正方形パーツ2つと、三角形パーツを3本足と2本足それぞれ4枚ずつでできる小さなかたちです。

図 1 図 2 図 3

 図1は三角形の面を下にして置いてみたところです。反角柱ですから、2つの正方形の面はちょうど45度だけ回転した位置関係になります。そのため、正方形のパーツの中央の十字型の穴の向きが違っているのが見えると思います。

 図2、図3は正方形の面を下にして、本来の反角柱らしい向きに置いてあります。 この組み方だと、三角形のパーツの45度の頂点の部分が若干干渉してしまって、ちょっと反った感じになってしまうのが残念です。

 なお、反角柱については02年8月23日に簡単に書いているのでご覧ください。そのときの図だけ再掲しておきます。

 図の右上が角柱でその下が反角柱です。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日が小学校の卒業式で、今日から子供たちは春休みになりました。先週末にもらってきた通知表を見ると、上の子は算数がいまひとつでした。そこで一昨日、とりあえず1冊90ページくらいのドリルを2種類買ってきて、これを一週間で全問正解できるようになるようにしよう、と言ってありました。昨夜帰宅すると、一冊目が終わっていました。答えあわせをしてみたら、ごく一部分を除いてきちんとできているようでした。出来なかった問題にしるしをつけて、その問題だけを全部書き込みを消して、やりなおしができるようにしました。こうやって短期間にガーっと量をこなすのは達成感もあってけっこう楽しいのですが、こういうことができるんだとわかって嬉しく思いました。




3月24日(木) カーペンター・ブロックシリーズ:テトラポッド

 昨日に続いて、カーペンター・ブロックによる幾何学構造のモデルのご紹介です。今日は、消波ブロックのテトラポッドの形です。(テトラポッドに関しては、その名も株式会社テトラの、このページなどをご覧ください。そのほかの消波ブロックのかたちも面白いです。)

 これは、カーペンター・ブロックを使って、立方体以外の多面体構造を作ってみたいと思って考えた方法です。原理的にはもっと大きくて複雑で(おそらく)美しい構造を作ることができるのですが、手元の64ピースのセットではこれが限界でした。

図 1 図 2

 図1、図2は一般的な視点からみたところです。図1はこのテトラポッドを3本足で、図2は1本足で立たせてみています。4つの頂点に相当する部分は、Treeのピースを3つ組み合わせて尖った三角錐をつくり、稜の部分を UFO のピースを使ってつなぎます。 (ピースの名前と形状については、3月3日にご紹介しているのでご覧ください。) この方法だと、もっともシンプルな多面体である四面体を作る場合でも UFOピースが6個必要になるのですが、私の持っているセットには UFOピースが4つしか入っていないので、足りない2つは Squareピースで代用しています。といって、6つ全部を Square ピースを使おうと思うと、Treeピースの幅が狭いためうまくいきません。

図 3 図 4

 図3は、その Square ピースを使っている稜の方向から見たところです。反対側にもう1つの Square ピースを使っています。図4は2本足でバランスをとって立てておいて、浮いている1本の足の方向から見たところです。いかがでしょうか。

 このかたちは、そのほかのブロックでは真似の出来ない、「カーペンター・ブロック」ならではの造形だと思います。写真だとこの形の面白さが十分に伝わらないのではないかと心配です。これ、たくさん作って並べてみたら面白そうです。

 明日はもう1つ、カーペンターブロックによるもうちょっと平凡な形をご紹介したいと思います。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日はまた雪が降りました。今朝は外が真っ白でした。




3月25日(金) カーペンター・ブロックシリーズ:小さい球

 カーペンター・ブロックによる幾何学構造のモデルのご紹介です。今日はこのブロックの正方形パーツだけを使った「小さな球」をご覧いただきます。

図 1 図 2 図 3

 これも、2つのパーツの角度を自由に固定できる「カーペンター・ブロック」ならではの造形だと思います。ただしきちんと形を整えるのはちょっと厄介です。

 この形を見ていたら、空隙の部分を四角形で埋めた立体を紙で作ってみたくなりました。ところでこのモデル、正方形パーツをいくつ使っているでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 すみません、お返事を書きたいメールがたまっているのですが、ぜんぜん時間がとれなくて失礼しております。(ここ数日の「過去に撮影済みの写真を切り取って掲載するだけ」という更新だと、15分もあれば更新できるので楽なのですが・・・)
 昨日の帰りは吹雪でした。今朝は晴れているのですが、外は真っ白で、道路も凍っています。今日は早めに家を出ないと道路が渋滞していそうです。




