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以前の「ひとこと」 : 2003年4月前半




4月1日(火) 平面多角形リングモデル:10個の正六角形

 今日は単発のペーパーモデル多面体の話です。

 しばらく前から、兵庫教育大学の数学科の先生の濱中さんのホームページの1つであるH.Hamanaka very private pageのトップに、幅1cmの工作用紙の帯で編まれた、正十二面体の面が星型になっているような模型の写真が飾られています。この形が気に入ったので、自分でも作ってみたくなりました。

 昨年の7月末から8月前半ころの「ひとこと」で、紙で作った多角形のリングを組み合わせる模型をいくつかご紹介しました。濱中さんの模型を、この多角形リングを組む手法で作ってみることにしました。

写真 1 写真 2
写真 3 写真 4

 この模型を、正十二面体の各面が星型になったものと考えて説明します。写真1が一般的な視点からみたところ、写真2が1つの星型(=正十二面体の面)を正面から見たところ、写真3は正十二面体の頂点方向(3つの面が集まるところ)から見たところ、そして写真4は正十二面体の稜の方向から見たところです。

 この模型、どういう多角形リングをいくつ使っているか、おわかりになりますか?

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 すみません、時間切れで「単発の話題」のつもりが「つづく」になってしまいました。

 確か、パズル工房『葉樹林』のページに、黄色いアクリル板の星型を12個を正十二面体の面として構成するものが載っていたような気がしたのですが、みつかりません。Uchinanさんのページも見てみたのですが、以前もご紹介させていただいた星型小十二面体に組まれた写真はあったのですが、面を星型にしているものはありませんでした。
 昨日ご紹介した茉莉花の部屋の3月31日の日記[No.1] というところ(こちら)に、星型12個を正十二面体の面として構成する模型の写真が載っていました。これは、内側には正十二面体を構成する五角形の頂点を結ぶ星型による十二面体を入れて、外側には本日の私の模型と同じく五角形の辺の中心を結ぶ星型による十二面体で囲ったかたちなのだと思います。




4月2日(水) 平面多角形リングモデル:10個の正六角形(その2)

 昨日の続きです。昨日の模型は、タイトルに書いておいたとおり正六角形10個を組み合わせて出来ています。10個の六角形のうちからどれでもいいので2個を選ぶと、その2個は必ず2箇所で交差しています。交差する位置は六角形の頂点の場合もありますし、辺を内分した点のこともありますが、かならず六角形の中心をはさんだ反対側になります。

 この、リングを組み合わせるための切り欠きの位置をどのように作図するのかを図1、図2に示します。図2のように、六角形の頂点6箇所と各辺の2箇所ずつ、あわせて18箇所に切り欠き位置が来ます。全てのリングは、自分以外の9個のリングとそれぞれ2箇所で交わりますから、これで計算が合っています。

図 1 図 2

 この模型は、内側から順番にリングをはめていきますので、切り欠きの入れ方は10個のパーツ全てが違います。向かい合った9組の切り欠き位置のうち、一番内側のパーツは全てが外側がスリット、2番目のパーツは1組だけが内側スリットで残り8組が外側スリット、以下だんだん内側のスリットのパーツが増えていって、最後の10枚目のパーツは全部が内側スリットになります。

 一番内側と一番外側のパーツだけはスリットの内外が一意に決まりますが、それ以外のものは設計(組み方)によって、どこを内側にすべきかが変わってきます。これを考えるのもとても楽しいパズルです。最初に設計するときには参考になる模型などがないため、とりあえずCGを作ってみて、それを眺めながら組み立て手順と切り欠きの位置を考えてみました。

 最初に1つの星型に注目して見ると、これは5つのパーツでできることがわかります(図3)。あえて言うと「たる型」というイメージです。それ以外の5つは、この「たる」の「たが」のようにななめに巻きつきます(図4)。

図 3 図 4

 図3と図4のパーツをいっしょにしたのが図5になります。二色になっていますが、これが完成形です。こうやって色分けしておいて、パーツの噛み合わせ(内側と外側)を研究しました。

図 5 図 6

 図4のリングのかみ合わせがわかりにくかったので、1つのパーツだけに色をつけてみました。

 このパーツを組むのはかなり大変でした。最初は簡単なのですが、新たにパーツを加えるごとに大変になってゆきます。この組み方ですと、パーツを追加するときにそれまでに組んだ模型を変形させる必要があるのですが、進めば進むほどこの変形が大変になってゆくのです。

