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以前の「ひとこと」 : 2003年10月後半



10月16日(木) 五角形と六角形による多面体を編む

 多面体の稜を、五角形2枚で置き換えるような拡張法についての話をしています。昨日は、正八面体に対してこの操作を行うと、五角形24枚と六角形8枚の多面体ができるということを、CGによる稜モデルでご紹介しました。昨夜、仕事の帰りにこの多面体のことを考えていたら、斜めに編む手法をちょっとかえて適用して、ペーパーモデルとして組めそうだと思いつきました。家に帰って大急ぎで図面を作って印刷して組み立ててみました。 写真をご覧下さい。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1が一般的な視点から見たところ、図2は穴として残る六角形の面から見たところ、図3は五角形4つが集まった頂点の方向から見たところ、そして図4は2つの五角形の接するところを見たところです。図3と図4は、昨日のCGの図5、図6に対応しています。

 今年の5月24日のひとことで、6本の帯で編む切隅二十面体をご紹介しました。これは12個の五角形が穴として残ったモデルでしたが、今日ご紹介したものは、8つの六角形が穴として残ります。

 <おまけのひとこと>
 10月も後半になってしまいました。忙しい忙しい。

 昨日職場に新しく納入された備品が私の席のそばに設置されたのですが、その塗装がなんとなく臭っていて、少々気分が悪いです。頻繁に換気しているのですが、そうすると今度は寒いのです。はやくにおいが抜けてくれないかな。



10月17日(金) ビーズによる五角形と六角形による多面体(いただきもの)

 今週、ずっとご紹介している「五角形と六角形による多面体」ですが、これはそもそもBeads Creaturesというページの作者の方からいただいたメールに書かれていた「五角形12枚と六角形4枚による多面体」というところからどんどんイメージがふくらんでいったものです。 おかげさまで、「多面体の稜を2つの五角形で置き換える拡張」という一般化から、昨日もご紹介したような五角形24枚と六角形8枚といったかたちも思いつくことができました。 どうもありがとうございました。

 ・・・と思って喜んでいたら、この「五角形12枚と六角形4枚の多面体」(=五角12面六角4面体と呼んでおきます)、および「五角形24枚と六角形8枚の多面体」(同じく五角24面六角8面体)のビーズモデルの写真を、この“Beads Creatures”のKitamuraさんからいただきました。 非常に美しい写真でしたので、ご了解をいただいて掲載させていただくことにしました。

 なお、いただいた写真はもっと大きかったのですが、私のサイトの都合上、残念ながらかなり小さく縮小してトリミングさせていただきました。オリジナルの写真では、どちらの多面体のビーズもちゃんと同じ大きさであることがわかるように撮影されていたのですが、私が加工させていただいたため、五角12面六角4面体のほうがビーズの粒が大きく見えてしまっています。

写真 1 写真 2

 まず、写真1と2が五角12面六角4面体です。六角形の面から見たところと、五角形が3つ集まる頂点の方向から見た写真をいただきました。きれいにバランスがとれていますね。

写真 3 写真 4

 写真3と4は、五角24面六角8面体です。写真3の五角形が4つ集まる頂点の方向の写真、美しい4回対称性が見えます。写真4の六角形の面から見たところ、これも美しいですね。本当にありがとうございました。

 <おまけのひとこと>
 この「あそびをせんとや」のページを置いているのはプロバイダのサーバです。標準でホームページ用のディスクスペースは10MBなのですが、それでは足りないので1ヶ月500円で、もう10MB借りています。いまどきこの値段は高いとは思うのですが、広告のバナーなどが自分のページに出るのはいやですし、有償だとトラブルの際にクレームを言いやすいということもあって、月500円余計に支払っています。 昨日、サーバ側のファイル数とディスク占有スペースを調べてみたら、ファイル数が2,800を越えていて、サイズの合計は18MBを越えたくらいでした。今年中には20MBでは足りなくなりそうです。どうしようか・・・



10月18日(土) 五角形と六角形による多面体を編む(その2)

