[Home]-[以前のひとこと]-[2003年4月後半]

以前の「ひとこと」 : 2003年4月後半



4月16日(水) 多角形カードによる一様多面体(その2)

 一様多面体シリーズの2つめです。今日は、正方形30枚を組んでみました。まずは写真をご覧下さい。

図 1

 気に入っている模型なので、若干大きめの写真にしてみました。これは、正方形の頂点2つが空中で接するのですが、比較的ばらばらになりにくく、精度がよいです。 大きさは、正方形が一辺3.6cmくらい、模型全体が直径10cm弱くらいになります。

図 2

 パーツの形状は、図の通りです。これも昨日の正三角形20枚と同じく、各辺を黄金比の比率に3つに分割するのがベースになります。これは比較的設計しやすい、組みやすい模型です。

 この模型を見ていると、図3のように星型が目に付きます。その外側には、図4のように正五角形が見えます。さらに、3枚の正方形の組み合わさった部分の外側には、図5のように正六角形が見えます。(図5は、どれか1つの色に注目してみてください。)

図 3 図 4 図 5

 この模型の正方形は、正十二面体や正二十面体の稜と同じ構造になっています。これをきれいに色分けしても面白そうです。

 <おまけのひとこと>
 子供の小学校の参観日で、国語の授業で「3つのおねがい」という話をやったそうです。願い事が3つかなうというお話はいくつか知っていますが、1つめにちょっとした些細なお願いをしてしまい、2つめに、そんなつまらないお願いをしたことで親しい人とけんかになったりして、ついその相手を害するようなお願いを口走ってしまい、それがかなってしまう。そして3つめに、2つめのおねがいを取り消す、というパターンがあるように思います。
 3つのお願いというと、「猿の手」という恐怖小説を思い出します。



4月17日(木) 一様多面体骨格のスティックモデル(その1)

 一昨日ご紹介した、正三角形20枚による一様多面体骨格(図1:再掲)のモデルは、頂点がきれいに揃わないのが不満でした。そこでこのモデルを、以前ご紹介した(2月28日)稜を2つ折のスティックで作る作り方で作ってみることにしました。図2(再掲)は、そのときに作った正二十面体です。

図 1 図 2

 作りたい模型(図1)のスティックについて考えてみると、片側は星型の頂点になりますから36度、もう片側は正三角形の頂点になりますから60度の角度にして、それが噛み合うように切り欠き(スリット)を入れます。問題は、図1の星型のところでパーツを交差させなければいけません。その部分は、折り目のところまで互いにスリットを入れることにします。

図 3 図 4

 というわけで、図3のように設計して、図4のようなパーツを60本用意しました。最初に図4のパーツの中央のスリットを利用して、星型を12個組みます。これを星型の頂点が3つずつ集まるように組んでいきます。理屈は簡単です。ところが、出来上がりの見栄えを重視して図4のような細いパーツを設計したため、星型に組むところまではよかったのですが、それをあわせるのがとても大変なのです。とりあえず星を6個ずつ、半球型に組んでみたのですが、そこまですらとても大変でした。それを2つ、なんとか合わせようとしたのですが、結局崩壊してしまいました。この手順はまずいということがわかりました。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 庭のマルメロの木がようやく芽吹きです。



 この木は小学校の入学式でもらってきたもので、「3年生になったら花が咲いて、6年生になったら実がなります」と言われたものです。昨年はちゃんと小さな白い花がほんの少し咲きました。今年はもっと花が増えるかもしれません。
 今年の新入生はブルーベリーの木をもらったそうです。それもいいなあ。



4月18日(金) 一様多面体骨格のスティックモデル(その2)

 正十二面体の頂点を適当に結んでできる多角形による一様多面体の骨格を、2つ折りのパーツを設計して組んでみました。パーツの設計については、「昨日のひとこと」をご覧下さい。

図 1 図 2

 この模型の構造については、山口陸幸さんの大変すばらしいサイトであるThe polyhedra world(多面体の世界)星型一様多面体2のページの2) 正十二面体の枠のあたりの多面体をご覧いただけたらと思います。

 この模型、実は一部の接合に接着剤を使ってしまいました。昨日ご覧いただいたパーツには6つの切り欠きがあり、それぞれが別のパーツと噛み合います。パーツは60本ありますから、接合箇所は60×6÷2=180箇所あります。そのうちの約1割くらいを軽く接着してしまいました。接着してしまうとその部分の角度が後から変えられなくなるため、最後に全体の形状のバランスをとるときに困るのですが、接着剤に頼らないと組めませんでした。最小限ということで、十数か所くらいを軽く固定しました。

