青銅製で鍍金されたこの彫刻は、歴史上の仏陀釈迦牟尼を表したもので、その座っておられる長方形の玉座には、側面に一対の小さなライオンと二人の人物がついている。仏陀の手は瞑想を表わす印相を示し、肩から放射される八つの三角形の尖りは炎を表わしている。瞑想によって生じた体熱を目に見えるように炎として表現しているのです。仏陀の顔の特徴、口ひげ、髪や衣服はガンダーラ(古代の王国で、現在のパキスタン、アフガニスタンならびにインドの北西部にわたる地域)の芸術的な影響を示唆している一方、ライオンや施主像は中国のスタイルでありますから、この作品が中国で作られたことを示しています。仏教は一世紀にインドから導入され、中国で徐々に大衆化していった過程で、このような信仰の対象がつくられる必要があったのです。

B o s t o n

           2009/3/15~17

 Grenville L. Winthrop (1864–1943)という人なのですが、ニューヨークの人でハーバード大学卒業の弁護士で銀行家。主として19世紀の西欧、アメリカの美術品を収集。1942年に亡くなったとき、コレクションがハーバード大学に一括して遺贈されたようですね。
 そのなかにこの仏像が入っていたのです。

 でも足下には中国の狛犬が二匹、仏像をお守りしています。だから、この仏像は中国で作られたものです。

 遠くボストンまでこないと、中国の美しい仏像を拝観することができないのです。

 では皆様ご機嫌よう。

 山東省の石像なのですが、お顔が実に美しいですね。

 もう一つおまけに隋の時代の石像を拝観しておきましょう。

  説明は次。

http://ieas.berkeley.edu/events/2005.11.02.html
にくわしい説明があります。

中国の仏教は白馬寺から始まるのですが、鳩摩羅什が西暦400年に長安入りするまでは仏教の本質が理解されていませんでした。仏教は護符扱いされていたのです。そのお守りのうちもっとも古いのがこの

Seated Buddha Shakyamuni with Flaming Shoulders
Chinese, Northern and Southern Dynasties Period, 3rd-4th Century
Gilt Bronze; Ghandara Type

です。くわしくは下の説明を読みましょう。

性病に罹ったパリの売春婦を収容するサン・ラザールの監獄病院におけるひとりの女性と彼女の子供の姿。赤貧状態の母親と子の赤心。逃げるに逃げられない地獄。希望と未来の展望が欠けた状態。冷たい「青」の世界、これが人間の実態だ、とピカソは喝破したのです。

 お顔は明らかにガンダーラ。背中の光炎もガンダーラ風。

 しかし、私はピカソを見物にきたわけではありません。

 私が見にきたのは、中国で作られた最古の仏像なのです。


Pablo Ruiz Picasso
Spanish (worked in France),
1881-1973
Mother and Child, c.1901
Oil on Canvas
Fogg Museum

 彼はこの家を1889年に建て、翌年1890年に『心理学原理』を出版し、1902年に『宗教的経験の諸相』を出版したのです。

『心理学原理』がアメリカの心理学の基礎を作り、『宗教的経験の諸相』がアメリカの哲学の基礎を作りました。

 『宗教的経験の諸相』は、それまでタブーとされてきた人間の「負の部分」を克明に著述したのです。哲学界における精神革命でした。 

  時を同じくして、スペインにピカソが現れて、青の時代を表現しました。この時代の作品の一つがHarvard Art Museumに展示されています。同じ時期に表現方法は異なるが、内容のまったく同じ精神革命が大西洋をはさんで達成されたのです。私達の心の暗部が解放されたのです。

The Cambridge home of William and Alice James
95 Irving Street, in the early 1890s
Would you like to see
the house today?

Chronology and Photos | William James page

 ここからそうですね。500mしか離れていないと
ころにウイリアム・ジェイムズが『心理
学原理』
ならびに『宗教的経験の諸相』を著述した旧宅が
あります。

 場所は95 Irving St, Cambridge, MA 02138ですから、
Googleで地図検索を行なうと、彼の居宅の現在の
写真まで出てきますよ。

 上の写真はハーバード・スクエアにあるジョンストンゲートであるが、この門を入ったところがハーバード・ヤードで、ハーバード・ヤードを左手奥に抜けたところにハーバード大学美術館がある。Fogg美術館は現在改築のために閉鎖されているが、Arthur M. Sackler Museumに集中して展示されている。

 Samuel Adamsは最近ミズーリ州セントルイスのビールメーカーが地ビールの商標として使い出し、大人気を博している。

 政治も古いが、大学も古い。ハーバード大学は1636年に設立された。

国家の規範を形作る哲学もハーバード大学が生み出した。現在の世界の70%程度はアメリカの哲学が規範となって動かしている。民主主義である。

ウイリアム・ジェイムズがその哲学的基礎を完成させてしまった。

もう少しくわしく言うと、1689年、ジョン・ロックが調べ残した「無数の」の領域をジェイムズが1902年に完璧に解明したので、ここに民主主義の哲学が名実ともに成立したのです。

 ボストンはアメリカが独立運動を起こした場所。中心地のQuincy Market PlaceにはFaneuil Hallが残っている。ここは1764年砂糖法に対する反対集会が開かれた場所、Samuel Adamsが独立運動を開始した場所、George Washingtonが独立を最初に祝った場所。だから、「自由の揺りかご」とよばれる大切な場所なのだ。

 Samuel Adamsの銅像を背景に見学にきた高校生が記念写真を撮っている。

15日朝、ニューヨークのPenn StationからAmtrak regionalに乗り、4時間かかってボストンに到着しました。

 South Stationに到着したのだが、この駅から飛行場まで地下鉄に乗りました。地下鉄なのに、車体はバス。銀色マークだからシルバー・ラインと名付けられているバス地下鉄なのです。

17日は早朝のシカゴ行きの便に乗らなければならないので、飛行場内にあるヒルトン・ホテルに泊まったのです。とても便利でしたよ。