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以前の「ひとこと」 : 2003年3月後半




3月16日(日) 飛び越し・入れ替えパズル(その2)

 昨日に続いて、決められた方向にだけ1歩進むか、あるいは1つだけ跳び越せるというルールで石を入れ替えるというパズルを Java でご紹介します。 今日ご覧いただくのは二次元に拡張したバージョンです。これもご存知の方が多いのではと想像しています。

移動の方向

 こちらから、あるいは上の左の図からリンクしています。詳しいことは行き先のページをご覧下さい。

(つづく つもり)

 <おまけのひとこと>
 庭のクロッカスが咲きました。ところが昨日は朝から夕方まで雪で、5cmくらい積もりました。




3月17日(月) 飛び越し・入れ替えパズル(その3)

 決められた方向にだけ1歩進むか、あるいは1つだけ跳び越せるというルールで石を入れ替えるというパズルを Java でご紹介する3回目です。 「その1」の1次元のもの、「その2」の2次元のもの、とご紹介してきましたが、とすると次はご想像の通り今日は3次元に拡張したバージョンです。これを実際に「遊んでみた」という方はそれほどいらっしゃらないのでは、と思っています。

 こちらから、あるいは上の図からリンクしています。実は3次元版に関しては私もまだ成功していなくて、そもそもパズルとして解がある(出来る)ものなのか、 またプログラムが間違いなく動作するか、検証ができていません。 その検証のために作ったプログラム、ということでご勘弁ください。もし何か不具合があったら教えていただけたらと思います。

 ここまで手数がかかるパズルなので、[undo]が1回だけというのはとても不親切です。ご要望があれば対応したいと思います。

 <おまけのひとこと>
 昨日の朝、このページの更新をした後で朝ごはんを食べて、その後の出かけるまでの1時間くらいしか、この3次元バージョンのプログラムを作る時間がなかったのです。表示の部分と、クリックされた石の座標を検出するところがちょっと厄介でした。 時間がなくて最初に思い浮かんだ方法を吟味せずにそのままコーディングしたため、とても泥臭いコードになってしまいました。 昨日(つづく つもり)と書いたのは、もしこのプログラムが間に合わなければ今日は違う話題をはさむことになるから、でした。
 昨日で、現在住んでいるところに越してきてちょうど5周年になりました。はやいものです。




3月18日(火) 語呂合わせ

 飛び越し・入れ替えパズルの2次元版の 次数4のものと次数5のものを作ってみました。(HTMLを書いただけ)

 佐々木倫子作の「動物のお医者さん」というコミックスがあります。日本のシベリアンハスキーブームはこのマンガのせいだなどと言われるものです。北大の獣医学科を舞台としたお話で、かつて同じく実験の多い理系の学生だった私は、かなり共感しつつ読んだものでした。

 このマンガがドラマ化されるのだそうでこんなページに写真が載っていました。ちなみに公式ページはこちらのようです。

 「動物のお医者さん」にはいろいろ印象に残るエピソードがあるのですが、例えば病原菌の名前などを語呂合わせで覚える話など、とてもリアルで面白かったものでした。私が学生時代に在籍していた研究室にも、「秘伝・薬理の完全理解」という文書が代々受け継がれており、数々の語呂合わせによる薬品の名前の覚え方が秘伝として伝えられていました。私も、自分で新たに1つ、その秘伝書に奥義を書き加えてきたのを思い出しました。特別に公開します(笑)。

 「ヒスタミン」という、体内で特別な作用をする物質があります。体内物質としては、「アドレナリン」(=エピネフリン)と並んでよく聞く名前だと思います。このヒスタミンには、大きく分けてH1作用とH2作用と呼ばれる効能があって(同じ物質なのですが作用部位によって機能が違う)、有名なのがアレルギー反応に関係するものや胃の働きに関係するものがあります。

 この、ヒスタミンのH2作用を抑えるために使われる薬剤の物質名として、「シメチジン」「ラニチジン」なんていうのが有名です(参考)。で、このH2ブロッカーの名前を覚える語呂合わせとして私が作ったのが

H(エッチ)に味をしめ、来日

というものです。「H(エッチ)に」がH2、味を「しめ」がシメチジン、「来日」の「にち」がラニチジン、です。 作った当時はなかなか評判がよくて、秘伝に書き加えることを許されたのですが、これ、今も伝わっているかなあ。

 <おまけのひとこと>
 「閉店間際にそろそろ壷からガラガラヘビを出し、隙を見て木に這わせておくのが腕のいい名人」なんていうのもありました。でも、どの部分がどんな薬品名だったかという肝心なところがあやふやになっています。(意味なし)




3月19日(水) 語呂合わせ(その2)