 星型はもちろん、正三角形や正方形や正五角形、さらに立方体も見えます。見ていて飽きません。また、この星型が、一見「だまし絵立体」のようにも見えて楽しいです。(この写真だとあんまりそんな感じはしませんが。)

 <おまけのひとこと>
 一昨日、昨日と月がとても明るかったので、夜中の風景写真を撮ってみました。



 この写真は、だいたい午前零時ころに撮ったもので、カメラで設定できる最長のシャッター開放時間である8秒の露光で撮影しています。ベランダの手すりにカメラを載せて手で固定して撮ったので、8秒間は息を殺して固まっていました。画像は縮小してトリミングしましたが、それ以外に明るさ等の補正は一切していません。意外ときれいに撮れて感心しました。



4月19日(土) 鉤型スリットによる3枚の直交

 過去に何度もご紹介しているHamanaka's Private Homepageの表紙の画像が、最近更新の頻度が高くてとても楽しみに通っています。たまたま昨夜も今朝もつながらないようなのですが、その前に見たときには、金属の細長いプレートを互いに直交するx,y,z軸方向に組んでゆく作品とCGが紹介されていました。

 これを見て「紙模型で真似ができないかな」と思ってちょっと考えてみました。以前、1月29日のひとことや、あそびのコラム第29回などでご紹介した、下の図1〜図2のように鉤型のスリットを入れた長方形3枚を互いに直交するように組むやり方をジョイントとして使ったらどうでしょうか?

×3枚 ⇒
図 1 図 2

 ということで、とりあえずパーツを12本用意して、立方体の骨格を作ってみました。立方体の8つの頂点が、すべて図2のような構造になっています。

図 3 図 4

 この模型は全て同じパーツから作りました。スリットのかたちや向きをどうしたらよいか、考えてみると面白いです。(使ったパーツの図は明日載せます。) 濱中さんのページのものは、パーツの両端以外にもジョイントできる箇所がありますし、パーツ2つだけでもちゃんと固定できるようですが、このパーツそのものだとあまり発展性がありません。とりあえずパーツの中央にもスリットを入れると、いろいろなかたちのものが作れそうです。

 <おまけのひとこと>
 昨日載せた夜の風景写真ですが、モニタの設定によっては真っ暗な写真に見えるようです。そこでガンマ補正をかけて明るくしてみました。






 明るくしてみると、遠くの山の形や雪形などもちゃんと写っていることがおわかりいただけると思います。

 茉莉花の部屋4月18日の日記にもデジカメで撮った月の写真というのが載っていましたが、同じ日に私も月も撮りました。



4月20日(日) 3枚のカードを直交させる

 昨日ご紹介した、図1の立方体は、図2のパーツ12本で組み立てました。

図 1

図 2

 スリットは全て立方体の外向きになります。カード3枚組みが組める方ならば簡単に組めると思います。私はこの手のパーツは全てプリンタで印刷していますが、今日のようなパーツならばあらかじめマス目が印刷してあるような紙を利用すると簡単だと思います。

 3枚のカードを図3のように互いに直交させて組むパズルでは、通常は鉤型のスリットの入ったカードを3枚使います(図4のA)。

図 3

図 4

 確か中村義作先生の本で見たのだと思うのですが、Aを3枚使うかわりに、A,B,Dの3枚でもできますし、B,C,Dの3枚でも作ることができます。本当は、理想的なのはCが3枚なはずですが、これだとこの3次元空間内では組めないので、次善の策がAが3枚なのです。ちなみに、図4のカードの角が落としてあるのは、Dのカードのスリットをうまく通すためで、かたちを揃えるため、全部のカードの全部の角を同じ形にしてあります。

 さてようやく本題なのですが、3枚のカードを組むときのスリットの入れ方に何通りか方法があるということは、図1のような立方体を組むときのジョイントの形状を、図2のようなパーツだけではなく、図4のようなスリットのものを混ぜても組めるはずです。(ただしその場合、図2よりももう少し外側にパーツが余るようにする必要があります。) そうすると、俄然パズルっぽくなります。

 <おまけのひとこと>

一昨日撮った月の写真です。

 ピンぼけ。


 今日はこれから保育園の春の園庭作業があります。「雨天決行」なのですが、しっかり雨が降っていて憂鬱です。冬の間、庭を横切る通路になっていた重たいコンクリートの敷石を1つ1つ運んで、後をならして、こいのぼりのポールを立てて、ジャングルジムを運んでその支えにして・・・という作業です。今年で作業は5回目で、これで最後になります。



