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以前の「ひとこと」 : 2003年3月前半




3月1日(土) OHPシート模型(その1)

 何週間か前、多面体のペーパーモデルをOHPシートで組んだらいいかもしれないということを書いたと思うのですが、実はその翌日くらいにインクジェットプリンタ用のOHPシートを買ってみました。 昔々の私の記憶にあるOHPシートと比べてずっと薄いという印象です。OHPシートとしては、薄くてかさばらず、軽いものが喜ばれるのだと思うのですが、模型の材料としてはもっと厚くて丈夫なほうが嬉しいです。

 そこで、パーツを小さくすることにしました。そうすれば相対的に厚みと強度が稼げますし、1枚のシートにたくさんの部品を配置できます。とりあえず、比較的易しい4枚組みのものからいくつか作ってみました。

写真 1 写真 2 写真 3

 写真1〜3は、正三角形4枚を赤・青・黄・緑に塗ったものを組んでみました。順に、畳んだところ・3点で立てたところ・4点で立てたところです。1つの三角形の1辺の長さは4cm弱です。このくらいの大きさだと、開いて立ててみてもほとんどパーツが反った感じはありません。

 組み立てる前は、透明なシートに着色しているのでさぞかしきれいなのではないかと期待したのですが、実際に組んでみると普通の紙模型と比べて、かえってなんだかよくわからない模型になってしまったようにも思います。

 OHPシートはインクジェットプリンタの用紙の種類をOHPシートのモードにして印刷しています。シートはつるつるしているので、紙に比べるとどうしても印刷品質は低くなりますが、意外ときれいでした。一番苦労したのはパーツの切り出しのときで、カッティングシート(下敷き)が透けて見えてしまうため、というかカッティングシートばかりが主に見えて、OHPシートがよく見えないため、かなり大変です。特に細いスリットを切るところがつらいです。

 また、インクジェットプリンタ用OHPシートの説明を読むと、印刷面にはできるだけ触るな、印刷面を保護するためシートを重ねるときは間に紙をはさめ、と書かれています。といわれても組むときはどうしても触りますし、畳んだときに間に紙を挟むわけにもいきません。

 ただ、OHPシートには紙にはない利点がありました。とても丈夫なのです。おかげで、紙では組めなかった模型を組むことができました。いずれご紹介できると思います。

 <おまけのひとこと>
 3月になりました。今年度もあと1ヶ月、仕事がかなり忙しい状況です。今朝は久しぶりにかなり寝坊してしまいました。 また今日も雪が舞っています。今年はどうしてこんなに雪の日が多いのでしょうか。




3月2日(日) OHPシート模型(その2)

 昨日に続いて、OHPシートを使った多角形を組む模型をご紹介します。今度は同じ色にしてみました。

写真 1 写真 2 写真 3

 昨日の模型と同じくらいの大きさです。せっかくなので若干三角形を尖らせてみました。プレゼントのページにあるセットC,D と同じデザインです。ただし大きさは小さくしてあります。やはり畳んだところと立てたところなのですが、こちらは自分の重さでパーツがすこしたわみます。写真だとあまり立体感がなくて、模型をどういう風に置いて、どの脚が接地していて、カメラはどの方向から撮っているのかよくわからないですね。

 開設2周年プレゼント(終了しました)には、当初の予想を若干上回るご応募をいただいていて、とても嬉しく思っています。ご応募下さったうちの約半数の方が、下の写真の星型6枚を組む模型のパーツ(セットE/F)を第1・第2希望とご指名下さいました。せっかくなので自分用にとっておいた予備の切り出し済みのパーツもご提供しようかと考えています。

 一応締め切りは明日の朝(私がメールを見るまで)、としているのですが、すでにセットE,Fに関しては予備も含めて手持ちを上回るご応募をいただいているものですから、この2つについては新たにご応募いただいてもご提供は難しいかと思います。ごめんなさい。

セット E セット F

 このセットFを組む面白さ(?)を仮想的に体験していただくため、ちょっとした「間違い探し」をご用意しました。これから組んでいただく方のイメージトレーニングと、ここをご覧いただいている方へのパズルです。以下の写真4〜6は、セットFのパーツである星型のリング6つを組み合わせたモデルです。この3つの写真のうち、上の「セットF」の写真と同じものはどれで、違うものはどれでしょう?

写真 4 写真 5 写真 6

 これは、わざわざ対称軸からはずした視点から写真を撮っています。まあ小さな写真1枚だけから判断するのは難しいのですが、明らかに「これは間違っている」と思われるものについては、それのどこが間違っているのかわかりますか?