 昨日は、変な語呂合わせを書いてしまって大変失礼致しました。 日本語の語呂合わせというのは何かを覚えるときに大変強力な道具で、年号や電話番号のような数字にはじまって、英単語のようなものまで語呂合わせで覚えるようなものがたくさんあります。

 語呂合わせで長い数字を覚えるといったら、やはり円周率(π)がその代表的なものだと思います。皆様円周率はどのあたりまで覚えていますか? 現在義務教育を終了している方ならば、3.14という数字はすぐに出てくるのではないかと思います。 私は

3.141592653589793238462643383279・・・

というところまでは何も見ないで書けます。これがそらで書けて嬉しいことといったら、例えばコンピュータ言語で円周率の値をどのように参照したらよいかわからないときに、「えーい、即値を自前で定義しちゃえ」と書いてしまうとかくらいしか役に立つ場面は思いつかないのですけれども(これはその言語の処理系の作成者やライブラリの作成者ではなく、自分に円周率の精度の責任が降りかかってしまいますので、ちゃんとしたプログラムを組むときはやらないほうがいいです)、いままで自分の身の回りの人に聞いてみると、意外と「円周率なら30桁くらいは覚えているよ」という人が多くて驚きます。 皆さんの周りの方はいかがでしょうか?

 どなただったかアメリカの大学で教鞭をとっておられる数学者の書かれた文章に、次のようなエピソードが書かれていました。講義中に黒板に円周率などの数字を何も見ないで数十桁すらすらと書くと、学生たちが驚いて、最初はデタラメを書いているのだろうと思って教科書の巻末の表などを見るとちゃんと合っている。そうするととても驚かれて話題になる、という話がありました。

 日本の大学(どころか高校や中学)でこれをやっても、「そのくらい覚えているよ」と言う学生がいそうですし、またそうでないにせよそこまでは驚かれないのではないかと思います。小学校くらいだったら驚いてくれるでしょうか。でも今度は円周率の不思議さ、すごさがちゃんとわかってもらえないかもしれないですね。

 ところでこの円周率ですが、ゼロが出てこないんだそうですね、というホラがあるそうです。上の約30桁を見ても、確かにゼロは出てきません。

 飛び越し・入れ替えパズルですが、ありがたいことに「無限に[undo]ができるものがあると嬉しい」とのメールをいただくことができました。リクエストがなくても自分用に必要だと痛感していたところなのですが、やっぱりリクエストがあると嬉しいです。とりあえず旧バージョン([undo]1回だけ)の、3次元版の 次数4のものを置いておきます。 近いうちにバージョンアップしたいと思います。

 <おまけのひとこと>
 すみません、円周率というのも書き始めると話題はたくさんあるので、ついつい語呂合わせの紹介までたどり着きませんでした。




3月20日(木) 語呂合わせ(その3)

 昨日、円周率(π)を

3.141592653589793238462643383279・・・

ここまで覚えています、という話を書いたら、さっそくお二人の方から、それは

産医師異国に向こう 産後厄なく産婦御社(みやしろ)に虫散々闇に鳴く

ですね、とご指摘をいただきました。その通りです。これは確か小学校のころに覚えました。別に役には立ちませんでしたけれども…。 一応読みと数字の対応をルビで書いておきます。

さん(3) (1) (4) (1) (5) (9) (2) (6) こう(5) さん(3) (5) (8) (9) (7) (9) さん(3) (2) (3) (8) (4) (6) (2) (6) (4) さん(3) ざん(3) (8) (3) (2) (7) (9)

 私がこの語呂合わせを知ったのは、野崎昭弘著『πの話』(岩波書店)からです。最初はこの「ネタ元」を書くつもりはなかったのですが、珍しくコメントを、しかも複数の方からいただいたのでご紹介することにしました。私の手元の本は1974年6月29日第1刷、定価1,000円のものです。この本には

(1).一つ一つくるに無意味むいみ、いわくふみや
(2).産医師異国に向こう 産後やくなく産婦御社(みやしろ)に虫散々闇に鳴く
(3).産医師異国に向こう 産後やくなく産に産婆四郎次郎死産。産婆さんに泣く、ご礼には早よいくな。

 という3つの例が載っていました。これはもともとは、一松信『数のエッセイ』中央公論社(1972)からの引用だそうです。一番目のものは無常観の漂う日本の古典文学のような雰囲気ですが、覚えられる桁数が少なかったので子供のころの私はこれは採用しなかったようです。2番目と3番目は出だしは一緒なのですが、3番目の方はなんとなく恐ろしげな雰囲気だったので、これも覚えませんでした。2番目のものは途中の「産婦(さんぷ=32)」のところを「産児(さんじ=32)」としたものも見たことがあります。

 同じ本の続きには英語やドイツ語などの例もいくつか載っていて、たとえば

Yes,I have a number.