4月21日(月) 立方体に筋交いを入れる

 昨日の立方体を頂点で立ててみると、自分の重さで若干つぶれて、菱形六面体のようになります(図1)。以前ご紹介した、2種類の菱形六面体のうち、平べったいほう(obtuse)です。

図 1

参考:菱形6面体の2つの形
acute 菱形六面体 obtuse 菱形六面体
acute obtuse

 ということは、最初から鉤型のスリットを入れる角度をコントロールすれば、菱形六面体も作れるかな、という話はおいておいて、例えばストローに糸を通したような自在に角度が変わる素材で立方体を組めば、それは好きな角度の菱形六面体に変形できるのはもちろん、いくらでも折りたたんで最後には1本の棒にまでまとめられるはずです。(昔、バックミンスター・フラーの晩年のお弟子さんであった梶川泰司氏の手作りのストロー立方体を、とある国際会議でいただいたことがあります。)

 今日はそれとは逆に、立方体の面に適当な数だけ筋交いを入れてこの立方体が変形しないようにすることはできるだろうか、という問題を考えます。1つの面には1本しか筋交いは入れられないものとします。筋交いを入れた面は2つの直角二等辺三角形に分けられます。三角形は変形しませんが、ちょうど筋交いを蝶番にして、筋交いを入れた正方形が2つに折り畳まれるという可能性はあります。

 さて、筋交いを何本、どうやって入れたら立方体の骨格を剛体にできるでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 2月9日のひとことに書いた、「コッピー」という小さなビン入りの魚のうち、一匹が昨日死んでしまっているのを子供が見つけて大変悲しみました。しょっちゅう餌をやりたいのを我慢して、週に3回だけ決まった日に必ず自分で餌をやって2ヵ月半、だいじに世話をしていたのでしたが・・・
 雨の中、自分の入学祝のマルメロの木の根元を掘ってお墓を作っていました。




4月22日(火) 筋交いを入れた立方体を並べる

 立方体の骨組みがつぶれてしまわないように各面に斜めに筋交いを入れるとしたら、何本入れたら安定になるでしょうか、という問題を出しましたが、この答はとても平凡に、6面全部に筋交いを入れるというものです。筋交いが5本以下だと、かならず変形できてしまうのだそうです。

 6本の筋交いの入れ方はいろいろありますが、興味深いのが下の図1のように正四面体の骨格になるような入れ方です。これは、立方体の8つの頂点のうち、隣り合わない4つを選んだものです。選ばれなかった4点だけを結んでも、やはり正四面体になります。

図 1

 正四面体であることがわかりやすいように、各面に色をつけてみます(図2)。右側のものは、手前の1面しか見えなくなってしまいますが、裏側には3枚の正三角形が隠れています。

図 2

 さて、この立方体を1つずつ交互に並べてみましょう(図3)。こうやって並べてみると、正四面体はそれぞれ稜を共有しながら一列に並びます。

図 3

 さらに、2次元に並べてみます(図4)。こうして並べてみると、ちょうど4枚の正三角形でできる、ピラミッド型の穴がたくさん並んでいることに気が付きます。そこで、ここに同じ正三角形からなる正八面体を、卵のパックに卵を並べるように立ててみます。

図 4

 図5のように、きっちりおさまります。これは、最初の立方体から正四面体を取り除いた残りの4つのパートを8個集めると正八面体になっているためです。

図 5

 さらに、正八面体の上半分の隙間に、正四面体を詰めます(図6)。これでまた正八面体の入る穴ができました。こうして正八面体と正四面体は、立方体の格子上にきっちり充填することができます。

図 6

 昨年の7月30日のひとことでご紹介した、立方体の鏡の中に正四面体を入れたパターン(図7)が、この正四面体と正八面体の骨組みそのものです。これは

図 7

 こちら(400kbyte)に大きなサイズのCGを置いてあります。正四面体の骨格と、その間にある正八面体の骨格をご覧いただけるでしょうか。

 この空間充填は正四面体と正八面体から成っていて、すべての面は正三角形です。ここで、正四面体と正八面体が、大きさを変えずに徐々に距離が遠のいたとしましょう。(逆に、中心の位置を変えずに縮んだと考えてもいいです。) もともと接していた三角形同志の頂点を繋ぐと、元の三角形がだんだん離れて、正三角柱になります。このように、正四面体と正八面体の空間充填の構造を、正三角柱で繋いだとしたら、その隙間にはどんな立体が現れるかおわかりになりますか?

