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以前の「ひとこと」 : 2003年2月前半




2月1日(土) 割り箸模型

 正多角形の厚紙に切り込みを入れて立体的に組み合わせる遊び(パズル)の話の続き…にしようかと思っていたのですが、昨日、ふとこれらの模型を割り箸と輪ゴムで作ったらおもしろいんじゃないかと思い立って作ってみたら、なかなか満足できるものが出来たので、今日はそちらをご紹介しようと思います。

図 1 図 2

 図1、図2はどちらも同じ模型の、見る方向を変えたものです。正三角形4個の骨格を割り箸で作って、隣り合う頂点4個に輪ゴムをかけて、バランスさせています。4つの割り箸三角形は互いに接触しているところはありませんが、ゴムの力で釣り合っています。

 写真だとわかりにくいのですが、このゴムが張っている稜が立方八面体になっています。写真をなぞった絵を作ってもよかったのですが、CGにしてみました。下の図3です。この図の白い棒が割り箸の部分で、赤い線がゴムに相当します。

図 3 図 4

 図4は、三角形4つがどのように絡み合っているかわかりやすいように、色を変えてみたものです。4色の三角形のうち、任意の2つに注目していただくと、その2つが鎖のように絡まっているのがおわかりになるかと思います。割り箸でこの模型を作るときは、最初は三角形4つをこのように絡ませて作り、それから輪ゴムを張ってゆく、という手順になります。輪ゴムですので、大きさや張力が微妙に差があって、きれいにバランスさせるのは意外と難しいです。

 輪ゴムと割り箸というのは、多面体を組むブロックとしてはとても身近で安価な材料です。500円もあれば割り箸と輪ゴムが山ほど買えます。問題は出来上がったものがとても大きくなってしまって、後が邪魔だというところと、ゴムが劣化するため、紙模型などに比べると寿命が短いというところです。

(つづく?)

 <おまけのひとこと>
 最近、我が家では「箱入り娘」というスライドパズルが流行っています。子供たちがだいぶ上手になってきました。




2月2日(日) 多角形を組む(その4)

 今日はまた正多角形の厚紙に切り込みを入れて立体的に組み合わせる遊び(パズル)の話に戻ります。先日、1月30日のひとことに掲載した、正三角形4枚を組み合わせる模型を組んでみましたというメールをお二人の方からいただきました。ありがとうございました。今日はその続きの、正六角形4枚を組むものをご紹介します。

 六角形の場合は、正三角形のときと同じ切り欠きを入れようとすると、小さな三角形2つが切り離されてしまいます。そこでそれを避けるため、例えば下の図1のように切り欠きの位置を変更しました。

図 1
× 4枚

 4枚とも同じパーツを使っているので、スリットの部分が外とつながっていないと、ドーナツ2つを鎖のように組めないのと同様、組めなくなってしまいます。そこでスリットのうち少なくとも1つは外周に繋がる必要があります。あとの2本に関しては、スリットを半分に分けて、半分を対角線の反対側に持って行きます。

 というわけで、「正六角形4枚に同じ切り欠きを入れて立方八面体を組む時の切り欠きの入れ方は?」という問題の解はいくつもあります。図1のものは、正三角形の時のパターンに一番似ているものということでこのようなデザインにしましたが、他にもいろいろ考えられます。

 実際に図1のパーツを4枚組んでみたものの写真をご紹介します。図2、図3は立方八面体の正方形を底面にして置いたもの、図4は三角形を底面にして置いたものです。(ノートパソコンのキーボードに載せて写真を撮っています。)この模型は正三角形4枚よりも、さらに組むのが難しくて、組み立ての際にパーツに無理がかかってパーツがゆがんでしまったため、パーツの頂点の位置がきちっと合っていません。

図 2 図 3 図 4

 この模型にはもう1つとても面白い性質があって、下の図5〜図7のように、ぺたんと平らに畳むことができるのです。もちろん元に戻せます。

図 5 図 6 図 7

 ということは、同じ対称性を持つ正三角形4枚の模型も畳めるかな、と思ってやってみると、同じくちゃんと平らになりました。

 畳める立方八面体、とても気に入りました。もうちょっとパーツを傷めずに作れるようになりたいです。

(つづく つもり)

