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以前の「ひとこと」 : 2004年4月前半



4月1日(木) 多面体サイコロを考える(その3)

 昨日、N種類の面が等しい確率で選べるようなサイコロは? ということで、多角柱とかその双対とかを考えましたが、「上になる面が水平にならないと、サイコロとしてはよくないのではないですか?」というご指摘のメールをいただきました。コメントありがとうございます。

 昨日も書きましたけれども、正四面体サイコロ、というものが実際に売られているのを見たことがあります。正四面体は三角錐ですから、やはり普通のサイコロのように「上の面」というものがありません。そこで、それぞれの頂点のまわりに小さな数字で目が表示されていたと思います。

 確かに、通常の意味でのサイコロを考えた場合、どの面を下にして置いても、水平な「上の面」が表れるほうが使い勝手はよいのは間違いありません。ただ、これだと検討できるパターンが少なくなってしまって、少なくともNが奇数のものは原理的に不可能になってしまいますので、今回は「目は、床面に接している面の数値とする」ということで考えていました。説明が不足していてすみませんでした。

 ちなみに、例えばガラステーブルの上で多面体サイコロを振って、テーブルの下に鏡でも置いておけば、下になった面を「読む」ことはできそうですね(苦しい説明)。 ということで、平行な面のペアを持たない多面体についても検討させていただく、ということで、今日の話題として用意した図を見ていただきます。



 多角柱や多角反柱やその双対といったグループ以外で、「その面が下になって停止する確率が、全ての面において等しい」多面体というのはどういうものがあるだろうか、と考えてみると、準正多面体の双対というのがその候補になるのではないかと思いました。準正多面体そのものは、1つの多面体の中に、例えば三角形と正方形といったように、違う形状の面を持ちます。この、三角形の面と正方形の面が同じ確率で下になるとは思えません。でも、準正多面体は、頂点の構造は均一ですから、双対をとると、その多面体の面の構造は全て同じということになります。

 まず考えてみたのが、「面が12個ある多面体で、全ての面が同じ確率で下になるもの」です。 正多面体と準正多面体の双対の中には、とりあえず面数が12のものが3つありました。

正十二面体
面12:稜30:頂点20
菱形十二面体
面12:稜24:頂点14
三方四面体
面12:稜18:頂点8

 正十二面体と菱形十二面体は平行な面のペアがありますから、「上の面」を読めばよい、使い勝手のよいサイコロになりますが、三方四面体のほうは、「上の面」という概念がありませんから、かなり「読みにくい」サイコロになるとは思います。ちなみに、三方四面体というのは、下の図のように、正四面体(下図右の赤で示した部分)の4つの面に、背の低い三角錐を貼り付けたようなかたちをしています。

 この、図の右側の白で表した背の低い三角錐の高さを少しずつ高くしていって、隣の面の三角錐の面と平らになるとどうなるかというと、それはちょうど立方体になります。

 さて、この3つの12面体ですが、「目が読みにくい」という問題はとりあえず置いておいて(実際は重要ですが)、それ以外のサイコロとしての特性を考えると、どんな違いがあるでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 明日から地域の大きなお祭りがあって、会社も3連休になります。このお祭りに関係する、私の住んでいる周辺の市町村の人口はあわせて20万人くらいなのですが、180万人くらいの人出があると見込まれているそうです。
 明日は朝8時に開始なのですが、現場まで歩いていくのだそうで、集合はなんと朝3時です。現地に人が集まる結果、地域では人が減るので、お祭りに参加されない年配の方を中心に、防火防犯のための自警団も組織されています。 地域のスーパーマーケットも、この3日間は食品売り場のみ朝6時開店だそうです(通常は朝10時)。
 更新も不定期になるかもしれません。



4月2日(金) 三方四面体の模型

 2日は忙しくなりそうなので、フライング更新です。

 昨日ご紹介した、三方四面体(切隅四面体の双対多面体)を、帯で編む手法で作ってみました。三角形の面のみをもつ多面体を帯で編む手法で組む場合は、面を2つ1組にして考えます。パーツは次のようなものを設計しました。

三方四面体のパーツ

 これを3枚切り出して、全ての折り線を山折りにして組み立てます。出来上がった模型の写真も載せておきます。

三方四面体

 転がしてみると、ちょっと面白い止まり方をします。こういうかたちは、やっぱり実物を作っていじってみると楽しいです。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 一昨日の朝発送したペーパーモデルのパーツがそろそろ届いたかなと心配していたのですが、消失点よりのSTMileさんが、4月1日の日記で「届きました」と書いてくださいました。ありがとうございました。
 ちなみに今回10名ほどの方に差し上げた3本組み木の組み方のgifアニメーションファイルを用意してあります(164kbyte)。ご覧になりたい方はメールでご連絡下さい。