 ジオシェイプスやポリドロンのようなブロックをお持ちの方は、ぜひ作ってみることをお勧めします。とても楽しいです。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 気温の変動が大きい季節です。仕事の帰りに道路の温度計を毎日見るのですが、先週末の夏日のころは17〜19℃くらいの表示だったのが、昨夜は3℃でした。こういうのは身体に負担がかかりますね。ご留意ください。



4月23日(水) 正四面体-正八面体の空間充填の正三角柱補間

 昨日、正四面体と正八面体で空間が充填できるという絵をご紹介しました。(こういう絵をパソコンで描くのはとても楽しいです。)最後に、それぞれの立体の距離を離していったらどうなるでしょう、という問題を書いておきましたが、今日はその立体をジオシェイプスで組んだ写真をご紹介します。最初に写真をごらんいただきましょう。

図 1 図 2 図 3 図 4

 今日の模型はわかりにくいので、いつもより若干大きな写真を用意しました。上の表の小さな画像をクリックすると別の窓で若干大きな画像を表示します。(それぞれ16kbyteくらいのファイルです。)

 この立体の説明をする前に、いったいどういう操作でこの立体を作ったのか、最初に2次元の例で説明しようと思います。 図5のように、正三角形をぴったりくっつけて並べておいて、それを徐々に距離を離して、間にちょうど正方形ができるようにします。そうすると今まで三角形の頂点が集まっていた部分は正六角形になります。

図 5

図 6 図 7

 図6のような正三角形の格子を考えて、この全てを図5のように広げてゆくと、図7のような新しいタイリングパターンになります。今回、ジオシェイプスで作ってみたものは、いわばこの操作の3次元版です。

 図1〜図4は全て同じ模型を違った方向から撮影したものです。6色のパーツで作ってあります。それぞれの色は、正四角錐(ピラミッドの形)の4つの側面それぞれに、正三角柱を貼り付けたかたちになっています。これが正八面体の半分を表します。それぞれの三角柱を3つずつ繋ぎます。この部分が正四面体になります。こうして囲まれた部分がどんな形になるかというと、これが菱形十二面体になるのです。

菱形十二面体
図 8

 正方形のパーツだけで、変形しない(rigidな)菱形十二面体の骨格が組めるというところがとても気に入っています。ジオシェイプスは面のモデルなのですが、骨格のみが見えるので、こういう模型作りにはとても向いています。もっとたくさんパーツがあれば、これが周期的な構造になっていることがわかるように、同じパターンが繰り返し現れるところ作りたいのですが…。紙で作るとしても、これはパーツがたくさん必要で、ものすごく大変です。

 図5のようにして作った新しい平面タイリングパターンの中央には正六角形が現れました。惑星運動の法則を発見したケプラーという有名な天文学者がいます。ケプラーは雪の結晶が正六角形なのはなぜなのかを考えて、そこから史上初めて菱形十二面体を発見したのだそうです。立方体をある特別な方向から見ると正六角形になりますが、4次元の超立方体をある特別な方向から3次元空間に投影すると、この菱形十二面体になります。

 <おまけのひとこと>
 パズル工房『葉樹林』の4月22日の日記で、「葉樹林の短冊組木12枚」という、立方体の骨格を組み木で作ったパズルの写真が紹介されていました。ここ数日ご紹介してきた、紙の立方体骨格と同じ構造のもので、「あそびをせんとや」にもコメントしていただいてありました。とても嬉しいです。ありがとうございます。
 葉樹林日記は、よくもまあこれだけたくさんのパズルを毎日掲載できるものだとつくづく感心して毎日通っています。いつも楽しませていただいています。明日4月24日(木)から4月30日(水)までの7日間、近鉄百貨店、大阪上本町店の9階催事場にて「手づくり木工品バザール」が開催され、そこに「葉樹林」さんも出店されるのだそうです。うーん、行きたいけれど遠すぎる。残念です。



4月24日(木) 捩れ切隅八面体(もどき)

 昨日は久々にジオシェイプスの模型の写真を載せました。実はこれは昨年から作って転がしてあった模型なのですが、もう1つ、写真を撮らないで放っておいたジオシェイプスの模型があります。ついでと言ってはなんですが、今日はその写真を載せたいと思います。