 濱中さんの模型のように必ず上下に編みこむように作るとしたら、パーツのリングはどこかで切断することになります。そうすれば若干組みやすくなりますし、また同じパーツを使えるようになります。今回の作り方とどちらがより美しいかは議論のあるところだと思います。

 せっかくCGを作ったので、かたちのイメージがわかりやすいように、ゆっくり回転するアニメーション(gifアニメ)にしてみました。ファイルサイズがかなり大きいのでご注意ください。 gifアニメーション1(457kbyte) と、 gifアニメーション2(502kbyte) です。こっそり分室に置かせてもらっています。分室のディスクスペースが逼迫してきたら消去します。

 このアニメーションはわりと気に入っていますが、でもやっぱり本物の模型の方が好きです。

 <おまけのひとこと>
 昨日の「おまけのひとこと」で書いたアクリルの星型の模型について、メールをいただいています。ありがとうございました。今日は時間がなくなってしまったので、日を改めてご紹介させていただこうと思います。
 だいぶ暖かくなってきました。




4月3日(木) おもちゃの寿命

 昨年の1月7日のひとことで、子供に「トミカビル」というミニカー用のおもちゃを買ったこと、それと同じものを30年前に自分が持っていたことを書きました(図1:再掲)。このトミカビルにはガソリンスタンドがついていて(図2)、ハンドルを回すと「チン・チン」とベルが鳴ります。

図 1 図 2

 しばらく前のことなのですが、「ハンドルを回しても音が出なくなった」と子供が持ってきました。ねじ1本で分解できる構造になっていたので、さっそくあけてみました。予想通りとてもシンプルな構造で、図2の写真右側のハンドルのパーツには、ケースの内部につめが出ていて、そのつめがハンマーのパーツをはじいてベルを叩かせていました。

図 3 図 4

 見ると、ハンマーのパーツが金属疲労でほとんど切断寸前でした(図4)。そんなに激しくひんぱんに使ったわけではないのに、もう使えなくなってしまいました。 図1の右側の、古いトミカビルのスタンドのほうはまだまだ元気に音が鳴っています。 古いほうは、少なく見積もっても5倍くらいは鳴らした回数が多いはずです。 そちらも一応あけてみたのですが、原理は全く一緒でも、使っている素材が違うようです。

 『葉樹林』のアクリルの星型を使った模型をどこかで見たはずなんですが・・・という話を書いておいたら、さっそく情報をいただきました。ありがとうございました。

 R-Detective Officeというページの作者の方からは、「Craft」のコーナーで写真を紹介されていることを教えていただきました。アクリル板だけでなく、紙でも作っておられます。多面体を編むモデルや、ストローによる稜モデルなどもあってお勧めです。

 また、12個の星型といえば、こんなものもありますね、という話も教えていただきました。これは柳瀬順一氏のたいへんすばらしいサイト、Juno's Worldのコンテンツの1つですね。この情報をお寄せくださったのは幾何学おもちゃの世界というページの作者の方で、このページがまた大変すばらしいです。改めて感想などを書かせていただきたいと思っています。

 <おまけのひとこと>
 リンクに関しては、特に「リンク禁止」と書かれていない限りは、Webに公開されているものなのでリンクさせていただいてしまっています。 また、メールで何か情報をいただいた場合、特にご指示がない限り、いただいた情報を自分なりの表現に言い換えて公表させていただく場合があります。その際、やはり特にご指示がなければ情報源は基本的には匿名で書かせていただきます。 今回の場合は、それぞれ立派なホームページをお持ちの方からいただいた情報だったので、そのページをご紹介させていただくかたちにしました。もしも問題があるようでしたらご連絡下さい。




4月4日(金) 伝承折り紙:壷

 図書館などで借りてきた折り紙の本などの中に気に入った作品の折り図があった場合、気に入った作品が多い本ならば手に入れば買いたいのですが、そうでない場合はたった1ページのために1冊の本を探して買うのも大変ですし本の置き場にも困ります。そんなときは自分の記録用に折り図を作ってみたりすることがあります。

 考案者がわからない伝承折り紙ならば、自分で描いた折り図ならばwebに掲載してもよいだろうと思いますので、今日は自分用にいくつか作ってある折り図の中から、「壷」の折り紙の折り方を載せます。点線が谷折り、一点鎖線が山折りです。