4月3日(土) 5面体サイコロを考える(その1)

 この週末は、地域の大きなイベントがあった関係で、更新が滞っていました。 先日来、多面体のサイコロについて考えていました。今日はその続きの話をしようと思います。

 3次元空間で、面の数が最も少ない多面体といえば、三角形4つに囲まれた四面体です。5つの正多面体のうち、面の数が一番少ないのが正四面体で、次が立方体=正六面体、正八面体と続きます。では、四面体の次に飛ばされてしまった5面体、これでサイコロは作れないでしょうか?

 面数が5の多面体というと、どんな形を思いつくでしょうか? もちろん面の形や位置関係は一様ではないものとして考えてみてください。できれば2種類、考えてください。











・・・ちょっと間をあけて・・・











 とりあえず面の数が5つあるというと、有名なところでこんな多面体が思い浮かびます。

 左は四角錐、右は三角柱です。さて、これらの多面体は、面の形や位置関係が一様ではありませんから、デタラメに作ったのでは5つの面の出現確率は等しくならないでしょう。 それぞれの多面体で、5つの面の出願確率を等しくできるでしょうか? できるとしたらどうしたらいいでしょうか?

(つづく)



 先日、このページの3周年&アクセスカウンタ10万の感謝のイベントで、10名ほどの方にプレゼントを差し上げました。3月31日(水)の朝8時くらいに、通勤途中の、このあたりでは一番大きな郵便局で投函しました。地域の大きなお祭りなどで忙しくしていて、メールを書けないでいたのですが、ご応募くださった皆様、お手元に届いておりますでしょうか?

 届きました、と書いてくださったり、写真を掲載してくださったページをご紹介させていただきます。

むうじん館の半分?田舎暮らし通信 : ちょうど10万ぴったりをご覧下さった、「むうじん」さんのページです。工作室のコーナーに、差し上げたパーツの写真を掲載していただいております。 実は、この特別賞のパーツが、出来が一番自信がないのです。相対的にパーツが小さいため、紙の厚さの影響が大きくて、その分を目測で切り出しているのですが、パーツが「きつい」のではないかと心配しています。うまく組めなかったらごめんなさい。 そのため、特別賞の方にだけは、3本組み木のミニチュアパーツを添付させていただきました。

スペキュレイタ : 「のりしろ」さんのページです。昨年の6月くらいに、私のページをご紹介くださっていました。ありがとうございました。 記事の[373]番、4月2日に、3本組み木の完成写真を掲載していただいています。ありがとうございます。

H.Hamanaka very private page : いつもお世話になっております、兵庫教育大学の濱中先生のページです。4月3日の日記で、やはり完成写真を掲載していただきました。ありがとうございました。 濱中さんには、日ごろサーバのディスクスペースの関係で掲載できないでおりましたコンピュータグラフィックスを中心としたアニメーションファイルをご覧頂いて、ご意見を伺おうと思って、8cm の CD-R を一緒にお送りしました。(gif アニメにしたので、全部で 80Mbyte くらいあったかと思います。)

消失点より : STMileさんのページです。4月1日の日記でコメントしてくださってありがとうございました。 4月3日の日記で、私の住む地域のお祭りの感想を書いていただきました。そうなんです、大変なんです。

 私が気が付いたのは、ここに書かせていただいた方々のページなのですが、見落としがあったらすみません。 また、希望送付先をご連絡くださった方で、万一お手元に届いていないとか、パーツが3種類1枚ずつ入っていなかったとかいう方がいらしたら、ご連絡下さい。

 パーツの精度には正直言って自信がありません。うまく組めなかったらごめんなさい。> 差し上げた皆様

 <おまけのひとこと>
 今日は2日分まとめての更新です。



4月4日(日) 5面体サイコロを考える(その2)

 さて、昨日のひとことでは、面数が5の多面体を2つご紹介しました。これをランダムに転がしたとき、5つの面それぞれが下になって安定する確率が等しいように設計するにはどうしたらいいでしょうか? まず三角柱から考えたいと思います。

 まず、これから考える三角柱は、上下の底面が合同な正三角形で、側面は合同な3つの長方形だとします。こうすれば、少なくとも2つの三角形が下になる確率は互いに等しいでしょうし、3つの長方形それぞれが下になる確率も互いに等しいと考えてよいでしょう。