 <おまけのひとこと>
 昨年の12月1日のおまけのひとことでちょっとご紹介させていただいた消失点よりというページの作者の方から、私が紹介したことへのお礼と、リンクをしていただいたというご報告のメールをいただいて、感激しています。
 「消失点より」は、車やカメラやPCといったものへの感じ方、食べるものに関する視点、紹介されている峠など、不思議と自分の感覚や経験から共感できるところがあって、読んでいてとても楽しいです。また、リンク集に挙げられている日記のページなども、知らなかったところが多いのですが、面白そうだと思っています。
 そういえば私のサイトのリンク集はもう1年もほったらかしです。今月中にはなんとか更新したいと思っています。




2月3日(月) 多角形を組む(その5):小菱形立方八面体

 昨日、正六角形6枚から立方八面体を組む話をご紹介しました。それでは、面が多面体の中心を通らないような場合、例えば小菱形立方八面体(参考図)は同じように組めないでしょうか?

参考図

 この図は、昨年の8月4日のひとことでご紹介した、正八角形のリング6環による小菱形立方八面体です。(以前は斜方立方八面体と呼んだりもしていましたが、呼称を統一することにしました。)このように、3次元の直交する3軸方向に、2枚ずつ、平行な八角形があります。この参考図のモデルの時には、3方向のそれぞれでパーツの切り方が違いました。これをリングではなく、切り欠きを入れた正八角形、それも全て同じ切り欠きの合同な6枚で組めないでしょうか?

 結論から申し上げますと、以下のような切り欠きを入れると、6枚の合同な八角形を組むことができました。この切り欠きは次のようにして作ります。最初にの字のように、縦横に二本ずつ頂点を結ぶ補助線を引いて、その補助線の中点まで、ちょうど風車のように切り欠きを入れます。

図 1
× 6枚

 これを以下のように組んでいきます。最初は図2、図3のように3枚を直交させるように組みます。切り欠きの長さが長いので、比較的簡単です。

裏返すと

こんな感じ
図 2 図 3

 続いて、4枚目(図4)、5枚目(図5)を追加します。パーツが風車のようになっているので、回転させるようにして差し込んでゆくのがコツです。

4枚から

5枚目へ
図 4 図 5

 最後の6枚目をはめるときには、図6のように、すでに組んである垂直な4枚をおおきく広げるようにして、最後の水平のパーツの風車の羽根を全部引っ掛けるようにして、そのまま回転させて組み上げます。図7が完成した写真です。

最後を入れて

完成!!
図 6 図 7

 図6のように、かなりパーツに無理がかかりますが、そこが紙という素材の偉大なところで、最後にはきちんとまとまります。(写真を撮るためにわざわざ図6のところで止めたのですが、幸いパーツに変なくせは残りませんでした。)  実は最初に頭の中で考えていたときには、こんな組み方だとパーツに無理がかかりすぎて組めるはずがないよな、と思ったのです。でも一応やってみるか、と思って組んでみたら、組めてしまったので驚きました。 硬すぎたら組めないですし、やわらかすぎたら安定・自立しないでしょう。紙ってなんて偉いんだろうと改めて感心しました。

 さて、これが組めたのですから当然次は…

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 京都のパズル工房「葉樹林」というお店があります。パズル雑誌“ニコリ”や、同じくパズル屋さんのトリトなどでも作品が紹介されている、パズルファンには有名なお店です。昨年の12月のクリスマス会のプレゼント交換のときに、この葉樹林のパズルを1つ使わせていただいたという話を書いたのですが(12月24日のひとこと)、それをご覧いただいて、「URLが変わりました」というご案内をいただきました。有名なパズルのお店からメールをいただいて、とても嬉しくなっています。「葉樹林」は、多面体系の木製のパズル(?)などもあって、とてもお勧めです。 (といっても、私のページをご覧いただくような方でしたらすでにご存知ですよねきっと。)




2月4日(火) 多角形を組む(その6):小菱形二十面十二面体

 昨日、正八角形6枚から小菱形立方八面体を組んでみました。とすると、次は正十角形12枚から小菱形二十面十二面体(参考図)を組みたくなります。

参考図

 参考図は昨年の8月2日のひとことでご紹介した正十角形のリング12環による小菱形二十面十二面体です。これをリングではなく、真ん中に穴の空いていない正十角形で組もうというわけです。