3月26日(土) カーペンター・ブロックシリーズ:連載第2部開始

 今月の初めから、カーペンターブロックというブロックを使った幾何学形状のモデルをいろいろご紹介してきました。そうしたら、このページを、ブロックの製造販売元のSOZ corporationの方が見つけてくださって、ご連絡を下さいました。私が作っている多面体モデルを気に入ってくださったこと、それをメーカーのサンプルとして使いたいこと、さらに、たいへんありがたいことに、必要ならばある程度のブロックをご提供いただける、とのことでした。

 また、ご提供いただいたブロックを利用した作品(これも、メーカーサイドで気に入っていただけたら作品サンプルとして使っていただくことになります)も、私のホームページでどんどん紹介してかまわない、と言っていただきました。そこで、大変ありがたくこのお申し出を受けさせていただくことにしました。

 本日(26日の土曜日)の夕方に、サンプル用のブロックが届きました。さっそくいろいろ組ませていただきました。 とりあえずこれから1〜2週間くらいは、主にこの「カーペンターブロック」を使った作品を少しずつご紹介してゆきたいと思います。ときどきは違う話題が混じるかもしれません。

 最初に、もう一度パーツとセットの説明をしておきます。

図 1

 これが、私が最初から持っているSingle Color(単色)のセットです。いろいろな色があるのがこのブロックの特色なのですが、私のは NAPLES YELLOW という淡い黄色のものです。

図 2

 ピースは上の段の左からSQUARE(正方形)、LADDER(はしご)、U.F.O.、下の段の左からTWO-LEGGED(二本足)、THREE-LEGGED(三本足)、TREE(木)、というのがパッケージに書かれた正式名称です。1つのセットには、

SQUARE32個
LADDER4個
U.F.O.4個
TWO-LEGGED4個
THREE-LEGGED4個
TREE16個
合計64個

 の64個が入っています。お気付きのように、正方形パーツがたくさんあるのですが、それ以外のパーツは4個ずつですから、主に正方形を使うことになります。

 また、このパッケージの次に大きいのが4色セットで、1色あたり上の64個が4色分入っている4-colorsというパッケージがあります。詳しくは、上記のSOZ corporationのページや、こちらなどをご覧ください。 明日から、「カーペンターブロックシリーズ:連載第2部」と題して、1色セットでは作れなかった、少し規模の大きなモデルをご紹介してゆこうと思います。 最初に、この4色セットのパッケージ1つ分で作れる、対称性の高い構造のご紹介からはじめたいと思います。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 例によって週末は更新をお休みさせていただいて、3日分です。今日はトップページがとても重くなってしまいました。すみません。
 これから1〜2週間かけて一通りご紹介したら、「ブロックのページ」にまとめたいと思っています。
 土曜日は荷物が届くまで、落ち着きませんでした。多面体の本とかを眺めたりしながら、構想を練りました。とても楽しい時間でした。夕方にようやく届いて、作り始めたら時を忘れました。




3月27日(日) カーペンター・ブロックシリーズ:菱形十二面体構造(その1)

 カーペンターブロックの4色セットで作れる多面体構造、ということで、最初に考えたのは菱形十二面体を作ってみよう、ということでした。使うセットはこちらのスタンダードで、乱暴に(わかりやすく)言うと、赤・青・黄・白の4色です。

 菱形十二面体というのは、こんなかたちをしています。過去にこの「あそびをせんとや」の中でもたくさんご紹介していますが、1つだけ図を載せておきます。これは04年4月9日に載せたものです。

菱形十二面体

 カーペンターブロックにはもちろん菱形はありません。幸い、SQUAREパーツはたくさんありますから、菱形柱を12作って組むことにしました。ちょうど上の図のように、赤・青・黄の3色を使うことにしました。

図 1 図 2

図 3 図 4

 図1が一般的な視点からみたところ、図2が次数4の頂点から見たところ、図3が次数3の頂点から見たところ、そして図4が1つの菱形の方向から見たところです。写真はファイルサイズが小さくなるように圧縮してしまっているためかなり粗いですし、色も本物のほうがずっときれいです。それでもこのかたちの面白さはお分かりいただけるでしょうか。