 ここで、ちょっと極端な例を考えましょう。図のAのように、三角形の板のように背の低い三角柱を考えましょう。これを投げて転がすと、おそらくほとんどは三角形の面が下になって安定し、側面の長方形の面で「立つ」ことはとてもめずらしいでしょう。

 一方、図のCのようにこの三角柱の高さをとても高くして、まるで三角の棒のようにしてみましょう。今度はこの多面体を投げて転がすと、ほとんどの場合は横倒しになって、長方形の側面が下になって安定するでしょう。 この場合は、三角柱が三角形の面を下にして「立つ」ことはまず考えられません。

 (余談ですが、ここで「立つ」という言葉が、図のAの場合と図のCの場合では向きが異なっている点も面白いところです。)

 とすると、この図のAとCの中間には、底面の三角形と側面の四角形が下になる確率がちょうど等しくなる高さの三角柱があるはずです。それはどんな高さでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 今日(4日)は、なんと雪が降っています。この週末、2日(金)〜4日(日)は、私の住む地域では大きなお祭りがあったのですが、私の地区の担当は、幸いにして昨日で終わっています。今日が山場の地区は大変だと思います。



4月5日(月) 5面体サイコロを考える(その3)

 昨日、5面体のサイコロの一例として正三角柱を考えました。この底面と側面が下になって安定する確率をそろえるには、三角柱の高さをどのくらいにしたらよいでしょうか? 実はまだ、自分でも納得のいく結論は得られていません。

 いろいろな高さの三角柱を作って、実験的に求めるという方法もあるかもしれませんが、ここでは一つの近似的な方法を考えてみたので、その考え方だけを簡単にご紹介しておきます。(本当は図を用意したかったのですが、3次元のわかりやすい図がイメージできませんでした。)

 今、注目している正三角柱に外接する球を考えます。すると、正三角柱の6つの頂点は球面上にありますから、球面上には、元の三角形2枚と長方形3枚に相当する、球面三角形2つと球面四角形3つを描くことができます。(球面上では、2点間を結ぶ直線は必ず大円の一部となります。)

 サイコロは空中で十分に回転した後、特定の面を下にして安定すると考えると、多面体のそれぞれの面に対応する外接球面上の球面多角形の面積が大きいほど、その面が下になって安定する確率が高くなるだろうと想像できます。

 3次元だと考えるのが難しいので、次元を1つ下げて、2次元で考えてみましょう。たとえば今、三角形が平面内で回転したとき、3つの辺それぞれが下になって安定する確率をどのように考えたらよいでしょう?

 下の図1は、長い三角柱を回転させているイメージの図です。これを真横から見て、断面の三角形の3つの辺のそれぞれが下になって安定する確率を考えたいと思います。図では意図的に鋭角三角形にしてあります。

図 1

 直感的にですが、少なくとも三角形の辺の長さに比例した確率、というわけではなさそうに思えます。そこで、次のように三角形の重心を考えます。

図 2 図 3

 空中で三角形が回転するときは、重心を中心にして回転すると考えられますから、着地したときに注目した辺が下になる確率は、重心からその辺の両端の頂点を結んだ内角の比に等しくなるのではないか、と思いました。上の図3で、3色で表した角度の比が、3つの辺を下にして停止する確率の比になっているのではないか、ということです。

 もちろんほとんどの場合、最初に床にぶつかるのは頂点のはずで、そのときには回転モーメントがありますから頂点を支点とした回転運動に変化します。このあたりをきちんと追跡するのは厄介な話になるのは確かなのですが、「逆方向の回転も同じ確率でありうる」と考えると、この「重心から見た角度の比」というのは妥当な推定だと思うのですがいかがでしょうか?

 正三角柱の場合は幸いにして外接球の中心が立体の重心と一致しているので、話は簡単です。三角柱の外接球の、球面上の球面三角形と球面四角形の面積がすべてちょうど球の表面積の5分の1になるようにすれば、求める5面体サイコロの条件にかなり近いものができるのではないか、と思います。

 もしもこのサイコロが、最初に頂点が床にぶつかった後、重心の高さが単調に減少する、つまりサイコロが床に接した頂点を中心とした回転で別の面のほうに転がることがないとすれば、上の計算どおりになるはずです。しかし床の反発係数などにもよりますけれども、これはあまり現実的な仮定ではありません。



 最近、上の子が「シルバニアファミリー」のドールハウスの小物を自分で縫ったりして作るのが好きになったようで、図書館で本を借りてきては衣装を作ったりクッション作ったり家具を作って飾り付けをしたりしています。

