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以前の「ひとこと」 : 2003年2月後半




2月16日(日) 『幸福通信』

 昨年の10月24日のひとことで、「幸運のコイン」というのをご紹介しました。コインを床なりテーブルなり平らで固いものの上に投げると、普通は裏か表の面を出して止まります。幸運のコインというのは、こうして投げ続けて連続して表が出た回数が大きいものだそうです。

 この話を書いたら、阿刀田高の『冷蔵庫より愛をこめて』という短編集の中の一編、「幸福通信」というのを教えていただきました。 先日やっと古本屋さんで見つけて買いました。「幸福通信」(しあわせ通信、とタイトルにルビが振られていました)は文庫本で25ページほどで、予言がことごとく的中する電話が何度もかかってくる、そして…というお話です。「幸運のコイン」との類推で、どんな話なのか予想していたのですが、トリックそのものはともかく、予想外のストーリーでした。 読んでよかったと思っています。阿刀田高はあまり読んだことがなかったのですが、とても面白く読めました。 面白い本をご紹介いただいてありがとうございました。基本的には奇抜なアイディアを用いた、ブラックユーモアと分類されるような本です。そういうのを面白がれる方にはお勧めです。

 私は、この話を教えていただいて、昔見た「刑事コロンボ」というTVドラマの「魔術師の幻想」という回を思い出しました。刑事コロンボのシリーズというのはご存知の方もいらっしゃると思いますが、最初に殺人が起こるシーンを明かしておいて、コロンボが犯人をどのように追い詰めてゆくかを描いたものです。「魔術師の幻想」では、大掛かりな箱抜けのトリックを舞台で演じている奇術師が、その舞台の最中に殺人を企てます。さらに、箱抜けの時刻に自分のところに来訪者があるようにして、その来訪者との会話によってさらにアリバイを作ります。

 この中で、来訪者との会話で、確か来訪者に1から4の中から好きな数字を言わせ、答が2だったので、「電話機を持ち上げて裏を見てごらん?」と言うと、そこに「あなたは2と答える」と書かれていた、というシーンがありました。そのトリックをあとでコロンボ自身が再演してみせるのですが、とても感嘆した記憶があります。

 <おまけのひとこと>
 トリックが重要な作品に関して書くのは難しいですね。いかにふるい作品とはいえ、はっきり書くのはルール違反でしょうし、とはいえ書かないと元情報に当たれない方にはわけがわからないし…。まあ今だとWeb で検索するといろいろ情報がありますけれども。
 googleで“阿刀田高、冷蔵庫より愛をこめて”を検索したら、スポンサー欄に「冷蔵庫が安く買える」「冷蔵庫がお買い得価格」なんていうリンクが表示されました。ちがうちがう、私がほしいのはそんな情報じゃありません。
 今朝もまた雪が降っています。しばらく春のような陽気が続いて、やっと家の周りの根雪も解け始めたところだったのですが…




2月17日(月) 等積変形

 小学校などで平面図形の面積を考えるとき、面積が求まるものに分割して考えたり、同じ面積になるように図形を変形したりします。この、面積を変えないで形を変えることを「等積変形」というそうです。

 等積変形の一番基本的なものは、皆さんよくご存知の図1のようなものでしょう。平行四辺形は、底辺の長さが同じ長方形と同じ面積だというものです。

図 1

 図1の平行四辺形と長方形は、図2のように全く合同な2つのパーツに分解することができます。パズルの言葉で言うと、こういうのを「裁ち合わせのパズル」といいます。布地を切って縫い合わせて、目的とする形に作り直す、というイメージです。

図 2

 一般に、平面上の任意の多角形は面積が同じ正方形に「裁ち合わせる」ことができます。手順は以下のようになります。

1.多角形を三角形に分割する
2.それぞれの三角形を長方形に変換する
3.それぞれの長方形を正方形に変換する
4.2つの正方形を1つの正方形に変換する
 (正方形が1つになるまで4. を繰り返す)

 この中で、「1.多角形を三角形に分割する」のと、「2.三角形を長方形に変換する」のはそれほど大変ではないと思います。図3に三角形への分割の例を載せます。

図 3

 あとは長方形を正方形にして、二つの正方形を1つの正方形にできれば、正方形の数が1つずつ減っていって、最後には1個の正方形になります。さて、長方形を面積が同じ正方形にするにはどうしたらいいでしょうか? また、大きさの異なる2つの正方形を、1つの正方形にするにはどうしたらいいでしょう? 条件を厳密にするために、ユークリッド幾何学で言うところの「定規とコンパス」だけで作図してください。