 この間違った模型は、私が最初にこの模型のパーツを思いついて切り出して組んでみたときに出来てしまったものです。2時間以上かかってやっとできそうだと思ったときに破綻しているのに気が付いたのですが、あとに引けなくなってとりあえず最後のパーツを押し込んでしまいました。後から考えると、4枚目のパーツでミスをしていました。 これに懲りて、2回目の挑戦では「悪い見本」を見ながら作業を進め、今度は15分くらいで設計意図の通り組めました。

 星型の内側と外側の谷どうしが噛み合うのですが、その数が同じなので、違う組み方も出来てしまうのです。逆に、設計意図とは異なる組み方で、きれいな組み方がないかな、と考えています。そのためのヒントになるかと思って、最初に出来てしまった、意図とは違った模型も壊さずにとってあるのでした。

 <おまけのひとこと>
・昨日の雪は昼過ぎから雨に変わり、夜まで大雨でした。
・昨夜までにプレゼントにご応募いただいた方にはメールの受け取り確認のためお返事を差し上げました。
・明日、子供が学校に「そろばん」を持っていかないといけないということです。今日中に手配しないと。




3月3日(月) OHPシート模型(その3):正六角形4枚による立方八面体


プレゼントは終了しました。ご応募ありがとうございました。

 OHPシートを使った多角形を組む模型のご紹介のつづきです。今日は正六角形4枚を組む模型です。色は、赤・青・黄・緑です。

写真 1 写真 2

 写真1は平らに畳んだところ。4枚が重なっているため、色がよくわかりません。写真2は開いてカッティングシートの上に載せたところです。大きさはご覧の通り小さめです。

 白い紙の上などにおいて写真を撮ってみたのですが、いまひとつ透け具合が気に入らなかったので、手に持って撮影してみました。写真3、4です。パーツの上下に写っているのは、私の左の親指と人差し指です。 この状態で、模型の片側に息を吹きかけると、風独楽、というんでしょうか、きれいに回ります。

写真 3 写真 4

 先週の木曜日、2月27日から行っておりました、本サイトの開設2周年記念の感謝のプレゼント企画ですが、おかげさまで予想を上回る約10名の方からご応募いただきました。本当にありがとうございました。(なぜ10名なのかというと、お一人はメールではなく直接話をする中で差し上げることになったためです。) 応募前には、今回はせいぜい5人くらいかなと思って、とするとお一人当たり2セット、うまく調整できれば3セットずつくらい差し上げられるかなと思って「第5希望くらいまで書いていただいても…(笑)」などと記載しておいたのですが、こうなると複数セット差し上げるのはちょっと難しいです。ご了承ください。

 今朝は時間がないので、プレゼント当選(笑)のご連絡はさしあげられませんが、できれば今夜、ご応募下さった方には差し上げることになった品をメールでご連絡差し上げたいと思います。はやくご連絡できたほうがよいと思いますので、その分申し訳ありませんが事務的な短いメールになるかと思います。

 <おまけのひとこと>
 昨日は用事があって、一人で200キロほど車(40ps, 5MT, 4WD, 680kgの軽自動車)を走らせました。2箇所の目的地を順に回って用事を済ませてきたのですが、第1の目的地、第2の目的地、そして最後に自宅に戻る3つのコースそれぞれが別の峠を越える必要のある道でした。消失点よりの STMileさん の影響、というわけでもないんですけれども、2つ目の峠は渋滞を避けるうちになんとなくマイナーな旧道を通りました。日陰がしっかり凍っていました。細くて凍っていてわだちが2本かせいぜい3本しかない道で、けっこう緊張しました。何度か対向車との行き違いがあったのですが、これから峠に上り始めるというノーマルタイヤの多摩ナンバー、練馬ナンバーとすれ違いました。(香川ナンバーなんていうこのあたりでは珍しい車もいました。)
 この峠は、途中で2箇所の尾根を小さな真っ暗のトンネルで越える道で、峠の途中で一度、沢に下ってまた登ります。峠で登れなくなった場合、どうしても進めなければ引き返せばいいのですが、もし最初の尾根を越えた後の途中の沢で登れなくなると、最悪の場合引き返すこともできなくなります。(私の車にはそういったときの最低限の用心の品として、チェーン・スコップ・砂などが、軍手や作業用の上着とともに積まれています。今までこれらの品の出番はありませんでしたけれども。)まあおそらく大丈夫でしょうけれども、他人事ながらちょっと心配になりました。




3月4日(火) 多面体稜モデル:2つ折りパーツ(その2)