 昨日の正八角形と同じように、正十角形の頂点を2つおきに結んで、その半分だけを切り欠きにして、風車のような、手裏剣のような形を作ります。これを12枚用意します。 参考図のリングの場合は、外側になるものと内側になるものが決まっていて、ジョイントの作り方がどのリングも同じというわけにはいかなかったのですが、今回の作り方だとパーツは全部同じでよいところがとても気に入っています。

図 1
× 12枚

 昨日と同様に、これを以下のように組んでいきます。やはり最初は図2、図3のように3枚から組んでいきます。

引っ掛けて

しっかり組む
図 2 図 3

 今回は、1つのパーツの周りに5つのパーツを繋いだ半球のようなものを2つ作っておいて、それを一気に結合するという作り方にしてみました。この手のモデルはどうしても最後にパーツをはめるときに無理がかかるので、その負荷が分散するようにと思ったのです。

完成 !!
図 4 図 5

 完成した写真です。これは途中経過は撮ってありません。(組むのに夢中になって忘れました。)

 昨日の小菱形立方八面体、今日の小菱形二十面十二面体を見ると、実はこれらはそれぞれ立方体、正十二面体の面モデルになっていることがわかります。つまり、面モデルの面のパーツのジョイントが、各辺の中点までを切り欠いて互いに組み合わせる形になっているのです。

 これが面モデルである、という観点から作れるものを考えてみると、様々なバリエーションが考えられます。とりあえずパーツは、切り欠きの位置も含めて全て合同な正多角形であること、切り欠きの位置も正多角形と同じ中心の回転対称になっていることという条件で、いくつか考えてみました。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 昨日は節分でした。残念ながら帰りが遅くて、家の豆まきには参加できませんでしたが、帰ってきたら玄関のドアに庭のヒイラギの枝がつけてあって、豆がちらばっていました。




2月5日(水) 多角形を組む(その7):正四面体・正八面体

 多角形に風車のような切り欠きを入れて、それを組むモデルをいくつか作ってみています。次は正四面体・正八面体の面モデルを作ってみました。

図 1

 パーツは図1のように正六角形にして、辺の中点を1つおきに結んで正三角形を描き、その正三角形の各辺の中点までをスリットにします。このパーツ4枚から正四面体、8枚から正八面体を組んでみました。

図 2 図 3

 図2、図3が正四面体のモデルです。図3のように、頂点の側からみるとちょっときれいです。この部分が平らになるので、逆さに立てることも簡単です。

図 4 図 5

 図4、図5が正八面体のモデルです。図4が頂点で立てたもの、図5が1つの面を底にして置いたものです。これは六角形どうしがぴたっと閉じます。

 これはこれで面白い形になりました。このパーツを使って組むのはかなり簡単でした。でも、同じパーツからは正二十面体は組めません。パーツの六角形の角が干渉してしまうのです。そこで…

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 将棋の駒を使ったパズルの別なパターンをメールで教えていただいて、それもJAVAアプレットでご紹介しようと思って作ってあります。今の多角形を組むシリーズが終わったら載せようと思っています。せっかく教えていただいたのに、ご紹介が遅くなっていてすみません。
 今回の模型は、2月3日(月)以降にご紹介しているものは全て、先日の2日の日曜日に半日くらいかけて作ったものです。1つ設計して組み立てると、次々とバリエーションを作りたくなって、用紙が尽きるまで作りまくってしまいました。今週は、そのときに1つ作っては考え、また作っては考え、と模型が増えていったプロセスに沿ってご紹介しています。あと2〜3日続く予定です。




2月6日(木) 多角形を組む(その8):正二十面体

 昨日、正六角形に3つのスリットを入れて、正四面体と正八面体を作ってみました。同じパーツからだと正二十面体は組めませんでした。そこで、正六角形に入れるスリットの位置を図1のように変えます。

図 1
× 20枚

 これを20枚切り出して、組んでみました。一般的な視点から見たもの(図2)、正二十面体の頂点方向から見たもの(図3)、同じく面の方向から見たもの(図4)、です。

図 2 図 3 図 4

 5回対称性のおかげで、なんだか桜の花のようなイメージになりました。組む前は、鈍角三角形が各稜に2枚ずつぴんぴんと飛び出した妙な形になるのかな、と想像していたのですが、二面角の関係でむしろ菱形のように見えます。こんなイメージになるとは想像していませんでした。 この菱形が平らになって繋がると、菱形三十面体になります。