図 1 図 2 図 3

 切隅八面体というのは、正八面体の6つの頂点を切り落としてできる、正六角形8枚と正方形6枚から成る立体です(下図参照)。

図 4:正八面体 図 5:稜を三等分 図 6:切隅八面体

 この正方形と正六角形のすべての辺に正三角形を1つずつつないで、それを組み合わせると図1〜図3のかたちになります。これは、正三角形で補間するときれいに閉じた立体にはなりません。ジオシェイプスではむりやりひずませて組んであります。昨年の10月2日のひとことでご紹介した、捩れ切隅四面体(もどき)と同系列のモデルです。

 <おまけのひとこと>
 H.Hamanaka very private pageの表紙の写真がまた変わっていて(今のものもとてもお勧めです)、これを見て私のページの2月1日のモデルと比べるとどういう関係になっているんだろうというという話とか、茉莉花の部屋4月23日の日記に、ビーズの正十二面体の写真が載っていて、「あそびをせんとや」にコメントくださっていること(ありがとうございました)とか、消失点よりのSTMileさんの4月22日の日記に書いていただいた話とか(ありがとうございました)、いくつも書きたいこともあるのですが、今朝は忙しくて(でも寝坊してしまって)これだけです。

 昨日、パズル工房『葉樹林』のイベントの話について、「行きたいけど遠いから行けない」と書きました。その結論は変わっていないのですが、それでも一応と思って、日帰りを拘束条件として所要時間と交通費を調べてみました。 鉄道で行くと、朝6時過ぎに家を出れば10時半には新大阪には到着します。帰りは夕方6時前の新幹線に乗れば、夜10時には自宅に戻れます。これでだいたい交通費が2万円強です。
 高速バスを使ったら? と妻に言われて調べてみると、近所から出る高速バスは、大阪まで往復で1万円くらいでした。ただし、定刻で走ってくれたとしても、朝7時に出て到着が午後1時前、帰りは4時くらいに出て到着が夜10時前ということで、現地に3時間しかいられません。ゴールデンウィーク中ですから、渋滞を覚悟すべきでしょう。下手をするととんぼ返りどころか、帰りのバスに乗り遅れるかもしれません。といって自分の車で往復するのは、コスト的にも高くつきますしもっと大変ですし、行った先での車の置き場所を心配しなければいけないし、バスと同様渋滞を覚悟しなければいけないでしょう。
 飛行機、という手も一応あるのですが、これだと日帰りは無理です。
 えきねっとで空席情報を調べてみたら、特急や新幹線はまだ空席があるのですね。う〜む・・・



4月25日(金) 空間充填のペーパーモデル

 一昨日ご紹介した、正四面体と正八面体の間を三角柱で繋ぐモデルを、紙で作れないかと思って考えてみました。できれば汎用性が高いもので、簡単に組み立て・分解ができるものがいいな、と思います。とりあえず図1のようなパーツを考えてみました。

図 1

 正方形の紙を、タテヨコそれぞれ4等分して、黒い太線の部分を切ります。これはスリットにしないで、カッターで1本だけ切るだけでいいです。これを点線で谷折り、破線で山折りにします。このパーツを作りたい多面体の稜の数だけ用意すれば、稜の長さが全て同じ多面体ならば、多面体の各面を角柱として組むことができます。

図 2

 図1のパーツ12枚から正八面体を、同じく6枚から正四面体を作ってみました。この三角柱の部分を差し込むことによって、ブロックのように繋いでいこうという目論見です。ただし、パーツのサイズが同じだと差し込めませんので、正四面体を組んだパーツのほうを、1割くらい縮小したパーツで組んであります。(サイズの違いがわかるように、小さいほうのパーツに若干グレーの色をつけてあるのですが、写真だとわからないですね。)サイズの差をどのくらいにするのがよいのかは、使う紙の厚さとパーツの大きさによりますので、もし作ってみる方がいらしたらいろいろお試しください。

図 3 図 4 図 5

 とりあえず、1つの正八面体に2つの正四面体をつないでみました。(まだこれしか作っていないのです。) 菱形十二面体を囲えるところまでは作りたいのですが・・・

 同じパーツ24枚で、菱形十二面体の各面が菱形柱になったものも作ることができます。このパーツを使っても、正八面体と正四面体のパーツによる空間充填と全く同じ構造をつくることができるはずです。ただ、この場合はパーツのサイズが問題になります。「小さい菱形十二面体」と「大きい菱形十二面体」という組み方をしてしまうと、差し込めない箇所が出てきてしまうはずです。三角柱の高さを半分にして、全部のパーツを同じ大きさで組んで、差し込むのではなくて連結するための専門のジョイント三角柱を作る、という設計のほうがよいかもしれません。