という文の単語の文字数を数えてみると3.1416になっていて、これはπの5桁目で四捨五入した値です。このように単語を構成する文字数で表現するのは効率が悪いですし、だいたいゼロが出てきたらどうするんでしょう?

 本に載っているもう1つの英語の例および野崎先生の訳を載せておきます。

 How I want a drink, alcoholic of course, after the heavy lectures involving quantum mechanics.
 (ちょいと一杯やりたいよ、もちろんアルコール入りのやつ、量子力学まであらわれる、あのひどい講義のあとではねえ。)

 飛び越し・入れ替えパズルですが、とりあえず2次元と3次元のものについて、操作を覚えていて元に戻したり先に進めたりできるバージョン(ver 0.20)に差し替えてみました。

2次元:次数3 2次元:次数4 2次元:次数5
3次元:次数3 3次元:次数4

 極めて短時間で改造したので、実はメモリを動的に管理しておらず、あらかじめ決めれれたサイズの履歴を保存するメモリを確保するという大変恥ずかしいプログラムです。しかもそのメモリをアプレット起動時に取りに行くので、負荷が大きいです。何か不具合がありましたら教えてください。

 <おまけのひとこと>
 「動物のお医者さん」の話から語呂合わせの話になって、こんなに続いてしまうとは思いませんでした。語呂合わせの話は明日で終わりにします。
 亡くなった山本夏彦氏が好んで引用していた、孟子の「春秋に義戦なし」という言葉を思い出します。




3月21日(金) 春分の日 語呂合わせ(その4)

 一昨日から円周率の語呂合わせの話を書いたら、さらにメールでいくつか情報をいただきました。「どこで見つけたかは覚えていませんが」といいつつ90桁を超える円周率の語呂合わせを送ってくださった方もいらして、感激しました。実はこの連休は忙しくて、この「ひとこと」は、簡単なものをほとんど準備してしまってあったものですから、せっかくいただいたこれらの情報は、また日を改めてご紹介させていただきたいと思います。

 さて、数学の関係の数字の語呂合わせといえば、おそらく最も有名なのは平方根の類なのではないかと思います。

√2 1.41421356 ひとよひとよにひとみごろ
√3 1.7320508 人並みにおごれや
√5 2.2360679 富士山麓オウム鳴く
√7 2.64575 菜(=7)に虫いない
√10 3.1622 ひとまる(=10)は、三色(みいろ)に並ぶ(2が並ぶ=22)

 あと、8の平方根の 2.8284…というのも「ニヤニヤよ」というのがありましたけれども、これは1.4142…の2倍ですから覚える必要はないですね。

 この覚え方で、いつも気になるのは√7です。「いない」の部分が、171のような気がしてしまうのです。「いち」の「い」なのか、「いつつ」の「い」なのかという多義性があるためなのですが、もうすこしよい語呂合わせがありそうなものです。

 昔、山梨県の富士山の裾野の上九一色村で、オウム真理教の騒ぎがあったときに、この「富士山麓オウム鳴く」というのをマスコミなどで聞いたところを見ると、やはり日本人なら多くの人がこの覚え方を知っているということなのだな、と思いました。 知らないのですが、他の国や他の言語文化圏だと、ルート2とかルート3を覚えているというのは珍しいのでしょうか。

 話は変わりますが、先日「ネクタイの数学」という本に載っていたネクタイの結び方をいくつか図にして載せてみましたが、その中の「クリステンセン」というのをリボンを使って譜面台に結び付けてみました(右の写真)。 3月11日のひとことで、2つ目の図の中央のものです。 通常のネクタイの結び方と違って、この結び方は結び目を横切っている布地が「たすきがけ」のようになっているのがご覧いただけるでしょうか。 この効果を出すため、最後に「大剣」を通すとき、通常とは違って2枚の布地をくぐらせるようにします。 この結び方は、細めのストレートのタイで結ぶのがよいと書かれていました。

 ちなみにこのリボンは、毎年2月14日に唯一私がもらっているチョコレート(もちろん妻からです)の、今年のパッケージについていたものです。以前にも書いたことがあるかもしれませんが、私はアルファベットならばHという文字にちょっとしたこだわりがあるので、このリボンも気に入って「これで多面体を編んだりしようかな」などとも思ったのですが、とりあえずタイ結びにしてみました。

 <おまけのひとこと>
 先日、このサイトのイベントとして、紙模型のパーツや完成品などを何名かの方にプレゼントさせていただきましたが、それを組んでくださったり、さらにはご自分でパーツを自作されたりして作ってみましたというご報告をいただきはじめました。ありがとうございます。
 このページをご覧いただいている皆様にもお願いがあるのですが、もしもここで書いているようなペーパーモデルなどを自作されたときに、それにご興味を持ってくださる方がいらしたら、このページをその方にご紹介していただけたらとても嬉しく思います。またそういったものをweb等でご紹介いただけたらとても嬉しいのですが、そういったときにも情報源としてこのページへのリンクを張っていただけたらと思います。よろしくおねがいします。