 <おまけのひとこと>
 昨日は一日中雪が降っていました。

 昨年、このページの公開2周年のときにもプレゼントを企画したのですが、そのときに、パーツをどこの都道府県にお送りしたかを白地図に色をつけたものをご紹介しました。今年も同じことをやってみました。



 岐阜と京都の方がご応募下さっていたら「つながった」のに、と思いました(笑)。



4月6日(火) 球状サイコロ

 このところ何日か、「正多面体ではない多面体の各面の出現確率を等しくするには?」という話を書いてきました。この話題、予想はしていたもののやはり手ごわくて、ここで一旦おしまいにします。 この話題に関しては、私のページでは大変珍しいことに、複数のコメントのメールをいただいています。ありがとうございました。

 2次元のものに関しては、04年1月9日のひとことでご紹介した2次元剛体シミュレータで実験はできないでしょうか? というコメントもいただいています。なるほど、それは面白いかもしれないですね。

 ただその場合、初期値(物体の位置と初速度)をどうやって与えるかが全てを決するわけですから、気をつけて実験系を構築しないと、何を見ているのかわからないということにもなりかねないと思います。



 N面のサイコロ、ということを考えはじめたときに頭にあったのは、実は次の写真のような球状のサイコロです。これは確か、高校生くらいのころに母から何かちょっとしたおみやげとしてもらったものです。

図 1 図 2 図 3

 写真だけ見ると、なんだか際限なく転がっていってしまいそうですし、どの面が上なのか判断がつかないようにも思えますが、6つの面がそれぞれ上になって止まるような仕掛けがちゃんと施されています。 ですから、転がしてみると球なのにあっというまに止まってしまって意外な感じがします。 さてこれはどういう仕組みになっていると思いますか?

 この球状のサイコロの原理を利用すれば、任意のN面の球状サイコロが作れるかな、と思っています。邪道ですが。

 <おまけのひとこと>
 昨日の朝は車に雪を積んだまま出かけました。車のドアが凍り付いていて、あけるのが大変でした。 路面の状況が悪いと、夏タイヤに替えてしまった車などが往生して大渋滞を招くようなことがあるので、昨日はいつもより30分ほどはやく家を出ました。 予想通り道は凍っていて、制動距離が明らかに長くなっているのがわかりました。 さてこの週末にはタイヤを替えようかな・・・



4月7日(水) 多角柱4本の交差を考える(その0:準備編)

 サイコロの話はちょっと置いておいて、今日からは別の話を書きたいと思います。(すみません中途半端で。)

 先日、このページの3周年&アクセスカウンタ10万の感謝企画ということで、3本組み木のプレゼントをしました。差し上げた方のうち、半分くらいの方が、ご自分のページに完成写真などを掲載して下さいまして、本当にありがとうございました。 4月3日にご紹介させていただいた後で、茉莉花の部屋の別館のコレクション日記(4月4日)でも取り上げていただいていました。ありがとうございます。特にパーツの写真、微妙にパーツの形がわからないようなご配慮もいただいていて、パズルファンらしいお心遣いありがとうございます。 また、特別賞を差し上げた「むうじん」さんのページでは、何回かにわたって製作記録を写真つきでご紹介いただいています。 このように途中経過をくわしく説明していただけて、とても嬉しく思っています。ありがとうございます。 今朝見たら、完成写真を載せていただいていました。パーツがきつすぎてはまらないんじゃないかと心配していたのですが、ちゃんと組んでいただけたようで安心しました。

 さて、昨年の11月23日のひとことあたりでご紹介しましたけれども、こういった、紙を筒状に丸めて組み木として組むパターンをいくつか試しているのですが、基本的には下の図のように、3次元直交座標系の3軸方向にパーツが揃っているものを作ってきました。

再掲図

 これらはいずれも、下の図1のように、正八面体の6つの頂点のうち、相対する3組の頂点を結ぶ軸の方向になっています。

図 1

 それでは、4本を自然に、高い対称性で組もうとしたら、その4本はどんな方向にするのがよいでしょうか? 4次元空間だったら4本を直交させることはできるはずですけれども、あいにく私たちの3次元空間ではそういうわけにもいきません。

 普通に考えると、下の図2のように、今度は立方体の8つの頂点のうち、相対する4組の頂点を結ぶ軸の方向に柱を向けてやると、対称性の高い構造ができそうです。

図 2

 実は、この方向で、各軸3本ずつの12本組み木はすでにご紹介しているのですが、これを4本できれいに組むことはできないでしょうか? その場合どんな柱をどんなふうに組み合わせたら、美しい構造ができるでしょうか? もちろんこれも、接着などを一切せずに、紙の筒を組むだけで作りたいのです。