 最初に、折り紙の各辺を六等分する折筋をつけます。この作品があまり広く折られていないのは、いきなり厄介な六等分をしなければならないためではないかと思っています。 折り紙の辺を三等分する折り方はいくつか知られていますが、私は面倒なのとほかの折線が出るのがいやなのとで、方眼紙が印刷されたカッターマットの上で、方眼紙の目盛りを頼りに六等分しています。(普通に手に入る折り紙は15cm四方ですから簡単です。) 折り紙の思想からすると邪道ですが、「きれいで簡単」ということを優先しています。

 続いて、手順2.から手順3.のように、6列の列のうちの中央の2列を折り込みます。同様に手順4.のように、横方向にも同様に折りたたんで縮めます。

 ここ(手順6.)で裏返しますと、折り込んだ部分が縦横になっています。手順7.から手順9.のように、ちょうど「やっこさん」の頭のようなかたちに引き出してつぶします。

 こうして出来たものを手順10.〜12.のように逆がわに折り返します。手順12.のところで、先に折ってあった2つの「やっこさんの頭」の部分の下に、後から折った部分を滑り込ませます。 中央部分を内側に折りこんで、底の正方形の部分をしずかに引き上げて形を整えると完成です。

 この「壷」の折り紙は、昔持っていた折り紙の本に完成写真だけが掲載されていて、いつか折り方を調べて折ってみたいとずっと思っていたものでした。

 折り紙の折り図を描くというのも、やってみると単純ではないということがわかります。完全に重なった平面としての図を描いてしまうと、重なり具合がわかりません。この折り図も、最初は丁寧に描きはじめたのですが、後半はかなり手を抜いたので、わかりにくいかと思います。

 <おまけのひとこと>
 ZDNetという情報関連のニュースサイトをよく見るのですが、その中にインターネットはジャーナリズムを変えるかという記事がありました。「完全に中立な報道はありえない」という極めて普通の意見だと思うのですが、でもこういうことをちゃんと言っていくことは、テレビが空気のような存在になっている現在、重要なのだろうなとは思います。「事実があるから報道があるのではなく、報道があるから事実があるのだ」という言葉もありましたっけ。




4月5日(土) 伝承折り紙:菓子鉢

 昨日に続いて、もう1つ伝承折り紙の折り図を載せます。今日は「菓子鉢」という折り紙です。昨日の「壷」もそうなのですが、私は自分が折るのならば、動植物のような折り紙よりもシンプルな立体的・幾何学的な形ができるものが好きです。生き物の折り紙もたいへんすばらしものがたくさんありますけれども、単にこことここをあわせて折っていけばいいといった厳密・単純な折り方にならず、微妙な折り線や角度や長さによって様々な表情が出てきたりして、私の手には余ります。もちろんすばらしい作品を観賞するのはとても好きですが。

 点線が谷折り、一点鎖線が山折りです。

 1. 最後に表に出したい面を内側にして、鶴を折るときのように4分の1の正方形に畳みます。
 2. 正方形を対角線で二等分する線で手前に折ります。
 3. 裏側も同様に。
 4. 本のページをめくるように、左の1枚をめくります。裏側も同様。

 5. 中央縦線にあわせて斜めに折ります。裏側も同様。
 6. 上の頂点が下の頂点に合うように折ります。裏側も同じ。
 7. ここで図をちょっと拡大します。今折り下げた鋭角二等辺三角形の頭の部分を折り込んでしまいます。裏側も同じです。
 8. 手順4.と同じように、再び本のページをめくるように、左の1枚をめくります。裏側も同様です。

  9. ここでも、下の部分を折り込んでしまいます。裏側も同じです。
 10. これで折り上がりです。広げて平らにすると…
 11. 完成です。

 これは、鉛筆のけずりかすを入れたりするのに重宝しています。これをチラシ広告の紙などで折れないかと思って、長方形からはじめる折り方を考えてみたのですが、あまりうまくいきませんでした。


 <おまけのひとこと>
 昨日の夕方から降り始めた雨が、今朝起きてみたら雪に変わっていました。車の屋根に積もった雪を見ると、いまのところ3cmくらいでしょうか。


 天気予報だと「雨、山沿いではみぞれや雪が混じるところも・・・」とのことですが、「混じる」どころか大粒の雪がしっかり降っています。




4月6日(日) 折り紙:壷型楊枝入れ

 一昨日・昨日と、四角い入れ物の伝承折り紙の折り図と完成写真を掲載しました。伝承折り紙の箱というと、他にも有名な角箱(つのばこ)とか三方とかの折り紙もありますが、今日は伝承作品ではない、同じ系統の折り紙をご紹介します。加瀬三郎さんという方の作品で、「壷型楊枝入れ」だそうです。