3月22日(土) 6本組み木

 組み木パズルと呼ばれる立体パズルのグループがあります。木やプラスチック製の立体的な部品を3次元的に組み合わせるようなパズルの総称だと思います。「組み木パズル」という言葉で検索をかけると、木の板から糸鋸で動物などの形を切り抜いた、平面的なパズルがたくさん出てきますが、私はそういったタイプのものよりもパーツを3次元的に組み合わせる、幾何学図形のようなタイプのものに心を惹かれます。

 こういったタイプの中で、おそらく最も基本的で有名なのが「6本組み木」と呼ばれるものだと思います。これは、上下・左右・前後の3つの直交軸に平行に、それぞれ2本ずつの正四角柱のパーツを組むものです。もちろん組み合わせるためには一部のパーツには切り欠き(ほぞ)を入れてやる必要があります。この切り欠きの入れ方によって、同じ6本組み木であっても、さまざまな難易度のものが作れます。

 さて、その中で一番素朴なものは何でしょう? 例えば正四角柱の正方形の1辺の長さを1だとして、その厚みの半分である0.5だけ、柱2本分の幅の切り欠きを入れたパーツを6本用意してみましょう。これは組めるでしょうか?

×3⇒
図 1 図 2

 2本の柱の切り欠きを向かい合わせてペアにすると、ちょうど柱2本分の穴が空きます。これを、前後・左右・上下の3方向に向け、それぞれの穴を互いに通せれば組めるはず、なのですが、ちょっと考えるとわかるように、普通の硬い(変形しない)材料を使っている限り、この3次元空間内では組むことはできません。5本までなら簡単に組めるのですが、6本目が通らないのです。

図 3

 逆に、何らかの手段(パーツを切って接着するとか)で組んでしまったとすると、今度は外せないことになります。

 さて、以上の話を頭においていただいて、以下のようなパーツを用意してみました。

図 4

 これを組み合わせて作ったのが下の写真です。間違いなくこの6本を実際に組み立てています。さてこれはどうやって作ったかおわかりなりますか?

図 5

 この工作(パズル)は、芦ヶ原伸之さんが考案者で、芦ヶ原さんの本のいずれかで昔見た記憶があるのですが、手持ちの本を探しても載っているものがみつかりません。芦ヶ原さんのものはこのように向きによる色分けはされていなかったと思います。ご存知の方は教えていただけたらと思います。

 <おまけのひとこと>
 写真が気に入らないのですが、撮りなおしている暇がありません。













種明かしなのでちょっと間をあけて・・・












3月23日(日) 6本組み木(種明かし)

 昨日、6本組み木の3つの軸方向にそれぞれ赤・青・黄色の色を塗ったパーツを組んだ写真をご紹介しました。もうちょっと大きなものも作ってみました。

写真 1 写真 2

 写真1は、昨日のものよりももう少し大きくて、切り欠きの外側が長いパーツで組んでみました。写真2は、大きさや形の違いを比較するため、大きなモデルの上に昨日の小さなモデルを載せてみたものです。(画像をjpeg圧縮しているので、かなり汚くなっていてすみません。)昨日の写真も含めて、すべてガラステーブルの上に載せて写真を撮っています。

 これをどうやって作っているかというと、写真の影の様子などを見れば明らかだと思うのですが、実はこれらのパーツは紙から切り出した平面的なものです。昨日の図4の6本のパーツは、作ったパーツの見取り図(投影図)ではなくて、あのような形状の平面的なパーツを用意しています。昨日の図1で赤い線が入っていますが、その部分をスリットにして組みます。

 残念ながらパーツがずれやすいので、組みあがったものはデスクマットにはさんであります。パーツを用意するのも比較的簡単ですし、組み立ても原理的には易しいパズルですので、ぜひ作ってご覧になることをお勧めします。(手先の作業として、かたちを整えるのはちょっと大変かもしれません。)

 <おまけのひとこと>
 今年の2月8日のひとことでもちょっとご紹介させていただいたINNOCENT PENGUIN's pageで、私のページにリンクを張っていただきました。ありがとうございました。




3月24日(月) 似ている

 私の勤め先は、朝ラジオ体操が放送で流れたり、10時や3時にはリフレッシュタイムということで音楽が流れたりするのですが、1年ほど前からその音楽が季節ごとに変わるようになりました。最近はしっとりした雰囲気の映画音楽が流れるのですが、その中に「野生のエルザ」のテーマ音楽があって、とても懐かしく聴いています。