 先日、『日曜の朝ぼくは』(斉藤洋)という本を買ったことを書きましたが、同じ作者の『たったひとりの伝説』を読みました。こちらも面白かったです。斉藤洋さんは「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズくらいしか読んでいなかったのですが、理論社から出ているこの一連の3冊(ちなみにもう1冊は『黄色いポストの郵便配達』です)は気に入りました。

 図書館に行ったら、フリーマーケットをやっていました。旧いパズルとかがときどき出ているので、一応見て回ることにしました。今回はパズルはなかったのですが、文庫本を1冊10円均一でダンボールに20箱くらい出しているところがあって、4冊ほど買ってきました。その中に阿刀田高の「頭は帽子のためじゃない」があります。これはご本人の少年時代の話など、作品を生み出す背景などを説明したエッセイなのですが、非常に面白い本でした。(例によって google で“阿刀田高 頭は帽子のためじゃない”を検索したら、スポンサー欄には「帽子買うなら楽天市場」が表示されました。だから頭は帽子のためじゃないって言っているのに。)

 <おまけのひとこと>
 昨日は結局朝から夕方まで雪が降り続きました。夕方やっと雪がやんだので、家族総出で雪かきをしました。
 昼間ちょっと車で出たときにバックドアに荷物を積んだのですが、それをおろそうとして車の後ろの雪の山に足をかけたら、そのすぐ下が氷で、滑ってしまいました。ぱっと手を突いたのですが、素手だったので無意識に手は握ったままでした。そうしたら左手が雪の下に隠れていたコンクリートの塊に強くあたってしまって、小指の関節をおもいきりぶつけてしまいました。まだ痛いです。この歳で雪で滑って手を傷めるなんて、今年はどうかしています。
 左手の小指が痛いというのは、Emacs系のエディタを使っていたりすると致命的ですが、幸い普通にキーボードを打つくらいなら問題はありません。リコーダーも、唯一左手の小指だけは演奏にそれほど重要ではないですし。ただピアノはまだ弾けません。
 指を痛めたというと、peanuts というマンガでチャーリーブラウンの野球チームで捕手をやっているピアノ弾きのシュローダーがファウルチップで指を痛めたとき、投手で監督のチャーリーブラウンから“Can you play?” (野球は続けられる?)と尋ねられ、自宅のピアノの前に走って、確か「エリーゼのために」の後半の分散和音をだーっと弾いて、“OK, I can play.”(大丈夫、弾けるよ)とチャーリーブラウンに報告する、というのがありました。こういうのは翻訳が難しいですね。
 今朝はひょっとすると通学路の雪かきの呼び出しがあるかもしれないと思って、朝5時前から起きて用意していました。今は6時半なのですが、結局雪かきはありませんでした。おかげでいつもの3倍以上、1時間半もこのページを書く時間がとれたため、いろいろ書いてしまいました。




2月18日(火) 等積変形(その2)

 昨日「長方形を同じ面積の正方形に変えるには?」というのと、「正方形2つを1つの正方形に変えるには?」という話をしましたが、その作図法を簡単に図示しておきます。

図 1

 短辺・長辺の長さがa,bである長方形を考えます。bを延長して、図のようにa+bを直径とする半円を描いて、長方形の短辺を延長してその円周とぶつかった高さが、もとめる等積正方形の一辺の長さになります。これを検算してみると、うまくできているなと感心します。

図 2

 実際に裁ち合わせるにはこの図2のようにします。長方形と正方形を一つの直角が重なるように置いて、斜めに補助線を引きます。あとは図をご覧いただいたとおりです。

 正方形2つを1つの正方形にするのはもっと簡単で、これはピタゴラスの定理そのものです。

図 3

 この裁ち合わせもいろいろな方法があります。一番大きな正方形を、a,bの小正方形とそれぞれ同じ面積の長方形2つに分けておいて、それぞれ図2の正方形⇔長方形の裁ち合わせをやってもいいですし、小正方形の片方を4等分して、もう片方の小正方形のまわりにうまく配置すると大きい正方形になる、という方法もあったと思います。(たとう折りのイメージです。)