 使っているパーツは、赤・青・黄でそれぞれ菱形を4つずつ作っていますから、それぞれ16個、合計48個の正方形パーツだけを使っています。4色セットのうちの3色の正方形パーツのちょうど半分を使っていることになります。ですから同じものを2つ作れます。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 おかげさまでこのページのカウンタが18万を越えたようです。いつもご覧下さる皆様、本当にありがとうございます。




3月28日(月) カーペンター・ブロックシリーズ:菱形十二面体構造(その2)

 昨日は菱形十二面体構造を3色で作ってみました。ではこれを4色で作るとしたら、どんな配色にしたらきれいでしょうか。すぐに思いつくのは、隣接する菱形3つずつを同じ色にする、という方法です。(昨日の図3の手前に見えている3つの菱形、これを1色にするのです。)これはこれできれいかもしれませんが、ちょっと単調かなと思いました。そこで、4色が均等にまじりあうような配色を考えてみました。

 どうしたらいいでしょうか。ご自分で考えたい方のために、ちょっとだけ間をあけておきます。





















少し間を空けて





















 02年4月14日に、4本の帯で編む菱形十二面体をご紹介しています。この、4本の帯の通過してゆく方向のそれぞれに、ピースの4色を割り当ててみました。

図 1 図 2

図 3 図 4

 図1〜図4は、昨日の3色のものと同じで、図1が一般的な視点からみたところ、図2が次数4の頂点から見たところ、図3が次数3の頂点から見たところ、そして図4が1つの菱形の方向から見たところです。

 いかがでしょうか。最初はごちゃごちゃしてよくわからないかもしれませんが、自分では昨日の3色のものより気に入りました。これを眺めていたら、とてもよいアイディアが浮かびました。明日は、この菱形十二面体構造として、とりあえず今一番気に入っているかたちをご紹介します。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 こうしてwebページの原稿を書いて、ブラウザで確認しながら本物のブロックを見ると、本物のほうが色もずっときれいで、写真の腕が悪いのが申し訳なくなります。
 昨日、今日とご紹介したものは、それなりに気に入ってはいるのですが、まだ「壊すのが惜しい、ずっと飾っておきたい」というレベルの出来ではないと思っているのですが、明日ご紹介する予定の造形は、あんまり気に入ったものですからもったいなくて分解できずにおります。




3月29日(火) カーペンター・ブロックシリーズ:菱形十二面体構造(その3)

 一昨日から、カーペンターブロック4色セットの1セットを使って、菱形十二面体の各面を菱形柱で表現するモデルを3色と4色でご紹介しました。昨日ご紹介した4色のものは、下の再掲図のように芯になる菱形十二面体の稜をはさむ2つの正方形パーツの色が同じになるように組んでありました。

再掲図

 たとえば、写真の一番手前側には白いパーツが2つ、V字型の谷を作っています。この谷底が菱形十二面体の稜になるのですが、この写真をご覧いただくとおわかりかと思うのですが、4色それぞれが2つずつペアになってV字型になっています。これを見ていたら、それぞれの色のV字型に同じ色で屋根をかけてやったら、同じ色の菱形柱になるな、と思いました。そうしたらどんな立体になるでしょう? この思いつきに、わくわくしながら組んでみました。











ちょっともったいぶって、また少しだけ間を空けて











 そうしたら、こんな立体になりました。出来上がった立体は当初予想していた以上に美しいかたちでした。

図 1 図 2

 といっても、最初は一般的な方向(図1)から見ても、どこが美しいのかよくわからないと思います。 図2は次数4の頂点方向から見たところです。ご覧のように菱形柱が、内側が四角形、外側が八角形に並んだ対称性が見えます。

図 3 図 4

 図3はもともとの菱形十二面体の菱形のトンネルの方向から見たところです。この図2、図3の対称性も十分美しいと思うのですが、特にこの立体のすばらしいところは図4の方向です。図4の一番外側に、白い六角星が見えるのがおわかりになりますでしょうか。これが、各色6個の菱形が形作るおおきな「星」です。このかたちは、この4色の六角星が互いにかみあわさった構造になっているのです。

 そう思って図1〜図3を改めてご覧ください。図1では、赤い六角星がほとんど見えていますし、ほぼ水平(机の面と平行)に黄色い六角星があるのが見えるかと思います。図2では、4つの星の上半分がどのように組み合わさっているのかがわかると思います。