 「五角形と六角形による多面体」のペーパーモデル、一昨日に続いて2つ目です。こちらのほうが単純な、五角形12枚と六角形4枚のモデル(五角12面六角4面体と呼んでいます)です。五角形は正五角形を作るようにして、六角形の部分は穴として残しました。写真をご覧下さい。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1が一般的な視点から見たところ、図2と図3が3回回転対称軸方向から見たところ、図4は2つの五角形が連結している、上下左右に対称な視点から見たところです。一昨日のモデルは帯の数が6本でしたが、これは帯3本で編んであります。パーツの説明は、後日するつもりです。



 この、五角12面六角4面体の双対多面体はどんな形になるのかCGにしてみました。説明のため、3つの画像を同じ場所で切り替えています。最初に切隅四面体が表示されます。これは正四面体の4つの頂点を切り落としたかたちで、もともとの面由来の正六角形が4枚と、頂点由来の小さな正三角形4枚から成るかたちです。続いて、それぞれの六角形の面に、背の低い六角錐を貼り付けます。図では4面の六角錐の色を、赤・黄・青・緑にしています。最後に、新たに加えた4色の六角錐の側面の稜を、ほかの部分と同じ太さの同じ色(白)にして、完成です。

図 5

 もともとの五角12面六角4面体は、面の数が16、頂点の数が28、稜の数が42でした。双対多面体ですから、稜の数は同じで、面と頂点の数が入れ替わります。これは28枚の三角形から成るかたちです。

 <おまけのひとこと>
 ご紹介している五角12面六角4面体や五角24面六角8面体は、それぞれ三方四面体(接隅四面体の双対多面体)や四方六面体(接隅八面体の双対)の次数3でない頂点を接隅したようにも見えますね、というご指摘を濱中さんからいただきました。なるほど、確かにそのような見方もできますね。 私は、五角12面六角4面体のほうが立方八面体に寄棟の屋根と三角錐を貼り付けたように見えたのと同様、五角24面六角8面体のほうは小菱形立方八面体の三角形を六角形に拡張して、正方形に寄棟の屋根と四角錐を貼り付けたかたちだと理解できるな、と思っていました。設計の方針としては濱中さんの手法のほうがスマートですね。
 これらの多面体の名前になじみの薄い方は、The polyhedra world(多面体の世界)準正多面体のページがお勧めです。



10月19日(日) 五角形2つによる稜モデルを編む─立方体─

 多面体の稜を2枚の五角形に置き換える拡張の稜モデルをご紹介していますが、今日は昨日に続いて、全ての頂点に集まる稜が3つの多面体ということで、立方体を作ってみたものをご紹介します。この場合、もともとの面は四角形から八角形に変わります。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1が一般的な視点から見たところ、図2が立方体の面方向から、図3が頂点の方向から、そして図4が稜の方向からそれぞれ見たところです。これは4本の帯で編んであります。

 同じものをジオシェイプスでも作ってみました。手持ちのジオシェイプスの五角形パーツは、6色×5枚=30枚あります。ということでこんな配色にしてみました。

図 5


(つづく)


 <おまけのひとこと>
 (つづく)としましたが、明日、何を掲載するかもうご想像がつきますね。

 同じプロバイダの下に開設されているホームページを時々見に行っています。 中でも気にっているページを1つご紹介します。 クラシック音楽の森「フォレスタ」。ピアノ曲を中心に、有名な曲の演奏を聴き比べたり、全集の1曲1曲に解説やコメントを書いておられたり、それぞれの曲になじみのある方でしたら、非常に楽しめます。お勧めです。

 昨日は小学校のファミリーリサイクル(廃品回収)の行事がありました。 各地区ごとに、子供といっしょに各家庭を軽トラックで回ってダンボール・新聞紙・雑誌・ビール瓶等を集める係、それを地区ごとに分別する係、学校へ運ぶ係、学校で業者の大きなトラックに積む係、業者の倉庫で下ろす係などに分かれて仕事をしました。私は学校で業者のトラックに積む係だったのですが、自分の頭より高い位置にある荷台まで新聞紙や雑誌の束を持ち上げる作業を2時間くらいやって、大汗をかきました。今日は身体が痛いです。