 大昔、中学の吹奏楽部でラッパを吹いていたころ、Star Wars のテーマ音楽をやったことがあります。そのときに、Star Wars のテーマと野生のエルザのテーマってとても似ているな、と思ったのを思い出しました。

 
「野生のエルザ」のテーマ (midi:1kbyte)

「Star Wars」のテーマ (midi:1kbyte)

 一応 midi ファイルも用意してみました。(正確に言うと、midiを作って、そのmidiファイルから上の楽譜を生成しました。)

 似ていたからどうした、というわけでもないんですけれども、何かと何かが似ているとか、同じパターンだということに気が付くとかいうのはやっぱり楽しいです。

 子供のころ、ジョイ・アダムソンの「野生のエルザ」「永遠のエルザ」「私のエルザ」のシリーズが好きでした。今の時代の価値観からすると、また違った評価になるのでしょうけれども、奇麗事ではない野生動物との付き合い方について真摯に書かれた本で、気に入っていました。

 <おまけのひとこと>
 すみません、今日はこれだけです。




3月25日(火) 多角形カードによる相貫体(その1):2つの立方体

 しばらく前、「多角形を組む」と題したシリーズで、カードにスリットを入れたものを組んで出来る模型をいろいろご覧いただきました。その中で、2月5日のひとことでご紹介した正六角形8枚による模型(下図)、これが実は切隅四面体2つの相貫体であるということに、恥ずかしながら作ったときには思い至りませんでした。

参考図

 この場合は、もともとの正四面体の切断された隅っこの正三角形の部分は穴として残ってしまっていますが、これを見て、この手法で多面体の相貫体(Compounds)を作ったらおもしろいのではないかと思いました。まずは正四面体2つ、でもよかったのですが、これはいろいろな素材で作ったことがあったので、最初に試したのは立方体2つの相貫体でした。

 2つの立方体を組み合わせる方法はもちろんいろいろあるわけですけれども、この中で、立方体の中心を通る対角線を軸に60度回転させたものを作ってみました。まずは写真をご覧下さい。

       
2つの立方体の相貫体
図 1 図 2
図 3 図 4

 図1、図2は一般的な視点から見たところ、図3、図4は対称性の高い視点から見たところです。図3は、立方体を回転させた軸がちょうど画面を左右に横切るような視点から見ています。図4のほうは、その回転軸の方向から見ています。

 それぞれの立方体ごとに色をつけています。1つの立方体に注目してみると、6枚の面は互いになんら連結されておらず、相手の立方体のパーツによって初めて安定した形になります。妙な隙間とかがあいたりしたらかっこ悪くていやだなと思っていたのですが、わりときちんとかたちが整ってくれました。

 これはもちろん正方形のカードにスリットを入れたものを組んであるだけです。この模型はパーツにはほとんど負荷がかからないので、組み立て・分解に比較的強い模型だと思います。また、紙の裏側(多面体の内側)が見えなくて済むので、片面だけに着色すればいいので、パーツをプリンタで作成するのに向いた手法だと思います。さて、これはどのようなパーツをどれだけ用意したら組めるかわかりますか?

 <おまけのひとこと>
 立方体2つなんてそんなに対称性が高くないし、あんまり面白くないんじゃないかと思っていたのですが、出来てみたら思いのほかきれいで気に入りました。




3月26日(水) 多角形カードによる相貫体(その2):2つの立方体(続き)

 昨日ペーパーモデルでご紹介した、2つの立方体の相貫体をCGにしてみました(図1)。片方の表面を木材にして、もう片方をガラス板の素材にしてみました。ガラスの方の立方体を床面に並行に置くことにして、そのまま空中に浮かべて、床面を鏡にしてみた図です。私には、鏡に映った像というよりは、もともとの相貫体を回転させた絵のように見えてしまうのですが、いかがでしょうか。

図 1

 それはともかく、昨日の模型を作ったパーツの図を載せておきます。これは比較的簡単でした。

   
図 2 図 3

 図2のように、正方形の隣り合う2辺の中点と、その2辺に含まれない頂点を結ぶ鋭角二等辺三角形を考え、その二等辺三角形の各辺を一定の向きに半分だけスリットとします。全てのパーツは同じですから、立方体1つあたり6枚、あわせて12枚のパーツを準備します。

 中が見えたほうが面白いだろうと思って、同じものをOHPシートでも作ってみました。3枚ほど写真を載せておきます。透明な素材というのは写真に撮るのが難しいですね。

     
図 4 図 5 図 6

 図4は昨日の写真と同じガラステーブルの上で撮ってみたものです。 これだとコントラストの低い写真になってしまったので、図5、図6は白い紙の上で撮ってみました。図5は蛍光灯の反射をあえて入れてみました。