 先週、2月28日のひとことで、2つ折りパーツを使った正二十面体をご紹介しました。割と簡単にパーツが用意できたので、正十二面体も作ってみることにしました。

図 1

 正十二面体の面は正五角形ですから、2つのパーツのかみ合わせは、例えば上の図の青と赤の線のようにすればいいはずです。パーツの長さは適当に取るとして、次のようなパーツを使うことにしました。

図 2

 今度のパーツは内角が180度を超えています。これもやはりまず両側に余裕を残して帯状に切り出して、二つ折りにして、両方を決まった角度に切り落として、はさみで切込みを入れて作ります。正十二面体なのでやっぱり30本用意します。 今度は面が正五角形だったため、面の形が若干変形してしまう、ちょっと不安定な模型になってしまいました。

ジョイント部分
拡大 ⇒

 同じ原理でパーツの両端の角度を変えるといろいろな模型が作れそうだな、と思ったのですが、今日の正十二面体を見て、もうちょっと設計を工夫しないといけないなと思って、このシリーズは中断しています。(拡大してみると加工精度が低いのがばれますね。)

 ユニット折り紙と比べてパーツを作るのが簡単とはいえ、それでもこうして30本も作るのは面倒です。もっと簡単にこういったパーツを用意できる何かいい手はないかな、身の回りにある、大きさの揃った細長い長方形といったら…と考えていたら、とてもいいことを思いつきました。 そうです、あれですあれ。あれを使えばもっと簡単に多面体の稜モデルが組めるはずです。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 2周年記念プレゼントにご応募いただいた方から、次のような写真をいただきました。左が正多面体の1つである正十二面体、右が準正多面体の1つである切隅八面体(切頂八面体)です。木製の、たいへん美しいモデルです。本物はさぞかし美しいのだろうと思います。 写真、どうもありがとうございました。おそらく分解・組み立てが可能なのでしょうか。木製のモデルは美しいし丈夫でいいですね。 紙模型では、たいていの場合組んだら二度と分解したくありません。



 何度かご紹介しているパズル工房『葉樹林』の、葉樹林日記の3月1日に、私のページをたいへんほめていただいてありました。感激です。ありがとうございました。おかげさまでここ数日、カウンターの数字がいつもよりたくさん増えているように思います。 最近の葉樹林日記のピラミッドパズル、とても興味を持っています。このアイディアを紙模型の世界に持ってこられないかな、などとぼんやり考えてみたりしています。




3月5日(水) 多面体稜モデル:新しい材料

 多面体の稜モデルのパーツを、出来るだけ手間をかけずに用意できないかといろいろ考えてみたのですが、身の回りにある大きさの揃った細長い長方形は・・・と考えていたら、粘着剤付きの付箋紙、いわゆる PostIt があるじゃないかと思いつきました。(昨日の「ひとこと」を読んでくださった方はどんなものをご想像されたでしょうか? 同じものをお考えになった方はいらっしゃるでしょうか。)

 付箋紙を使って多面体を組む場合、片側に糊(粘着剤)が付いているというところがメリットでもありデメリットでもあります。 まず、せっかく糊が付いている、しかも片側だけについているので、それを利用する組み方を考えてみることにしました。

 糊が付いている側とついていない側があるということは、パーツに向きがある、ということです。糊が付いている同士を繋ぐのは、ちょっともったいなかったり埃がたまりそうだったりしますけれども、まあそれはいいとして、糊が付いていない同士では繋げません。これは避けるべきです。糊が付いているほうを「頭」、反対側を「尻尾」と呼ぶことにすると、必ず「頭」と「尻尾」が繋がるようにしたいのです。

 ちょっと考えてみると、全ての頂点に集まるパーツが偶数、つまり全ての頂点の次数が偶数ならば、交互に「頭」「尻尾」「頭」「尻尾」・・・となって、上の条件を満たしそうです。全ての頂点の次数である多面体というと、正八面体(図1)とか立方八面体(図2)が思い浮かびます。

図 1 図 2

 糊の付いている側が「頭」ということで、図1、図2のように矢印で表現してみました。 これでうまく組めそうです。というわけでさっそく試してみました。

写真 1 写真 2

 まず、図1に相当する正八面体骨格をPostIt12枚で組んでみたものです。パーツは折らずに繋いでみました。3つのリングが互いに組み合わさった形になっています。ころころとよく転がります。このモデルはそれぞれのパーツが直交していることがわかっているので、組むのは簡単です。

写真 3 写真 4

 続いて立方八面体骨格です。こちらは24枚のパーツで組みます。パーツ6枚から成るリングが4つ、からまった形です。パーツはPostItを1枚ずつはがしてくるだけでいいので、折ったり切ったりという作業がないため、とても楽です。ただし組むときの角度が目分量だとどうしても狂ってきて、何度かやりなおす必要がありました。