 伝承作品ではないので折り図は載せませんが、展開図だけ載せておきます。

 本当の展開図よりも若干折り図に近い形式で描いてあります。(点線や一点鎖線や折り畳み方を描いてある)

 すっきりしたたいへん美しい折り紙だと思います。 この折り紙を創作された加瀬三郎さんという方は、目の見えない折り紙作家として著名な方なのだそうです。こちらのページの対談とか、こちらの「折り紙の詩――盲目の折り紙作家・加瀬三郎」などというページにくわしく載っています。

 <おまけのひとこと>
 結局昨日の雪はお昼過ぎまで降り続け、10cm以上積もりました。お隣の家が昼前に雪かきをしていましたし、家の前の道がこのままぐちゃぐちゃになってしまうのがいやで、うちも昼過ぎに雪かきをしました。下の子が雪かきが好きで、自主的に熱心に手伝ってくれてとても助かります。まだ保育園なのですが、全部の作業の2割くらいはやってくれました。雪かきスコップの大きさを考えると、大人と同じペースで作業をしているはずです。季節柄、湿って重たい雪なので、大変だったはずです。
 明日からはまた別のことを書こうと思います。




4月7日(月) ビショップ・パズル

 チェスの駒を使ったパズル、というと何を思い浮かべるでしょうか。 私がまず思いつくのは、八王妃の問題(Eight Queen Problem)と、騎士(Knight:八方桂馬)の周遊問題です。これらはいずれも有名なパズルなので、「あそびをせんとや」ならではのご紹介ができるようなアイディアが出たら、そのうち書きたいと思うのですが、今日はあまりパズルに取り上げられることが多くないビショップ(角)のパズルをJAVAアプレットでご紹介します。

 図のように、4×5のマスに赤と青の2つの陣営の駒が4つずつ向き合っています。これが全てビショップです。この8つの駒を将棋の角の動きでそっくり入れ替えてくださいというパズルです。ただこれだけだとあまりにも易しすぎるので、色の違う駒の利き筋には入れない、というルールがあります。このルールのおかげで、このパズルがかなり難しくなっています。このパズルは、芦ヶ原伸之さんの本に載っていたもので、イギリスだったかのシリアルのおまけのマグネットパズルのシリーズの1つだったのだそうです。

bishop puzzle

 こちら、または上のパズルの図をクリックすると、ルールとJAVAアプレットのある遊べるページが開きます。詳しくはそちらをご覧下さい。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 新幹線が、営業車両で国内最高の時速362キロを記録したのだそうです。毎日新聞朝日新聞読売新聞などに出ていました。上越新幹線で、E2系が記録したのだそうです。最近鉄道マニアになりつつある下の子に教えてやったら、「え? 500系より速いんだ!」と驚いていました。本人が唯一乗ったことのある新幹線であるE2系が、日本国内の営業用車両としての最高記録を持っている(2003年4月6日現在)ということが嬉しかったようです。



4月8日(火) ビショップ・パズル(その2)

 将棋の角と同じ動きをする、チェスのビショップを使ったパズルの話の第2回目です。昨日の問題は、4行5列の盤面の両側に色違いの駒を一列ずつ置きましたが、盤の大きさや駒の配置を変えたらどうなるでしょうか?

 以下、チェスのビショップらしく盤面を市松模様にしてみましょう。チェスのビショップは、黒マスの上にしか移動できないものと、白マスの上にしか移動できないものがあります。(「そんなの当たり前」という方も多いと思うのですが、もしもこのことを考えていなかった方がいらしたら、これは昨日の問題の非常に大きなヒントになります。) 本日は駒は赤の菱形と青丸で表します。空きマスは□です。市松模様の塗り分けは表の背景色を使っています。

 さて、最初に行の数と列の数が同じだったらどうでしょうか。図1をご覧いただくとすぐわかるように、これだと最初からお互いの利き筋に駒があることになってしまってまずいです。従ってどうしても列の数のほうが多くなければなりません。

図 1

 また、赤と青の駒の、黒マスのビショップと白マスのビショップの数は同じでなければ入れ替えられません。この条件で考えます。

 まず、一番簡単な1行しかない盤(図2)

図 2

では、ビショップは動きようがありません。

 次に、2行の盤(図3)では

図 3

 移動できるのはジグザグの一本道になってしまうため、「色違いの駒の利き筋に入れない」という条件を無視したとしても、入れ替えは不可能です。

 3行だったらどうでしょう? 3行4列(図4)だと、白マスのビショップと黒マスのビショップの数が青と赤で違いますから、入れ替えられません。

図 4

 そこで、3行の場合でも少なくとも5列は必要になります(図5)。これは入れ替えられるでしょうか?