 図1のパーツのスリットの外側の鈍角三角形3枚をピンク色にして、内部の正三角形を濃い緑とか茶色とかにすると、より桜の花っぽくなるかもしれません。(プリンタで作るとそういうところは楽ですね。)

 このパーツからならば、正四面体や正八面体はもちろん、おそらく全てのデルタ多面体が組めると思います。でも、想像するにこの正二十面体モデル以上にきれいなものはできないだろうと思うので、作ってみてありません。

 さて、5つの正多面体の面モデルが一通り組み終わりましたが、もっとバリエーションが広がらないでしょうか? 次に思いついたのは、組むのはかなり難しそうだけれど、できたらすばらしいだろうな、というものでした。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 先日、バッハのゴールドベルグ変奏曲を弦楽三重奏(バイオリン、ビオラ、チェロ)で演奏していたCDを買いました。(新品なのに400円でした。おかげで衝動買いです。最近のCDの安さには唖然とします。)もともとは鍵盤で一人で演奏する曲なのですが、弦のバージョンも聴いてみたいなと思っていたのでした。いくつかの変奏は、鍵盤よりも弦の方が合っているなと思いました。以前、リコーダーアンサンブルのメンバーの方が一部の変奏の楽譜を持ってきてくれていたので尋ねてみたら、Werner Icking Music Archiveというページからいただいたものだ、と教えてくれました。 時間がなくてまだほとんど見ていないのですが、このページにはたくさんの楽譜があって、見るのがとても楽しみです。




2月7日(金) 多角形を組む(その9):大十二面体

 正多角形にスリットを入れたパーツで多面体を組むシリーズです。今日は大十二面体をご紹介します。これは、ケプラー・ポアンソの多面体と呼ばれる4つの星型正多面体の一つです。(くわしくは、例えば山口陸幸さんのThe Polyhedra World等をご覧下さい。) 正五角形12枚が、普通の正十二面体よりも近い距離に組み合わさるようにおかれたもので、下の図2のような形をしています。

×12枚 ⇒
図 1 図 2

 この立体のことをぼんやり考えていたら、図1のようなスリットを入れたパーツ12枚で組めるはずだと気が付きました。ただしこの3次元空間内だけの移動・変形でうまく組めるんだろうか、というのはまた別の問題です。

 1つ次元を落として考えてみると、例えば下の参考図1のように噛み合った二つの平面図形を考えたとき、これはどちらかを一旦平面から持ち上げて、2次元から3次元空間を通せば簡単に参考図2のように外すことが出来ます。でもこれを2次元空間(平面)の中だけで動かしたとしても、はめたり外したりできません。

変形できれば…
参考図 1 参考図 2 参考図 3

 ただし参考図3のようにパーツを柔軟に変形できれば、2次元空間の中だけではめたり外したりできるということになります。今回の一連の模型というのも、全てこの参考図3のように大きく変形しながらはめてゆくという作業をしています。

 パーツを12枚も切り抜くのは結構大変な作業なので、苦労して切り出したのに組めなかったとしたら悲惨です。パーツの切り出しはどうしても単純作業になるので、いくら慣れて速くなっているとはいえ、大変苦痛な作業です。出来上がりの模型をどうしても作りたい・見たい・さわってみたいと思わない限り、やりたくありません。

 まあこれまでの模型も組めたんだし、なんとかなるだろうと思って、設計してパーツを切り出して組んでみました。パーツを傷める可能性があるので、予備も含めて14枚作りました。(印刷データを作る段階で、たまたまA4のサイズに並べてみたら14枚並んだのでそうしました。)

図 3 図 4 図 5

 写真が完成した模型です。図3が一般的な視点からみたところ、図4が大十二面体の1つの正五角形を正面から見たところです。中央に星型が浮き上がって見えます。図5は3つの五角形によって作られる三角形のくぼみの方向から見たものです。こうしてみると、この立体の稜が正二十面体の構造になっていることがよくわかります。

 予想通り、というか予想以上にパーツに負荷がかかってしまい、きれいに稜が揃いませんでした。手で押さえると一応そろうのですが、手を離すとすぐに写真のように広がってしまいます。このパーツは、最初の3枚を組むところからしてかなり大変でした。途中、これは完成できないかも、と何度も不安になりました。でも幸い予備のパーツに頼らずに、組上げることができました。でも、期待したような出来ではありませんでした。図1をよく見ていただくとおわかりになるかもしれませんが、設計がまずかったようです。