 本物は紙の模型よりもOHPシート模型のほうがきれいという印象もあるのですが、写真だと紙模型のほうがきれいにみえますね。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 3月22日のひとことで載せた六本組み木の話ですが、メールで掲載されていた本を教えていただきました。検索してみたら、びんちゃんのパズル博物館というサイトの中の、こちらに表紙の写真と書誌事項が紹介されていました。『パズルAtoZ ─ 奇想天外手作り難問集 ─』 芦ヶ原伸之 著 光文社 ISBN ISBN4-334-05149-9 C0211 890円だそうです。そういえばこの本、学生のころ持っていたことを思い出しました。本を切り抜いてパズルのパーツを作って遊ぶもので、いくつも切り抜いたためばらばらになって散逸してしまったように思います。保存用にもう1冊買っておくべきだったと悔やみます。
 上記の「びんちゃんのパズル博物館」は、いろいろなパズルの写真などがたくさん載っていておすすめです。




3月27日(木) 多角形カードによる相貫体:3つの立方体(その1)

 立方体2つの相貫体を作ったので、次に3つの相貫体ができないか考えてみました。立方体3つのきれいな組み合わせ方というと、下の図1のようなものが有名です。初めて見るとなんだかごちゃごちゃしてよくわからないと思いますが、青・緑・赤だけに注目してみると、それぞれが異なる向きの立方体になっていることがわかると思います。

図 1

 この立体の有名な例では、M.C.エッシャーのという作品がありますが、その滝が流れ落ちる部分の塔(左側の塔)の一番上に乗っているのが、この立方体3つの相貫体です。(ちなみに右側の塔の上に乗っているのは菱形十二面体の星型です。)

 この相貫体は次のようにして作られます。まず下の図2のように、立方体の上下・左右・前後の3つの向かい合う面の中心を通る3軸を考えます。3軸をx軸、y軸、z軸とすると、x軸のまわりに45度回転させた立方体1、y軸のまわりに45度回転させた立方体2、そしてz軸のまわりに45度回転させた立方体3、を重ね合わせると、図1の3つの立方体の相貫体になります。ですからCGを作るのはものすごく簡単です。

図 2

 さて、これを昨日と同じように正方形にスリットを入れたものを組んで作れるでしょうか。立方体3つの相貫体はCGを描くのは簡単でしたが、面のパーツの設計は2つの立方体のものよりはちょっと大変でした。どんなパーツが何枚必要か、考えてみると面白いです。

 とりあえずパーツを設計して、普通に紙に印刷して切り出して組み始めてみたのですが、これがものすごく大変で、結局組めませんでした。 組んでいる最中にパーツに無理がかかりすぎて、初めてパーツを破いて切り離してしまうという大失敗をしてしまって、これは同じ素材でパーツを作り直しても少なくとも私には絶対組めないと悟りました。

 下の写真は3つの立方体のそれぞれ4面ずつくらいを組んだところです。パーツは立方体1つあたり6枚で、全部で18枚ありますが、そのうち13枚目を入れるときにすでに組んであったパーツを破ってしまって、そこで中断しました。写真では一応出来上がっているようにも見えないこともないのですが、裏側はパーツがありません。

立方体3つの相貫体:失敗!!
図 3 図 4

 組むときにパーツにかなり負荷かがかかるため、なんとか組んだ部分もだいぶ稜が開いてしまってきれいではありません。少なくともこの素材でこの組み方ではきれいに作るのは難しそうです。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 何かを検索していたときに、中国の切り紙のページChinese Papercut Online Galleryというページを見ました。「切り紙」という表現形式というのはどのくらい昔からあるものなのでしょうか。




3月28日(金) 多角形カードによる相貫体:3つの立方体(その2)

 昨日は立方体3つの相貫体を設計して紙のパーツを切り出して組もうとしたら失敗したという話を書きました。諦めきれない私は、もう1セットパーツを印刷してあったので、とりあえず立方体の6つの面のうち、向かい合う1組2枚を除いた4枚で組んでみました。

図 1 図 2

 幸い、この組み方だとそれほど無理がかからないのでなんとか組むことができます。やはり若干「ばらける」感じになりますが、これは余計なスリットが入っているせいでもあります。それにしても、こうやって組んだところに、四角柱の底面のパーツをねじりこんでゆくのがいかに大変か、この写真からご想像いただけますでしょうか。

 これはこれで面白いので、このモデルもCGにしてみました。側面だけの正四角柱を3つ、組み合わせたものです。

図 3

 図1、図2のものがばらけた感じになるのは、四角柱の底面を組むための余計なスリットが入っているためかもしれないと思って、潔くそのスリットを取り除いた、本当に側面だけで組む用のパーツを設計して(不要なスリットを削除しただけです)、印刷・切り出しをして組んでみました。以下の図4〜図6です。