 私のページからリンクさせていただいている濱中研究室に、サイエンスパートナーシッププログラム事業への参加というページが新設されていて、「多角形は切って、組み合わせると 必ず正方形にできる?」というタイトルで、昨日・本日にこのページで書いたような話にはじまって、「では立体だったらどうだろう?」ということが書かれています。圧巻なのが斜三角柱から立方体への変形を収めたAVIファイルというのが置かれています。サイズが 16MByte と大きいので、ネットワーク環境によっては見るのが難しいかもしれませんが、たいへんお勧めです。

 本日このページで説明した平面図形の正方形化のテクニックを頭に入れて、上記の動画を見てみるととても面白いです。直方体を立方体にするところはどうしたらいいか、ちょっと考えてからご覧になることをお勧めします。

 <おまけのひとこと>
 実はこの動画をご紹介したくて、昨日・今日と「等積変形」の話を書いたのでした。




2月19日(水) サム・ロイドのチェス・プロブレム

 将棋で言うところの詰将棋に相当するものを、チェスではチェス・プロブレムと呼ぶそうです。ただし、詰将棋と違って両方のking が盤面にありますし(将棋で言うところの双玉問題)、毎回かならず王手を掛けなければいけないということもありません。またチェスの場合は最初の1手だけ答えればよい、という問題が多いそうです。(確かに詰将棋でも最後の3手くらいは、どのみち詰むのですから、どれが玉方の最適の受けだとはいえないことも多いです。そんな感じです。)さらに、チェスの場合はプレーヤー双方が動かして初めて1手と数えるので、例えば将棋の9手詰めなら5手問題になります。

  有名な「15パズル」を考案した、サム・ロイドという人がいます。彼は最初はチェスが好きで、趣向を凝らしたチェスの問題もたくさん作っているそうです。先日見ていた本にちょっと載っていたロイドの問題の見かけがちょっと面白かったので、ご紹介しようと思います。図1、図2とも4手でメイト(詰み)だそうです。

royd01.jpg (111KB) royd02.jpg (113KB)
図 1 図 2

 せっかくなのでCGにしてみました。いつもの通り Povray というフリーソフトを使っています。Povrayをインストールすると、サンプルのシーンファイルの中に"chess2.pov"というファイルがあります。これはチェス盤の初期状態のシーンなのですが、とてもわかりやすいソースなので、駒の配置を決めている部分をちょっといじって、上の画像を作りました。画像をクリックすると大きなサイズのものが開きます。

 CGだと駒の種類や配置が把握しにくいので、どんな問題なのかわかりにくいですね。(リンク先の大きな画像だと若干ましだと思います。)CGのチェスセットをご覧いただくのと、2つの問題の関係を考えていただくのと、両方で楽しめるかな、と思ってあえてこうしてご紹介してみました。

 <おまけのひとこと>
 …というところで今朝の更新は時間切れでした。




2月20日(木) サム・ロイドのチェス・プロブレム(趣向解説)

 昨日、途中までしか書けなかった、サム・ロイドのチェス問題の続きです。CGだと駒の種類や配置が把握しにくいので、文字で表記してみました。 大文字・小文字で白黒(敵・味方)を表し、文字の種類で駒の種類を表します。P:ポーン(歩兵に近い動き)、R:ルーク(城:飛車の動き)、B:ビショップ(僧正:角の動き)、N:ナイト(騎士:八方桂馬)、K:キング(王様)です。

........
..PPp...
.P......
..P...PB
...R...P
...NNnPp
..pBkPpp
..Kb..rR
........
.PPp....
P.......
.P...PB.
..R...P.
..NNnPp.
.pBkPpp.
.Kb..rR.
図 1 図 2

 昨日ご覧いただいた2つの盤面は、文字で表すと上の図1、図2のようになっていました。これは、駒の位置関係は全く同じなのですが、ヨコに1マスだけずれているのです。このため、正しい手順は全く違ったものになるのだそうです。ただし4手でメイト、というところは同じなのだそうです。 なぜ伝聞形で書いているかというと、答がわかっていないからです。 この問題は、図書館で見たものを手帳に写してきたのですが、何度も確認していますがもし間違いがあったらごめんなさい。(自分が解けていないとこういう点が心配です。)

図 3 図 4

 さらに、駒の配置そのものにも趣向があって、図のように長い尻尾をあげている猫の形を表現しているんだそうです。 昨日のCGで気付かれた方はいらしたでしょうか?