 明日以降、この「4軸の交差」について、主にCGを中心に何回かご紹介する予定です。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 下の子が小学校に入学して、今年から子供たちは二人とも小学生です。今朝は初めて自分で歩いて登校します。
 今住んでいる市の広報をメールで配信してもらっているのですが、先日の内容はこんなものでした。

明日、4月6日から4月15日まで春の全国交通安全運動が行われます。
新入学児童が通学を始めます。
歩行者の道路横断には、ドライバーの皆さんのあたたかい心配りをお願いします。
また、歩行者も道路に急に飛び出さないよう注意しましょう。
お互い交通ルールとマナーを守り、交通事故防止に努めてください。


 本当にお願いします、という気分です。

 何通かメールをいただいていて、楽しく読ませていただいているのですが、すみません、ちょっと忙しくてお返事が遅れています。



4月8日(木) 多角柱4本の交差を考える(その1)

 「多角柱4本を交差させるきれいな造形を紙で作ってみよう」という目的で、ちょっと考えてみています。昨日、4本の軸の位置関係は立方体の対角線方向でいいだろうということを書きました。次に、何角柱をつかうべきか、その向きはどうしたらいいかについて考えてみたいと思います。

 最初に、参考までに多角柱3本の例を復習してみます。この場合は正八面体の対角線方向である、「天地・東西・南北」の3軸方向(「前後・左右・上下」でもいいです)に柱を向けます。この場合は、正八面体の頂点の次数は4(=4本の稜が出ている)なので、四角柱を使うのが自然です。

図 1 図 2

 四角柱の「向き」ですが、図1のように隣の柱の方向が正方形の面の方向になっている組み方と、図2のように隣の柱の方向が正方形の頂点の方向になっている組み方ができます。図1の場合、3つの柱が交わる共有部分の形は立方体になるのは明らかだと思います。 では図2の場合、3つの柱の共通部分の形はどんな形でしょうか? (これについては、02年の4月くらいに書いた気がします。)

 では、4本を交差させる場合、対称性が高い造形にするためには何角柱を使えばいいでしょうか? さきほどと同じように、元になる立方体の頂点の次数を考えると、この場合は3です。では三角柱を使えばいいか、というと、これでは単純にはうまくいきません。立方体の頂点から出る3本の軸の方向が、対角線の両端で逆になっているからです。(正八面体は正四角柱の双対多面体ですが、立方体は反三角柱の双対だからです。 説明になっていない気がしますが。)

 というわけで、対角線の両端で向きが揃うように、3の2倍の六角形を使います。この場合も図1、図2と同様に、隣の柱の方向が、六角形の頂点になるか辺になるか、二通りの置き方が考えられます。

図 3 図 4

 さて、この2つの4本交差において、4本の柱の共通部分はそれぞれどんな多面体になっているでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 今朝は遅くなってしまいました。



4月9日(金) 多角柱4本の交差を考える(その2)

 六角柱4本を交差させたとき、共通部分にできる形について考えています。今日は最初に、参考までに四角柱3本を交差させたときにできる形(昨日の図2)をまずご紹介したいと思います。

 図1は、昨日の四角柱3本に色を付けてみたところです。この共通部分を拡大してみると、図2のようになります。

図 1:四角柱3本 図 2:共通部分

 共通部分の色づけは、表面に現れた面を決めたのが、どの柱の表面だったのかがわかるようにしてあります。(PovRayが自動的にやってくれるので助かります。) このように、菱形十二面体になります。4角柱が3本ですから、4×3で12面が切り出されることになります。

 同様に、六角柱4本についても実験してみましょう。最初に、昨日の図4に相当する向きのものについて考えてみます。

図 3 : 六角柱4本

 上の図3は、昨日の図4と同じ方向で六角柱4本を組み合わせたものです。(昨日よりちょっと柱の長さが長いですが気にしないで下さい。)六角柱が4本ですから、柱の側面は全部で24面あります。この24面のうち、同一平面上に乗っているものがあるかどうかというところがポイントです。一見、昨日の図1と図4、図2と図3が同じ原理のように思えますけれども、実はこれは逆で、図1と図3、図2と図4が対応しています。(・・・この段落は昨日の図をご覧になりながら読んでください。)

 というわけで、今日の図3の組み方、これは24面が全て異なる平面に乗っていますから、素朴に考えると共通部分として出来上がる多面体は24面体ではないか、と単純に予想できます。ちょっと調べてみましょう。