図 5

 これは、中央の白マスのビショップ同士は簡単に入れ替えられますが、4隅の黒マスのビショップはどうしようもありません。 ということで、この条件で成立する一番コンパクトなパズルが、昨日の4行5列のビショップパズルということになります。

 ちなみに、図6のように、3行の場合は列の数を6にして、駒の初期位置は1列ずつ前に出して、ゴールを反対側の一番遠い列(色をつけたマス)ということにすると、これは3個ずつの駒を、お互いの利き筋に入らずにうまくすり抜けさせることができます。このパズルは一応私が自分で考えたものです。

図 6

 これもアプレットにしてみました。こちらです。お試しください。昨日の4×5のパズルよりはずいぶん易しいと思います。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 ある盤面が解けるかどうかの解析プログラムはまだ作っていませんが、アプレットは盤面と駒の初期配置とゴールをパラメータとして与えるようにして作ってあるので、いろいろな盤面を試してみています。なにかよい問題があったら教えてください。アプレットとしてご紹介したいと思います。



4月9日(水) ビショップ・パズル(その3)

 チェスのビショップ2グループを、敵の利き筋に入らないように動かしながら入れ替えるというパズルの第3回目です。とりあえず思いついた問題をいくつか一挙にご紹介します。


問題3


  ○・・・・・・●  
  ○○・・・・●●  
  ○○・・・・●●  
  ○・・・・・・●  

問題4

   ・   ・   
  ○ ・ ・ ●  
   ○ ・ ●   
  ○ ・ ・ ●  
   ・   ・   

問題5

     ・     
  ○ ・ ・ ●  
   ○ ・ ●   
  ○ ・ ・ ●  
     ・     

問題6

    ・ ・ ・    
   ○ ・ ・ ●   
  ○ ○ ・ ● ●  
   ○ ・ ・ ●   
    ・ ・ ・    

 いずれも JAVAアプレットで動かしてみることができます。お試しください。

 <おまけのひとこと>
 このパズル、たとえば途中に障害物(というか遮蔽物)があったり、駒の種類を2種類ではなくもっと増やしたりしたら面白くなるでしょうか? 



4月10日(木) ビショップ・パズルとルーク・パズル

 昨日まで3回ほど、ビショップ・パズルのバリエーションをご紹介してきました。最初の問題である4行5列のビショップパズルをもう一度考えてみます。

 このパズルは、結局白マス上の2個ずつのビショップの入れ替えと、黒マス上の2個ずつのビショップの入れ替えのパズルを重ね合わせたものでした。そこで、黒マスのビショップにだけ注目してみます。

 ビショップの移動可能なマスのつながり具合がわかりやすいように、図のように青い線を入れてみます。斜めというのは若干わかりにくいので、これを45度回してみます。そうすると、このパズルは将棋の飛車(チェスのルーク)を、互いの利き筋に入れないように入れ替えるというのと同じ問題であることがわかります。

 いずれもJAVAアプレットにしてみました。ビショップ・パズル問題1ハーフ版と、同じものを45度回転させたルーク・パズル参考版1です。

 <おまけのひとこと>
 ビショップパズルのプログラムとルークパズルのプログラムは、たった4行が違うだけです。 ついでに、昨日ちょっと書いた、陣営の数を増やしたり(とりあえず4陣営まで対応)、障害物を置くことに対応したりという改良を施してみました。でも面白い問題を思いつきませんでした。
 一旦別の話題をはさんでからルークパズルの話をしようと思っていたのですが、準備の都合上続きの話になってしまいました。



4月11日(金) ルーク・パズル(その2)

 縦横にいくつでも進める駒を、互いの利き筋に入らないように動かして入れ替えるというパズルの続きです。今日は、駒の種類(陣営の数)を増やしたものも用意してみました。でもまだあまり面白い問題が作れていません。