 組んでゆく途中で内部に正十二面体が出来てゆくのがわかって、とても楽しかったです。先日の小菱形二十面十二面体では6枚ずつを半球型に組んでおいてそれを繋ぐという手順にしましたが、これは最後まで1枚ずつパーツを付け加えてゆくという方法で組みました。

(つづく)

 <おまけのひとこと>
 今日は上の子が学校のスキー教室(日帰り)です。
 昨日は珍しく少し早めに帰れたので、夜のうちに今日の「ひとこと」の原稿の大部分を用意しました。おかげで今日は長いです。このシリーズは明日で最終回にしたいと思います。




2月8日(土) 多角形を組む(最終回):星型小十二面体

 シリーズ最終回として、星型小十二面体をご紹介します。これは凸多角形ではないパーツなのと、出来が悪いのとでご紹介するのをやめようかとも思ったのですが、今回の手法で作れるモデルの仲間なので、最後に掲載することにしました。

図 1 図 2

 図1が使っている星型(★)のパーツを正面から見たところです。星型の芯の正五角形の辺を、風車状にスリットを入れています。図2は3つのパーツが噛み合ったところを見た写真です。

 先日ご紹介した葉樹林というパズル屋さんのリンク集のトップにINNOCENT PENGUIN's pageというサイトがあります。昨夜こちらのページを見ていたら、ペーパークラフトのカテゴリの一番最後に、Star --12 panels--という作品が掲載されていました。これが今日ご紹介した紙モデルと全く同じものでした。ただし私のものと違って透明なアクリル板で作られているようで、しっかりしています。(おそらく先日ご紹介した葉樹林の星のパズルと同じ素材で作られているのではないだろうかと想像しています。)

 今回ご紹介してきた一連の、核となる凸多面体の各面の辺の部分を半分ずつスリットにしてそれを組むという手法は、星型多面体の模型を作るのにも向いた手法ではないかと思いました。星型多面体は、ものによっては単連結ではない、空間に対称性を保ったままちらばっているようなものもたくさんあります。そういったものは、中央の部分は透明なOHPシートのようなものを使って、実体のある部分は不透明な色で着色しておくようにすれば、その雰囲気がわかりやすい模型が作れるのではないかと思いました。

 ただし、外側の部分の稜をうまくまとめる工夫が必要になります。ここで例えば以前、昨年の8月の24日あたりからご紹介していた紙によるジオシェイプス(or ポリドロン)のようなジョイントを用いるとよいのかな、と思っていますが、今回のシリーズはここで一旦おしまいにします。最後に、全部の集合写真を載せます。

 今回ご紹介したような模型を作ってみたとおっしゃる方や、さらに発展して星型の模型を作られた方がもしいらしたら、もしよろしかったら写真などをいただけたらこのページでご紹介させていただきたいな、などと思っています。

 <おまけのひとこと>
 なんだか春めいてきました。本当に久しぶりに、昨夜は帰りの道路の温度計が氷点下ではありませんでした。




2月9日(日) 『日曜の朝ぼくは』

 先日、図書館に行ったとき、子供たちが借りる本を選んでいるのを待っている間に、ふと近くにあった『日曜の朝ぼくは』(斉藤洋)という本を手にとって読み始めたらとても気に入ってしまいました。とりあえずWebで情報を探してみようと思って、図書館で読み終えてはいたのですがその本を借りました。帰りにちょっと買い物をした時に、小さな本屋さんをのぞいてみたら、その本が棚にあったので、さっそく買ってしまいました。

『日曜の朝ぼくは』
斉藤洋 著
理論社
2000年10月 初版
(A5 変形判 21cm 132p)
1,300円+税

 不思議なお話です。斉藤洋さんなので、図書館でも本屋さんでも児童文学の棚にあったのですが、あんまり子供向けではないような気がします。心温まる、とか、心が洗われる、といった話ではないと思うのですが、とても心に残りました。こんなページで感想が語られていました。(できれば本を読んでからご覧になることをお勧めします。) また、調べていったら斉藤洋の本というファンページがありました。こういったページを見ていると、斉藤洋さんの他の本も読んでみたくなります。