図 4:六角柱2本 図 5:共通部分 図 6:拡大図

 図4は、図3のうち、赤と青の六角柱だけを取り出してみたものです。視点の位置や方向は一緒です。図5はこの2本の共通部分を取り出してみました。これは菱形の四角柱と、その上下に菱形四角錐を貼り付けたかたちをしています。図4と図5の縮尺は同じです。これだとわかりにくいので、図5と同じものを拡大してみたのが図6です。

 同様にして、4つの柱全部の共通部分をとってみると、下の図7のようになりました。

図 7 : 共通部分

 凧型二十四面体です。各色6つの凧型が、頂点で連なった円周上になって、4つの方向からこの多面体を取り巻いている様子がご覧いただけるでしょうか。なるほどこの凧型二十四面体というのは、こんなふうに4色で塗り分けることもできるんですね。また、各色の凧型を繋ぐ対角線でこの多面体を切ってみると、切り口は正六角形になるのですね。この凧型二十四面体は半分に切ると断面は正八角形になるのですが、正六角形になる切り方があるというのは面白いです。

 なお、昨日のうちに、六角柱4本の絵を見ただけで、この「共通部分は菱形二十四面体になるのですね。おもしろいですね。」というメールをいただきました。私は CG を作ってみるまで答が想像できなかったのですが、わかるひとにはわかるのですね。感心しました。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日の朝、いつもの通り車で出勤して駐車場に車をとめて、職場まで歩く途中で、今年はじめてツバメを見ました。



4月10日(土) 多角柱4本の交差を考える(その3)

 六角柱4本を交差させたとき、共通部分にできる形について考えるシリーズの続きです。今日は、昨日とは別の「向き」で4本を交差させてみます。

 最初に、比較のために四角柱3本を交差させる例に戻って考えてみます。図1は一昨日の図1と同じものです。この3本の共通部分は立方体になるのは自明だと思います。これは、四角柱の4つの面を3つ組み合わせているのですが、その12枚の面のうち、2つずつか同じ平面上にあるため、共通部分の多面体は全部で6面を持つことになるのです。

図 1 :(再掲) 図 2 : 2本だけ

 上の図2のように、3本の四角柱のうち2本だけに注目してみます。実はこの段階ですでに、2本だけの共通部分は立方体になっていることがわかります。

 同様に、六角柱4本についても考えてみましょう。今日考えるのは、下の図3の向きの交差です。これも最初は2本に注目してみましょう。まずは赤と青の柱だけ残してみましょう。

図 3

 図4は青い柱だけをほんの少し太くしてみたところ、図5は赤い柱をほんの少し太くしてみたところです。2本の柱が同じ太さであれば、一番手前の面は同じ平面上になります。

図 4 図 5

 この2本の柱の共通部分は、図6のようになります。(赤の柱が外側にあるものとします。)

図 6

 図6は、図4や図5と同じ方向から見ていますが、大きさを拡大してあります。このように、2本の柱の共通部分は底面が菱形の四角錐台を2つ貼り合わせたかたちになります。面の数としては10面あります。頂点の数は12です。

 この2本に、さらにもう1本、黄色い六角柱も加えてみました。こうすると図7のようになります。

図 7

 この3本の共通部分は、図5をさらに削ったかたちになります(図8)。

図 8

 この段階で、先ほどの四角錐台2つを貼り合わせた十面体の2つの頂点が切り落とされ、新たに2面が加わって、菱形十二面体になります。黄色の面が1つだけ見えていますが、この面と、ちょうど反対側になります見えない部分に新しい面が追加されています。 黄色の六角柱のあと4面はどうなっているかというと、すでに切り出されている面と同じ面になります。

 最後に、緑の六角柱を加えても、新しい面はできません。これは、ちょうど本日の図2と図1を比べたとき、3本目の四角柱が新しい面を作らないのと同じ理屈です。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日は「ひとこと」の日付を更新するのを忘れていました。
 ここ何日か、図をたくさん載せる更新になっていて、更新の手間がかかるわりには十分に説明ができていません。今週末もお祭りなのですが、今度は地域が違うので少し休めます。 といっても、例年は4月第1週にある、地域の共同作業(水路の清掃や道直しなど)が今週末にまとまってあって、明日は忙しいのですが。
 今、FMラジオを流し聴きしていたら、水永牧子さんというチェンバリストの演奏で、武満徹の「夢見る雨」という曲をやっていました。武満徹の唯一のチェンバロ曲なのだそうで、チェンバロという楽器の音色や特性を生かした、たいへん面白い曲でした。



4月11日(日) 球状サイコロの話 (種明かし、だと思います)