 <おまけのひとこと>
 最近、このページでご紹介している3Dジオシェイプスやボヨンゴロがどこで購入できますか? という問い合わせを何通かいただいています。ジオシェイプスに関しては、知る限りでは、いずみ書房のオンラインショッピングの知育玩具(ゲーム・パズル)の中にあるのですが(ただし私はここで購入したことはありません)、ボヨンゴロはわかりません。



4月26日(土) 3枚のカードの直交ジョイントによる模型

 4月19日のひとことで、3枚のカードに鉤型のスリットをいれたものを組み合わせる方法で、立方体の稜モデルを組んだものをご紹介しました。これは、H.Hamanaka very private page金属パーツブロックを見て思いついて作ってみたのですが、この濱中さんから、この金属パーツブロックのパッケージの表紙がこんな作例でした、というCG(のシーンファイル)をいただきました。この組み方だとパーツの両端だけで繋ぐのですが、紙だと強度が足りないかもしれませんね、とコメントもいただきました。いただいたシーンファイルをちょっとだけ変えて作ったCGを掲載させていただきます。ありがとうございました。

図 1

 確かにこれを紙で作るのは強度に不安は感じますが、とりあえず検討してみました。前回の立方体は、図2のようなパーツを12本使いましたが、これだと図1の構造の、内側に引っ込んだ頂点の部分を組むときに困りそうです。そこで、一部は図3のように逆向きのスリットのパーツを用います。

図 2 図 3

答を書いてしまうと、図2、図3のパーツをそれぞれ24本ずつ使いました。図4〜図6は、それぞれこの立体をどの方向から見たものか、おわかりになりますでしょうか。

図 4 図 5 図 6

 できるだけひずまないようにと思って、小さめのパーツを設計して組んでみました。でもかなりひずんでしまいました。写真の撮り方を工夫して、比較的きれいに整って見える方向から写真を撮ってみました。

 ペーパーモデルは、作るのが楽しいものと出来上がりがきれいなものがあります。作るのも楽しいし完成品がきれい、というのがいちばんいいのですが、残念ながらそういうものばかりではありません。 この模型は出来上がりのかたちが整わなくて、紙で作るのはやはり無理がありましたが、組み立てはとても楽しかったです。

 <おまけのひとこと>
 昨日、子供が保育園で友達と遊んでいて、右手のひじをひねられてしまって怪我をしてしまいました。骨折はしていないということなのですが、湿布をして包帯を巻いて固定してあって、動かせません。今日も通院です。



4月27日(日) 空間充填のペーパーモデル(その2)

 お休みに家にいることになったので、ここはひとつ手間のかかる模型でも作るかと思って、一昨日の正四面体と正八面体をたくさん作って繋ぐ模型を作ることにしました。 家族が手伝ってくれて、パーツの折り曲げを担当してくれてとても助かりました。とりあえず正四面体を8個、正八面体を6個作って、最初の目標である菱形十二面体を1つ囲むところまで作ってみました。

図 1

 図1が一般的な視点から見たところです。なんだかよくわかりませんね。対称性が高い方向から見てみましょう。

図 2 図 3 図 4

 図2が、菱形十二面体の、鋭角が4つ集まる頂点の方向から見たところです。普通のタテヨコの格子のように見えます。 図3は菱形十二面体の鈍角が3つ集まる頂点の方向から見たところです。今度は六角形の基本格子が見えます。 図4は、菱形十二面体の1つの面の方向から見たところで、菱形のトンネルが見えます。

図 5

 図5は、図3の中央の三角形の部分を拡大したものです。(正確には図3の方が縮小した画像で、図5は撮影したままの解像度です。)

 これは、ちょうどブロックのように組み替えることができますから、写真を撮ったらシート状に組み替えたりしようかと思っていたのですが、もったいなくてしばらくはこのままにしておこうかと思っています。

 <おまけのひとこと>
 子供の怪我は心配したほどはたいしたことがなくて、お医者さんには「だいぶ腫れもひいたし、痛くなかったら少しずつ動かしてもよい」と言われました。ほっとしています。
 その本人ですが、最近は、「大きい一年生と小さな二年生」(作・古田足日 絵・中山正美)という本が大のお気に入りで、しつこく読んでいます。昨日も病院へ持ってゆく本として選んでいました。 この本は私自身が小学校に入学して最初に学校の図書館から借りた本で、やはりとても気に入ってその後何度も借りた本でした。
 この怪我がなければ、まだ交通費がかからない歳なので一緒に大阪に行くのもいいかな、とちょっと考えてもいたのでした。「大阪にはどうやって行けばいい?」と尋ねてみたら、「『ワイドビューしなの』に乗って、名古屋から『500系のぞみ』に乗る。あ、でも『スーパーあずさ』で甲府に行って、『ワイドビューふじかわ』に乗り換えて静岡に行って、そこから『300系ひかり』でもいいかなあ。」という返事が返ってきました。



4月28日(月) 偶然の一致(その1)

 割と有名な確率のパズルに、次のようなものがあります。

 あるクラスに40人の生徒がいたとして、誕生日が同じ月日のものが二人揃うことはどのくらい珍しいでしょうか? 賭けをするとしたら、同じ誕生日のペアがいるほうに賭けるのと、いないほうに賭けるのと、どちらが有利でしょう?