問題2

   ・●   
  ・・・●  
  ○・・・  
   ○・   

 昨日の問題1に空きマスを2つ追加して、対称性を高くしたものです。増やしたマスはなくてもできますから、増やしたことによって易しくなるかというとそういうわけでもないところがちょっと面白いです。 (詰将棋で、例えば持ち駒が金と歩だったら簡単に手筋がわかるのに、金と飛車が持ち駒だと、なまじ飛車を打てる場所が多いためにかえって難しくなるというものがあります。)


問題3

  ・◆・◆・  
  ○ ・ ●  
  ・・・・・  
  ○ ・ ●  
  ・◇・◇・  

 これは駒を4色にしてみたものです。プログラムが意図通り動いているか確認するために作ってみたもので、パズルとしては易しいです。

 <おまけのひとこと>
 入れ替えパズルに関しては、もう少しまともな問題のストックが増えたら、改めて整理して公開しようと思います。ご自分でお試しになりたい方がいらしたら、htmlファイルをちょっと編集するだけで様々な盤面がテストできますので、ご希望があれば class ファイル等を差し上げますのでご連絡ください。
 明日からは、また何か紙模型のご紹介をしようと思います。(平日はなかなか写真を撮る時間もなくて…)



4月12日(土) 多角形カードによる相貫体つづき

 3月25日ころからご紹介した、紙の多角形にスリットを入れたものを組んで相貫体を作る話の続きです。まずは下の写真(図1)をご覧下さい。これはどんな立体なのかおわかりになりますでしょうか?

図 1











 私は、これを見るとまず、下の図2のように立方体の骨格が目に入ります。それぞれの立方体の面のところに十字型の屋根がかかっているように見えます。

図 2 図 3

 これは、2つの正十二面体の相貫体です。 図のように、小豆色と薄いピンク色の2色で作ってみました。パーツはもちろん正五角形12枚ずつです。スリットの入れ方は24枚とも全て同じです。図3のように稜線をなぞってみると、正十二面体であることがわかりやすいと思います。

図 4 図 5

 図4は、稜の中央で交差している部分から見たところ、図5は2つの正十二面体の頂点が重なっているところです。図4の方向から見ると、この相貫体が立方体にきれいに内接することがよくわかります。

 <おまけのひとこと>
 昨日の朝書こうと思って忘れていたのですが、10日(木)の朝の出勤途上でツバメを見ました。昨日(11日)も同じあたりできょろきょろしてみたら、古巣と思われる巣の中に一羽が座っており、近くの電線にもう一羽がとまっていました。うちのあたりではまだ桜どころか梅も咲いていないのですが、ツバメが渡ってくると「ああ春だな」と思います。
 消失点よりのSTMileさんの日記の4月10日に、「天下統一」というシステムソフトのシミュレーションゲームの話が載っていてとても懐かしく思いました。私は、NECのPC-9801CVという、10inchのモニタと一体になった古い機種を今でも手元に持っていて、天下統一のフロッピーもあります。(パッケージは大きかったので処分しましたが、フロッピーとマニュアルだけがあります。)でも、当時のNECのフロッピードライブはいろいろ問題があって、私の9801CVもすでにフロッピーが読めないため、何もできない置物になっています。ジャンク品を買ってきてフロッピーだけ交換してもいいんですけれども、モニタ一体型は分解するのが大変ですし、そこまでやってもフロッピーがまだ読めるかどうかもわからないし、そもそもそんな古い機種に手間とコストをかけてもいまさら使うとも思えないし、でもなんとなく処分できずに持っています。



4月13日(日) 正十二面体2つの相貫体(つづき)

 昨日ご紹介した正十二面体2つの相貫体の解説です。最初に、組み立ての途中経過の写真をご紹介します。(実は昨日、この写真をみつけられなかったのでした。)

図 1 図 2

 図1はだいたい半分くらいまで組んだところで、内側から見たところです。このモデルは、内側から見ると相貫体を構成する2つの立体の共通部分が見えるのですが、これは下の図3のような四方六面体のかたちをしています。これは昨年の5月31日のひとことの図の再掲です。

図 3

 図2のほうはほとんど出来上がり直前で、最後の4枚をふたのようにねじ込むところです。

 同じものをOHPシートでも作ってみました。薄いシートなので、かなり小さく作っています。(この模型に外接する立方体の一辺が5cm弱くらいです)