図 4 図 5 図 6

 若干「がさがさ」しますが、かなりきれいにおさまりました。この模型を組んだ直後には、これもなかなかいいかな、と思ったのですが、でもやっぱりちゃんと立方体は6面揃っていて欲しいです。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 明日はパーツの図面を載せたいと思います。




3月29日(土) 多角形カードによる相貫体:3つの立方体(その3)

 今日は3つの立方体の相貫体の3回目ということで、まずはパーツの図面を載せます。この相貫体の1つの立方体に注目して、その面のかたちを注意深く眺めてみると、2種類の面があることに気が付きます。

図 1

 図のように、ある正方形に注目して、その正方形と同じ中心で45度だけ回転させたものと重ねてみます。そして、図のように補助線を引きます。この補助線が、他の立方体の面と交わる交線になります。

図 2

 ということで、この交線の部分のちょうど半分の長さのスリットを、図2のように入れます。1つの立方体あたり、左側のパーツが4枚、右側のパーツが2枚必要です。3つの立方体を色分けする場合、それぞれ4枚と2枚用意します。

 ちなみに、昨日ご紹介した各立方体の2面を省いたモデルというのは、図の右側のパーツを使わないものです。そうすると左側のパーツの6本のスリットのうち、垂直な2本がいらなくなります。

 この3つの立方体の相貫体の模型をどうしても作りたくて、紙よりも丈夫で変形に強いOHPシートで作ってみました。以下の図3〜図6の写真をご覧下さい。これも組むのがとても大変でしたが、幸い紙と違ってかなりパーツに無理をかけても大丈夫なので、なんとか組み上げることができました。 でもこれはもう1つ組みたいとは思いません。

図 3 図 4
図 5 図 6

 これは一昨日の紙の失敗作と違って、裏側までちゃんと完成しています。また、立方体の稜が開いてしまっているようなこともありません。 残念ながら私にはOHPシート多面体の写真をきれいに撮る技術がないので、写真ではこの模型のすばらしさがいまひとつ伝わらないような気がして残念です。

 この模型が、接合や接着や粘着テープに一切頼らないで、各面の正方形にスリットをいれただけのパーツを組むだけで出来ているということ、そして余計なのりしろもなく、逆に内部に隠れている面を省いているようなこともなく、ちょうどぴったり立方体3個分の面(正方形18枚)でできている、というところがとても気に入っています。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 小さい車の好きな私は、スズキのTwinという車が気になっています。(多分買いませんが、買うなら5MTガソリン車です。でもそれだとエアコンがつかないのかな?) 今住んでいるところで乗ろうとすると、駆動方式がFFであるというところが冬場にちょっと気になるのと、未舗装路を走る必要があるので最低地上高135mm というのが問題なのですが、場所はとらないし、取り回しもものすごく楽だろうし、運転して楽しそうだし、うーん、車を3台保有できれば(できるわけがありません)買うんですけれども。




3月30日(日) 多角形カードによる相貫体:3つの四角柱

 一昨日、立方体3つの相貫体を作るときに、組みやすいように一対の面をはずしたものをご紹介しました(下の左図)が、この四角柱の高さを伸ばして、別の四角柱の頂点とちょうどぶつかるようにしてみました(右図)。

図 1(再掲) 図 2

 これは3つのパーツの噛み合わせが「深い」ので、組むのはかなり大変だと予想されます。そこでこれは最初から紙で作るのは諦めて、OHPシートで作ってみました。今日はその写真をご紹介します。

図 3 図 4

 図3の写真は、図2のCGとだいたい同じ方向から撮った写真です。CGの方はパーツを透明にしてありませんが、色遣いは似せてあります。こうしてみると立方八面体の形になっていることがよくわかるかと思います。図4のほうは緑の長方形の面の方向から見たところです。

図 5 図 6

 図5は、赤の四角柱が完全に見えなくなる方向から見ています。青と緑の四角柱がちょうど重なっています。図6は一般的な視点から眺めたところです。なお、この模型の一番内側の空間は菱形十二面体になっています。「あそびのコラム」第15回でご紹介したくみがみというのとよく似た構造です。

 これは、12枚のパーツのうち、最後の1枚を組むのだけがとても大変でした。11枚目まではすいすい組めたのですが、最後の1枚だけは片側の3つ組のジョイントをはめようとすると、パーツの弾力で反対側が外れてしまって、何度もやり直しました。