 一週間ほど前、週末の食糧品の購入の買い物の時にお花屋さんに寄ったら、「コッピー」という小さなビンに入ったアクアリウムが売っていて、子供たちがどうしても欲しいというので買ってやりました(480円+税)。子供たちは生き物が好きで、カタツムリを捕まえてきて飼ったり、クワガタをみつけて飼ったりしていたのですが、それ以上大きな生き物を家で飼ったことはありません。(学校ではチャボやカモやウサギを飼っていて、一ヶ月に2〜3回の当番の日には餌を持っていってやっています。) お店で生き物を買うのは初めてです。

 普段めったに何か買ってやらないので、買ってあげると言ったら大喜びで、20個くらいあるビンを端からよく調べていました。ビンの形やふたの色はいろいろあったのですが、そういう要素は無視して中の魚(メダカの仲間だと思います)が一番元気そうなのを探していて感心しました。

 餌の食べ残しがあると水が汚れて酸素不足になるので、餌はかなり制限しています。あんまり餌をやれないのが、世話をしていて物足りないようです。

 <おまけのひとこと>
 昨日、「春めいてきた」と書いたばかりなのに、今朝は雪が積もって雪かきに出ました。といっても春の雪でとても湿って重たい雪でした。




2月10日(月) 水位のパズル

 久しぶりにちょっとしたパズルを。(ひょっとすると理科の問題なのかもしれません。)

 問題1
 プールにボートが浮かんでいました。プールサイドにいる人がコインを持っています。このコインをボートの中に投げ込むのと、プールの中に投げ込むのとではどちらが余計に水位を上げるでしょうか。

 問題2
 プールにボートが浮かんでいて、そこに人が一人乗っています。手には氷の塊を持っていました。この氷をプールに投げ込むと、水位はどうなるでしょう? さらに、その氷が解けたら水位はどうなるでしょう?

 <おまけのひとこと>
 今日は時間がなくて簡単な更新です。




2月11日(火) 将棋盤のパズル

 先月、3×3の小さな将棋盤を考えて、その上に8個の駒を並べて、唯一の空きマスを利用して駒を入れ替えるパズルというのをご紹介しました。(1月19日のひとことあたりから1週間くらいです。) そのときに、将棋盤と将棋の駒のパズルというと、こんなものもありますね、というのをメールで教えていただきました。ありがとうございました。

 将棋の駒40枚を、9×9の普通の将棋盤に全部置きます。ただし、どの駒も他の駒の利き筋に入れません。例えば王様を置いたら、その周囲8マスには他の駒は置けませんし、飛車を置いたら、その飛車の縦横にはもう駒は置けません。駒は40枚とも全て同じ向き(先手側)です。王様が2枚とも同じ向きというのも気持ちが悪いかもしれませんが、王と飛車と角は後手側でも利き筋は同じですから、気にしないことにします。

 チェス盤を使ったパズルで、“8王妃の問題”(8 Queen Problem)というのがあります。8×8のチェス盤の上に、8個の女王を、お互いの利き筋に入らないように配置せよというパズルで、コンピュータのプログラム演習などでよく見かけるとても有名な問題です。この将棋パズルも、発想はそれと同じですが、駒の数が多いので大変です。

 実際の将棋盤を並べるのも大変ですし、私の棋力では駒の利きを見逃す可能性もあるので、例によってJAVAアプレットを作ってみました。こちらのページにあります。(右の画像からも同じページにリンクしています。)使い方などはリンク先のページにありますので、ぜひお試しください。

 このパズルは、飛車や角といった大駒の配置が問題です。右の図は失敗例で、飛車・角を置いた時点ですでに残りの空きマスが33マスしかありませんが、駒のほうはまだ36個も残っています。これではどうがんばっても残りの駒は置けません。

 アプレットでは、パズルのルール上許される位置にしか駒を置けないようにして、利き筋に色をつけて、さらに駒を置くたびに残りの空きマスの数を表示するようにしています。 昨夜、プログラムを作るのに2時間、それからそのプログラムを使って2時間近く挑戦してみたのですが、まだ解けていません。いまのところの最高記録は、残り歩が2個というところまでは行きました。