10月20日(月) 五角形2つによる稜モデルを編む ─正十二面体─

 多面体の稜を2枚の五角形に置き換える拡張のペーパーモデルの第4回です。正四面体・立方体に続いて、全ての頂点の次数(頂点に集まる稜の数)が3である正多面体の3つ目の、正十二面体も作りました。写真をご覧下さい。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1が一般的な視点から見たところ、図2が正十二面体の面の方向から、図3が稜の方向から、そして図4が頂点の方向からそれぞれ見たところです。今度は6本の帯で編んであります。 この模型で使われているパーツの帯の本数や曲がり方や編まれ方、つまり模型を形成する原理は、先月の9月9日のひとことでご紹介した切隅十二面体を斜めに編むで作った模型と同じです。

 一昨日の正四面体からの拡張、昨日の立方体からの拡張、そして本日の正十二面体からの拡張のいずれも、正五角形を基本にして帯を設計しました(図5)。

図 5

 基本的に1つの正五角形を3つのユニットで編むことにします。図5左上のように、正五角形の中心と5つの頂点を結んでできる5つの二等辺三角形を考えます。このうちの2つ、および3つを連結したかたちを考え(図5右上)、これら3つによって1つの正五角形が編まれるようにします。図5右下の3つのパーツを連結した部分が基本形で、これが1つの頂点をパーツが通過する部分になります。

 この基本形を4つ繋いだ帯3本で正四面体ができますし、6つ繋いだ帯4本で立方体、そして10個繋いだ帯6本で今日の正十二面体を編むことができます。いつものとおり両端にオーバーラップ用のユニットを1つずつつけています。これによって接着剤等を使わずに模型が安定します。

図 6 : 上から「正四面体用」「立方体用」「正十二面体用」パーツ

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 今日ご紹介した正十二面体骨格のモデルですが、これと同じ原理で手芸用のエコクラフトテープで編んだものが濱中さんのページの過去の表紙で公開されています。過去の表紙の何番だったか忘れてしまったので、昨夜から何度かアクセスしてみているのですが、接続できないようで、わかりません。

 家に眠っている古いサブノートPC(MMX Pentium 133MHz, memory 72MB, HDD 8GB, 画面はVGAでWin98 ---Win98SEではない---)を使ってやろうと思って、802.11b の無線ネットワークカードを買ってきました。BUFFALOのWLI-CB-B11というカードで、2,880円+消費税でした。近所のヤマダ電機で買ったので、10%のポイント還元つきです。無線LANカードがこんなに安くなったなんて、感激です。2年前、'01年7月20日のひとことで、10baseTの有線のネットワークカードを買った話を書いてありますが、このときの購入価格も確か二千円台だったと思います。いまや有線のネットワークなんて家では使いたくないと思うようになってしまいました。
 802.11bは低速ですが、うちは家庭内のPC同士での通信の需要はいまのところほとんどまったくないですし、外部とはケーブルテレビのネットワークサービスで繋がっていて、3Mbps程度の速度しかでませんから、802.11bで十分なのです。



10月21日(火) 五角形2つによる稜モデルを編む ─立方八面体─

 多面体の稜を2枚の五角形に置き換える拡張のペーパーモデルのご紹介をしています。昨日までに、頂点の次数が4である唯一の正多面体である正八面体と、次数が3である正多面体を3つご紹介しました。残る1つは正二十面体です。これは頂点の次数が5で、今までのものとは五角形の形状が異なります。そこで次はこの正二十面体に行かずに、全ての頂点の次数が4の何かをと思って、立方八面体を作ってみることにしました。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1は正方形の面を下にして置いたものを一般的な視点から見たところ、図2は三角形の面を下にして置いたものを同じく一般的な方向から見たところです。図3と図4はそれぞれ正方形・三角形の面の方向から見たところです。

 次数が4の場合、パーツは必ず2つが1組になって、「あざなえる縄のように」常に同じペアが絡み合いながら多面体をめぐります。 立方八面体の骨格の場合4つの大円で構成されていますから、それぞれの大円が2つのパーツによって形成され、全部で8本のパーツを使います。 (先日の正八面体の場合は3つの大円でしたから、3組6本でした。)

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日は飲み会だったので、久々に寝坊してしまいました。



10月22日(水) 五角形2つによる稜モデルを編む ─切隅八面体─

 10月13日にご紹介をはじめた五角形と六角形による多面体の話から、稜を2つの五角形で置き換えるという話になり、それを編む手法を使っていくつか多面体をご紹介してきました。一応今日はそのシリーズの最終回ということで、切隅八面体をご覧いただこうと思います。