 PostItの粘着剤で固定しながら組んでいくので、自然にバランスが取れるということがないため、角度が変だと気が付いたらはずしてくっつけなおす必要があります。

 パーツを用意するのが面倒だという方、PostItが12枚あれば、写真1,2 のモデルが作れます。(3色×4枚で、3つのリングの色を変えても面白いでしょう。) やってみると楽しいです。 飽きたら分解して、本来の用途である付箋紙として使えますし、お勧めです。

 昨年の4月くらいに、多面体を帯で編むシリーズをご紹介したことがありました。そのとき、帯で編める多面体がどんな多面体かということについて、兵庫教育大学の数学科の濱中先生からたいへん丁寧に教えていただきました。帯で編める多面体について考えるときは、その双対多面体を考えて、その全ての頂点が偶数になっているという考え方を教わりました。今回のPostIt稜モデルというのが、まさにその条件を満たす多面体です。ということで、このほかにも小菱形立方八面体(斜方立方八面体)や二十面十二面体、小菱形二十面十二面体(斜方20・12面体)なども同じくPostItで組めることがわかります。

 <おまけのひとこと>
 昨日は久々に東京に出張でした。わずかな空き時間に八重洲ブックセンターに走って、いろいろ面白い本を仕入れてきました。その中の面白い話題をまた順次ご紹介してゆきたいと思っています。本当は楽譜屋さんにも行きたかったのですが、時間がありませんでした。
 このページの開設2周年のプレゼントに関して、確認メールのお返事をほとんどの方からいただきました。出張などで忙しくしているため若干発送が遅れています。申し訳ありません。




3月6日(木) PostIt多面体(その2)

 昨日の、PostIt12枚による直交する3つの輪のモデルの展開図(?)を描いてみました。矢印の頭の側に粘着剤が着いています。この図の左右をつないでぐるっと輪にして、上下の4パーツずつをとめればOKです。

図 1

 この3つの輪のモデルをみていると、なんとなく長野県の県章を連想します。これをはじめてみたとき、これはてっきり球に帯を巻いたイメージのデザインなんだと信じていました。「山と、それが湖に映った姿」とか、「鳥が飛ぶ姿」とか「長野のナの字」といった解釈を聞いたとき、とても違和感がありました。

 余談はともかくとして、昨日ご紹介したものはこのように付箋紙をそのまま使ったためボールのような構造になりましたが、多面体の稜であることをきちんと示すように、パーツを直線になるように組んでみようと思いました。そこで、パーツを図2のように2つ折りにします。

図 2

 このパーツ4枚から正方形を3色×2セットで6つ作って、写真のように組み合わせてみました。

写真 1 写真 2

 模型としての精度がいまひとつです。ちょっと期待はずれでした。

 <おまけのひとこと>
 2周年記念の感謝のプレゼントの発送の準備が終わりました。 発送待ちのパーツや完成品の集合写真です。今朝はなんとなく早く目が覚めたので、このページの更新データを作った後で、出来るところまでやろうと思って準備を始めたら、全部終わらせることが出来ました。これで一安心です。


 今は全て封筒に入って発送を待っています。すみません、はやくお手元に届くほうがよいかと思って、メッセージ等は一切入っていません。単に白い紙に包まれた、ご希望のパーツ or 完成品の包みが入っているだけです。おそらく大丈夫だと思いますが、開封時、また白い包装を解く時にパーツをいためないようご注意ください。
 なお、パーツの数や、お送りする品物についてはよく気をつけたつもりですが、万一間違いがあったり、パーツが足りなかったりしたらご連絡ください。
 発送しましたというメールは省略させていただきます。品物が届きましたらメールでご一報いただけると安心致します。おそらく早ければ明日、遅くとも今週中には届くと思っていただいて大丈夫だと思います。
 久しぶりに手書きで10通も宛名と自分の住所等を書いたら疲れました。(これが一番大変だったかも。)




3月7日(金) PostIt多面体(最終回)

 PostItシリーズは、最後に二十面十二面体をご覧いただこうと思います。あんまりきれいにバランスがとれていません。PostIt10本でできるリングが6本あるのですが、単色で組むにはパーツが足りず、きれいに色分けするには色数が足りず、結局2色で作りました。かなり大きな模型です。

写真 1 写真 2

 やはりそれぞれのジョイントを貼ってしまうため、形が整いません。パーツを用意するのが簡単なので、PostIt で多面体を組むというのはとてもよいアイディアだと自賛したのですが、実際組んでみると思ったほどきれいな模型が出来ませんでした。ということでこのシリーズは今日で終わりです。(500円分くらいPostItを買ってしまったのですが、これ、どうしよう・・・)