 <おまけのひとこと>
 最初のバージョンはこちらでした。(別の窓が開きます。) このバージョンでは駒の利きもルールも無視して、好きなように好きな場所に駒が置けます。残りの駒数だけを数えてくれるというものです。まずこのバージョンをささっと作って、最初はこれで遊び始めたのですが、ちょっと遊びにくかったのでプログラムを改造しました。割と楽しめると思います。
 将棋パズルのアプレットも増えてきたので、そろそろ整理したいです。でも整理するより新しいものを作るほうが楽しいんですよね…




2月12日(水) 星型を組む

 二週間ほど前に、正三角形4枚に同じ形のスリットを入れて立体的に組み合わせる話を書きました。この場合、三角形の12の頂点は立方八面体の頂点になりました。ということは、同じように正五角形6枚に同じようにスリットを入れて組めば、二十面十二面体の頂点になるようにできないでしょうか。そう考えてパーツを設計して挑戦していたのですが、これがなかなか難しくてうまくいきませんでした。

 先日、ふと「では同じ設計でパーツを五角形ではなく星型にしたら?」と思いつきました。一見難しくなったように見えますが、実はこのほうがパーツの向きがわかりやすかったり、はめたパーツが外れにくかったりして組みやすいということがわかりました。

 上の写真が使ったパーツです。これを6枚組んでみました。詳細は、あそびのコラムの新作「星を組む」に載せましたのでご覧下さい。

 この模型の組み立てが気に入ってしまって、頂角の大きさを変えてみたりしながら、すでに5〜6個作りました。最初の模型を完成させるまで、3時間以上かかりました。2個目は30分くらいで組めました。3個目以降はかなり短時間で組めるようになりました。

 組むのはかなり大変だと思うのですが、出来上がりの美しさは格別です。こういったものがお好きな方ならば挑戦してみる価値があるのではないかと思います。ただし、三角形4枚とは比較にならないほど難しいです。

 <おまけのひとこと>
 昨日の将棋盤のパズル、さっそく「できました」というご報告をメールでいただきました。 苦労しました、という感想も書いていただいて、感激しています。 実は完成を判定してちょっとした動作をするプログラムにしてあるのですが、自分が完成できないものですからその判定や動作が意図通り行われるか確認していないのです。図々しくも、解いて下さった方に、完成したときにアプレットはどうなりましたか? と尋ねてみたら、ちゃんと予定通り動作してくれたようで、安心しました。




2月13日(木) 正五角形を組む

 しばらく紙模型の話が続いたので、別の話題をいろいろ考えていたのですが、すみません、また紙模型の話に戻ってしまいました。

 昨日、「あそびのコラム」に「星を組む」を載せましたが、その中で書いておいた、最初に思いついた正五角形にスリットを入れたもの6枚を組む模型を昨夜組むことができました。嬉しくて今日はこの写真を載せることにしました。

図 1
× 6枚

 星型で鍛えたおかげで、パーツの位置関係を把握する能力が上がったようです。パズルというのは、こういう風に自分の能力がレベルアップしてゆく感じがあって楽しいです。(でもその能力がなんの役に立つんだ、と問われるとちょっと困ってしまいますけれども。)

 図2が完成した写真です。こういう模型を作っていると、気に入ったものの場合、完成直後は最新作が最も美しく感じられるものです。今のところ、この模型はとても気に入っていて、星型6枚よりもきれいなんじゃないかと思っています。実は2週間くらい前、最初の正三角形4枚を組んだ日に、すでに大小2セット分のパーツを切り出してあったのですが、挫折してずっと放棄していました。 昨夜久々に挑戦したら、ものの5分であっけなく完成できました。今考えると、スリットがゆるすぎたのが苦労した理由でした。

図 2

 形がわかりにくいかもしれないので、CGにしてみました。(CGを作るのも、パズルみたいで楽しいです。) 図3は上の写真と全く同じ向きのもので、白い五角形が完全に見える、5回回転対称の軸から見ています。このような方向は、裏側を別だと考えると12方向あります。

図 3 図 4 図 5

 図4は3枚の五角形が集まっている部分から見たもので、3回回転対称です。この方向は20方向あります。図5は2枚の五角形(白と水色)が交わる軸のあたりから見たところです。白と水色はほとんど「まっ平ら」になるので、細い線に見えています。CGなので完全に軸上に視点を持っていくと、この2枚が完全に消えてしまうため、ちょっとだけ視点をずらしています。この方向は全部で30方向あります。