図 1 図 2
図 3 図 4

 図1は正方形の面を下にして置いたものを一般的な視点から見たところ、図2は六角形の面を下にして置いたものを同じく一般的な方向から見たところです。図3と図4はそれぞれ六角形・正方形の面の方向から見たところです。(このあたりの説明文は昨日のものをそのまま流用しています。) 実物を見るとそれなりにおもしろいのですが、きちんとかたちを整えきれていないのと、写真の出来が悪いのとで、あんまりおもしろくないかたちに見えてしまうかもしれません。(撮りなおす元気と時間がなかったのです。)

 パーツは、一昨日の図6の、正五角形を分割したものを繋いだサインカーブのようなものの6周期分(頂点12個をめぐる)、これが6本で編めています。 準正多面体なので、頂点の周りの3つの面の内角は全部が同じというわけではありませんから、同じパーツで正確に折り目をつけようとしても歪ができます。そこで今回の模型では、濱中さん正十二面体のねじり編み(過去の表紙67)を見習って、折り目を入れずにパーツを自然に曲げて組んでみました。といってももともとまっすぐな帯を使うわけではなくて、あくまでも波型の帯ですが・・・

 ところで、「多面体を斜めに編む」シリーズですが、以前にもご紹介した色々いろというページが更新されておりまして、準正多面体の斜め編みというページに、準正多面体のほとんどがこの手法で作られており、型紙のPDFも公開されています。 私は主に正二十面体の対称性の模型を作ったのですが、こちらのmotoroさんは、捩れ立方体と捩れ十二面体以外の準正多面体を作っておられます。すごいですね、驚きました。濱中さんは、上記のページで「本来の紙パーツのほうがかなりジグザグしているはず」と書かれていますけれども、motoroさんのページをご覧いただくとわかるように(もちろん私が使ったパーツと同じ設計です)、その通り、カクカクと折れ曲がったかたちです。





 一応、次数4の多面体を作ったときのパーツの設計についても書いておきましょう。頂点に4つの五角形が集まる必要がありますから、頂角が90度以下ならばOK、ということになります。90度ならば完全に平らになりますので、もとの頂点が面になるような変形になりますし、角度が小さければ星型のようにもとの頂点が鋭く尖って、稜を置き換えた2つの五角形の2面角が180度を越えて、凸多面体ではなくなります。

 とりあえず今回、正八面体を作ったときのパーツを載せておきます。五角形は図5のようなものを使いました。

図 5

 これを集めて、図6のような帯にします。正五角形のものと比べて、かなり振幅の小さな波形です。

図 6

 このパーツは今日のモデルのパーツではありませんので、ご注意下さい。 明日はこのシリーズから派生した番外編のモデルを1つだけご紹介しようと思っています。

 <おまけのひとこと>
 ひどい雨が降っています。



10月23日(木) 中川さんのページ公開

 6月に、あそびのコラム31、吉本キューブを編む ─ 中川氏考案の吉本キューブの構成法 ─ でご紹介させていただいた中川さんが、ホームページを公開されました。こちらのなかがわのページ(タイトル未定) だそうです。いまのところは主に「編む」手法で作られた、立方体を連結した形状のものが主体です。いずれも大変面白い内容です。圧巻はやはり「吉本キューブを編む」で、製作ステップを追ったたくさんの写真があって、なるほどこうやって作るのかと感心させられます。作っている 最中にこれだけこまめに写真を撮るというのはとても大変なことです。私は作業の流れが中断するのがいやで、ここまで丁寧に途中経過を撮影することはできません。この一連の写真だけでもたいへん価値があります。

 茉莉花の部屋のBBS3を拝見していますと、中川さんの作品を時々見せていただけることがあって、ご自分のページとして公開されるのを楽しみにしていました。今、中川さんのページで公開されている中では1つだけ毛色の異なった「100均チューブパズルの三角」もその1つです。種明かしのページがあって親切ですね。BBSの写真では、まだまだ全然別のものも作っておられるようですので、そういったものを見せていただけるのをとても楽しみにしています。 たいへんお勧めのページですので、ぜひご覧下さい。