 いかがでしょうか。こういうかたちを「発見」できるのが、ブロックの醍醐味です。これは最初から頭の中だけで狙って作れるものではありませんでした。菱形十二面体を作ってみて、配色を変えてみて、それを眺めているうちに思いついたアイディアを実現してみたらこんな形に導かれた、という感じです。

 これは、4色それぞれ24個のSQUAREパーツを使って出来る立体です。4-colorsセットを1セット持っている方ならば作れます。 それほど易しくはないかもしれませんが、ぜひ作ってご覧になることをお勧めします。最初に、一昨日にご紹介した、3色の菱形十二面体モデルを作ってみて(これだって菱形十二面体になじみが薄ければけっこう大変だと思うのです)、そのかたちをご理解いただいて、それを4色で作り直して、最後に屋根をかける、という手順がわかりやすいかな、と思います。

 カーペンターブロックは、ジョイントがかなり「硬い」です。最初はちょっと扱いにくいと感じるかもしれませんが、これがこのブロックのとてもいいところで、おかげでいろいろな角度でしっかり固定して安定させることができるのです。 菱形を組むときなど、まるで粘土細工をしているように、つぶしてしまわないように気をつけながら力を加えて形を整えます。これがまたとても楽しい作業なのです。 この性質を利用して作った今日のかたちは、他のブロックでは作ることの出来ない造形だと思います。

 私ならこれ1個を作るためだけに4色セットを買っても惜しくないと思いますが、それだけではなく、4色セットが1つあれば、まだまだ美しい多面体構造をたくさん作れるのです。明日以降、順次ご紹介してゆきたいと思います。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 このシリーズ、「1〜2週間」とか書きましたが、このペースで書いてゆくと1ヶ月くらいこの話題が続きそうです。

 いつも見せていただいているすぐ遊べる オンラインパズルに、「春のパズル」という新作が登場していました。難しいですね。でも面白いです。

 ろくはロッパの…のblogの3月15日に、24番、うっとりするほどいいフーガですねえ・・・。(これをうっとりするとは、相当おかしい?)とありました。私も24番のフーガ、大好きです。ですから「相当おかしい?」ことはないと思います。(あるいは私も「相当おかしい」一派なのか・・・) 学生時代のサークルでも、平均律第一集なら24番のフーガが一番好き、という人がいました。最近の12番の話題も、楽しく拝見しました。
 平均律は第一集のほうが馴染みがあります。4番とか22番の五声のフーガが好きでした。12番もこれらと同じ仲間だと思うのですが、どちらかというとオルガンのような持続音を鳴らせる楽器に似合った曲だと思います。(というか、私の技術ではチェンバロではうまく弾けないので、弾くほうはちょっと敬遠しています。)
 私は平均律のCDは、ピアノは昔のグールドとリヒテルのものを持っているだけですが、こういったゆったりしたテンポの曲は、リヒテルの甘い演奏が好きでした。リヒテルの平均律は、LPでは評価が高かったのですが、CDになったら雰囲気が壊れたという評がありますが、私はこれはこれでよいと思っています。ただ最近は古楽どっぷりで、めったにピアノは聴いたり弾いたり(ってそんなに弾けませんが)しなくなりました。

 いつも見せていただいている日々雑感というblog、先週アクセスカウンタが“9999”を見ました。1万hitおめでとうございます。




3月30日(水) カーペンター・ブロックシリーズ:切隅八面体構造(その1)

 カーペンターブロックで作る多面体構造をご紹介しています。カーペンターブロックの主役は、なんといってもSQUAREという正方形のピースです。これを使って、正方形以外の形を作ろうとすると、まず思いつくのがこの正方形をたくさん使って多角柱を作って、それで正方形以外の面を持つ多面体を作ろう、という手法です。

 このパーツは、向かい合う2辺の突起の数(足の数)が2本と3本の辺があって、それを交互に組むことになります。そのため、たとえばSQUAREパーツを3個使って三角柱を組もうと思ってもうまくゆきません(図1)。

図 1

 うまく多角柱に組めるのは、パーツを偶数個使ったときだけです。そこで、今度は六角柱を使ってなにか作ってみようと思いました。使うセットは今度は「フォレスト」という、グリーン系の3色と白の4色セットです。

図 2

 このように、各色12個ずつを使って、六角形の輪を2つずつ作ります。これをどうするかというと、以前、04年4月8日のひとことでちょっとご紹介したような、正六角柱を4本組んだかたちにしてみよう、と思いました。