 ところでこのパターン、セパタクローの球みたいな形は、以前荷造りテープなどで作るページをご紹介いただいたことがあります。こちらのようこそYoshita号へという高校の数学の先生のページの中の、こちらとかこちらとかです。他にもいろいろ面白い話題があるページです。

 宮脇俊三さんが亡くなられたそうですね。宮脇さんも、店頭で自分が持っていない文庫本を見かけると必ず買うというレベルのファンでした。 宮脇さんの本から、時刻表を楽しんだり、各駅停車のローカル線を楽しむ楽しみ方を教えてもらいました。残念です。 ちょっと検索したら宮脇俊三的生き方というページがありました。「宮脇さんは、いつかは、そんな生き方をしたいという定年を控えた中高年の星であった。」と書かれています。確かに本業と趣味(と言っていいのか)どちらも超一流、というのは本当にすばらしいことだと思います。

 <おまけのひとこと>
 また雪が5cmくらい積もっています。まだ降っています。

 昨日の朝会社に行く途中で郵便局によって、プレゼントを投函しました。今回は梱包に十分な用意ができなかったので、もしも折れ曲がってしまっていたり、ぬれてしまっていたりしたら、と心配しています。無事届いて欲しいものです。

 自分のパーツや完成品がどこまで行くのか、日本の都道府県別の白地図に色をつけてみました。


 なんとなく繋がっていて面白いです。
 なお、この白地図はMap of Japanというページのデータを利用させていただています。ありがとうございました。




3月8日(土) 『ネクタイの数学』

 1ヶ月ほど前、『ネクタイの数学』(トマス・フィンク、ヨン・マオ〔著〕 青木 薫〔訳〕 本体価格: \695 出版:新潮社 サイズ:文庫 / 251p ISBN:4-10-290097-7 発行年月:2001.5)という文庫本を買いました。 私はネクタイを締めることは年に数回しかないのですが、この本は物理学者である著者らが、ネクタイの結び方を表現する簡潔な方法を編み出し、それに基づいて様々な結び方を表記・分析・議論しているもので、とても楽しい本です。

 ごく簡単にその表記をまとめておきます。普通のネクタイというのは、片方が巾が広くてもう片方が狭くなっており、それぞれ先が尖っています。この広いほうを「大剣」、狭いほうを「小剣」と呼ぶのだそうです。ネクタイを結ぶときは、下の図1のように、首の周りを回っている部分と、中央に垂れ下がっている小剣とによって3つの領域に分けられているところを、大剣を順にめぐらせて行くことになります。

 そこでこの本では、図1のように3つの領域を左(L)、右(R)、中央(C)と表記することにして、大剣の動きを、これらL,R,Cの文字と、シャツに向かう方向を表す記号とシャツから離れる方向を表す記号とで表現するということにして、ネクタイの結び方を文字と記号で表しています。

例えば
 
なら
図 1 図 2

 普通によく結ばれるやり方は「フォアインハンド」と言うのだそうで、この表記に従うと

となります。ちなみに最後のTは、Terminate(終了)のTで、結び目を横切る布をくぐって垂らすことを示します。この表記法は、自分自身の首の周りに結ぶのではなく、誰か他の人の首に結んであげるときにわかりやすい表現になっていると思います。

 この、天気図の記号のような、マルに×とかマルに小さな黒丸といった記号は、ベクトルが紙面に対して垂直に存在するとき、それが手前を向いているのか向こうを向いているのかを表すときによく使われます。高校の物理とかでも出てきたようなおぼろげな記憶があります。

 この本では簡潔に、「この2つのマークは、矢羽と矢尻を表している」と説明していますが、私が昔学校でこのマークを習ったときには、そのようなわかりやすい説明をしてもらえなくて、なぜこんなにわかりにくい記号を使うんだろうと悩みました。で、自分で編み出した覚え方というのが、「これは五寸釘の先端(尖ったほう)と頭(叩くほう)なんだ」というものでした。

 釘は、太いものになると、叩く部分が滑らないように表面が網目状になっているものがあります。そのイメージです。

 <おまけのひとこと>
 今朝起きてみたら、カウンタが3万を越えていました。このページをご覧下さる皆様に感謝しています。
 ようやく春も近づいてきたというのに、風邪を引いてしまったようです。ここ「ひとこと」に載せる内容については、A.原稿が出来ていて、あとは画像のファイル名等を直すだけのもの、B.写真や図面まで用意してあって、テキストを書くだけのもの、C.模型が作ってあったり、シミュレーションが終わっていたり、材料だけは揃っているもの、D.イメージだけのもの、といろいろなレベルのネタがあります。今はわりとストックが増えていて、A,B,C,Dの準備段階のそれぞれが10個ずつくらい用意があります。今日は不調なので、レベルAの準備済みのものからの話題です。(これだと書くのはここ「おまけのひとこと」だけなので楽です。)
 こうやって公表していると、遊んだことや考えたことを自然とまとめる癖がついて、とてもよかったと思っています。