 <おまけのひとこと>
 今日は時間がなくて簡単な更新です。昨日「番外編」としてご紹介する予定だと書いた模型は、写真を用意してコメントを書き始めたのですが、時間がないので明日掲載することにさせていただきました。



10月24日(金) 五角形2つによる稜モデル(番外編)

 このところ10日ほどシリーズでご紹介してきた五角形2つによる稜モデルですが、番外編として、次数5の頂点を持つ正二十面体に対してこの操作を施してみたものをご紹介します。ただ単純にやると面白くないので、極端な例ということで、五角形の頂角が72度、つまりもともとの正二十面体の頂点が平らになるようにしてみました。

図 1

 さらに、どうせ平らにするならいっそ星型にしてしまおうということで、今回用いる五角形は上の図1の左側の水色の色をつけた細長い部分としました。 これを図1の右側のように、3つのパーツに分けて編むことにします。 すると、パーツは下の図2の左側のように繋がることになります。 便宜上途中に線を入れてありますが、今回はこの星型は平らですから、編むときにはこの部分に折り目を入れる必要はありません。

図 2

 この、図2の左側のパーツが6個連なって多面体を一巡りします。この帯を10本用意して、編んでみることにしました。 あまり出来がよくありませんが、写真をご覧下さい。

図 3 図 4
図 5 図 6

 このように正十二面体の各面が星型になったようなかたちになります。これは、濱中さん正十二面体への帯巻き(過去の表紙17)とほとんど全く同じです。ただ、帯が一部分だけ若干太くなっているぶんだけ、星型の中までパーツに埋め尽くされているという違いがあります。

 五角星を12枚、互いに頂点を繋いで正十二面体の面の位置に構成するという模型は、茉莉花の部屋の茉莉花さんやR-探偵局さんもやっておられました。(R-探偵局さんのデザインが変わっていて、今はトップページからはクラフトのページにリンクされていないのでしょうか。) また、昨日「茉莉花の部屋」のBBSで教えていただいたGonshanのボビンレースというサイトの3Dボビンレースというページにも、同じものをレース編みで作られた作品がありました。この3Dボビンレースのページは、すごいものがさりげなくたくさん掲載されていてとても驚きました。美しい多面体を作る素材・手法として、こんなものもあったのか、と感心しました。

 <おまけのひとこと>
 今日の「番外編」のモデルは、遠目に見えるとそれなりに面白いかなと思うのですが、近くで見るとあらが目立って美しくありません。

 いつも見せていただいているToday's Information!さんの10月23日の日々雑感で、多面体の稜を正五角形2枚になるように編むモデルを色つきのパーツで作られた写真が掲載されていました。興味を持っていただいてありがとうございます。



10月25日(土) 9801

 昨日の朝の通勤の途中で、“9801”というナンバーの車を見ました。 9801というと一昔前のPC-9801という国産パソコンを思い出します。 この9801という数字が平方数であることを知ったときには、ちょっと驚いたものでした。

 99×99=9801 です。一方、99+99=198です。198 を 0198 と表記してみると、二乗のほうは[98][01]、二倍のほうは[01][98]と、上下の2桁が入れ替わっていることがわかります。 さらに、この9801を足すと、もとの99に戻るのです。

 考えてみると、9+9=18、9×9=81 で、1+8=8+1=9 という具合に1桁の時にも同じことが成り立っていました。これは3桁、4桁と増やしていっても同じことが起こります。

表 1
1桁 9+9=18
9×9=81
2桁 99+99=0198
99×99=9801
3桁 999+999=001998
999×999=998001
4桁 9999+9999=00019998
9999×9999=99980001

 さてこれはなぜでしょう? これは10進法での例でしたが、例えば8進法でも同様のことがおこります。8進数をXXX(8)というようにカッコつきの添え字で表すことにすると、以下の表2のように8進法ならば7が並んだ数字の足し算・掛け算をすると、以下のようになります。

表 2 : 8進法
1桁 (8)+7(8)=16(8)
(8)×7(8)=61(8)
2桁 77(8)+77(8)=0176(8)
77(8)×77(8)=7601(8)
3桁 777(8)+777(8)=001776(8)
777(8)×777(8)=776001(8)
4桁 7777(8)+7777(8)=00017776(8)
7777(8)×7777(8)=77760001(8)

 関数電卓には、10進法のほかに8進法とか16進法が使えるものがありますので、試してみてください。 これは任意のN進法で成り立つでしょうか?