 サム・ロイドについて検索してみると、パズル屋さんのトリトのサイトにある、高木茂男さんの“パズル遊びへの招待”の中の1ページ、サム・ロイドのパズルがまっさきに出てきました。

 <おまけのひとこと>
 先日ご紹介した、濱中研究室のページに不変量の話が出ていました。昨年の暮れに、講談社のブルーバックスから、その名も『不変量とは何か ─現代数学のこころ─』という本が出ていました。錐体鏡の話や15パズルの話などが載っています。これも図書館で借りました。自分で買ってもいいなと思っています。




2月21日(金) 博物学の時代

 京都大学電子図書館というページがあります。この中の貴重資料画像というところに、博物学の時代というページがあって、『日本植物誌』(シーボルト ; ツッカリーニ)1835-1870、『日本動物誌』(シーボルト)1833-1850 といった貴重な本の全てのページが画像として閲覧できるようになっています。特にこちらの鳥類の巻の挿絵がとても気に入りました。トキの挿絵など、とてもすばらしいです。

 博物学は英語では natural history(自然の歴史・自然の物語)と言うそうです。もちろん今では動物学や植物学、地学などに分かれ、またそれぞれがさらに学問として細分化されていますから、大学などにも「博物学科」とか「博物学教室」なんていうものはないと思います。 博物学者は naturalist だそうですが、ナチュラリストと聞くと「自然主義者」という印象が強いです。 「ナチュラル」というと、私は音楽のシャープ・フラット・ナチュラルを思い浮かべますが、いかがでしょうか。 ちなみに博物館は museum ですね。「ミュージアム」というと博物館だけでなく美術館なども意味する言葉だと思います。このあたりの、日本語と英語とで対応する言葉の意味する範囲の違いが面白いです。

 話がそれてしまいましたが、京都大学電子図書館のページには、この「博物学の時代」の他にも、江戸時代の和算の本とか、御伽草子のページなどもあってお勧めです。

 <おまけのひとこと>
 えらそうに英語を並べましたが、綴りや意味が自信がなくて、全部gooの辞書検索で調べています。一昨日のサム・ロイドも、Royd だったか Loyd だったか忘れてしまって、チェス盤のCGのファイル名を間違って付けてしまっていました。(昨日気付いて直しました。)




2月22日(土) 割り箸模型:6つの正五角形

 今月の2月1日のひとことで、4つの正三角形の割り箸モデルの写真をご紹介しましたが、今朝、6つの正五角形バージョンを作ってみました。

写真 1 写真 2

 写真1は適当な角度から撮ったもの、写真2は真上から見下ろしたものです。(朝の日の出前の白っぽい光で撮ったことと、補色系CCDのカメラで撮っているためか、くすんだ色の写真になってしまいました。)ちょっとごちゃごちゃしてわかりにくいと思いますが、五角形6つを確認できますか?

 この模型は、最初に五角形を1つ作っておいて、2つめからはそれまでの五角形に絡ませながら五角形を作ります。付け加える1つ1つの五角形の位置をちゃんと考えて作るとわかりやすいです。ごちゃごちゃっと互いに絡み合った6つの五角形をきれいに再配置するというのはとても難しいです。

 そのため、最初は下の参考図1のように輪ゴムで仮止めしながら組んでいきます。五角形6個なので、割り箸同士を繋ぐのに30本、仮止め用にやはり30本の輪ゴムが必要です。次に、頂点5つずつを1本の輪ゴムでまとめます。これは二十面十二面体の頂点になっているので、1本の輪ゴムが作る五角形が12できることになります。そのあとで仮止めの輪ゴムをはずして、バランスを調整して出来上がりです。

参考図 1 参考図 2

 写真は出来立てほやほやの写真なのでまだちょっとバランスが悪いですが、しばらく時間が経つと自然にバランスが整ってきます。もちろんゴムの大きさや太さのばらつきがありますから完全ではないのですが、数日経過すると作った当初よりも多少はましな模型になります。

 この模型の6つの五角形を小さく絞って、参考図2のような星型にすれば、先日ご紹介したStarCage #5になるはずです。でも、割り箸だと厚みがあって星型の頂点がきれいにそろわないのと、輪ゴムで固定するのがものすごく大変そうなので作るのをためらっています。素直に "StarCage #5" を買ったほうがよさそうです。