3月9日(日) 『ネクタイの数学』(その2)

 さて、昨日に続いて『ネクタイの数学』の話です。ネクタイの結び方を、小剣の左と右と、そして首(中央)の3箇所をどのようにめぐらせるかという表記をして、その数やバランスの美しさを議論しようという書物です。

 本の表紙には、「男の首に一枚の布を結ぶ85の方法」などと書かれており、裏表紙には「数学的にこれ(85通り)以上でもこれ以下でもない」と書かれています。これは、ストローク(大剣を移動する回数)に上限を設け、また最後のパターンは裏側から中央を通して、横切っている布をくぐって下げる、というパターンに限定し、鏡像解を数えないで出てくる数字です。くわしくは本をご覧いただけたらと思います。

 ただ、この本の図や表記法は、実際にネクタイを結んでみる実験をするにはいまひとつわかりにくいと思います。そこで、私にとってもう少しわかりやすい表記法を考えてみました。 昨日と同じく「フォアインハンド」を例にとります。

 まず、一番左側に、昨日ご紹介したL,R,L,C,Tの「フォアインハンド」の表記を、矢羽・矢尻のマークつきで縦に描いてあります。この、「左・右・中」というのをもうちょっと直観的にわかりやすいように、図のように矢印で表してみました。一番上のグレーの四角形2つは、シャツの襟のつもりです。青い矢印()と赤い矢印()は、それぞれシャツに向かう方向と離れる方向を表すことにします。最後のTの部分で、小さな長方形を描いてありますが、これは横切る布を1枚くぐらせて垂らすことを表します。(結び方のバリエーションとして、2枚くぐらせる結び方もあるので、それを図で表現できるようにしたのです。)

 これをくるりと180度ひっくり返したのが右側の図で、この向きで見ると、自分がどうやってむすんだらよいか、かなり考えやすいのではないかと思います。『ネクタイの数学』には、名前がついた結び方が15通りほど載っていたので、それらをこのような表記にしてみました。明日から1〜2回かけて、それらをご紹介したいと思います。

 「あそびをせんとや」公開2周年記念のプレゼントというのを差し上げた、消失点よりのSTMileさんが、その組み立ての様子をエッセイにして下さいました。VPエッセイ・雑記考というコーナーです。本当にありがとうございました。(今はトップページの先頭に画像とともにコメントしていただいてあります。ありがとうございます。)

 STMileさんは、先月の2月11日のひとことの将棋盤に駒40枚を互いに利き筋からはずして並べるパズルもその日のうちに解いて下さいましたし、今回のプレゼントも発送した翌日には完成した写真をメールで送ってくださいました。(おそらく届いてすぐに組み上げてくださったと思います。) 私からのプレゼントが届いた方や、これから自分でパーツを自作して組んでみたいという方は特にお読みいただけたらと思います。

 今回のプレゼントの模型を組むパズルは、実は三角形4枚の方でもかなり難しいと思っています。どの程度パーツを反らせなければいけないのか、どの程度まで反らせていいのかが、最初はわからないためです。設計者の私は、もしパーツを傷めてしまってもまた作り直せばいいという気楽な気持ちで組めますが、差し上げた品のようにたった一組しかパーツがない場合、しかも組み立て方の手引きも何もなく、お手本は私のページの小さな写真何枚かだけ、という極めて過酷な条件です。 差し上げた方にとって、実は災いの種になってしまったらどうしよう、ととても心配しています。 実はそう思って、今回は三角形4枚の完成品をたくさん用意したのでしたが、難しいほうのご希望が多くて、嬉しいやら心配するやらしています。

 <おまけのひとこと>
 上の子が絵を描いていたのがわりと上手だったので、スキャナで取り込んでみました。(親ばか)



 図鑑を見て描いたそうです。私は、学習する際に「まねをする」というのはとても大切だと思っていて、「学ぶ」プロセスにおいてはまねをしてまねをしてまねをしまくって、それでもやむにやまれず出てくるのが本物の個性・独創性だと思っています。なので、気に入った絵は写してみろ、気に入った本も書き写してみろと言っています。




3月10日(月) 『ネクタイの数学』(その3)

 昨日ご紹介した表記法で、ネクタイの結び方を図にしてみました。詳しくは、前回・前々回をご覧下さい。結び方の名前の文字列も画像にしてしまってありますが、これは名前と図の対応がわからなくなってしまわないための用心です。