 <おまけのひとこと>
 今日は更新が遅くなりました。そろそろリンク集を作り直そうと思っているのですが、その作業の心理的な敷居がとても高くて困っています。 今日は本当はリンク集を更新しようかと思ったのですが、とても終わりそうにないので、昨日の朝ふと思ったことを急遽書くことにしたのでした。



10月26日(日) 1/9801

 昨日は9801という数字から思いついた話を書きましたが、そうしたら「1÷9801を少数で計算したらどうなるでしょう?」という問題(?)を教えていただきました。 言われてから、ああそうか、その方向に話を展開できたんだったと思いました。 昨日の話は単発の埋草の話題のつもりで、今日は別の話を予定していたのですが、せっかく教えていただいたこの話を途中まで書こうと思います。 なぜ途中までかというと、自分で考えたほうが楽しいから、です。

 さて、昨日書いたように 9801=99×99 です。ですから1÷9801は、1を99で割ったものをもう一度99で割れば求まります。いきなりこれについて考える前に、まず、

1÷81=(1÷9)÷9

について考えてみることにします。

 まず、1÷9ですが、これはご存知の方も多いと思いますが、答えは0.111111…となります。なぜそうなるのか、筆算をしてみると納得できます。

図 1

 きりがないので途中でやめますけれども、必ず1が立って、常に上から0が降りてくるので、10-9=1、これが延々と繰り返されます。

 さて、こうして得られた答である0.1111…をさらに9で割ってみましょう。すると次の筆算のようになります。

図 2

 今度は常に1が降りてくることとになります。そのため余りは2,3,4…と増えてゆく様子がわかります。これを見て、「あ、答えは 0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の10個全ての数字の循環小数だ!」と思いたくなるのですが、よく注意して筆算を追いかけてみてください。 割り算の筆算で、同じ余りが出てきて循環が確認できたあたりで止めてあります。

 同様の議論を(1÷99)÷99に適用するとどうなるでしょう? また(1÷999)÷999でしたらどうでしょう?



 こんな桁数の多い割り算は電卓でやってもよくわからないし、といって手計算はあまりにも面倒だと思われるのではないかと思います。私もそう思います。そこで私は、以前もご紹介したことのある、多倍長電卓LM(高橋英明さん作)を使って検証させていただきました。Windowsをお使いの方でしたら簡単に試せますのでお勧めです。標準では100桁まで表示されますが、optionで設定すると1,000桁でも10,000桁でも計算してくれます。

 <おまけのひとこと>
 ちなみにこの「1÷9801」を教えてくださった濱中さんの濱中裕明研究室のページの初等算数のページを見ると、面白そうな話が書いてあります。過去問が楽しいですね。



10月27日(月) アナグリフ(その1)

 今年の春くらいでしたか、ふと思い立って「赤青メガネ」を使った3次元画像を作ってみました。CGによる多面体の画像を、よりリアルに立体的に見てみたかったのです。とりあえずサンプルを1つ、載せておきます。下の図をクリックすると、少し大きな画像が開きます(22KBくらい)。

anaglyph

 この「赤青メガネ」を使った立体表示のことを、アナグリフ(anaglyph)といいます。「アナグリフ」でWeb検索してみると、こういった手法の画像を作って公開している方がたくさんいらっしゃることがわかります。たとえばGoogleで「アナグリフ」で最初に出てくるこちらにはたくさんの写真がありますし、こちらのアナグリフ作成ソフトというページでは、フリーソフトでアナグリフ用の立体画像生成ソフト“Anaglyph Maker”を公開されています。同ページ(立体写真「STEREOeYe」)では、赤青メガネをはじめとして、ステレオ画像関連の様々な品物も販売しているようです。

 私の作った画像は、上記の Anaglyph Maker を使ったわけではなくて、自前の初歩的なプログラム(白黒アナグリフのみに対応)で作りました。すでにソフトウェアがあるのになぜ自前のプログラムを書いたかというと、アニメーションを作りたかったのです。その場合、大量の画像を処理しないといけないので、手作業では面倒で仕方がないのです。