再掲図

 最初に、一般的な視点から見たところを2つ、ご紹介します(図3、図4)。

図 3 図 4

 図3のほうは、1つの六角形を下にして床に立てたところ、図4のほうは、CGと同じような向きで、4本の六角柱がそれぞれ均等に斜めになっている置き方をしているところです。4色の六角形のペアがそれぞれ反対側にくるようにして、あたかも4本の六角の柱になっている様子を示しています。パーツは十分に足りているので、最初に用意する六角柱の高さを2段にすると、もっと柱っぽくなるかもしれません。

図 5 図 6

 図5は1つの六角形を覗き込んでいるところです。ちょっと形がひずんでいますね。作りこみが甘いです。図6は、4つの六角形が集まって出来る正方形の穴の所を見ています。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 実はこのかたちはちょっとシンプルすぎるかな、と思って、写真だけ撮ったらすぐにこわしてしまいました。明日はこれをちょっと改良(?)した作品をご覧いただこうと思います。
 昨日ご紹介した、菱形十二面体から派生した4つの六角星のモデルですが、新しいものを作るために、泣く泣く分解しました。




3月31日(木) カーペンター・ブロックシリーズ:切隅八面体構造(その2)

 3月26日から、カーペンターブロックシリーズ第2部と題して、4色セット1セットで作れる多面体構造をご紹介しています。昨日は正六角柱を4色で2個ずつ計8個作って組み合わせてみました。今日はそれをちょっと変えて、2色で4個ずつにして、間の正方形の空間6個を別の色で埋めてみました。

 正六角形が8面、正方形が6面から成る準正多面体は、切隅八面体(切頂八面体)と呼ばれます。このかたちも以前からさまざまな手法で作ったものをご紹介してきましたが、1つだけ、ペーパーモデル(03年11月14日にご紹介したもの)の写真を載せておきます。

再掲図

 余談ですがこのペーパーモデルも接着剤等は用いずに紙を切って組んであるだけで作ってあります。

 さて余談はともかく、カーペンターブロックの画像をご覧いただきましょう。使用ピースはやはりすべてSQUARE(正方形)で、淡いほうの2色は24個ずつ、濃い緑の1色は6個、それぞれ使っています。

図 1 図 2

 図1、図2ともに一般的な視点から見たところです。図1はひとつの六角柱を接地させて立てた置き方、図2は4つの六角柱の頂点が床に接する置き方をしています。

図 3 図 4

 図3は六角形の面から、図4は正方形の面から見たところです。いかがでしょうか。家族からは「四つ葉のクローバーみたい」という感想をもらいました。これはパーツの色に負うところが大きいですね。この色、とてもきれいだと思います。

 このかたちも、六角柱をちょっと手で押してやると形が変わりますし、六角柱そのものの向きも動いてしまいます。いろいろな方向から形を確かめながら粘土細工のようにちょっとずつ力を加えて整えてゆきます。この弾力と手ごたえが本当に粘土のようでとても面白いです。

 昨日と今日ご紹介した六角形をベースとしたかたちは、あらかじめ想定した範囲というか、大体想像通りのかたちでした。 そのため、作ってみて驚いた、思いがけなく感動した、ということはありませんでした。明日は月初めなので、4-COLORS の1セットだけで、しかもSQUAREパーツだけでこんなかたちもできたのか、と自分でも驚いたかたちをご紹介する予定です。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 これまで、いろいろなブロックや素材(紙やビーズや割り箸や、そのほかもろもろ)でさまざまな幾何学構造を作ってみていますが、その中でこのカーペンターブロックに適用できそうなテクニックは・・・と考えると、いろいろな手法があります。今のところ、作ってみてそれほど気に入らなかったものはすぐに写真を撮って分解する、かなり気に入ったものはこのページでご紹介するまでは保存する、という方針で進めているのですが、今、分解できずにいるモデルが4個あって、そのそれぞれが4-COLORS 1セットで組まれているので、手詰まりの状況です。明日ご紹介が終わったら1つはばらせるので、そうしたら次に組んでみたいもののうち、どれを組もうかな・・・と楽しみにしています。組んでみて思いがけない発見があることもあれば、逆に期待したほど美しくないとか、無理があって組めないとかいうこともあって落胆することもしばしばです。こういうところが「よいブロック」の楽しいところです。




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