 <おまけのひとこと>
 年度末で忙しいです。ここに書きたい内容のストックが増えてきているのですが、写真を撮ったり整理したり図を描いたりする時間がなかなかとれません。 といいつつ今朝はお休みなので時間がもったいなくて早起きしてしまって、30分ほどこの割り箸模型作りに没頭してしまいました。 ついに輪ゴムのストックがなくなりました。 また雪が舞い始めました。




2月23日(日) 紙のリング模型:6つの正五角形

 昨日の割り箸による6つの正五角形モデルと同じものを紙で作ったものをご紹介します。実はこちらのほうを一月くらい前に作ってあって、昨日の割り箸モデルのお手本に使いました。

図 1

リングの巾は、図1の左のようにして決まります。外側の正五角形に内接する円を描いて、軸をそろえてその円に内接する正五角形を描くことによって正五角形のリングになります。こうすると組み合わせたときにリングがぴったり固定されます。

 ただ、このままだと組んでいる途中で安定しなくて組みにくいのではないかと思って、図の右のようにリングの厚みを増やして、ちょうど噛み合うようにスリットを入れました。おかげで切り抜き作業が大変になっています。これを6枚用意します。さらに、このままではリングを絡み合わせることができないので、6枚のパーツのうち5枚は適当な位置でリングを切断します。

写真 1 写真 2 写真 3

 写真1が5回回転対称軸方向から見たところ、写真2が3回回転対称軸、写真3が2回回転対称軸です。2月13日のひとことでCGでご紹介しているものと同じです。リングを切り開いた線がわかりにくいように写真を撮っています。

 スリットを入れてあるので組むときにはリングがずれにくいのですが、逆に5つ目、6つ目のパーツを組んでいくときにはひっかかって大変でした。

 <おまけのひとこと>
 今朝起きたら、また雪が10cmほど積もっていました。




2月24日(月) 紙のリング模型:6つの星型

 昨日、正五角形のリングを6枚組み合わせた紙模型をご覧いただきました。このリングは、要するに円周を10等分して得られる10点が、1つおきにリングの外側・内側…となっていればうまく安定するはずです。そこで今度は、意図的なスリットではなく、噛み合わせが自然に落ち着くように星型のリングにしてみました。

図 1 図 2

 あまり尖った星型だとリングが太くなって組みにくいだろうということで、適当な巾にしてみました。図2の内側の星の外側の頂点と、外側の星の内側の頂点が、同一円周上にあります(ややこしい)。 昨日の五角形のリングと同様、6枚のパーツのうち5枚は適当な位置でリングを切断します。唯一切断していないリングを基準に、パーツを1つずつ絡めて行きます。

写真 1 写真 2 写真 3

 完成した模型の写真です。 昨日と同じく、写真1が5回回転対称軸方向から見たところ、写真2が3回回転対称軸、写真3が2回回転対称軸です。

 この模型もやはり1ヶ月近く前に組んだものです。これは組むのがとても難しかったです。最初の2枚はいいのですが、3枚目を入れたところで片手で保持するのが難しくなって、4枚目を入れるのがとても大変でした。4枚目を入れようとして何度も崩壊してしまってストレスがたまりました。4枚がちゃんと組めるとずいぶん安定するため、5枚目は多少楽になりますし、最後の6枚目はパーツにかなり無理がかかるのですが、でもどこをどう通るか明らかですし、モデルは頑丈になっているので比較的あっさりできます。

 <おまけのひとこと>
 昨日、ようやく雛人形を出しました。 といっても例によって私は人形やひな壇の箱を地下室から発掘してくるのと(なにせ狭い地下室なので、パズルのように荷物をあっちこっちへ動かしてスペースを作りつつ作業するので大変なのです)、ひな壇を組むところまでが担当なのですが。毎年、一週間くらいしか飾ってやれなくて…




2月25日(火) 紙のリング模型:4つの三角星

 昨日の五角星リング6枚というのが組むのが大変だったので、三角形4枚のモデルも星型のリングにしてみようと考えました。まずは素直に作ると下の図1のようになります。円を1つ描いて、内側が内接、外側が外接するように軸をそろえて正三角形を描きます。