 まず、最も簡単と言われる「オリエンタル」と「フォアインハンド」です。どの結び方も、最後は後ろから中央を通して、前に垂らします。ストロークごとに、大検は必ず「向こう・手前・向こう・手前」と交互になります。そのため、オリエンタルのようにストロークが奇数の場合、最初の矢印の色は赤、つまりネクタイを最初に首巻きつけるときは裏側に巻いてスタートします。なお、フォアインハンドは、小剣を引き抜くと結び目は残りません。

 続いて、5ストロークの「ケルビン」「ニッキー」「プラット」です。奇数ストロークなので裏向きからはじめます。この3つのうち、ニッキーだけが小剣を引き抜くと結び目が残りません。

 6ストロークの「ヴィクトリア」と「ハーフ・ウィンザー」です。ヴィクトリアは小剣引き抜きで結び目が残らないパターンです。

 <おまけのひとこと>
 このページに載せている紙模型の図面などをどうやってどんなソフトで描いているのか興味がありますというメールをいくつかいただいています。今度、自分がパソコンで作図する手順などを簡単にご紹介しようかと思っています。




3月11日(火) 『ネクタイの数学』(その4)

 昨日に続いて、名称のついているネクタイの結び方を図示してみました。今日はストロークが7,8,9のものです。結び目の名称のカタカナ表記は、「ネクタイの数学」の本の表記に倣っています。

 ストローク数が7のセント・アンドリューとプラッツバーグです。セント・アンドリューの方が結び目が残らないタイプです。

 ストローク数8のキャヴェンディッシュ、クリンテンセン、ウィンザー、です。ウィンザーだけが小剣を引き抜いて結び目が残りません。

 ストローク数9。グランチスター、ハノーヴァー、バルチュスです。

 この「ネクタイの数学」の本をご紹介した最初の日(4日前)にも書きましたが、私はネクタイを締めることはめったにありません。こうして結び方を図にしてみても、頭の中で結び目がどうなるのか想像して楽しんではいますが、実は実際にはひとつも結んでみていません。この図を印刷してクローゼットのあたりに用意しておいて、今度ネクタイを締める機会があったら試してみようかな、などと思っていますが、いつになるやらわかりません。

 ネクタイの結び方については、L,R,C(左・右・中央)に大剣を通す順番として表現できますから、これは三角格子の上のランダム・ウォークの軌跡として表現できます。この本は、そういった観点からの議論もありますし、著名な結び方について、雑誌や文献でどのように取り上げられたかという解説などもあり、いろいろな観点から楽しめる本だと思います。この本の紹介は今日で終わりにします。

 <おまけのひとこと>
 妻がヒヤシンスの球根の水栽培を5〜6個やっています。容器が足りなくなったので、ペットボトルの口の部分を切り取ってびんに逆さに入れて、そこに球根をのせて水栽培していたものがあったのですが、背が高くなったところでペットボトルの口の部分が外れて転んでしまいました。



3月12日(水) 星のリングを組むCG

 先日、ご希望くださった何名かの方に差し上げた「星型の輪を6枚組むモデル」ですが、これはどのような形になっているのか、おそらくわかりにくいかと思います。

 これを「パズル」であると考えると、あまり詳しい解説をすべきではないかとも思うのですが、といってパズルのゴールである完成形についてあいまいなままでは組めないですから、コンピュータグラフィックス(CG)で完成したイメージを作ってみました。

 CGなのでパーツを1枚ずつ足してゆく図を作るのはとても簡単です。そういった絵があると、お作りいただくときに便利かもしれないと思って、簡単にまとめてみました。というわけであそびのコラムの新作、「星の輪を組む」です。自力でパズルとして解きたい方はみないで下さい。ただし、そんなに画期的な説明ではないので、見たからといって簡単に組めるというわけではありません。

 <おまけのひとこと>
 つい、またこの話題に戻ってしまいました。




3月13日(木) 拾遺:三角星のリングを組む

 昨日、五角星のリングを組むCGをご紹介しましたが、そういえば三角星4つについては、2月25日のひとことでリングを3つのパーツに分割したモデルをご紹介しただけで、それぞれのリングを1パーツで組んだものを載せていませんでした。せっかくなので掲載しておきます。

 スリットを入れて組むものと、リングにするものとのパーツの作り方の比較です。いずれも、円周を6等分した地点で円に内・外接します。 下の図は、2つのパーツを重ねてみたものです。



 実際に組んでみたものの写真を載せます。この場合も、4つのパーツのうち3つはリングを切断しておきます。写真では、切断された部分が見えない側に来るように置いてあります。