 とりあえず多面体が回転するアニメーションをSVGAサイズ(800×600ピクセル)で2種類ほど作ってみました。レイ・トレーシングのソフトウェア(PovRay)を使っているのですが、カメラの位置を左右にちょっと振って、左目用と右目用のアニメーションをそれぞれ生成しておいて、各フレームごとに自前のアナグリフ化プログラムで合成してgifアニメにしてみました。一応公開できることを目指して、ファイルサイズが小さくなることを意識して作ったつもりだったのですが、それでも1つ1.2MBくらいになってしまいました。もしご覧になりたい方がいらしたら、一時的にあそびをせんとや・分室に掲載することも考えます。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 「赤青メガネの立体視」は、赤青メガネさえ持っていれば、印刷だろうが普通のディスプレイだろうが、色が再現できる媒体であれば見ることができるというとても手軽な立体視の手法です。 とはいえ赤青メガネは必要なわけですし、いまどき興味を持つ方は少ないかなと思って、そのままネタのストックの底に沈んで忘れていたのですが、いつも見に行くページなどで最近話題になっていたので、そういえば以前作ったものがあったはず、と探し出してきました。



10月28日(火) アナグリフ(その2)

 赤青メガネによる立体視の画像の2回目です。昨日は星型小十二面体をご紹介しましたが、今日は星型大十二面体と、今年の2月24日にご紹介した、星のリングを組んだモデルのCGアナグリフをご覧いただこうと思います。

図 1 図 2

 上の図をクリックすると、それぞれ大きな画像を表示します。(図1のリンク先は54KBで740x684 pixel、 図2は28KBで378x356 pixel、です。)画像自体はあそびをせんとや・分室のサーバに置かせてもらっています。



 H.Hamanaka very private page過去の表紙76に、立方体の斜め編みとp-多面体の関係について解説されていました。 大変面白い内容ですし、図が美しいです。

 <おまけのひとこと>
 分室のほうもなんとかしないと・・・

 ダイエーホークスが日本シリーズを制して、いつも見せていただいている消失点よりのトップページが派手にになっていて驚きました(笑)。 ファンの方、おめでとうございます。 スポーツに関するコラムでは、私はMSN ジャーナルのマーティー・キーナート氏の記事が好きです。趣旨に賛同できない回ももちろんあるのですが、知らなかった視点を教えてもらえて面白いです。



10月29日(水) アナグリフ(その3)

 一昨日、昨日と赤青メガネで飛び出して見える多面体の画像(アナグリフ画像)をご紹介しました。 幸いなことに興味を持ってくださった方がいらしたので、もう1日、アナグリフの画像をご紹介したいと思います。

 昨日もご紹介した濱中さんのページでもp-多面体について書いていただいていることですし、p-菱形十二面体(図1)とpp-立方体(図2)のアナグリフ画像を作ってみました。

図 1 図 2

 昨日同様、上の図をクリックするとそれぞれ大きな画像を表示します。今日のものはどちらもVGAサイズ(640x480)です。ファイルの大きさは50KBと74KBくらいで、この画像もやはりあそびをせんとや・分室のサーバに置かせてもらっています。

 <おまけのひとこと>
 すでにCGのシーンファイルのある画像をアナグリフ対応にするのは、カメラの位置を定義しているベクトルに、左右の目の位置の差の分だけの小さなベクトルを足し算・引き算してやって画像を2枚生成して、それを合成プログラムにかけるだけなので、作業時間1〜2分もあれば作ることができます。 ただそれがうまく立体的に見えるかというと、見やすいものもありますし、わかりにくいものもあります。 まだまだ作ろうと思えばいろいろ作れるのですが、そもそも赤青メガネなんてお持ちの方のほうが圧倒的に少ないでしょうから、この話題は一応今日で一旦終わりにする予定です。



10月30日(木) セル・オートマトン

 しばらく前に、セル・オートマトンについてちょっと調べていたら、京都大学の冨田博之先生の、「シミュレーション概論」というページに行き着きました。このページの一番下に、2次元セルオートマトンの例として「サイト問題」と「ボンド問題」というプログラム(Windows用)が公開されています。詳細は講義メモNo.7のページの下のほうに解説されていますが、さっそくダウンロードさせていただいて、遊んでみました。図1、図2がこのプログラムの典型的な画面の例です。