 ちょっとに考えると、(とりあえず2月29日は考えないことにして)1年は365日もあるのに、そのなかのたった40日ですから、40/365 で9分の1以下、ですから同じ誕生日のペアがいる確率は1割くらいしかない・・・と思いがちですが、これでいいのでしょうか? というパズルです。 たとえば、アーサー・C・クラークというSF作家の『渇きの海』という作品にも、このエピソードが出てきます。

 私がこのパズルを知ったのは、『パズル数学入門 ─楽しみながら学ぶために─(藤村幸三郎、田村三郎) という講談社ブルーバックスのすばらしいパズルの本からでした。この本は、数学パズルが系統的に紹介されていて、大変お勧めなのですが、今は手に入りにくいようです。

 さてこのパズル、確率を計算するためには、「40人全員の誕生日が違っている確率」を計算して、それを100%から引き算すれば求まります。 二人目の人が一人目と違う誕生日である確率は (364/365) です。3人目が、これまでの二人と違う誕生日である確率は(363/365) です。この2つの分数を掛け合わせると、3人とも誕生日が異なる確率が求まります。 40人の場合は、(364/365)×(363/365)×・・・×(326/365) ≒ 0.1088 となって、40人の中に同じ誕生日のペアがいない確率は、わずか10%程度ということになります。つまり、40人学級ならば、9割がた同じ誕生日のペアがいる、ということです。

 下のグラフに、人数が増えていったときに同じ誕生日のペアが存在する確率をプロットしてみました。

図 1

 一見不思議な数字のような気もするのですが、これは組み合わせの数というのがとても大きいことを考えるとイメージしやすいかもしれません。40人から二人を選ぶ組み合わせの数は40×39÷2で、780通りあります。この全てのペアが違う誕生日でなければいけないため、全員が違う誕生日であるというほうが珍しいと考えることもできます。

 さてここからが本題です。以上を頭においていただいて、以下をお読みください。

 先日、いつもうかがっている消失点よりのとあるエッセイを読んでいたら、「同居している家族と、偶然同じタイミングでトイレに行きたくなる」という話が出ていました。考えやすくなるように、問題は以下のように単純化されていました。

・家族は自分を含め3人
・トイレはそれぞれ1日7回
・トイレは1回2分で、1日16時間

 上記のエッセイにならって、面倒なので時間は連続的に考えないで、トイレが利用できる時間を16時間を2分で割った480区間で考えます。さてこの条件で「自分が」他の二人とトイレがかちあう可能性はどのくらいでしょうか?

 もうすこし問題を言い換えます。自分を含めて3人が、それぞれ1から480のうち任意の7つの数字を選びます。他の二人が自分と同じ数字を選んでいる確率が、トイレの時間が衝突する確率であると考えます。さてこの確率はどのくらいでしょうか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 この問題、一応計算してみたのですが、答がいまひとつ自信がありません。

 先週の金曜日、小学校の春の交通安全教室で自転車を学校に持ってゆくことになっていました。ところが雨が降って、今日に延期になっていました。危険ですし、かなり学校に近い子供を除いてみんな親が車で自転車を運んでやっています。うちの車は小さいので、自転車を積むには助手席も倒す必要があって、そうすると子供本人が乗れません。「どうする?」ときいてみたら、自分で押してゆくといいます。 でも恥ずかしいから朝7時前に家を出るといいます。 心配なので自転車でついていってやろうかというと、そうしてほしいというので、今朝はいっしょに学校まで行ってきました。小さな谷を2つ渡っていくので、起伏があって大変でした。



4月29日(火) 偶然の一致(その2)