図 4 図 5

 うまく写真が撮れないのですが、白い紙の上において直接光を当てると、透過や反射がたいへんきれいです。(でも、若干指紋がついてしまっているところがあって、残念です。)

 <おまけのひとこと>
 昨日は図書館に行くとき、電車に乗りたいという子供のために、わざわざ図書館の隣の無人駅に車を置いて一駅だけ電車に乗って行きました。子供たちが列車に乗るときというのは、たいてい遠くへ行くときで、地元の普通列車に乗ることはほとんどありません。そのため、「この電車ってドアを手で開けるの?」と驚いていました。 ま、確かに「半自動」は地域が限られていると思いますが。



4月14日(月) 菱形十二面体の星型

 3月30日のひとことでご紹介した、1対ルート2の長方形を12枚組み合わせた模型は、中心が菱形十二面体、その外側に菱形十二面体の星型化立体という構造になっています。余分な部分を切り落として、星型立体にしてみました。

図 1

 パーツの形状は、上の図1の通りです。これを12枚作って組み合わせます。

図 2 図 3

 これは最初からOHPシートで作ってみました。弾力があるため、逆に稜の部分が開いてしまって、あまりきれいではありませんでした。せっかくなので芯の菱形十二面体の面には色をつけておけばよかったと後で思いました。

 この立体は、よく組み木パズルなどで見かけます。先日(3/27)、エッシャーのの左側の塔の上の多面体が立方体3つの相貫体だという話を書きましたが、これは右側の塔の上の多面体です。そのためこの菱形十二面体の星型のことを、どこかで「エッシャーの多面体」と呼んでいるのを見たことがあります。私もエッシャーは好きですけれども、この多面体はもっと昔から広く知られているはずなので、これは言いすぎではないかと思います。 なお、この星型は空間を充填すると思います。

 ブロックなどを紹介するページに載せている、フレームキューブ(仮名称)について、正式な名称などの情報を知りたいと思っていたのですが、先日メールで教えていただくことができまして、とても嬉しく思っています。スペースキューブというのがそのページです。知らなかった組み方などが載っていて、また作ってみたくなりました。「片手でも組める」と書かれていて、驚きました。

 <おまけのひとこと>
 昨日は急に気温が上がって、暑いくらいでした。



4月15日(火) 多角形カードによる一様多面体(その1)

 「一様多面体(Uniform Polyhedra)」という多面体の一群があります。例えばこちらに一覧がありますが、簡単に言うと全ての面が正多角形か星型正多角形で、全ての頂点の構造が同じものだそうです。面のかたちに星型を許しているので、当然面の自己交差を許します。正多面体や準正多面体も、この一様多面体に含まれます。

 面が自己交差しているものに関しては、多角形カードにスリットを入れて組むやり方で組むのに向いているのではないかと思って、1つ2つ作ってみています。ただし、きちんと閉じた多面体を作り上げるのは大変なので、稜の構造がわかる程度に面を省略して作ってみています。今日はまず、正三角形20枚によるモデルです。

図 1

 パーツの形状は、上の図1の通りです。これを20枚作って組み合わせます。

図 2 図 3 図 4

 図2が星型の方向から見たところ、図3は正方形の面(存在しませんが)の方向から見たところ、図4は一般的な視点から見たところです。図2の星型の外側に、大きな五角形も見えています。この多面体の稜の骨格からは、正三角形、正方形、正五角形、星型正五角形が見えます。これらの組み合わせ方によって、異なる「閉じ方」の一様多面体がいくつも考えられます。

図 5 図 6

 さらに、この骨格は立方体5つの相貫体の構造でもあります。実は最初は、先日の相貫体シリーズで、なんとか立方体5つの相貫体も作りたいと思って考えていたのですが、さすがに構造が複雑になりすぎてOHPシートで作っても無理そうだったので、稜の構造だけを簡単に作ろうと思って、この模型を考えたのでした。

 この模型、三角形の頂点3つがきれいに揃いにくいのが欠点です。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 先日、4月1日から4月3日のひとことでご紹介させていただいた、茉莉花の部屋の3月31日の日記[No.1] (こちら)とか R-Detective Officeというページの「Craft」コーナーの、アクリルの星型の3頂点を連結する模型が、これと同じ構造です。これらの模型も、よく見ていると正三角形や立方体が見えてきますね。



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