 <おまけのひとこと>
 さて明日からはなにを書こうかな。




2月14日(金) 八犬伝

 滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」を子供向きに翻案した、あすなろ書房の『ジュニア版里見八犬伝』(全10巻)というのを子供たちが気に入って、図書館で順に借りてきては読んでいます。全部の漢字にルビが振られているので、下の子も一生懸命読んでいます。

 各巻の最後に、「おうちのかたへ」という1ページがあって、そこに原作についての補足情報などが書かれていてとても面白いのですが、3巻目のこのページに、馬琴による原作の第5輯(集)の序文が引用されていました。

 「世に遊ぶ者あり。世に遊ばるる者あり。世に遊ぶ者は、自ら行く所に行きて、人の行く所に行かず。これをもって楽しみ内にありて、尽きることなし。世に遊ばるる者は、人の行く所に行きて、自ら行く所を知らず。これをもって楽しみを外に求め、自ら苦しむ。」

 共感しました。

 昨日載せた正五角形6枚を組むモデルについて、あのStarCage #5の日詰明男さん(ホームページトップはこちら)が、わざわざメールで情報を下さいました。感激しています。ありがとうございました。

 いただいた情報によると、Alan Holdenという方が、1970年代にすでに “Shapes, Space,and Symmetry”, Columbia University Press, 1971.という書籍で発表されているということ、また日詰さんご自身も独力で見出され、“日詰明男「HEXA PLEXUS」HYPER SPACE, Vol.4, No.1, 高次元科学会, 1995.”で発表されている、とのことでした。 Alan Holden の本は 上記の Amazon のページから購入できるようなので、買ってみようと思います。

 <おまけのひとこと>
 また、組みたいモデルのアイディアが出てきたのですが、図面を作ったり切り出したりしている時間がありません。(昨日の五角形6枚は、すでに切り出してあったパーツを使ったのでした。)週末が楽しみです。
 そろそろ工作用の紙がなくなってきました。私はKOKUYOの厚手のインクジェットプリンタ用紙を愛用しているのですが、置いているお店が少なくて残念です。インクジェットプリンタ用のOHPシートというのもあって、それで模型を作ったら透明で美しいだろうなと思うのですが、単価が高いのです。(シート1枚あたり130円くらいで、最低10枚からのパッケージになっています。)厚さや強度がよくわからないため、「はずれ」だと悲しいなと思って、購入をためらっています。そもそも最近はOHPでプレゼンテーションをすることはどんどん少なくなっているのですね。普通のOHPシートもうちのあたりのお店では全くみかけなくなりました。




2月15日(土) 将棋盤のパズル:飛車と角の入れ替え

 先日の将棋盤パズルのシリーズは、そもそもは普通の将棋の初期配置の飛車と角の位置を、駒の移動のルールに従って入れ替えてくださいというところからはじまっていました。 これは易しい問題なのですが、そのバリエーションとして、若干難易度を高めるため、金と銀と香車の前の空きスペースに、それぞれ後ろと同じ駒を置く、というものもあるのだそうです(下図)。

 例によってアプレットにしてみました。上の画像からリンクしています(新しい窓が開くようにしたつもりです)。 将棋の自分の陣地ですから3×9ですが、香車と歩は動きませんから、2×7でも同じことです。でもこちらのほうが雰囲気があるので、3×9にしてみました。この問題は、飛車と角だけを入れ替えて、そのほかの駒は初期状態に戻せ、という問題です。ただし同じ種類の駒同士は区別しませんので、たとえば最初に王様の右のマスにいた金が、最後に他の位置の金と入れ替わっていてもかまいません。

 とりあえず私のプログラムは、最短手数51手という解を出してきました。この問題を教えてくださった方にメールでそれをお伝えしたら、その方の解析でもやはり同じく最短手数51手だということ、さらに63手で到達可能な局面全てに到達することを教えていただきました。 ありがとうございました。

 <おまけのひとこと>
 将棋パズルのアプレットは、駒の配置はパラメータで渡すようにしているのでいくらでも変えられるのですが、盤のマスの数はソースコードに記述してあります。(といっても1箇所書き換えてコンパイルするだけで変えられるようにはしてあります。) ただ、「動かしたい駒を選ぶだけ」というインタフェースを採用しているため、空きマスが1つの問題しか作れません。行き先が複数の可能性がある場合は、行き先を選んでやる必要があるためです。

 明日はまた別のジャンルの話を書こうと思います。



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