 多角柱を4本交差させる話はちょっと中断して、今日は4月6日にご紹介した、球状サイコロの話の続きを書きたいと思います。

 この球状サイコロに関しては、「こんな仕掛けではないか」というメールを、ちょっとしたコメントも含めると何通かいただいています。ありがとうございました。

球状さいころ

 いただいたコメントは、いずれも中に「重り」が入っているのでは? というものでした。私も実際に中を割って確かめたわけではないのですが、転がしたときや向きを変えたときの手ごたえから、軽い外殻の内側に、小さくて重たい重りが入っているのは間違いないと確信しています。

 いただいたコメントのうち、いちばん詳しく考察してくださってあった方のものは、「球の内側に、正多面体の形状の空隙があって、その中に球状の錘が入っているのでは?」というものでした。 今回の球状の六面体サイコロならば、頂点が6つある正多面体は正八面体ですから、錘が正八面体のどこかの頂点で安定することで、外殻の6つの目のどれかが選ばれるというわけです。 極めて論理的で合理的な推察だと思います。コメントありがとうございました。

 いただいたコメントの通りのものを作ったとすると、おそらくそれは停止するまでにかなり転がってしまうのではないかと思います。実物を手にとってゆっくり回転してみると、この球状サイコロの出目が変わるときの手ごたえはもっと抵抗が大きい感じです。実物を普通の立方体のサイコロを転がす感じで投げても、立方体のサイコロと同程度の「止まりやすさ」になっています。

 この球状サイコロの向きをゆっくり変えてみたときの手ごたえや音から私が想像している内部の構造の図を載せておきます。






















・・・ちょっと間をあけて・・・






















球状さいころの仕組み(想像)

 球状サイコロをゆっくり回転させてみると、明らかにギャップを乗り越えるような「がくん」という手ごたえがあります。おそらくこの構造のおかげで、回転がかなり抑制されているようです。

 <おまけのひとこと>
 今日は、地区の春の共同作業が午前と午後にあります。例年ですと4月の第1日曜日なのですが、今年はお祭りの関係で、今日になりました。未舗装の道に砂利を敷く作業(午前)と、用水路の清掃の仕事(午後)です。



4月12日(月) ビオラ

 ・・・といっても楽器の話ではありません。 ようやく春めいてきたので、先週末に家族が「そろそろ庭に花を植えよう」と言って、ビオラの苗を買ってきて植えていました。1ポットだと48円、40ポットで1680円だったので、40ポット買ってきたとのことです。

 ちなみにgoogleで「ビオラ」を調べると、先頭に出てきたのは楽器でも花でもありませんでした。いろいろなリンクを辿ってみていたら、上野学園古楽器ウエブミュージアムというページに行き着いて、つい全部見てしまいました。

 <おまけのひとこと>
 昨日の午前中の地域の共同作業中に、どうやら指をちょっと打撲してしまったようです。左手の親指の第1関節の内側のところが3cm×2cmくらいの楕円形に紫色になっていて、曲げると痛むのです。触らなければ特に痛くはないのですが、その部分を押すと痛みがあります。車に乗ったときに、サイドブレーキをリリースしようとして、ついボタンをその部分で押してしまったらとても痛くて参りました。といって、このボタンを他の指で押そうとすると、意外と力が必要で、まっすぐに押し込むのが大変です。
 楽器の演奏にも差支えがあるし、カッターナイフで紙を切り抜く作業も(これは私は左手でしかできないので)力が入らないし、ちょっと困ったなと思っていたのですが、一晩寝て今朝になったらだいぶよくなっていました。
 それにしても作業中にいつ、どうやってやってしまったのか覚えがありません。そのことのほうが不安です。



4月13日(火) 三本組木

 4本の多角柱を組み合わせるペーパーモデルをご紹介しようと思って、数日前からCGを使って、多角柱の位置関係を変えたものをご覧頂いたりしてきました。今日は、その途中で考えた、今までの3本組木とはちょっと違う3本組木を紙で作ってみたものをご紹介します。

 昨年の6月6日に、下の図のような、立方体の6つの面にそれぞれ同じ立方体を貼り付けたような形を、帯を編む手法で作ったものをご紹介しました。

 この形は、木製の3本組木で組む方法が知られています。これは単純な三軸方向に沿った平行移動だけでは分解・組み立てができないものです。 この形を紙の筒3本で組んでみました。 写真をご覧下さい。

図 1 図 2

 まだ思いついたものを簡単に試作したレベルなので、加工精度が低かったり紙の厚さを考慮していなかったりするため、ゆがんでいます。この模型で気に入っているのは、3つのパーツが全て合同である点です。

