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吉本キューブを編む ─ 中川氏考案の吉本キューブの構成法 ─ 

中川氏 作

 立方体8個を2x2x2に積み上げておいて、隣り合う立方体の稜を蝶番のように8箇所で繋いで、全体として1つの輪っかになるようにしてみます。もちろん適当に繋いだのではダメなのですが、うまく繋ぐと、次々に開いて「裏返る」ようにすることができます。(くわしくは、この「あそびをせんとや」のサイトの2003年5月16日のひとことのあたりをご覧下さい。)

 この原理で裏返せる8個のユニットのかたちは、何も立方体でなくてもよくて、いろいろなかたちのものを8個組み合わせて裏返すことができるのですが、その中でも特にすばらしいものとして、吉本キューブと呼ばれる、たいへん美しい立体があります。これは、実際にご覧いただくのが一番わかりやすいのですが、私が知る限りもっともわかりやすく吉本キューブの動きが見られるのは、幾何学おもちゃの世界というサイトの吉本キューブのページです。

 先日、愛知県にお住まいの中川さんという方から、まず「無限に開く立方体」を帯で編む手法で作ってみたというメールを写真と型紙の図面つきでいただいて、おおよろこびで2003年6月12日のひとことでご紹介させていただいたのですが、驚いたことにその2〜3日後に、「吉本キューブも編めました」というご連絡をいただきました。やはり写真と図面がついていました。

 実は私も「吉本キューブを編めないかな」とちょっと考えていたのですが、よいアイディアが浮かばずにおりました。それを、あっさりと「できました」という話を伺って、正直とても驚きました。考案者の中川さんの了解を得て、今回の「あそびのコラム」では、主に写真を中心に吉本キューブの中川モデルをご紹介したいと思います。以下の写真はすべて考案者の中川さんに送っていただいたものです。



 吉本キューブは、菱形十二面体の星型を8等分したものが1つの単位になります。帯で編む多面体は、基本的には各面が四辺形なのですが、このかたちは三角形があるため、単純には編む手法が適用できません。中川さんのアイディアは、隣り合う三角形2つを編むための1つの単位とみなそう、というものでした。

参考図

 写真は、吉本キューブの基本ユニットです。分け方としてはこの2つのように、凸になっている稜をはさむ2つをペアにするやり方(右の写真)と、凹になっている稜をはさむ2つの三角形をペアにするやり方(左の写真)があります。 実は、これについては、中川さんとは全く独立に、兵庫教育大の数学科の先生の濱中さんも、H.Hamanaka very private pageの過去の表紙の48番の菱形12面体の星型#2で、パターンA,Bとして紹介されていらっしゃいました。 私が中川さんからメールをいただいたのは濱中さんがこのページを公開される前ですので、お二人はほぼ同時期に全く独立に同じ着想を持たれたわけですね。 濱中さんのページには、もう1つパターンCというのもありました。なるほど、すばらしい考察ですね。

 さて、この2種類のやり方のうちのどちらか一方を基本にして、吉本キューブを編むことができます。どちらを基本にしてもよいのですが、1つの吉本キューブの星型は1つの設計思想で統一したほうがシンプルで美しいと思います。 まずは写真をご覧下さい。

図 1 図 2
図 3 図 4
図 5 図 6

 ご覧のように、単体できちんと動作しています。これが、粘着テープとか接着剤などを一切使わずに、帯を編む手法だけで構成されているというところがたいへん美しいです。

図 7

 このページの最初にあげた画像の大きなものです。これは、以下の図8、図9のように連動して動かすことができるそうです。

図 8 図 9

 図8が、青が外側になっている状態、図9が逆に赤が外側になっている状態ですね。

 さらに興味深いことに、この赤と青のモデルは編み方が違うのだそうです。パーツとしては、図10のようなパーツが8本ずつ使われているそうです。

図 10

 基本的には、2003年6月12日のひとことでご紹介した方法と同じなのですが、おわかりになりますでしょうか?

 さて、今回はいただいた写真を中心にご紹介させていただきました。実はページの都合で写真は縮小させていただいたりしておりますし、作り方の解説はできませんでした。これは大変すばらしい作品ですので、感想やご質問、またもっと大きな写真をご覧になりたいといったご要望などありましたら、ぜひとも考案者の中川さんにメールを差し上げていただけたらと思います。連絡先はこちら(mailto:k-suke-n@sf6.so-net.ne.jp)になります。

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2003.06.23 hhase