図 1 図 2

 ちょっと変化を出すように、60度よりも鋭角にしてみました。幾何学的に特に意味はありません。これを4枚切り出して、そのうち3枚のリングはどこかで切断すれば組めるはずです。でも、切断されているリングがあるというのがどうも気に入りません。そこで、図3のようなパーツを考えて、これを組み合わせてリングを作って安定しないだろうか、と考えました。

×3 ⇒
図 3 図 4

 賢明な方ならば、この絵を見た段階でこの設計はまずいんじゃないかとお気づきだと思うのですが、「これはひょっとして面白いかもしれない」と期待していた私は、パーツを切り出して組み始めるまでこの組み方の問題点に気が付きませんでした。

 実際にやってみると、スリットをかみ合わせるとき、図4のようにジョイントの外側の「余り」の部分を、全部リングの同じ側に持ってくるとリングが安定しません。ジョイントは1つおきに上・下・上・下・・・となるのが望ましいです。ところが、三角形ですからジョイントの数は奇数です。これはうまくありません。

写真 1 写真 2

 結局、この模型はジョイント部分に接着剤を使いました。接着すると紙が重くなるし反りやすくなるし組みにくいしバランスがとりにくいし、好きではないのですが、せっかく切り出したパーツを無駄にしないためにやむなくそうしました。これは失敗作です。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日のお昼ころ、隣の職場の人から「明日の朝9時からちょっと3DCGのPovrayの話をしてくれない?」と頼まれました。いいですけど、持ち時間はどのくらいで、何を話せばいいですかと尋ねると、「1時間くらいで、何ができるソフトなのか説明して。あ、参加者は7〜8人だから。」と言われました。
 初めての人に1時間で話すというのは、それなりに準備をしないと難しいです。といっても昨日は忙しくてあまり準備ができませんでした。(もう少し早く言ってくれれば… でも結局直前まで準備をしないだろうから同じかなきっと。)とりあえず資料は昨夜10ページほど作ったので、あとは今朝早く行ってリハーサルをしようという目論見です。
 概要を10分くらいで話して、高品質な画像をいくつか見てもらって、マニュアルの目次をざっと話して、あとはソースを書きながら出てきたキーワードを説明しつつ、実際にレンダリングして見てもらって、まあ1時間かな、と思っています。開始まであと3時間、どんなデモをやろうかな…。ちょっと楽しみです。




2月26日(水) 紙のリング模型:2つ折りのパーツで三角形を組む

 リングを組み合わせるタイプの紙模型は、どうしてもどこかでリングを切断する必要がありました。リングを組む模型は美しいのですが、最後まで切断部分が残るのが気に入りません。といって、そこを補強したり接着したりするのもいやです。バランスが悪くなるからです。 そこで、バランスを整えるため、三角形なら3つ、五角形なら5つのパーツに分けたらどうだろうと思ったのが昨日のモデルだったのですが、結局接着剤に頼ってしまい、ちょっと反って重たいぼてぼてした模型になってしまいました。

 ユニット折り紙の本とかを読んでいても、原則として接着剤は使わない、なぜならそのほうが楽だから、と書かれています。最初はこれは不思議だったのですが、やってみるとよくわかります。接着していなければ、最後に出来上がったときに全体のジョイントを整えることができるのです。どんなに上手にパーツを作っているつもりでも、どうしても誤差があります。個々のパーツを接着剤で固定してしまうと、誤差が蓄積して最後のパーツに無理がかかったり、形がくずれたりしてしまうことが多いのです。

 リングの切断を目立たなくして、かつ全てが一様になるように、リングのパーツを2つ用意して、別な部分を切断して、それを完全に貼り合わせるというのはどうだろう? などと考えてみたのですが、これはこれでとても大変そうですし、それこそパーツが水平にならないでしょう。

 と、こんなことをぼんやり考えていたら、1つアイディアが浮かびました。パーツを2つ折りにすれば、ジョイントが上下に2つ作れますから、昨日のように安定しないということはないでしょう。しかも2つ折りにすれば、パーツの両側とも紙の表ということになりますから、プリンタで印刷するときに着色することができます。とりあえず、簡単な正三角形4つのモデルでテストすることにしました。

図 1

 図1のように、例によって円周に内接・外接する軸の揃った正三角形を考えます。(余談:この2つの三角形の相似比はどのくらいでしょうか?) その三角形の各辺を2つ折のパーツで作ることにして、図のようにはさみで切込みを入れて、それを組み合わせることを考えます。