写真 1 写真 2

 <おまけのひとこと>
 生協に売っていた扇雀飴本舗というところのはちみつ100%キャンデーというのが気に入りました。昨日、2袋目を買いました。かなり甘いのですがおいしいです。「独自製法で」「はちみつの固形化に成功」などと書かれていると、つい感心してしまいます。




3月14日(金) 『プレゼントの箱』

 今年の1月10日のひとことあたりから何回か、1枚の長方形を筒状に折って作る箱(というか皿というか枡というか)を作る話を図入りでご紹介しました。昔読んだ布施知子さんの折り紙の本のどれかに載っていたもので、そのときには四角、六角、八角のものについて書いて、五角形、七角形もできるはずだけれども角度をどうやって折り出そうかということを書いていたかと思います。

 先日図書館で、「プレゼントの箱」という布施さんの本を見つけました。この本の後半に一枚折の箱のシリーズがありました。後に店頭でもみつけたので、さっそく自分用に購入しました。

プレゼントの箱 (折り紙雑貨店 1)
著者: 布施 知子
本体価格: \1,400
出版:筑摩書房
サイズ:A5判 / 110p 図版12p
ISBN:4-480-87323-6
発行年月:2000.3

 この本では、同じ原理で折り出せる三角箱、五角箱、七角箱の折り方もちゃんと出ており、さらに以前ご紹介した、花びらのような形状をひねるようにして底を折り出す手法を二重に行う「ダブルロック」という技法が紹介されていました。(ただしページの関係か、八角箱は省略されていました。)

 この本の中のコラム(p.100)で、折り紙の制約について述べられているところがあって、興味を持ちました。 折り紙というのは、「正方形からの不切一枚折り」というのが中心にあります。これに対して、どこかに切り込みを入れるとか、顔や模様などを描き加えるとか、複数の紙を使って組み合わせるとか、のり(接着剤)を使うとか、折り筋を決めるために定規や道具を使うとか、正方形以外の紙を使うとか、いろいろと変化が考えられます。 一枚折りの筒状の箱というのは、こつこつと展開図の折り線を入れていって、最後に一気に形を作ります。特に、点と点を結ぶ折り方がたくさん出てきて、作業としても大変ですし単調です。この折り紙に関しては定規と目打ちを使って折り線をつけるほうが簡単だし効率的だし正確だといったことが述べられていました。

 要は自分が何を目的に折り紙をやるかによって、このあたりの制約に対する考え方が決まってくると思います。私がたくさん作っている多面体のペーパーモデルは折り紙の範疇ではありませんが、やはりこだわりがあって、「接着しない」「できるだけ折らない」「パーツはできるだけ合同」というのを条件にしています。それは、そのほうが簡単で美しいものができると思っているからです。

 この本は、前半の4枚組みの四角箱や八角箱も含めてとてもお勧めです。

 <おまけのひとこと>
 さきほど日が出ました。日の出の位置がだいぶ北に寄ってきました。ちょっと曇っていて太陽の写真がとりやすそうだったので、一枚撮影してみました。



 写真の中に3本の赤い線を引いてみました。冬至のころは、写真の一番右(南側)の線のあたりから日が出ます。もうすぐ春分の日になる今は、この写真のあたりから日が出ています。これから夏に向かって、さらに日の出の位置は北に移動します。(3本目の左の線は適当です。)




3月15日(土) 飛び越し・入れ替えパズル(その1)

 今日は有名なパズルを Java でご紹介しようと思います。とりあえずこちら パズルのページが開きます をご覧下さい。(絵をクリックすると、別の窓が開く、と思います。)

 「飛び越し・入れ替えパズル」というのは、1つ前が空いてたらそこに進める、2つ前が空いていたら1つ飛び越してそこに進めるというルールで駒を動かして、駒をそっくり入れ替えるというタイプのパズルです。ただし後戻り(バック)はできません。

これを
 

 
こうする

 青い石と赤い石が中央の1マスの空欄をはさんで並んでいます。青い石は1つ右が空いていればそこに進めます。また2つ右が空いていれば、1つだけ飛び越えてそこに進めます。逆に赤い石は1つ左か2つ左が空いていたらそこに進む(飛び越す)ことができます。

 この手のパズルでは、自分と同じ色の石は飛び越せないということになっている場合もありますが、私のJAVAアプレットでは、飛び越される石の色は無視しています。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 空きマス(=移動先)が1個だけで、動かしたい駒をクリックすると、ルール上移動可能かどうか調べて動けるならば動かす、というのは、以前ご紹介した将棋パズルと同じ考え方です。というわけでプログラムのほとんどが流用できたので、これは30分もかからずに作れました。



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