 3人家族で、それぞれが一日の起きている時間16時間のうち、7回トイレに行くとして、トイレの時間が衝突する確率はどのくらいでしょう? という話の続きです。

 40人学級に誕生日が同じペアがいる確率を考えるときに、「40人しかいないということは、365日のうち、誕生日はたった40日しかないから、だいたい9分の1。 同じペアがいない方に賭けたほうがずっと有利ですよ」 というのが詐欺であったように、「1日のトイレの時間はひとりせいぜい15分くらい。だからトイレの時刻が衝突する確率は15分÷16時間≒2%以下」というのも、実にもっともらしく聞こえますが、誕生日の話が詭弁であったように、やはりワナがあります。

 では、実際はどのくらいの確率なのでしょうか? ちょっと考えたらとりあえず数字が出てきたのですが、自信がなかったのでささっとプログラムを書いてパソコンに実験してもらいました。 まず、1から480までのうち、重複なしで7つの数字をランダムに選びます。この選ばれた7つの数字の組を「ハンド」(トランプなどの“手”のことです)と呼びます。 今、3人のプレーヤーがそれぞれ独立にハンドを用意します。自分のハンドの中には重複はありませんが、別のプレーヤーのハンドの中には、自分と同じ数字があるかもしれません。 特定の一人のハンドに注目して、その人のハンドに含まれる数字を持っている別のプレーヤーがいる確率を実験的に求めようというわけです。

 乱数の種を変えながら何度か実験してみたら、衝突が発生したのは、1万回の試行のうち、1859回、1824回、1829回、1906回、1846回・・・といった結果が出ました。 プログラムが間違っておらず、乱数がこういった実験(原始的なモンテカルロ法)で使うのにふさわしい性質のものであれば、どうやら同じ時刻にトイレに行ってしまう確率は18〜19%程度らしいということがわかります。 (すみません、時間切れで続きはまた明日。)

 JR西日本のページに、人気列車ペーパークラフトコーナーというのがあります。こちらのサンダーバードを作ってみました。 線路は別のオモチャのもので、8mmくらいです。(Zゲージではないです。)

 A5サイズに縮小して印刷して作ったら、工作がとても大変でした。車体側面から天井にかけての曲線に苦労しました。肝心の頭の部分はきれいにできませんでした。 中間車両も印刷してあるのですが、まだ作っていません。 これ1両で、切り出しと組み立てで30分くらいです。でも多面体模型とは勝手が違って大変でした。

 <おまけのひとこと>
 天気がよくなりました。



4月30日(水) 偶然の一致(その3)

 さて、昨日の「複数のひとがそれぞれ1から480のうち7つの数字を選ぶとき、同じ数字を選んでしまっている確率は?」という問題ですが、以下のように考えました。 (なお、順列・組合せの表記については、たとえば こちら などを参照してください。)

 まず、二人が選んだ数字が全部違っている確率を考えます。 自分が7つの数字を重複なしで1つずつ選ぶ順列の数は p1480P7 です。当然相手も同じ数だけの選び方が考えられます。 自分が選んだ数字に対して、相手が選ぶ数字が全部違っている順列の数は p2480-7P7 となります。 とすると、相手が選ぶ全部の可能性のうち、自分と異なる数字を選ぶ可能性の数が求める確率ですから、答は p2/p1 となって、計算してみるとだいたい90%くらいであるということがわかります。

 3人になったらどうでしょうか? この問題は、あくまでも「自分と」他の人の数字が同じかどうかだけを問題にしていて、自分以外の人どうしが同じ数字を選ぼうと選ぶまいと無関係という立場で考えます。自分がAさんと数字が重複するかどうかと、自分がBさんと数字が重複するかどうかは独立事象ですから、単純に確率としては掛け算してしまえばよいことになります。

 以上を考えて、「1日16時間のうち、1回のトイレの時間は2分」という条件を固定して、一人当たりのトイレの回数が5回から10回に変化したとき、家族の人数が2人・3人・4人の場合に、自分がトイレで他の家族と鉢合わせしない確率をグラフにしてみました。

 <おまけのひとこと>
 BRILLIANT CLASSICSというレーベルのCDを購入しました。買ったのはヘンデルの受難曲Brockes Passion/Johannes Passion(4枚組)と、バッハの子供たちの作品集BACH SONS ─THE COMPLETE SYMPHONIES─(7枚組)です。いずれもCD1枚あたり400円なので、1,600円と2,800円でトータル4,400円でした(税別)。ヘンデルの受難曲がたいへん美しくて感動しました。受難曲というと、バッハのマタイ受難曲とヨハネ受難曲が有名ですが、ヘンデルにもこんな曲があったなんて知りませんでした。



[←2003年4月前半]  [↑表紙へ]  [2003年5月前半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2003年4月後半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2003 hhase