図 1 : 「サイト問題」の実行例 図 2 : 「ボンド問題」の実行例

 図1は森林火災のモデルです。平面上に木がある密度で生えているとします。図1では、茶色の背景が地面、緑色が木を表します。シミュレーションですから、普通の正方格子の方眼紙のマス目の1点1点に木が生えているか生えていないかで森を表現することにします。

 今、どこか1箇所から出火したとします。図1の絵は縮小してあるのでとてもわかりにくいのですが、中央左下あたりに黄色い点があります。ここが火元です。火元のマス目の上下左右斜めの8つの「お隣」のうち、木が生えているマスがあると、そこにも延焼すると考えます。このようにして火が燃え広がったとき、いったいどこまで延焼するでしょうか、ということをシミュレーションしたのが図1です。図で、赤く変化した部分が燃えてしまった部分を表しています。 言い方を変えると、緑の部分が島、背景の茶色の部分が海だとして、黄色い点から陸続きの部分を赤く着色してみた、と考えることもできます。

 さて、木を生やす密度と延焼が広がる割合との関係はどうなるでしょうか? 木の本数が極端に少なければ、「お隣」に木がある確率はほとんど0に近いでしょうから延焼は起こりません。逆に密度が高ければ、ほぼ確実に100%広がるでしょう。この関係は単調増加でしょうけれども、木の植生密度が20%なら延焼面積の期待値(?)が20%、60%なら60%なんていう単純な比例関係でないことは間違いありません。

 上記のページからダウンロードできるこのプログラムは、木をどれだけの密度で生やすかを指定して、乱数で何度もいろいろな森のパターンを生成して実験ができます。このプログラムでは、火元から徐々に燃え広がってゆく様子を時間を追って表示してくれて、やってみるとものすごく面白いです。

 図2のほうは、・・・すみません説明の時間がなくなりました。 上記の富田先生のページは、面白い内容がたくさんあってお勧めです。

 <おまけのひとこと>
 ときどきご紹介している色々いろというページに、新しく正二十面体の稜の色分けに関する話が出ていました。面白いです。



10月31日(金) 立体4目並べ

 昨日のセル・オートマトンの話の続きを書きたいと思っていたのですが、材料をそろえる時間がどうしてもとれなくて、延期させていただくことにしました。で、今日は何を書こうか・・・と思っていたら、いつも見せていただいている茉莉花の部屋のBBSに立体4目並べの話が出ていたので、急遽写真を撮ってその話を書くことにしました。

図 1 図 2

 私の持っているのは、(株)河田・はなやま玩具(株)の 木製ゲームシリーズ“立体四目”(WOODY GAME SERIES : 4 DIMENSION)という製品です。確か2,000円で購入したと思います。最初はプラスチック製のものを持っていたのですが、遊びにくかったのでこれを買いました。

 普通に四目並べとして遊ぶのも楽しいのですが、逆に「四目並べてしまったら負け」というルールにして遊んでみてもなかなか楽しいです。このゲームに慣れないうちは、すでに四目並んでいるのにプレーヤーが二人とも気が付かないということが起こりがちなのですが、この「四目並べたら負け」のルールのほうが、見落としが少ない気がします。

 さらに別の遊び方として、自分の色の球4つで正方形ができたら「勝ち」(または「負け」)というルールはどうだろう、などと考えてみたこともあるのですが、これはまだ十分に検討していません。

 いずれにせよこのゲーム、自分の手番に選択できる手の種類は、球をどの棒に通すかなので、最大でも4×4=16手です。また最後までプレイしても32手までです。ゲーム木の複雑さのオーダーは、オセロゲームと同程度、でしょうか。 「あるパターンができたら勝ち」というルールの元では、先手のほうが有利な気がします。 では、「あるパターンができてしまったら負け」というルールにしたら、どちらが有利でしょうか。

 <おまけのひとこと>
 10月も今日で終わりです。11月の下旬くらいまでとても忙しくて、今週は職場に14時間くらいいる日が続いています。さすがに週末ともなると少々疲れてきました。明日から11月、3連休なのですが、おそらく何日かは仕事です。



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