 工事現場などで、建物の壁に沿って金属製の足場を組んであるところなどをよく見かけます。あの足場板というのは両側につめがあって簡単に外れないようになっているのですが、最後に分解するときにはもちろん足場板をはずす必要があります。そのとき、足場の両側には同時に手が届かないので、一人ではずすときには片方ずつつめをそっと持ち上げておいて、真上に近い方向に足場板を持ち上げるとうまく外れます。ところが足場板は重いので、つい片側だけがあがってしまったりして、そうすると反対側のつめが下りて、はずせなくなってしまいます。そうなるとせっかく持ち上げて外れた側ももう一度おろさなければならなくなって、「かしゃん」とつめがはまってしまって再び最初からやり直し、ということになります。(金属製の足場板は重たいし、やりなおしになってしまうととてもがっかりしたものです。)

 ではふたりでやると簡単かというと、呼吸がぴったりあっていればいいのですが、片方を先に上げてしまうともう片方が外れなくなりますから、これはこれで簡単というわけではありません。最近のものはもっと扱いやすくなっているんでしょうか。

 最後の12枚目を組みながら、そんなことを思い出しました。

 <おまけのひとこと>
 通勤用に使っている軽自動車を自動車屋さんで点検してもらったら、修理費がそれなりにかかると言われてがっかりしています。でも買い換えないつもりです。




3月31日(月) 移調

 昨日は久々にひとりでリコーダーを吹きました。手元にあったバッハのピアノ協奏曲第5番(BWV1056)を最初に鍵盤でさらってみたら、リコーダーで吹けそうな気がしたのでした。この協奏曲は、もともとはヴァイオリン協奏曲として書かれたと推定されていて、単旋律の楽器向けなのです。当時のヴァイオリン向けの曲というのは今のヴァイオリン曲よりも音域も狭くて、他の楽器でもなんとかなるものもあるのです。ただこの曲の調(ヘ短調)というのはいまひとつリコーダー向きではありません(譜例1)。これを半音下げると(譜例2)、だいぶ演奏しやすくなります。

譜例 1:J.S.Bach Concerto BWV1056 第3楽章冒頭

譜例 2:半音下げたとしたら

 ところが、この「もとの楽譜を見ながら半音下げて演奏する」というのは一般的にはかなり厄介です。 といって、半音下げた楽譜を作るのも面倒だったので、なんとかこのままやってみたいと思いました。

 私はいわゆる「絶対音感」がありません。ですから、楽譜を見てその音符の正しい高さの音を歌えといわれても、基準音をもらわないと出せません。そのかわり、昔から筋金入りの移動ド読みをしていて、移調して演奏するのはとても好きですし、例えば歌なんかの場合、もらった基準音が違っていても気が付かない(笑)こともあります。 自分の声の音域の限界のところで、ちょっと変だなとは思うのですが。

譜例 3:譜例1をヘ音記号だと思ってF管として読む

 譜例1のものを、「ヘ音記号で調性記号なし」だと考えて読むと、譜例3のようになります。 譜例1と譜例3をよくご覧下さい。最初のト音記号やヘ音記号や調性記号(譜例1ならフラット4つ)を無視すると、音符の五線の上の位置が全く同じになっているのがおわかりになるかと思います。

 このままだと目的である譜例2の読み方にはなりません。ここでさらに、譜例3をF管の楽器のつもりでC管の楽器で演奏する、と考えてみると、ド(C)のつもりで吹くとソ(G)の音がなりますから、これでぴったり譜例2の音に一致します。

 というわけで、オリジナルのヘ短調の楽譜を、「ヘ音記号でイ短調のつもりでF管の指で演奏する」と、めでたく半音下げることができるのです。もちろん臨時記号は適宜読み替える必要はあるのですが、常に半音下げることを意識するよりもはるかに自然に指が動きます。

 ちなみにこういう意識で演奏しようとすると、なまじ絶対音感があると実際に鳴る音の高さが意識している音の高さと違うことがわかってしまうため、気持ちが悪いと感じたり、かえって混乱したりすることもあるそうです。絶対音感がなくてよかった〜(負け惜しみ)。

 ハ音記号(ビオラ記号)を読むときにもこの手を使うと重宝することもあるのですが、途中でト音記号に変わったりするとそこで破綻します。ハ音記号を読むときには、素直に大譜表を想像したほうがよいようです。また、鍵盤楽器のときは、半音や1音程度の移調ならば、鍵盤をイメージして、機械的にその隣を叩くようにしたほうが私はうまくいきます。

 …この手の話を書き始めるときりがありません。

 <おまけのひとこと>
 先日、プレゼントを差し上げた方が、茉莉花の部屋というホームページを開設され、その中のcraftsのコーナーで、私が差し上げた正三角形4枚を組むモデルを参考に、いくつか色や素材を工夫された作品を掲載して下さっています。ありがとうございます。色画用紙で組むのもきれいですね。私もやってみようかな。



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