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Contrapunctus 2
単一主題によるフーガ、4声部、2/2拍子、84小節


(主題)

Contrapunctus1に示された基本主題の末尾の8分音符が
付点8分音符+16分音符のリズムに変形されています。



曲全体も付点リズムで作られており、活気のある曲になっています。

(曲の構造)

主題呈示が曲を形作っています。特にバスに示される主調の主題
(曲の冒頭と同じ形)が新たな展開の開始を示しています。


バスの主題冒頭を青い音符で示しました。
実際の出版譜は各声部1段ずつ、4段の楽譜で書かれています。

これによって、曲は以下の3部分に分けることが出来ます。

 内  容
小節
小節数
第1部分 主題呈示(主調と調性的応答)、
カデンツァ
1-30
30
第2部分 主題呈示(主調、平行調など)
31-60
30
第3部分 主題呈示(主調、変形主題)、
カデンツァ、コーダ
61-84
24


Contrapunctus1同様、最後のコーダは後に追加されたものと思われます。
(詳しくは自筆譜のIIIをご覧ください。)

なお、各部分に1回ずつ以下の音形(青い音符)が示されますが、
Contrapunctus1の「段落の終止形」ほど明確な役割は確認できません。



決まって低音部に示されるのですが、
主題に重なる場合とそうでない場合があります。

(曲の詳細)

曲の冒頭でバスに示された主題にテノールの調性的応答が続きます。
5-8小節に青い音符で示したのは対主題です。



この対主題は曲を通じてしばしば示されます。
その際、この曲独特の扱いを受けています(後述)。

4声部が出揃ったところで、曲は和声的に断裂しますが、
Contrapunctus1の第3部分とは違い、即興的な挿入句が奏されます。


いわゆるカデンツァです。挿入句を青い音符で示しました。

続いて23小節のアルトに示された主題は、冒頭が装飾されています。
24小節〜のバスには対主題が示されますが、
この対主題は26小節からテノールに受け渡されます。


アルトの主題とバスとテノールの対主題を、それぞれ青い音符で示しました。

この対主題の受け渡しこそ、この曲独特のもので、
31小節のバスの主題につけられた対主題などは、
3声部にわたって受け渡しが行われています。


分割された対主題を青い音符で示しました。

このほかにも、随所に対主題の受け渡しが見られ、
第2・第3部分で示される対主題の多くが分割されています。

69小節〜のテノールには、シンコペーションによる変形主題が示されます。


テノールの変形主題を青い音符で示しました。

突如として現れたこの変形主題には違和感を覚えますが、
続くContrapunctus34にもシンコペーションによる変形主題が見られ、
この曲の変形主題が伏線になっているのかもしれません。

76-77小節にはホモフォニックな音使いが見られ、
78小節で曲は再び和声的に断裂します。
先ほどの21-22小節同様、ソプラノには即興的旋律が見られます。


ソプラノの即興的旋律(青い音符)は、21-22小節に比べるとあっさりしています。

(その他)

快活なリズムのContrapunctus2ですが、最初に作曲された時には
符点リズムではなかったらしいことがわかっています。
(詳しくは自筆譜のIIIをご覧ください。)

なお余談ですが、この曲に示された主題の数は、
変形主題を併せて14です。

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