 まあだいたいご想像がつくかと思いますが、筒を覗き込んで見ましょう。こんな感じに見えます。

図 3

 この模型は、紙の筒ならではの変形を利用して組み立て・分解をします。やはり接着剤等は一切用いずに組んでありますので、分解すれば平らな3枚の紙に戻すことができます。

 写真では真っ白の紙に見えるかもしれませんが、これは淡い水色の5mm方眼が印刷されたカードからパーツを切り出して折り曲げて組んであります。 もう少し筒が長いほうが、中身が見えにくくなってスマートかもしれません。また、この手法でもかご型の12本組み木を作ってみても面白いと思います。

 <おまけのひとこと>
 過去に何度かご紹介しているToday's Information!さんの、昨日(4月12日)の「日々雑感」に、ピアニストのグールドの話、アンジェラ・ヒューイットの話が紹介されていました。グールドは、もう20年以上前に、まだ50歳になったばかりで亡くなってしまったピアニストで、革命的なバッハ演奏で大変有名です。 アンジェラ・ヒューイットは、最近特にバッハ演奏でとても注目されているピアニストで、先日行ったCD屋さんのバッハの器楽曲の棚の、実に8割くらいがこのヒューイットのバッハのたくさんの曲のCDでした。
 昨夜帰宅してみたら、昨夜8時からNHK-FMでやっていたこのヒューイットのリサイタルを、「聴きたいかもしれないと思って」と、家内がカセットテープにとっておいてくれていました。ありがたく聴かせてもらいました。大変表情豊かなバッハでした。確かに聴いていて面白いです。
 コンサートの最後に、リヒャルト=シュトラウスの歌曲「朝」をマックス=レーガーがピアノ独奏曲に編曲したものをアンコールとして演奏されたのですが、これが大変美しかったです。この曲は、もともとはピアノ伴奏のソプラノの曲なのですが、「前奏のピアノが美しすぎて、独唱者が歌い始めたくなくなってしまうくらいきれいな曲」なんだそうです。レーガーはいろいろな曲を編曲している人ですが、この曲をピアノだけで聴きたかったのだろうか、と思いました。



4月14日(水) 十二本組木かご型

 昨日の三本組木の接合部の構造でも十二本組木を作ってみようと思って、さっそく試してみました。

 まずは一般的な方向からの写真です。

図 1



 次に、頂点方向から見てみました。

図 2

 参考までに、前回の十二本かご型組木の写真を再掲しておきます。

参考図

 実は、この模型はまだ設計&工作が不完全で、残念なことに十二本でできる立方体の頂点で立たせることができません。以前の十二本組木(参考図のもの)はちゃんと立たせることができたのですが、接合部でかなりひずんでしまっているのです。 これは接合部がきつすぎるからなのでが、といってゆるすぎるのもいやなので、もうすこし検討しないといけないです。

 明日からはようやく4本を組む話に入ろうと思います。

 <おまけのひとこと>
 今日は仕事で珍しく公的交通機関での外出の予定があるのですが、移動中に何を読もうかと思っています。仕事に関係ありすぎるものもよくないし、なさすぎるのもちょっと・・・と思うのですが。
 こんな日に限って天気も悪そうで、ちょっと気が重いです。



4月15日(木) 六角柱4本を組む実験

 さて、先日ご紹介した六角柱4本を組むものを、とりあえず紙で作ってみることにしました。 といってもまだこの形の内部をどのように処理するときれいで安定したものができるのか、よくわかっていません。そこでとりあえずパーツが最低限繋がるように、六角柱を大きく切り欠いたものを4本、全く同じものを作って組み合わせてみました。

図 1 図 2

 写真の印象がかなり違ってしまいましたが、図1、図2とも同じ模型の写真です。図1は4本の柱の稜が集まる付近を見たところ、図2は1本の柱の中をのぞいてみたところです。図2で、柱の中を2本のパーツが横切っているのが見えるかと思いますが、のぞく柱によっては、この横切っているパーツの見え方(見える本数)が違います。

 いかがでしょう、写真ではそれなりに形も整っているように見えることを期待しているのですが、実は実物はかなり変形しやすくて、この写真を撮るときにもかなり手で形を整えつつ撮っています。

 参考までに、4月8日にご紹介した、この形のCGを載せておきます。

参考図

 今日のものは構造や安定性に難があったので、ちょっと方針を変えることにしました。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日の外出は、やっぱり雨に降られました。 今日はまた別のところに、今度はとある装置を使わせてもらいに出かけます。今日は荷物が多いので車です。今日は晴れていて助かりました。



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