図 2 図 3 図 4

 とりあえず、紙の表も裏も同じ色だったとして、ピンクと水色の2つのパーツがどのように組み合わさるかを図示してみました。図2の向きで2つのパーツを近づけます。図3のように、ジョイントの外側の小さな正三角形の部分では、手前(上)から水色・ピンク・水色・ピンクと重なり、逆に稜の部分は上からピンク・水色・ピンク・水色と重なるように組んでみることにしました。

 実際には、パーツは4色×3本用意して、同じ色3本で1つの正三角形を組むという形で組んでみました。写真があまりきれいではありませんが、雰囲気はおわかりいただけるかと思います。

写真 1 写真 2

 この模型に関して言えば、ジョイントを接着したほうがいいかもしれないな、と思いました。普通に扱っている分には大丈夫なのですが、落とせば間違いなく分解しそうです。

 <おまけのひとこと>
 子供が通っている学校の学区内に縄文時代の遺跡があります。これが、地区や学校のいろいろなところに関係してきます。昨夜家に帰ってきたら、麻袋で出来た服が掛けてありました。学校の授業で縄文の生活の体験ということで去年の夏の参観日の時に作って、運動会で着たものを子供が年度末で持ち帰ってきたのでした。これ、どうしたらいいんでしょう?
 昨夜は地区の自治会の集まりがあって、来年度の地区の様々な役員の選出の調整がありました。私は「考古館協力委員」とかいうのが回ってきました。任期2年で、年に何回か考古館に行って奉仕作業をするというようなもののようです。




2月27日(木) 2周年記念感謝のプレゼント
(3月3日付記:プレゼントは終了しました。ありがとうございました。)

 このページも公開をはじめて2年になりました。当初考えていたよりも多くの方に見ていただけているようでとても嬉しく思っています。そこで、半年前にも1度やってみた感謝のプレゼントをまた企画してみました。

 ここ1ヶ月ほどご紹介してきた紙の多角形を組むモデルのうち、平らに畳めるものの完成品やパーツ、またちょっと難しいモデルのパーツなどを用意しました。

 くわしくはこちらをご覧ください。 前回のプレゼントの時にはパーツだけだったのですが、今回は完成品も用意してみました。 参考までに前回は3名の方がご応募くださいました。今回は5名くらいかな、と予想しています。

 <おまけのひとこと>
 今日は更新にいつもの倍くらい時間がかかってしまったため(写真を撮るところからはじめて1時間くらい)、出かけるのが遅くなってしまいました。(もう7時を過ぎてしまった…)




2月28日(金) 多面体稜モデル:2つ折りパーツ

 一昨日ご紹介した2つ折りパーツですが、これは完全に折りたたんでしまわないで利用すると、稜モデルのパーツとして使えるということに気がつきました。さっそく細長い長方形を30本切り出して、2つに折って、先端をはさみで60度に切り落として、ジョイント用の切り込みを入れて、正二十面体を組んでみました。もちろん接着剤は使いません。三角形の構造なので、思ったより丈夫です。軽いのでクッションの上に落としても壊れません。(床に落とすと頂点を傷めそうなのでやっていませんが、分解はしないでしょう。)

写真 1 写真 2 写真 3

 ユニット折り紙で多面体の稜モデルを組むものがあります。折り紙ユニットの場合は、細長く折って、両端は斜めに折って中割り折りやかぶせ折りをして組んでゆきます。それに比べて今回のこのユニットは、長方形を2つに折って両端を切り落として切り込みを入れるだけなので、折り紙で折るよりはかなり簡単です。これも表裏のある紙で作ってもよさそうです。

 ずっと前、一昨年の9月25日のひとことで、やはり2つ折にして両端を60度に切り落としたユニットで多面体の稜モデルを作る話を書きました。そのときは切り込みを中央に1箇所だけ入れて、多面体の面が閉じるように組んでいましたが、今回は切り込みを両端に入れています。前回のユニットは不安定で、正二十面体を組むのは結局諦めたのですが、今回のユニットでは簡単に組めました。

 <おまけのひとこと>
 おかげさまで複数の方からプレゼントにご応募のメールをいただいております。ありがとうございます。週末には、応募の受領確認のメールを差し上げたいと思います。すぐにお返事を差し上げなければいけないのに申し訳ありません。



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